運輸安全委員会 事故調の新機関発足
規制緩和政策、行政の責任まで踏み込んだ調査を
事故調査委員会が、航空機、鉄道に加え海難事故を統合して運輸安全委員会になった。
科学的に事故原因を調べ、再発防止を目的に事故調査は行われる。
尼崎JR事故でも儲け主義にはしり、安全装置の設置を遅らせたとして経営者が起訴された。
しかし、遺族からは会社の責任とともに行政の責任についても解明を求めている。
運輸関係の市場競争が激化している。
事故の背景に市場競争をあおった規制緩和政策がある。
最優先すべき安全規制まで緩和してしまった。
事故の再発防止には、事故の背景まで踏み込んで、調査し是正勧告できるようにすべきではなかろうか。
それでこそ、事故調査機関の役割が発揮できるのだろう。
事故の背景まで踏み込んで調査して、行政や政治に是正勧告してほしい。
(2008年10月4日02時11分 読売新聞)
運輸安全委 信頼される事故調査機関に(10月4日付・読売社説)
事故原因の調査能力を高めて再発防止につなげてこそ、看板を掛け替える意味がある。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会が海難審判庁と再編され、新たに運輸安全委員会として発足した。
海難事故について船長などに行政処分を科すかどうか決めるのが海難審判庁だ。2審制から1審制にするなどして組織を大幅にスリム化し、逆に事故調の体制を63人から194人に増強した。
海難審判は主に人為的ミスをとらえ、個人の責任を追及する。これに対し、運輸安全委は再発防止に力点を置き、推定原因を含め事故の背景を幅広く調査する。
空と陸、海の事故調査を一つの機関で担うことになる。それぞれの専門知識を共有して調査に生かしていくことが重要だ。
例えば航空会社が鉄道や海の事故からも教訓を学んで対策に生かせば、公共交通全体の安全性向上にもつながるだろう。
1991年に起きた信楽高原鉄道事故の遺族らが、米国の国家運輸安全委員会(NTSB)のような調査機関の設立を求めて運動を進めてきた。国の行政の不手際も指摘できる独立性と高い調査能力が必要だという理由からだ。
運輸安全委は、遺族らが求めてきた「完全な独立機関」ではないが、人事や会計面で事故調より権限のある国交省の外局となる。海上保安庁などと同じ扱いだ。
関係国と連携する国際渉外官が新たに置かれる。同一機種の航空機事故が、世界で相次いだ例もある。事故調査での国際協力の重要性は増すばかりだ。
巨大システムが複雑に絡んで起きる航空機事故などの捜査は、警察にも難しい。このため事故調の報告書は、捜査などで重要な証拠として扱われてきた。
これに対しては、再発防止という本来の目的を害するという批判など、長年の論争がある。
運輸安全委としては、捜査に使われても揺るぎない、関係者に説得力のある調査結果を示していくことだ。国民に丁寧に説明することも含め、個々の調査を通じて信頼を築いていってほしい。
JR福知山線の脱線事故の惨事があった。航空会社の運航トラブルも相次ぎ、そのたびに経営陣と現場の意思疎通の乏しさや安全意識の低さが指摘されてきた。
本来、運輸安全委の出番がないのが理想だ。運輸事業者も事故防止こそ利用者サービスの原点であることを肝に銘じ、安全対策を常に見直していってもらいたい。
毎日新聞 2008年10月1日 東京夕刊
運輸安全委員会:「陸海空」を統合 事故調の新機関発足
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁を統合した陸海空の事故原因調査機関「運輸安全委員会」が1日発足し、金子一義国交相と後藤昇弘(のりひろ)委員長(前事故調委員長)が執務室前に真新しい看板をかけた。
運輸安全委設立のきっかけは、海上での船舶の安全確保を目指す国際ルール「SOLAS条約」の改正。海難審判庁が行っていた事故の責任追及と原因究明の分離を求める条項が盛り込まれたため、原因究明部門を航空・鉄道事故調と合わせて一つの組織にした。海難の責任追及は、新たに発足した海難審判所で1審制で行う。
運輸安全委は、事故防止のために行う勧告を、従来の国交相だけでなく、事故の原因者にも直接できるようになった。勧告に基づいて行った措置についての報告を求めることができ、措置をとらなかった場合は公表する権限も持つ。
また、事故の被害者や親族などの関係者が強く求めていた事故後の情報提供について、インターネットを通じて速やかに提供する義務を負った。鉄道事故調査では、これまでは対象とならなかった係員のミスや施設の故障などを原因とする死亡事故も調査対象に加えた。【窪田弘由記】
事故調査委員会が、航空機、鉄道に加え海難事故を統合して運輸安全委員会になった。
科学的に事故原因を調べ、再発防止を目的に事故調査は行われる。
尼崎JR事故でも儲け主義にはしり、安全装置の設置を遅らせたとして経営者が起訴された。
しかし、遺族からは会社の責任とともに行政の責任についても解明を求めている。
運輸関係の市場競争が激化している。
事故の背景に市場競争をあおった規制緩和政策がある。
最優先すべき安全規制まで緩和してしまった。
事故の再発防止には、事故の背景まで踏み込んで、調査し是正勧告できるようにすべきではなかろうか。
それでこそ、事故調査機関の役割が発揮できるのだろう。
事故の背景まで踏み込んで調査して、行政や政治に是正勧告してほしい。
(2008年10月4日02時11分 読売新聞)
運輸安全委 信頼される事故調査機関に(10月4日付・読売社説)
事故原因の調査能力を高めて再発防止につなげてこそ、看板を掛け替える意味がある。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会が海難審判庁と再編され、新たに運輸安全委員会として発足した。
海難事故について船長などに行政処分を科すかどうか決めるのが海難審判庁だ。2審制から1審制にするなどして組織を大幅にスリム化し、逆に事故調の体制を63人から194人に増強した。
海難審判は主に人為的ミスをとらえ、個人の責任を追及する。これに対し、運輸安全委は再発防止に力点を置き、推定原因を含め事故の背景を幅広く調査する。
空と陸、海の事故調査を一つの機関で担うことになる。それぞれの専門知識を共有して調査に生かしていくことが重要だ。
例えば航空会社が鉄道や海の事故からも教訓を学んで対策に生かせば、公共交通全体の安全性向上にもつながるだろう。
1991年に起きた信楽高原鉄道事故の遺族らが、米国の国家運輸安全委員会(NTSB)のような調査機関の設立を求めて運動を進めてきた。国の行政の不手際も指摘できる独立性と高い調査能力が必要だという理由からだ。
運輸安全委は、遺族らが求めてきた「完全な独立機関」ではないが、人事や会計面で事故調より権限のある国交省の外局となる。海上保安庁などと同じ扱いだ。
関係国と連携する国際渉外官が新たに置かれる。同一機種の航空機事故が、世界で相次いだ例もある。事故調査での国際協力の重要性は増すばかりだ。
巨大システムが複雑に絡んで起きる航空機事故などの捜査は、警察にも難しい。このため事故調の報告書は、捜査などで重要な証拠として扱われてきた。
これに対しては、再発防止という本来の目的を害するという批判など、長年の論争がある。
運輸安全委としては、捜査に使われても揺るぎない、関係者に説得力のある調査結果を示していくことだ。国民に丁寧に説明することも含め、個々の調査を通じて信頼を築いていってほしい。
JR福知山線の脱線事故の惨事があった。航空会社の運航トラブルも相次ぎ、そのたびに経営陣と現場の意思疎通の乏しさや安全意識の低さが指摘されてきた。
本来、運輸安全委の出番がないのが理想だ。運輸事業者も事故防止こそ利用者サービスの原点であることを肝に銘じ、安全対策を常に見直していってもらいたい。
毎日新聞 2008年10月1日 東京夕刊
運輸安全委員会:「陸海空」を統合 事故調の新機関発足
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁を統合した陸海空の事故原因調査機関「運輸安全委員会」が1日発足し、金子一義国交相と後藤昇弘(のりひろ)委員長(前事故調委員長)が執務室前に真新しい看板をかけた。
運輸安全委設立のきっかけは、海上での船舶の安全確保を目指す国際ルール「SOLAS条約」の改正。海難審判庁が行っていた事故の責任追及と原因究明の分離を求める条項が盛り込まれたため、原因究明部門を航空・鉄道事故調と合わせて一つの組織にした。海難の責任追及は、新たに発足した海難審判所で1審制で行う。
運輸安全委は、事故防止のために行う勧告を、従来の国交相だけでなく、事故の原因者にも直接できるようになった。勧告に基づいて行った措置についての報告を求めることができ、措置をとらなかった場合は公表する権限も持つ。
また、事故の被害者や親族などの関係者が強く求めていた事故後の情報提供について、インターネットを通じて速やかに提供する義務を負った。鉄道事故調査では、これまでは対象とならなかった係員のミスや施設の故障などを原因とする死亡事故も調査対象に加えた。【窪田弘由記】




