2012-03-03(Sat)

企業年金消失 (2) 94企業基金 

AIJ投資顧問に委託した企業年金

厚生労働省がAIJ投資顧問に運用を委託していた厚生年金基金等について把握している資料を公表した。
昨年3月末時点について、企業名はないが、84基金を示している。
年金消失88万人、1850億円だった。

日経が、2011年12月時点の取引先を報道している。
企業年金等は94基金、委託資産も2043億円。

影響が拡大しているのはあきらか。
金融庁は、投資顧問265社の一斉調査開始、
投資会社の監査を義務化など法改正を検討などし始めたようだ。

<各紙社説>
朝日)企業年金消失―監視態勢に工夫を(2/28)
読売)企業年金消失 リスク見極める眼力も必要だ(2/29)

120229日経)AIJ投資顧問への投資残高
<日経新聞 2012年月29日より>








AIJ投資顧問に運用を委託していた厚生年金基金等について
平成24年2月28日(火)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023wp6.html
 AIJ投資顧問に運用委託していた厚生年金基金等について、現時点で把握している実態に関する資料を公表いたします。
配布資料
AIJ投資顧問株式会社に投資残高のある基金について-資産運用業務報告書及び決算報告書に基づくデータ(平成22年度末、厚生労働省資料)-(PDF:212KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023wp6-att/2r98520000023wqw.pdf
参考資料(PDF:1,003KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023wp6-att/2r98520000023x4w.pdf
AIJ投資顧問株式会社に投資残高のある基金における厚生局別の状況(追加資料)(PDF:90KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023wp6-att/2r98520000023y5c.pdf

年金局企業年金国民年金基金課
課長補佐 古屋(3328)
課長補佐 朝比奈(3348)
(代表電話) 03(5253)1111
(夜間直通) 03(3595)2865

-------------------------------------------------
投資一任業者に対する一斉調査について
平成24年2月29日 金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/23/syouken/20120229-3.html
金融庁では、AIJ投資顧問㈱に対して発出した行政処分(平成24年2月24日付)に関し、投資一任業務を行う全ての金融商品取引業者に対し、以下の調査を実施することとしました。
※「投資一任業者に対する一斉調査について」(Word:32KB)
http://www.fsa.go.jp/news/23/syouken/20120229-3/01.doc

お問い合わせ先
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局証券課(内線3638、3724)
---------------------------------------------

AIJ投資顧問株式会社に対する行政処分について
平成24年2月24日 金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/23/syouken/20120224-1.html
関東財務局長が、AIJ投資顧問株式会社(本店:東京都中央区)に対する報告徴求の結果、法令違反が認められたとして、本日、同社に対して行政処分を行いました(詳細は、関東財務局ウェブサイトを参照してください。)。
※「AIJ投資顧問株式会社に対する行政処分について」(関東財務局ウェブサイト)
http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/kinshotorihou/9152syobun240224.pdf

お問い合わせ先
関東財務局 Tel:048-600-1156(ダイヤルイン)
理財部証券監督第2課
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局証券課(内線3638、3724)

---------------------------------------------------
日経新聞 2012/2/29 2:05
AIJの委託先、94に拡大
AIJと投資一任契約を結んだ残高上位20年金
 企業年金資産の大半が消失していた問題で、AIJ投資顧問の2011年12月時点の取引先の全容が判明した。同社と投資一任契約を結んだ企業年金や事業法人、学校法人は94、同社に委託した資産も2043億円と厚生労働省が28日発表した昨年3月末時点より増え、影響が拡大している実態がわかった。厚生年金基金が81と約9割を占めており、その大半が中小企業が集まって作る「総合型」。大企業の企業年金も11あった。
 取引先の全容はAIJ側が政府関係者に提出した資料で判明した。厚労省は28日、昨年3月末時点でAIJに投資残高がある基金の概要を発表した。企業年金は84、年金資産は1852億円だった。84の企業年金のうち総合型が73を占めている。今回判明したAIJ側の資料によれば、厚年基金は81あった。大半が同一の業種や地域の中小企業が集まる「総合型」の厚年基金が占める。
 大手企業ではすでに判明しているアドバンテスト、安川電機に加えてSCSK、富士電機、日本ユニシス、大日本印刷、コスモ石油が新たに判明した。高度な年金運用で知られている富士電機は約98億円、資産に占める比率は9.5%だった。年金資産の約5%、18億円弱を投じていたライオンは、2月に入って解約した。
 中小の厚生年金基金のなかでAIJへの投資比率が高いのは、北関東自動車整備の48%(投資残高は約23億円)を筆頭に、栃木県石油業の約38%(約42億円)、甲信越印刷工業の約37%(約40億円)、岐阜県石油業の約32%(約36億円)などがある。10%台の基金も多い。
 中小基金を中心にAIJへの高利回り投資に走ったのは、運用難に直面していることが大きい。08年秋のリーマン・ショック時の株価急落による損失などの挽回を狙ってAIJに年金資産の運用を委ねた基金が少なくない。AIJは08年の金融危機時も安定的に収益をあげていたと年金基金に説明し、営業攻勢をかけていた。08年から09年にかけてAIJの年金受託額は急増した。
 中小の総合型厚年基金はAIJに委託した年金資産の消失によって年金の積み立て不足が拡大するとみられ、どのように穴埋めするかが焦点になる。大半の厚年基金はAIJに対して委託した年金資産の解約を検討している。ただ、同社は金融庁による業務停止命令で解約手続きができない。最終的に消失額が確定した後も年金基金の投資元本は大幅な毀損が避けられない情勢だ。

---------------------------------------
朝日新聞 2012年2月28日(火)付
社説:企業年金消失―監視態勢に工夫を
 株価の低迷などにたたられ、どこの年金も構造的な運用難に苦しんでいる。
 そんななかで、「相場に左右されない安定した利回り」とうたって、80を超す企業年金から2千億円以上をかき集めていた「AIJ投資顧問」で、運用資産の大半が消えてなくなる異常事態が判明した。
 金融庁と証券取引等監視委員会が真相の解明と業界の実態調査を急いでいるが、ここまでひどい会社がなぜ「野放し」のままだったのか。
 投資顧問業は、規制緩和によって参入が容易な登録制となっている。年1回、運用成績の報告が義務づけられてはいるが、外部監査などのチェックは受けなくてもいい。
 金融庁の検査は、要員の制約もあって年15社がせいぜいだ。全体の5%強でしかない。
 金融自由化を否定すべきではないが、事後的な監視態勢を強化しなければならない。金融庁は、問題のある運用や営業行為を早期にあぶり出せるよう、情報の開示義務などに工夫を凝らす必要がある。
 問題は運用を任せる側の年金基金にもある。「投資のプロ」なら、自己責任で相手を選別するのが筋だ。
 しかし、専門家の助言も受けない小さな年金基金も多く、建前通りに行くとは限らない。問題のある業者が当局にすぐに通報されるようなガイドラインの整備など、「カモ」にされない支援態勢を整えるべきだ。
 AIJが売り物にしたような金融派生商品による運用は、本来は資産のごく一部を充てる補完的なものだ。
 ところが、被害にあった年金基金の中には、かなりの部分を任せてしまった例が見られる。
 とくに、支給額をあらかじめ約束している確定給付型の年金では、随分前に決めた予定利回りが高いままのところも多い。運用が目標利回りに届かず、勢いリスクの高いハイリターン運用へ傾斜しがちだ。
 それが、悪質な業者の横行を許す温床となる。年金基金の財務は厚生労働省が監督しているが、このような問題にメスを入れてきたとはいいがたい。
 年金に開いた穴は、母体企業が負担するか、年金の給付額を減らすかして埋め合わせることになりそうだ。場合によっては、基金が解散に追い込まれることもありうる。当事者は厳しい対応を迫られる。
 他の多くの年金にとっても、今回の事件は資産をどう持続させるか、真剣に考えるための警告となったのは間違いない。


(2012年2月29日00時52分 読売新聞)
企業年金消失 リスク見極める眼力も必要だ(2月29日付・読売社説)
 企業年金の資産運用を委託されていた投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京)が、年金資産の大半にあたる約2000億円を消失させていたことが発覚した。
 AIJは、高い運用利回りを売り物にする会社として、評判だった。大手格付け会社が顧客を対象に行ったアンケート調査で1位を獲得したこともある。
 ところが実際は、顧客にも監督官庁にも虚偽の報告をして、好調な運用実績を装っていた。集めた資金を香港の金融機関に移すなどの動きもしていたという。
 運用に失敗して巨額の損失を出したのか。それとも、預かった資金を流用していたのか。証券取引等監視委員会は海外当局とも連携し、運用の実態と消失に至る経緯を徹底解明してもらいたい。
 問題の背景には、企業年金を取り巻く環境の悪化がある。
 社員と企業が資金を出し合って運用する企業年金は、公的年金を補い、老後の生活を支えるものだ。しかし、少子高齢化で新たな加入者が増えない一方で、年金を受け取る退職者は増え続けており、どこも収支は苦しい。
 リーマン・ショック後の株価低迷による運用難が収支の悪化に拍車をかけた。そんな時、AIJは魅力的に映ったのだろう。
 厚生労働省によると、AIJに資産運用を任せていた企業年金は昨年3月末時点で84あり、大半は同じ業種の中小企業などが集まってつくる厚生年金基金だった。
 厚労省は、リスク回避のため、分散投資を求める資産運用指針を設けていた。だが、資産の半分以上をAIJに集中させていた年金基金もあった。
 資産が戻らず、企業も穴埋めできなければ、年金給付額の減額を迫られることも想定される。
 年金基金は一般の個人投資家とは異なり、プロの投資家として扱われている。金融行政が「事前規制型」から「事後チェック型」に変わり、自己責任が原則とされる時代である。
 基金にも、リスクを見極める目を養うことが求められる。
 一方、金融庁は、他の投資顧問会社約260社の一斉調査に着手する。資産の運用方法や顧客への説明内容に問題がないか、チェックを急ぐ必要がある。
 投資顧問会社は年に1回、運用実績を記載した事業報告書を地方財務局に提出するが、外部監査は義務づけられていなかった。監視体制を点検し、不祥事の再発防止につなげなければならない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝日新聞 2012年2月28日11時53分
年金消失88万人影響 AIJ委託84基金1850億円
AIJへの運用委託額の上位10年金
 AIJ投資顧問が企業年金から運用を任された資産の大半を消失させた問題で、厚生労働省は28日、AIJに運用委託をしている企業年金の概要を公表した。2011年3月末時点でAIJに委託していたのは84企業年金で、委託総額は1853億円。現役社員などの加入者は約54万人、すでに年金をもらっている人は約34万人だった。一年金での委託額は最大約93億円。総資産の6割近くを委託していた年金もあった。
 厚労省が、各企業年金から提出された資産運用業務報告書などを調べた。84企業年金のうち74が厚生年金基金で、その中の73は同じ業種や地域の中小企業でつくる「総合型」。残り10は、大企業1社や同じ企業グループなどでつくる確定給付企業年金だった。具体名について、厚労省は「金融庁などが調査中で、個別契約のため」との理由で非公表とした。
 個別の企業年金で運用委託額が最も多かったのは約93億円。総資産額に占めるAIJへの委託割合は9.1%だった。これについては、富士電機が同日、自社の企業年金であることを公表した。


朝日新聞 2012年2月29日5時1分
投資会社の監査を義務化 金融庁、法改正を検討
AIJへの運用委託額の上位10年金
 AIJ投資顧問(東京都中央区、浅川和彦社長)が企業年金から運用を任された年金資産の約9割を消失させた問題で、金融庁はAIJのような投資運用会社に監査法人などによる外部監査を義務づける方向で検討に入った。これまで外部チェックの仕組みがなく、運用などの不正が見過ごされるおそれがあった。
 金融庁は株式非上場の投資運用会社、投資ファンド、証券会社に外部監査を義務づける方向だ。また、投資運用会社が顧客や金融庁に対して、うその運用実績などを説明したり報告したりした場合の罰則も強める。監査義務づけと罰則強化をするため、金融商品取引法の改正を検討する。
 今の金商法では、株式非上場の投資運用会社やファンド、証券会社には外部監査が義務づけられていない。投資運用会社は国内の個人金融資産の約1割相当額を扱っているが、ほとんどが非上場で、監視体制が甘い。証券取引等監視委員会の調べでは、2千億円近い年金資産のほとんどを消失させたAIJも外部監査を受けていなかった。金融庁は不自然な運用の背景には監視体制の甘さもあったとみている。



(2012年3月2日 読売新聞)
AIJ再発防止、投資顧問監視強化
民主検討 顧客へ情報開示も
 AIJ投資顧問が厚生年金基金から預かった年金資産の大半が消失した問題で、民主党は1日、原因究明と再発防止を協議する作業チームを始動させた。(有光裕)
 投資顧問会社に対する規制強化のあり方が焦点となる。
■6月に提言
 作業チームの座長に就いた蓮舫前行政刷新相は、同日開いた初会合で「徹底的に問題点を洗うのと同時に、『第2、第3のAIJ』が出ないか見ていきたい」と、他の投資顧問会社にも同様の問題がある恐れに言及した。
 企業年金に対する加入者の信頼が低下すれば、企業年金にとどまらず、公的年金を含む年金行政への不信が強まる懸念がある。作業チームは〈1〉投資顧問会社への監督や外部監査〈2〉顧客への情報開示〈3〉運用現場のリスク管理〈4〉厚生労働省による管理――などの規制強化策を議論し、6月に提言をまとめて政府に提出する方針だ。
 金融庁も、投資顧問会社265社への一斉調査に乗り出した。
■規制の限界
 1990年代以降の金融自由化を背景に、投資顧問業は2007年に当局の認可制から登録制となり、参入しやすくなった。企業年金の運用も「自己責任」が原則となった。
 現在、投資顧問会社は金融庁に年1回提出する事業報告書に、契約件数や運用資産の総額などを記すが、運用益など健全性を示す具体的な数値は記載する必要がない。外部の監査も義務ではない。
 厚生労働省が1日公表した資料によると、595ある厚生年金基金(昨年3月末時点)のうち34基金はヘッジファンドに対する投資比率が総資産の3割を超えていた。このため、厚労省は、特定の運用に偏らないという「努力義務」にとどめている運用ガイドラインの見直しも始めた。
 だが、規制を強めても、「信頼性の低い監査法人が監査したり、投資顧問会社が本気で数字を作ってだまそうとすれば見破れない」(金融庁幹部)のが実情だ。与党内では、現場で検査をする証券取引等監視委員会の体制強化を求める声も出ているが、財政が窮迫する中で人員を増やすのは容易ではない。
■公的資金案
 厚生年金基金を作っているのは中小・零細企業が多く、損失が出た場合の穴埋めができなければ加入者の年金カットや、掛け金の引き上げにつながる。
 AIJの場合、虚偽の報告をしていたこともあり、民主党作業チームでは「AIJ問題の最大の焦点は税金を使うかどうかだ」(メンバーの一人)と、公的資金による厚生年金基金の救済策を探る動きが出ている。
 しかし、厚生年金基金自身の判断の甘さを問題視する声も金融界を中心に根強い。公的資金で安易に救済すれば、金融市場をゆがめる懸念があり、議論の着地は見通せない。

(2012年3月2日15時40分 読売新聞)
全国の厚生年金基金、8割が運用経験者おらず
 全国の厚生年金基金のうち、資産運用の経験がある役職員がいない基金が約8割を占めることがわかった。
 高利回りをうたったAIJ投資顧問に資産の多くを預け年金資産の大半を失う基金が続出した背景には、基金側の運用に関する知識が著しく劣っており、運用実態などを調べるといった対策が打たれていなかった可能性が高い。
 厚生労働省は昨年、全国595の厚生年金基金(昨年3月末時点)のうち、資産規模などに応じて100基金を抽出して実態を調査した。調査のきっかけは、運用に失敗し数百億円の赤字を出した基金があることが発覚したためだった。
 調査によると、主に大企業が単独で設立する「単独型」と、グループ企業と共同で設立する「連合型」ですら、資産運用の経験者を役職員に採用していない基金が67%を占めた。主に中小企業が集まって設立する「総合型」では82%に達し、全体の平均は79%だった。


(2012年2月29日14時28分 読売新聞)
投資顧問265社の一斉調査開始…金融庁
 投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京都中央区)が顧客企業などから預かった年金資産の大半約2000億円を消失させた問題で、金融庁は29日、265社の投資顧問会社に対する一斉調査を始めた。
 29日午前、金融商品取引法に基づく報告命令を出した。金融庁による投資顧問会社への一斉調査は初めて。
 調査は2段階方式で行う。第1段階は〈1〉厚生年金基金など顧客の属性〈2〉顧客との契約の内容や金額〈3〉勧誘に使うパンフレット〈4〉外部監査を受けているか〈5〉顧客とのトラブルがあるか――などを調べる。締め切りは3月14日とした。
 第2段階の調査は、年金基金の顧客や海外の運用割合が高かったり、勧誘手法やトラブルの対応に問題があったりする会社を対象に、詳細な運用の実態や利回りなどを調べる。金融庁は3月下旬から、第2段階の調査に入る方針だ。問題が深刻だと判断した場合、証券取引等監視委員会による検査に発展する可能性もある。


日経新聞 2012/3/1付
中小の厚年基金、9割が積み立て不足
高利回り追う背景に
 AIJの顧客に多い総合型の厚生年金基金は財政状況の深刻なところが多い。積み立て不足を埋める資金がないため、解散も難しい。AIJの高利回り投資に走った背景には、袋小路を抜け出すには運用で逆転を狙うしかなかった年金基金側の事情もある。
 企業年金連合会によると、総合型の厚年基金のうち年金給付に必要な積立金を持っていた基金は9%だけ。9割強が積み立て不足だった。厚年基金は公的年金の一部を代行運用するため、運用で損失を抱えると公的年金部分も穴埋めせねばならず、母体企業の負担は重くなる。負担を逃れようと、2000年代に入ると企業が厚年基金を解散したり、代行運用のない確定給付企業年金に衣替えしたりする動きが広がった。
 だが、解散も代行運用のない年金への衣替えも、まず積み立て不足の穴埋めが必要。中小企業の集まる総合型の厚年基金は企業側にそんな余裕のないところが多い。積立金が大幅に足りないため「財政危機」と厚労省が指定した「指定基金」の大半は総合型だ。
 昨年12月7日時点でAIJ投資顧問に資金を委託していた81の厚生年金基金でも、14基金は厚生労働省の監視下にある指定基金だった。14基金はすべて総合型だ。総合型は参加する企業間の意見統一が難しいという構造問題も抱えている。


日経新聞 2012/3/1 20:00
金融不祥事、米国でも後絶たず 民間の自助努力で投資家保護
 年金資産の大半が消失した日本のAIJ投資顧問の問題と同様の金融不祥事は、米国でも後を絶たない。昨年破綻した米金融大手MFグローバルやネズミ講のマドフ事件で顧客資産の多くが失われた。ただ政府が進める規制強化に、民間は市場停滞や運用不振を招く展開への警戒を強める。被害救済の基金設立など投資家保護の自助努力で自由な市場の確保を探ろうとする動きも出てきた。
 ◆1000億円消失
 失われた1000億円――。昨年10月末に経営破綻したMFグローバルに絡んでは、投資家が同社に預けた資金のうち約12億ドル(1000億円弱)の資金が依然、行方不明だ。AIJが“喪失”したのは年金資金で、MFグローバルは商品価格の変動に備え先物を利用していた農家や牧場主の資金だったという違いはあるが、小口資金が犠牲になった点は似ている。
 投資家保護の根幹が揺らぐ事態に米国では2つの動きが進む。一つは官の規制強化だ。MFグローバル破綻のきっかけが南欧国債投資だったことから、米商品先物取引委員会(CFTC)は先物業者が顧客資金で海外の国債に投資することを規制する方針を決定。議会では銀行預金を一定額保護する「預金保険」に似た制度の創設模索の動きがある。
 ◆救済基金を設立
 もう一つが民間主導の動きだ。MFグローバルのケースでは先物商品を上場するシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが約5億5000万ドルの資金を破産管財人に拠出。同様の事件の被害に備え1億ドル規模の基金設立を決めた。
 底流には「先物は危険」との認識が広がり政府・議会の過剰な介入につながると先物市場の縮小にもつながりかねないという警戒感がある。自主的に投資家保護の姿勢を示し、誰もが機動的に売買できる市場を確保したいというのが、CMEや自主規制団体の思惑だ。
 2008年12月に発覚した過去最大規模の証券詐欺、マドフ事件の顛末(てんまつ)もAIJ問題と似た構図が見える。
 「米取引所ナスダックの元会長が設立したヘッジファンド」が触れ込みのマドフに運用実態はなくネズミ講だった。失われた顧客資産は650億ドルだ。証券取引委員会(SEC)は03年に投資信託会社の情報開示強化などを進めたが、マドフ氏らのファンドはそれをくぐる形で膨張した揚げ句に事実上破綻。破産管財人が顧客資産を取り戻すための裁判は今も続く。
 ◆プロが不正監視
 対応の遅れを批判されたSECは不正の内部告発に多額の報奨金を支払う制度の導入を決めた。だが期待は薄い。行き過ぎた規制でリスク投資が難しくなれば運用利回りが低下。多くの年金基金などが求める「年率8%」の確保も難しくなる。
 運用会社などで実績を上げたファンドマネジャーがほとんどである大手年金基金や大学財団と違い、投資歴が豊富でない中小の年金基金はファンド投資などにも精通した年金コンサルタント会社と契約する例が多い。第三者的な運用のプロが、資金の委託先の不正などを監視しつつ一定の利回り確保に当たるわけだ。数々の金融不祥事に直面しつつも、米国の資産運用の現場はなお活力を失っていない。
(ニューヨーク=川上穣)

//////////////////////////////////////////////////////


関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 企業年金消失 AIJ投資顧問

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

Author:ajimu-ra

カレンダー
04 | 2012/05 | 06
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン