2008-09-30(Tue)

金融安定化法案を否決-米下院  解散も延びる

経営に失敗した大手銀行への税金投入 米国民だって嫌がってる

かつて、日本でも大銀行への税金投入は国民の批判を浴びた。
それでも、自公政権は税金投入を強行した。
この間銀行は、税金を負けてもらってた。

そして、大銀行はリストラ、貸し渋りして、経営回復、大儲けした。

それで、
「米モルガンに21%出資=過去最大9500億円で合意-三菱UFJ」
てなことになった。

米銀行への税金投入が否決されたので、それが、今度は日本への影響。
解散延期されるようだ。

う~ん。アメリカが咳をすれば日本が風邪をひく。というが・・・・・





時事通信(2008/09/30-12:34)
金融安定化法案を否決=税金投入反対派を抑えられず-米下院
 【ワシントン29日時事】米下院は29日、本会議を開き、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取る金融安定化法案(2008年緊急経済安定化法案)を共和党保守派などの反対多数で否決した。議会は10月2日に再開されるが、法案の行方は全く見通しが立たなくなっている。法案否決を受けて、ブッシュ大統領は30日朝に、金融システム安定策について緊急声明を出す。
 米国だけでなく世界の市場は金融システム安定のカギを握る同法案の行方を注視。市場の不安を沈静化する対策が早期に実施されなければ、金融恐慌に発展する可能性があり、日本などにも影響が波及するのは必至だ。
 投票結果は賛成205、反対228。政府の民間介入と税金投入に反対する共和党保守派に加え、民主党でも造反者が続出した。経営に失敗した大手銀行を税金で救済することには国民の反発が強く、11月の大統領選や上下両院選を控えて、地元有権者の声を強く意識した下院議員が多かったとみられる。


時事通信(2008/09/30-00:24)
米モルガンに21%出資=過去最大9500億円で合意-三菱UFJ
 三菱UFJフィナンシャル・グループは29日、米大手金融機関のモルガン・スタンレーに最大21%出資することで両社が最終合意したと発表した。出資総額は約90億ドル(約9500億円)と、日本の金融機関による外国金融機関への出資としては過去最大。内訳は普通株式9.9%を約30億ドルで、普通株への転換権が付いた永久優先株式を約60億ドルでそれぞれ取得し、筆頭株主になる。
 三菱UFJは、当初1カ月程度かけて資産査定する方針だったが、市場が急激に変化する中、合意を急ぎたいモルガン側の事情に配慮し、スピード合意したとみられる。出資は関係各国当局の認可を得た上で近く実施する。


時事通信(2008/09/30-12:44)
金融危機回避へ対応を=麻生首相、閣僚に指示
 麻生太郎首相は30日午前の閣僚懇談会で、米国発の金融不安の高まりを受けて「日本の実体経済に影響を及ぼさないよう対応をきちっとしなければならない。世界の金融システムを壊してはいけない。そのために連携をしっかり取るように」と述べ、国際社会と密接に連携し、金融危機の回避に万全を期すよう指示した。
 首相はこの後、首相官邸で記者団の質問に答え、「日銀もドルの供給に応じ、世界中が一斉に対応している。(金融不安が)大きく波及しないよう、ものすごく注意深く対応しなければならない」と語った。
 河村建夫官房長官は記者会見で、「金融市場で依然として緊張が続いている」とした上で、「高い警戒水準を維持しつつ、金融市場の動向を注視し、内外の関係当局と緊密に連携し、適切に対処したい」と強調した。同時に「日本の金融機関については影響は及ばない」との見通しを示した。


毎日新聞 2008年9月30日 21時19分
衆院:経済優先で解散に延期論
 世界的株安など米国発の金融不安への早期対応を図る麻生太郎首相の意図を受け、与党は30日、衆院解散前に08年度補正予算案を早期成立させる方針を確認した。10月6日に衆院予算委員会で審議入りし、9日中に参院での成立を図る。野党側も大筋で容認する方向とみられており、補正予算成立後の9日以降に衆院が解散されるとの見方が強い。11月2日投開票を軸とする選挙日程も動かないとみられているが、野党との「話し合い解散」色が強まるため、解散時期で首相の主導権が弱まるのは避けられない状況だ。

 首相は30日、官邸で記者団に「補正予算案は、緊急経済対策として上げなければいけないと最初から申し上げている。ぜひやりたい」と述べ、衆院解散前に補正予算案成立を目指す考えを強調した。自民、公明両党の幹事長と国対委員長は30日、国会内で会談し、首相の意向に沿うことを確認した。

 首相は、補正予算案について10月6日から衆参両院の予算委で2日ずつ審議を行い、9日の成立直後の衆院解散を狙っているとみられる。中山成彬前国土交通相の辞任、意外な低支持率で窮地に陥っただけに、野党の了解のもとでの解散でないと、国民から反発を招くのではと首相は考えているようだ。

 ただ、与党側には昨年来の「ねじれ国会」での民主党の対応に不信は消えておらず、自民・民主両党の党首会談で確約を得る案も浮上している。首相は29日の所信表明演説で、民主党の小沢一郎代表に対し、補正予算案への賛否を明らかにするよう迫っており、10月1日の小沢氏の代表質問での「回答」を踏まえて解散時期を最終判断する。

 一方で、世界的な金融不安を受けて複数の自民党幹部は解散延期を主張している。2次補正予算案の編成などの追加措置を求める声もある。しかし、2次補正編成には1カ月程度の日数を要することもあり、早急な実施は困難とみられている。11月2日投開票日を軸とした、衆院選への流れを覆すには至っていない。【犬飼直幸】
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2008-09-30(Tue)

中山発言の裏 計算された選挙対策?

麻生総理と通じる危ないニオイ

 「さらに、中山氏が「神様」などと発言した29日、麻生氏も所信表明演説を「かしこくも御名御璽をいただき…」という「麻生語」で始めるロールプレイングを行っています。
 首相周辺は「秘書官が手の入れようのない『文学的な趣味』」などと語っているようですが、「かしこくも」の一言だって、よくよく検討すれば憲法問題にかかわりかねない、際どい表現である可能性が高い。そういう「スパイス」を至る所にちりばめながら、麻生政権は普段投票所に行かない人々の関心を、微妙にひきつけ続けています。 」(日経ビジネス オンライン)




日経ビジネス オンライン [nbonline@nikkeibp.co.jp]
2008年9月30日 火曜日  

【伊東 乾の「常識の源流探訪」】

中山前国交相の「情報自爆テロ」?
選挙日程コントロールに振り回されないために

 中山成彬・前国土交通相の「暴言」問題が世間を騒がせています。着任5日目での辞任は竹下登改造内閣の長谷川峻法相に次いで歴代2番の短さとのこと。後任には古賀派の金子一義・元行革相が就任し、マスコミでは「麻生内閣には明らかにマイナス」という論調が大勢を占めています。

 が、本当にそればかりでしょうか?

 もちろん間違いないところで、国土交通行政という観点からは明らかにマイナスでしょう。省内からも「なんだったんだ…」という声が上がっているようですし、結局1週間ほど、完全に役所は空転せざるを得ない。確かに行政の観点からは褒められたことは一つもありません。

 でもパワーゲームのポリティクスという観点からはどうでしょう? ちょっとうがった見方かもしれませんが、一寸先は闇の政治の世界のこと、必ずしも今回のケース、賽の目が吉と出るか凶と出るか、分からないような気がするのです。


情報自爆テロの可能性

 中山前国交相が成田空港問題に関連して「ごね得」と発言したり、「日本は単一民族」どと発言した当初、それがどの程度意図的だったか、あるいは本当に失言だったのかは、よくわかりません。所詮は選挙管理内閣、という軽口だった可能性もあるでしょう。

 しかし、与党側からすら「かばいきれない」という声が上がるにつれ、中山氏の発言は明確に意図を帯びてきます。

 27日、宮崎市で後援者から、選挙前のことだからくれぐれも失言に注意を、と言われた直後に「ガンの日教組をぶっ潰す」などと発言したのは、明らかに故意によるものと見えました。実際28日の記者会見でも「確信的にあえて申し上げた」と言い、29日にはテレビ出演して「持論」を展開し続けています。政治家が意図する時、自分のマイナスになることは決してしません。報道は市民の声として「あんな人物をどうして大臣にした?」と中山氏の不見識を責める意見を多数報道していますが、これを情報=インテリジェンスの観点から見るならば、それだけではない、もっと別の計算が途中から働いている可能性が考えられます。

 テレビで中山氏は、以前日教組の問題をいくら刺激的に発言しても、報じられることがなかった、として

 「いずれこういう番組に出してもらえることになるのではと思っていた。よく呼んでくれた。自分の信条を聞いてもらうために神様が導いてくれたんではないかと思う」

と話し、すでに誰も手がつけられない状態になっているようです。

 報道では「反省の色なし」といった表現ばかり目にしますが、あえて言うなら、中山前国交相は「情報の自爆テロ」を決行しているわけで、実際にメディアをジャックすることには成功したわけだし、実際その効果はてきめんに上がっている可能性があります。

 「麻生支持層」が多いとされるネットワーク上では「2チャンネル」などに圧倒的な「中山支持」の声も出ている。

 もし政治不信層の「潜在ネット右翼」数百万票を引っ張れたなら、この特攻、たいした成果になっているのかもしれません。


メディアジャックの第二幕?

 9月22日の自民党総裁選という「メディアジャック」は、後半になると多くの国民にシラけムードで受け止められていましたが、中山氏の発言は大変にホットな反応を呼び起こしました。なんであれ耳目が集まってしまった。ここで与党側に立って広告代理店的に思考するなら、これを「メディアジャックの第二幕」と位置づけて、すべての向かい風を追い風に変えるよう、次の一手を考えるのが定石です。

 逆に野党側はどうか、と見るなら民主党の鳩山由紀夫幹事長は26日午前の時点で「撤回して済むものじゃない。野党共闘の中で首相に対し罷免要求する」と強調し、社民党の福島瑞穂党首も「とんでもない人が閣僚になった。首相の任命責任も重い」と述べています。野党としては確かにここは攻めどころでしょう。でも、ここを攻めることにばかり気を取られていてよいのでしょうか? 将棋でも囲碁でも、誘う手には裏があるもの。ここで野党がヒートアップしすぎることは、与党も当然織り込み済みでしょう。

 注意しなければならないのは総選挙日程にほかなりません。

 先週までの状況では、内外の経済不安を念頭に、10月6日からの補正予算審議は不可避、と見られていたわけですが、今回の「自爆」でそうした空気がふっ飛ばされてしまった可能性があります。

 だとすれば、早めの選挙日程を目論む勢力には、大きな追い風になっている。中山発言自体は補正予算の内容と一切無関係なものです。

 それが、予算成立という本来の至上命題を放り投げて「冒頭解散」にこぎつける起爆剤として機能するなら(麻生政権としてはシナリオ外だったかもしれませんが)この自爆攻撃はかなりなインパクトを持ったことになります。

「御名御璽」の選挙対策所信表明

 そもそも、当初見込まれていたのは10月総選挙でした。ところが米国金融不安など諸般の状況から11月にずれ込む可能性が濃厚になってきた。中山発言以前、最も有力な日程として「10月21日公示、11月2日投開票」が挙げられて、臨時国会で景気対策の補正予算成立を優先したい麻生太郎首相の意向を反映するもの、とされていましたが、景気対策など後手に回しても早期解散選挙がポリティクス上有利と考える人があれば、中山爆弾炸裂は大変上首尾だった可能性があります。

 ちなみにこの11月2日という日程は、米国大統領選挙の11月4日とあまりに近すぎることを自民党側は懸念していました。

 米国の民主党と日本の民主党、名前が重なっているだけで直接の政策関係などはまったく存在しないけれど、もしオバマ候補が勝利すれば、「チェンジムード」に流されて、国民の大半を占める無党派層が民主党に流れるのは目に見えています。

 中山発言後、与党内では

* 予算委員会での野党側の厳しい追及を避けるために、各党の代表質問が終了する10月3日の衆院解散を求める意見

と逆に

* こんな状況ではとても選挙は戦えない、まだ任期は1年あるのだから、全面的に体勢を建て直してからの選挙を望む意見

の双方が上がっています。公明党はそうそうに11月2日選挙で動いているようですが、自民党内には動揺が見られます。

 これはあり得ないことですが、臨時国会が中途半端に推移して、もし「10月28日公示、11月9日投開票」などという日程を組んだとしましょう。さらに米国でオバマ民主党大統領など成立した日には、自民党の大敗と政権喪失は火を見るより明らかになる。

 もし議事を引き伸ばすのであれば、むしろ民主党に「頑張ってもらって」、米国大統領選挙の勝敗も見え、十分に自民有利な状況に持ち込んでから総選挙に打って出たいことになるかもしれません。

 ここで重要なのは、どちらの観点から見ても、中山発言は一定の役割を果たすコマになっている事実です。

 目の前にあるものを、どうやって権謀術数の上で有利に読み替えて使い倒すか、それがリアル・ポリティクスというものでしょう。そしてある時期以後、中山氏は明らかに、わざとやっている。長年望んでも出してもらえなかった、テレビメディアにも呼んでもらい「神様」など引き合いに出しながら、全国区で「信念を貫く」とぶち上げ続けています。次の選挙に備えるところにもブレはありません。

 野党側は麻生氏の任命責任を問うと言うけれど、麻生氏自身は28日の時点で「こころからお詫びする」とテレビではやたらに神妙、中山発言はネット右翼に面白がられる始末で、決してマイナス要因ばかりではないかも知れません。

 さらに、中山氏が「神様」などと発言した29日、麻生氏も所信表明演説を「かしこくも御名御璽をいただき…」という「麻生語」で始めるロールプレイングを行っています。

 首相周辺は「秘書官が手の入れようのない『文学的な趣味』」などと語っているようですが、「かしこくも」の一言だって、よくよく検討すれば憲法問題にかかわりかねない、際どい表現である可能性が高い。そういう「スパイス」を至る所にちりばめながら、麻生政権は普段投票所に行かない人々の関心を、微妙にひきつけ続けています。

 この「御名御璽」所信はさらに、前代未聞の「民主党への質問だらけ」の「選挙対策用」所信表明になっている。

 攻撃は最大の防御という言葉もありますが、政権担当者というよりは野党のような舌鋒と「御名御璽」がセットになっているのは、中山氏が「神様」に後押しされて日教組を攻撃しているのに近いものが感ぜられます。


同じ前提で正反対の結論を導くインテリジェンス

 何であれ、同じ「中山発言」が、景気対策すらふっとばす「早期解散の理由」にもなれば、解散時期を遅らせる言い訳にも使える。

 畏友・佐藤優は「同じ前提から正反対の結論を引き出せるのが神学とインテリジェンス」と述べていますが、「中山発言という出来事」を、その時々の風向きを見ながら選挙日程をコントロールする、国民にインパクトの強い「情報」として使えることが重要でしょう。

 本当に国民に見られたくない争点がどこかに消えてしまいますから、もしかすると「中山暴言爆弾」はどこかでは金鵄勲章モノなのかもしれません。


「安全な爆弾」による自爆?

 当初の「ごね得」発言などは偶然かもしれませんが、26日以後の中山前国交相は、一部の議論(日教組)関連で、あえて「傷口を広げる」ような発言を繰り返し、ネットなどでは「親父の不見識」などと扱き下ろされています。しかし、すでに文相も2年ほど務めている彼は、そんなに甘口な人物なのでしょうか?

 中山氏はラサール高校―東京大学法学部―大蔵省東海財務局理財部長などを経て大蔵大臣官房企画官まで上ってから政界入りした経歴を持っています。

 さらに、大蔵省の同期で3つ年上の姉さん女房、中山恭子参議院議員と、夫婦そろって「超高級官僚→閣僚」という中山氏です。多くの報道は「失言」といいますが、いよいよもって確信犯でロールプレイをしていると考えたほうが、彼のパフォーマンスは読み解きやすいのではないでしょうか?

 麻生氏自身が「長年官僚の経験を持つ人の発言としては通常考えられない」と言っているように、通常では考えられないことは「あえて」やっている可能性が高い。そう冷静に読むほうが、判断を誤らないのではないでしょうか。

 夫婦そろって大蔵官僚時代から、ありとあらゆる腹芸も知っているはずの中山氏です。必要とあれば、政治家の前で土下座もするというのが腰の据わった官僚というもの。不惑近くまで大蔵省の裏も表も見、自分が政界転出したあと妻は大蔵省初の女性課長、女性局長を経て大臣官房参事官兼大臣官房審議官、というのが、中山夫妻の現実の姿です。

 当選6回、65歳にもなる成彬氏、仮に失言癖があるとしても、一度発してしまった自分の言葉を、あとからどのように使ってゆくかは、すべて計算づくと考えるほうが賢明でしょう。

 実際、金子一義氏が29日午前、皇居での認証式を済ませて国交相に就任するのと同時に、麻生首相は中山恭子氏に「首相補佐官(拉致問題担当)」に辞令を交付しています。安倍、福田内閣で拉致問題相だった恭子氏は新政権発足に際して退任していたが、「拉致被害者家族の信頼が厚いため」補佐官に復帰したものです。

 理屈を厳密に立てれば、夫婦とはいえ両議員は別人格、ということになるでしょう。しかしそれにしてもこのタイミングです。むしろ紐帯の太さを印象付けられた人も少なくないのではないでしょうか?

 さて、ここまで出来試合の中で、ダンナのほうの中山成彬議員を

 「あんな人物を」「愚かだ」「大臣どころか議員失格」などと一般受けしそうな文句で攻撃しても、本当の狙いが見えなくなるだけで、建設的だとはまったく思えません。

 28日「辞任の決意をしたのはいつ?」との記者の問いには答えを淀ませながら、一転して日教組批判となると、中山氏は声が一段高くなって「持論」を繰り返します。

 この「持論」、いまや辞めると決まった国交省関連には無関係で、現実の政治日程とも関連が薄く、かつ野党が効果的に騒いでくれる「安全な爆弾」でもあります。

 「肉弾三勇士」ならぬ「煙幕爆弾」を持って擬似特攻でメディアの前線に躍り出た、というのが、中山氏の行動を一番冷静に見たとき浮かび上がってくる実像ではないでしょうか? 情報メディア上に炊かれた「煙幕」にごまかされるべきではありません。

 閣僚が2人にとどまった町村派からの「自爆テロ」という観測もあるようで、実際、後任も古賀派の金子氏に持って行かれました。が、なににせよ中山氏に計算があるのは間違いありません。(もっともその計算が、彼個人の今後の政治生命に有利に働くかどうかはわかりませんが)。

 ちなみにこの「安全な爆弾」の核弾頭「日教組が強いと学力が低い」について、大阪府の橋下徹知事が「なかなか本質を突いている」と擁護の発言をしています。メディアを意識的に利用し、財政再建を旗印に当選した地方公共団体の長と、「神様」のおかげでメディアで「持論」を展開する議員、そして「景気浮揚が一番」を掲げる麻生内閣のねじれた関係も微妙に気にかかるところです。


米大統領選でのスタンドプレーとハズシ

 ここで米国に目を転じると、最末期のブッシュJr.大統領が24日にテレビ演説で「市場が機能不全に陥っている」と発言し、翌25日ワシントン・ミューチュアルが米国史上、過去最大規模で破綻しています。

 同日オバマ、マケイン両候補をホワイトハウスに招き金融安定化策への協力を求めますが、融和的に振る舞うオバマ氏に対してマケイン氏は独自の救済策を振り回すスタンドプレーに出ました。揚げ句26日のテレビ討論会への欠席を通告したものの、世論は冷たく、オバマ候補からすら「大統領選を安定化策の交渉に持ち込むべきでない」とクギを刺されてしまった。狙いは完全に「ハズレ」となり、結局翌日のテレビ討論会に出てくることになったのはご案内の通りです。

 このコラム、元来の予定では米大統領選のテレビ討論会に即して、米国の「外交政策」が実は国内の「景気浮揚策」にもなっているあたりからお話しする予定でした。が、そこに飛び込んできた中山氏の一件。ここで、米国でのマケイン氏の振る舞いと、日本の中山氏の振る舞いを直接比較するのは乱暴ですが、なんらかの計算でわざわざ傷口を大きくするような行動に出、狙いが当たったり外れたりする、というあたりでは、通じるものがあるかもしれません。


情報テロに撹乱されない有権者の見識を

 話をもとに戻しましょう。「不慣れ」な国土交通行政、と本人も言っているようですが、今回のことで中山氏が失うものは今のところ限られています。

 それどころか、開き直ったことでこれからの選挙戦、「右派の論客でリーダー」という役回りを、確実に手にすることが出来、今後選挙にかけての時期、「あの中山氏が…」と報道に取り上げられる頻度も確実に上がるでしょう。

 彼としては一貫して「毅然としたパフォーマンス」を続けることが肝要なはずです。

 そして選挙にさえ勝てば「ミソギ」が成立しますから、勝てば官軍ということになる。官僚政治家らしく自民党内からの反発などはどうにでもなると踏んでいるのかもしれません。

 物事がどちらに転がるかはわかりませんが、中山氏が「神様」に感謝しながら、意図的に「持論」をメディア上で増幅させている事実は、もっと冷静に捉えたほうがよいものです。

 そもそも、「一大臣の失言」という現象は、金融不安などグローバルな経済対策などとは一切無関係の「コップの中の嵐」で、それが政治日程に過大な影響を及ぼし、日本の舵取りを誤るようなことになっては、元も子もありません。

 わざと発言するようになった中山氏の一言一句は出来るだけ間引いて、目下喫緊の課題に政府が正しく対処できることが本来もっとも重要なはずです。

 「こどもの学力低下と日教組」に関する中山氏の「持論」は別に論じる必要があるかもしれませんが、少なくとも景気浮揚を考える上で主要な主題でないことだけはハッキリしています。そこを見間違えてはいけません。野党もピントの外れた攻撃に終始すれば、物事の要諦を見失うでしょう。

 オバマ氏の「大統領選を安定化策の交渉に持ち込むべきでない」という表現になぞらえるなら「総選挙の計算を補正予算向けの交渉に持ち込むべきでない」はずです。

 が、実際にこの国では政策日程をえんえんストップさせたまま、選挙向けにポリティクスの駆け引きに終始することが「政治」と称してまかり通っている。各種評論家もそのレベルで物事を捉えるにとどまるケースが多く、国民の過半数は一貫してシラけているという、日本のもっとも重篤な病を見ないわけには行きません。

 前回「無党派層」がメディアで大きく揺さぶられる衆愚政治状況に触れましたが、民主主義における「民意」とは、その目の高さ、リテラシーの堅実さによってのみ支えられるもの。

 選挙で問われるはずの「民意」が、メディア陽動で乱高下している現実は、過不足なくすでに「末期症状」を呈しているといえるものです。

 「情報」ないし「広告代理店的」な観点で見るとき、私たち有権者が、濫発される撹乱情報に振り回されないのが、この国にとって一番大切だと思います。

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伊東 乾の「常識の源流探訪」
私たちが常識として受け入れていること。その常識はなぜ生まれたのか、生まれる必然があったのかを、ほとんどの人は考えたことがないに違いない。しかし、そのルーツには意外な真実が隠れていることが多い。著名な音楽家として、また東京大学の助教授として世界中に知己の多い伊東乾氏が、その人脈によって得られた価値ある情報を基に、常識の源流を解き明かす。

伊東 乾(いとう・けん)
1965年生まれ。東京大学大学院物理学科博士課程中退、同総合文化研究科博士課程修了。松村禎三、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズらに学ぶ。2000年より東京大学大学院情報学環助教授(作曲=指揮・情報詩学研究室)、2007年より同准教授、東京藝術大学講師。基礎研究と演奏創作、教育を横断するプロジェクトを推進。『さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生』(集英社)でオウムのサリン散布実行犯豊田亨の入信や死刑求刑にいたる過程を克明に描き、第4回開高健ノンフィクション賞受賞。メディアの観点から科学技術政策や教育、倫理の問題にも深い関心を寄せる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)『知識・構造化ミッション』(日経BP)など。

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2008-09-30(Tue)

金子国交相 就任会見 選挙運動してたって

中山大臣のあとだからこそ、国交大臣の仕事 きちんとしてや

とんでもない発言おじさんの後を受け、発言には気を遣ってたみたいだ。
緊張しすぎて、つい選挙運動してたと言って、すぐ取り消した。
公職選挙法で事前運動は禁止されているから、とんでもない発言になるところだった。

それでも、短命な内閣といえども、前任が中山氏だけに注目される大臣だ。
今回は、似顔絵書いてる余裕はないだろうけど・・・。



日経新聞 2008年9月30日
道路予算、3%減が基本 金子国交相
 前任者が失言で辞任し急きょ登板した金子一義国土交通相は29日、就任後初の記者会見に臨んだ。道路予算では「道路特定財源を一般財源化するがゆえに減るとか増えるとかの話ではない」と述べ、一般財源化する2009年度以降の道路予算は他の公共事業と同様、シーリングによる前年度比3%削減が基本との認識を示した。
 同省は「10年間で59兆円」という道路整備の中期計画の見直しを進めている。金子国交相は年3%削減を実現するため「道路財源は少しでも有効に使われるようにする」と今の道路整備計画の無駄を削ることに意欲を示した。見直し対象には「国道と農道」「高速道路と国道」など道路が並行して走る計画を挙げた。ただ具体的にどの地域のどの計画が無駄なのかは明言しなかった。
 金子国交相は抱負として「国交省は予算の無駄遣いが多いと批判を受けている。徹底して見直しながら安心・安全の確保など国交省の役割を果たしたい」と述べた。(29日 23:01)

時事通信(2008/09/29-20:16)
失言繰り返せない=中山氏発言を陳謝-金子国交相が就任会見
 金子一義国土交通相は29日の就任会見で、前任の中山成彬氏が成田空港の反対派闘争を「ごね得」と述べるなど失言で辞任したことについて、「不適切な発言。大臣が頻繁に替わるのは国民に申し訳ないので、失言は繰り返せない」と改めて陳謝した。その上で、「(地域との信頼)関係が損なわれないようにしたい」と語り、失言によって反発を招いた空港周辺地域との関係修復に前向きな姿勢を見せた。 
 道路特定財源の見直し論議の関連では、「地域に必要な道路を造る枠組みをどうつくるかが大事」と述べ、地方の道路整備の必要性を強調。蒲島郁夫熊本県知事が中止を求めた国営川辺川ダムについては、「反対の中身を聞きたい」と知事と面談する意向を示したが、ダム建設の是非は明言を避けた。
 金子国交相は失言をしてはいけないとの思いからか緊張気味で、麻生太郎首相の就任要請を受けた経緯を説明する際、「(地元の下呂温泉で)選挙運動でしゃべっていた」と、公職選挙法で禁じる事前運動と受け取れる発言をし、すぐに「政治活動」と言い直す一幕もあった。(了)
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2008-09-29(Mon)

河川行政の転換を 改正河川法の再改正 住民本位に

川辺川ダム白紙撤回、淀川ダム不適切 知事、諮問機関の意見尊重すべき

熊本県知事が川辺川ダムの白紙撤回を表明。
淀川水系流域委員会が淀川4ダム不適切・見直し最終意見。

河川行政・河川整備計画のあり方を根本的に見直すべき“とき”が来ている。
「ダム建設ありき」は、もう通用しない。

もともと97年の改正河川法の趣旨を、国交省が形骸化してきたことが根っこにある。

いまこそ、河川法を再改正し、もともとの趣旨を徹底すべきだ。



週刊東洋経済- 08/09/27 | 16:00

諮問機関の「ノー」を覆す、ダム論争で露呈した河川行政“復古”の歪み

 諮問機関の「ノー」に河川行政が“宣戦布告”――。関西を舞台に河川整備のあり方をめぐり、官と民が真っ向から対立している。

 発端は2007年8月、国土交通省近畿地方整備局(近畿地整)が大戸川ダム、川上ダムなど淀川水系4ダムの建設・再開発を盛り込んだ河川整備計画原案(原案)を策定したこと。原案は、民間人だけからなる諮問機関の淀川水系流域委員会(淀川流域委員会)がそれまでにまとめた「原則ダム中止」の意見とは正反対の内容だった。とりわけ、大戸川ダムに関しては、05年に近畿地整自らが「5ダム方針」で打ち出した建設凍結を引っ繰り返す180度の方針転換となった。

 しかも、07年8月に発足した第三次淀川流域委員会(宮本博司委員長)は、今年4月に「現時点でのダム建設不適切」「原案の見直し・再提出を求める」中間意見書をまとめている。にもかかわらず、近畿地整は原案どおり4ダム建設をうたう河川整備計画案をこの6月に第定、7月には関係府県知事に提示したのである。

進む行政の河川法形骸化

 1997年の河川法改正のポイントは、第1条で法の目的に、従来の治水・利水のみならず、「河川環境の整備・保全」を加え、第16条で河川整備計画案策定に際しては、「住民」や「学識経験者」などの意見を聞く規定を別項を設けている点にある。90年代、環境重視や地域の意見を反映した河川行政への転換を訴える長良川河口堰建設反対運動などが高揚し、河川行政は立ち往生。法改正にもその声が反映された。

 だが、時が経つにつれて、河川行政はその立法精神を骨抜きする方向への“逆流”を強めている。

 利根川、淀川など大きな河川水系ごとに学識経験者を集めて設ける諮問機関「流域委員会」の形骸化がその一例だ。流域委員会は不十分な審議で行政の決めたことを追認するだけの機関だとの批判は絶えない。流域委員会そのものが開かれない地域も少なくない。

 淀川流域委員会はその中で希有な存在だ。審議、意見取りまとめを民で自主的に行う。地域住民が会場に入り、質問・意見書提出も自由。原則公開の議事内容は誰でも見られる。「学識経験者」を拡大解釈して、住民を委員に参画させるなど独自性も発揮。これが委員会の議論や意見に広がりをもたらしている。

 取り組みの先進性から「淀川モデル」と高く評価される、その淀川流域委員会が度重なる真剣な審議を経て下した意見を、近畿地整が今回無造作に無視したことで、国交省の根本姿勢への疑念は膨らむ一方だ。

 改正のもう一つの目玉、治水・利水優先から「環境の整備」も満たす河川行政への転換だった。この面でも行政に合格点は与えられない。

 淀川流域委員会の主張は、仮にダムに治水効果があるにしても、「河川堤防の強化や土地利用なども含む流域対応」などダムなしの別オプションで代替できないか、ダム建設案と比較検討するのが不可欠というもの。その点でデータ提供や説明が不足しており、現時点で住民を納得させるだけのダム建設の緊急性・必要性を認められないから“原案差し戻し”と委員会は判断したわけだ。

 河水の浸透・浸食や大洪水に対して、委員会は国交省側が保証する一定水位(計画高水)より高い水位分で堤防の整備・安全性を要求している。これに対し、近畿地整は計画高水までの堤防の安全性は保証するが、それ以上の高さの堤防部位の強化や耐越水堤防は現状の技術では困難であることを挙げ、今回の整備計画に盛り込むことを拒否している。

 耐越水堤防整備にかかる事業費は最大3650億円、期間は最長195年との試算も委員会側の要求を受けて出したが、「(技術上)あてにできないことにあえて費用を算出した」という言い方からは近畿地整の不誠実さが感じられる。過大な数値を出しているのではとの疑問がぬぐえない。

 河川整備のありよう次第で実際に恩恵も被害も受けるのは地域住民。その住民が納得のうえ河川整備のメニューを選択できるようにするためには、今回の例でいえば学識者の集う委員会に堤防強化の技術可能性やその費用に関する十分なデータを提供し、住民公開の下で検証できるようにすることだ。それが国交省の責務にほかならないが、言動からその責任感はいかにも薄弱に映る。

名物3知事が最後の関門

 残る関門は、周辺府県知事の意見聴取のみである。合同意見書提出で合意した嘉田由紀子・滋賀県知事、橋下徹・大阪府知事、山田啓二・京都府知事の3知事の動きが今後の焦点だ。「ダムの必要性が納得できたわけではない」(嘉田知事)。知事たちの発言内容などからは、すんなり計画案承認となるかはいまだやぶの中。

 近畿地整は知事の意見にかかわらず、計画を推し進める姿勢もちらつかす。現行河川法での最終決定権は確かに国交相にあり、法的に強行は可能だが、流域委員会に続き、影響力の強い3知事が反対となれば、地域世論という別の力学も働く。

 そもそも根本に立ち返って、痛みや恩恵も被る流域地域でない国が河川整備を決めることの是非を考える必要がある。河川法では一級河川と二級河川に分けて、二級河川の河川運用者(整備計画決定権を持つ)は都道府県に委ねている。一級河川は上流・中流・下流など都道府県・市町村の利害調整があり、河川運用者としての国にそこを委ねているが、河川法改正の趣旨をないがしろにし、国交省が住民意思の反映を形骸化し続けるならば、その抜本的是正が必要になってくる。

 一つの提案は、河川法の改正だ。07年7月に日本弁護士連合会が出した河川法改正の提言の柱には、「河川流域委員会」の強化が据えられた。学識経験者に地域住民をもメンバーに加えた法定の常設的協議会と位置づけ、河川整備計画の方向性を左右する河川整備基本方針に関しても河川運用者に意見を述べる。「河川運用者は流域委員会の意見を尊重するものとする」との条文を設け、その権限を強化する内容だ。さらに付け加えれば、国交省から必要と思うデータや内部文書を強制提出させる権限の委員会への付与も不可欠だ。

 もう一つの提案は、一級河川の管理権限を地方に下ろすこと。現実的には広域調整機能の点で橋下府知事も言う道州制と同時に議論すべきかもしれない。ただ、自分たちの河川にダムが必要か、別の整備メニューを選ぶかは、地域住民自らが決めるのがふさわしい。

 地方議会で、専門家や住民の声を入れながら侃々諤々(かんかんがくがく)審議して決めればいい。地域の議会・首長の選挙争点にもなる。お役所のサボタージュによって現行法の運用では地域の本当の声が反映できないようならば、これも中期的に真剣に検討すべきテーマとなるだろう。

(大西富士男 =週刊東洋経済)


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2008-09-28(Sun)

恥ずかしい辞任劇 麻生内閣の程度知れてる

こんな大臣 選んだ者の責任こそ問うべき

コメントするのもあほらしい!


(2008年9月27日22時28分 読売新聞)

中山国交相が辞任へ、「ごね得」発言で引責

27日夕、記者の質問に答える中山国交相=中村光一撮影 中山成彬国土交通相(65)は27日、成田空港拡張への反対を「ごね得」などとした自らの発言による問題の責任を取り、閣僚を辞任する意向を固めた。

 28日に麻生首相に辞表を提出する。首相も受理する見通しだ。与党は次期衆院選について、11月2日投開票の日程で準備を進めており、24日に発足したばかりの麻生政権にとって、手痛い打撃となる。

 中山氏は27日、地元・宮崎市での自民党宮崎県連の会合で発言の真意を説明、「ごね得」の表現と、「日本は単一民族」との発言は「言葉足らずで不愉快な思いをさせた」と陳謝した。一方で、「日教組が強いところが学力が低い」との発言は撤回せず、「日教組を解体しないといけないと思っている。(日教組を)ぶっ壊す運動をしたい」と発言した。会合後も、記者団に、「日本の教育のがんは日教組だと思っている」と強調、自らの進退について、「国会審議に影響があれば、(ポストに)しがみついているつもりはないが、推移を見守りたい」と述べた。同日夕には東京・羽田空港で記者団に、「出処進退は自分で決める。今晩、女房(中山恭子・首相補佐官)と相談する」と語った。

 首相は27日、首相官邸で河村官房長官と会談し、対応を協議した。この結果、河村氏が28日午前、中山氏を首相官邸に呼び、一連の発言の真意を聞くことになった。中山氏は28日午前に首相官邸で開かれる臨時閣議の前に首相と会い、辞表を提出すると見られる。

 中山氏が辞意を固めたのは、一連の発言を巡る問題が国会運営の混乱要因となり、その後の衆院解散・総選挙にも影響を与える可能性が大きいとして、与党内に早期辞任を求める声が強まったためだ。公明党の山口政調会長は27日のTBSテレビの番組で、「とんでもない発言だ」と中山氏を批判した。一方、民主党の小沢代表は27日、中山氏の発言について、「非常に不見識で軽率な、偏った発言だ。大臣の責任は任命権者の責任とイコールの問題だ」と述べ、首相の任命責任を追及する考えを示した。
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2008-09-27(Sat)

談合企業 処分後に献金受け取る 中山国交相 ・・・また日教組批判

自分のこと棚に上げ 人権無視発言 呆れた輩 議員の資格もなし

中山氏「がんの日教組ぶっ壊す」 再び批判発言

昨日は、大臣を辞めろと書いたが、それでは生ぬるいこよが判明した。
談合で排除勧告受け、指名停止処分をうけた企業から、献金を受けていた。
それも処分の後にだ。

国交大臣になってはいけないどころか、国会議員としての資格に関わる問題だ。
即刻、議員辞職すべきだ。

反省なく、バカ発言したようだ。(追加)
日教組どうのこうのというより、憲法守るべき立場にいる国務大臣というのがわかってない。
あきれる! 麻生政権の象徴だ。しばらくやめずにバカぶりをさらしたらいいかも。

“三バカ”発言についての続報を紹介する。





(2008年9月27日12時13分 読売新聞)
中山国交相の自民支部、談合企業から72万円の献金
麻生内閣
 中山国土交通相が支部長を務める自民党宮崎県第1選挙区支部が、国交省などが発注した公共工事で談合したとして摘発された2社から計72万円の献金を受けていたことがわかった。
 同支部の2005年、06年の政治資金収支報告書によると、造船会社「サノヤス・ヒシノ明昌」(大阪市)が05年と06年に計48万円を、車両メーカー「日本車輌製造」(名古屋市)が05年に24万円をそれぞれ献金していた。
 両社はいずれも国交省と旧日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事で談合したとして、05年に公正取引委員会から排除勧告を受けた。


NHK 9月27日 18時32分
成田空港の整備や日教組=日本教職員組合をめぐる発言などで、野党などから批判を受けている中山国土交通大臣は27日、宮崎市で開かれた自民党の会合で、日教組は道徳教育に反対しているなどとして、「何とか解体しなければならない」と発言しました。このあと中山大臣は、野党が辞任などを求めていることについて記者団に対し、「絶対に辞めないと、しがみついているつもりはないが、推移を見守りたい」と述べました。

中山国土交通大臣は25日、一部の報道各社とのインタビューで、成田空港の整備が遅れていることをめぐり、「ごね得というか戦後教育が悪かった」と発言したほか、大分県の教員採用試験問題を例にあげながら、「日教組の子どもは成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」などと発言しました。このあと、中山大臣は、こうした発言を撤回したうえで陳謝しましたが、野党などは、辞任や罷免を求めています。こうしたなか、中山国土交通大臣は27日、宮崎市で開かれた自民党の会合で、「日教組の一部の人たちが考えられない行動をとっている。教育基本法の改正のときには、日教組の先生が国会を取り巻いていた。何より問題なのは、道徳教育に反対していることだ。日教組は何とか解体しないといけない。わたしはこの運動の先頭に立ちたい」と述べました。このあと、中山大臣は記者団に対し、25日の日教組をめぐる発言について、「撤回していない。日教組は日本の教育のがんだ」などと述べました。一方、中山大臣は、野党が辞任などを求めていることについて、「国会審議に影響があるなら、地位にきゅうきゅうとしているわけではない。絶対に辞めないと、しがみついているつもりはないが、推移を見守りたい」と述べました。

2008/09/27 17:36 【共同通信】
中山氏「がんの日教組ぶっ壊す」 再び批判発言
 中山成彬国土交通相は27日午後、宮崎市内で記者団に「日本の教育の『がん』である日教組(日本教職員組合)をぶっ壊すために、私が頭になる」と述べた。これに先立ち、自民党宮崎県連の会合で行った「日教組は解体しなきゃいかんと思っているところだ」という発言の真意として説明した。
 会合のあいさつで中山氏は「日教組については言いたいことがある。国旗国歌についても教えない。何よりの問題は道徳教育に反対していることだ」と指摘。2006年の臨時国会での教育基本法改正時に国会周辺で反対運動があったことを例に挙げ「日教組の一部の方々は、考えられないような行動を取っている」と語った。
 中山氏は25日、共同通信社など報道各社とのインタビューで、大分県の教員汚職事件に言及、日教組と絡め「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」と話した。


毎日新聞 2008年9月26日 22時09分(最終更新 9月27日 0時05分)
中山国交相:発言に抗議相次ぐ 「大臣の資質疑う」
堂本暁子千葉県知事との面会後、会見する中山成彬国土交通相=東京都千代田区の国交省で2008年9月26日午後5時58分、木葉健二撮影
 「ごね得」「日教組」「単一民族」。成田空港整備や日教組などを巡る中山成彬国土交通相の「失言3連発」が波紋を広げている。国交省には26日、関係者からの抗議が相次ぎ、新任国交相は何度も頭を下げた。「何が目的であんなことを言うのか」。歴史的経緯や基本的な事実関係を無視した発言に、大臣としての資質を問う声が上がっている。【柳澤一男、三木陽介、高山純二】
●成田問題
 成田空港整備に関して地元に「ごね得」があったとの発言。暫定平行滑走路南端の未買収地(千葉県成田市東峰)の地権者で、漬物会社社長の平野靖識さん(63)は「地域の異議申し立てがあったからこそ(一部地権者と国などが話し合った)円卓会議にこぎ着けた。歴史をきちんと調べたうえで発言すべきだ」と語気を強めた。
 未買収地に住み続ける最大地権者の男性宅の頭上約40メートルには航空機が行き交う。妻(59)は「ここに人が住んでいることも知らないのではないか」とあきれた様子だった。
 中山国交相に直接抗議した千葉県の堂本暁子知事は会見で「ピントのはずれた発言。成田空港を所管する大臣の言葉として、大変驚き、残念に思う」と強い不快感を示した。
 空港南側の芝山町の相川勝重町長は「まったく地域のことを考えない発言で、大臣としての資質を疑う」とあきれ顔だった。
●日教組 
 「日教組の子どもなんて成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低いんだよ」とさんざんな言われようをした日教組と大分県。日教組は26日、幹部が中村譲・中央執行委員長名で「(発言は)なんの根拠も持たない。謝罪と辞任を求める」とする抗議文を手渡しに国交省に出向いた。しかし「大臣の時間がない」と本人との面会を断られた。岡本泰良書記長は怒りをあらわにした。
 大分県教委の小矢文則教育長は県庁で報道陣に「発言についてのコメントは控える」としつつ「事件があった当事者なので、いろいろな批判をいただくことが多いが、払拭するためには成果を出すしかない」と控えめにコメントした。
 文部科学省でも、かつてのトップの失言に困惑の色が広がった。中山国交相は文科相時代の04年に全国学力テスト復活を提案した本人。そのテストの実施目的について「日教組の強いところは学力が低いんじゃないかと思ったから」との発言に、職員は「なぜあんなことを言ったのか分からない」とうめいた。
●単一民族
 「言語道断、論外の発言。歴史認識が戦前と変わっていない」。アイヌ民族で組織する北海道ウタリ協会(札幌市)の秋辺得平副理事長も「単一民族」発言に怒りの声を上げた。6月にアイヌの先住民族認定を政府に求める国会決議が採択されたことに触れ「政府の有識者懇談会も設置され、アイヌ政策が議論されている最中の発言は、大臣失格。麻生首相もこういう身内の発言を許してはいけない。き然とした対応をしてほしい」と求めた。



毎日新聞 2008年9月27日 0時29分
社説:中山発言 任命者の見識も問われる
 中山成彬国土交通相が報道各社のインタビューで、成田空港建設に地元の「ごね得」があったなどと発言した。撤回し陳謝もしたが、それで落着する問題ではない。所管する課題への認識の誤りや甘さは、閣僚の資質を疑わせ、任命した麻生太郎新首相の見識も厳しく問われる。
 成田空港については中山氏はこう発言した。
 「昭和53(1978)年にアメリカから帰ってきた時に着陸したが、1車線(滑走路1本)がずうっと続いて日本とは情けないなあと。ごね得というか戦後教育が悪かったと思うが、公共の精神というか、公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮の中で、なかなか空港拡張もできなかったのは大変残念だった」
 60年代に始まる成田空港建設事業は、反対する地元住民側と先を急ぐ国(旧運輸省)側とが対立し、激しい反対闘争が続いた。政府は「円卓会議」の話し合いなどを経て、95年、強引に事業を進めようとした国側に問題があったことを認め、謝罪した経緯がある。
 政府が「ボタンの掛け違い」の責任を認めたもので、地元が「ごね得」狙いだったといういわれはない。
 「公共の精神のなさ」や「戦後教育の悪さ」がどうこの問題と結びつくのか。その論理は判然とせず、一方的な思い込みと思われる。長年の努力で築かれてきた地元と国交省の信頼関係も突き崩しかねない。
 中山氏は日教組に矛先を向け「日教組の子供は成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」ときめつける。さらに「全国学力テストを提唱したのは日教組の強いところは学力が低いのではないかと思ったから。現にそう。だから学力テスト実施の役目は終わったと思う」と言う。
 中山氏は小泉純一郎内閣で文部科学相を務め、学力テスト実施を唱えた。学力向上の指導が目的だったはずだが、日教組と低学力の関係をみたかったという。いったい何を根拠に因果関係を実証したか。「役目は終わり」とは、毎年数十億円もかけるテストを導入しながらあまりに軽々しく、無責任というほかない。
 また観光政策に関し、日本について「単一民族」という言葉を用い、これも認識の誤りと問題になった。
 中山氏の発言が問題になるのは初めてではないが、麻生首相は熟慮の人選をしたのか。真に「適材適所」だったか。国民の疑問と失望は小さくない。政府は今、同時進行で重要課題を抱え、閣僚は政局にかかわらず全力の職務遂行が求められる。
 短命政権下で短期の閣僚交代が繰り返され、内閣は行政最高機関としての信を問われている。
 首相は各閣僚の問題認識と姿勢を改めて正し、今回のような問題には厳しく対処すべきだ。

朝日新聞 2008年9月27日
社説:中山国交相―首相の門出にこの放言
 晴れの大臣就任で、つい口が滑らかになりすぎたのか。中山成彬国土交通相が、就任2日目の報道機関のインタビューで驚くべき発言を連発した。
 成田空港の整備の遅れにどう対応するかを問われ、中山氏はこう答えた。
 「ごね得というか戦後教育が悪かったと思うが、公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮のなかで空港拡張もできなかった」
 整備が遅れた理由に住民らの反対運動があるのはその通りだ。だが、その背景に、住民らに十分な説明をしないまま機動隊を使って強制的に土地収用を繰り返した政府の重い失政があったことを、いまは政府も認めている。
 そんな政界の常識さえ身につけていないことにあきれる。しかも中山氏は空港行政の最高責任者だ。
 大分県教委の汚職事件については、こう言い放った。「日教組の子供は成績悪くても先生になる。だから大分県の学力は低いんだよ。私がなぜ全国学力テストを提唱したかといえば、日教組の強いところは学力低いんじゃないかと思ったから。現にそうだよ」
 中山氏は文部科学相当時、全国学力調査を導入する旗を振った。その目的を「競い合う心を育てるため」などと説明してきたが、どうやらそれはごまかしだったようだ。
 それにしても、毎年ざっと60億円もの費用がかかる全国学力調査を日教組憎しで導入したというのだから、自民党政権というのは豪儀なものである。
 外国人旅行者をどう増やすかの質問に関連しては、こんな発言もあった。「日本はずいぶん内向きな、単一民族といいますか……」
 わずか3カ月前、アイヌ民族を日本の先住民族として認めるべきだという歴史的な国会決議が全会一致で採択された。国会の総意として、先住民族の名誉と尊厳を守っていこうと誓ったのだが、中山氏は反対だったのか。
 中山氏はこれらの発言を「誤解を招いた」と撤回した。だが、どれも閣僚としてという前に、国会議員としての資質を疑わせる発言である。
 中山氏は文科相時代にも「歴史教科書から従軍慰安婦や強制連行という言葉が減ってきたのは本当によかった」「そもそも従軍慰安婦という言葉はなかった」などの発言を連発した。
 そんな中山氏を閣僚に任命した麻生首相自身、数々の失言で物議をかもした過去を持つ。総裁選の際「いつも寸止めで踏みとどまってきた」と冗談交じりに語ったが、寸止めならいいということではあるまい。
 堂本暁子千葉県知事をはじめ、きのうの国交省は抗議ラッシュの様相だった。内閣支持率は48%。首相が国連で外交デビューを飾ったその日にこの体たらくでは、先が思いやられる。

毎日新聞 2008年9月27日 2時30分(最終更新 9月27日 8時37分)
中山国交相:与党内に更迭論強まる 解散日程にも影響か
堂本暁子千葉県知事との面会後、会見する中山成彬国土交通相=東京都千代田区の国交省で2008年9月26日午後5時58分、木葉健二撮影
 中山成彬(なりあき)国土交通相が、成田空港の拡張が進まなかった原因を「(地元住民の)ごね得」などと発言した問題で、麻生太郎首相が中山氏を更迭するのは不可避との声が26日、与党内で強まった。10月上旬が確実視される衆院解散を前に、民主党など野党4党は中山氏の罷免を求めて攻勢に出ている。内閣を発足させたばかりの麻生首相の任命責任は免れず、解散日程にも影響するとみられる。この問題で26日、堂本暁子千葉県知事とアイヌ民族団体の北海道ウタリ協会の加藤忠理事長らが国交省を訪れ、中山氏に抗議した。
 中山氏は25日、成田空港に関する発言のほか、「日教組の子供は成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」「日本は『単一民族』と言うか、内向きになりがち」と問題発言を続けた。
 麻生首相に近い自民党幹部は26日夜、「野党が多数の参院から中山氏の辞職を求めて問責決議案が出る。放置したら、予算委員会で野党から散々にやられて持たなくなる」と述べ、中山氏を更迭する以外に収拾策はない、との考えを強調した。
 公明党幹部も同日夜、「首相は更迭を迅速に決断すべきだ。すっきりするし、麻生内閣の支持率は逆に上がる」と述べ、中山氏の更迭を強く促した。
 首相は国連総会出席で25日から訪米していたが、27日未明に帰国。政府・与党幹部と発言問題への対応を協議するとみられる。
 堂本知事は26日、小泉一成・成田市長らとともに中山氏と面会。「成田空港は地元住民の協力と関係者の努力で建設された。発言は、今後の空港の整備・運用にも大きな影響を及ぼす」との抗議文を手渡した。
 「日本は単一民族」との発言には、北海道ウタリ協会の加藤理事長が中山氏に抗議した。日教組の高橋睦子副委員長らも国交省を訪れたが、中山氏とは会えず、謝罪と辞任を求める抗議文を事務方に渡した。中山氏は堂本知事とウタリ協会に謝罪後、記者団に「しっかり職務を全うしたい」と述べ、辞任は否定した。【犬飼直幸、太田圭介】
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2008-09-27(Sat)

4ダム「不適切・見直し」 淀川流域委が意見書案決定

流域委員会 最後まで手弁当でがんばる 
国交省は真摯に受け止め、意見を尊重しろ!



淀川水系河川整備計画策定に関する意見書案
平成20年9月27日 淀川水系流域委員会
http://www.yodoriver.org/kaigi/jishkaisai/080927_iin82th/iin82th_ikenshoan.pdf


毎日新聞 2008年9月26日 16時43分(最終更新 9月26日 16時45分)
淀川水系ダム:流域委、27日にも最終意見書案
 国土交通省の諮問機関「淀川水系流域委員会」は27日、京都市で会合を開き、最終意見書案を議論する。中間意見書同様に「国が計画中の4ダムの治水効果は限定的で、建設は不適切」とする方向でまとまりそうだ。流域委は01年に国交省が設置し、河川行政に住民や有識者の意見を反映させるモデルケースとして期待を集めた。だが、今年6月に国がその最終意見を待たず、「見切り発車」でダム建設の計画案を公表。その後の審議を認めず、開催経費を委員が自己負担して開く異例の事態となっている。
 期待を集めた流域委の審議結果を踏まえて04年、国交省近畿地方整備局も「ダム(の建設)は他に実行可能な方法がない場合に、環境影響などを慎重に検討し実施する」との方針を公表していた。
 国交省は昨年8月、ダム建設などの原案を示し流域委に意見を求めた。流域委は今年4月に中間意見書を出し審議していた。ところが同省は今年6月、ダム建設に踏み切る計画案を公表。「意見は聴き終えた」と7月、流域委にダム問題での審議打ち切りを求めた。国はその後、ダム審議に関する委員会の経費を負担しなくなった。
 計画案については今後、滋賀、京都、大阪、三重の各府県知事が国に意見を述べる。流域委は、各知事の参考とし国民一般の理解も得るため、自主審議を続けて最終意見書を公表することを、委員会の席上で正式に決めた。
 7月以降、安い貸し会議室を探し、大学教授ら24人の委員の半数近くが参加して4回の自主会合を開いた。会場代は1回3000円~1万円。委員が500~1000円ずつを負担した。資料は委員が自分で作り、数十部をコピーして持ち寄った。委員には本来、国から手当が出るが、もちろん出ていない。
 今月27日の自主会合は、最終意見書案を議論する。これに先立ち委員長選任のため、同じ所で国の認める正式会合も開く。意見書審議に移ると、国の担当者は退出する予定だ。
 流域委は従来、議事録と資料をすべてホームページに掲載してきた。しかし自主会合は国が正式な活動と認めないため、議事録などは掲載できなくなった。
 前委員長で元国土交通省防災課長の宮本博司さん(55)は「中間意見書では委員会の見解をまとめ切れていない。自主会合を開いてでも最終意見を出す責任がある」と訴えている。
 国交省近畿地方整備局の井上智夫・河川調査官は「国から頼んだのは計画案作りのための意見だ。今の委員会活動はボランティアのようなもの。開催費用も税金で、国がお願いしたことでないと出すわけにいかない」と話している。【野田武】


Kyoto Shimbun 2008年9月27日(土)
4ダム計画「不適切」
淀川委が最終意見案
 国土交通省近畿地方整備局の諮問機関・淀川水系流域委員会は27日、淀川水系河川整備計画策定に向けた最終意見案をまとめた。是非が問われている4ダムは「適切ではない」とあらためて指摘した。任期切れに伴う委員長の選任を行い、新委員長に中村正久・滋賀大教授を選んだ。
 最終意見案は今後、委員の少数意見を付記して近畿地方整備局に提出する。だが、整備局は4月の中間意見で淀川委の意見は聞き終えたとしており、ダム計画は見直さない方針。今後、計画案に意見を述べる流域府県知事の判断にどこまで反映されるかが焦点となる。
 最終意見案では、大戸川(大津市)や天ケ瀬ダム再開発(宇治市)など3ダム計画について、「(治水上の)効果は限定的であり、緊急性は低い」とし、中間意見と同様に「河川整備計画に位置づけることは適切ではない」とした。丹生ダム(滋賀県余呉町)も「必要性、緊急性、環境影響の調査検討が必要」と見直しを求めた。
 ほかに、宇治川や桂川の改修、天ケ瀬ダムと京都府利水、ダムの維持管理など個別の課題について新たに意見を盛り込んだ。
 新委員長の選任で、宮本博司前委員長は「新しい委員長で(整備局との)正常な関係をつくってほしい」として再任を固辞。投票の結果、淀川委発足当初からの委員で滋賀大環境総合研究センター長を務める中村委員を選出した。
 淀川委は4月、4ダム推進は「適切ではない」とする中間意見を提出した。しかし整備局はダムを盛り込んだ河川整備計画案を6月に公表。以降、両者の対立が続き、淀川委は自主的に最終意見をまとめていた。

朝日新聞 2008年9月27日14時24分
4ダム「不適切・見直し」 淀川流域委が意見書案決定
 国土交通省近畿地方整備局の諮問機関、淀川水系流域委員会(24人)は27日、同整備局の淀川水系河川整備計画案に盛り込まれた4ダム建設について、大戸川(だいどがわ)(大津市)▽天ケ瀬(京都府宇治市)▽川上(三重県伊賀市)の3ダムは「適切ではない」、丹生(にう)ダム(滋賀県余呉町)は「見直しを求める」とする最終の意見書案を決定した。
 整備局は計画には反映しない方針だが、「社会的責任がある」として独自に審議を進めてきた。今後、ダム計画の賛否を判断する流域6府県知事にも最終意見書を参考とするよう呼びかけている。
 委員会には16人が出席。一部の委員は「議論がまだ足りない」などと疑問を述べた。これに対し「経費や時間、労力も使っている。形に残るものとして世に出すべきだ」と反論が続出。出席した委員のほとんどが、提示された最終意見書の原案に賛成したため採択した。
 意見書案では、大戸川など3ダムは「淀川などの流量増対策としての効果は限定的で緊急性は低い」として、「河川整備計画に位置づけることは適切ではない」と判断した。丹生ダムは「規模や運用方法が示されておらず、必要性、緊急性、環境影響などの調査検討が必要」と指摘。「計画を見直し、早期に具体的な整備計画を提示することを求める」としている。今後の洪水対策では堤防強化を強く提案している。
 8月で任期切れとなった委員長については、滋賀大環境総合研究センター長の中村正久氏を選んだ。この後、意見書の審議に移ると、整備局側の出席者数人が退席した。井上智夫河川調査官は「これからは整備局が要請した正式な委員会ではなく、任意の自主的な活動なので失礼します」と述べ、席を離れた。
 流域委は97年の河川法改正で河川政策への住民意見の反映をめざし設けられた。淀川水系流域委は01年設置。03年に余野川ダム(大阪府箕面市、計画廃止予定)を含む計5ダムについて「原則建設しない」と提言。今年4月には余野川を除く4ダム計画は「不適切」とする中間意見書を提示した。しかし、整備局は6月にこれを無視し計画案を発表。流域の滋賀、京都、大阪、三重、兵庫、奈良の6府県知事に計画案に意見を求めている。滋賀県の嘉田由紀子知事は6月、知事意見を出す前提として、流域委が最終意見を出す必要があると発言。京都府の山田啓二知事も整備局と流域委の関係正常化を求めていた

朝日新聞 2008年9月27日10時9分
淀川4ダム、改めて「見直しを」 流域委が最終意見書案
 淀川水系の4ダム建設を盛り込んだ国土交通省近畿地方整備局の河川整備計画案について、諮問機関の淀川水系流域委員会(24人)がまとめた最終の意見書案の内容がわかった。大戸川(だいどがわ)(大津市)▽天ケ瀬(京都府宇治市)▽川上(三重県伊賀市)の3ダムは「効果が限定的で緊急性は低い」として、「適切ではない」と指摘。丹生(にう)ダム(滋賀県余呉町)は規模・運用方法が示されておらず、事業を見直し、具体的な計画を早期に提示するよう求めている。
 流域委は27日に京都市内で会合を開いて最終の意見書案について審議する。賛成多数で認められる見通し。整備局は現在、流域の6府県知事に計画案への意見を求めており、影響を与えそうだ。
 最終の意見書案では、整備局に対し「構造物に依存する従来型の河川整備を指向し、硬直的で矛盾をはらんでいる。計画策定には多様な利害が存在するが、調整の仕組みづくりを十分検討していない」と批判。見解の相違点として(1)洪水対策(2)水需要管理(3)環境(4)統合的管理の4点を挙げた。洪水対策では、優先施策として堤防強化の必要性を提案。環境面では、整備局は治水・利水施設が環境に与えるマイナスの影響をコストとして勘案する姿勢が決定的に欠如しているとした。
 河川法では、河川整備計画案を作る前に専門家や住民の意見を聴くように定めている。流域委は4月に、4ダム計画は「不適切」とする中間の意見書を提出したが、整備局はこれを無視し計画案をまとめた。このため、流域委の最終意見書は、整備局が知事意見の聴取後、策定する予定の河川整備計画には反映されない。しかし、流域委は「社会的責任がある」と自主的に審議を進めてきた。
 同整備局の井上智夫河川調査官は「我々が要請していないことを流域委がしている。意見書はほかの一般意見と同様に、参考意見として取り扱う」と話している。(柳谷政人)


産経新聞 2008.9.27 11:51
淀川流域委「3ダムは不適切、見直しを」の意見書案 
 国土交通省近畿地方整備局が策定した淀川水系4ダム建設を含む河川整備計画案に異議を唱え、自主審議を続けてきた諮問機関、淀川水系流域委員会は27日、4ダムのうち、計画が具体化している3ダムを「効果が限定的で不適切」とする最終意見書案を発表した。委員会は「ダム建設よりも脆弱(ぜいじゃく)な堤防の強化を優先的に実施すべきだ」と主張。整備局から計画案への意見を求められている大阪、京都、滋賀などに対して「判断の参考にしてほしい」としている。
 京都市内で開かれた審議には整備局側も出席したが、「委員会の意見はこれまでにすでに聞いた。自主審議は整備局として諮問していない」として、途中退席した。
 意見書案によると、大戸川ダム(滋賀県)、天ケ瀬ダム再開発(京都府)、川上ダム(三重県)は「効果が限定的で緊急性は低い」として「不適切」と指摘した。一方、規模や運用形式の決まっていない丹生ダム(滋賀県)は「必要性や緊急性、環境への影響などの調査検討を行う必要がある」として具体的な計画を早期に示すよう求めた。また、洪水対策についてはダムの代替案として「堤防の強化」を強く主張した。
 国の河川整備をめぐっては、平成9年に河川法が改正され、学識者や住民の意見を反映させるため、河川ごとに流域委員会の設置が義務づけられた。
 淀川流域委は、近畿地方整備局が河川工学や環境などの学識経験者らを集めて13年2月に設置。これまでの3次にわたる委員会はいずれもダム建設を「不適切」とし、「原案を見直し、再提示する」と求めてきたが、整備局は今年6月、委員会の最終意見を待たずに計画案を発表した。しかし委員会側は、「学識者としての社会的責任がある」として、自主的な審議で最終意見をまとめていた。

時事通信(2008/09/27-13:27)
淀川3ダム建設「適切でない」=国交省・流域委が最終意見書案
 国土交通省が策定した淀川水系河川整備計画案について審議している「淀川水系流域委員会」(同省近畿地方整備局の諮問機関)は27日、同計画案に盛り込まれた4ダム中、大戸川ダム(大津市)など3ダムの建設は不適切とする最終意見書案をまとめた。残り1つについても見直しを求めている。
 ただ、同委は4月にも4ダムは不適切とする中間意見書を提示したが、同省近畿地方整備局は4ダム建設などを盛り込んだ整備計画案を6月に発表。今回の意見書案も「流域委が自主的にまとめた」と位置付けており、実際の計画に反映される余地は少ないとみられる。

2008/09/27 12:55 【共同通信】
淀川水系4ダムの建設「不適切」 諮問機関が最終意見書
 淀川水系4ダムの建設見直しを求めている国土交通省近畿地方整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」は27日、京都市内で会合を開き、整備局の河川整備計画案に対し、今年4月の中間意見書と同様に4ダム建設について「効果は限定的で不適切」などとする最終意見書をまとめた。
 整備局は6月、4ダム建設を盛り込んだ淀川水系河川整備計画案を策定。正式な計画決定に向け、流域6府県知事に河川法に基づく意見を求めている。委員会は意見の諮問を受けていないため、最終意見書は計画に直接反映されないが、委員会として各知事の判断に影響を与える狙いもある。
 意見書は、4ダムのうち川上ダム(三重県伊賀市)、大戸川ダム(大津市)、天ケ瀬ダム再開発(京都府宇治市)の3事業について「流量増対策としての効果は限定的で緊急性は低い」と指摘し、計画に位置づけることは適切でないと判断。
 丹生ダム(滋賀県余呉町)には「規模や運用方法が示されておらず、計画を見直し早期に具体的な整備計画案を提示すべきだ」と提言している。



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2008-09-26(Fri)

時代錯誤の土地収用 中山大臣就任祝か?

“ごね得”発言 成田のほかでも強制発動を考えてた

たまたまだろうか?
中山国交大臣が、成田の“ごね得”発言した当日、実際に強制収用手続きが開始された。

国は、成田の教訓をどうとらえているのだろう。
国は、激しい対立を生んだ強権的手法を反省し、用地の取得は、強制手段を用いず、あくまでも話し合いで行うことを地域と約束した。

国民の財産権を強権によって奪取するやり方は、時代遅れもいいとこだ。
それを前提にして、形だけ説明会や話し合いの場をつくっても、住民は納得いくはずはない。

イギリスの公共事業は、地域住民の合意まで何年もかけて話し合うことで、用地買収や工事は短期間で実施されるという。断然、費用も安くあげられるらしい。

“ごね得”などという“お上”的発想で、地域住民に対応すれば、逆効果にしかならない。

こういうやり方も含め見直すべきだが、自公政権では無理。新たな政権のもとで見直そう。




東京新聞 2008年9月26日
【千葉】
外環道で地権者らに説明会 国交省など強制収用も視野に
地権者らを対象にした事業説明会=市川市で

 東京外郭環状道路(外環道)の建設を進める国土交通省首都国道事務所と東日本高速道路関東支社は二十五日、市川、松戸両市の未買収用地の地権者らを対象に事業説明会を市川市文化会館で開いた。土地収用法に基づき、事業認定を申請するための準備で、同省が強制収用に向け具体的な手続きに踏み出したことから、出席した地権者らから不信の声が上がった。

 説明会には地権者や沿線住民ら約四百四十人が出席。事業者側が首都圏の渋滞緩和や移動時間の短縮など事業の目的、環境影響評価の結果などを強調し、事業への理解を求めた。また、用地の強制収用を可能にする土地収用法の手続きも説明、「期限までに用地が取得できない場合に備え、事業認定の申請を準備する」と述べた。

 これに対し、出席した地権者らからは「絶対に道路を造るから土地を売れという態度は交渉ではない」「交渉に来た人に『人間はどこでも住める』と言われた。高齢者は動けないのに人権無視じゃないか」など厳しい意見が噴出した。賛成、反対双方の地権者らが激しくやじを飛ばし合う一幕もあった。

 同事務所などは今年一月、県内区間の用地買収が難航し、予定の二〇一五年度開通が危ぶまれていることから、強制収用の準備に入ることを表明。土地収用法では、国交相による事業認定後、県収用委員会に裁決を申請。収用委は補償金額などについて審理し、裁決に基づいて補償金の支払いや土地の明け渡しが行われる。

 同事務所によると十二日現在、県内区間約一一・四キロの用地取得率は面積ベースで92%、約七ヘクタールが取得できていない。未買収地は二百二十五件で、うち四十六件は交渉に応じていない。 (林容史)


産経新聞 2008.9.26 03:00
外環道強制収用へ説明会

 東京外郭環状道路(外環道)の県内未開通区間(松戸-市川市、約9・9キロ)の約8%に当たる用地約7万平方メートルが未買収となっている問題で、国土交通省と東日本高速道路は25日夜、地権者らを対象に土地収用法に基づく事前説明会を開き、強制収用の手続きを始めた。準備が整い次第、国交相に事業認定を申請するとしている。

 市川市大和田の市文化会館で開かれた説明会には地権者ら約440人が出席。国交省担当者らの計画概要の説明に対し、質疑応答で「説明に具体性がない」「誠意がない」といった声が相次いだ。

 225区画が用地買収に応じていないことから、国交省などが目標の平成27年度開通に向け、時間的余裕がないとして強制買収の準備に踏み切った。任意の買収交渉も並行して続ける。
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2008-09-26(Fri)

失言癖は麻生氏だけではなかった。 やめよ!中山国交相

これほど、国民を馬鹿にした発言はない 
大臣どころか国会議員の資格もない

 
“ごね得”=お上には逆らうな・・ということ

「公共の精神というか公のためにはある程度は自分を犠牲にしてでも棄ててもというのが無くて、なかなか自分さえよければというそういう風潮」

こういう発言は、公共事業い反対する住民らに対して、昔よく投げかけられていた。
謝罪会見で「国家のために個人の犠牲は必要と思っているのか 」との問いに
 「それは自分の政治信条ですから、変わらない」 と本音をのべている。

道路やダムなど公共事業のあり方が問われている時に、
こういう発想・考えをもつ人物が日本の国土政策を預かるのかと思うゾッとする。

“単一民族”発言は、麻生氏も同じ発言をしていた。
・・・政治家の「単一民族」発言は過去にも問題となった。
一九八六年の中曽根康弘首相(当時)の「日本は単一民族国家」との発言に、アイヌ民族が抗議。
麻生太郎首相も総務相時代の〇五年、九州国立博物館(福岡県)の開館記念式典の祝辞で「(日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族」と発言した。・・・(東京新聞)
先日、国会でアイヌ民族を先住民族として国会で決議したばかりだ。

“大分県は学力低い”発言。・・・広瀬知事はじめ、大分県民よ怒れ!
そもそも日教組が強いと学力は低いなんていうデータを誰が証明できるんだ。
そもそも、学力が高い、低いというのはどういう価値判断なのか。
“戦後教育が悪かった”などと考えている時代錯誤の価値を押しつけられたらたまらない。

不祥事を起こした教育委員会を体たらくと言って非難しながら、学力テストを引き合いに県民を侮辱する。こんな奴が日本の教育をダメにしたんじゃないのか。






<国土交通省のHPでは、削除されて掲載されないと思う。記録として残していこう。>

平成20年9月25日
グループインタビューの発言について

 本日午後3時30分から実施されたグループインタビューにおける別紙1~3の「 」内の表現について、中山国土交通大臣から、「誤解を招く表現であったので、撤回します。」とのお話がありましたので、お知らせします。

国土交通省大臣官房広報課長 渋谷 和久

別紙1
(間)予算委員会の筆頭理事で今年の予算委員会で国交省の無駄遣いが非常に問題になったのですが、・・・(中略)

(答)・・・(中略)・・・・「ついでに言えば、大分県の教育委員会の体たらくなんて、日教組ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ。私はなぜ全国学力テストを提唱したかと言えば、日教組の強いところは学力が低いのではないかと私は思ったから。現にそうだよ。調べてごらん。だから学力テストを実施する役目は終わったと思っています。」

別紙2
(問)例えば入国ピザを簡素化すべきであるとか、日本国民が外国人に対して閉鎖的であるとか、外国人旅行者の増加を望まないという世論調査の結果も出ている、案内の多言語化が進んでいないとか、さらには成田、羽田の拡充が不十分であると、仮に2年後にされるとしてもまだまだキャパシティが少ないのではないかという指摘もあり 、大臣はこれらの訪日観光客を更に増やすために克服すべき課題についてそれぞれどのように取り組まれるご所存でしょうか。

(答)今指摘されたいくつかのことは、まさにその通りだと思います。・・・(中略).
・・それからやはり外国人を好まないというか、望まないというか、日本は随分内向きな、「単一民族」といいますか、世界とのあれがないものですから、内向きになりがちですが、やはりまず国を開くというか、日本人が心を開かなければなりません。心を開くということは大事だと思います。ウエルカムといいますか、おもてなしの心というのが私は大事だろうと思いますから、そういうような意識改革もしなければいけないと思っています。

別紙3
(問)国土交通省としてどういう風な成田、羽田の空港施策、整備をどういう考えで進めて行かれるかということについてお聞きしたいのですが。

(答)「先ほど言ったように昭和53年にアメリカから帰ってきた時に着陸したのが成田空港でしたが、-車線がずうっと続いて日本とは情けないなあと、ごね得というか戦後教育が悪かったと思いますが、公共の精神というか公のためにはある程度は自分を犠牲にしてでも棄ててもというのが無くて、なかなか自分さえよければというそういう風潮の中で、なかなか空港拡張も出来なかったというのは大変残念だった.そう いう意味で中国なんかうらやましいなというのもありますが、やっとそういう意味で成田の方では滑走路も出来つつある、」また利用回数も増えるという話ですから。それと羽田もまた夜間に離着陸が出来るという利便性もあるわけですから。

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産経新聞 2008.9.26 12:50
「言い過ぎた」「辞任の考えはない」 国交相の謝罪一問一答
問題発言について閣議後会見で謝罪する中山成彬国交相=26日、東京・霞が関の国交省
 中山成彬国土交通相は26日の閣議後会見で、25日の報道各社のインタビューで、「成田空港の拡張反対はゴネ得」「日本は単一民族」「教員汚職事件を起こした大分県教委のていたらくは、日本教職員組合(日教組)が原因」などと発言したことについて、「ご迷惑をおかけした」と謝罪した。一問一答は次の通り。

 「昨日の発言について、国民のみなさまにご迷惑をおかけしたのを申し訳なく思う。誤解を招く発言なので撤回した。閣僚懇で、各閣僚は誤解をまねく発言は慎むようにという官房長官からの発言があった」
 --確認だが撤回したのは成田と日教組、単一民族の発言か
 「言葉足らずというか、言い過ぎた点も含めてだ」
 --国交省の所管事業が2つあるが、「成田」と「単一民族」について認識を改めてお願いしたい
 「国交省の仕事は初めてでよく分からなかった。その後、事務方から、成田については歴史的な経緯について説明を受けた。昭和41年の閣議決定移行、十分に住民の理解を得ることなく建設を進めた。賛成派と反対派の運動が激化する中で過激派の介入を許し住民に迷惑をかけた。国としては円卓会議などで解決に努力してきた。空港と地域の共生の元に、平成22年3月には平行滑走路を北伸して2500メートルの滑走路になる。これらを踏まえて、昨日の発言は撤回した」
 「単一民族については、頭の中にアイヌのこともあった。アイヌの人々は日本の北部周辺、特に北海道で独自の文化を有する先住民族ということを認識している。転居を余儀なくされたアイヌの人々が多数いたことを踏まえ、アイヌの人の誇りが尊重される政策を目指し、文部科学省とアイヌ文化振興法を進めている。アイヌ政策の推進に努めていく所存です。昨日の発言は誤解を招くと思い撤回した」
 --大分県教委の発言については
 「これについても撤回しているので、これ以上は差し控えさせてもらう」
 --改めて、昨日の記者会見ではどういう発言をされたのか
 「正確には覚えていないが、これからの日本の観光立国について、質問者の質問は『日本は内向きの民族で外国人を受け入れられにくい』ということでしたが、島国にあって、日本に住み着いて海外との交流が少なかったことが国際交流の妨げになっているというのが頭にあった」
 「空港問題については、日本のインフラ整備の後れについて、公のためにはある程度自分のことを犠牲にしてでも尽くすという精神が必要と普段思っているわけですから、空港だけでなく道路拡張などを念頭に置いた発言だったが、誤解を招くということで撤回しました」
 --言葉足らずで誤解を招くことはあるが、あれだけ長く話している。本心なのではないか
 「私人としての発言と公人としての発言は区別しなければならないと認識した」
 --昨日は私人としてのインタビューだったのか、国交相としてのインタビューだったのか
 「その自覚が不十分だった」
 --大分県教委に謝罪はないが
 「事件は係争中なので、所管外ですし、発言を差し控えます」
 --改めて単一民族という真意を
 「外国に行くと分かるが、米ニューヨークなどではまさに民族のるつぼいろいろな方がいる。日本に帰ってくると、同じような人が住んでいることで単一といってしまった。似通っているなと。ただ、日本列島には、色々なところから人が移り住んできたという認識は持っている」
 --成田の発言について、道路のほか、公共事業でも同じことを考えているのか
 「私は宮崎の小さな農家出身です。市の道路拡張で先祖代々の宅地が半分以上削られた。小さなころから農作業をした長方形の田んぼがあったが、斜めに横切る道路ができ、なくなった。父は早くに亡くなっており、母は後家さんといわれ軽く見られたのかなと、残念に思いながら市の決定に従うべきではと思った。農家の強い思いは人一倍分かっているつもりですが、それについて撤回した」
 --麻生太郎首相や、千葉県の堂本暁子知事には話したか
 「真意を説明してご理解いただきたい」
 --発言を撤回したのは事務方に促されてか
 「アイヌの方々が不快の念を持っていると聞いて、それは自分の意図と違うなと思い自分で判断した。一度発言したことは戻りませんから。適切な言葉を探していたのですが、長年日本列島という、世界から隔離されたところに住んでいて内向きな国民性をつくったのかなと思っていたので、言葉というのは人によって違う取り方をして不快感をもたれるのだなと思った」
 --一連の発言撤回ですが、政権への影響について
 「そういう影響がでてくるのは申し訳ない。国民のみなさまのご理解をいただけるようにしたい」
 --誤解とおっしゃるが私人としては、国家のために個人の犠牲は必要と思っているのか
 「それは自分の政治信条ですから、変わらない。世のため人のために尽くしたいということで政治家になったのでそれは変わらない」
 --大分県教委への発言は少ないが、撤回するのか
 「はい」
 --政治信条としてとおっしゃったが、広く国民にもそういう考えを持ってほしいのか
 「率直に申しあげるとあるんですよね。道路建設については、予算措置も必要ですが地域住民の協力がないと進まない。成田について経緯を知らなかったものですから、本当に申し訳なかったということで撤回させていただいています」
 --学力テストについて役割を終えたと言うが
 「それは文部科学省が決めること。発言するべきではなかった」
 --道路特定財源の一般財源化について、一方で地元の現状を話していたが、59兆円の道路計画圧縮についてのご意見を
 「道路特定財源を一般財源化する方針は変わらない。宮崎県も含めて、もう少しつくってほしいという声を聞いているので、できるだけ財源を獲得したい。これから考えていきたい」
 --一般財源化について未練があるのか
 「心の中ではそう思っているが、閣僚の一因としてやっていかなければいけない」
 --辞任の考えは
 「ありません」
 --日教組の強い地方は点数が低いという発言については
 「ご自分で調べてほしい。私の口からは差し控える。文科省に聞いて下さい」


東京新聞 2008年9月26日 朝刊
成田闘争は『ごね得』 中山国交相 発言し撤回

 中山成彬国土交通相は二十五日、共同通信社など報道各社とのインタビューで、成田空港建設への反対闘争について「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う」と批判。外国人観光客の誘致策に関連しては「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないので内向きになりがち」と発言した。 

 さらに大分県の教員汚職事件にも言及し、日本教職員組合(日教組)と絡め「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」と話した。しかし数時間後の同日夜になり、いずれの発言も「誤解を招く表現であったので撤回します」とのコメントを発表した。

 成田空港は二〇一〇年春に、二千五百メートルに延伸する二本目の滑走路が供用される予定。供用に向け、国が地元自治体や住民と騒音対策や公共施設整備など地域振興策の話し合いを進める中での新しい所管大臣の発言だけに波紋を広げそうだ。

 中山氏は反対闘争について「公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮の中で、なかなか空港拡張ができなかったのは大変残念」と述べた。

 政治家の「単一民族」発言は過去にも問題となった。一九八六年の中曽根康弘首相(当時)の「日本は単一民族国家」との発言に、アイヌ民族が抗議。麻生太郎首相も総務相時代の〇五年、九州国立博物館(福岡県)の開館記念式典の祝辞で「(日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族」と発言した。
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2008-09-25(Thu)

やっぱり「実」を取る狙い 道路財源 中山国交相 

「真に必要な道路」予算獲得に精一杯努力したい」

「一般財源化は政府の方針だから従う」が以前は道路特定財源の堅持を主張。
中山新国交大臣はやっぱり、「一般財源化」骨ぬきの刺客だった。

「一般財源化」して道路財源確保する、「名を捨て、実を取る」戦術を明確に示した。

「社会資本の整備に力を入れないと将来に禍根を残す」というが、禍根を残すのは新規大型事業を続けた「負の遺産」ではないか。

社会資本の老朽化が迫り、維持更新に莫大な投資が必要となってきている。
東海・東南海地震、東京直下型地震など大地震到来も想定されている。

いま、やらなければいけない社会資本整備は、新規・大型インフラ整備ではない。
国民の命・安全、暮らしを守る、生存権を保障する生活に密着した事業だ。

高速道路を新たにつくり続ける政策を続けていいのか。
道路官僚が、政治家の要求に応じて、鉛筆をなめなめ線を引いたバブル以前の高速道路計画。
それが、高規格幹線道路14000kmだ。
アメリカの要求で内需拡大を進めるためつくった「公共投資基本計画」。
630兆円を消化するため、地方高規格道路が計画された。6大海峡横断道路もその一つだ。

こういう無謀な計画を何ら見直すことなく「真に必要な道路」などと言い方を変えて継続する。
これが、道路財源確保の根底にある。

解散総選挙での争点の一つだ。
際限なく高速道路をつくるのかVS凍結して見直すのか。
日本の国土の未来を
高速道路に固執する勢力にゆだねたままVS国民が判断できるようにする、のかどうか。
川辺川ダムなどダム事業と同様に、今度の選挙で問われることになる。




時事通信 (2008/09/25-19:11)
「真に必要な道路造る」=空港の外資規制必要-中山国交相・新閣僚インタビュー
 -道路特定財源が来年度から一般財源化されるが、道路整備に関する考え方は。
 以前は道路財源の堅持を主張していたが、政府として一般財源化の方針が決まっているので、方針に従う。ただ、公共事業費の削減は限界が近づいており、社会資本の整備に力を入れないと将来に禍根を残す。真に必要な道路を造るための道路予算の獲得に向け、精いっぱい努力したい。
 -結論を持ち越している空港会社に対する外資規制への対応は。
 短期的な利益を求めて入ってくる海外のハゲタカファンドに気を付けないと、日本経済はむちゃくちゃになる。外資には資金・技術・人が一体的に入って来てほしいと考えており、長期的な視点の必要な空港について(外資規制の方策を)考える必要がある。
 -観光政策を総合的に進める観光庁が10月1日に発足するが、発令されていないトップの長官人事をどうするのか。
 観光庁長官には組織の管理能力、観光分野に対する造詣、国際会議の誘致など海外との関係が求められるので、官民にとらわれず幅広い観点から選考したい。
 -与党が早期着工を求める整備新幹線に対する考え方は。
 建設費をどう捻出(ねんしゅつ)するかが課題。与党での議論を経て、確たる財源の見込みが立てば造っていく方向で検討したい。
 -政府の地方分権改革推進委員会が出先機関の廃止を求めているが、どう対応するか。
 一概に廃止すればいいという乱暴な議論をするつもりはない。行政のスリム化を進める中で、道州制論議も含めて、考えなければならない。(了)

=2008/09/25付 西日本新聞朝刊=
中山国交相 「住民の目線で道路造る」
 道路特定財源の一般財源化問題を抱える国交相に決まった中山氏は「住んでいる人々の目線に合わせて、要望の強さを勘案しながら道路を造っていかないといけない」と説明。局地的豪雨など自然災害が増える傾向にあることを踏まえ「子どもや孫の代まで災害に強い安心して暮らせるしっかりとした国土をバトンタッチしていくことが大事」と語った。

2008/09/25 06:35 【共同通信】
公共事業費の削減は限界 整備に影響と中山国交相
 中山成彬国土交通相は25日の初閣議後の記者会見で、公共事業費の削減が続いていることについて「もう限界に来ているというのが率直な感想。切り込みすぎるとインフラ整備に差し支える」と述べ、一層の削減は困難との考えを示した。
 道路特定財源については「堅持すべきという考えだったが、一般財源化の方針が決まった以上は進めないといけない」と表明。ただ自身の選挙区である宮崎県の道路整備が遅れている事情にも触れ、一般財源化後も一定の道路予算を確保する必要があると強調した。
 熊本県に計画中の川辺川ダム建設に蒲島郁夫熊本県知事が反対を表明したことに関しては「地元の方々の意見を一番目に聞くべきだ」と述べるにとどめた。

時事通信(2008/09/25-05:49)
公共事業の削減は限界=道路予算の必要性を強調-中山国交相
 中山成彬国土交通相は25日未明の初閣議後の記者会見で、「公共事業の削減はもう限界。財政再建は必要だが、削減一辺倒という考えはやめてほしい」と述べ、小泉内閣から続く公共事業費の削減方針に疑問を投げ掛けた。
 また「真に必要な道路を見極めながら、限られた予算で効率的に道路建設に当たるべきだ」と語り、来年度から道路特定財源が一般財源化された後も道路予算を確保する必要性を強調した。

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2008-09-24(Wed)

麻生内閣の顔ぶれ 自民党崩壊前触れ人事

いったい何したいねん!わけわからん顔ぶれだ。

一番えー!なのが鳩山総務大臣。
地域格差や地方の疲弊をどう立て直すのか、きわめて重要な部署なのに・・・
ぬいぐるみ着てパフォーマンスするだけじゃ立て直せないぞ・・・

石破農水大臣・・・・汚染米ばらまき農水省にどれだけメスが入れられるのか。
まあ、誰がなっても鬼門だから、あくの強い石破氏に意外性があるかも。

中山国交大臣・・・・宮崎選出、道路一般財源化をつぶすための刺客か?
文科大臣など経験してるのに、なんで宮崎に高速道路をつくれなかったのかな?

森法務大臣、塩谷文科大臣、浜田防衛大臣、佐藤国家公安委員長、河村拉致担当大臣・・
どんな人たちだったっけ、顔もうかんでこない・・・

いずれにしても、ようわからん。短命だからいいのか・・・?
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2008-09-23(Tue)

自民党は生き残れない 麻生総裁選出

失言癖は本音から出るもの

失言癖の麻生氏が自民総裁に選ばれた。
小泉総理の前の森氏が「神の国」発言で支持率を急低下させた。
同じように麻生氏も失言で墓穴を掘るのではないか。

失言するまでもなく、解散総選挙で短命内閣になるのでは、国民の予感だ。




2008年9月23日(火)付

麻生新総裁―自民党は生き残れるか

 自民党の総裁選は、予想通り麻生太郎氏が圧勝した。あす新首相に就任し、麻生内閣が船出する。

 いつもなら、自民党総裁選は事実上の首相選びであり、新政権の政策はどうなるのか、外交は……といったことが関心を呼ぶ。だが、今回は様変わりだ。間もなくあると予想される衆院の解散・総選挙に向けて「これで自民党は勝てるのか」が焦点である。

 本来であれば、新首相のもとでそれなりの実績を積み上げたうえで国民に信を問うというのが常道だろう。だが、今回はそこも違う。新政権への世論の期待が薄れないうちに、できるだけ早く総選挙にうって出よう。それが与党内の大勢なのだ。

 だからなのだろう、当初から勝利が確定的だった麻生氏にしても、骨太な政権構想を語るどころではなかった。選挙を意識してひたすら景気対策を強調し、もっぱら民主党攻撃に力を込めた。立候補した5氏の論戦が深みを感じさせなかったのも当然だった。

◆耐用年数が過ぎたか

 麻生氏が引き継ぐ自民党は、かつて経験したことのない危機にある。選挙向けに「顔」をかえてもかえても、政権維持に四苦八苦する。1年ほどの間に安倍、福田と2代の首相が政権を投げ出さざるを得なかったことがそれを象徴している。

 自民党は政権政党としてもはや耐用年数を過ぎたのではないか。そんな批判が説得力を持って語られている。

 結党から53年、官僚機構と二人三脚で日本を統治してきた。麻生氏は当選後のあいさつで、祖父の吉田茂元首相が生誕130年になることを披露し、鳩山一郎、石橋湛山、岸信介という党草創期の指導者の名前を挙げた。

 伝統ある党を再生させようという決意を込めたのだろう。だが、麻生氏が直面するのは、まさに初代総裁の鳩山氏以来の半世紀の間に積もりつもったさまざまな矛盾のつけなのだ。

 官僚との癒着、税金の巨額の無駄遣い、信じられない年金管理のずさん、薬害エイズや肝炎の隠蔽(いんぺい)……。効率的で有能と思われてきた日本の行財政システムが機能不全を起こしたかのように、不祥事が止まらなくなっている。

 国土を開発し、豊かな生活を育むはずだった公共事業は、いまや800兆円の借金となって国民の肩にのしかかる。人口が減り、経済はいずれ縮小に転じるかもしれない。そのなかで格差を縮め、世代間の公平を保ちつつ豊かで平和な暮らしを守ることが本当にできるのか。

 自民党はこれまで、首相の首をすげ替えることで党の危機をしのいできた。だが、日本の現状を見れば、自民党に政権を託し続けていいのだろうか。民主党を頼りないと感じる人々にも、そんな危機感は深いはずだ。

 7年前、小泉新総裁が選ばれたときの総裁選を思い出そう。

◆選挙の顔への期待

 当時も、極度の不人気にあえぐ森首相が政権運営に行き詰まり、自民党は窮地に立っていた。頼みの綱と押し立てたのは「自民党をぶっ壊す」と叫んで人気を呼んだ小泉氏だった。実際、その直後の参院選で自民党は圧勝し、以来5年半もの長期政権が続いた。一時的ではあったが、小泉氏は確かに党を救った。

 総裁選で麻生氏が圧勝したのは、同じ役回りを国会議員や党員に期待されてのことだろう。重要閣僚や党幹部を歴任した経験に加え、若者にも人気があると言われる麻生氏だ。「選挙の顔」に最もふさわしいと見られたのは自然なことかもしれない。

 だが、小泉氏が大派閥の推す本命、橋本元首相を破って首相の座についたことひとつを取っても、両氏の間には本質的なところで違いがありそうだ。

 麻生氏は、最大派閥を事実上率いる森元首相がつくった流れに乗って、総裁選で順当に勝ちをおさめた。看板の政策は、自民党の大勢が望む景気対策であり、財政出動だ。

 一方で、国民に負担を強いる政策は早々にお蔵入りにした。「日本経済は全治3年」というかけ声で、当面の消費増税論を封印した。かつて提唱した「消費税を10%に引き上げて基礎年金を全額税方式に」という年金改革案についても「こだわるつもりはない」とあっさり宣言した。

 「構造改革なくして景気回復なし」と公共事業はもちろん、社会福祉にも切り込んだ小泉流の強烈な改革メッセージは、すっかり影をひそめている。

◆先送りではすまない

 社会に痛みも強いた小泉流からの脱皮を目指すというのなら、それもいい。だが、景気対策の名のもとに改革を先送りするだけでは、自民党が長年積み上げてきた矛盾をそのままにしようということにならないだろうか。

 世界経済の混乱で、景気の先行きはいよいよ不透明になってきた。麻生氏はこれを追い風に「景気対策」一本で小沢民主党と勝負する構えのようだ。

 ただ、有権者の不安はそれだけにとどまらない。人口が高齢化し、社会保障の費用は増えていく。それをどう負担していくのか。行政の無駄をなくすと言っても、半世紀もの間、官僚とともにその無駄を作り上げてきた自民党にできるのか。

 こうした不安や疑問に向き合わない限り、いくら「顔」をかえてみたところで自民党の再生はおぼつかない。


毎日新聞 2008年9月23日 0時34分

社説:麻生・自民新総裁 理念も政策もなき勝利

 自民党の新総裁に22日、麻生太郎氏が選出された。24日、国会での首相指名選挙を経て、麻生新内閣が発足する見通しだ。

 しかし、麻生氏の圧勝に終わった今回の自民党総裁選は、まだ「予選」に過ぎない。麻生氏が「総選挙で民主党に勝って初めて天命を果たしたことになる」と語った通り、「決勝戦」は間もなく行われるはずの衆院選である。衆院選で自民、公明両党が敗北し、民主党を中心とした政権が誕生すれば麻生内閣は極めて短命に終わる。まず、その点を確認しておきたい。

 すべては衆院選のため。2代続きの政権投げ出しとなった福田康夫首相の突然の辞任表明に始まる総裁交代劇の狙いは明白だった。

 内閣支持率低迷が続き、福田氏は自ら衆院を解散して総選挙に臨む自信がなかった。そこで総裁選をにぎやかに実施して国民の関心を自民党に引きつけ、その勢いで総選挙に突入する--。再三指摘してきたように、総裁選はこんな演出を意識したものだった。

 だが、福田氏や自民党が期待したように「わくわくする総裁選」だったろうか。そうは思えない。

 ◇演出効果は疑問
 今回は5人が立候補し、連日のようにテレビに出演して地方遊説も続けたが、テレビの視聴率は必ずしも高くなかったという。関心が高まらなかったのも無理はない。投票結果は麻生氏が351票。予想通りの大勝だった。安倍晋三前首相と福田氏を選んだ時と同様、告示前から多くの議員が「勝ち馬に乗れ」とばかりになだれを打って麻生氏支持に回り、総裁選は消化試合の様相だった。

 一方では告示直前、日本の食糧行政を揺るがす汚染米問題が発覚し、その後、米国発の金融危機が各国経済を直撃した。こんな時にお祭りのような総裁選をしている場合かと疑問に思った人も多かったろう。

 しかも、多くの議員の判断基準は「だれが首相になれば自分が選挙で当選しやすいか」であり、麻生氏の政策に共鳴したのではないと思われる。麻生氏を選んだのは麻生氏が最も人気がありそうだからだろう。「理念も政策もなき勝利」だったのである。

 政策論争が深まらなかったのは当然かもしれない。特に麻生氏の発言は具体性を欠いた。「基礎年金は全額税方式に改め、財源は消費税を10%に引き上げる」が持論だったにもかかわらず、総裁選では「一つのアイデア」と後退し、22日の総裁就任後会見でも、消費税をどうするのか、筋道は明確にならなかった。

 外交もそうだ。東欧や中央アジア諸国との連携強化を目指す「自由と繁栄の弧」構想を従来打ち出していたのに、「中国やロシアとの対立を深める」との批判を意識してか、総裁選ではほとんど触れなかった。

 総裁選出が確実だから、余計な波風を立てぬよう持論は言わないというのでは本末転倒だ。今後、所信表明演説などでは、この国をどうしたいのか、具体的に語らなければならない。

 舛添要一厚生労働相が突如、後期高齢者医療制度の見直しに言及したのに呼応するかのように、麻生氏も見直しを言い出した。見直しするのに異存はないが、これも衆院選を意識した行き当たりばったりの提案ではないか。22日の会見では説明不足がいけないのか、実際に見直すのかもあいまいだった。見直すなら、早急に具体的なビジョンを示さなければ無責任である。

 今回、中堅議員が派閥の枠を超えて出馬したことは自民党の変化を物語るものではあった。だが、麻生氏が党の要として幹事長に起用したのは、町村派の細田博之氏だった。

 ◇変わらぬ党の体質
 森喜朗元首相をはじめ、最大派閥・町村派の意向を受けたものであろう。繰り広げられているのは旧態依然の派閥重視思考であり、自民党の体質が変わるに変われないということも国民は知っておいていい。

 麻生総裁誕生を受け、自民党や公明党内では、国会召集後、29日に所信表明演説を、10月1~3日に各党代表質問を行った後、3日に衆院を解散し、投開票日を同26日とする日程が取りざたされている。

 早期の解散は、私たちもかねて主張してきたところだ。しかし、この日程は「ご祝儀相場で新内閣の支持率が高い間に」という狙いがあるのは明白だ。多くの与党議員は「麻生氏の失言などあらが目立たないうちに」とも真顔で語る。これまた本末転倒というべき身勝手な対応である。

 補正予算案の成立を最優先させるべきだというのではない。22日も麻生氏は民主党の政策に対し、「財源の裏付けがない」と批判した。ならば、何が衆院選の争点になるのか、有権者の前で整理するためにも、あらかじめ質問や答弁が用意される代表質問ではなく、補正予算案を審議する予算委員会や党首討論の場を通じ、麻生氏と民主党の小沢一郎代表が議論することが必要なのではないか。

 少なくとも代表質問後、1週間程度はそうした質疑の時間に充て、その後、解散する。それが妥当な日程だと考える。
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2008-09-22(Mon)

事業中止後も地域振興に事業者は責任をもて

ダム建設予定地の苦悩 国の責任は重い 

川辺川ダムの白紙撤回を判断した熊本県知事に、和田五木村長は「移転に伴う代替農地もまだ整備が終わらない。振興以前にインフラ整備さえ進んでいない。今回の表明で必要な道路を含めた基盤整備がストップするのではないかと危ぐする」と述べた。「村に対する知事の思いは理解できても、目に見える整備の進展がなければ、何にもならない」と厳しい表情で強調した。〈毎日新聞)

40年を超え、ダム建設に振り回された地元住民の思いは計り知れないものがある。
八ッ場ダムでも30年以上苦しめられている。

おおもとには、国の「ダム建設ありき」のかたくなな姿勢がある。
根本的に見直す機会があった。
住民参加による河川整備計画をつくり直すことを決めた97年の改正河川法の制定だった。
40年、30年前に計画したときにつくった「工事実施計画」を見直しを前提にしている。
ところが、河川整備計画ができるまでは、「工事実施計画」のままでいく、みなし規定をおいたため、昔の計画が継続して進められた。
本来なら、いったん凍結して、新たな河川整備計画をつくるべきだったのだ。

なのに、「ダム建設ありき」で工事を進めてきた。地元住民は建設前提での対応しか受けてこなかった。
だとしたら、中止するとしても、地域振興は継続して、責任もってすすめるべきだ。

市民運動団体は、公共工事中止後の地域振興促進のための法案を用意し、法制化を求めている。
当然のことだ。国は、前向きに検討すべきだ。




毎日新聞 2008年9月17日 地方版
決断・川辺川ダム:「五木村民、不安と怒り」 村長ら知事に抗議 /熊本
 川辺川ダム計画(予定地・相良村)の中止を国に求めた蒲島郁夫知事に対し、水没予定地を抱える五木村の和田拓也村長や村議らが16日、県庁で抗議文を手渡した。11日の知事表明は「五木村の基盤整備や振興について具体性に欠けている」とし、「振興策が示されない場合は県行政から切り離されたも同然。村民は大きな不安を抱き、動揺と怒りを感じている」と強く訴えた。
 和田村長は「移転に伴う代替農地もまだ整備が終わらない。振興以前にインフラ整備さえ進んでいない。今回の表明で必要な道路を含めた基盤整備がストップするのではないかと危ぐする」と述べた。「村に対する知事の思いは理解できても、目に見える整備の進展がなければ、何にもならない」と厳しい表情で強調した。
 蒲島知事は「苦しい思いをさせたと自覚している。決断が五木村にとってマイナスであってはいけない。皆さんや国と一緒に村の将来像を話し合いたい」と答えた。
 蒲島知事は早い時期に村を訪れ、決断や振興について村民に直接説明するとしている。【笠井光俊】

=2008/09/17付 西日本新聞朝刊=
川辺川ダム問題 五木村の「振興計画」策定へ 県の推進本部 初会合
五木村振興推進対策本部の初会合で、村の振興に向けた決意を述べる蒲島郁夫知事(中央)
 県は16日、国の川辺川ダム計画で水没予定地を抱える五木村の振興を図るため、蒲島郁夫知事を本部長とする「五木村振興推進対策本部」を設置し、初会合を開いた。同本部は、村や国との意見交換や専門家の意見を聴取した上で「振興計画」を策定する。策定時期は未定。
 蒲島知事は11日の県議会で川辺川ダム計画への反対を表明。ダム関連事業として、国や県が五木村で進めている道路建設など村の基盤整備事業の行方が不透明となり、地域振興策が急務となっている。
 県庁であった初会合には副知事2人と各部長、教育長など幹部15人が出席。1955年に6000人を超えた人口が2005年に1300人台に落ち込み、少子高齢化が進んでいる村の現状などが報告された。出席者からは「球磨川、川辺川水系を県の宝として売り出すという観点が重要」や「旅行代理店など外部の視点を取り入れ、物産、観光振興を図る必要がある」などの意見、提案が出た。
 蒲島知事は「村民の不安を一掃し、所得向上や雇用の拡大に結び付く振興策に全力で取り組む」と強調。村が求める基盤整備事業については「国土交通省との交渉などを含め考えていきたい」と述べるにとどめた。

(2008年9月17日 読売新聞)
川辺川ダム「中止に向け取り組みを」
民主県連代表ら流域4市村長を訪問
川辺川ダムについて意見を交わす松野代表(右)と五木村の和田村長(左)ら 蒲島知事が川辺川ダム建設計画に反対を表明したことを受け、民主党県連の松野信夫代表らが16日、五木村や人吉市など流域4市村を訪れ、各首長らにダム中止に向けた取り組みを進めるよう要請し、ダムを前提としない地域振興策を支援していく考えを伝えた。
 五木村役場では和田拓也村長が対応。松野代表が「ダムは中止でも、関連事業で進む村の基盤整備はぜひ応援していきたい」と述べると、和田村長は「考えは違うかもしれないが、五木村の振興への協力はお願いしたい」と述べた。
 人吉市の田中信孝市長との面会では、松野代表は川辺川ダムを含む大型公共事業が中止になった場合の対応を定める特別措置法の検討を党内で進めていることを明らかにした。
 特措法では、事業中止後、〈1〉市町村と国、県で治水や地域振興の協議会を作り、予算措置をする〈2〉水没予定地などから移転した人への支援――などを盛り込むことを検討しているという。
 松野代表は取材に対し、次期衆院選の党のマニフェスト(公約)に、川辺川ダム中止を盛り込む見通しを示した上で、「ダムが中止になった途端、関連事業が止まるのでは問題。法的な予算の裏付けを考えたい」と述べた。
 松野代表らは相良村や球磨村も訪問。川辺川ダム砂防事務所(相良村)も訪れ、ダム建設の中止を求める谷垣国交相あての申し入れ書を提出した。
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2008-09-21(Sun)

道路行政 意見募集 国交省  

都合のいいように利用しないでほしい

国交省道路局が「道路整備の中期計画」見直しにあたって、国民から意見募集をはじめた。
並行して都道府県、市町村にも意見を募集している。

意見を聞くことはいいことだし、当然だ。
だが、それをどのように活用するかは道路局の判断にゆだねられている。

昨年、10年間の「中期計画」(案)を作った際にも同じように聞いたはずだが、どう違うのだろうか。

国民の意見には「高速道路建設」より、身近な生活道路の整備のj声のほうが圧倒的に多かったはず。

ところが、出来上がった「中期計画」(案)は、約4割が高速道路(高規格幹線道路や地域高規格道路)のネットワークをつなぐものだった。

今度も、意見募集はするが、答えは高速道路建設が中心。というのでは意味がない。

問題は、国民の命・安全、くらしにとって、緊急性の高いものを優先すること。既存施設の老朽化対策や災害対策、そのための維持管理を優先し、新規建設は見直して縮小すること。など道路行政のあり方を根底から転換するかどうかだ。

いずれにしても、せっかくの意見募集だから、大いに応募してみたらどうだろうか。




日経新聞 2008年9月21日
今後の道路行政、国民から意見を公募 国交省
 国土交通省は19日、今後の道路行政について、国民からの意見募集を始めたと発表した。重複した道路整備や道路特定財源の無駄使いなどで批判が高まるなか道路行政で改善すべき点、重点的に取り組む事項などの意見を幅広く募り改善につなげる狙い。道路局のホームページから10月20日まで受け付ける。
 国交省は一連の批判を受け工事計画の量が過剰と指摘される道路整備の中期計画や、道路特定財源の無駄遣いなどの見直しを進めている。(21:03)

2008/09/19 17:33 【共同通信】
国交省、道路行政への意見を募集 中期計画に反映
 国土交通省は19日、無駄遣いや関連公益法人への天下りなど批判の多い道路行政に対する一般国民からの意見募集を始めた。年末に再策定する予定の道路整備中期計画などに反映させる。10月20日まで同省のホームページで受け付ける。
 募集する意見の内容は(1)道路行政で改善すべきこと(2)「開かずの踏切」など地域の道路が抱える課題(3)今後の道路施策で重点的に取り組むべきこと-の3点。都道府県と市町村にも文書を送り、意見を求める。
 道路行政をめぐっては、道路特定財源で職員用マッサージチェアを購入するなどの無駄遣いが相次いで発覚。「08年度から10年間で59兆円が必要」とした中期計画は国会で「過大だ」との批判を受け、期間を5年間に短縮して作り直すことが今年5月に決まった。


<国土交通省HP  報道発表資料 2008/09/19>
http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000023.html

皆様からのご意見・ご提案をお受けします~今後の道路行政について~平成20年9月19日

国土交通省道路局では、皆様から、今後の道路行政についてのご意見・ご提案を下記の通り募集することに
しましたので、お知らせいたします。

 先般の通常国会での議論も踏まえ、道路特定財源等について、「道路特定財源等に関する基本方針」が
本年5月13日に閣議決定されました。この基本方針のなかで、「道路関連公益法人や道路整備関係の特
別会計関連支出の無駄を徹底的に排除する」とともに、「必要と判断される道路は着実に整備する」、「道路
の中期計画は5年とし、最新の需要推計などを基礎に、新たな整備計画を策定する」とされたところであり、
現在、国土交通省では、新たな交通需要推計や事業評価手法などの作業を進めているところです。
 また、新たな中期計画については、
 [1] 人口減少・高齢化、ストックの老朽化などの社会的な背景を踏まえた、道路行政を進める上での
    選択と集中の基本的な考え方
 [2] 計画期間において、重点的に取り組むべき課題
 [3] 課題解決のために、計画期間において重点的・効率的に実施すべき道路施策の概要と重点目標
などをとりまとめるべく検討を進めています。その際、一層の重点化・効率化を図る観点から、地域との関係
を明確にする、他の事業との連携を高めるなどの視点を重視して、検討を進めているところです。
 今後の道路行政を進める上では、地域が抱える課題を踏まえ、
  ・ 日常生活における身近な道路のあり方
  ・ 地域社会や産業との関わり合い
  ・ 住民生活の視点に立った評価
などの視点から、道路がどのような役割を果たして行くのかを見極めながら、進めていくことが必要です。
 このため、皆様から、今後の道路行政を進める上で重点化・効率化を図るべき必要性を踏まえて頂きつつ、
幅広くご意見・ご提案をお伺いすることが必要であると考えており、また、頂いたご意見・ご提案は、その内
容に応じて、現在検討を進めている新たな中期計画の策定作業をはじめ、各種計画の策定、事業評価のあ
り方、事業の進め方などに多方面に活用していきたいと考えております。
 
                            記

ご意見・ご提案を募集する内容
  [1] 道路行政について改善すべき点など
  [2] 地域の現状と抱える課題と目指すべき将来像など
  [3] 道路施策として重点的に取り組むべき事項など

ご応募の方法
  道路局ホームページを通じてご提案をお願いします。
   URL : http://www.mlit.go.jp/road/press/press08/20080919/oubo.html
  (ご応募の方法:フォームに記入し、次のアドレスまでメールで送付下さい。goiken@mlit.go.jp)
締め切り   10月20日
注意事項
  ・ 頂いたご意見に対して個別の回答はいたしかねますので、あらかじめその旨ご了承願います。
  ・ ご意見を正確に把握する必要があるため、電話によるご意見の受付は対応いたしかねますので、
    あらかじめその旨ご承知おきください。
  ・ 頂いたご意見の内容については、とりまとめの上、公表される可能性がありますので、あらかじめ
    その旨ご承知おきください。
                                                         以上
※ 並行して都道府県、市町村にも意見を募集します。
お問い合わせ先
国土交通省 道路局 企画課 
TEL:(03)5253-8111 (内線37516) 直通 (03)5253-8953
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2008-09-20(Sat)

太田農相辞任 ここで投げ出す茶番劇


「消費者がやかましい」「あんまりじたばた騒いでいない」といってたのに・・・

そもそも大臣になるべきでなかった。
消費者軽視の言動を繰り返したにしては、かっこつけたのかもしれない。
しかし茶番だ。

各社説をみたが、東京新聞が一番、ぴったり来た。
福田内閣の無責任、知らんぷりして選挙準備に走る自公政権の無責任。

この国の政治のなさけなさ、あきれるばかりだ。



東京新聞 2008年9月20日
【社説】
太田農相辞任 ここで投げ出す茶番劇

 突然退陣表明した福田康夫首相の部下もまた職を投げ出した。太田誠一農相である。内閣総辞職を目前にしてのタイミングだ。これで汚染米問題を幕引きにするつもりなら、茶番に過ぎる。

 安倍前政権以降、農相ポストは「鬼門」と化している。事務所費問題などでこれまでに松岡利勝、赤城徳彦、遠藤武彦の三氏が途中退場。今回で四人目だ。

 太田氏は十九日、辞任の理由として、汚染米の不正転売を農林水産省が長年防げず、食の安全をめぐり重大な社会問題を引き起こしたことを挙げた。汚染米流通ルートの骨格がほぼ判明し再発防止策も決まったのを機に、省全体としての責任を明確にすべきだと判断したという。

 消費者重視が政権の旗印でありながら、農水省の「人ごと」行政は国民をあきれさせた。百回近くも立ち入り調査をしながら不正を見抜けなかった失態に加え、問題をことさら軽視し国民に不安を募らせた罪はあまりに重い。組織がたるみきっている。「農水省に責任なし」と発言した事務次官が更迭されたのは当然だ。

 ただ、福田内閣の総辞職が二十四日に予定されている中での農相辞任には違和感を覚える。

 民主党は「このままでは衆院選を戦えないという党利党略の辞任だ」と指摘する。大臣と事務次官がそろって職を辞すことで、汚染米問題の幕引きを狙ったのではないかとの疑念がぬぐえない。

 むしろ、首相に重なる唐突な辞任は政権の無責任体質を露呈してしまった。他の大臣より五日前に辞めたからといって出処進退の潔さを評価する声も少ない。

 本来、太田氏は農相になってはいけなかったのではないか。

 就任直後、食の安全で「消費者がやかましい」と発言。汚染米問題でも「あんまりじたばた騒いでいない」と、消費者軽視の言動を繰り返した。不明朗な事務所費問題も発覚した。大臣の適格性に欠けていたといわれても仕方ない。

 首相から任命責任について、納得のいく説明が聞きたい。

 首相の退陣表明以降、自民党総裁選が延々と続き、国政は事実上滞っている。候補者たちはこの日も街頭などで支持を訴えた。農相批判も口にはしたが、長引く政治空白と、その中で起きた農相辞任劇を消費者はどうみているか、そのことを軽く考えない方がいい。

 政府・与党は性根を入れて万全の対応を急がねばならない。
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2008-09-19(Fri)

[M8] 東京に巨大地震が起こったら・・、

M8

M8

書名: M8         著者: 高嶋哲夫
出版:集英社文庫    発行年月 2007年08月
価格: 780円(税込)

本の内容
28歳の若き研究者、瀬戸口の計算式は、マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災、あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくはない。今、行動を起こさなければ…。東京に巨大地震が起こったら、高速道路は、地下鉄は、都心のビル街は、いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品。
マグニチュード8の巨大地震が、東京を襲う!!

著者情報
高嶋 哲夫(タカシマ テツオ)
1949年岡山県玉野市生まれ。日本原子力研究所研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。79年、原子力学会技術賞を受賞。99年「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞

※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです

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購入日 2008年9月8日 
読始日 2008年9月8日
読了日 2008年9月11日
<感想メモ>
東京直下型大地震が起これば、どうなるか、ありうる話なので防災意識を強めなくてはと実感した。現実的な問題として大いに読まれるべき作品だと思う。中でも、政治家に関する部分は、想定できるものだ。もうすぐ、解散総選挙が実施されようとしているが、想定されている大地震についてマニュフェストで触れている政党があっただろうか。「安心実現」をうたった福田総理は政権を投げ出した。学校の耐震補強はたしか入っていた。しかし、大地震で想定される被害、数十兆円という規模からすれば、微々たるもの。高速道路やダム事業など新たな大型公共事業を行う前に、地震など防災対策、老朽化がすすむインフラの維持管理などにこそ予算をつぎ込むべきではないか。そんな思いを強くした。
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2008-09-18(Thu)

リーマン破綻 日本の不動産に及ぶ余波 (日経BP)

リーマン破綻 日本への影響(資料)

日経 BP 2008年9月18日
日本の不動産に及ぶリーマン破綻余波は
大豆生田 崇志

 米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は、リーマン・ブラザーズという老舗の大手投資銀行の破綻にまで広がった。

 この余波はどこまで広がるのか。関係者によれば、日本の不動産関連業界や地方経済に広がるという予想もある。その影響が出てくるのは、これからだ。

 「投資銀行という業種はなくなり、商業銀行しか存在しなくなるのではないか。残ったとしてもゴールドマン・サックスなど上位行だけだろう」。8月下旬、日本で長年、投資銀行業界で働いていた人物はささやいた。その予想は、現実のものになり始めている。

 米国の大手投資銀行の上位5行のうち、5位の米ベアー・スターンズが今年3月に事実上の経営破綻に見舞われ、JPモルガン・チェースに買収された。それに続いて4位の米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスがチャプター11(連邦破産法11条)の適用を申請。さらに米大手銀行バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が3位のメリルリンチを買収すると発表。上位5行のうち3行が姿を消す事態になった。

 実は今年6月下旬の段階で米ニューヨークのウォール街に拠点のある有力シンクタンクの幹部は、日経ビジネス オンラインの取材に対し、リーマン・ブラザーズなど上位の投資銀行の経営破綻はもう起きないだろう、という楽観的な見通しを述べていた。

 それまでリーマン・ブラザーズの株は、2回ほど売り浴びせられた時期があった。だが株価急落の際に「米財務省の幹部がリーマン・ブラザーズの経営はしっかりとしているという異例のコメントを出したことがあったため、破綻回避は政治的な問題」(有力シンクタンク)と見られていたからだ。

「一匹狼のベアーのほかに、投資銀は破綻させない」

 ウォール街では、どちらかというとベアー・スターンズは一匹狼のような存在だったという。一方のリーマン・ブラザーズは、他の大手投資銀行と密接な関係があり、政治的にも破綻させられないというわけだ。だが時間が経過するにつれ、リーマン・ブラザーズとの取引縮小が進んで、むしろ破綻させやすくなったという指摘もある。

 リーマン・ブラザーズは150年近くの歴史を誇る金融機関であるものの、1980年代に内紛や身売りを経て、98年のロシア危機の際に業務縮小を余儀なくされていた。しかし最近は、69年に入社して以来リーマン・ブラザーズ一筋というリチャード・ファルド会長兼CEO(最高経営責任者)の手腕で業績は上向き、株価も2006年4月に150ドルを超えた。

 日本法人であるリーマン・ブラザーズ証券も一時は人材が流出したが、東京支店在日代表に米系のモルガン・スタンレー・ジャパンに在籍していた桂木明夫氏を起用して立て直した。

 話題の案件もいくつも手がけた。例えば、2005年1月にライブドアがニッポン放送の買収騒動を仕掛けた際に、ライブドアが発行した800億円のMSCB(転換価格修正条項付転換社債)を引き受けて注目を浴びた。また、2005年4月にアステラス製薬として発足した旧山之内製薬と旧藤沢薬品工業の合併では、藤沢薬品のフィナンシャルアドバイザーを務めるなど、日本企業が関わるM&A(合併・買収)のアドバイザリーランキングで上位に並んだこともあった。

日本の金融機関がローンを出しづらい案件に触手

 米国では、次のリーマン・ブラザーズはどこかという疑心暗鬼が広がり、日本でも一時リーマン・ブラザーズに対する債権を保有する金融機関の株価が急落した。

 影響は株価にとどまらず、さらに広がる可能性がある。その余波が襲うと見られている代表格の市場が、証券化ビジネスによって急拡大した日本の不動産関連市場。米国の不動産に連動して、日本の不動産の価格も今後下がる可能性が高い。

 そもそも米国のサブプライム問題は、直接的には日本と関係はない。だがつい昨年まで、外資系の投資銀行は、積極的に不動産開発会社などにノンリコースローン(非遡及型ローン)を増やしていた。

 ノンリコースローンとは、銀行などが融資対象の物件が生み出すキャッシュフローへの評価をもとに購入資金を貸し出すもの。債務の返済が不可能になった場合の担保は、その物件に限られるため、借り手は他の資産を売ってまで返済を迫られることはないメリットがある。


外資系投資銀行のノンリコースローンは国内5割に

 業界では、昨年夏頃には外資系投資銀行が手がけたノンリコースローンの金額が、国内全体の5割に急増していたと見られている。外資系投資銀行がノンリコースローンのシェアを高めた背景は、国内の銀行とは不動産に対する見方に違いがあったからだ。

 国内の銀行は、デベロッパーと呼ばれる不動産開発会社などと取引関係を築いてローンの返済期日まで貸出債権を持ち続ける場合が多い。だが外資系の投資銀行は、基本的にローンの貸出債権を第三者に転売するという前提で不動産を評価してきた。

 金融関係者によると、例えば、ある外資系投資銀行がローンを付けたマンション物件は、駅から徒歩数分という立地の建物だった。しかし、その近くには風俗街があったために、かつてなら日本の銀行はローンを出しにくかった。そんな物件にも、外資系の金融機関は積極的に貸していた。

 中には高層マンションなのに、大通りに接した面は狭くて車も入れず、周囲の住環境とも全くそぐわない細長い物件もあったという。本来なら不動産開発に必要な周囲の土地を取得できないまま建てられたような物件に対しても、外資系の投資銀行は次々と資金をつけていた。

 それができたのは、サブプライムローンと同じように不動産の流動化でリスクから逃避する仕組みを不動産開発会社と外資系投資銀行が作り上げてきたからだ。

開発型のSPCから不動産投資ファンドに転売して利益

 その仕組みは、私募によるSPC(特別目的会社)を活用するものだ。まず不動産開発会社は開発型と呼ばれるSPCを設立する。その開発型SPCに、不動産開発会社は自らの資金で取得した土地をまとめて転売し、利益を得る。

 開発型SPCは、その土地にマンションなどの物件を建設して、完成後に利益を得る手段として、外資系投資銀行などが出資する不動産投資ファンドなどに転売する。

 不動産開発会社はSPCから配当などの形で利益が入るうえに、転売の段階でも利益を上げられる仕組みを作り上げていた。その利益でさらに新規の開発案件を仕込んでは、また転売して利益を積み上げてきた。

 こうした転売による利益創出モデルが、サブプライム問題によって崩れてしまった。というのも開発した物件の売却先である不動産ファンドに、外資系投資銀行がローンを出せなくなったからだ。

 開発型のSPCが物件の転売をできなくなると、資金の回収もできない。開発型SPCが不動産を取得して物件を建てるために調達した資金は、返済順位に応じてデットとエクイティに分けられる。エクイティは全体の5%程度で不動産開発会社が主に出資している。残りの95%はデットで、これはリスクに応じてメザニンとノンリコースローンに分かれる。

 ノンリコースローンは全体の70%程度で、ローンの出し手は内外の金融機関。残ったメザニンは全体の25%程度を占め、主に物件の建築に関わる建設会社が出す格好になっているという。

 このノンリコースローンの返済期限は、マンションなどの建物の工事期間に当たる1~2年と短い。そのため、開発型SPCは不動産ファンドなどに転売できずに資金を回収できないと、ローンの借り換えをするか、仕入れ値より安値で売却して返済資金を確保するしかない。不動産開発会社も開発型SPCに投資しているため、安値での売却だと自らの投資資金を回収できず、財務が傷むという構造だ。


建設会社に危機

 転売モデルの破綻は不動産開発会社だけではなく、建設会社にも影響を与える。建設代金の回収ができなくなる恐れがあるからだ。建設会社は、物件の完成に合わせて不動産開発会社から工事代金を受け取る。通常は、工事の進行に合わせて着工日に代金の10%、建設途中に10%を受け取り、建物の完成時に残りを受け取るといった契約を結ぶ。

 そのため完成後に開発型SPCが不動産ファンドなどに転売できなければ、建設会社は代金を受け取れない場合もある。代金を受け取るまで建設会社は、人件費や鉄骨代などを先払いしなければならない。

 また先に述べたように、建設会社も開発型SPCに投資している。エクイティ部分の保有者である不動産開発会社が売却する権利を放棄すると、物件を売却処分する権利はメザニン保有者である建設会社の元に渡る。

 その物件がエクイティ分を除いた価格である95%よりも高く売れれば問題はない。しかし関係者によると、現在はメザニンを保有する建設会社が売ろうとしても売れない事態が出始めていると見られる。その混乱が、今年9月からもっと広がる恐れがあるというのだ。


地方経済に痛手も

 不動産価格のピークとされる2007年春頃に不動産開発会社が土地を手に入れて、昨年10月頃から建物を作り始めようとしていた建設会社は、改正建築基準法によって建築確認許可をもらうのが遅れたうえに、鉄骨など資材の高騰の影響も被ってきた。いわば不動産価格が高騰した時期に手がけた物件を下落時に完成して売りに出さなければならない。こうして資金繰りの苦しい建設会社は、市況変動の波をまともに受けて危機的な状況に追い込まれてしまう。

 とりわけ公共事業投資の削減の影響で売り上げが欲しい地方の建設会社は、都心のマンション建設などに新規参入したばかりのところが少なくない。しかも傘下に多くの中小の工務店を抱えている。こうした建設会社が経営が悪化すれば、引当金を積むのを余儀なくされる地方の金融機関が増えて、ひいては地方経済をいっそう冷え込ませかねない。

 こうした私募SPCの市場は20兆円規模と推測されている。すでに物件が不動産ファンドなどに転売済みであれば、ファンドへのノンリコースローンの返済期限は比較的長いため、賃貸収入でキャッシュフローが得られるので、すぐには問題とはならない。だが開発型のSPCに仕掛かり品として滞留している物件は、売るめどが立たなくなる恐れがある。

 1990年代のバブル崩壊時には約120兆円の不良債権が出たとされる。それに比べ今回のサブプライム問題に端を発した不動産危機は、それほど大きな規模ではないという見方もある。だが規模は小さくとも、とりわけ地方に影響を与えてしまう可能性がある。そして何よりも、その余波が広がるのは、まだこれからなのだ。
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2008-09-17(Wed)

越水にも強い堤防の建設を認めていた国交省

淀川流域委に「技術的に未確立」と説明していたのに・・・

「淀川水系流域委員会が、ダム建設を否定して堤防強化を求めたのに、それを無視して整備計画案にダムを盛り込んだ・・・・・・・
 だが、温暖化に伴う超過洪水の頻発に伴い、ダムに頼る治水は早晩破綻(はたん)すると国も覚悟している節がある。というのも、堤防の安全基準の引き下げ後、「技術的に未確立」としてタブー視してきた越水にも強い堤防の建設を今年6月、破堤災害などの被災個所に限って認める通知を出したからだ。技術的に可能と公認したわけで、あとは適用範囲を広げさえすればいい。」(毎日)

事実なら驚きだ。国交省は嘘をついていたことになる。
「通知」を手に入れ、国交省にも確認しなくては・・・・



毎日新聞 2008年9月17日 東京朝刊
川辺川ダム 国交省、中止即断せよ=福岡賢正(西部報道部)
 ◇福岡賢正(けんせい)
 ◇「治水と環境」両立技術ある--温暖化対応モデルを目指せ
 熊本県の蒲島郁夫知事が川辺(かわべ)川ダム計画への反対を表明し、国も計画の再検討を始めた。ダムは環境を壊し、想定を超えた超過洪水には無力と知った県民の圧倒的な「ノー」の声が、巨大ダム計画をここまで追い込んだのだ。国土交通省はダムに固執するあまり「治水か環境か」と国民に二者択一を迫ってきたが、実は「治水も環境も」両立できる技術を持つ。川辺川ダム建設断念を迫られた今こそ、それを使って治水を行い、地球温暖化で超過洪水の頻発が予想される未来型治水のモデルにすべきだ。

 川辺川ダム計画(66年発表)がある球磨(くま)川水系には、100年に1度の洪水に対応できるとして建設された県営の市房(いちふさ)ダムがある。ところが完成から50年足らずの間に計画通りの洪水調節ができなかったことが3度もあり、うち1回は「ダム決壊の恐れがある」との情報が流れた。しかもダム下流には年中濁った水が流れ、砂れきの供給がダムで断たれた結果、瀬とふちが続く川本来の景観も失われた。

 急流下りで知られる人吉市より下流の球磨川が、清流と呼べる水質と変化に富んだ川の姿を保っているのは、流域面積、流量ともに本流を上回る川辺川にダムがないからだと、住民は肌で感じとっていた。17年前、川辺川ダム建設予定地の下流で反対運動が始まり、たちまち大きなうねりとなったのはそのためだ。

 そんな流域のダム反対機運を広く県民に共有させたのが、潮谷義子前知事が01年から始めた住民討論集会だった。川の情報を独占するプロ集団の国交省と、手弁当で活動する反対派が公開で論を戦わせるこの取り組みは、国に圧倒的に有利なはずだった。なのに、情報公開制度を使って反対派が同省から入手したデータは県民のダム不信を増幅させ、世論調査で「ダム反対」が半数を超えたのだ。

 今春の知事選にダム推進を唱える候補が一人も立てず、推進の旗を振ってきた流域市町村の首長が相次いでダム反対や中立へとかじを切り始めたのも、その下地があったからだ。蒲島知事の反対表明はその集大成にほかならない。

 ダムをやめれば水害が防げないと心配する人もいるが、杞憂(きゆう)だ。ダム無し治水に使えるノウハウを国交省はすでに持っているからだ。その一例が、満水になるまで耐えられ、越流しても急激には破堤しないよう堤防を強化する技術だ。

 今の堤防の安全性は上端から下方に一定の余裕(球磨川は1・5メートル)を残した水位までしか保証されていない。これを満水でも耐えられるようにすれば、ダムの調節量くらい川で流せるようになる。超過洪水時にダムが調節不能に陥るのに対し、これなら予定の水量は川で流せ、たとえ越水しても一定時間持ちこたえるから壊滅的被害も防げる。

 国交省はその設計指針を00年に策定し、全国の堤防を順次強化していくよう通達した。ところが、川辺川ダムの住民討論集会で反対派が堤防強化計画を根拠にダムを不要と主張した途端、設計指針を改定し、安全基準を昔の水準に引き下げてしまったのだ。

 以来、堤防強化という選択肢を国交省は意図的に排除し、「ダムか水害受容か」と国民を脅してきた。河川整備に流域住民の声を反映させようと省自身で設置した近畿の淀川水系流域委員会が、ダム建設を否定して堤防強化を求めたのに、それを無視して整備計画案にダムを盛り込んだのがその象徴だろう。

 だが、温暖化に伴う超過洪水の頻発に伴い、ダムに頼る治水は早晩破綻(はたん)すると国も覚悟している節がある。というのも、堤防の安全基準の引き下げ後、「技術的に未確立」としてタブー視してきた越水にも強い堤防の建設を今年6月、破堤災害などの被災個所に限って認める通知を出したからだ。技術的に可能と公認したわけで、あとは適用範囲を広げさえすればいい。

 ほかにも、緊急時のみスライドさせて高さを上げられる特殊堤防など、すでに複数の河川で採用された技術もたくさんある。

 この問題を取材してきた18年間に、現場で働く何人もの国交省職員から、ダム計画があるばかりに住民本位の治水に取り組めない苦悩を聞いた。今回の知事表明は、国交省がその愚を改めて潔く計画を中止し、職員が誇りを持って川づくりに取り組めるようにするチャンスでもある。

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 ご意見は〒100-8051毎日新聞「記者の目」係kishanome@mbx.mainichi.co.jp
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2008-09-17(Wed)

リーマン経営破綻  日本への影響は限定的か?

金融危機の波は日本に及んでいる 建設・不動産 相次ぎ倒産

のんきに総裁選やってる場合か!
そのせいか、いつものことだが日本への影響は限定的・・・と政府発表。

「リーマンの大口債権者には日本の金融機関が名を連ねている。金融派生商品(デリバティブ)の取引相手になっている金融機関もたくさんある。同社の破綻が日本の金融市場に混乱をもたらすことがないよう、金融当局は細心の注意を払うべきだ。」(日経)

日本の金融機関のリーマン向け債権、総額3200億円。
うち、1400億円は担保などで保全されていないという。不良債権になる。
これを償却するため貸し渋り、貸しはがしに走らないか、監視が必要だ。

「個別の金融機関の問題以上に心配なのは、米国の金融危機がもたらす世界経済への悪影響だ。米国では住宅の不振に加え、生産や雇用も悪化しており、米国向けの輸出がさらに打撃を受ける公算が大きい。
 日本では、すでに米国発の金融危機の波が金融や不動産業界に及んでいるが、輸出メーカーなどに今後幅広く悪影響が広がる心配もある。」(日経)

週刊ダイヤモンド(9/6号)が「ゼネコン不動産同時多発破綻!」という特集をしていた。
「銀行が追い詰め、外資が群がったアーバンコーポレイション倒産劇」という記事もある。
外資はリーマンではないが、米銀大手のバンク・オブ・アメリカに救済合併されたメリルリンチだ。

「借り入れをテコにビジネスを急拡大してきた新興ディベロッパーの倒産が続発している。」
と書いているように、背景にあるのは「投機マネー」だ。

日本がここ数年歩んできたアメリカ型金融自由化路線。
その破綻が始まったのであり、「影響は限定的」などのんきに言っている場合ではない。




日経新聞 2008年9月17日
国内主要行のリーマン向け債権、総額3200億円 金融庁が公表

 金融庁は17日、自民党の政務調査会金融調査会・財務金融部会で、国内主要銀行の米リーマン・ブラザーズ向けの債権額(16日時点)を示した。総額は約3200億円で、このうち担保などで保全されていない部分は約1400億円と44%に上る。

 債権額で最も多いのは三井住友フィナンシャルグループで1034億円だった。次いであおぞら銀行の693億円。一方、地域銀行30行・社の債権額は合計で約610億円だった。

 同部会は金融庁のほか財務省と日銀からヒアリングを実施。米リーマン・ブラザーズの破綻など金融情勢の混乱について議論し、政府・日銀に対して総合経済対策や金融政策などで適切な対応をとるよう求める提言をまとめた。 (20:04)

日経新聞 2008年9月16日
リーマン破綻、官房長官「国内の影響はごく限定的」
 町村信孝官房長官は16日午前の記者会見で、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんについて「現時点で各金融機関の自己資本の厚みなど、日本の金融機関の経営に重大な影響を与える状況にない。影響はごく限定的である」と述べた。「株式、為替市場の状況を注視していく必要がある。日本経済に与える影響はおいおいあるかもしれない。中小企業などへの悪影響を生じないように対応する」と語った。 (11:58)

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日経新聞 2008年9月17日
社説 「米国発金融恐慌」防止へ果断な措置を(9/17)
 グリーンスパン前・米連邦準備理事会(FRB)議長が言うように、まさに「50年以上か、100年に1度の事態」が米国で起きつつある。日本が3連休の間に、米国の大手4大証券会社のうち1つが破綻、1つが買収され、米最大の保険会社が経営不安に陥った。

 米国の金融危機が止めどなく続けば、世界経済には計り知れないほどの悪影響が及ぶ。米国の金融当局は問題が噴出するごとに応急措置を取るのではなく、大胆な公的資金の活用も含む果断な措置を検討すべきではないか。

救済期待の拡大を防ぐ

 経営不安に陥っていた米証券4位のリーマン・ブラザーズが破綻したのは、米政府が救済を拒絶したためだ。今年に入って表面化した米証券、ベアー・スターンズや米住宅公社2社の経営危機で、政府が事実上の救済措置を取ったのとは対照的な判断だ。今回も救済に動けば、「規模が大きい金融機関なら失敗しても救ってもらえる」という甘えがまん延するとの懸念が、米政府の決断の背景にある。

 ベアーの経営危機が起きた3月時点と比べると、金融機関が資金繰り難で急につぶれる懸念は薄らいでいる。FRBが証券会社に直接資金を供給する制度を設けたためだ。今回はこの仕組みを強化し、株式など高リスクの有価証券も資金供給の際の担保として受け入れることにした。

 こうした手当てをしたうえでの破綻容認だが、リーマンの債権者や取引相手の中には大きな打撃を受けるところが出てくる可能性もある。証券3位のメリルリンチは米銀大手のバンク・オブ・アメリカに救済合併されたが、金融不安の高まりから、ほかの証券会社や銀行の経営不安が新たに表面化する恐れもある。

 当面の最大の焦点はすでに経営不安に陥っている米大手保険会社のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の資金確保がどう進むかだ。米国だけでなく、世界中に多くの個人顧客を抱えたAIGが破綻した場合の影響は甚大だ。

 今回の米国の金融危機は三洋証券と北海道拓殖銀行の破綻、山一証券の自主廃業が1カ月の間に相次いで起きた1997年11月ごろの日本の金融界の惨状を思い起こさせる。

 当時日本は、米国をはじめとした海外諸国から「日本発の世界金融恐慌を起こしかねない」と批判を浴びたが、結局不良債権問題の解決までさらに5、6年を費やしてしまった。米国の金融危機が長引いた場合の世界経済への影響は、当時の日本をはるかに上回る。「米国発の世界金融恐慌」を起こさないよう、米国の金融当局は全力を挙げて危機の解決に取り組むべきだ。

 問題の根は、米当局が危機が近づくまで積極的な措置をちゅうちょしてきたことにある。

 米財務省は、問題含みの銀行や証券会社に対して増資を促すなど、金融機関に自主的な取り組みを求めてきた。ただ、リーマンの場合は、迅速な対応を怠ったあげく、最後は自力で資本を確保できなくなってしまった。同じような例が相次ぐ可能性もある。

 今回の救済拒絶が「最後は政府が助けてくれる」という金融機関の甘えをぬぐう面はあるかもしれないが、民間任せは限界に来ているようにも見える。不良債権の買い取り機関の創設など、問題の処理を先送りせず、政府が前面に出た仕組みづくりも考えるべきだ。

対岸の火事と言えず

 日本も対岸の火事と安心してはいられない。

 リーマンの大口債権者には日本の金融機関が名を連ねている。金融派生商品(デリバティブ)の取引相手になっている金融機関もたくさんある。同社の破綻が日本の金融市場に混乱をもたらすことがないよう、金融当局は細心の注意を払うべきだ。

 また、経営不安が表面化しているAIGは日本子会社を通じて、がん保険などの保険商品を積極的に販売している。同社は経営立て直しへ向けて、民間金融機関から資金を調達しようとしており、米金融当局と連携しつつ、必要ならば側面支援も検討すべきだろう。

 個別の金融機関の問題以上に心配なのは、米国の金融危機がもたらす世界経済への悪影響だ。米国では住宅の不振に加え、生産や雇用も悪化しており、米国向けの輸出がさらに打撃を受ける公算が大きい。

 日本では、すでに米国発の金融危機の波が金融や不動産業界に及んでいるが、輸出メーカーなどに今後幅広く悪影響が広がる心配もある。

 もちろん、心臓部が直撃を受けた米国と異なり、日本経済そのものには短期的に調整が求められる問題があるわけではない。だが、米国発の金融危機が生み出す津波がどんな形で日本経済に及んでくるのかはきめ細かく見ていく必要がある。

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2008年9月17日(水)「しんぶん赤旗」
主張: 米証券大手破たん カジノ資本主義に退場宣告を

 アメリカの大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが破たんし、ニューヨークをはじめ世界の株式市場が大幅に下落しています。

 ニューヨーク市場の十五日の下落幅は五〇〇ドルを超え、二〇〇一年の9・11同時テロ以来の大きな下落率を記録しました。これを受けて十六日の東京市場では、日経平均株価が六〇〇円余りも値下がりしました。外国為替市場ではドル売りが進み、大幅な円高・ドル安となっています。

 「リーマン・ショック」はアメリカの金融・経済危機の深刻さを改めて浮き彫りにしています。

米史上最大の倒産

 リーマン・ブラザーズは、企業の株式・債券の発行や合併・買収で稼ぐ「投資銀行」と呼ばれる金融機関です。
 規模は全米第四位、一八五〇年創業の老舗です。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅ローン)の破たんで巨額の損失を抱えました。

 過去に何度も陥った経営危機や、ニューヨーク本社の移転を余儀なくされた同時テロの被害にも、リーマン・ブラザーズは生き残ってきました。しかし、サブプライムローンで極限に達したアメリカ経済の投機化の主役の一人となり、荒かせぎした揚げ句、バブル崩壊でついに命脈を絶たれました。

 リーマン・ブラザーズが抱える負債は六十兆円に上り、アメリカ史上最大の企業倒産です。

 米英は一九八〇年代から国際金融市場の自由化に乗り出し、投機マネーが国境を超えて膨張する経済の「カジノ化」を推進してきました。投機マネーは東アジアでは通貨危機を引き起こし、アメリカでも大手ヘッジファンド(国際投機集団)の破たん、IT(情報技術)バブルの崩壊など経済危機を招いています。

 投機マネーは敏感に大もうけのにおいをかぎとり、“後は野となれ山となれ”で市場を荒らし、バブルが崩壊すれば新たなバブルに向かいます。その行き着いた先が、サブプライムローンによる証券バブルです。焦げ付きの危険が高いローンを組み込むことで「ハイリターン」を確保し、関連の格付け会社が安全を保証して「ローリスク」を演出することで世界中に広がりました。

 「悪魔の知恵」と呼ばれるやり方で低所得層を巻き込んでつくった、だれも本当の価値が分からない金融商品を世界にばらまいて利益を吸い尽くす―。それほど腐り切った資本主義です。ゆきづまるのは当然です。

 リーマン・ブラザーズと同じく経営危機に陥っているメリルリンチ(米投資銀行三位)は、商業銀行に吸収合併されることになりました。保険の世界最大手・米AIGなどの経営危機が表面化する恐れが指摘されています。「リーマン・ショック」が今後、どう波及するのかは予断を許しません。

問われる対米追従

 米ブッシュ大統領は「短期的には痛みを伴うが、長期的には調整に自信を持っている」とのべています。しかし、アメリカ経済は、産業を空洞化させて財政赤字と貿易赤字を垂れ流し、金融投機で世界の富を引き寄せ、貧富の格差を広げながら繁栄を続けてきました。問われているのは、そんな「カジノ資本主義」の持続可能性であり、アメリカ型に追従する日本の経済運営です。
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2008-09-17(Wed)

政権投げ出しが生み出した機能不全内閣 国民生活そっちのけ

汚染米、リーマン破たん・・・ 相次ぐ重大事態も対応できない無責任

福田総理の政権投げ出しで始まった。
重大事態に対応できない無責任。

「国会で議論があってしかるべきときだ。野党は閉会中審査を求めている。
自公政権はここは積極的に応じてはどうか。政権が考えている以上に迎えている事態は深刻だ。
真正面からのメッセージを発せられないのなら、政権与党は総選挙で大きなツケを払わされることになる。」(東京新聞)



東京新聞 2008年9月17日
【社説】
自公政権 嘆かわしい政治“空白”

 自民党総裁選が当事者の思惑を外れて盛り上がらない。折から汚染米、北朝鮮情勢、金融危機などの相次ぐ緊急事案に自公政権は対応できているのか。“空白”が招く国民の不安を重く受け止めよ。

 福田康夫首相の退陣表明による事実上の「首相不在」が必要以上に長引いているのではないか。

 後継総裁選びは折り返し点を過ぎた。すでに麻生太郎氏が過半数を固める情勢で、政策論争も空回り気味だ。麻生氏は人事の一端も口にしている。「消化試合」になっているのに五候補の全国行脚は二十二日の投開票前日まで続く。

 国内外で難問が相次ぐ中、いかにも間の悪い総裁選だ。

 米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんを受け、候補者の与謝野馨経済財政担当相が選挙運動よりも職務の方を優先するらしい。世界的な株安連鎖で東京株式市場は大幅に下落。景気後退局面に入った日本経済への打撃を考えれば、当然のことだ。

 拡大の一途である汚染米問題は食の安全の根幹を揺るがした。

 チェック機能を果たせなかった農林水産省は対応が鈍い。大阪農政事務所の元課長が不正転売した業者から接待を受けていた問題まで飛び出した。あきれるばかりだ。政府はようやく汚染米の流通先約三百八十社を公表。首相は野田聖子消費者行政担当相を中心に原因究明と再発防止にあたるよう指示した。だが、国民には政府一丸となった取り組みと受け取られているかどうか。

 外交も後手に回っている。

 退陣表明のあおりで北朝鮮は拉致の再調査延期を通告した。一方金正日総書記の重病説は間違いなさそうで、統制の緩みに伴う不測の事態も懸念される。日本の安全保障にもかかわることだ。情報収集・分析や米・韓国との連携が不可欠だが、万全なのか。日中韓首脳会談も結局延期になった。

 不安感を募らせる混沌(こんとん)とした事態が続くとき、国民は指導者の「顔」をみる。本人は空白をつくっていないとの思いでも、どうしても“主”なき政権内は緩みがちになる。

 国会で議論があってしかるべきときだ。野党は閉会中審査を求めている。自公政権はここは積極的に応じてはどうか。政権が考えている以上に迎えている事態は深刻だ。真正面からのメッセージを発せられないのなら、政権与党は総選挙で大きなツケを払わされることになる。
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2008-09-16(Tue)

汚染米 なぜ輸入、なぜ販売 絶対おかしい!

そもそも、輸入を禁止し、流通させるべきではない

汚染された米(=商品)を輸入すること自体がおかしい。
そのうえ、それが流通することも、さらにおかしい。

輸入してはいけないものを、輸入し、流通させる。政府の責任だ。

「三笠フーズ」などが「儲け話」として、さまざまなルートを使って「マネーロンダリング」ならぬ「毒コメ・ロンダリング」しようとしたが、きれいに洗浄できず、毒をまきちらした・・・ような構図だ。
こんな犯罪の温床を政府がつくったのではないか。

検査・チェック体制や癒着の問題も徹底解明すべきだが、やはり、そもそも疑問がわく。
なぜ、輸入してはいけないものを、輸入し、流通させたのか。

さらには、日本のコメは余ってると減反までしているのに、なぜ、輸入なのか。
世界では食糧不足なのに、日本が買うことで価格を吊り上げ、食糧難にあえぐ人たちが食糧を口にできない事態を拡大している。
食糧政策を根本から変える時に来ている。つくづくそう思う。




朝日新聞 2008年9月13日(土)付
社説:汚染米問題―農水省に任せておけぬ
 農薬などで汚染された「事故米」の影響は、いったいどこまで広がっていくのか。またも信じがたい事実が明らかになった。
 工業用ののりなどにしか使えないはずの汚染米が、あろうことか、赤飯やおこわになって、病院や特別養護老人ホーム、保育園の給食として出されていたというのだ。焼酎や日本酒、菓子にとどまらず、多くの人の口に直接入っていたことになる。
 保育園などでは、残っていた米から基準を超える農薬成分が検出された。
 不正の被害は、日ごとに拡大するばかりだ。流通先は数多く、騒動の発端となった「三笠フーズ」のほかに、新たに2社が汚染米を転用していた。仕入れた酒や菓子のメーカーは全国の店に並ぶ製品の回収に追われている。
 安全な食べ物を売るという当たり前の商道徳は、なぜこれほど失われてしまったのか。「食の安全が保たれていない」などと、よその国を批判できる状況ではあるまい。
 それにしては、農林水産省の対応は危機感が薄すぎる。
 農水省は汚染米が流通した業者名の公表に積極的ではない。公表について同意が得られなかった業者名は、原則として発表していない。患者や職員らが米を食べてしまった病院名などについても、口をつぐんでいる。食品の安全衛生にかかわることは厚生労働省の管轄であり、農水省には権限がない、というのだ。
 業者が被る影響を考えてのことかもしれないが、どこまで流通したかがわからなければ、消費者はいっそう不安になる。それは結果的に業界をさらに追いつめることを忘れてはいけない。
 そもそも、汚染米の転用を招いた責任は農水省にもある。
 転用された汚染米の大半は、農水省が業者に売り渡した輸入米だ。保管中にカビが生えたり農薬成分が検出されたりしたものだが、それを「工業用」として買い取ってくれる業者は農水省にとってありがたい存在だった。
 農水省は汚染米を扱う業者の不正を見抜けなかった。その背景には、業者とのなれ合いがあったのではないか。そう勘ぐりたくもなる。
 福田首相は太田農水相に流通経路の解明などを指示した。しかし、もはや当事者の農水省だけに任せてはおけない。政府は野田消費者行政担当相のもとに情報を集約し、厚労省や自治体などとも十分連携しながら事件の全容解明に総力を挙げるべきだ。
 福田首相が政権を投げ出したからといって、政府が休業状態であっていいわけがない。まだ健康被害が報告されていないとはいえ、ことは国民の安全にかかわる。流通経路の解明と再発防止の対策づくりを急ぎ、一日も早く混乱を収めてもらいたい。


産経新聞 2008.9.7 03:10
【主張】汚染米の転売 農水は事後監視の徹底を
 食用には適さず、工業用糊(のり)の原材料などに使われるはずの汚染米が加工食品用として販売されていた。「食の安全」を脅かす不正行為がまたも明らかになった。
 再発防止の観点からも不正転売には厳しい追及が必要だ。一方で売却した農林水産省の事後監視体制にも少なからず問題点が指摘されている。徹底した見直しが必要となろう。
 ウルグアイ・ラウンド合意で日本は平成7年度からコメの最低輸入義務を課され、現在は年間70万~80万トンを中国などから輸入している。このうち2000トン程度は輸入後検査で基準値を超す農薬やカビの発生が確認されている。
 農水省はこれを「事故米穀」として区別し、食用には回さないことを条件に民間に売却している。価格は食用米の5分の1程度が相場とされ、今回はこの仕組みが悪用された格好だ。
 不正転売をしていた三笠フーズ(本社・大阪市)は、15年度から現在まで計1779トンの事故米穀を買い取っていた。最近の2年間では、少なくとも430トン程度を焼酎や米菓の材料として不正転売していた可能性が強い。
 転売された汚染米については、事前に洗浄やカビの除去作業が行われていたとして、農水省は「ただちに健康被害につながる恐れはない」と消費者に冷静な対応を呼びかけている。
 だが、これまでの調べで、三笠フーズは二重帳簿の作成や出荷記録の偽造・廃棄を行っていたことも明らかになっている。会社ぐるみの極めて悪質な不正行為と言わざるを得ない。消費者の不安解消のためにも、転売先の追跡調査には万全を期してほしい。
 農水省は食品衛生法違反罪で同社を刑事告発する方針という。当然のことではあるが、他の事業者には問題がないのかどうか。売却後の事故米穀の転売については対象を三笠フーズ以外にも広げ、さらに徹底した調査をすることが求められよう。
 同時に、事故米穀の売却体制そのものも再検討すべきだ。農水省は販売計画書や売上伝票などでチェックはしていたというが、不正を見抜けなかったのも事実だ。計画的不正にも対処できる新たな事後監視体制も考えたい。
 食品の産地偽装など食の安全に対する国民の不信感は危険水域まで達している。消費者行政の抜本改革が急がれる。


東京新聞 2008年9月13日
【社説】汚染米拡大 農水省こそ“共犯”では
 不正転売された汚染米の被害は、病院や福祉施設にまで広がった。業者は言語道断だ。だが背景には、安全安心の守護者であるべき農林水産省が、食品や生活者に向き合う姿勢の甘さがある。
 「いったい何を信じればいいの」。消費者の叫び声である。
 残留農薬などによる汚染米の流通は近畿から東海にも及び、大手酒造会社は、原料に汚染米が混入した人気銘柄の焼酎六十五万本の自主回収に乗り出した。
 とりわけやり切れないのは、汚染米を使った食品が、特別養護老人ホームや病院にまで及んでいたことだ。楽しみにしていた赤飯やおはぎの中に毒物が混じっていたことを知らされたお年寄りたちの不安は、察するにあまりある。
 農水省は不正競争防止法違反の疑いで三笠フーズを刑事告発し、「根本的には事業者の食に対する認識不足」として「汚染米」の売買を全面的に禁止する方針などを打ち出した。だが、認識を欠いているのは、農水省も同じである。
 国際協定で輸入を強制されたミニマムアクセス(最低輸入量)米は、政府に課された重いノルマだ。しかし、「事故米」なら、国内農業に影響を与えずに、輸入義務量に計上できる。買い取ってくれる業者も、いわばありがたい存在だ。三笠フーズを筆頭にその数も限られており、“顔が見える関係”になりやすい。検査も甘くなるはずだ。そもそも食用にはできないものを、なぜ食品業者に卸すのか。安全よりもノルマを優先させた実態が、不正転売の温床だったと批判されても仕方がない。 消費者軽視は他にもある。農水省は「残留農薬は基準値以下で、ただちに健康には影響がない」「風評被害の恐れがある」と、汚染米の転売先を全面開示していない。カドミウム汚染米の時も、牛海綿状脳症(BSE)でも、調査結果を十分公表しないまま「安全」と繰り返し、消費者の疑心暗鬼を招いたことに懲りていない。
 汚染米の流通実態を解明し、再発防止を徹底するために、国会の閉会中審査が必要だ。そして、消費者庁の創設を待つまでもなく、まず農水省自らが「食品」という特別な商品に対する認識を改めるべきだ。
 規制緩和、自由競争の流れの中で、生命や健康の基となる食品業界が特に、「利益至上」という“毒”に汚染されている。不正競争防止法では心もとないというのが実感だ。厳罰化もやむを得まい。


東京新聞 2008年9月10日
【社説】汚染米転売 これは『事故』ではない
 「怒り心頭」。三笠フーズから汚染米をそれとは知らずに買い入れた焼酎メーカー社長のこの言葉は、愛飲してきた消費者の怒りでもある。官民のなれ合いがまた一つ、食への不信を募らせた。
 減反の必要性が叫ばれながら年間七十七万トンのコメが米国や中国などから輸入されている。国内農業の保護政策と引き換えに日本が受け入れたミニマムアクセス(最低輸入量)があるからだ。輸入米はみそや酒、菓子類への加工用などにされている。
 大半が船で運ばれてくるため、水にぬれたり、かびが生えたり、あるいは日本の基準値以上の残留農薬が検出され、食用にできないコメが出る。政府はこれらを「事故米」とし、工業用のりや建設資材の原料など、用途を限って安く払い下げている。 三笠フーズの不正は十年に及ぶとされ、ここ五年の政府売却分の約四分の一を落札したほか、商社経由でも「事故米」を買いあさり、酒造会社に転売して「利ざや」を稼いでいたようだ。
 裏帳簿や偽領収書を作成して「食用」の袋に詰め替えるなど、組織的、計画的で悪質だ。
 厳しく責任を追及し、国内での流通ルート、農薬の混入経路なども早急に解明しないと、食への不信はますます募る。
 それにしてもふに落ちないのは、農林水産省の対応だ。五年で百回近くも立ち入り調査しながら、これだけの不正を見抜けないのでは甘いと言われても仕方がない。
 どうせ、ご飯としては食べられないコメだから、「売り払えればそれでいい」という気持ちの緩みはなかったか。官民のなれ合いが、地域でまじめに業績を伸ばしてきた焼酎メーカーを窮地に追い込み、コメの多用途化に水を差す。農水省の責任は軽くはない。
 「中国製毒ギョーザ事件」と言われるように、メタミドホスは毒物だ。「健康には影響がない」と言われても、メタミドホス入りと承知で「毒米」が払い下げられてしまったことに、そもそも感覚のずれがある。「毒米」は見つかれば、輸入元へ返品するか、廃棄すべきではないか。 消毒された種もみは、薄く着色を施し、間違って食べないように区別している。食用外に限るなら、このような目印を施して流通させるべきである。
 官民ともに「食べ物」に対する姿勢をさらに厳しく改めないと、生活者の不安はぬぐえない。


2008年9月10日(水)「しんぶん赤旗」
主張:ミニマムアクセス米 破たんした「義務」的輸入
 国民が必要としていないにもかかわらず、政府は毎年、外国米を大量に輸入しています。食の安全と食料自給率引き上げが求められる中、ミニマムアクセス(MA)米と呼ぶ外国米の輸入に、国民の目が一段と厳しくなっています。
 MA米の輸入が始まって十三年、制度の破たんは国内、国際の両面で明らかになっています。政府はMA米の輸入を中止するとともに、輸入を押し付ける世界貿易機関(WTO)協定の抜本改定を追求すべきです。
「全量輸入」できず
 MAは一九九三年、WTOの前身であるGATT(関税貿易一般協定)のウルグアイ・ラウンド交渉で導入されました。農産物のうち日本が唯一自給できるコメの市場に風穴を開けるものでした。
 当時の政府が国産米の需給に影響を与えないと約束し、実際に外国米の需要がほとんどないこともあって、多くが倉庫に積み上げられ、管理に多額の税金が投入されてきました。半面でMA米は一部の外食産業や加工用に使われ、「コメ余り」の要因になってきました。そのもとで、政府は農家に厳しい減反を強制してきたのです。
 各党がMA米の輸入を「仕方ない」と受け入れた一方で、日本共産党は食料自給率を引き上げる立場からコメ市場の開放に一貫して反対してきました。WTO協定を精査して、MAは「輸入機会」を提供するとの約束にすぎず、その全量を買い入れる「義務」はないことを明らかにし、政府に輸入の中止を迫ってきました。
 政府は、コメは「国家貿易」だから全量を買い入れる「義務」があると主張してきました。ところが今年、全量輸入が「義務」だという政府の主張が崩れました。
 農水省は二〇〇七年度もMA米を全量(七十七万トン)輸入する予定でした。しかし、コメの国際価格が急騰する中で、業者が希望する買い取り価格では入札が成立しない事態が生じたのです。農水省は結局、〇七年度のMA米の輸入を約七万トン残して打ち切ってしまいました。これは政府の判断で輸入量を変えられることを、政府自らが明らかにしたものです。
 MA米輸入を見直すべきだとの主張は、農業関係者と広範な国民、さらに農水省の官僚にも広まってきました。今回の農水省決定を報じたメディアが、MA米不要論の高まりを指摘したのも、世論の変化を反映しています。それにもかかわらず、なんらの検討もしないまま〇八年度の輸入を強行する農水省の姿勢は許されません。
 世界的な食料危機の中、コメ不足から暴動が起きた国さえあります。日本が不要なコメを輸入し続けることは、途上国の人びとの貴重な食料を横取りするもので、道理がありません。政府は、MA米輸入が「義務」でないことを認め、きっぱりと中止すべきです。
WTO協定の改定を
 世界的な食料危機に直面して、各国はいま食料自給率を引き上げる必要に迫られています。WTOのドーハ・ラウンド交渉が七月に決裂した背景には、市場開放の押し付けに対する各国の批判があります。
 自給率が先進国中で最低の日本は特段の引き上げ努力が必要です。そのために、WTO協定を抜本的に改定し、食料主権を確保することが不可欠です。
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2008-09-16(Tue)

「イマジン」 清水義範著

イマジン

イ マ ジ ン

書名: イマジン     著者:清水義範
出版:集英社文庫         発行年月 2008年08月
価格:1,000円(税込)

本の内容
19歳の翔悟は父と大ゲンカして家を出た。一人暮らしを始めたある日、彼の周囲でデジタル時計がカウントダウンを開始、突然、23年前の東京にタイムスリップ。途方にくれる彼が、身分を明かさず若き日の父を訪ねると、社会人2年目の情けない男がいた。古い歌謡曲が流れる不思議な世界で共同生活を始めた二人はその年に射殺されるジョン・レノンの救出を誓うが…。時を超えた親子の絆を描く感涙長編。

著者情報
清水 義範(シミズ ヨシノリ)
1947年10月28日名古屋市生まれ。愛知教育大学卒業。81年『昭和御前試合』でデビュー。88年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。奇抜な発想とユーモアを駆使した作品を次々と発表。著作多数

※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。
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購入日 2008年9月3日 
読始日 2008年9月3日
読了日 2008年9月8日
<感想メモ>
 「ジョン・レノンの救出」という部分に興味が湧いて読んでみた。親子の絆というのが主テーマというより、現在(2000年代)の若者と1980年当時の時代の比較がおもしろい。携帯電話など当たり前の2000年代の若者と、初期のパソコン開発に携わる80年代の若者との交流、感覚の違いなど工夫されている。ただ、時代をつくりかえることができない、という当然ながらの設定のため、ジョン・レノンを救出に向かうが、時の番人らしき者に阻止される。これを「救出に成功」して時代を少し変化させたらどうなっていただろうという思いがわいた。
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2008-09-15(Mon)

麻生氏が総理になったら・・・ 「3年据え置き」後、消費税10%に増税

岡崎市は豪雨災害うけてもいい?不謹慎発言も 
 
総裁選”ごっこ”とはいえ、総裁に選ばれれば、この国の総理になる。
最有力の麻生氏の発言は重い。
消費税の「3年据え置き」の公約は、その後は増税するというもの。

福田総理にしても選択肢のひとつとは言っていたが、期限を明確にはしてこなかった。
総選挙で、3年据え置き後は、10%増税すると公然と訴え、審判を仰ぐべきだろう。


岡崎市の豪雨災害の被害者は、どんな思いで聞いただろう。
不謹慎にもほどがある。



朝日新聞 2008年9月14日23時38分
麻生氏、消費税「3年据え置き」
 自民党総裁選で優位に立つ麻生太郎幹事長は14日、来年度から3年間は消費税率を据え置く方針を示した。「日本経済は全治3年」と唱えており、その間は景気対策に重点を置くことを明確にする狙いがある。基礎的財政収支(プライマリーバランス)を11年度に黒字化するという政府の財政再建目標は事実上、先送りされる方向だ。
 総裁選5候補や民主党の小沢代表は、当面の消費増税にそろって否定的で、10年以降の対応が焦点となっている。麻生氏が3年間据え置きを打ち出したことで、引き上げの時期が総選挙の大きな争点になる可能性がある。
 麻生氏は14日のNHK番組で、橋本内閣が97年に消費税率を5%に引き上げたことに触れ、「トータル9兆円の増収をめざしたが、景気は冷えてマイナス4兆円。あれから学習しないのは愚かだ」と指摘。消費税率の3年間据え置きを政権公約とすることについて「基本的にはそうなる」と答えた。
 一方で、麻生氏は別のテレビ番組で「日本の落ち着く先は中福祉、中負担みたいになるんじゃないか。10%台はひとつの目安かなと思う」と語り、将来的には消費税率は10%程度が望ましいとの考えを示した。麻生氏はこれまで、09年度中に基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる財源に消費税をあてることは否定し、特別会計余剰金の活用などを提案している。

(2008年9月14日22時05分 読売新聞)
「岡崎だったからいいけど…」豪雨災害で麻生氏発言
福田退陣・総裁選
 自民党の麻生太郎幹事長は14日、名古屋市で行われた自民党総裁選の街頭演説会で、8月末に愛知県などを襲った豪雨災害に触れ、「これが安城、もしくは岡崎だったからいいけど、この名古屋で同じことが起きたら、この辺全部洪水よ」と述べた。
 「公共工事は、都市部でもきちんと行うべきだ」という趣旨の演説の中での発言だが、今後不謹慎だとの批判も出そうだ。
<参考>
朝日新聞 2008.8.29 08:58
岡崎市14万世帯に避難勧告 集中豪雨、女性1人死亡・1人行方不明
 29日午前2時までの1時間に146ミリの猛烈な雨を観測した愛知県岡崎市は同日未明、市内の約14万世帯(約37万6000人)すべてに避難勧告を出し、県を通じて自衛隊に災害派遣を要請した。愛知県警などによると、岡崎市で女性1人が浸水した家屋の中で死亡しているのが見つかり、ほかに女性1人が行方不明となっている。
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2008-09-15(Mon)

川辺川ダム 建設中止を すべての全国紙社説が主張 (追加)

国交省は計画を中止すべきである。

全国紙全てが、計画の中止を主張した。
追加分として紹介する。




産経新聞 2008.9.15 02:58
【主張】川辺川ダム 公共事業に中止の勇気を
 九州最大規模とされる熊本県の川辺川ダム建設に蒲島郁夫知事が反対の意向を表明した。賛否両論が渦巻く中での苦渋の決断といえるが、国主導の公共事業の在り方に大きな一石を投じたことは間違いない。
 国土交通省は地元の決断として知事の判断を尊重すべきだろう。同時に事業の是非や地元との協議などにも問題がなかったか、今後の公共事業の進め方についても真剣な反省が求められる。
 このダムは同県南部を流れる球磨川の支流に当たる川辺川を建設予定地として42年も前に計画が発表された。当初は治水に加え、農業利水や発電を目的とする多目的ダムの計画だったが、流域農家の反対や電力会社の事業撤退などで現在は治水専用ダムに計画は縮小されている。
 それでも総事業費は約3300億円と巨額だ。地元の熊本県も最終的に約300億円を負担することになっている。既に約2000億円が道路など周辺整備に投じられているが、本体工事はこれからだ。事業継続となれば総額がさらに膨らむのは確実である。
 地方にとって国の大型公共事業をいかに取り込むかが、地域振興の切り札とされてきた。事業費の一部は地元負担となるにせよ、それをはるかに上回る巨額の事業が転がり込むからだ。自治体首長の実力度も、それで測られてきた側面は否定できない。
 だが、こうした公共事業の進め方は無駄とも思えるハコモノ行政を助長し、地域の活性化どころか北海道夕張市に象徴される地方自治体の破綻(はたん)を招く大きな要因のひとつにもなってきた。財政再建を掲げる蒲島知事の判断にもそうした思いがあったようだ。
 国の責任で是が非でも実施すべき公共事業はもちろんあろう。だが、何が必要で何が不要かという公共事業実施の基本的判断は、関係住民にもっとも近い場所で行われてこそ実効性を持つ。地方分権化が強く求められる理由もまたそこにある。
 熊本県の最終決断に至る過程で国交省の九州地方整備局長は「ダム建設を中止するなら水害を受忍してほしい」旨の発言をしたという。いったん走り始めたら、地元を恫喝(どうかつ)してでも走り続けようとする国の姿勢も問題だ。霞が関の机上プランだけで現場の実情を見ようとしない公共事業の在り方は根本から見直さねばならない。

(2008年9月14日02時09分 読売新聞)
川辺川ダム 地元が「ノー」を突きつけた(9月14日付・読売社説)
 もともと必要性が疑問視されていたダムの建設計画に、地元がノーを突きつけた。
 熊本県で国土交通省が工事を進めている川辺川ダムのことだ。3300億円もの巨費がかかるこのダムは、動き出したら止まらない大型公共事業の典型とされていた。
 その計画に、蒲島郁夫知事が反対する考えを表明した。このまま推進するのは事実上、不可能になったと言える。この際、国交省は計画を中止すべきである。
 蒲島知事は県議会で「ダムによらない治水計画を追求すべきだと判断した」と述べた。
 今春の知事選で当選した蒲島知事は、有識者や地元市町村の考え方を聞くなど、半年間、対応を検討してきた。その結果、流域の拠点市である人吉市が反対したことなどが、背中を押した。
 この判断を受けて、福田首相は「地元の意向は尊重されるべきだ」とし、国交省の事務次官も、「知事の判断を重く受け止めたい」と語った。
 そうであるならば、国交省はできるだけ早く計画の撤回を決断し、新たな洪水対策の立案に入る必要がある。
 地元では、川床の掘削や堤防のかさ上げ、遊水池の造成などで洪水に対応できると指摘している。国交省はこうした案の具体化を考えてはどうか。
 問題は、現行の建設計画に応じて、住民の多くが転出した五木村などへの支援策だ。村は、ダムができた場合はダム湖を目玉に観光客誘致などを考えていた。国や県は、それに替わる振興策を考えなければならない。
 川辺川ダムについては、42年前の計画スタート時点から賛否両論があった。計画の途中から付加された農業用水としての利用や発電などの目的は撤回され、治水計画だけが残った。
 その治水計画についても、大規模な自然破壊の割には、効果が小さいとの見方が強かった。
 幸い、ダム本体の工事にはまだ着手していない。できるだけ自然を残しながら効果のあがる治水事業に、残った予算をつぎ込む方が得策だろう。
 川辺川ダム以外にも、国内には数多くのダム建設計画がある。地元の強い反対にもかかわらず、国交省が強引に進めつつある地点も少なくない。
 関西の淀川水系の四つのダムはその典型だ。川辺川ダムを教訓に、国交省は淀川水系についてもダム計画を見直す必要がある。
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2008-09-14(Sun)

タクシーに見る「規制緩和」の弊害  

命・安心、暮らしの視点から、根本的に見直すべき時が来ている

「構造改革」論者は、「改革」を後戻りさせるな・・・などと叫ぶ。
総裁選においても「霞ヶ関をぶっ壊す」などと言う候補者もいる。
小泉「構造改革」路線の敬称・復活を唱えるがゆえに、二番煎じでも恥ずかしげもなく言えるのだろう。

所得格差・地方間格差、貧困、ワ-キングプア、高齢者いじめ・・・
「構造改革」がもたらした結果ではないか。
ゆえに、参議院では野党が多数を占め、「ねじれ国会」がいま存在している。

「規制緩和」政策は、その中心をなすものだ。
労働者派遣を製造業まで拡げる緩和で、格差と貧困を拡大した。
大店法廃止など弱肉強食の市場原理を優先し、商店街をつぶし、まちこわしを加速した。

命と安全を守るべき規制まで緩和され、交通運輸の事故、建築物の偽装、食品の偽装など横行した。

タクシーは、規制緩和の弊害がもっともわかりやすい事例だ。
命・安心、暮らしの視点から、「規制緩和」を根本的に見直すべき時が来ている。



毎日新聞 2008年9月1日
文化> 現代を読む
規制緩和の弊害

安部誠治(あべ・せいじ)
関西大副学長(公益事業論)。1952年生まれ。大阪市立大大学院博士課程退学。著書に『新幹線が危ない!』など。

タクシー業界に見る行き過ぎ

一国の経済政策の目標は、国民生活の安定・向上にある。1990年代に入って各分野で大々的に推進された規制緩和政策は、果たして経済を活性化させ、消費者利益を拡大させたのか。

 2001年のノーベル経済学賞を受賞したJ・B・スチィグリッツは、米国の事例の分析を通して、「規制緩和の実例を見ると、推進者が主張していたのとはまったく違う結果になっている場合が多い」とし、規制緩和は生産性の向上をもたらさなかったばかりか、多くの問題点を生み出したと指摘している(『人間が幸福になる経済とは何か』)。

 規制緩和が本格化した94年のわが国の国内総生産は、米国のそれの三分の二に相当する4兆7593億㌦だったが、06年には微減して米国のそれの三分の一に当たる4兆3755億㌦となった。

 一人当たりの国民所得も94年の3万260㌦から05年には2万6045㌦に低下した。規制緩和のみによるものではなく、為替レートの変動を考慮する必要もあるが、規制緩和の時代は、わが国が国際的に経済力を低下させ、国民生活も衰弱を始めた時代でもあったと言える。

 ところで、規制緩和の弊害がもっとも現れている産業の一つがタクシーである。

 わが国のタクシー輸送量は、自家用車の増大や大都市圏における地下鉄網の拡張などにより、1970年代以降減少を始めた。とくにバブル経済が崩壊した90年代以降の落ち込みが激しく、90年度を100とすると、05年度には68にまで減少した。一方、タクシー台数はほぼ横ばいだったため、90年代末には都市圏を中心に需給のバランスが崩れ始めていた。この最悪のタイミングで、タクシーの規制緩和が実施された。

 規制緩和によって、都市部を中心にタクシー台数が著増し、1台当たりの水揚げは大きく減少した。このため、91年度の382万円をピークに漸減傾向にあったタクシー運転者の年間賃金(全国平均)は、水揚げ高の減少に伴い、06年度には全産業労働者平均の約半分の278万円に落ち込んだ。

 一方、収益が悪化した事業者は、安全運行に必要な運行管理者の削減や車両の更新期間の延長などの経費削減に踏み切った。例えば、大阪の標準39社平均の車齢は、02年度に37ヵ月だったのが06年度には42ヵ月となり、燃料高騰の影響を受け始めた07年度は50ヵ月に伸びている。目に見えにくい部分で輸送の安全が損なわれつつあると言えよう。

 規制緩和後、繁華街には夜になると客引き行為を行う悪質運転者が目立つようになった。また、社会保険料の事業者負担未納の事業者も増加している。規制緩和は良貨による悪貨の駆逐を目指したはずだが、現実には悪貨が良貨を脅かし始めている。

 行き過ぎた規制緩和を見直すべく、国土交通省は去る7月3曰、「現時点での考え方」という新たなタクシー政策の方針を公表した。これに対して、規制改革会議は、「規制緩和によってもたらされた消費者利益を害する恐れがある」と激しく反発している。

 同会議はタクシーの規制緩和の成果として、新たな雇用が創出されたこと、待ち時間の短縮や多様な運賃・サービスが導入されたことなどを挙げている。しかし、02年度から06年度までに増加したタクシー運転者数は、わずか2692人である。これが果たして規制緩和の成果といえるのか。また、多様なサービスというが、福祉タクシーや過疎地の乗合・通学タクシーなど以前から導入されていたものばかりであり、むしろ競争激化の中で手間とコストがかかるこれらのサービスは縮小しているのが実情である。

 運転者の生活破壊を進め、安全確保のための運行管理や労務管理を放棄した悪質事業者や、悪質運転者の台頭を招いた規制緩和は軌道修正される必要がある。安全・安心のタクシー産業を将来にわたって存続させるために、新しい制度設計が求められている。


2008/09/04 20:58 【共同通信】
政府の規制改革会議に反論 タクシー再規制で国交省

 国土交通省は4日に開かれた交通政策審議会で、タクシーの新規参入や増車への同省の再規制方針に対し、政府の規制改革会議が7月に「規制緩和に逆行する」などと反対意見を表明したことについて、再規制は必要との考えを示した。
 規制改革会議は「タクシーの増加で運転手の待遇悪化を招いた」とする国交省の主張に対して「根拠が薄弱だ」と指摘しているが、同省担当者は「賃金低下は、利用客が減る一方でタクシーが増える供給過剰が原因だ。労働条件悪化はサービス低下に結び付きやすい」とあらためて反論した。
 審議会の委員も「規制改革会議の意見は机上の空論だ」と指摘し、反論を文書で公表するなどして世論に訴えるよう求めた。
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2008-09-13(Sat)

「建設資材価格下げろ」 建設関連も決起集会

「建設産業は戦後最大の危機。燃油高と資材高騰が経営を圧迫し、金融機関の貸しはがしや貸し渋りが追い打ちをかけている」

原油高騰や建設資材などの高騰は、建設関連業界も圧迫している。
漁船のスト、トラック運送業につづく建設業関係者の「怒り」の決起集会だ。

(1)建設資材高騰の規制(2)燃料、物価の引き下げ(3)中小業者への発注増(4)下請けたたきの防止、適正賃金・単価の確保(5)公共工事の労務単価引き上げ を要求。

政府の経済対策が、ほとんど効果を上げていないもとで、国民の怒りはさらに拡大するだろう。

国民=消費者は、物価高で生活苦を強いられ、事故米流通問題のように食品の安全も脅かされている。
物価高は政府の無策が要因だ。
食品の安全問題も農水省の「見逃し」など安全軽視が要因だ。

次は、消費者一揆だ。




毎日新聞 2008年9月13日 東京朝刊
けいざいフラッシュ:建設関連労組が決起集会

 首都圏の建設関連の17労働組合は12日、「建設産業怒りの総決起集会」を東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開き、燃料油と建設資材の価格引き下げや建設労働者の賃金引き上げを求めるアピールを採択した。
 集会には約4500人の組合員らが参加。呼びかけ人の巻田幸正・東京土建一般労組委員長は「建設産業は戦後最大の危機。燃油高と資材高騰が経営を圧迫し、金融機関の貸しはがしや貸し渋りが追い打ちをかけている」と訴えた。


2008年9月13日(土)「しんぶん赤旗」
原油・資材 下げて
首都圏の建設労働者が集会

 燃油下げろ、賃金単価上げろ。政治の責任で建設不況打開を――。首都圏の建設関連労働者の労働組合は十二日、原油や資材価格の高騰による生活危機を突破しようと、東京・日比谷公園野外音楽堂で決起集会を開き、銀座へデモ行進しました。
 燃える炎の絵に「怒! 生活が苦しい!」と書いたうちわ、「インド洋上での米軍給油分をオレたちに給油しろ」と書いたプラカードなどを手に、四千五百人が参加。はちまきを締めた労働者が発言するたびに「よーし」「そうだ」のかけ声が飛びました。
 主催者あいさつした東京土建一般労働組合の巻田幸正委員長は、建築基準法改定の影響で住宅着工が落ち込んだ上に、金融機関の貸し渋りや原油、資材価格の高騰が追いうちをかけていると指摘。「建設業は戦後最大の危機にある。要求実現のため、政府、地方に働きかけを強めよう」とよびかけました。
 集会は、首都圏の土建組合や、建交労、全建労など官民の労組が共同して構成する実行委員会が主催。(1)建設資材高騰の規制(2)燃料、物価の引き下げ(3)中小業者への発注増(4)下請けたたきの防止、適正賃金・単価の確保(5)公共工事の労務単価引き上げ―などの要求を掲げました。
 小平市で夫が鉄筋工を営む女性(60)は、仲間とともに頭に「怒りの鬼の角」をつけて参加。「仕事が減って賃金は下がっているのに資材は上がり、後期高齢者医療制度など負担増で苦しい。政治の力でなんとかしてほしい」と語りました。
 集会には日本共産党の小池晃政策委員長(参院議員)、笠井あきら、塩川てつや両衆院議員のほか自民、公明、民主、社民の各党議員が出席しました。


ケンプラッツ  2008/09/12
「建設資材価格下げろ」、4500人が東京で決起集会
 
 関東地方で建設産業に従事する人で構成する16の労働組合は9月12日、資材の値下げなどを求める決起集会を東京・日比谷野外大音楽堂で開いた。集会には約4500人が出席し、その後、銀座までデモ行進した。
 労組は公共事業の発注者に対し、単品スライド条項のスライド額が下請け会社に行き渡るようにするための指導や、資材価格の便乗値上げに対する取り締まりの強化を要求。すでに国土交通省と経済産業省、厚生労働省に要望書を提出している。
 東京土建一般労働組合の巻田幸正中央執行委員長は「建築基準法改正による官製不況やマンション販売の不振に、資材の高騰が追い討ちをかけている。サブプライムローン問題で金融機関は貸し渋る。これらが下請け労働者のコストカットに及んでいる。若い人は入ってこない。建設産業は戦後最大の危機だ」と訴えた。
中川 美帆=フリーライター[日経コンストラクション]
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2008-09-13(Sat)

道路財源 「一般財源化 黄信号」 麻生なら赤信号

「一般財源化」する政権にして青信号にしよう!

世論と野党に押されて「一般財源化」を政府方針にした福田首相。
やめたと言ったとたんに、後継総裁は政府方針を反故にする。
これこそ「無責任」の極みだ。

---有力候補の麻生太郎幹事長は、10のテレビ番組で、「納税者からすれば、道路に全然関係ないものに使えるのか。だったら税金を負けろという話が出てくる」と述べ、使い道を広げることに慎重な姿勢を見せた。----などと報道されている。

今年の通常国会でさんざん議論になって、冬柴前国交大臣が“顧問弁護士”などと揶揄されながら、しべっていた内容とおんなじではないか。
まるで、あの国会論議を忘却してしまったような発言を、恥も外聞もなくのたまう神経を疑う。

もし麻生氏が総裁になったら、福田内閣の「一般財源化」方針を葬り去る“刺客”として警戒しよう!

いずれにしても、来る総選挙で、自公政権を終わらせることが先決だ。




朝日新聞 2008年9月11日
漂う政策 ⑦道路

一般財源化 黄信号

制度の詰め手つかず

 高知県安芸市。約40㌔離れた高知市に通じる国道55号には、地元の人を悩ませる渋滞ポイントがある。追い越す場所のない片側1車線の区間が10㌔近くも続く。県の道路担当職員は「迂回路もない。急病人の搬送では大変困っている」と訴える。

 人口約2万人の安芸市は医師不足が深刻だ。市内の総合病院では年々、医師が減っている。高度な医療が受けられず、高知市の病院に1時間以上かけて運ばれる患者も多い。10時間に1回は、この区間を救急車が走るという。県と安芸市は国に高速道路の早期建設を求めてきた。「道路特定財源の一般財源化で、地方の道路はどうなるのか」。松本憲治市長は不安を漏らす。

 本来、医師不足のために取るべき対策は、地域医療の充実になるはずだ。それが、道路整備に解決策を求めようとするのは、道路予算を「聖域」にしてきた道路特定財源制度の存在が大きい。ガソリン税などの税収は道路整備に使うことを義務づけられ、政策の選択の幅を狭めてきた。

 制度ができたのは1954年。当時の国道・都道府県道の舗装率は6%、相互通行ができる改良率は22%。遅れている道路整備を優先的に進める財源が必要だった。むしろ、税金の使い道を決めることで納税者の理解を得やすいと考えられた。それから半世紀、舗装率は97%、改良率は83%になった。

 ただ、近年は弊害が目立つ。東京湾アクアラインのように交通量が予測を大きく下回る道路がつくられ、国や自治体に重い負担を残した。今年には国土交通省で、職員用のマッサージチェアなどへの支出が発覚。野党から「無駄づかいの温床」との声が噴出した。

 批判に押されて、福田首相は今春、道路特定財源を廃止し、09年度から一般財源化する方針に転換した。「生活者財源」として暮らしに身近な分野に使うとし、医師不足、地球温暖化対策、教育などを具体例に挙げた。与党の合意をとりつけて閣議決定もした。この秋から税制改革論議に合わせて、具体的な制度内容を詰める手はずだった。

閣議決定骨抜きの過去

 「誰も手を付けなかった国民目線の改革に着手した。例えは道路特定財源の一般財源化は方向性は打ち出せた」。福田首相は辞任を表明した1日の記者会見で、「実績」を強調した。

 だが、本格的な検討に入る前に旗振り役がいなくなり、改革は失速しそうな気配だ。もともと、ガソリン税の暫定税率廃止と一般財源化を主張する民主党に押し切られる形で打ち出した方針だけに、与党内の有力者や道路族議員の間では反対意見が根強い。

 自民党総裁選に立候補した5人のうち、公約で一般財源化を打ち出したのは、与謝野経済財政相と小池百合子元防衛相の2人だけ。麻生太郎幹事長は、10のテレビ番組で、「納税者からすれば、道路に全然関係ないものに使えるのか。だったら税金を負けろという話が出てくる」と述べ、使い道を広げることに慎重な姿勢を見せた。

 福田内閣での閣議決定が次の内閣に受け継がれる保証はない。ある国交省幹部は「閣議決定は過去にも骨抜きになっている」と指摘する。小泉、安倍の両内閣も一般財源化を打ち出したが、そのたびに「地方には道路がまだ必要だ」という声にはねかえされた。道路整備に使って余った税収を、道路とかかわりのある事業に回せるという中途半端なものに終わった。

 次の総選挙で政権奪取をうかがう民主党の小沢代表は、ガソリン税などの暫定税率廃止による減税を公約に掲げる。ただ、道路特定財源の税収が落ち込めば、社会保障など道路以外の分野に予算を回すのは難しくなる。

 必要な道路とは何か。ほかの分野と比べた優先順位はどうか。財政難と燃料高、地球温暖化も考慮し、ガソリンや自動車にどう課税するのか。与野党とも議論は深まっていない。複雑な方程式に挑まなければ、硬直した予算配分を時代のニーズに合わせて変えることはできない。

(座小田英史、五郎丸健一)=おわり

毎日新聞 2008年9月13日 東京朝刊
特集:自民党総裁選・公開討論会 5候補による討議/報道陣との質疑応答
(道路特定財源に関する発言部分)

 石原 道路特定財源は約5兆4000億円で、国分は3・3兆円、地方分が2・1兆円。この2兆1000億円をそのまま地方に渡さないと、地方の道路整備は終わらない。残った3・3兆円で必要な道路を造る。「費用対効果」は一つの指標だが、財布は小さい。では(基準に)何を他に入れるか。つながらない道路は造らない「進ちょく率」も入れる。もう一つは社会的影響。その付近に学校、病院がある、トラックがどんどん走るなら、もう一本バイパスを造る。この三つを組み合わせて順位付けする。どの道路を造るか地方が決める。

◇揮発油減税も考慮--石原氏
 石原 地方の道路は足りない。揮発油税の暫定部分の減税で2兆6000億円のうち(地方分)9000億円分の減税はナンセンスだ。都会には公共交通機関があるが、地方は車が必要だ。国税部分の揮発油税減税を考えるべきでは。

 麻生 地方に公共機関がないのは事実。東京周辺の鉄道依存率は56%で、世界最高だ。地方では田舎に行くほど軽自動車、マイクロバスなどがないと生活できない。揮発油税地方分は必要なものだ。残りは税調でよく論議しないと、反対とも賛成とも言えない。

 与謝野 一般財源化で考えるべきなのは自動車関係諸税の簡素化。重量税や取得税など非常に複雑で二重課税との批判もある。政府・与党合意は「道路特定財源は税制の抜本改革に際して一般財源化する」とあり揮発油税単独ではなく、税全体の検討で位置付ける必要がある。一般財源化で地方自治体が持つ財源を取り上げるのは好ましくない。

産経新聞 9月10日20時7分配信
【自民総裁選】民主・小沢代表との違いは 候補者共同会見詳報
■民主党・小沢代表との違い
【石原氏 小沢さんと対峙していきたい】

 石原氏「私、初当選の時はですね、小沢さんが自民党幹事長だったんです。私は13人の追加公認組の1人なんですけれども、その後、小沢さんが何をやったか。政策的に、皆さんご存じですか。日米構造協議、SIIというのがありましてね、内需をともかく振興しろ、というので10年間で430兆円、公共事業やったんですよ。あの方が。指揮振って。その方が今度、道路特定財源のうち暫定税率部分、2兆6000億円ですか? 減税します。でも、地方の、このうち9000億は地方の道路特定財源ですから、じゃあ地方の必要な道路は作らないのかな? あと、子供さん1人に2万6000円ずつあげますよ、農家にも1兆円出しますよ、高速道路も無料ですよと。なったらいいですよね。でも私たちはやっぱり責任政党ですから、もちろんこの厳しい燃油高の中で、高速道路の夜間割引、こういうものはやっていかなきゃいけないと思います。政策に間違いなく差がある。そういうことを示すことによって小沢さんと対峙(たいじ)していきたい。まあ、先輩ですけども、対峙していきたいと思います」
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2008-09-13(Sat)

川辺川ダム  蒲島知事、議会での発言、会見一問一答

(資料) 

蒲島熊本県知事の「川辺川ダムについて」(発言要旨)
http://www.pref.kumamoto.jp/sec_img/0141/200811120707032.pdf



毎日新聞 2008年9月12日 地方版

川辺川ダム:知事発言(要旨) /熊本

 ◇球磨川は守るべき「宝」
 治水とは、流域住民の生命・財産を守ることを目的としています。球磨川は、時として猛威をふるい、人たちの生命・財産を脅かすことのある川です。だからこそ治水が必要となります。

 しかし、守るべきものはそれだけでしょうか。「生命、財産を守る」という時、財産を「個人の家や持ち物、公共の建物や設備」ととらえがちです。いろいろな方々からお話をうかがううちに、人吉・球磨地域に生きる人々にとって、球磨川そのものが、かけがえのない財産であり、守るべき「宝」なのではないかと思うに至ったのです。

 ◇ローカルな価値観を重視
 「球磨川という地域の宝を守りたい」という思いは、そこで生まれ育った者でしか理解できないような価値観かもしれません。

 しかし、この「ローカル」とも言うべき価値観は、球磨川流域に生きる人々にとって、心の中にしっかりと刻み込まれているような気がします。また、その価値を重んじることが、地域を自らが守り、発展させていこうという気概を起こさせることになります。

 治水についても、画一的な基準ではなく、地方の価値観を重視したやり方があってもよいのではないかと思っています。

 ◇地元の思いを十分理解
 川辺川ダムの最大受益地である人吉市では、田中(信孝)市長が現行のダム計画の白紙撤回を求めることを表明されました。ダム建設予定地である相良村の徳田(正臣)村長も、ダム建設は現時点では容認しがたいと意見表明されております。

 川辺川ダム建設を取りやめ、球磨川を守ってほしいという地元の方々の深い思いについて、十分に理解することができます。

 住民独自の価値観を尊重することによって、人や地域が輝き、真に豊かな社会が形作られます。その時、住民の幸福量は増加したといえるのではないでしょうか。

 私は、現行の川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求するべきであると判断したことを表明します。

 ◇国交省は努力不足
 国土交通省は、ダム建設上生じる問題に対しては、研究・開発を熱心に行っています。その一方で、住民が提示した河床掘削による流下能力の向上や遊水地設置などの代替案については、人吉層の掘削は問題がある、治水のために農地を利用することは社会的にも困難、と言うにとどまるなど、「ダムによらない治水」の努力を極限まで行っていないと思います。そのため、住民の理解も得られてこなかったのではないかと感じております。

 住民のニーズに応える「ダムによらない治水」のための検討を極限まで追求される姿勢で臨むよう、国交省に強く求めていきたいと思います。

 国交省から、新たな手法として環境に配慮した穴あきダムの提示がありました。これは突然に提示されたものでありますし、ダムによらない治水案を追求した結果提示されたものかどうか疑問があります。また、穴あきダムの環境への影響や技術的な課題について詳細な説明がない現状では、その是非について判断することはできないと考えています。

 ◇税金投入認められぬ
 さらに、現在の県の財政状況にあっては、巨額な税金を投入することについて県民の理解を得るためには、住民の幸福量の増大が明らかであることが一層求められます。その点からも、国交省が最大限ダムなし案での検討を行っていると住民が評価していない以上、現行の川辺川ダム計画は認めることができないと考えます。

 「過去の民意」は、水害から生命・財産を守るために、ダムによる治水を望みました。「現在の民意」は、川辺川ダムによらない治水を追求し、いまある球磨川を守っていくことを選択しているように思います。「未来の民意」については、人知の及ぶところではありません。

 地球環境の著しい変化や住民の価値観の変化、画期的な技術革新などによって、再びダムによる水害防止を望むことがあるかもしれません。その場合には、すでに確保されているダム予定地を活用されることになり、未来に向けて大きな意義があるものと思います。

 ◇五木村振興に取り組む
 決断にあたって最も苦しんだのは、半世紀にわたりダム問題に翻ろうされてきた、五木村の皆様のお気持ちにどう応えるかであります。

 五木村の皆さんは、下流の住民の安全のために、住み慣れた家や代々受け継いできた農地、御先祖の墓所などを手放すという苦渋の選択をされました。川辺川ダムの計画以来、村民の村外移転などによる人口減少に歯止めがかからず、少子高齢化が著しく進んでいるという状況の中、愛する故郷の将来を心配される心情は、察して余りあります。人々のご期待に沿えないことになり、とても胸が痛みます。

 確かに、これまでの仕組みによる振興策は困難になるかもしれません。しかし、村の意見を十分にお聴きしながら、私自身が本部長として、村の人口構成と特性を生かした、夢のある五木村振興計画策定に取り組む覚悟です。

 ◇「洪水と共生」に立脚
 川辺川ダムを造らないからといって、水害による被害から目をそらすことはできません。「洪水を治める」という旧来の発想から脱却し、「洪水と共生する」という新たな考え方に立脚すべきであると考えます。ダムによらない治水対策を極限まで追求すると同時に、都市工学の英知を結集して「川とともに生きるまちづくり」を目指すことも必要になると考えます。

 ハード面の対策に加え、人命の安全確保のため、万が一の場合の警報システムおよび緊急避難システムの構築など、ソフト面の充実も早急に実現したいと思います。

 ◇対立超え、夢に向かって一歩
 私の判断は、すべての方に受け入れられるものではないかもしれません。しかし、現時点において、住民の皆様にとって最良の決断をしたものと確信しております。

 川辺川ダム問題による対立を超え、結束すべき時が参りました。熊本の夢に向かって、私とともに新たな一歩を踏み出そうではありませんか。

==============
 ◇知事の一問一答

 蒲島知事の会見での主なやり取りは次の通り。

 --決断の一番の要因は何か。

 ◆民意はダムを使わない治水を望んでいる。球磨川流域の方々、特にダムの最大の受益者である人吉市民が希望している。

 --ダムなしを追求した結果、国が示す流量、洪水レベルに達しなかった場合は。

 ◆極限までやってみて、それ以上のものが必要ということもあるかもしれないが、今日の段階では知事として、ダムなし治水で国交省に頑張ってほしい。

 --県は代替案を出さないのか。
 ◆考えていない。

 --県議会最大会派の自民党は代替案の提出を求めていた。議会運営はどうするのか。

 ◆川辺川ダムのことばかり考え、議事運営まで考える余裕はなかった。

 --40年以上、対立してきた地域の結束に向けた行動は。

 ◆自分のできることを精いっぱいやりたい。一番大きいのは、五木村の方々にどう応えるかだ。私が本部長となり、五木村の振興計画にかかわりたい。

 --振興計画は、どこまで具体的に決まっているのか。

 ◆決まっているのは、私が本部長になるという決意。どのような規模、財政、人員にするかは、五木村の方々とよく相談しながら決めていきたい。

 --球磨川を宝と言うならば、荒瀬ダムの問題も抜きに考えられないのではないか。

 ◆ダム撤去には巨額の自己負担が必要だ。70億~80億円のお金を、県の予算でダム撤去費用として使うことはできない。そういう意味では、(荒瀬ダムがある)旧坂本村の方には申し訳ないと思っている。

 --ダムなし治水にかかる費用と、川辺川ダムを造った場合の比較はしたのか。

 ◆ダムなし案がどれくらいの額になるかは計算できない。ただ、同じ額がかかるにしても、ダムなし案のほうが皆さんの喜びが増えると思う。財政問題は、最終的には決断に大きくは影響しなかった。

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2008-09-12(Fri)

川辺川ダム 建設中止の決断せまる各紙社説 

「時間が経過した公共事業は一度白紙に戻すことを政府は法制化したらどうか」(日経)

川辺川ダムをめぐる蒲島知事の建設反対表明が波紋を呼んでいる。
新聞各紙は、建設中止を求める社説を掲げる。
民主党は、選挙の争点にしていくようだ。
国会でも野党が、閉会中審査を要求した。
今日は、各紙の社説を紹介する。



毎日新聞 2008年9月12日 0時12分
社説:川辺川ダム 国は建設中止の早期決断を
 蒲島郁夫熊本県知事が同県内の球磨川水系で計画されている川辺川ダムの建設について、「ダムによらない治水対策を求める」として、反対を表明した。
 公共投資改革が叫ばれてきたにもかかわらず、大規模公共事業は当初方針通りに実施、継続される状況は大きく変わっていない。そうした中で、蒲島知事の方針表明の持つ意味は大きい。福田康夫首相は「地元の意向は優先されるべきだ」、谷垣禎一国土交通相は「省として今回の判断を重く受け止めたい」とそれぞれ発言した。
 政府は見直しの方向へ動いたと見ることができる。国交省はダムによらない治水計画を早急に示すべきである。
 蒲島知事は、なぜ反対なのか。「流域住民にとって球磨川そのものが守るべき財産であり宝。そうしたローカルな価値観を尊重したい」ためである。国交省の「ダム至上主義」には同意できないということだ。
 公共事業には、計画策定当時と経済社会状況が変わり必要性が低下している例が少なくない。環境への悪影響が懸念される事業も目に付く。90年代半ば以降、計画策定から長期間経過したが未着手の事業が中止された例もある。しかし小規模事業が中心で、大規模事業は基本的には当初計画に基づき続けられている。
 河川整備に限れば97年の河川法の大改正で、環境に注意を払うことや、住民の意見を整備計画に反映させることなどが盛り込まれた。これを受け、河川行政は洪水時にある程度、水があふれることも想定した治水政策に転換したはずだった。ところが、これまで国交省は川辺川のみならず、淀川水系でもダムこそが治水の切り札という姿勢を崩してこなかった。
 高度成長期に着手されたダム計画では、工業用水や飲料水の確保が上位に置かれていた。ところが、産業構造の転換で工業用水需要は見込みを大幅に下回り、飲料水需要も頭打ちになった。農業用水も新たなダムが必要な状況にはない。
 かんがい、発電、治水の目的で始まった川辺川ダムでも農林水産省は農業用水への利用を断念、発電計画も中止され、残るは治水だけだ。
 国交省は最近になり環境配慮型ということで穴あきダムを選択肢のひとつに提示した。しかし、専門家の間で穴あきダムの評価はまだ定まっていない。「河床掘削や遊水池などハードと、緊急避難システムなどソフトの対策を進めたい」という蒲島知事の提案の方が現実的だ。
 川辺川ダムは計画が始まって42年になる。本体建設予定地では離村で集落がほぼ崩壊している。国が計画を見直す場合は、ダムによらない新しい治水対策を早急に策定するとともに、自治体と連携して地域社会の活性化策や産業振興策も提示しなければならない。

朝日新聞 2008年9月12日
 川辺川ダム―撤退のモデルケースに 
走り出したら止まらない。そんな巨大公共事業の代表格だった熊本県の川辺川ダムが、建設中止に追い込まれる可能性が高くなった。
 蒲島郁夫知事が県議会で「ダムによらない治水対策を進め、川と共生するまちづくりを追求したい」と反対を表明したのだ。
 川辺川ダムは国土交通省が計画を進める九州で最大級のダムだ。河川法では「知事の意見を聴かなければならない」と定められているだけだが、さすがに知事の反対は無視できないのだろう。国交省は「今回の判断を重く受け止める」という談話を出した。
 国交省はただちにダムから撤退し、川床を深くしたり遊水池をつくったりする治水対策に手をつけるべきだ。
 川辺川ダムの建設には、もともと無理があった。治水と利水、発電の多目的ダムとして40年以上も前に計画されたが、農業用水を供給する利水と発電からは撤退していた。350億円だったはずの事業費は3300億円にまでふくらんだ。清流が失われる、と地元の漁協や住民が反対し、完成のめどすら立たなくなっていた。
 そんななかで、今春の知事選に立候補した蒲島氏は「半年後にダムの是非を判断する」と述べ、当選した。この間に有識者会議を開き、ダムの必要性を吟味した。建設予定地の相良村の村長、治水の恩恵を受けると言われた人吉市の市長が反対を表明した。
 ダムを造るにはあと1千億円以上かかる。熊本県の負担は300億円以上になる。熊本県は財政難に陥っており、知事自身が月給を100万円カットしているぐらいだ。そんな財政事情も判断の根拠となったのだろう。
 ここで引き返す勇気をきっぱりと示した蒲島知事の決断を評価したい。
 気になるのは「五木の子守唄(うた)」で有名な水没予定地域の振興策だ。住民の多くは村内の高台や村外に移転している。国交省からは「建設中止の場合、生活再建の支援はできない」との声が漏れてくるが、とんでもない話だ。
 ダムの本体は未着工で、まだ清流は流れている。地元の意向に沿って道路の建設や農地の確保などを進めるのはもちろんのこと、残された自然を活用する振興策を探ってはどうか。政府はきちんと財源の手当てをすべきだ。
 国交省が全国で計画を進める約150のダムの総事業費は9兆円を超える。国家財政が危機なのに、なかなか見直そうとしない。関西の淀川では、専門家や住民でつくる流域委員会が四つのダム計画に待ったをかける意見を出したのに、国交省は無視してダム建設の計画案を発表している。
 いまこそ、すべてのダム計画を再点検し、必要性の低いダムから撤退していくべきだ。川辺川ダムからの撤退をそのモデルケースにしたい。

日経新聞 2008年9月12日
社説2 川辺川ダムは中止すべきだ(9/12)
 一度計画されると止まらない大型公共事業の象徴として注目を集めている熊本県の川辺川ダム建設事業が新たな局面を迎えた。熊本県の蒲島郁夫知事が国土交通省に対して計画の白紙撤回を求めたためだ。
 球磨川の支流の川辺川に、旧建設省がダム計画を打ち出したのは1966年。以来、地元では賛成、反対の両派が対立し、本体工事に着手できないまま42年が過ぎた。
 もともとは多目的ダムだったが、地元の同意を得られずに農水省が利水事業から撤退し、Jパワー(電源開発)も発電事業を取りやめた。国交省は現在、事業費3000億円超の治水専用ダムに計画を変えている。
 知事は環境面への影響などを反対の理由にあげている。実際、ダムができれば清流が失われ、アユ漁や観光面の被害は避けられない。ダムには確かに治水面で一定の効果がある。しかし、想定を超す豪雨が襲い、ダムから水が放流されれば、洪水被害が増すという指摘もある。
 国交省はダムの下底部に放流口を設ける「穴あき」方式ならば環境への影響を抑えられると主張するが、巨大な人工構造物を造ることに変わりはない。その治水効果を示す実証的なデータも不足している。
 ダム建設地の相良村、ダムが完成すれば治水面で最も恩恵を受ける人吉市の両首長も最近、ダム反対を表明している。国交省は知事発言を受けてダム以外の治水対策も検討する姿勢を示したが、その結果「やはりダムで」というのでは困る。
 人吉市の田中信孝市長は「水害よりも、対立による不信感で人と人のかかわりが希薄になったことこそ、重大な地域被害だ」と述べている。不幸な歴史に終止符を打つのは今しかない。今後の河川管理は河床の土砂撤去や堤防強化、住宅のかさ上げなどによる「減災」に重点を移すべきだろう。
 見直すべき事業は川辺川ダムだけではない。関西の淀川水系のダムなど、ほかにも全国各地に計画公表後、長期間にわたって宙に浮いている事業がある。採算性が疑問視される高速道路も少なくない。
 いっそのこと、時間が経過した公共事業は一度白紙に戻すことを政府は法制化したらどうか。


東京新聞 2008年9月12日
【社説】
川辺川ダム 国は計画を白紙に戻せ
 川辺川ダム(熊本県)計画の白紙撤回を、地元県知事が求めた。ダムの予定地、最大の受益地の首長も既に反対を表明した。事業主体の国は計画を撤回し、ダムによらない治水対策を示すべきだ。
 蒲島郁夫・熊本県知事が同県議会で表明した内容は、極めて明快である。川辺川ダム建設について「現行計画を白紙撤回、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」というのに尽きる。
 ダム建設予定地の同県相良村と、川辺川が球磨(くま)川と合流する下流に位置しダムによる洪水調節の効果が最も大きいと言われる同県人吉市の首長は、知事に先立ちダム反対を明らかにしている。
 事業を担当する国土交通省が主張する通り、一九六五年をはじめ球磨川水系ではたびたび洪水が発生、抜本的な治水対策は必要である。しかし被害を受けたにもかかわらず多数の流域住民が「ダムに頼らない治水を」と求める声を受け、首長たちが下した決断は重く受け止めねばならない。
 最近のゲリラ豪雨などダムの貯水能力以上の増水には、どう対処するのか。むしろ水害の被害者の方がダムによる治水を危ぶむ。貯留した水の水質汚染で下流の環境悪化は必至だ。計画発表以来四十二年、流域住民同士が賛成・反対と対立し、不信感を強めた。
 首長たちに反対を決意させたこれらの理由は、いずれも深刻なものばかりといえよう。
 これに対し国交省側は「ダムを造らせないなら水害に甘んじよ」と脅したり、能力や効果がわからない穴あきダムを急に提案するなど、ダム建設自体が目的では、と疑わせることが多い。
 知事ら自治体の首長の意見には法的な拘束力はない。しかし、地元の真剣な声を無視しダム建設を強行すれば、何のための公共事業かわからなくなる。国交省は知事らの意見の通りダム計画を白紙撤回するのが当然だ。
 ダムに頼らない治水としては、河道のしゅんせつ、堤防の強化、遊水地の確保はもちろんだが、洪水時に水がある程度堤防を越えることを予想し、土地利用を再検討することも含まれる。むしろよい機会だ。これらの対策に真剣に取り組んではどうか。
 知事など自治体の首長が、国の計画する事業に「ノー」を突きつけた例は珍しい。住民の合意をいかに評価するか。淀川水系の四ダムをはじめ、全国の公共事業のあり方の見直しに生かすべきだ。

熊本日日新聞 2008年09月12日
知事決断 対立超える一歩に
 蒲島郁夫知事は十一日の九月県議会冒頭、川辺川ダム計画について「白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」として、ダム反対を表明した。国と一体となってダムを推進してきた県の姿勢を大きく方向転換した。知事の見解に法的拘束力はないが、事業主体の国土交通省は表明を重く受け止め、ダム計画を白紙に戻して一から見直すべきだ。
 知事は、計画発表から四十二年に及ぶ苦難と対立の歴史を乗り越え、新たな一歩を踏みだそうと訴えた。苦渋の決断を強いられた五木村民の思いに心を重ねるとともに、知事の呼び掛けを真摯[しんし]に受け止めたい。
 「民意」をどうとらえるかが決断の分岐点となった。知事は、ダム予定地の相良村長と、ダムによる治水の最大受益地である人吉市長が示したダムに否定的な見解を重視。「過去の民意はダムによる治水を望んだが、現在の民意はダムによらない治水を追求している」と判断した。
 特に、「球磨川の近くで生まれ育ち、物心ついたときから川に親しんできた者として、流域住民とともに、子孫に球磨川という宝物を残したい」という、人吉市長の言葉が知事の心を動かしたようだ。
 市長見解を踏まえて知事が示した「全国一律ではない地方の価値観」という物差しは、これまでになかったものだろう。
 「流域住民の生命・財産を守る」というダム建設の根拠に対し、守るべきは個人の建物や公共財だけでなく、流域に生きる人々にとっては「球磨川そのものが守るべき宝」と指摘。「住民独自の価値観を尊重することが、住民の幸福量を増加させる」と、学者知事らしい持論を展開した。中央で一度決定したら止まらない公共事業の在り方や、地方分権の進め方にも一石を投じた。
 ダムに代わる治水対策として、(1)市街地でのより高い安全対策(2)各地点での個別具体的な河床掘削(3)農地などの遊水地利用などを挙げて、国交省が極限まで追求するよう求めた。しかし、県も独自の具体策が迫られるものとみられ、知事の指導力も今後問われよう。
 厳しい県財政をダム反対の最大理由にするのではと予想されたが、短く触れただけだった。対照的に、ダムに翻弄[ほんろう]されてきた五木村には、個人的心情も交えて時間を割いた。
 「四十二年」と一口に言うが、それぞれが自分の人生に置き換えたとき、年月の重みを痛感させられる。墳墓の土地を去らざるを得なかった村民と、自らの母親の心情も重ねて、知事は言葉を詰まらせた。ただ、五木村の振興策はダムを前提としており、その先行きは不透明だ。自ら本部長として先頭に立つとの覚悟を示したが、これからの課題だ。
 今後、流域の整備計画の策定作業が始まる。知事の見解を受けて、国交省がどんな原案を提示するのか。ダムを推進してきた自民党県連の対応次第では混乱も予想される。
 「苦悩に満ちた」決断の最後に、知事は米大統領選を例に、対立を超え、さらなる高みに結束する民主主義を説いた。知事の意向表明は、川辺川ダム問題が、対立を超えて地域が結束して取り組むべきスタート地点に立った、ということでもある。

中国新聞 '08/9/12
川辺川ダム「反対」 知事の決断尊重しよう
 国の大規模公共事業は「一度始まれば後戻りできない」というのが常識のようになっている。そこに県知事が「ノー」を唱え、公共事業の在り方に一石を投じた。国はこの判断を尊重してほしい。
 熊本県の蒲島郁夫知事はきのうの県議会で、国が同県相良村に計画している川辺川ダムの建設について「白紙撤回し、ダムによらない治水対策をすべき」と反対を表明した。
 「球磨川そのものが守るべき宝」とも述べ、流域住民の民意を最重視した判断だとしている。知事の判断に法的拘束力はないが、反対を押し切ってまで事業を進めるのは難しいだろう。この際、国は計画を撤回すべきではないか。
 一方で知事は、流域住民の命と財産をどう守るか重い責任を負うことになる。県は、川辺川を含む球磨川水系の治水対策について、具体的な代替案を示すことが迫られる。また、長年ダム事業に翻弄(ほんろう)され疲弊した地域の再建を進めることが急務になる。
 蒲島知事は今年三月の知事選で、川辺川ダムについて「半年以内に決断する」と公約し、ダム中止を唱えた四候補を破って初当選。流域住民や市町村長からの聞き取りを進めた。有識者会議も設置したが、九月初旬に提出された報告書は賛否両論を併記したものにとどまっていた。
 川辺川ダムは一九六六年、旧建設省(現国土交通省)が計画を発表。周辺の道路建設や水没予定地の五木村住民の移転もほぼ終わるが、地元自治体や住民の反対でダム本体が着工できていない。
 この間、洪水防止の面から必要との推進派と、環境問題などを訴える反対派が激しく対立。当初は治水、利水、発電などの多目的ダムだったが、「利水」については反対派が起こした訴訟で二〇〇三年に国が敗訴し、事業が頓挫した。その後も新利水計画がまとまらず、〇五年には土地収用申請を取り下げ、昨年には利水、発電がダムの目的から外れ、治水専用で着工を目指している。
 総事業費三千億円以上に膨らんだダム建設には、地元負担が数百億円もかかるという。知事の反対で中止を含めた計画の大幅見直しは必至である。国交省は、増水時のみに水をためる「穴あきダム」案を知事に提示したが、治水効果や環境への影響は不明のままだ。
 最近は、治水のために巨費を投じてダムをつくるのは無駄ではないか、という指摘の声が大きくなっている。ダムが環境に与える悪影響への批判も強まる一方だ。広島大大学院の上真一教授は、ダムによって砂浜や干潟がやせ、出水時に汚濁土砂が流されて海底がヘドロ化するとし、「川辺川ダムが建設されると、八代海の漁業が崩壊する」と警告する。
 今回の知事決断は、賛否が渦巻く淀川水系四ダムの建設計画など全国各地に影響を及ぼしそうだ。大型公共事業の在り方を見直す契機にしたい。国が公共事業を進めるには、地方自治体とより一層の調整が求められる。

北海道新聞 (9月12日)
社説
川辺川ダム 国は見直しためらうな
 国が熊本県に計画中の川辺川ダムに、地元の蒲島郁夫知事が反対を表明した。
 住民や県議会で賛否が分かれる中、今年四月に大学教授から転じた知事が「悩みに悩んだ」末に出した結論だ。
 完成すれば九州最大規模となるこの治水ダムは、住民の反対で本体工事にかかれない状態が続いてきた。
 国は計画を推進する上で、地元知事の意見を聞くことになっている。知事意見に法的な拘束力はなく、これで建設計画が直ちに中止になるわけではない。
 だが、地元自治体の長の判断は、県民の多様な声に耳を傾けた上で導かれたものだ。国はその重みをしっかりと受け止めねばならない。
 あえて強調するのには理由がある。住民の生命財産を守ることを大義に掲げながらも、国が推し進める治水や河川行政に、かたくなで時に高圧的な姿勢が目立つからだ。
 今年八月、国土交通省の九州地方整備局長は蒲島知事に対し、「ダムを建設しないなら、流域住民に水害を受忍してもらうしかない」と、建設推進を迫ったという。これでは半ば脅しではないか。
 一九九七年の河川法改正で、河川行政には環境重視や住民参加という新たな理念が吹き込まれた。それは長野県の田中康夫前知事の「脱ダム宣言」にもつながった。
 住民の意見をこまめに聞き、環境への影響を丹念に調べるとなれば、いきおい時間がかかる。とはいえ、その手間を惜しむかのような強引な姿勢では地元の理解は得られまい。
 国は一度決めた計画について、見直しをためらうべきではない。川辺川を含めた球磨(くま)川水系に何らかの治水対策が必要なことは地元の共通認識としてある。ただ、果たしてダムだけが唯一の治水対策なのか。
 川辺川ダムは六六年の計画発表から既に四十二年の歳月が経過している。この間、住民の自然環境に対する意識も変わってきた。
 川辺川は北海道の尻別川などと並ぶ日本の代表的な清流だ。流域はアユなどの好漁場であり、川下りなどの観光の場でもある。
 総事業費三千億円超の巨大公共事業が地元にもたらす経済効果はあろうが、豊かな自然を生かせば、さらに息の長い地域振興が期待できる。
 ダム下流域にある人吉市の市長が建設計画の白紙撤回を求めたのも、そうしたダムを「造らないことの効果」に着眼してのことだった。
 ダム建設を中止すれば、遊水池などの代替策が必要になる。どんな治水対策を選ぶかは、基本的に住民や地元自治体の判断によるべきだ。
 国の治水行政にも地元の意向を尊重する地方分権の視点を求めたい。

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2008-09-11(Thu)

区画整理訴訟:判例変更 計画段階の住民提訴可能

“そこのけそこのけ”式 判例の非常識 変更は当然

きわめて、常識的な判例変更だ。
これまでの裁判所の常識が、いかに非常識だったのか、改めて再認識した。

おかみ(行政)の決めた決定に逆らうな、裁判しても門前払いだぞ。
こんな論理が裁判という社会では通用していたらしい。

こんな例は、土地区画整理事業だけではないだろう。市街地再開発事業をはじめ、道路、ダムなど公共事業すべてについてまわる問題だ。

計画決定段階以前の構想段階からの住民参加や、住民による計画決定など都市計画等公共事業の手続きのあり方を根本から見直すべきである。



2008/09/10 23:04 【共同通信】
区画整理事業めぐり判例変更 計画段階の住民提訴可能
 自治体の土地区画整理事業をめぐり、計画決定段階で、反対住民らが取り消しを求め行政訴訟を起こせるかどうかが争われた裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は10日、42年ぶりに判例を変更、「計画決定は訴訟で争える行政処分に当たり、提訴は認められる」とする判断を示した。
 島田裁判長は、不適法を理由に、被告の浜松市勝訴とした1、2審判決を破棄。事業計画の違法性の有無について実質審理するよう静岡地裁に差し戻した。
 これまでは、土地を再配置する「仮換地」指定後などに初めて訴訟の対象になるとされていたが、より早い計画決定の時点から裁判で争えることになり、行政訴訟の門戸が拡大する。町づくり事業に対する各地の住民運動に影響を与えそうだ。
 15人の裁判官全員が判例の変更を支持した。
 問題になったのは、浜松市が進める遠州鉄道「上島駅」の高架化に伴う周辺地域整備事業。市が2003年11月、対象地区や期間、設計概要などを含む事業計画を決定した。
 判決は、計画決定されると、宅地所有者らは建築制限が課されるほか、特段の事情がない限り事業が進むため換地処分を受ける地位に立たされると指摘。
 さらに「事業が進んだ段階で提訴し、仮に違法性が認められても、混乱を引き起こすとして、行政事件訴訟法に基づく事情判決によって請求が退けられる可能性も高い」と言及。「計画決定は法的地位に変動をもたらし、実効的な権利救済を図る観点からも提訴を認めるのが合理的」と結論づけた。

2008/09/10 20:09 【共同通信】
区画整理事業判決の要旨 最高裁大法廷
 浜松市の土地区画整理事業をめぐる訴訟で、最高裁大法廷が10日言い渡した判決の要旨は次の通り。
 【多数意見】
 土地区画整理事業の事業計画が定められ公告されると、換地処分の公告がある日まで、施行地区内で建築行為の制限などが生ずる。
 また、事業計画が決定されると、施行地区内の宅地所有者の権利にいかなる影響が及ぶか、一定限度で具体的な予測が可能になる。そして、いったん決定がされると、特段の事情のない限り事業がそのまま進められ、宅地について換地処分が当然に行われる。宅地所有者は換地処分の公告まで、建築制限などを継続的に課され続ける。
 そうすると、宅地所有者は事業計画の決定によって、規制を伴う土地区画整理事業の手続きに従って換地処分を受けるべき地位に立たされると言え、その意味で、その法的地位に直接的な影響が生ずる。
 もとより、換地処分を受けた宅地所有者は処分の取り消し訴訟を提起できる。しかし、処分がされた段階では実際上、工事が進ちょくするなどしており、訴訟で計画の違法性が認められても、取り消しは著しい混乱をもたらしかねないとして、行政事件訴訟法に基づく事情判決によって請求が棄却される可能性が相当あり、権利侵害への救済が十分果たされるとは言いがたい。
 そうすると、実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決定段階で、取り消し訴訟の提起を認めることには合理性がある。
 以上によれば、事業計画の決定は宅地所有者の法的地位に変動をもたらし、行政事件訴訟法3条2項に言う「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当で、これと異なる趣旨を言う最高裁の1966年の大法廷判決と92年の第3小法廷判決は、いずれも変更すべきだ。
 【涌井紀夫裁判官の意見】
 事業計画が定められ公告されると、施行地区内の土地は、許可なしに建築ができないなどの制約が課されるのだから、事業計画決定が個人の権利・利益を直接に侵害・制約するような法的効果を持つのは明らかだ。
 この効果が発生すると、施行地区内の土地では自由に建築ができず、所有者は売却しようとしても買い手を見つけるのが困難になるという、極めて現実的で深刻な影響が生じることになる。
 このような不利益に対し、抗告訴訟で救済機会を保障するには、計画決定段階での訴訟を認める以外に方法はなく、計画決定については、建築制限などの法的効果を持つことのみで、その処分性を肯定することが十分可能だ。

(2008年9月11日01時58分 読売新聞)
青写真訴訟 利点も懸念もある判例見直し(9月11日付・読売社説)
 争いは早い段階で決着させるに越したことはない――。それが最高裁のメッセージだろうが、新たな問題が生じる可能性もあるだろう。
 土地区画整理事業を巡る訴訟で、最高裁大法廷は42年ぶりに判例を見直した。事業計画の決定段階で、住民が決定取り消しを求めて起こした行政訴訟について、審理の対象にすべきだとする新たな判断を示した。
 これまで裁判所は、事業計画の決定段階の訴訟は審理をせず、門前払いしてきた。最高裁大法廷が1966年、事業計画を「青写真に過ぎない」と位置付けた判例があったためだ。
 大法廷は、この「青写真判決」で、代替地が指定されて移転を余儀なくされるなど、住民に具体的な権利侵害が生じた段階で起こされた訴訟でないと、審理の対象にしないと判断していた。
 大法廷は今回、「青写真判決」の考え方では「権利侵害の救済を十分に果たせない」と指摘した。権利侵害が生じた後に計画の違法性が認められても、進捗(しんちょく)している工事を止めるのは難しいからだ。実態を重視した判断といえる。
 行政側にとっても、事業計画の決定段階で司法の“お墨付き”を得れば、事業がスムーズに進み、効率性が高まるだろう。
 だが、新たな混乱を引き起こす要素もはらんでいる。
 今回の判決は、土地区画整理事業にとどまらず、市街地再開発など巨大プロジェクトの遂行にも影響を及ぼす可能性もある。
 計画決定段階で、裁判所が決定の取り消しを命じれば、計画が頓挫する。結果として、都市計画全体の見直しを迫られ、より多くの関係者が不利益を被るケースも出かねない。
 判例見直しの影響を注意深く見ていく必要がある。
 行政訴訟の乱発は好ましいことではない。だが、本当に必要な事業かどうかをチェックする手段の一つとして、行政訴訟が重要な役割を担っているのも事実だ。
 最高裁は、小田急高架化訴訟で、事業認可の取り消しを求めることができる沿線住民の範囲を幅広くとらえる判断を示した。
 今回の判決により、より早い段階で行政訴訟を提起できるようになる。住民の意思を司法の場に持ち込みやすい状況を整備したといえるだろう。
 住民の意向を最大限に考慮して事業を進める――。行政には、これまで以上にその姿勢が求められている。

(2008年9月11日 読売新聞)
区画整理、計画段階で提訴可能
最高裁、42年ぶり変更
 自治体が決定した土地区画整理事業の計画について、住民が計画決定の段階で取り消しを求められるかどうかが争われた行政訴訟の上告審判決が10日、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)であった。
 判決は、事業計画の決定段階での取り消し訴訟は起こせないとした最高裁判決を42年ぶりに変更。訴えを却下した1、2審判決を破棄、審理を1審・静岡地裁に差し戻した。
 15人の裁判官全員が判例変更の判断を示した。今後は、計画段階で事業の是非について司法判断を求められるようになり、行政計画を巡る訴訟に影響を与えそうだ。
 原告は浜松市内に住む地権者ら29人。同市に対し、2003年11月に決定した遠州鉄道上島駅周辺の区画整理事業計画を取り消すよう求め、04年2月に提訴した。
 最高裁大法廷は1966年2月、「事業計画の決定段階では、一般的、抽象的な事業の青写真に過ぎない」として、計画段階では訴訟は起こせないとの判断を示し、その後の同種訴訟は却下が続いてきた。
 この日の判決は、事業計画が決定されると建築制限などの規制が課され、ほぼ確実に土地の交換などが行われることを挙げ、「計画決定が住民らの法的地位に直接的な影響を生じさせる」と述べた。その上で、「実効的な権利救済を図るためには、計画決定段階での提訴を認めることに合理性があり、判例は変更すべきだ」と判断した。

(2008年9月11日 読売新聞)
【解説】区画整理 最高裁判決
住民の権利救済重視 行政監視強化も狙う
 10日、土地区画整理事業訴訟の判決を受け、報道陣の質問に答える原告団の中村誠団長(左)=東京・霞が関で 土地区画整理事業の計画について、取り消しを求める訴訟の提起を認めない判例を42年ぶりに変更した10日の最高裁判決は、住民の権利救済に向けて少しずつ門戸を広げてきた行政訴訟の流れの一つの到達点だった。今後、行政計画を巡る住民の訴えが裁判所で門前払いされる可能性は以前より低くなり、早い段階で司法判断を求めることができるようになりそうだ。(社会部 足立大)
「青写真判決」
 「事業計画の段階では、青写真の性質を持つ抽象的な単なる計画にとどまり、訴えの提起を認めることは妥当ではない」
 今回、変更された1966年の大法廷判決は、土地区画整理事業の事業計画は、個々の住民が自宅の移転を迫られるなど、具体的に権利が侵害される局面になるまでは、訴訟で取り消しを求めることはできないと判断していた。「青写真判決」とも呼ばれ、行政機関が立てた計画が訴訟の対象となるかどうかについて、消極的な司法判断が続くきっかけとなった。
 行政計画は、国や自治体が施策を進めていく際の方法や手順を総合的に定めたもので、土地利用や街づくり、福祉などの分野で多用されている。判例が、行政計画を訴訟の対象から外してきたのは、「青写真」に過ぎない計画段階では個人の権利に与える影響がはっきりせず、違法性を判断するうえで機が熟していないと考えたからだ。また、訴訟で裁判所に提出される証拠資料は限られており、複雑な利害関係を調整して立てられる計画の是非は、裁判による審査になじまないという意見も強かった。
手遅れ
 今回の判決で問題になった土地区画整理事業は、道路や公園など公共施設を整備するもの。現在、全国で約1300件あり、約90件で訴訟が起こされている。
 事業が進めば、住民は計画に沿って宅地を削られたり、別の場所への移転を迫られる「換地」が行われたりする。従来、訴訟が起こせたのはこの段階だったが、換地の取り消しを求めて提訴しても、判決が出るころには周囲で工事が進んで“外堀”が埋まり、もはや手遅れというケースも少なくなかった。
 この日の判決は、計画段階でも、いずれは宅地の換地が避けられないことや、建物の建築制限などを受ける点を指摘。「住民の権利に直接影響を与えるので、訴訟の対象とすべきだ」と判断した。また、換地処分の段階に至ってから提訴すると、事業全体に混乱が生じることを理由に請求が棄却されることが多く、「権利侵害に対する救済が果たされるとはいいがたい」と述べた。計画で影響を受ける住民の救済を重視した判断だと言える。
背 景
 最高裁が、行政訴訟の門戸を狭めていた代表的な判例の一つを見直した背景には、公権力の行使をチェックする行政訴訟を使いやすくしようという司法制度改革に発する流れがある。
 2001年6月の司法制度改革審議会の意見書は、行政処分の取り消し訴訟が本来の機能を果たしていないと指摘。「司法の行政に対するチェック機能を強化する方向で制度を見直すべきだ」と提言した。
 行政訴訟では、裁判所が実質的な審理に入る前に、訴訟の条件を満たしていないとして、訴えを却下するケースが少なくない。特に、〈1〉原告の訴訟当事者としての資格(原告適格)〈2〉国民の権利に影響を与える行政処分に当たるかどうか――は、門前払いにする際の「2本柱」と称されてきた判断のポイントだった。
 このうち原告適格については、05年4月に施行された改正行政事件訴訟法で、門戸を実質的に広げる規定が設けられたが、訴訟の対象となる行政処分に当たるかどうかに関する規定は改革が見送られていた。行政訴訟に詳しい裁判官は、「このままでは、土地区画整理事業などで不利益を被る人を裁判で救済することは不可能になるという懸念が、判例変更の一つの理由となった」と解説する。

1966年判決と今回の判決の比較
○ 事業計画決定の位置づけ
 1966年判決   一般的、抽象的で事業の青写真の性質を持つに過ぎない
 今回の判決    決定により、住民らは建築制限などを伴う換地処分を受ける法的地位に立たされる。一般的、抽象的とはいえない
○ 事業で生じる権利侵害の救済手段について
  1966年判決   建築物の移転命令や換地処分など具体的な行政処分を受けた段階で取り消し訴訟を起こせば救済される
 今回の判決    換地処分の段階では既に工事が進み、事業全体に著しい混乱をもたらす。実効的な権利救済のためには計画決定段階での訴訟を認めるべきだ

早期の行政訴訟 容易に
080911読売)区画整理訴訟判決 図

影 響
 この日の最高裁判決が訴訟の対象と認めたのは土地区画整理事業の事業計画だが、日本弁護士連合会行政訴訟センター委員長の斎藤浩弁護士は、「今後は行政計画全般で、住民が取り消し訴訟を通じて計画の是非を問えるようになるだろう」と波及効果に期待する。
 例えば、木造家屋の密集地域にビルを建て、公園などを整備する第1種市街地再開発事業。元の住民が所有していた不動産が、新しいビルの権利に置き換えられる。土地所有者が事業計画に不満を持っている場合、計画段階から訴訟を起こせることになる。
 都市計画法に基づく用途地域の指定では、例えば工業地域にはホテルや料理店が建てられないなど、地域によって建設できる建物の用途が制限される。これまでは新たな施設を建設しようとしても、費用をかけて設計したうえ、建築確認申請を却下された段階でないと、裁判を起こせなかったが、今後はより早い段階で訴訟を起こせるようになる可能性がある。
 ただ、行政計画の取り消しが訴訟の対象となるとしても、最終的に住民の請求が認められるかどうかは予断を許さない。別の民事裁判官は、「行政の側に明らかな誤りがなければ、行政判断を覆すのは難しい。今回の判決がただちに住民側に有利な状況をもたらすかは疑問だが、原告が訴訟の土俵に上がれる点で大きな一歩になる」と話している。
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