2014-09-30(Tue)

首相所信表明 臨時国会開幕 (2)

言及せずは不誠実だ 意気込みより具体策を 掛け声ばかりが目立つ 論戦から逃避許されぬ 

<各紙社説・論説>
北海道新聞)首相所信表明 意気込みより具体策を
東奥日報)説明を尽くし、議論深めよ/臨時国会召集(9/30)
岩手日報)首相の所信表明 「1強」の弊害がにじむ(9/30)
福島民友新聞)臨時国会スタート/緊張感もち徹底的な論戦を(9/30)
茨城新聞)所信表明演説 言及せずは不誠実だ(9/30)
神奈川新聞)臨時国会スタート 時勢を踏まえた論戦を(9/30)
新潟日報)臨時国会開幕 「地方創生」の輪郭を示せ(9/30)
信濃毎日新聞)所信表明演説 掛け声ばかりが目立つ(9/30)
京都新聞)臨時国会召集  論戦から逃避許されぬ(9/30)




以下引用

北海道新聞 (2014/09/30)
社説:首相所信表明 意気込みより具体策を
 臨時国会がきのう開幕した。
 安倍晋三首相は所信表明演説で「地方の豊かな個性を生かす」「女性に活躍の舞台を用意する」として、地方創生と女性の活躍を今国会の2大テーマに位置づけた。
 問われるのは政策の中身である。強い意気込みの割には具体策が伴っていない。
 与野党の対決構図や霞が関の官僚の論理で動くのではなく、地方の実情や国民生活に目を向けて、的確な政策を打ち出してほしい。
 演説で首相は根室産サンマをベトナムに輸出する地元の取り組みを紹介した。「地方もオープンな世界へ目を向けるべき時だ」として、環太平洋連携協定(TPP)などの経済連携推進を訴えた。
 根室の努力はたたえたい。だが首相はこれを自らの政策を正当化する手段に使っていないか。
 ほかにも全国各地の例を取り上げたが、順調な地方自治体は多くはない。大半は地域経済の低迷や人口減少、高齢化など、さまざまな制約に悩まされている。
 地方には自由度の高い交付金を望む声が強いが、安倍政権は「ばらまきになる」として否定的だ。中央省庁が地方の事業を「査定」する発想は変わっていない。
 民主党政権が取り組んだ国の出先機関の地方移管も進まない。カネと権限の両方で足かせをはめながら、地方に個性発揮を求めるのは身勝手というものだ。
 来年の統一地方選をにらんでの地方重視だろう。だが福島県の汚染土を保管する中間貯蔵施設建設や沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題から見えるのは、地元に負担ばかり強いる安倍政権の姿だ。
 女性の活躍でも、米国のヒラリー・クリントン前国務長官との会談を自賛するなどパフォーマンスが先行する。上場企業に女性役員数の情報公開を義務づけると述べたが、いかにも上から目線だ。
 待機児童の解消や夫が育児参加できる環境づくりなどで、着実に実績を積み重ねることが大事だ。
 消費税再増税の判断や集団的自衛権の行使容認に関する法整備、原発再稼働などには深入りを避けた。「地方」や「女性」で目先を変え、国民生活に関わる重要政策から逃げてはならない。
 外交政策も説明不足だ。北朝鮮による拉致被害者帰国の見通しは不透明さを増している。中国、韓国との関係改善も、首相が歴史認識などの政治姿勢を変えない中でどこまで進むか見えてこない。
 国会論戦ではこうした政策の方向性を明示してもらいたい。


東奥日報 2014年9月30日(火)
社説:説明を尽くし、議論深めよ/臨時国会召集
 臨時国会が召集された。会期は11月30日までの63日間で、第2次安倍改造内閣発足後初めて与野党の本格論戦が繰り広げられる。
 安倍首相の「1強体制」と対峙(たいじ)し、「多弱」と言われる野党が存在意義を示せるのか。国政の行方を占う場にもなろう。
 政府は、来春の統一地方選をにらみ、今国会を「地方創生国会」と位置付けている。集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障関連の法整備は来年の通常国会に先送りし、「安全運転」に徹する方針だ。
 首相は所信表明演説で、「地方創生」と「女性が輝く社会」を前面に打ち出した。有効求人倍率の改善や賃金上昇をアベノミクスの成果として強調した上で、デフレ脱却を目指し、「経済最優先」で政権運営に当たる決意を示した。
 一方、集団的自衛権の行使容認の必要性や来年10月に予定する消費税率10%への再増税についてはわずかに触れた程度だった。
 世論の賛否が分かれる重要政策についての言及を抑え、自身の求心力を維持しようという思惑がうかがえる。ただ、安全保障政策の在り方や消費税再増税の判断は、国民生活に深く関わるテーマである。極めて物足りない印象だ。今後の論戦で丁寧に説明を尽くし、議論を深めるべきだ。
 集団的自衛権の行使を容認した7月の閣議決定について、首相は年末までの日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定に間に合わせるのが理想と述べていた。だが、ここに来て、政府は改定時期を年明け以降に先送りする方向で調整に入ったという。
 国会の審議や国民の理解も不十分のまま、なぜ閣議決定を急いだのか。首相には、与党協議や閣議決定に至る経緯などを、安保関連の法整備の準備状況とともに説明する責任がある。
 消費税増税から半年になる。円安が進行し、アベノミクスの副作用が目立ち始めた。潤うのは大企業や資産家で、地方経済、とりわけ中小企業や家計の負担は重くなるばかりだ。
 首相は演説で燃料費の高騰や今夏の天候不順などによる景気への影響に目配りする必要性に触れたが、それ以上踏み込まなかった。再増税の判断は閉会後とされる。アベノミクスの功罪も含め再増税の是非について議論を深めるべきだ。
 臨時国会の主要テーマ「地方創生」をめぐっては、さまざまな取り組みが示されたものの、関連法案の具体的な説明はなかった。スローガン倒れにならないのか、政策の実効性をつぶさに点検する必要がある。
 野党は、執行部を一新した民主党がアベノミクスや原発再稼働問題などを追及し、攻勢に転じる構えだ。日本維新の会と結いの党が結成した新党「維新の党」も存在感発揮を狙う。
 「多弱」に終止符を打つために、各党には可能な範囲から連携を広げていく忍耐力が欠かせない。
 代表質問は30日から始まる。野党は安倍政権の政策への対案を明確に示し、徹底論戦を挑んでほしい。


岩手日報(2014.9.30)
論説:首相の所信表明 「1強」の弊害がにじむ
 6月下旬に通常国会を閉じてから、約3カ月ぶりとなる臨時国会が召集された。「1強多弱」の功か罪か、先の国会で「言論の府」と呼ぶにふさわしい論戦の印象は薄い。野党にとっては存在意義が問われる国会とも言える。
 閉会中、安倍晋三首相は内閣改造と自民党執行部人事を行った。野党第1党民主も幹部の顔触れを一新。日本維新の会は維新の党と次世代の党に分かれるなど、それぞれ新たな布陣で臨む。論戦は新閣僚の資質と同時に野党の力量も浮かび上がらせるだろう。
 安倍首相は所信表明で、今国会を「地方創生国会」と位置付け、地域活性化と人口減対策に取り組むとともに「女性の活躍」を経済成長の原動力とする考えを示した。目指すところは、大筋で野党側も異論あるまい。勢い、与野党対決型の法案は少ない。
 10月に福島県知事選、11月は沖縄県知事選と、来年の統一地方選の前哨戦となる重要な選挙が続く。会期後は消費税を来年10月に10%へ引き上げる再増税の可否判断も控える。安倍首相が、殊更に「安全運転」を意識しているのは想像に難くない。
 同首相は消費税再増税の是非には触れず、集団的自衛権行使容認の閣議決定を踏まえた安全保障法制の整備についても「準備を進めている」とさらり。原発再稼働推進の方針と合わせ、世論調査ではいずれも反対や慎重意見が多い政治テーマだ。
 2020年東京五輪へ環境整備が進む一方、今回触れずじまいだった東京電力福島第1原発事故は廃炉作業や汚染水対策が進まない。被災地は資材の高騰や人材難などに頭を痛める状況が続く。庶民の関心の所在を直視せず、語りたいところだけを語る姿勢には「1強」の弊害がにじむ。
 その面で、野党の「多弱」は望ましいことではない。年末には衆院任期が折り返しを迎え、解散総選挙の時期も取りざたされ始めた。選挙協力の行方も絡み、巨大与党に対抗する共闘態勢の構築へ、いよいよ野党は正念場だ。
 国会が閉会の間、東日本大震災と原発事故の被災地は言うに及ばず、全国各地を襲った豪雨や頻発する地震、さらに御嶽山噴火など自然の猛威に国民生活が脅かされる事案が次々発生。「限定的」とはいえ集団的自衛権行使容認の閣議決定で、中東などでの同盟国米国の軍事行動も従前に増して気に掛かる。
 先の通常国会で、自民、公明と民主、日本維新の会の4党は首相の委員会出席軽減や月1回の党首討論開催などを柱とする国会改革で合意。11月末が会期末の今国会では2回程度の開催が見込まれる。国家と国民の安全と安心へ、活発な議論を期待したい。


福島民友新聞 (2014年9月30日付)
社説:臨時国会スタート/緊張感もち徹底的な論戦を
 第2次安倍改造内閣が発足してから初の与野党論戦の場となる臨時国会が召集された。
 政府、与党は来年春の統一地方選をにらんで「地方創生」と「女性の活躍推進」を前面に打ち出し、関連法案の早期成立を目指す。会期は11月30日までの約2カ月間。政策を徹底的に話し合う「議論する」国会にするよう望みたい。
 安倍晋三首相は、臨時国会を「地方創生国会」と位置付け、人口減少対策の理念などを明記した「まち・ひと・しごと創生法案」や、国の各種地域支援策の申請窓口を一元化する地域再生法改正案などの成立を急ぐ。
 また、女性幹部登用の目標設定などを国や地方自治体、企業に求める女性活躍推進法案も重視する。首相は国会論戦を通じ、政権が成長戦略の柱に据える「女性の輝く社会実現」に向けた機運を高め、世論の支持を得たい意向だ。しかし、目玉政策である地方創生、女性施策とも「特効薬」はない。あらゆる知恵を出し合い、より実効性のある政策を講じることが必要だ。
 首相は所信表明演説で、安全保障法制や来年10月に予定する消費税率の10%への再引き上げなど賛否が割れる重要政策への言及を抑えた。
 統一地方選を念頭に腰を低くし堅実な構えの政府、与党に対して、野党側はいまだ共闘できる態勢になっていない。野党がそれぞれ奮起することは重要だが、この国会では各党バラバラで結果的に安倍政権の「1強」状態を許す「多弱」に終止符を打つことが求められる。野党は政策の対立軸を示し、緊張感のある論戦を尽くすべきだ。
 東日本大震災と原発事故からの復興について首相は、川内村の避難指示解除や除染の加速化に触れながら、一日も早い本県の再生を成し遂げると強調、被災者の「心」の復興にも力を入れる考えを示した。
 しかし、昨年10月の所信表明演説で「国が前面に立って取り組む」と決意を表明した原発の廃炉・汚染水問題について、今回は言及がなかった。汚染水対策が思うように進んでいない現状をどうするつもりなのか。説明しなければならないはずだ。
 首相は2020年の東京オリンピック・パラリンピックを「復興五輪」とし「復興を成し遂げた東北の街並みを背に、三陸海岸から仙台湾を通り、福島の浜通りへと、聖火ランナーが走る姿を世界に発信しよう」と呼び掛けた。その実現のためには、まず汚染水問題を解決し、廃炉作業を確実に進める必要があることを肝に銘じてほしい。


茨城新聞 2014年9月30日(火)
【論説】所信表明演説 言及せずは不誠実だ
詳しく触れられなかった問題にこそ注目すべきだろう。
 安倍晋三首相は所信表明演説で、「地方創生」と「女性が輝く社会」を臨時国会の主要テーマと位置付け、さまざまな取り組みを紹介。また有効求人倍率の改善や賃金上昇をアベノミクスの成果として強調、今後も「経済最優先」で政権運営に当たっていくと表明した。
 一方、閣議決定による憲法解釈変更で行使を容認した集団的自衛権や来年10月に予定する消費税率の10%への再引き上げなど世論に批判がある問題についてはほとんど言及しなかった。不誠実と言わざるを得ない。
 所信表明演説であれ、通常国会で行われる施政方針演説であれ、首相が述べる対象は国政全般である。
 そもそも集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障関連法整備、消費税の再増税判断はともに内閣の能動的な判断によってなされる課題だ。
 この演説で首相は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に絡んで民主党政権を「裏付けのない『言葉』だけの政治」として批判。自らは「『言葉』ではなく、実際の『行動』で、負担軽減に取り組む」と強調した。
 しかし、民主主義には行動とともに言葉が必要不可欠である。今後の審議で「所信」を明らかにすべきだ。
 集団的自衛権の行使容認について首相は「いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜く。その決意の下、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を進める」と述べるにとどめた。
 行使容認を踏まえた安保関連法案の提出、審議は来年の通常国会に先送りしたが、憲法解釈を変更した閣議決定は今年7月に行われている。本格的な国会はこの臨時国会が初めてだ。与党協議をはじめ閣議決定に至る経緯、安保関連法整備の準備状況をこの演説で説明する責任があったはずだ。
 また、「積極的平和主義」を掲げ、「世界の平和と安定にこれまで以上に貢献する」としながらイラクやシリアで勢力を広げる過激派「イスラム国」の問題にどう関わるかも明らかにしなかった。
 今年年末に判断する消費税増税に関しても直接的な言及はない。経済対策に関連して「消費税率引き上げや、燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気への影響にも、慎重に目配りしていくことが必要」「経済再生と財政再建を両立させながら、『経済の好循環』を確かなものとする」などと述べており、再増税に慎重姿勢のようにも受け取れる。しかし、それ以上の踏み込んだ説明はない。
 また東京電力福島第1原発事故自体に関する言及がなくなったことも気になる。第2次安倍内閣発足後の昨年2月の通常国会の施政方針演説では「事故の反省に立ち、原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める新たな安全文化を創り上げます」と「反省」という言葉まで使って安全性確保への意欲を示していた。
 その後の演説でも、「廃炉・汚染水対策」は国が前面に立つことを強調していたが、今回、ついに触れなかった。
 廃炉作業や汚染水対策が思うように進んでいない状況をどうするつもりなのか、国民に説明しなければならないはずだ。

【神奈川新聞】2014.09.30 08:31:00
【社説】臨時国会スタート 時勢を踏まえた論戦を
 臨時国会が29日、召集された。第2次安倍改造内閣発足後、初の与野党論戦の場であり、政府、与党は地方創生と女性の活躍推進を最重点に掲げる。一方で、消費税率引き上げ判断、原発再稼働、安全保障政策など来春の統一地方選とそれ以降の政治日程を見据え、提出法案以外に重要課題が山積する局面である。
 年をまたぎ足元の問題への対応とともに日本の将来を形づくる上で極めて重要な時期といえよう。国会は「1強多弱」の構図が続く見込みだが、与野党は時勢をとらえ大局的な議論を戦わせてもらいたい。
 安倍晋三首相は所信表明演説で、人口減少を克服し経済再生を図るための「地方創生」に全力を挙げる方針を強調した。真価が問われるのは、金融緩和、財政出動、成長戦略を柱とした経済政策「アベノミクス」が今後、日本全体の実体経済に浸透していくかどうかである。
 安倍首相は若者が地方都市で定住できる町づくりを後押しする考えを打ち出した。地方の低迷に歯止めをかけるために特に重要なのは、地域資源の産業化促進と、それに伴う新たな雇用の場の創出といえよう。
 「均衡ある発展」が立ち行かなくなっている状況を直視し、地方の魅力とは何か、前例踏襲から脱却した施策展開こそ必要だ。その際、東京集中との整合性が問われよう。
 地方選をにらみ政策の即効性を重視するあまり、従来の「ばらまき」、不要不急な公共事業による一時的な就労機会の提供に陥ることがあってはならない。女性支援策のあり方も同様だが、求められる施策は現場、当事者にとって有効な施策展開、環境整備にほかならない。実効性がなければ「人口1億人の維持」も絵に描いた餅となろう。
 先に閣議決定した集団的自衛権行使容認をめぐり、安倍首相は「切れ目ない対応を可能とする安保法制整備へ向けた準備推進」と従来の考えを示すにとどまり、新たな安保像には踏み込まなかった。関連法案の国会提出は来年の通常国会に先送りされるが、野党は国会の場で問題点を明確にする責務を認識すべきだ。
 会期中には米軍普天間飛行場の辺野古移設を争点にした沖縄県知事選や、7~9月期の国内総生産(GDP)速報値公表も予定されている。中東情勢は不穏な先行きだ。国内外の情勢を考慮し、議論のテーマはできる限り幅広に捉えてほしい。

新潟日報 2014/09/30 08:57
社説:臨時国会開幕 「地方創生」の輪郭を示せ
 重要課題がめじろ押しである。安倍政権にとっては、正念場ともいえよう。真剣で活発な与野党の論戦を望みたい。
 第2次安倍改造内閣が発足してから初の国会となる第187臨時国会が召集され、安倍晋三首相が所信表明演説を行い、基本姿勢を明らかにした。
安倍首相は経済最優先で政権運営をすると強調し、目玉政策として「地方創生」と「女性の活躍」を掲げた。これが成長の原動力になると力説している。
 二つの目標に異論を挟む人は、少ないだろう。肝心なのは成果を上げるための具体策を、きちんと示すことである。
 本県も深刻だが、地方の人口減少は加速している。出生率の向上や地方で働き、家庭を築く若者の増加が急務なのだ。
 安倍氏は若者が魅力を感じる街づくりを進めるために「まち・ひと・しごと創生本部」を創設し、これまでと次元の違う大胆な政策を実行していくと約束した。
 全国各地の取り組みなどのエピソードを紹介していたが、地方創生関連法案の輪郭は、はっきりしていない。今後の論戦で丁寧に説明すべきだ。
 女性の政策については、ヒラリー・クリントン前米国務長官がエールを送ったと述べ、「女性が輝く社会」を目指すとした。
 言葉だけが躍っているのでは、来春の統一地方選向けのスローガンとみられよう。問われているのは、その実効性だ。
 また今国会で焦点となるのは、やはり7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障法制の整備だろう。
 安倍氏は、整備に向け「準備を進める」という表現にとどめた。世論の反発が強い政策は前面に出さず、「安全運転」を心掛けようという思惑もうかがえる。
 野党は対決色を打ち出して、行使容認について政権の姿勢をただしていくことが求められる。注目していきたい。
 さらに代表質問や審議の中で、消費税を10%に再引き上げするかどうかも野党は追及することになろう。国民の最大関心事だ。
 所信表明で、安倍氏はその判断には踏み込まなかった。12月に判断するというが、現段階での考えを示すべきではないか。
 アベノミクスの効果は津々浦々まで実感できていない。一方で財政再建は国際公約だ。各党には、増税に対する見解を明確にして論戦に臨むことが必要になろう。
 震災復興、原発の再稼働、沖縄の基地移転問題も取り上げられるはずだ。10月に福島県知事選、11月に沖縄県知事選を控え、新任大臣の答弁能力も試されよう。
 外交面では、北朝鮮が再調査している拉致問題の進展、日中関係改善のための首脳会談実現などが当面の主要課題だ。
 会期は11月30日までの約2か月間だが、多岐にわたるテーマが待ち受けている。腰を据えた議論を期待したい。
 「1強多弱」の構図を打破するためにも、野党は存在感を示さなければならない。


信濃毎日新聞 2014年09月30日(火)
社説:所信表明演説 掛け声ばかりが目立つ
 掛け声ばかりが目立ち、具体策が乏しい。こう感じた人も多かったのではないか。
 安倍晋三首相がきのう行った所信表明演説である。
 政府、与党はこんどの臨時国会に「地方創生国会」という大きな看板を掲げた。
 演説では、全国各地の地域活性化の成功例を実名を挙げながら、次々に紹介した。
 地方に自発的な取り組みを求める一方、首相は地方対策の司令塔となる地方創生本部を立ち上げたことを説明。「これまでとは次元の異なる大胆な政策を取りまとめ、実行する」と強調した。
 演説は今後への期待を抱かせることが中心で、政策の道筋や展望など具体性を欠いた。今国会のもう一つの目玉である女性の活躍の後押し策も同様だ。看板の大きさの割に中身は薄かった。
 少子高齢化が進む中、人やカネが一部の大都市に集中し、地方は衰退する。この流れを止め、地方を元気にする―。
 首相が訴えていることを大ざっぱに言うとこうなる。
 演説では「人口減少や超高齢化など、地方が直面する構造的な課題は深刻」との認識を示した。構造的とは複雑な要素が絡み合っていることを意味する。過去の政権も取り組んだが、目立った成果を出すことはできなかった。それほどの難しさがある。
 首相が本腰を入れる気があるならいいが、急に重要課題として持ち出したことが気になる。
 政府に自らをトップとする地方創生本部を新設すると表明したのは6月のことだ。その後の内閣改造では地方創生担当相を設け、地方を重視する姿勢を盛んにアピールするようになった。
 来年春には統一地方選がある。これに勝てば首相の長期政権が現実味を増す。演説では選挙や支持率への影響を意識してか、安全運転に配慮する姿勢が目立った。集団的自衛権の行使容認に伴う安全保障法制の具体的な中身や消費税率10%への再引き上げの判断には踏み込まなかった。
 いずれも国民生活に深く関わる問題だ。当面の政権運営に逆風になることを避けようとの考えだとしたら、不誠実である。
 首相は選挙のために「地方創生」という大風呂敷を広げてはいないか、実効性ある政策を打ち出すことができるか。冷静な目で政権の取り組みを見る必要がある。スローガンに終わることがないよう、野党は論戦で厳しく首相を追及してもらいたい。


[京都新聞 2014年09月30日掲載]
社説:臨時国会召集  論戦から逃避許されぬ
 臨時国会が召集された。6月末に通常国会が閉会してから3カ月ぶりに与野党の論戦が再開する。9月に発足した第2次安倍晋三改造内閣にとって初の国会となる。
 前の通常国会が終わるのを待つように安倍首相は、自衛隊の集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を閣議決定した。憲法改正を経ない重大な安全保障政策変更への不安は大きく、世論調査では8割を超す国民が議論が不十分だと考えている。
 休み中にわずか2日間だけ行われた衆参両院の予算委員会での集中審議で武力行使の歯止めについて議論が深まったとは思えない。武力行使の前面に立つ自衛隊員の生命の危険について、はぐらかした答弁を繰り返した安倍首相の姿が議論の生煮えを象徴している。
 集団的自衛権の行使に関する自衛隊法の改正案など安全保障関連法案の提出は、すでに年明け以降の通常国会に先送りする方針を決めている。今国会を無難、無事に終えたい意向が見え透いている。
 所信表明演説で安倍首相は、予想通りに地方創生と女性の活躍推進を打ち出した。自らの看板政策をひたすらアピールしたい姿勢だけが際立った。
 国民の関心が集まる消費税率再引き上げでも同じことがいえる。安倍首相は8%から10%への引き上げ判断を7~9月期の国内総生産(GDP)改定値発表後の12月初旬に行うと繰り返し、11月末までの国会会期中の議論を避ける姿勢でいる。国民生活に重大な影響を与えるテーマについての論戦から逃避することは許されない。
 今国会で議論すべきことは、ほかにもある。汚染水対策が後手に回る東京電力福島第1原発事故の迅速な処理、各地の原発再稼働の是非をどう判断するかも重要だ。広島市の土砂災害など頻発する異常としかいえない気象変化による災害、御嶽山(おんたけさん)の突然の噴火など侮ることのできない自然災害への国民の不安はいつになく大きい。
 しかし、11月までの会期は実質的に長くはない。10月にはイタリアでのアジア欧州会議、11月には中国・北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、豪州でのG20サミットなど安倍首相の外国出張が立て込んでいる。
 対する野党には工夫が必要になる。民主党は役員を大幅に入れ替えた。維新の党、次世代の党は初めて臨む国会となる。議論をどう組み立て、白熱化させるか。上滑りの国会審議に終われば、野党の存在意義まで問われかねない。

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