大戸川ダム撤回要求、4知事が正式に表明
天ケ瀬ダム再開発、川上ダム 建設容認、 丹生ダム 判断を見送り
4知事の共同意見は、大戸川ダム事実上の建設中止。
川辺川ダムにつづき、重要な判断だ。
ダム建設中止後の地元住民の生活再建、地域振興に国が責任を持つのは当然だろう。
残念なのは、天ケ瀬ダム再開発、川上ダムの建設容認だ。
どこかでバランスを取るためかも知れない。
もともと、前の知事らは、ダム建設推進だった。
それからすると、大戸川ダム中止は、大きな転換だ。
国交省に中止の決断を迫り、ダムによらない治水対策追求へ河川行政を転換させよう!
中日新聞 2008年11月11日 夕刊
滋賀など4知事反対の共同意見 大戸川ダム 国の建設困難に
国の淀川水系河川整備計画案に建設が盛り込まれた大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について、三重、滋賀、京都、大阪の4府県知事らは11日、「計画に位置付ける必要はない」との共同意見を発表し、建設反対を表明した。流域の知事が協力して、国のダム建設に見直しを求めるのは初めて。国の大戸川ダムの建設推進は事実上困難な状況に追い込まれた。
共同意見では、大戸川ダムの治水効果を認めながらも、緊急性は低いと判断。今後30年間にわたる整備方針を示した計画から除外するという事実上の中止を求めている。
計画案に盛り込まれたほかの3つのダムについては、天ケ瀬ダム(京都府宇治市)再開発と川上ダム(三重県伊賀市)建設を受け入れ。調査段階にある丹生ダム(滋賀県余呉町)は、具体的な整備方針が決まっていないため、建設是非の判断を見送った。
共同意見は滋賀県の嘉田由紀子、京都府の山田啓二、大阪府の橋下徹各知事と江畑賢治・三重県副知事が、和歌山市内のホテルで発表した。
1997年改正の河川法に基づき、河川整備計画を作るには流域の関係知事に意見を聞くことが必要とされ、意見表明はこれを受けて行われた。
計画の4ダム整備について、同局の諮問機関「淀川水系流域委員会」(委員長・中村正久滋賀大環境総合研究センター長)は今年4月、「不適切」とする意見書をとりまとめたが、同局は無視する形で計画案に4ダム整備を盛り込んだ。
嘉田、山田、橋下の3府県知事は今夏、共同意見を取りまとめることで合意。これに三重県も加わった。
【大戸川ダム】 国土交通省が大津市内の大戸川に計画している流水型(穴あき)ダム。当初は多目的ダムで計画され、1968年に予備調査が始まった。91年には基本計画を告示。98年3月に水没予定地の55戸の移転が完了し、ダム建設計画で使えなくなる県道の付け替え道路の工事にも着手。水需要の低下などの理由から2005年7月にいったん計画が凍結されたが、下流の河川改修に伴うリスクを軽減させるとし、07年8月に河川整備計画原案に治水専用の穴あきダムとして再度盛り込まれた。総貯水容量2190万立方メートル。総事業費は1080億円。
【淀川水系河川整備計画案】 淀川流域全体の安全度を高めるため、国が今後20−30年間に取り組む整備計画。大戸川(大津市)、丹生(滋賀県余呉町)、川上(三重県伊賀市)、天ケ瀬再開発(京都府宇治市)の4ダム計画を盛り込む。近畿地方整備局の諮問機関、淀川水系流域委員会は「ダムを計画に位置付けるのは不適切」と指摘したが、同局は今年6月、4ダムを含めた河川整備計画案を提示、関係知事に意見を求めている。
(2008年11月11日 読売新聞)
大戸川ダム撤回要求、4知事が正式に表明
国土交通省近畿地方整備局が4ダム建設を盛り込んだ琵琶湖・淀川水系の河川整備計画案に対し、滋賀、京都、大阪の3府県知事と三重県副知事が11日、和歌山市内のホテルで記者会見し、4府県知事の共同意見として、大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)を整備計画に盛り込まず、白紙撤回するよう求めることを正式に表明した。河川法が国に聴取を義務づけた地元意見としてダム建設の見直しを迫る初のケースで、今後は国の判断となるが、同ダム建設は困難になった。
記者会見で、嘉田由紀子・滋賀県知事は「今は国が決めた計画に従うだけの時代ではない。今回の合意は地方自治の試金石になる」と強調。橋下徹・大阪府知事も「責任を取るのは我々政治家だ」と地元知事として国に反旗を翻した合意内容の重みを訴えた。
共同意見書では、大戸川ダムについては「優先順位を考慮すると、河川整備計画に位置付ける必要はない」と、計画からの除外を求める一方、同ダム建設が白紙となっても、周辺整備について国が責任を持つことも要望。国のダム計画に地方が反対した際、どのように周辺整備を継続させるかのルール作りも要求した。
計画案に盛り込まれたほかの3ダムについては、川上(三重県伊賀市)、天ヶ瀬再開発(京都府宇治市)は計画に合意し、丹生(滋賀県余呉町)は、国が事業計画を検討中だとして、意見を留保した。
河村官房長官は11日午前の記者会見で、「国として地方の声を聞かなければ行政はできず、しっかり受け止めてやっていくことになるだろう」と述べた。
国、事業中止後のルール作り重要
大戸川ダム建設の白紙撤回を求めた4府県知事の共同意見は、事業期間が極めて長いダム建設で、途中で事業を白紙にした場合のルール作りも要望しており、国の河川行政に課題を突き付ける内容となった。
同ダムの事業開始は1978年。すでにダム湖に沈む住民53戸が移転を済ませ、県道大津信楽線の付け替え工事も約半分が終了しているが、なお移転先の生活再建や、県道工事は残されたままになっている。
ダム関連の地域整備について、国はダム計画が白紙になれば実施は困難だとする。知事が川辺川ダム建設に反対した熊本県では、周辺整備を今後どう進めるかが大きな問題となっているという。関連事業までストップさせる国の対応が、地方がダム計画に反対しづらい要因の一つでもある。
今後、全国の1級河川で続々と国の整備計画の策定が進む。ダムの必要性を地方の実情に合わせて冷静に判断するには、ダム事業の中止に備えたルール作りも確かに重要だ。国は4知事の共同意見に、しっかり耳を傾ける必要がある。
(社会部 鈴木隆弘)
(2008年11月11日 読売新聞)
4知事「地方が結束」…大戸川ダム撤回要求
大戸川ダムの白紙撤回を求める共同意見を発表する(左から)滋賀県の嘉田知事、京都府の山田知事、大阪府の橋下知事(11日午前11時4分、和歌山市で)=伊東広路撮影
「河川流域の上流、中流、下流が共に真に助け合える政策の実現を目指す」。国土交通省近畿地方整備局がまとめた琵琶湖・淀川水系の河川整備計画案に盛り込まれた洪水調整用の大戸川ダム(大津市)建設を巡り、三重、滋賀、京都、大阪の4府県は11日、国に計画の白紙撤回を突きつけた。和歌山市内で共同意見に調印し、記者会見に臨んだ各知事らは「地方が結束して地域の現実を踏まえた意見」と成果を強調した。
50人以上の報道陣を前に、冒頭、京都府の山田啓二知事が晴れやかな表情で合意内容を発表し、「国と淀川水系流域委員会が対立する異常事態に、自治体が結束して収拾にあたった」と胸を張った。合意で大戸川ダム建設の白紙撤回を求めるとともに、「周辺整備について国が責任を全うしてほしい。京都府、大阪府は滋賀県と助け合って責任を果たす」と力を込めた。
滋賀県の嘉田由紀子知事は「大阪、京都が滋賀の犠牲を踏まえたうえで新しいルールを考えよう、責任を持とうといってくれたのはありがたい」と述べ、大阪府の橋下徹知事は「我々は府民、県民の中に入って判断している。机の上で治水の教科書、地図を広げて考えた役人の判断とどちらを府民、県民は支持するのか」と訴えた。
国交省近畿地方整備局長の諮問機関・淀川水系流域委員会の中村正久委員長は、滋賀県庁で記者会見し、「行政(の枠)を超えて連携して取り組み、意見を出されたのは非常に画期的だ」と評価した。
流域委は10月、整備局の河川整備計画案について「4ダムの建設計画は不適切」とする最終意見書を提示しており、中村委員長は「委員会として深く敬意を表する。大戸川ダムについては緊急性が低いとする委員会の意見と軌を一にしており歓迎する」と述べた。
一方、大戸川ダム流域の自治体からは改めて反発の声が上がった。
大津市の目片信市長は「関係府県知事が上下流の利害関係を超えて共通の意見をとりまとめられたことに敬意を払うが、その過程に『国と流域委員会』『国と府県知事』という対立構造ばかりがクローズアップされ、何よりも優先すべき『流域住民の安全の確保』がなおざりにされている」と批判した。
代替案協議、今後の焦点
4府県知事の合意は、トップ同士が直接協議を重ねて団結し、走り出したら止まらないとされた国の「ダム神話」に一石を投じた。
「白紙撤回」は、滋賀の嘉田由紀子、京都の山田啓二、大阪の橋下徹3知事の主導で進んだ。3知事は10月半ばに京都市内で非公式会談を行ったほか、山田、橋下両知事は出張中の中国・上海でも協議。夜中もメールや携帯電話でやり取りを続けた。
最終的にまとめ上げた共同意見書では、地域主導の姿勢をアピール。立場の違いを乗り越えた決着に、橋下知事は「地方分権を進めるには、意見をまとめることが絶対条件だった」と言い切った。
環境社会学者としてダムに否定的な嘉田知事。地方分権を唱える山田知事。国を抵抗勢力と位置付ける橋下知事。共同意見書では、それぞれの立場で地方のリーダーシップを示したが、今後は、今回折り合いがつかなかった代替案を巡っての協議となる。関係者からは「上中下流の利害と思惑の違いを抱えたままの同床異夢の決着」との声も漏れた。
朝日新聞 2008年11月11日13時43分
大戸川ダム反対 「地方の声、受け止める」官房長官
河村官房長官は11日午前の記者会見で、4府県の知事が共同で大戸川ダム建設反対の意見を発表したことについて「国としては地方の声を受け止めなくては行政はできないわけだから、きちっと受け止めてやっていくようになる」と述べ、知事の意見を重視する考えを示した。
河村長官は「最近、公共事業は予算削減の方向にある。地元対策や地元知事のいろんな地方の振興計画の中の位置づけだろうから、きちんと受け止める」としたうえで「詳細を承知しているわけじゃないので即断はできかねるが、地方の振興計画等も十分協議しながら進めていく課題だろうと思う」と語った。
4知事の共同意見は、大戸川ダム事実上の建設中止。
川辺川ダムにつづき、重要な判断だ。
ダム建設中止後の地元住民の生活再建、地域振興に国が責任を持つのは当然だろう。
残念なのは、天ケ瀬ダム再開発、川上ダムの建設容認だ。
どこかでバランスを取るためかも知れない。
もともと、前の知事らは、ダム建設推進だった。
それからすると、大戸川ダム中止は、大きな転換だ。
国交省に中止の決断を迫り、ダムによらない治水対策追求へ河川行政を転換させよう!
中日新聞 2008年11月11日 夕刊
滋賀など4知事反対の共同意見 大戸川ダム 国の建設困難に
国の淀川水系河川整備計画案に建設が盛り込まれた大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について、三重、滋賀、京都、大阪の4府県知事らは11日、「計画に位置付ける必要はない」との共同意見を発表し、建設反対を表明した。流域の知事が協力して、国のダム建設に見直しを求めるのは初めて。国の大戸川ダムの建設推進は事実上困難な状況に追い込まれた。
共同意見では、大戸川ダムの治水効果を認めながらも、緊急性は低いと判断。今後30年間にわたる整備方針を示した計画から除外するという事実上の中止を求めている。
計画案に盛り込まれたほかの3つのダムについては、天ケ瀬ダム(京都府宇治市)再開発と川上ダム(三重県伊賀市)建設を受け入れ。調査段階にある丹生ダム(滋賀県余呉町)は、具体的な整備方針が決まっていないため、建設是非の判断を見送った。
共同意見は滋賀県の嘉田由紀子、京都府の山田啓二、大阪府の橋下徹各知事と江畑賢治・三重県副知事が、和歌山市内のホテルで発表した。
1997年改正の河川法に基づき、河川整備計画を作るには流域の関係知事に意見を聞くことが必要とされ、意見表明はこれを受けて行われた。
計画の4ダム整備について、同局の諮問機関「淀川水系流域委員会」(委員長・中村正久滋賀大環境総合研究センター長)は今年4月、「不適切」とする意見書をとりまとめたが、同局は無視する形で計画案に4ダム整備を盛り込んだ。
嘉田、山田、橋下の3府県知事は今夏、共同意見を取りまとめることで合意。これに三重県も加わった。
【大戸川ダム】 国土交通省が大津市内の大戸川に計画している流水型(穴あき)ダム。当初は多目的ダムで計画され、1968年に予備調査が始まった。91年には基本計画を告示。98年3月に水没予定地の55戸の移転が完了し、ダム建設計画で使えなくなる県道の付け替え道路の工事にも着手。水需要の低下などの理由から2005年7月にいったん計画が凍結されたが、下流の河川改修に伴うリスクを軽減させるとし、07年8月に河川整備計画原案に治水専用の穴あきダムとして再度盛り込まれた。総貯水容量2190万立方メートル。総事業費は1080億円。
【淀川水系河川整備計画案】 淀川流域全体の安全度を高めるため、国が今後20−30年間に取り組む整備計画。大戸川(大津市)、丹生(滋賀県余呉町)、川上(三重県伊賀市)、天ケ瀬再開発(京都府宇治市)の4ダム計画を盛り込む。近畿地方整備局の諮問機関、淀川水系流域委員会は「ダムを計画に位置付けるのは不適切」と指摘したが、同局は今年6月、4ダムを含めた河川整備計画案を提示、関係知事に意見を求めている。
(2008年11月11日 読売新聞)
大戸川ダム撤回要求、4知事が正式に表明
国土交通省近畿地方整備局が4ダム建設を盛り込んだ琵琶湖・淀川水系の河川整備計画案に対し、滋賀、京都、大阪の3府県知事と三重県副知事が11日、和歌山市内のホテルで記者会見し、4府県知事の共同意見として、大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)を整備計画に盛り込まず、白紙撤回するよう求めることを正式に表明した。河川法が国に聴取を義務づけた地元意見としてダム建設の見直しを迫る初のケースで、今後は国の判断となるが、同ダム建設は困難になった。
記者会見で、嘉田由紀子・滋賀県知事は「今は国が決めた計画に従うだけの時代ではない。今回の合意は地方自治の試金石になる」と強調。橋下徹・大阪府知事も「責任を取るのは我々政治家だ」と地元知事として国に反旗を翻した合意内容の重みを訴えた。
共同意見書では、大戸川ダムについては「優先順位を考慮すると、河川整備計画に位置付ける必要はない」と、計画からの除外を求める一方、同ダム建設が白紙となっても、周辺整備について国が責任を持つことも要望。国のダム計画に地方が反対した際、どのように周辺整備を継続させるかのルール作りも要求した。
計画案に盛り込まれたほかの3ダムについては、川上(三重県伊賀市)、天ヶ瀬再開発(京都府宇治市)は計画に合意し、丹生(滋賀県余呉町)は、国が事業計画を検討中だとして、意見を留保した。
河村官房長官は11日午前の記者会見で、「国として地方の声を聞かなければ行政はできず、しっかり受け止めてやっていくことになるだろう」と述べた。
国、事業中止後のルール作り重要
大戸川ダム建設の白紙撤回を求めた4府県知事の共同意見は、事業期間が極めて長いダム建設で、途中で事業を白紙にした場合のルール作りも要望しており、国の河川行政に課題を突き付ける内容となった。
同ダムの事業開始は1978年。すでにダム湖に沈む住民53戸が移転を済ませ、県道大津信楽線の付け替え工事も約半分が終了しているが、なお移転先の生活再建や、県道工事は残されたままになっている。
ダム関連の地域整備について、国はダム計画が白紙になれば実施は困難だとする。知事が川辺川ダム建設に反対した熊本県では、周辺整備を今後どう進めるかが大きな問題となっているという。関連事業までストップさせる国の対応が、地方がダム計画に反対しづらい要因の一つでもある。
今後、全国の1級河川で続々と国の整備計画の策定が進む。ダムの必要性を地方の実情に合わせて冷静に判断するには、ダム事業の中止に備えたルール作りも確かに重要だ。国は4知事の共同意見に、しっかり耳を傾ける必要がある。
(社会部 鈴木隆弘)
(2008年11月11日 読売新聞)
4知事「地方が結束」…大戸川ダム撤回要求
大戸川ダムの白紙撤回を求める共同意見を発表する(左から)滋賀県の嘉田知事、京都府の山田知事、大阪府の橋下知事(11日午前11時4分、和歌山市で)=伊東広路撮影
「河川流域の上流、中流、下流が共に真に助け合える政策の実現を目指す」。国土交通省近畿地方整備局がまとめた琵琶湖・淀川水系の河川整備計画案に盛り込まれた洪水調整用の大戸川ダム(大津市)建設を巡り、三重、滋賀、京都、大阪の4府県は11日、国に計画の白紙撤回を突きつけた。和歌山市内で共同意見に調印し、記者会見に臨んだ各知事らは「地方が結束して地域の現実を踏まえた意見」と成果を強調した。
50人以上の報道陣を前に、冒頭、京都府の山田啓二知事が晴れやかな表情で合意内容を発表し、「国と淀川水系流域委員会が対立する異常事態に、自治体が結束して収拾にあたった」と胸を張った。合意で大戸川ダム建設の白紙撤回を求めるとともに、「周辺整備について国が責任を全うしてほしい。京都府、大阪府は滋賀県と助け合って責任を果たす」と力を込めた。
滋賀県の嘉田由紀子知事は「大阪、京都が滋賀の犠牲を踏まえたうえで新しいルールを考えよう、責任を持とうといってくれたのはありがたい」と述べ、大阪府の橋下徹知事は「我々は府民、県民の中に入って判断している。机の上で治水の教科書、地図を広げて考えた役人の判断とどちらを府民、県民は支持するのか」と訴えた。
国交省近畿地方整備局長の諮問機関・淀川水系流域委員会の中村正久委員長は、滋賀県庁で記者会見し、「行政(の枠)を超えて連携して取り組み、意見を出されたのは非常に画期的だ」と評価した。
流域委は10月、整備局の河川整備計画案について「4ダムの建設計画は不適切」とする最終意見書を提示しており、中村委員長は「委員会として深く敬意を表する。大戸川ダムについては緊急性が低いとする委員会の意見と軌を一にしており歓迎する」と述べた。
一方、大戸川ダム流域の自治体からは改めて反発の声が上がった。
大津市の目片信市長は「関係府県知事が上下流の利害関係を超えて共通の意見をとりまとめられたことに敬意を払うが、その過程に『国と流域委員会』『国と府県知事』という対立構造ばかりがクローズアップされ、何よりも優先すべき『流域住民の安全の確保』がなおざりにされている」と批判した。
代替案協議、今後の焦点
4府県知事の合意は、トップ同士が直接協議を重ねて団結し、走り出したら止まらないとされた国の「ダム神話」に一石を投じた。
「白紙撤回」は、滋賀の嘉田由紀子、京都の山田啓二、大阪の橋下徹3知事の主導で進んだ。3知事は10月半ばに京都市内で非公式会談を行ったほか、山田、橋下両知事は出張中の中国・上海でも協議。夜中もメールや携帯電話でやり取りを続けた。
最終的にまとめ上げた共同意見書では、地域主導の姿勢をアピール。立場の違いを乗り越えた決着に、橋下知事は「地方分権を進めるには、意見をまとめることが絶対条件だった」と言い切った。
環境社会学者としてダムに否定的な嘉田知事。地方分権を唱える山田知事。国を抵抗勢力と位置付ける橋下知事。共同意見書では、それぞれの立場で地方のリーダーシップを示したが、今後は、今回折り合いがつかなかった代替案を巡っての協議となる。関係者からは「上中下流の利害と思惑の違いを抱えたままの同床異夢の決着」との声も漏れた。
朝日新聞 2008年11月11日13時43分
大戸川ダム反対 「地方の声、受け止める」官房長官
河村官房長官は11日午前の記者会見で、4府県の知事が共同で大戸川ダム建設反対の意見を発表したことについて「国としては地方の声を受け止めなくては行政はできないわけだから、きちっと受け止めてやっていくようになる」と述べ、知事の意見を重視する考えを示した。
河村長官は「最近、公共事業は予算削減の方向にある。地元対策や地元知事のいろんな地方の振興計画の中の位置づけだろうから、きちんと受け止める」としたうえで「詳細を承知しているわけじゃないので即断はできかねるが、地方の振興計画等も十分協議しながら進めていく課題だろうと思う」と語った。




