2008-12-01(Mon)

荒瀬ダム存続 熊本県知事  巨額の撤去費用が理由らしいが・・?

国の補助金など支援態勢などが整えば「撤去すべきだ」と知事も認める

蒲島知事が、「ダム撤去支援の仕組みが不十分」と県営荒瀬ダムの撤去を取りやめる判断をした。

---- 知事は記者会見で「ダム撤去支援の仕組みが不十分」と指摘した。荒瀬ダムは県営ダムで撤去費用も県単独負担。国の支援はない。県財政が好転し、国の補助金など支援態勢などが整えば「撤去すべきだ」と知事も認める。
全国に2500カ所以上あるダムの多くは高度成長期に造られた。64年建設の埼玉県の玉淀ダムでも、地元で撤去を求める動きがある。
蒲島知事は 「高度成長を支えたダムは寿命が尽きれば巨額の撤去費用が問題になる。国はダム建設に熱心に補助金を注いだが、その後の仕組みを整えていない」と国が主導し、撤去の支援態勢を整える必要性を指摘した。(朝日新聞)

というのが知事の判断理由らしい。

 では、国にその気があるのかどうか。
---- 国土交通省河川環境課は「撤去が問題なのは荒瀬ダムぐらい。議論は進んでいない」と話している。 (朝日新聞)

 これでは、国が動くのはずっと先だろう。ダム行政の見直しを進めるうえでのひとつの課題だろう。 
 だとすれば、「国の補助金など支援態勢などが整えば」を前提にするなら、結果として撤去できないということになりはしないか。

 流域住民や漁協関係者は、
---- 県漁業協同組合連合会の吉岡博秋専務理事は「怒りと不満でいっぱいだ。潮谷義子前知事の決断で八代海が再生に向かうと期待した。蒲島知事は川辺川ダムでは環境を考えたのに、荒瀬ダムは財政を優先した。八代海再生には新鮮な水や砂の流入が大事。ヘドロでは困る」と怒った。

---- ダム上流に住む「球磨川中流域水害被災者の会」代表の緒方雅子さん(60)は「川辺川ダム計画に反対表明した時には『球磨川は宝』と言っておきながら、今回はダムを残すとは、同じ人の判断とは思えない」と憤った。

 当然だろう。
 『球磨川は宝』といった知事の判断は、多くの国民の心に響いた。その心を「八代海の再生」まで広げてほしいものだ。

(追記に記事)




朝日新聞2008年11月28日
荒瀬ダム存続
  存廃問題で揺れた県営荒瀬ダムについて、蒲島郁夫知事は27日、存続させる考えを県議会各派に説明し、記者会見で発表した。地元住民は怒りの抗議文を渡し、県議会各派からは静観や批判などさまざまな意見が出た。
  蒲島知事は、午前中に自民党、午後には県議会他会派への議案説明会に臨んだ後、記者会見した。「6月に撤去方針凍結を表明した際は『存続かな』と感じていた。以降、地元住民から悲痛な叫びを聞き『ひょっとすると撤去するしかないかな』と迷ったこともある。ただ、知事として財政再建の責務がある。断腸の思い」と心情を吐露した。
  荒瀬ダムのある八代市坂本町の木村征男・元坂本村長ら住民9人が県庁内で蒲島知事を待ち受け、直接抗議文を手渡した。「強い怒りと言葉で表せない寂しさをもって抗議します」と読み上げる間、知事は立ち止まり「(環境対策などの)条件をなるべく早く整えたい」と応じた。
  木村元村長らは会見し「撤去するという公の約束がこうも簡単に覆されていいのか。もう一度立ち止まって考えてもらいたい」と話した。
  県漁業協同組合連合会の吉岡博秋専務理事は「怒りと不満でいっぱいだ。潮谷義子前知事の決断で八代海が再生に向かうと期待した。蒲島知事は川辺川ダムでは環境を考えたのに、荒瀬ダムは財政を優先した。八代海再生には新鮮な水や砂の流入が大事。ヘドロでは困る」と怒った。
  蒲島知事は記者会見で「ダム撤去支援の仕組みが不十分」と指摘した。荒瀬ダムは県営ダムで撤去費用も県単独負担。国の支援はない。県財政が好転し、国の補助金など支援態勢などが整えば「撤去すべきだ」と知事も認める。
  全国に2500カ所以上あるダムの多くは高度成長期に造られた。64年建設の埼玉県の玉淀ダムでも、地元で撤去を求める動きがある。蒲島知事は「高度成長を支えたダムは寿命が尽きれば巨額の撤去費用が問題になる。国はダム建設に熱心に補助金を注いだが、その後の仕組みを整えていない」と国が主導し、撤去の支援態勢を整える必要性を指摘した。
  国土交通省河川環境課は「撤去が問題なのは荒瀬ダムぐらい。議論は進んでいない」と話している。
  県議会各会派の受け止め方は分かれた。12月定例会で詳細な説明を求める方針だ。
  自民党県連の前川收幹事長は「個人的には一定の理解をする。党としての判断は12月議会中にまとめる」と述べた。自民党が02年12月、当時の潮谷知事に荒瀬ダム撤去を提言したことについては「財政状況が違う。当時は存続より撤去が経済的という県の報告で判断した。もう少し慎重にすべきだったかも知れない」と述べた。
  公明党は現時点での判断を避ける。同党県本部顧問の竹口博己県議は「知事の言い分を聞いただけ。現段階では何とも言えない」と述べた。
  無所属改革クラブの大西一史県議は「撤去費用がころころ変わり計算がずさん。いま出ている数字も信用できるのか」と批判した。
  民主・県民クラブは「納得できない」と反発し、撤去費用の試算などをただす方針だ。鎌田聡県議は「存続の努力ばかりで、撤去の努力が足りない。ダムを存続させて九州電力に電力を売れば、電気代に跳ね返り、県民負担が増える」と批判した。


(2008年11月28日 読売新聞)
「荒瀬ダム」存続に賛否
ダム存続の判断について、「苦渋の選択だった」と語る蒲島知事  蒲島知事が県営荒瀬ダム(八代市坂本町)の存続を正式表明した27日、存廃を巡って意見が分かれていた地元住民や政党関係者からは、「県の財政難を考えれば妥当な判断」と評価する意見が出される一方、「環境への悪影響が配慮されていない」などと批判が上がった。
 渇水時の農業用水確保のために存続を訴えてきた八代平野土地改良区連合の西村壽美雄事務局長は「これで農業者の不安は払拭(ふっしょく)できる」と歓迎した。
 一方、八代海の再生を願い撤去を求めてきた八代漁協の藤原成治参事は「県の財政事情だけでは片付けられない。魚が取れなくなった漁業者の苦しみが分かっているのか」と憤った。
 ダムがある旧坂本村で村長だった木村征男さんはこの日、知事に抗議文を手渡してダム撤去を「直訴」した。木村さんは「住民は子孫にきれいな川を残したいという強い思いがある。知事はもう一度、立ち止まり考え直してほしい」と訴えた。
 八代市の坂田孝志市長は「地元の思いや考えを重く受け止めて頂いたうえでの苦渋の決断だったと思う」としたうえで、「地元振興策の具体的な提示がなく不十分」と指摘、住民の防災対策、漁業振興など4点を要望した。
    ◇
 知事は27日、県議会各会派への12月県議会提出議案説明会の中で、ダム存続の考えを伝えた。最大会派の自民党(34人)の前川收議員(党県連幹事長)は、財政難を理由に存続を決めた知事の判断について、「行政には、財政の健全化を進めなければならない責任がある」と理解を示した。民主・県民クラブ(7人)の渡辺利男代表は「撤去を望む住民や漁業者の思いがいかされず失望した。存続に伴う地域振興や環境対策の内容もよくわからず、承服できない」として、12月議会で追及する姿勢を示した。


(2008年11月27日 読売新聞)
「地元は納得していない」撤去求める住民ら訴え
荒瀬ダム存続 知事きょうにも正式表明
荒瀬ダムの存廃について、「判断を先送りしてほしい」と県側に伝える住民ら  県営荒瀬ダム(八代市坂本町)の存廃問題で、蒲島知事がダム存続の方針を固めた26日、撤去を求める地元住民や漁業者、市民団体のメンバーら約20人が県庁を訪れ、県側に知事の真意をただした。知事は27日にもダム存続を正式表明する考えだが、住民らは「地元の納得を得ていない段階で判断するのは拙速。もう少し時間をかけて検討すべきだ」と訴えた。
 「子守唄(うた)の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表が「知事がダム存続の判断を固めたのは県としての決定事項なのか」とただしたのに対し、県側は「まだ正式に決まったことではない」と述べた。
 地元住民や漁業者からは「知事が存廃を最終判断する前にもう一度話し合いの場を設けてほしい」「財政が厳しいなら、費用をかけず撤去する方法も考えるべきだ」との声が上がった。知事との面会も求めたが、県側は、「時間が切迫しており会えない。皆さんの気持ちは十分分かっている」との知事のコメントを伝えるにとどまった。
 ダム上流に住む「球磨川中流域水害被災者の会」代表の緒方雅子さん(60)は「川辺川ダム計画に反対表明した時には『球磨川は宝』と言っておきながら、今回はダムを残すとは、同じ人の判断とは思えない」と憤った。


朝日新聞 2008年11月27日20時21分
熊本県知事、荒瀬ダムの存続を発表 地元住民ら反発
 熊本県八代市坂本町の球磨川にある県営荒瀬ダムについて蒲島郁夫知事は27日、財政難を理由に撤去方針を転換し、存続させるとの意向を県議会各会派に説明し、記者会見で発表した。撤去を求める地元住民らは反発している。
 知事は「撤去は県の一般会計から巨額の資金投入を必要とする。県を財政再生団体にしないため、存続が最も妥当」と説明。国土交通省の川辺川ダム計画への反対表明との違いについては「ダムがあっても地域の人に迷惑をかけないよう、環境対策や水産業振興に努力する」と答えた。
 荒瀬ダムの撤去を求めてきた旧坂本村(現在は八代市坂本町)の木村征男元村長ら地元住民は県庁内で知事を待ち受け、「撤去は地域住民や県民と県が交わした約束。簡単に覆していいのか」とする抗議文を手渡した。
 県は今後、2010年3月で切れる水利権の更新手続きの準備を進める。水利権更新の許可権限は国土交通省九州地方整備局長が持つ。河川法上は必要ないが、水利権更新の際に流域漁協や地元自治体の同意を求める場合もある。地元漁協は「ダム撤去で清流を復活させ、八代海の漁場再生を」との立場で一致しており、水利権更新のハードルは高くなりそうだ。


(2008年11月12日 読売新聞)
荒瀬ダム撤去費92億円 県議会委で疑問噴出
知事「月内に最終判断も」
 県営荒瀬ダム(八代市坂本町)の存廃問題で、県議会経済常任委員会が11日開かれ、県の庁内プロジェクトチーム(PT)の検討結果が報告された。撤去費用が当初試算を約20億円上回る約92億円に増え、住民らが調査を求めていた環境・水産業への影響については「把握が難しい」とした内容に対し、委員からは「短期間でこれだけ試算が変わるのはおかしい」「環境面の検討が不十分」など疑問の声が上がった。
 県は、ダム撤去を決めた2002年当時、撤去費用を約60億円としていたが、5月に試算をやり直しところ72億円に膨らんだ。さらに、10月にPTを発足させ、詳細に検討した結果、新たに護岸補修や道路のかさ上げが必要なことがわかり、費用を加算した結果、約92億円になったという。
 委員からは「これまでどういう試算をしていたのか疑念を持つ」「ダムを撤去すれば水位は下がるはずで、なぜ浸水対策が必要になるのか」と疑問が噴出した。
 これに対し、PTは「撤去してもダム上流地域では、水位は50センチしか下がらない。洪水が起きれば道路が冠水する恐れがある」などと説明。存続した場合の費用は約87億円かかり、うち約71億円は売電収入で回収できる見込みで、「12月中には九州電力との基本契約が結べる見通し」と報告した。
 12月に存廃を最終判断するとしている蒲島知事は「ぎりぎりまで検証した結果だ。内容をよく検討して判断材料にしたい。11月中の判断もあり得る」と述べた。

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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