2014-09-28(Sun)

円安の進行 弱者への配慮が必要だ

負の側面を警戒しよう 「二極化」見過ごせない 悪影響は地方に大きい 地方に軸足置いた対策を

<各紙社説・論説>
読売新聞)円安の進行 景気への副作用に目配りせよ(9/23)
毎日新聞)円安の進行 負の側面を警戒しよう(9/21)
東京新聞)円安の進行 弱者への配慮が必要だ(9/27)
中国新聞)円安日本経済 「二極化」見過ごせない(9/24)
西日本新聞)進む円安 日本が安売りされるのは(9/23)
岩手日報)円安加速 悪影響は地方に大きい(9/21)
新潟日報)円安傾向続く 地方に軸足置いた対策を(9/23)
徳島新聞)円安加速 地方経済への配慮がいる (9/23)
高知新聞)【円安進行】景気への悪影響が心配だ(9/19)
佐賀新聞)円安加速(9/24)




以下引用

読売新聞 2014年09月23日 01時19分
社説:円安の進行 景気への副作用に目配りせよ
 日本経済の追い風となってきた円安も、行き過ぎれば手放しでは歓迎できなくなる。
 政府・日銀は、円安副作用にも目配りした政策運営に努めるべきだ。
 1ドル=100円近辺で安定していた円相場が、ここ1か月で大きく円安に振れ、先週末には約6年ぶりの110円台に迫った。
 景気が堅調な米国の利上げ観測が強まり、円売り・ドル買いが加速したことが主因である。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は、国債購入などの量的金融緩和策を10月で終えると表明した。ゼロ金利政策を解除し、異例の金融緩和を通常に戻す「出口戦略」の計画も公表した。
 これに対し、日本は消費税率引き上げ後に景気がもたつき、黒田東彦日銀総裁が追加金融緩和も辞さない構えを見せている。
 主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の記者会見でルー米財務長官は、「ユーロ圏と日本の成長には失望させられている」と述べた。「強いドル」の局面は当面、続くと見られる。
 気がかりなのは、為替相場の動きが激しいことだ。乱高下につながる投機の動きはないか、政府・日銀は監視を強めてほしい。
 円安は、企業の輸出代金や海外で上げた収益の為替差益を拡大させる。東京市場の平均株価が約8か月ぶりに1万6000円台を回復した。業績への円安メリットを素直に評価しているのだろう。
 ただ、日本経済全体を見ると、円安には「負の側面」もある。
 みずほ銀行の推計によると、円安が10円進めば、上場企業には計1・9兆円の増益効果がある一方、非上場企業は逆に1・2兆円の減益になるという。
 輸出や海外展開に縁のない中小企業や、小売り、サービスなど内需産業は円安メリットが乏しい。それに加え、輸入原材料や電気料金の高騰などでコストはかさむため、経営は圧迫される。
 過剰な円安で、中小企業が苦境に陥らないか心配である。
 経済の構造的な変化も見過ごせない観点だ。生産拠点の海外移転が進み、円安でも国内生産や輸出が以前ほど増えなくなった。
 円安の恩恵が、雇用増や賃上げとして国内に還元されにくくなったと言える。家計の所得が伸びない状況で、輸入食品やガソリンなど必需品の高騰が続けば、消費が低迷し、景気回復の足を引っ張る懸念があろう。
 円安が景気に与える影響を、詳細に分析することが急務だ。


毎日新聞 2014年09月21日 02時35分
社説:円安の進行 負の側面を警戒しよう
 かつて日本経済への朗報とされた円安が、ここへきて不安材料になっている。外国為替市場の円相場は対ドルで約1カ月間に7円近くも値下がりし、6年ぶりとなる1ドル=109円台を記録した。
 日銀の黒田東彦総裁は「大きな問題があるようには思っていない」と容認しているが、産業界や国際金融の専門家の間では、負の側面を警戒する声が目立ってきた。円安を促してきたアベノミクスだが、副作用にもっと目を向けるべき時だ。
 急激な円安・ドル高の最大の理由は、日米間で鮮明になってきた金融政策の方向の違いである。
 米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)は、景気下支えのために続けてきた量的緩和を来月で終了する。一方、日銀の量的緩和は出口が見えないばかりか、追加策を期待する向きすらある。量的緩和を終えたFRBは来年半ばにも利上げすると見られており、より高い利回りのドルに人気が集まるとの思惑からドル高・円安になっているのだ。
 株価に注目すれば、円安は引き続き朗報のように映る。日経平均株価は6年10カ月ぶりの高値だ。ただ、世界的なカネ余りを背景にした米欧の株高に連動している面が大きい。
 好調な株式市場に対し、実体経済の調子は、日米欧とも芳しくない。日本の場合、消費増税の影響が懸念される中、食品から燃料まで輸入品の物価高につながる円安が、消費や企業収益を一段と圧迫するのではないかと心配されている。
 気がかりなのは、円安をもたらしている構図が当面続きそうな点だ。
 米FRBは、来月で量的緩和を終了しても、ゼロ金利は「相当な期間」維持すると説明する。だが、金融政策を決めるメンバーの政策金利見通しを見ると、来年半ばあたりから着々と金利を上げ、2年半〜3年で4%前後まで戻す道筋が透ける。
 もちろん経済の動向が左右するためシナリオ通りに進む保証はないが、このままでは日米の金利差は開き続ける可能性が高い。
 最も警戒すべきは、円安が日本の長期金利の高騰(国債価格の下落)につながる可能性だろう。一段の円安は貿易赤字をさらに増やし、慢性的な経常赤字を招く恐れがある。巨額の財政赤字を抱えた日本が経常赤字も増やすことに市場が注目した時どうなるか。国の借金(国債)の返済能力が不安視されれば金利が急騰し、日本経済に大打撃を与える。
 円安による物価高でインフレ率の目標を達成したとしても、経済が元気になっていなければアベノミクスは不合格だ。だからといって追加の金融緩和は一段の悪い円安を招くばかりで、論外である。


東京新聞 2014年9月27日
【社説】円安の進行 弱者への配慮が必要だ
 現在の円安水準は日本経済全体ではプラスだと日銀は主張する。だが、潤うのは大手企業や資産家ばかりで家計や中小企業、地方経済にとっては負担の方が重い。弱者への配慮が欠かせないはずだ。
 「増税」「実質減収」、円安による「物価高」と家計は三重苦である。円相場は一ドル=一一〇円に迫る円安水準だ。半年以上も一〇二円程度で膠着(こうちゃく)状態だったが、八月以降に一気に七、八円も円安が進んだ。円安進行の原因は、日米の金融政策の違いによるものだ。
 デフレ脱却を目指す日本は異次元の金融緩和を当面続けざるを得ないが、米国は景気回復に伴い量的緩和の終了を決めた。日米金利差が拡大するとの観測からドルが買われ、ドル高円安が進んだのである。円安進行を受け、東京株式市場の株価は上昇、六年十カ月ぶりに一万六三〇〇円台を付けた。
 この円安が問題なのは、かつてのような円安による景気回復メカニズムが失われているうえ、円安の恩恵を受けるのは株高で資産効果が生まれた富裕層や上場企業に偏っていることだ。みずほ銀行の試算では、円安が十円進むと、上場企業の利益は計一・九兆円増えるが、逆に非上場企業は一・二兆円減るという。
 中小企業は、原材料の輸入価格や電気代、燃料費が上昇したが、製品への価格転嫁が難しい。トヨタ自動車が最高益を記録する一方で大半の下請けの業績悪化が明るみに出たが、円安はそうした構図に拍車をかけるのである。かつてのように円安でも景気回復しないのは生産拠点が海外シフトして輸出が伸びず、輸出依存の経済構造が過去のものになったからだ。
 賃上げをめぐって大手と中小では格差が開いた。大手でも賃上げが物価上昇に追いつかずに実質所得は減っており、中小や地方はなおさらである。アベノミクスは大手企業が潤えば利益が広く滴り落ちる「トリクルダウン」思想に基づくが、もはや虚構にすぎない。
 安倍晋三首相は円安について「燃料代などが高騰しており、中小企業や地方経済に与える影響を注視していく」と円安をけん制する異例の発言をした。これは円安・株高が企業業績を改善し、所得や生産へ波及する好循環を生むとしたアベノミクスを自ら否定する発言である。
 消費税増税を強行した判断ミスやアベノミクスの副作用を認め、大手の利益が中小に及ぶような弱者対策の政策を進めるべきだ。


中国新聞 2014/9/24
社説:円安と日本経済 「二極化」見過ごせない
 先月から急速に円安が進んでいる。一時は6年ぶりに1ドル=109円台となった。
 この数日、為替相場は少し落ち着きを取り戻していた。ただ長い目で見れば、さらに円安の進行が見込まれている。
 こうした傾向を受け、輸出企業を中心に株価は上昇局面にある。日経平均は8カ月ぶりに1万6千円台を回復している。
 しかし株価を重視する安倍政権も、喜んでばかりはいられまい。円安がもたらす負の側面が目立ってきたからだ。景気の腰折れにもつながりかねない。
 わずか1カ月で7円も円安となったのは、米国経済が持ち直している影響が大きかろう。景気の回復を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は今月、2008年のリーマン・ショック以降続けてきた大規模な金融緩和を縮小する道筋を示した。
 このため有利な運用先を探す投資家の間に、金利上昇が予測される米国のドルを買う動きが広がった。結果的に円が売られ、円安が進んだ。
 日本経済にプラスの面があるのは確かだろう。海外で事業を手掛ける大企業には、さらに利益を拡大する機会となる。株価を押し上げているのは、こうした期待にほかなるまい。
 ただし将来を見据え、製造業が海外移転を続けている産業構造の変化から目をそらしてはならない。国全体でみれば、円安でも輸出が思うように伸びず貿易赤字を解消できないでいる。
 一方、国内での事業が大半を占める中小企業にとっては、円安のマイナス面の影響が大きかろう。とりわけ海外から輸入する原材料や燃料の高騰が、利益を圧迫している。
 大手銀行の試算によると、10円ほど円安になったときの利益の合計は、大企業が多い上場企業で1兆9千億円増えるのに対し、中小企業がほとんどの非上場企業で1兆2千億円減るという。円安が進行するほど、二極化が顕著になるといえよう。
 家計への影響も見過ごせない。4月の消費税の増税以降、駆け込み需要の反動もあり、個人消費は低迷する。政府も今月の月例経済報告で景気判断の下方修正を余儀なくされた。
 消費の回復がおぼつかないのは、円安による原材料などの高騰で食料品や日用品が値上がりしていることも影響していよう。企業で賃金を引き上げる動きは一定に広がった。だが物価の上昇幅が上回り、実質的な賃金は目減りしている。
 このまま円安が進行すれば、さらに物価は上がるだろう。そのことで消費の回復が遅れれば、政府が描く景気回復のシナリオは崩れることになる。
 忘れてならないのは、円安の背景に日銀の「異次元」の金融緩和政策があることだ。アベノミクス第1の矢として、円高に苦しんでいた輸出企業を救ったのは間違いない。
 円安の進行についても、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「今の動きに大きな問題があると思っていない」との見方を示している。
 しかし日本経済は新たな局面を迎えているのではないか。今後の経済政策は、円安のマイナス面にもしっかり目を向けることが欠かせない。
 景気を支えるため、日銀に追加の金融緩和を求める声も高まっている。慎重に判断しなければ、逆効果になりかねない。


=2014/09/23付 西日本新聞朝刊=
社説:進む円安 日本が安売りされるのは
2014年09月23日(最終更新 2014年09月23日 10時36分)
 急速な円安には不安を覚える。とても損をしている気分になる。
 1カ月ほど前は1ドル=103円台だったが、つるべ落としのように108、109円台になった。
 1ドル=100円が1ドル=110円となると、どうか。1万円で買えていた100ドルの品物が1万1千円を出さないと買えなくなる。
 ドルを持つ側から見ると、100ドルだった品物は約90ドルになる。
 値下げである。それで日本製品は安いとなってどんどん買ってもらえば輸出が増える。日本国内の不動産は割安と言って外国人が積極的に買えば投資が活発化する。海外から観光客も来やすくなる。
 結果、日本経済が成長すれば国全体としてはプラスなのだろう。
 だが、どうも釈然としない。日本を安売りしている感じなのだ。
 2年前の今頃は1ドル=79円台だった。それから30円近く安くなった。ぶれが大きすぎないか。円の適正水準とはどれくらいだろう。
 物差しの一つに実質実効為替レートがある。政府が7月に出した経済財政白
書の217ページにある。
 米ドル以外にユーロ、人民元など多数の通貨を対象にして日銀が算出する。解説は難しいが、要は日本の対外競争力を示すという。
 2010年を100として12年9月の指数は101・38、今年8月は77・22である。これで見る限り円安が行き過ぎといえる。
 大胆な金融緩和を掲げる安倍晋三政権の誕生とともに指数は急落した。相対的に円が安くなれば輸出に有利だ。経済財政白書は、これで製造業の国内回帰の動きが強まる可能性があると期待する。
 だが、ここまではどうか。円安が進んだ割には輸出は増えていない。国内回帰もはっきりしない。
 問題はまだある。今後の円相場と政府、日銀の対応だ。円安がさらに進めば国民生活にどんな影響が予想されるのか。政府、日銀はきちんと説明する必要がある。
 その上で、どのような段階で、どんな手を打とうとしているか-。政府、日銀は大まかな考え方を示すべきだ。そうしないと急速な円安は国民の不安の種となる。


岩手日報(2014.9.21)
論説:円安加速 悪影響は地方に大きい
 想定を超える速さで円安ドル高が進んでいる。東京市場では6年ぶりに一時1ドル=109円台半ばに突入し、1カ月で7円安くなった。
 これに伴い東京株式市場の平均株価は1万6千円台を回復、6年10カ月ぶりの高値をつけた。輸出企業の業績改善に期待が高まった。
 輸出を中心とする大企業に円安の恩恵はあろう。日本を訪れる外国人観光客が増えるなど業種によってはメリットも小さくない。
 だが、本県など地方に暮らす人、中小企業には食料品や原材料価格の上昇による悪影響の方が懸念される。政府は急激な為替変動への監視を強めるべきだ。
 円相場の急落は、黒田東彦日銀総裁による11日の発言が発端だった。大規模な金融緩和に「追加的措置の限界があると思わない」と述べ、追加緩和の観測が広がった。
 さらに米連邦準備制度理事会(FRB)が、大量のお金を世の中に出回らせる量的緩和政策を10月に終えると表明した。来年は利上げするとの見方が強まる。
 日米の金融政策の違いが鮮明になりつつある。景気が減速する日本はお金の供給量を増やし、円の価値が下がる。金利の高いドルが買われ、ドル高になりやすい。
 円安は暮らしのさまざまな面に影響を及ぼす。既に食料品は肉や乳製品、食用油などの価格が上がった。夏の大雨による野菜の高騰と併せ、家計には厳しい。
 エネルギー価格の上昇は寒冷地の本県でより負担が重くなる。冬を前に灯油価格は過去2番目の高値になった。ガソリン価格は落ち着いたが、なお高止まりしている。
 稲刈りが本格化する農業者には乾燥用の灯油代が響く。既に米価の急落で赤字は避けられず、ダブルパンチとなろう。原材料の高騰は中小企業も苦境に追いやる。
 米国との金利差が広がり、円安はさらに進むとの見方が支配的だ。日銀の黒田総裁は「日本経済のマイナスになることはない」との認識だが、地方の実情にも目配りしてほしい。
 政府は円安の効果として、時間がたてば輸出が伸びると説明してきた。しかし生産の海外移転が進んで8月の輸出額も前年より減少し、説得力が乏しくなっている。
 もっと心配なのは安全通貨・円の地位が揺らぐことだ。震災の時も買われたほど安全とされる円だが、売られやすい通貨になれば国民生活への影響は計り知れない。
 オーストラリアで開催中の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、急激なドル高の是非と為替の安定についても各国が協調する姿勢を示してもらいたい。


新潟日報 2014/09/23
社説:円安傾向続く 地方に軸足置いた対策を
 円安がとまらない。東京市場の円相場は先週末、約6年ぶりに1ドル=109円台を付けた。日本経済への影響を慎重に見極めたい。
 リーマンショック以降、低成長が続いた米国経済の復調が背景にある。週明けは108円台に反発したが、円を売ってドルを買う流れは当分続くとみられている。
 事実上のゼロ金利政策をとってきた米連邦準備制度理事会(FRB)が、近く利上げを開始するとの見方が広がっているためだ。
 米国では雇用情勢が改善し、株価は過去最高を更新している。国際通貨基金(IMF)は、今年後半の実質成長率が3%台前半に達すると見込む。
 一方、欧州ではデフレ懸念が強まり、ユーロ安の展開だ。欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利を導入し、今後は本格的な量的緩和に踏み切るとの観測がある。
 景気浮揚に向けて大規模な金融緩和を続ける日本、欧州と、量的緩和策を終える「出口戦略」を明確にした米国との違いが為替レートに影響しているのだ。
 急激な円安ドル高を受け、先週末の日経平均株価は1万6300円台となり、6年10カ月ぶりの高値を記録した。
 自動車や機械といった輸出産業の収益増が投資家に期待されたことが大きい。国内の景況感を反映したとはいえないだろう。
 今の円安水準について、日銀の黒田東彦総裁は「大きな問題があるとは思ってない」と事実上容認する姿勢を示した。
 確かに、輸出する大企業では、外国で稼いだドルを円換算した金額が膨らみ、業績を底上げして円安の恩恵を受けるに違いない。
 だが、製造業の多くは既に海外に生産拠点を移した。8月の財務省貿易統計によると、輸出は全体で前年同月比1・3%減なのだ。
 経済界に「円安が急激で大きすぎる」との指摘があるように、現状では雇用が拡大し、賃金が上昇する好循環は期待できまい。
 県内でも、近年は中国などからの部品輸入が増えているため「輸出増が収益にプラスとは言い切れない」との懸念が出ている。
 本県経済を支える中小企業にとり、円安のプラス効果は限定的とみていいだろう。地方に軸足を置いた活性化策を講じるべきだ。
 原材料や燃料の輸入価格も上昇する。企業ばかりか、家計の負担も増しかねないのである。
 1ドル=100円から110円に円安が進むと、食料品は1・7%、電力料金は3・2%上がるとの試算もある。
 日本の景気失速を警戒する声は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも聞かれた。
 4月の消費税増税後、消費不振が続く。政府は9月の月例経済報告で、景気の基調判断を5カ月ぶりに下方修正した。
 安倍政権は年内に消費税率10%への再増税の是非を判断するが、冷静で客観的な景気判断を前提とするべきなのは当然だ。
 急激な円安は景気の足を引っ張りかねない。政府・日銀は動向をしっかり踏まえて適切に対応してもらいたい。


徳島新聞 2014年9月23日付
社説:円安加速 地方経済への配慮がいる
 円安が加速している。東京外国為替市場の円相場は先週末、1ドル=109円台をつけ、2008年9月以来約6年ぶりの円安水準となった。
 米国経済の回復に伴い、日米の金利差が拡大するとの見通しから、円売りドル買いの動きが強まったためだ。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安効果は、日本経済をけん引する電機、自動車メーカーなど輸出企業の業績を好転させ、景気浮揚の原動力となってきた。
 だが、過度の円安は国民生活にとってマイナスとなりかねない。注意が必要だ。
 第一生命経済研究所の試算では、1ドル=100円から110円に円安が進むと、食料品は1・7%、電力料金は3・2%、ガソリンを含む石油製品は3・3%も上がる。
 4月からの消費税率引き上げが家計を圧迫する状況に、円安のマイナス効果が加わることで、一層の消費低迷が懸念される。円安に伴う火力発電の燃料費上昇は、電力料金値上げにつながるため、家庭にも企業にも悩みの種だ。
 企業活動にとって、円安はもろ刃の剣である。輸出関連企業は潤うが、地方経済を支える中小零細企業にはデメリットも大きい。
 徳島県では昨年から、円安を追い風に、農林水産品の輸出拡大の動きが出ている。取引先の輸出企業の業績向上に伴い、売り上げが伸びた企業もある。
 一方で、円安の悪影響を受けている企業、業種も少なくない。輸入原料や資材、燃料の値上がりが、小売業、建設業、運送業の収支を圧迫。農林水産業でも、温室、漁船の燃料や飼料などの価格上昇が経営を脅かしている。
 そんな状況に一層の円安である。設備投資など経営戦略の立て直しも必要になろう。
 本県には経営基盤の弱い中小零細企業が多く、県などの支援策が求められる。
 観光産業にとっては、外国人旅行者を誘致するチャンスであり、県市町村は連携して徳島観光を一層PRしたい。
 市場には、円安は当面続くだろうとの見方がある。日米の金融政策の違いが鮮明になっているためだ。
 米国経済はリーマンショック後の不振から回復し始め、米連邦準備制度理事会は量的金融緩和策を10月で終える。利上げの時期が早まるとの観測が強まるのは当然だろう。
 一方、景気浮揚に向けて大規模な金融緩和を続ける日銀の黒田東彦総裁は「追加的措置の限界があると思わない」と、さらに強化する手段があるとの考えを示し、「ドルが緩やかに上昇することは日本経済にとってマイナスではない」と述べた。
 円安は株式相場も押し上げた。先週末には日経平均株価の終値が1万6321円17銭と07年11月以来、約6年10カ月ぶりの高値をつけた。自動車や機械などの主力株が買われ大半の業種が上昇した。
 しかし、株価上昇も手放しで喜べる状況ではない。
 政府は9月の月例経済報告で、消費税率引き上げ後の消費不振を踏まえ、景気の基調判断を5カ月ぶりに下方修正した。再引き上げの判断を年末に控え、甘利明経済再生担当相は「(景気対策を)何もせずに(再増税)判断を行うことはない」と述べた。
 政府は地方経済への円安の悪影響を緩和しながら、景気浮揚策を進めてもらいたい。


高知新聞 2014年09月19日08時13分
社説:【円安進行】景気への悪影響が心配だ
 一段の円安ドル高が進んでいる。
 18日の東京外国為替市場の円相場は、約6年ぶりとなる1ドル=108円台で推移した。この1カ月間で6円以上も下落したことになる。
 急激な円安の根底には、日米間の金融政策の違いがある。日銀が大規模な金融緩和を継続する一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は事実上のゼロ金利政策の解除を視野に入れる。
 日米の金利差はさらに広がるとみられ、円安ドル高傾向も当面は続く見通しだ。企業活動や家計への影響を慎重に見極める必要がある。
 FRBは17日の声明で、市場に大量のお金が出回るようにする現行の量的緩和を10月に終了させる姿勢を強調。その上で、ゼロ金利を「相当な期間」は続けるとした。
 リーマン・ショック以降続いた非常事態からの「出口戦略」にあらためて自信を示した格好で、市場では次の段階である利上げが近づいているとの見方が強まった。
 むろん、米経済の順調な回復が裏付けとしてある。日銀の黒田総裁は「実態に即した緩やかな為替変動は自然」と問題視しない姿勢だが、実体経済への影響を軽視はできない。
 円安は輸出産業の業績を押し上げるが、生産拠点の海外移転でその恩恵は薄れている。半面、国内の中小企業にとって、輸入する原材料の高騰はマイナスとなろう。
 心配なのは家計への圧迫だ。行き過ぎた円安は「悪い物価上昇」を招きかねない。生活必需品の値上げが続けば、個人消費が冷え込んで景気全体に悪影響が広がる恐れもある。
 一層の円安は、日米間で金融政策の違いとともに、現状での「体力差」をも浮き彫りにした。
 日本経済はアベノミクスから1年半以上たっても、消費増税後の回復の遅れが表す通り、足腰の弱さを克服できていない。日銀の金融緩和は「出口戦略」どころか、追加緩和が期待される状況だ。財政出動による景気対策にも限界がある。
 弱った体にカンフル剤を打ち続ければ、長期的にかえって体力を損なうことになりはしないか。構造改革や財政健全化など、根本的な問題の解決に目を向けるべきだろう。
 FRBの金融政策は、基礎体力の回復を抜きにして異常事態からの「出口」もないことを明確に示している。


佐賀新聞 2014年09月24日 07時50分
論説:円安加速
 円安が急速に進んでいる。東京市場では6年ぶりに一時1ドル=109円台をつけるなど1カ月で7円安くなった。これまでは円安は日本経済に追い風だったが、行き過ぎた円安はマイナスとの声も経済界などから出始めている。
 輸出企業の業績改善に期待が高まり、東京株式市場の平均株価は1万6千円台を回復、6年10カ月ぶりの高値をつけた。だが、家計や中小企業には、食料品や原材料価格の上昇による悪影響が懸念される。手放しで喜べる状況ではない。
 ここに来て日米で金融政策の違いが鮮明となっている。日米の金利差がさらに拡大するとの見通しが広まり、円安が進んでいる。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が17日、大量のお金を世の中に出回らせる量的緩和政策を10月に終えると表明した。そうなれば次は利上げとなる。背景には米国経済の復調がある。リーマン・ショック以降、低成長が続いていたが、国際通貨基金(IMF)は今年後半の米国の実質成長率は3%台前半に達すると見込む。
 一方、日本は日銀が大規模な量的緩和を続けている。日本経済は4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動が想定以上に大きく、7月以降も天候不順が重なり、個人消費や生産の戻りは鈍いままだ。日銀の黒田東彦総裁は11日、安倍晋三首相に「2%の物価目標の達成が困難になれば、ちゅうちょなく追加緩和などの調整を行う」と伝え、追加緩和の観測が広がった。
 景気が減速する日本はお金の供給量を増やし、円の価値が下がる。その日本よりも米国に投資した方がもうかる。円を売ってドルを買う動きがこうして強まる。
 これまで円安は、株高とともにアベノミクスの成果とされてきた。黒田総裁は今回も「日本経済のマイナスになることはない」とし、経団連の榊原定征会長も「今の為替水準は、トータルでは日本にとってマイナスではない」との認識だ。
 しかし、全国に根を張る日本商工会議所の反応は違った。三村明夫会頭は「円安が進めば進むほど日本経済にとって好ましいことではない。国民生活にマイナスの影響を与える」と語っている。
 円安の副作用は家計や企業に影響を及ぼす。既に食料品は肉や乳製品、食用油などの価格が上がった。消費増税以降、元気がない消費の足を引っ張っている。夏の長雨による野菜の高騰も相まって家計には厳しい。
 政府は円安効果として輸出が増えると説明してきた。しかし生産拠点の海外移転が進んだ結果、輸出が増えにくい構造となっている。8月の輸出額も前年より減少した。実際の輸出数量が伸びなくても輸出企業は、海外での売り上げを円に換算した額が膨らむので業績を押し上げる効果がある。
 問題は海外活動をしていない、または割合が少ない中小企業である。円安は原材料の上昇を招き、企業経営に重くのしかかる。コスト上昇分を販売価格に転嫁できればいいが、それも難しい。
 日本は金融緩和に頼ってきた経済政策を今後も維持するべきか。政府は為替変動への監視を強めるとともに、政策の在り方を再検討する時期が近づいていると認識すべきだろう。(宮崎勝)

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