2008-06-23(Mon)
国土形成計画を修正 (日本の国土を考える)
国土形成計画(案)が修正されるって?
国土交通大臣が福田総理に国土形成計画の修正を報告したという。
国土形成計画(全国計画)に海峡横断道路計画を推進するとした文言があり、
道路特定財源問題の国会審議で、無謀な計画だと批判されたからだ。
しかし、文言は海峡横断道路だけではない。
14000kmの高規格幹線道路、6850kmの地域高規格道路(計画路線)という高速道路計画を推進することも盛り込まれている。実に21000kmを超える高速道路計画である。
冬柴国交大臣が、「ネットワークでつなぐ」と執念を燃やし、何度も国会で答弁していたのが、この高速道路計画だ。
道路特定財源の一般財源化を閣議決定しても、この「高速道路ネットワークをつなぐ」ことについては、撤回も何もしていない。「必要と判断される道路整備」として、生き残るために執念を燃やしている。
国土形成計画には、中期計画に沿って、この高速道路計画を推進するという趣旨が盛り込まれている。道路特定財源の一般財源化と中期計画の見直しを言うのなら、この国土形成計画の部分も見直すべきである。
そして、海峡横断道路は、さらにその先の計画だ。地域高規格道路の候補路線という位置づけで、68億円かけて調査が行われてきた。
国交大臣は、調査を中止すると国会答弁した。文言の修正は当然だが、調査の中止だけでなく計画そのものを中止して国土形成計画から排除するべきである。
さらに、全国計画に続いて、地方の要望にそって策定されることになっているが「広域地方計画」に盛り込まれる可能性もある。これをやめさることが必要だ。
2008年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
共産党追及の海峡横断道路
国土形成計画修正へ 国交相
冬柴鉄三国土交通相は二十日、首相官邸で福田康夫首相を訪ね、現在策定中の国土形成計画(全国計画)の政府案のうち、批判が相次いでいる海峡横断プロジェクトに関する文言を修正すると報告し、了承を得ました。
同計画は今後十年間の国土づくりの方向性を示す内容で、当初は二○○七年度中に閣議決定する予定でした。しかし、道路特定財源をめぐる国会論戦の中で、日本共産党国会議員団が徹底して追及。東京湾口などをまたぐ道路の整備構想の採算性や現実性が大本から問われていました。
会談後、国交相は記者団に対し「政府案を修正し、国会審議を反映する形で閣議決定したい」と表明。閣議決定の時期については「時間がかかる」と述べただけでした。
(2008年5月27日 読売新聞)
国土形成計画
日本の未来図 8圏域ごとに
今後10年間の国土作りの指針となる「国土形成計画」のうち全国計画が、6月にも閣議決定される。国土交通省は、八つの広域ブロックが自立して発展する国土像を描いており、今後の焦点は、広域ブロックごとに地方主導で策定する広域地方計画に移る。(香取直武)
国土形成計画(全国計画)の骨子
▼東アジアとの交流・連携(日帰りビジネス圏の拡大、観光立国の実現など)
▼持続可能な地域の形成(二地域居住の促進など)
▼災害に強い国土形成(情報技術を活用した災害情報の収集・伝達体制など)
▼美しい国土の管理と継承(歴史的建造物や産業遺産の保全・整備など)
▼「新たな公」を基軸とする地域づくり(NPO、企業、行政の協業など)
■人口減少
計画は、個別の振興計画がある北海道と沖縄を除き、東北、首都圏、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州の八つの広域ブロックを設定し、各地域の特徴を生かした国土開発を目指している。従来の長期計画である全国総合開発計画(全総)が、政府主導による均一的な開発に傾きすぎて、地方ごとの特色ある発展を促すことができなかったとの反省からだ。
新計画の大きな特徴は、「定住人口の増加をすべての地域で実現することはできない」と、人口減少社会を前提とした点だ。
高齢化で存続が危ぶまれる「限界集落」については、「中心・基幹集落への機能統合や再編成などを含めた合意形成を図る」と明記した。一つの自治体があらゆる行政サービスを提供する「フルセット主義」の限界を示唆した。
人口減少対策の一つとして、二つの地域に生活拠点を持つ「二地域居住」の推進を挙げた。都市と地方の双方に生活拠点を持つ生活スタイルを広めて、地方で暮らす人口を増やし、消費活動や地域活動の担い手にしたい考えだ。
■東アジアを取り込み
日帰りビジネス圏の拡大など、広域ブロックごとに東アジアの成長を取り込む施策も盛り込んだ。
都内からの日帰り圏は現在、ソウルや上海などに限られるが、これを北京や台北、ウラジオストクなどに広げる。2010年に羽田空港に4本目の滑走路が新設されるのをにらみ、航空各社に東アジアとの直行便の増加を促し、関西、中部国際空港とともに24時間化を拡大する。
■従来型開発も
一方で計画は、全国1万4000キロの高速道路網や、整備新幹線の未着工区間について、整備推進の姿勢を示した。
冬柴国交相が調査事業の中止を表明した全国6か所の海峡横断プロジェクトについても、計画では「取り組みを進める」としており、国会で野党から削除を求められた。
地方では道路や新幹線など、大型公共工事を求める声が根強く、今後、広域地方計画に反映される可能性がある。国交省が全国計画で示した従来型の開発姿勢に対しては、「地方計画をテコに省益確保を図る思惑」(関係者)との指摘がある。
地方計画を策定する広域ブロックは、政府・与党などで議論が進む道州制の枠組みを先取りするものだ。独自性のある将来像を描けるかどうか、財源の裏打ちのある構想や政策を立案する能力はあるのか――。各ブロックは、分権の受け皿としての力量を問われることになりそうだ。
国土形成計画のスケジュール
2005年7月 国土総合開発法を改正した国土形成計画法が成立
9月 国土審議会(国交相の諮問機関)が議論をスタート
2008年2月 国土審議会が国土形成計画(全国計画)を答申
6月? 閣議決定/各広域ブロックで協議会を設置
2009年3月まで 広域地方計画を策定
前身の「全総」 均衡ある発展掲げる
国土形成計画の前身の全総が初めて閣議決定されたのは1962年。池田内閣の所得倍増計画に対し、地域格差を是正すべきだとの批判が出たことがきっかけとなり、「地域間の均衡ある発展」を掲げた全総が策定された。
高度成長期の新全総、第1次オイルショック後の三全総を経てバブル期に策定されたのが四全総。道路特定財源を巡る議論で現在も焦点となっている1万4000キロの高速道路網整備はこの時盛り込まれた。
バブル崩壊後の「21世紀の国土のグランドデザイン」は、投資規模を盛り込むのも見送った。国の財政は急速に悪化し、中央集権型の開発計画はすでに時代遅れになっていた。
今回の国土形成計画では、全体理念を示した「全国計画」を国交省が策定し、具体的な事業を盛り込む「広域地方計画」は地方主体で作る2本立てになっている。
国土交通大臣が福田総理に国土形成計画の修正を報告したという。
国土形成計画(全国計画)に海峡横断道路計画を推進するとした文言があり、
道路特定財源問題の国会審議で、無謀な計画だと批判されたからだ。
しかし、文言は海峡横断道路だけではない。
14000kmの高規格幹線道路、6850kmの地域高規格道路(計画路線)という高速道路計画を推進することも盛り込まれている。実に21000kmを超える高速道路計画である。
冬柴国交大臣が、「ネットワークでつなぐ」と執念を燃やし、何度も国会で答弁していたのが、この高速道路計画だ。
道路特定財源の一般財源化を閣議決定しても、この「高速道路ネットワークをつなぐ」ことについては、撤回も何もしていない。「必要と判断される道路整備」として、生き残るために執念を燃やしている。
国土形成計画には、中期計画に沿って、この高速道路計画を推進するという趣旨が盛り込まれている。道路特定財源の一般財源化と中期計画の見直しを言うのなら、この国土形成計画の部分も見直すべきである。
そして、海峡横断道路は、さらにその先の計画だ。地域高規格道路の候補路線という位置づけで、68億円かけて調査が行われてきた。
国交大臣は、調査を中止すると国会答弁した。文言の修正は当然だが、調査の中止だけでなく計画そのものを中止して国土形成計画から排除するべきである。
さらに、全国計画に続いて、地方の要望にそって策定されることになっているが「広域地方計画」に盛り込まれる可能性もある。これをやめさることが必要だ。
2008年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
共産党追及の海峡横断道路
国土形成計画修正へ 国交相
冬柴鉄三国土交通相は二十日、首相官邸で福田康夫首相を訪ね、現在策定中の国土形成計画(全国計画)の政府案のうち、批判が相次いでいる海峡横断プロジェクトに関する文言を修正すると報告し、了承を得ました。
同計画は今後十年間の国土づくりの方向性を示す内容で、当初は二○○七年度中に閣議決定する予定でした。しかし、道路特定財源をめぐる国会論戦の中で、日本共産党国会議員団が徹底して追及。東京湾口などをまたぐ道路の整備構想の採算性や現実性が大本から問われていました。
会談後、国交相は記者団に対し「政府案を修正し、国会審議を反映する形で閣議決定したい」と表明。閣議決定の時期については「時間がかかる」と述べただけでした。
(2008年5月27日 読売新聞)
国土形成計画
日本の未来図 8圏域ごとに
今後10年間の国土作りの指針となる「国土形成計画」のうち全国計画が、6月にも閣議決定される。国土交通省は、八つの広域ブロックが自立して発展する国土像を描いており、今後の焦点は、広域ブロックごとに地方主導で策定する広域地方計画に移る。(香取直武)
国土形成計画(全国計画)の骨子
▼東アジアとの交流・連携(日帰りビジネス圏の拡大、観光立国の実現など)
▼持続可能な地域の形成(二地域居住の促進など)
▼災害に強い国土形成(情報技術を活用した災害情報の収集・伝達体制など)
▼美しい国土の管理と継承(歴史的建造物や産業遺産の保全・整備など)
▼「新たな公」を基軸とする地域づくり(NPO、企業、行政の協業など)
■人口減少
計画は、個別の振興計画がある北海道と沖縄を除き、東北、首都圏、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州の八つの広域ブロックを設定し、各地域の特徴を生かした国土開発を目指している。従来の長期計画である全国総合開発計画(全総)が、政府主導による均一的な開発に傾きすぎて、地方ごとの特色ある発展を促すことができなかったとの反省からだ。
新計画の大きな特徴は、「定住人口の増加をすべての地域で実現することはできない」と、人口減少社会を前提とした点だ。
高齢化で存続が危ぶまれる「限界集落」については、「中心・基幹集落への機能統合や再編成などを含めた合意形成を図る」と明記した。一つの自治体があらゆる行政サービスを提供する「フルセット主義」の限界を示唆した。
人口減少対策の一つとして、二つの地域に生活拠点を持つ「二地域居住」の推進を挙げた。都市と地方の双方に生活拠点を持つ生活スタイルを広めて、地方で暮らす人口を増やし、消費活動や地域活動の担い手にしたい考えだ。
■東アジアを取り込み
日帰りビジネス圏の拡大など、広域ブロックごとに東アジアの成長を取り込む施策も盛り込んだ。
都内からの日帰り圏は現在、ソウルや上海などに限られるが、これを北京や台北、ウラジオストクなどに広げる。2010年に羽田空港に4本目の滑走路が新設されるのをにらみ、航空各社に東アジアとの直行便の増加を促し、関西、中部国際空港とともに24時間化を拡大する。
■従来型開発も
一方で計画は、全国1万4000キロの高速道路網や、整備新幹線の未着工区間について、整備推進の姿勢を示した。
冬柴国交相が調査事業の中止を表明した全国6か所の海峡横断プロジェクトについても、計画では「取り組みを進める」としており、国会で野党から削除を求められた。
地方では道路や新幹線など、大型公共工事を求める声が根強く、今後、広域地方計画に反映される可能性がある。国交省が全国計画で示した従来型の開発姿勢に対しては、「地方計画をテコに省益確保を図る思惑」(関係者)との指摘がある。
地方計画を策定する広域ブロックは、政府・与党などで議論が進む道州制の枠組みを先取りするものだ。独自性のある将来像を描けるかどうか、財源の裏打ちのある構想や政策を立案する能力はあるのか――。各ブロックは、分権の受け皿としての力量を問われることになりそうだ。
国土形成計画のスケジュール
2005年7月 国土総合開発法を改正した国土形成計画法が成立
9月 国土審議会(国交相の諮問機関)が議論をスタート
2008年2月 国土審議会が国土形成計画(全国計画)を答申
6月? 閣議決定/各広域ブロックで協議会を設置
2009年3月まで 広域地方計画を策定
前身の「全総」 均衡ある発展掲げる
国土形成計画の前身の全総が初めて閣議決定されたのは1962年。池田内閣の所得倍増計画に対し、地域格差を是正すべきだとの批判が出たことがきっかけとなり、「地域間の均衡ある発展」を掲げた全総が策定された。
高度成長期の新全総、第1次オイルショック後の三全総を経てバブル期に策定されたのが四全総。道路特定財源を巡る議論で現在も焦点となっている1万4000キロの高速道路網整備はこの時盛り込まれた。
バブル崩壊後の「21世紀の国土のグランドデザイン」は、投資規模を盛り込むのも見送った。国の財政は急速に悪化し、中央集権型の開発計画はすでに時代遅れになっていた。
今回の国土形成計画では、全体理念を示した「全国計画」を国交省が策定し、具体的な事業を盛り込む「広域地方計画」は地方主体で作る2本立てになっている。
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