汚染米 なぜ輸入、なぜ販売 絶対おかしい!
そもそも、輸入を禁止し、流通させるべきではない
汚染された米(=商品)を輸入すること自体がおかしい。
そのうえ、それが流通することも、さらにおかしい。
輸入してはいけないものを、輸入し、流通させる。政府の責任だ。
「三笠フーズ」などが「儲け話」として、さまざまなルートを使って「マネーロンダリング」ならぬ「毒コメ・ロンダリング」しようとしたが、きれいに洗浄できず、毒をまきちらした・・・ような構図だ。
こんな犯罪の温床を政府がつくったのではないか。
検査・チェック体制や癒着の問題も徹底解明すべきだが、やはり、そもそも疑問がわく。
なぜ、輸入してはいけないものを、輸入し、流通させたのか。
さらには、日本のコメは余ってると減反までしているのに、なぜ、輸入なのか。
世界では食糧不足なのに、日本が買うことで価格を吊り上げ、食糧難にあえぐ人たちが食糧を口にできない事態を拡大している。
食糧政策を根本から変える時に来ている。つくづくそう思う。
朝日新聞 2008年9月13日(土)付
社説:汚染米問題―農水省に任せておけぬ
農薬などで汚染された「事故米」の影響は、いったいどこまで広がっていくのか。またも信じがたい事実が明らかになった。
工業用ののりなどにしか使えないはずの汚染米が、あろうことか、赤飯やおこわになって、病院や特別養護老人ホーム、保育園の給食として出されていたというのだ。焼酎や日本酒、菓子にとどまらず、多くの人の口に直接入っていたことになる。
保育園などでは、残っていた米から基準を超える農薬成分が検出された。
不正の被害は、日ごとに拡大するばかりだ。流通先は数多く、騒動の発端となった「三笠フーズ」のほかに、新たに2社が汚染米を転用していた。仕入れた酒や菓子のメーカーは全国の店に並ぶ製品の回収に追われている。
安全な食べ物を売るという当たり前の商道徳は、なぜこれほど失われてしまったのか。「食の安全が保たれていない」などと、よその国を批判できる状況ではあるまい。
それにしては、農林水産省の対応は危機感が薄すぎる。
農水省は汚染米が流通した業者名の公表に積極的ではない。公表について同意が得られなかった業者名は、原則として発表していない。患者や職員らが米を食べてしまった病院名などについても、口をつぐんでいる。食品の安全衛生にかかわることは厚生労働省の管轄であり、農水省には権限がない、というのだ。
業者が被る影響を考えてのことかもしれないが、どこまで流通したかがわからなければ、消費者はいっそう不安になる。それは結果的に業界をさらに追いつめることを忘れてはいけない。
そもそも、汚染米の転用を招いた責任は農水省にもある。
転用された汚染米の大半は、農水省が業者に売り渡した輸入米だ。保管中にカビが生えたり農薬成分が検出されたりしたものだが、それを「工業用」として買い取ってくれる業者は農水省にとってありがたい存在だった。
農水省は汚染米を扱う業者の不正を見抜けなかった。その背景には、業者とのなれ合いがあったのではないか。そう勘ぐりたくもなる。
福田首相は太田農水相に流通経路の解明などを指示した。しかし、もはや当事者の農水省だけに任せてはおけない。政府は野田消費者行政担当相のもとに情報を集約し、厚労省や自治体などとも十分連携しながら事件の全容解明に総力を挙げるべきだ。
福田首相が政権を投げ出したからといって、政府が休業状態であっていいわけがない。まだ健康被害が報告されていないとはいえ、ことは国民の安全にかかわる。流通経路の解明と再発防止の対策づくりを急ぎ、一日も早く混乱を収めてもらいたい。
産経新聞 2008.9.7 03:10
【主張】汚染米の転売 農水は事後監視の徹底を
食用には適さず、工業用糊(のり)の原材料などに使われるはずの汚染米が加工食品用として販売されていた。「食の安全」を脅かす不正行為がまたも明らかになった。
再発防止の観点からも不正転売には厳しい追及が必要だ。一方で売却した農林水産省の事後監視体制にも少なからず問題点が指摘されている。徹底した見直しが必要となろう。
ウルグアイ・ラウンド合意で日本は平成7年度からコメの最低輸入義務を課され、現在は年間70万〜80万トンを中国などから輸入している。このうち2000トン程度は輸入後検査で基準値を超す農薬やカビの発生が確認されている。
農水省はこれを「事故米穀」として区別し、食用には回さないことを条件に民間に売却している。価格は食用米の5分の1程度が相場とされ、今回はこの仕組みが悪用された格好だ。 不正転売をしていた三笠フーズ(本社・大阪市)は、15年度から現在まで計1779トンの事故米穀を買い取っていた。最近の2年間では、少なくとも430トン程度を焼酎や米菓の材料として不正転売していた可能性が強い。
転売された汚染米については、事前に洗浄やカビの除去作業が行われていたとして、農水省は「ただちに健康被害につながる恐れはない」と消費者に冷静な対応を呼びかけている。
だが、これまでの調べで、三笠フーズは二重帳簿の作成や出荷記録の偽造・廃棄を行っていたことも明らかになっている。会社ぐるみの極めて悪質な不正行為と言わざるを得ない。消費者の不安解消のためにも、転売先の追跡調査には万全を期してほしい。
農水省は食品衛生法違反罪で同社を刑事告発する方針という。当然のことではあるが、他の事業者には問題がないのかどうか。売却後の事故米穀の転売については対象を三笠フーズ以外にも広げ、さらに徹底した調査をすることが求められよう。
同時に、事故米穀の売却体制そのものも再検討すべきだ。農水省は販売計画書や売上伝票などでチェックはしていたというが、不正を見抜けなかったのも事実だ。計画的不正にも対処できる新たな事後監視体制も考えたい。
食品の産地偽装など食の安全に対する国民の不信感は危険水域まで達している。消費者行政の抜本改革が急がれる。
東京新聞 2008年9月13日
【社説】汚染米拡大 農水省こそ“共犯”では
不正転売された汚染米の被害は、病院や福祉施設にまで広がった。業者は言語道断だ。だが背景には、安全安心の守護者であるべき農林水産省が、食品や生活者に向き合う姿勢の甘さがある。
「いったい何を信じればいいの」。消費者の叫び声である。
残留農薬などによる汚染米の流通は近畿から東海にも及び、大手酒造会社は、原料に汚染米が混入した人気銘柄の焼酎六十五万本の自主回収に乗り出した。
とりわけやり切れないのは、汚染米を使った食品が、特別養護老人ホームや病院にまで及んでいたことだ。楽しみにしていた赤飯やおはぎの中に毒物が混じっていたことを知らされたお年寄りたちの不安は、察するにあまりある。
農水省は不正競争防止法違反の疑いで三笠フーズを刑事告発し、「根本的には事業者の食に対する認識不足」として「汚染米」の売買を全面的に禁止する方針などを打ち出した。だが、認識を欠いているのは、農水省も同じである。
国際協定で輸入を強制されたミニマムアクセス(最低輸入量)米は、政府に課された重いノルマだ。しかし、「事故米」なら、国内農業に影響を与えずに、輸入義務量に計上できる。買い取ってくれる業者も、いわばありがたい存在だ。三笠フーズを筆頭にその数も限られており、“顔が見える関係”になりやすい。検査も甘くなるはずだ。そもそも食用にはできないものを、なぜ食品業者に卸すのか。安全よりもノルマを優先させた実態が、不正転売の温床だったと批判されても仕方がない。 消費者軽視は他にもある。農水省は「残留農薬は基準値以下で、ただちに健康には影響がない」「風評被害の恐れがある」と、汚染米の転売先を全面開示していない。カドミウム汚染米の時も、牛海綿状脳症(BSE)でも、調査結果を十分公表しないまま「安全」と繰り返し、消費者の疑心暗鬼を招いたことに懲りていない。
汚染米の流通実態を解明し、再発防止を徹底するために、国会の閉会中審査が必要だ。そして、消費者庁の創設を待つまでもなく、まず農水省自らが「食品」という特別な商品に対する認識を改めるべきだ。
規制緩和、自由競争の流れの中で、生命や健康の基となる食品業界が特に、「利益至上」という“毒”に汚染されている。不正競争防止法では心もとないというのが実感だ。厳罰化もやむを得まい。
東京新聞 2008年9月10日
【社説】汚染米転売 これは『事故』ではない
「怒り心頭」。三笠フーズから汚染米をそれとは知らずに買い入れた焼酎メーカー社長のこの言葉は、愛飲してきた消費者の怒りでもある。官民のなれ合いがまた一つ、食への不信を募らせた。
減反の必要性が叫ばれながら年間七十七万トンのコメが米国や中国などから輸入されている。国内農業の保護政策と引き換えに日本が受け入れたミニマムアクセス(最低輸入量)があるからだ。輸入米はみそや酒、菓子類への加工用などにされている。
大半が船で運ばれてくるため、水にぬれたり、かびが生えたり、あるいは日本の基準値以上の残留農薬が検出され、食用にできないコメが出る。政府はこれらを「事故米」とし、工業用のりや建設資材の原料など、用途を限って安く払い下げている。 三笠フーズの不正は十年に及ぶとされ、ここ五年の政府売却分の約四分の一を落札したほか、商社経由でも「事故米」を買いあさり、酒造会社に転売して「利ざや」を稼いでいたようだ。
裏帳簿や偽領収書を作成して「食用」の袋に詰め替えるなど、組織的、計画的で悪質だ。
厳しく責任を追及し、国内での流通ルート、農薬の混入経路なども早急に解明しないと、食への不信はますます募る。
それにしてもふに落ちないのは、農林水産省の対応だ。五年で百回近くも立ち入り調査しながら、これだけの不正を見抜けないのでは甘いと言われても仕方がない。
どうせ、ご飯としては食べられないコメだから、「売り払えればそれでいい」という気持ちの緩みはなかったか。官民のなれ合いが、地域でまじめに業績を伸ばしてきた焼酎メーカーを窮地に追い込み、コメの多用途化に水を差す。農水省の責任は軽くはない。
「中国製毒ギョーザ事件」と言われるように、メタミドホスは毒物だ。「健康には影響がない」と言われても、メタミドホス入りと承知で「毒米」が払い下げられてしまったことに、そもそも感覚のずれがある。「毒米」は見つかれば、輸入元へ返品するか、廃棄すべきではないか。 消毒された種もみは、薄く着色を施し、間違って食べないように区別している。食用外に限るなら、このような目印を施して流通させるべきである。
官民ともに「食べ物」に対する姿勢をさらに厳しく改めないと、生活者の不安はぬぐえない。
2008年9月10日(水)「しんぶん赤旗」
主張:ミニマムアクセス米 破たんした「義務」的輸入
国民が必要としていないにもかかわらず、政府は毎年、外国米を大量に輸入しています。食の安全と食料自給率引き上げが求められる中、ミニマムアクセス(MA)米と呼ぶ外国米の輸入に、国民の目が一段と厳しくなっています。
MA米の輸入が始まって十三年、制度の破たんは国内、国際の両面で明らかになっています。政府はMA米の輸入を中止するとともに、輸入を押し付ける世界貿易機関(WTO)協定の抜本改定を追求すべきです。
「全量輸入」できず
MAは一九九三年、WTOの前身であるGATT(関税貿易一般協定)のウルグアイ・ラウンド交渉で導入されました。農産物のうち日本が唯一自給できるコメの市場に風穴を開けるものでした。
当時の政府が国産米の需給に影響を与えないと約束し、実際に外国米の需要がほとんどないこともあって、多くが倉庫に積み上げられ、管理に多額の税金が投入されてきました。半面でMA米は一部の外食産業や加工用に使われ、「コメ余り」の要因になってきました。そのもとで、政府は農家に厳しい減反を強制してきたのです。
各党がMA米の輸入を「仕方ない」と受け入れた一方で、日本共産党は食料自給率を引き上げる立場からコメ市場の開放に一貫して反対してきました。WTO協定を精査して、MAは「輸入機会」を提供するとの約束にすぎず、その全量を買い入れる「義務」はないことを明らかにし、政府に輸入の中止を迫ってきました。
政府は、コメは「国家貿易」だから全量を買い入れる「義務」があると主張してきました。ところが今年、全量輸入が「義務」だという政府の主張が崩れました。
農水省は二〇〇七年度もMA米を全量(七十七万トン)輸入する予定でした。しかし、コメの国際価格が急騰する中で、業者が希望する買い取り価格では入札が成立しない事態が生じたのです。農水省は結局、〇七年度のMA米の輸入を約七万トン残して打ち切ってしまいました。これは政府の判断で輸入量を変えられることを、政府自らが明らかにしたものです。
MA米輸入を見直すべきだとの主張は、農業関係者と広範な国民、さらに農水省の官僚にも広まってきました。今回の農水省決定を報じたメディアが、MA米不要論の高まりを指摘したのも、世論の変化を反映しています。それにもかかわらず、なんらの検討もしないまま〇八年度の輸入を強行する農水省の姿勢は許されません。
世界的な食料危機の中、コメ不足から暴動が起きた国さえあります。日本が不要なコメを輸入し続けることは、途上国の人びとの貴重な食料を横取りするもので、道理がありません。政府は、MA米輸入が「義務」でないことを認め、きっぱりと中止すべきです。
WTO協定の改定を
世界的な食料危機に直面して、各国はいま食料自給率を引き上げる必要に迫られています。WTOのドーハ・ラウンド交渉が七月に決裂した背景には、市場開放の押し付けに対する各国の批判があります。
自給率が先進国中で最低の日本は特段の引き上げ努力が必要です。そのために、WTO協定を抜本的に改定し、食料主権を確保することが不可欠です。
汚染された米(=商品)を輸入すること自体がおかしい。
そのうえ、それが流通することも、さらにおかしい。
輸入してはいけないものを、輸入し、流通させる。政府の責任だ。
「三笠フーズ」などが「儲け話」として、さまざまなルートを使って「マネーロンダリング」ならぬ「毒コメ・ロンダリング」しようとしたが、きれいに洗浄できず、毒をまきちらした・・・ような構図だ。
こんな犯罪の温床を政府がつくったのではないか。
検査・チェック体制や癒着の問題も徹底解明すべきだが、やはり、そもそも疑問がわく。
なぜ、輸入してはいけないものを、輸入し、流通させたのか。
さらには、日本のコメは余ってると減反までしているのに、なぜ、輸入なのか。
世界では食糧不足なのに、日本が買うことで価格を吊り上げ、食糧難にあえぐ人たちが食糧を口にできない事態を拡大している。
食糧政策を根本から変える時に来ている。つくづくそう思う。
朝日新聞 2008年9月13日(土)付
社説:汚染米問題―農水省に任せておけぬ
農薬などで汚染された「事故米」の影響は、いったいどこまで広がっていくのか。またも信じがたい事実が明らかになった。
工業用ののりなどにしか使えないはずの汚染米が、あろうことか、赤飯やおこわになって、病院や特別養護老人ホーム、保育園の給食として出されていたというのだ。焼酎や日本酒、菓子にとどまらず、多くの人の口に直接入っていたことになる。
保育園などでは、残っていた米から基準を超える農薬成分が検出された。
不正の被害は、日ごとに拡大するばかりだ。流通先は数多く、騒動の発端となった「三笠フーズ」のほかに、新たに2社が汚染米を転用していた。仕入れた酒や菓子のメーカーは全国の店に並ぶ製品の回収に追われている。
安全な食べ物を売るという当たり前の商道徳は、なぜこれほど失われてしまったのか。「食の安全が保たれていない」などと、よその国を批判できる状況ではあるまい。
それにしては、農林水産省の対応は危機感が薄すぎる。
農水省は汚染米が流通した業者名の公表に積極的ではない。公表について同意が得られなかった業者名は、原則として発表していない。患者や職員らが米を食べてしまった病院名などについても、口をつぐんでいる。食品の安全衛生にかかわることは厚生労働省の管轄であり、農水省には権限がない、というのだ。
業者が被る影響を考えてのことかもしれないが、どこまで流通したかがわからなければ、消費者はいっそう不安になる。それは結果的に業界をさらに追いつめることを忘れてはいけない。
そもそも、汚染米の転用を招いた責任は農水省にもある。
転用された汚染米の大半は、農水省が業者に売り渡した輸入米だ。保管中にカビが生えたり農薬成分が検出されたりしたものだが、それを「工業用」として買い取ってくれる業者は農水省にとってありがたい存在だった。
農水省は汚染米を扱う業者の不正を見抜けなかった。その背景には、業者とのなれ合いがあったのではないか。そう勘ぐりたくもなる。
福田首相は太田農水相に流通経路の解明などを指示した。しかし、もはや当事者の農水省だけに任せてはおけない。政府は野田消費者行政担当相のもとに情報を集約し、厚労省や自治体などとも十分連携しながら事件の全容解明に総力を挙げるべきだ。
福田首相が政権を投げ出したからといって、政府が休業状態であっていいわけがない。まだ健康被害が報告されていないとはいえ、ことは国民の安全にかかわる。流通経路の解明と再発防止の対策づくりを急ぎ、一日も早く混乱を収めてもらいたい。
産経新聞 2008.9.7 03:10
【主張】汚染米の転売 農水は事後監視の徹底を
食用には適さず、工業用糊(のり)の原材料などに使われるはずの汚染米が加工食品用として販売されていた。「食の安全」を脅かす不正行為がまたも明らかになった。
再発防止の観点からも不正転売には厳しい追及が必要だ。一方で売却した農林水産省の事後監視体制にも少なからず問題点が指摘されている。徹底した見直しが必要となろう。
ウルグアイ・ラウンド合意で日本は平成7年度からコメの最低輸入義務を課され、現在は年間70万〜80万トンを中国などから輸入している。このうち2000トン程度は輸入後検査で基準値を超す農薬やカビの発生が確認されている。
農水省はこれを「事故米穀」として区別し、食用には回さないことを条件に民間に売却している。価格は食用米の5分の1程度が相場とされ、今回はこの仕組みが悪用された格好だ。 不正転売をしていた三笠フーズ(本社・大阪市)は、15年度から現在まで計1779トンの事故米穀を買い取っていた。最近の2年間では、少なくとも430トン程度を焼酎や米菓の材料として不正転売していた可能性が強い。
転売された汚染米については、事前に洗浄やカビの除去作業が行われていたとして、農水省は「ただちに健康被害につながる恐れはない」と消費者に冷静な対応を呼びかけている。
だが、これまでの調べで、三笠フーズは二重帳簿の作成や出荷記録の偽造・廃棄を行っていたことも明らかになっている。会社ぐるみの極めて悪質な不正行為と言わざるを得ない。消費者の不安解消のためにも、転売先の追跡調査には万全を期してほしい。
農水省は食品衛生法違反罪で同社を刑事告発する方針という。当然のことではあるが、他の事業者には問題がないのかどうか。売却後の事故米穀の転売については対象を三笠フーズ以外にも広げ、さらに徹底した調査をすることが求められよう。
同時に、事故米穀の売却体制そのものも再検討すべきだ。農水省は販売計画書や売上伝票などでチェックはしていたというが、不正を見抜けなかったのも事実だ。計画的不正にも対処できる新たな事後監視体制も考えたい。
食品の産地偽装など食の安全に対する国民の不信感は危険水域まで達している。消費者行政の抜本改革が急がれる。
東京新聞 2008年9月13日
【社説】汚染米拡大 農水省こそ“共犯”では
不正転売された汚染米の被害は、病院や福祉施設にまで広がった。業者は言語道断だ。だが背景には、安全安心の守護者であるべき農林水産省が、食品や生活者に向き合う姿勢の甘さがある。
「いったい何を信じればいいの」。消費者の叫び声である。
残留農薬などによる汚染米の流通は近畿から東海にも及び、大手酒造会社は、原料に汚染米が混入した人気銘柄の焼酎六十五万本の自主回収に乗り出した。
とりわけやり切れないのは、汚染米を使った食品が、特別養護老人ホームや病院にまで及んでいたことだ。楽しみにしていた赤飯やおはぎの中に毒物が混じっていたことを知らされたお年寄りたちの不安は、察するにあまりある。
農水省は不正競争防止法違反の疑いで三笠フーズを刑事告発し、「根本的には事業者の食に対する認識不足」として「汚染米」の売買を全面的に禁止する方針などを打ち出した。だが、認識を欠いているのは、農水省も同じである。
国際協定で輸入を強制されたミニマムアクセス(最低輸入量)米は、政府に課された重いノルマだ。しかし、「事故米」なら、国内農業に影響を与えずに、輸入義務量に計上できる。買い取ってくれる業者も、いわばありがたい存在だ。三笠フーズを筆頭にその数も限られており、“顔が見える関係”になりやすい。検査も甘くなるはずだ。そもそも食用にはできないものを、なぜ食品業者に卸すのか。安全よりもノルマを優先させた実態が、不正転売の温床だったと批判されても仕方がない。 消費者軽視は他にもある。農水省は「残留農薬は基準値以下で、ただちに健康には影響がない」「風評被害の恐れがある」と、汚染米の転売先を全面開示していない。カドミウム汚染米の時も、牛海綿状脳症(BSE)でも、調査結果を十分公表しないまま「安全」と繰り返し、消費者の疑心暗鬼を招いたことに懲りていない。
汚染米の流通実態を解明し、再発防止を徹底するために、国会の閉会中審査が必要だ。そして、消費者庁の創設を待つまでもなく、まず農水省自らが「食品」という特別な商品に対する認識を改めるべきだ。
規制緩和、自由競争の流れの中で、生命や健康の基となる食品業界が特に、「利益至上」という“毒”に汚染されている。不正競争防止法では心もとないというのが実感だ。厳罰化もやむを得まい。
東京新聞 2008年9月10日
【社説】汚染米転売 これは『事故』ではない
「怒り心頭」。三笠フーズから汚染米をそれとは知らずに買い入れた焼酎メーカー社長のこの言葉は、愛飲してきた消費者の怒りでもある。官民のなれ合いがまた一つ、食への不信を募らせた。
減反の必要性が叫ばれながら年間七十七万トンのコメが米国や中国などから輸入されている。国内農業の保護政策と引き換えに日本が受け入れたミニマムアクセス(最低輸入量)があるからだ。輸入米はみそや酒、菓子類への加工用などにされている。
大半が船で運ばれてくるため、水にぬれたり、かびが生えたり、あるいは日本の基準値以上の残留農薬が検出され、食用にできないコメが出る。政府はこれらを「事故米」とし、工業用のりや建設資材の原料など、用途を限って安く払い下げている。 三笠フーズの不正は十年に及ぶとされ、ここ五年の政府売却分の約四分の一を落札したほか、商社経由でも「事故米」を買いあさり、酒造会社に転売して「利ざや」を稼いでいたようだ。
裏帳簿や偽領収書を作成して「食用」の袋に詰め替えるなど、組織的、計画的で悪質だ。
厳しく責任を追及し、国内での流通ルート、農薬の混入経路なども早急に解明しないと、食への不信はますます募る。
それにしてもふに落ちないのは、農林水産省の対応だ。五年で百回近くも立ち入り調査しながら、これだけの不正を見抜けないのでは甘いと言われても仕方がない。
どうせ、ご飯としては食べられないコメだから、「売り払えればそれでいい」という気持ちの緩みはなかったか。官民のなれ合いが、地域でまじめに業績を伸ばしてきた焼酎メーカーを窮地に追い込み、コメの多用途化に水を差す。農水省の責任は軽くはない。
「中国製毒ギョーザ事件」と言われるように、メタミドホスは毒物だ。「健康には影響がない」と言われても、メタミドホス入りと承知で「毒米」が払い下げられてしまったことに、そもそも感覚のずれがある。「毒米」は見つかれば、輸入元へ返品するか、廃棄すべきではないか。 消毒された種もみは、薄く着色を施し、間違って食べないように区別している。食用外に限るなら、このような目印を施して流通させるべきである。
官民ともに「食べ物」に対する姿勢をさらに厳しく改めないと、生活者の不安はぬぐえない。
2008年9月10日(水)「しんぶん赤旗」
主張:ミニマムアクセス米 破たんした「義務」的輸入
国民が必要としていないにもかかわらず、政府は毎年、外国米を大量に輸入しています。食の安全と食料自給率引き上げが求められる中、ミニマムアクセス(MA)米と呼ぶ外国米の輸入に、国民の目が一段と厳しくなっています。
MA米の輸入が始まって十三年、制度の破たんは国内、国際の両面で明らかになっています。政府はMA米の輸入を中止するとともに、輸入を押し付ける世界貿易機関(WTO)協定の抜本改定を追求すべきです。
「全量輸入」できず
MAは一九九三年、WTOの前身であるGATT(関税貿易一般協定)のウルグアイ・ラウンド交渉で導入されました。農産物のうち日本が唯一自給できるコメの市場に風穴を開けるものでした。
当時の政府が国産米の需給に影響を与えないと約束し、実際に外国米の需要がほとんどないこともあって、多くが倉庫に積み上げられ、管理に多額の税金が投入されてきました。半面でMA米は一部の外食産業や加工用に使われ、「コメ余り」の要因になってきました。そのもとで、政府は農家に厳しい減反を強制してきたのです。
各党がMA米の輸入を「仕方ない」と受け入れた一方で、日本共産党は食料自給率を引き上げる立場からコメ市場の開放に一貫して反対してきました。WTO協定を精査して、MAは「輸入機会」を提供するとの約束にすぎず、その全量を買い入れる「義務」はないことを明らかにし、政府に輸入の中止を迫ってきました。
政府は、コメは「国家貿易」だから全量を買い入れる「義務」があると主張してきました。ところが今年、全量輸入が「義務」だという政府の主張が崩れました。
農水省は二〇〇七年度もMA米を全量(七十七万トン)輸入する予定でした。しかし、コメの国際価格が急騰する中で、業者が希望する買い取り価格では入札が成立しない事態が生じたのです。農水省は結局、〇七年度のMA米の輸入を約七万トン残して打ち切ってしまいました。これは政府の判断で輸入量を変えられることを、政府自らが明らかにしたものです。
MA米輸入を見直すべきだとの主張は、農業関係者と広範な国民、さらに農水省の官僚にも広まってきました。今回の農水省決定を報じたメディアが、MA米不要論の高まりを指摘したのも、世論の変化を反映しています。それにもかかわらず、なんらの検討もしないまま〇八年度の輸入を強行する農水省の姿勢は許されません。
世界的な食料危機の中、コメ不足から暴動が起きた国さえあります。日本が不要なコメを輸入し続けることは、途上国の人びとの貴重な食料を横取りするもので、道理がありません。政府は、MA米輸入が「義務」でないことを認め、きっぱりと中止すべきです。
WTO協定の改定を
世界的な食料危機に直面して、各国はいま食料自給率を引き上げる必要に迫られています。WTOのドーハ・ラウンド交渉が七月に決裂した背景には、市場開放の押し付けに対する各国の批判があります。
自給率が先進国中で最低の日本は特段の引き上げ努力が必要です。そのために、WTO協定を抜本的に改定し、食料主権を確保することが不可欠です。




