2014-09-29(Mon)

御岳山噴火 見据えよう 火山の危険 社説等(1)

避難計画完備 7火山のみ 国内 110活火山 監視は手薄

-----問題は、手厚い観測態勢がとれる火山が一部でしかないことだ。全国の国立大学で研究に携わる研究者は40人ほどしかいない。態勢の強化が急務だ。

火山活動が地震と連動する可能性が指摘されている。30年以内にマグニチュード(M)8~9クラスの地震が起きる確率が70%程度と見込まれる南海トラフ地震との関連が気になる。
 
今度の噴火は原発の今後にも新たな問題を投げ掛けている。九州電力川内原発の周辺には巨大なカルデラを持つ火山がある。噴火の危険を踏まえれば、ゴーサインには慎重であるべきだ。
 
噴火を止めることはできないが被害を少なくすることはできる。危険を侮らず謙虚に向き合って、備えの強化に努めたい。
(信濃毎日)


<各紙社説・主張>
読売新聞)御嶽山噴火 見せつけられた予知の難しさ(9/28)
毎日新聞)御嶽山噴火 被害者救援に全力を(9/28)
産経新聞)御嶽山噴火 被害拡大防ぎ観測強化を(9/28)
信濃毎日新聞)御岳山噴火 見据えよう 火山の危険(9/28)

<報道記事>
朝日新聞)(時時刻刻)御嶽山噴火、予知は困難 微動観測から12分後(9/28)
朝日新聞)火山列島、急襲 御嶽山噴火、地元は備え途上(9/28)



以下引用

読売新聞 2014年09月28日 01時29分
社説:御嶽山噴火 見せつけられた予知の難しさ
 火山の猛威を、まざまざと見せつけられた。
 長野県と岐阜県にまたがる標高3000メートル超の御嶽山が噴火した。
 紅葉シーズンの週末とあって、登山客が大勢いた。高温の火山灰などで多数の重傷者が出ている。山小屋に退避した人もいるが、噴火が続いているため、救援活動は時間を要している。
 政府は、首相官邸の危機管理センターに連絡室を設置し、被害の情報収集などを急いでいる。安倍首相は、被災者の救助や登山客の安全確保に全力を尽くすよう指示し、自衛隊を派遣した。
 負傷者の搬送、行方不明者の捜索・救難を急ぎ、被害を最小限に食い止めねばならない。
 噴火活動がいつ静まるのか、まったく予測はつかない。
 山頂付近から噴煙が高く舞い上がり、大量の火山灰が猛烈なスピードで山腹を流れ下った。噴石も広範囲に飛散している。
 引き続き火山活動の厳重な監視が必要だ。二次災害にも十分警戒してもらいたい。
 気象庁は、今後も同規模の噴火が起きる恐れがあるとして、警戒を呼びかけている。5段階ある噴火警戒レベルを平常時の1から入山規制を伴う3に引き上げた。
 活動性が極めて低い火山と考えられていた御嶽山は、1979年に突如噴火し、火山灰が広い地域に降った。91年と2007年にも小規模の噴火を起こしている。
 気象庁は、全国に110ある活火山のうち、活動が活発な23火山の一つに御嶽山を選び、監視体制の充実を目指していた。だが、噴火の予兆は捉えられなかった。
 噴火予知の難しさが浮き彫りになったと言えよう。
 気象庁は今月上旬から、やや活発な地震動を観測していたが、過去の噴火データが乏しく、噴火につながると判断できなかった。噴火の明確な前兆となる地殻変動なども探知されなかった。監視体制の再点検が求められる。
 日本は火山国なのに、監視に必要な予算や人材が不足しているとの指摘がある。充実した観測体制は、鹿児島県の桜島や長野・群馬県境の浅間山などに限られる。
 8月に鹿児島県の口永良部島で新岳が噴火した際には、前兆を察知できなかった。噴火活動が続く小笠原諸島の西之島は、常時の観測さえしていない。
 最近は、中高年の登山ブームもあり、登山客でにぎわう火山は多い。周辺には温泉など有名観光地もある。万一の事態があることも忘れてはならない。


毎日新聞 2014年09月28日 02時32分
社説:御嶽山噴火 被害者救援に全力を
 日本が火山国であることを改めて見せつけられる事態となった。
 長野、岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)が噴火した。国土交通省が設置したカメラの映像では、南側斜面を噴煙が3キロ以上も流れ下っている様子が観測された。御嶽山は紅葉シーズンも始まり多くの登山客がいたが、突然の噴火に巻き込まれて火山灰に埋もれるなど、多数の人的被害が生じた。
 山頂付近や山小屋にはけが人や取り残された人も多数いる。政府は、火山活動を注視しつつ、両県とも連携し、被害状況把握と救援活動に全力を尽くしてほしい。
 御嶽山が噴火したのは2007年の小規模噴火以来7年ぶりだ。気象庁は5段階ある噴火警戒レベルを、火口内の立ち入りを規制する1(平常)から登山の禁止や危険地域への立ち入りを規制する3(入山規制)に引き上げた。今の規模の噴火活動が数カ月続くことも考えられ、火口から4キロ程度の範囲では噴火に伴う大きな噴石の飛散にも警戒がいるという。また、噴火に伴って生じた衝撃波が空気を伝わる「空振」で窓ガラスが割れたりすることがある。やはり、十分な注意が必要だ。
 御嶽山は1979年10月、有史以来初めてとなる噴火を起こした。その際には、火山灰が前橋市付近まで到達し、山麓(さんろく)では降り積もった火山灰により農作物への被害が出た。
 今回も、これからの噴火活動や気象条件により、火山灰の影響が広範囲に及ぶ恐れがある。わずかな降灰でも、道路が滑りやすくなったり、標識が見にくくなったりする。大量の降灰と降雨などが重なれば、土砂災害の危険も生じる。気象庁などによる迅速な情報提供が重要だ。
 日本列島には北から南まで110の活火山がある。このうち、頻繁に噴火活動を繰り返したり、火山活動の高まりが見られたりする47火山は、気象庁が大学や自治体などと連携し、常時監視体制を敷いている。
 御嶽山もその一つだ。今月10日から体に感じない火山性地震が増え、気象庁は16日に火山活動がやや活発になっていると発表したものの、噴火警戒レベルは引き上げなかった。地震回数が減り、GPS(全地球測位システム)観測などにも変化はなかったためだ。
 結果として気象庁の対応は後手に回ったが、噴火予知の難しさを示したと言える。
 00年3月の有珠山(北海道)噴火では、地震活動が活発化したことを受け、噴火2日前に自治体が住民に避難指示を発令したが、11年1月の霧島山系・新燃岳の噴火では、事前予知ができなかった。こうした経緯を教訓に、噴火警報の在り方や活火山の監視・観測体制の見直しについて、今後、検討を重ねてほしい。


産経新聞 2014.9.28 05:02
【主張】御嶽山噴火 被害拡大防ぎ観測強化を
 長野・岐阜県境の御嶽山が噴火した。
 国土交通省中部地方整備局のカメラが、南側の斜面を這(は)うように噴煙が流れ下る噴火時の状況をとらえている。
 この噴煙や降灰に登山者らが巻き込まれ、多くの被害が生じた。
 安倍晋三首相は登山者の救助や安全確保を最優先に、状況の把握を急ぐよう指示した。
 今後の火山活動にも十分注意しながら、降灰による農作物への被害なども拡大しないよう総合的な対策を講じるべきだ。
 登山者にとって、今回の御嶽山の活動は「突然の噴火」であったに違いない。気象庁が御嶽山の警戒レベルを「平常」の1から「入山規制」の3に引き上げたのは、噴火から約40分が過ぎた27日午後0時半過ぎである。
 気象庁によると、御嶽山では今月10日ごろから火山性の地震が増加し、今後の火山活動の推移に注意するよう呼びかけていた。
 噴火の直前には、火山性微動とよばれるマグマの動きに伴う現象も観測されている。
 ただし、これらの現象が必ず噴火に結びつくわけではなく、気象庁は「噴火の予測は難しかった」としている。
 日本は地震や火山噴火の多発国であり、台風の接近や前線の活動に伴う風水害も多い。
 観測技術の向上により、自然災害の予測がある程度可能になった分野もある。しかし、全ての災害を予測し、リスクを回避することは不可能だ。
 竜巻や落雷、地震・津波などの自然災害に突然、巻き込まれる可能性は、日本列島のどこにいてもあることを、改めて認識する必要がある。
 山に登るときは山のリスクと、海に行くときは海の危険と向き合う。起こり得る災害を正しく恐れ、自然と共存する道を探ることが大切だ。
 噴火に備えるためには、火山を知らなければならない。御嶽山噴火を機に、火山観測の重要性を再認識したい。
 御嶽山のような活動的な火山であっても、一定規模の大きな噴火が起きるのはまれだ。火山学は、平常時の地道な観測と、噴火前後の大きな変化を比較、検証することによって前進する。
 政府としても、火山の観測と研究を支えるべきである。


信濃毎日新聞 2014年09月28日(日)
社説:御岳山噴火 見据えよう 火山の危険
「空が真っ暗になった」「息苦しいほど火山灰が降った」…。
 登山者らの証言に、火山の怖さをあらためて思い知らされる。
 御岳山が噴火し登山者らがけがをした。意識不明の人もいるようだ。人の被害の全容はまだはっきりしない。
 県内で火山の噴火により死傷者が出たのは、1947年8月、浅間山で登山者9人が死亡したケースがある。
 秋の登山シーズンだ。きのうは好天にも恵まれ大勢が山頂を目指していた。山中で孤立している人がいないか、心配だ。
 噴火がいつまで続くか分からない。観光や農業への影響も懸念される。国、県は地元市町村の支援を十分にしてもらいたい。
 日本は世界有数の火山国だ。活火山は110を数える。
 気象庁は国内の火山を過去の噴火頻度や規模などに応じてABCの3ランクに分けている。県内の火山では、浅間山が最も危険なA、御岳はBランクだ。
 御岳は1979年にも爆発を起こしている。気象庁が常時監視の対象にしている国内47の火山の一つである。気象庁によると、今月中旬から火山性微動が増える傾向が観測されてはいたものの、ほかに特段の兆候はなく、「噴火の予測は困難だった」という。
 火山の噴火は地震に比べれば兆しをつかみやすいといわれ、予知の努力が重ねられている。
 例えば2000年に北海道の有珠山が爆発したときは、各種の観測データから噴火が切迫していると判断。2日前の指示で住民ら1万6千人を避難させ死傷者が出る事態を防いだ。09年2月には浅間山で、警戒レベルを引き上げた翌日に噴火が起きている。
 問題は、手厚い観測態勢がとれる火山が一部でしかないことだ。全国の国立大学で研究に携わる研究者は40人ほどしかいない。態勢の強化が急務だ。
 火山活動が地震と連動する可能性が指摘されている。30年以内にマグニチュード(M)8~9クラスの地震が起きる確率が70%程度と見込まれる南海トラフ地震との関連が気になる。
 今度の噴火は原発の今後にも新たな問題を投げ掛けている。九州電力川内原発の周辺には巨大なカルデラを持つ火山がある。噴火の危険を踏まえれば、ゴーサインには慎重であるべきだ。
 噴火を止めることはできないが被害を少なくすることはできる。危険を侮らず謙虚に向き合って、備えの強化に努めたい。

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朝日新聞 2014年9月28日05時00分
(時時刻刻)御嶽山噴火、予知は困難 微動観測から12分後
噴煙 27日午前11時55分=長野県王滝村から、中部地方整備局提供
 突然起きた御嶽山の噴火。半月前から山頂付近での地震活動が活発化したが、ほかに噴火の前兆はなく、予知は困難だったと気象庁や専門家は説明する。今回の噴火で何が起こったのか、噴火はいつまで続くのか。
 御嶽山の噴火は、27日午前11時53分。気象庁が火山性微動を観測した12分後で、突然だった。
 2007年の小規模噴火後は静かな状態だった御嶽山は、今年9月に入って地震活動が活発化した。9日に10回、10日は52回、11日には85回に増えた。気象庁はこれを受け、活動が活発化したことを自治体などに情報提供していた。
 しかし、12日以降は、地震が3~27回に減り、噴火警戒レベルは「レベル1(平常)」にとどめていた。北川貞之火山課長は、「地震の回数は減っており、噴火の可能性が高まったと判断することは難しかった」と話す。御嶽山は、気象庁が常時監視しているとはいえ、設置された観測機器は限られている。
 産業技術総合研究所の中野俊・上級主任研究員は「火山性地震という予兆はとらえていたが、噴火に結びつかないケースもあり、レベルを上げる判断は難しい」と話した。
 山頂から南に6・3キロにある国土交通省のカメラが南側の斜面に流れ下りる噴煙をとらえた。距離は少なくとも3キロに達した。これは火山噴出物と火山ガスが混ざって流れ下る火砕流なのか。
 気象庁は、火砕流と断言していないが、火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「映像から判断すると火砕流と考えていい」と話す。静岡大の小山真人教授も「一方向に流れ、3~4キロぐらいまで達したことから火砕流ではないか」と指摘する。
 ■「水蒸気爆発」の可能性 マグマが地下水加熱、少ない前兆
 今回の噴火について、複数の火山学者は予兆をつかむことが難しい「水蒸気爆発」が起きたと指摘する。
 噴火は大きく分けて、マグマが直接噴出する「マグマ爆発」と、地下水がマグマに熱せられて起こる「水蒸気爆発」がある。
 マグマ爆発は、上昇するマグマの動きによって、山が膨張したり、小規模な地震が起きたりする。マグマが地表に出た近年の噴火には、火砕流が発生した1991年の雲仙普賢岳(長崎県)や溶岩流が流れ下った1983年の三宅島(東京都)などがある。
 一方、水蒸気爆発は、マグマそのものの動きは小さく、すでに山にある物質を吹き飛ばす。1995年の焼岳(長野・岐阜県境)などの例がある。
 今回は、山の膨張などは観測されていなかった。
 御嶽山を長年研究する三宅康幸・信州大教授によると、79年以降にあった複数の噴火は全て水蒸気爆発だったという。「噴出物を詳しく調べないと分からないが、前兆が無かったことから見ても水蒸気爆発ではないか」と指摘する。
 現地入りした金子隆之・東京大地震研助教は「火山灰がごま粒状にくっついており、水気の多い噴火ではないか」と話した。
 気象庁は終息まで数カ月に及ぶ可能性も指摘する。山岡耕春・名古屋大教授は「今後1~2週間は断続的に続くだろう」と話した。
 ■観測蓄積乏しく
 宇井忠英・北海道大学名誉教授(火山地質学)の話 1979年の噴火に非常によく似ている。
 当時の噴火も小規模で、観測の蓄積もほとんど無いに等しい。データが豊富な有珠山では4日前から明瞭な兆候を観測して予知できたが、他の火山では通用しにくい。観測態勢の充実は理想だが、一足飛びにはいかない。予知の難しさ、被害の縮小に生かす難しさを、目の当たりにした。
 周辺に住民がいない御嶽山で難しいのが登山者の対応で、活火山だと意識してもらう必要がある。まだ、火山性微動が続いており、注意深く見守りたい。


朝日新聞 2014年9月28日05時00分
火山列島、急襲 御嶽山噴火、地元は備え途上
国内の活火山の分布/御嶽山の過去の火山活動

 警戒の間もなく、「予想外」の噴火をした御嶽山。110の活火山がある日本列島は、同様の突然の噴火のリスクを常に抱えている。一度発生すれば大きな被害をもたらす火山災害だが、他の災害に比べて国や自治体の対策は遅れている。
 「噴火があまりなく、火口がどこにできるかによっても危険地区が変わる」。御嶽山の防災対策を担当する国土交通省多治見砂防国道事務所(岐阜県)の担当者は27日、火山対策の難しさを語った。
 御嶽山では近年、1979年、91年、2007年と噴火があった。地元では火山への防災対策に取り組んできた。長野、岐阜両県はそれぞれ、噴火に備えた防災協議会を地元自治体などと07年までに設置。同事務所も11年、両県などと「御嶽山火山噴火緊急減災対策砂防計画」を策定した。噴火で発生する土石流を防ぐハード面の対策や訓練の実施が盛り込まれた。だが、未定の部分が多く、年1回ほど開く会議で詳細を検討中だった。
 ふもとの長野県木曽町は地域防災計画で「火山灰が降った場合はマスクやタオルで口をおおって避難する」など噴火対策も盛り込んでいる。噴火を想定した避難訓練も79年の噴火を機に一時実施。ただ、最近は途絶えていたという。
 11日、長野地方気象台は「御嶽山で地震が続いている」と長野県木曽地方事務所に伝えていた。ただ、その後は落ち着いていたため、事務所は「注視」という判断にとどめていた。気象庁が示す噴火警戒レベルも「平常」の「レベル1」だった。
 「レベル2」以上になると、登山者は火口周辺への立ち入りが規制される。ところが27日、御嶽山が噴火。事務所の担当者は「兆候がなかったため予想できず、検討会議を開くこともできなかった」と語った。
 ■避難計画完備7火山のみ
 火山災害への備えは全国でも遅れている。
 1973年施行の「活動火山対策特別措置法」は、農林水産業の被害を防ぐ計画や救助態勢づくりなどを定めるが、具体的な避難計画の策定は強く求めていなかった。国が活火山の周辺市町村に避難路や避難場所を明示する計画作りや、都道府県などと防災協議会を設けることを求めたのは、2011年12月になってからだった。
 火山災害を強く意識する自治体は、備えを強めている。鹿児島市の桜島では09年から昭和火口の活動が本格化し、昨年8月には5千メートルの噴煙が観測された。市は、警戒レベルが5になれば約5千人の全島住民に避難勧告を出し、フェリーで逃がす計画を立てている。
 富士山の噴火に備え、山梨、静岡、神奈川3県や国は今年2月、広域避難計画をまとめた。1707年の「宝永噴火」と同規模の噴火が起きると、火山灰による住宅倒壊の恐れから住民47万人が避難する必要があり、南関東全域で2センチほどの降灰があると想定。溶岩流が静岡県側に流れた場合は最悪で住民23万8千人の避難も必要とした。
 だが、内閣府の今年3月末のまとめでは、国内110活火山で特に監視強化が求められている47火山のうち、周辺市町村の避難計画がそろっているのは7火山のみ。1市町村も作っていない活火山も32あった。計130市町村のうち、計画策定は20市町村にとどまる。防災協議会を設けていない活火山も14あった。
 防災協議会設置が進まない理由として、複数の自治体は、大規模な噴火が近年起きていないことや、他の災害対策を優先していることを挙げる。国の有識者会議は昨年5月、防災態勢の整備と火山監視・研究を強化する法整備が必要と指摘した。火山の防災対策に詳しい荒牧重雄・東京大学名誉教授は「火山災害は他の災害より発生確率が低いため、国も自治体も対策を後回しにしている。全国的に対策を進めるため、火山ごとに精通する専門家も増やす必要がある」と話す。
 ■国内110活火山 監視は手薄
 地球表面のプレートとプレートがぶつかりあう日本は「火山列島」だ。海側のプレートが陸のプレートの下に沈み込み、地下でマグマがつくられる。その出口が火山だ。気象庁は過去1万年以内に噴火した火山などを「活火山」と定義し、日本には北方領土から海底を含めて110ある。世界の約7%を占めるといわれる。
 これまで国内の火山災害では多くの犠牲者が出た。1792年の雲仙岳(長崎県)では、地震や岩のなだれ、津波で約1万5千人の死者が出たとされる。1914年の桜島(鹿児島県)の大噴火で約60人、26年の十勝岳(北海道)噴火では、死者、泥流による不明者が計144人に上った。91、93年には、雲仙・普賢岳の噴火で火砕流が発生し、行方不明者を含めて計44人が犠牲になった。
 国は対策として、60年代に一部の火山で常時観測、65年に火山情報の発表を始めた。74年から火山噴火予知計画が始まり、火山噴火予知連絡会も発足。2007年には気象庁が噴火警報を出すことにした。現在、気象庁は御嶽山を含む主要47火山を24時間態勢で監視している。
 予知に成功した代表例が、00年3月の有珠山(北海道)の噴火。地震などの異常を読み取り、住民約1万5千人が避難し、人的被害は出なかった。
 ただ、噴火のタイプや前兆となる地震の起き方は火山によっても違い、予知には限界がある。個々の火山ごとに特徴を熟知した専門家の存在が欠かせないが、国内の大学にいる火山研究者は「40人学級」といわれるほど少ない。
 観測態勢の強化も課題だ。11年1月、本格的にマグマ噴火した宮崎、鹿児島の県境にある新燃(しんもえ)岳の場合、噴出物の量は2日間だけで数千万トンにのぼるとみられた。この時は噴火が切迫している兆候をとらえきれなかったとの指摘がある。
 火山予知連会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授は「(主な47の)活火山でも手厚い観測態勢があるのは半数に満たない」という。
 ■国内の主な火山噴火と災害 
1707年 富士山/江戸にも降灰(宝永噴火) 
1783  浅間山/死者1151人、江戸でも降灰(天明噴火) 
1792  雲仙岳/地震で眉山が大崩落し津波。死者約1万5千人 
1914  桜島/仙台まで降灰。死者約60人(大正大噴火) 
1926  十勝岳/死者・行方不明合わせ144人 
1930  浅間山/火口付近で死者6人 
1940  三宅島/大量の火山灰、死者11人 
1947  浅間山/降灰や山火事が発生。登山者9人死亡 
1958  阿蘇山/死者12人 
1977  有珠山/大噴火。翌年に泥流で死者2人、行方不明1人 
1979  阿蘇山/死者3人 
1986  伊豆大島/全島民1万人が島外避難 
1991  雲仙・普賢岳/溶岩ドームの崩落で火砕流。93年の火砕流と合わせ44人犠牲 
1995  焼岳/トンネル工事現場で水蒸気爆発 
2000  有珠山/住民が多数避難 
2000  三宅島/ガスが大量発生、全島避難 
2011  霧島山/新燃岳で噴火 
 

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テーマ : 政治・時事問題
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