2014-10-05(Sun)

御嶽山噴火 戦後最悪の火山災害から1週間

47人死亡 新たに行方不明16人と長野県が発表

戦後最悪火山災害となった御嶽山の噴火から1週間です。
47人死亡のほか、行方不明者が16人いるらしい。4日夕方までに4人が発見された。

<各紙社説・論説・主張>
読売新聞)御嶽山惨事 火山情報の発信に工夫が要る(10/3)
毎日新聞)御嶽山の犠牲者 「戦後最悪」から教訓を(10/3)
東京新聞)火山災害 メッセージ見落とすな(10/3)
東奥日報)入山者への情報 迅速に/県内の火山噴火対策(10/4)
岩手日報)御嶽山噴火 「生きた火山」の認識を(10/1)
福島民友新聞)御嶽山の噴火/火山災害への備え強めたい(10/1)
神奈川新聞)御嶽山の噴火災害 火山のリスク共有図れ(10/4)
新潟日報)最悪の噴火災害 悲劇繰り返さぬ道探ろう(10/4)
信濃毎日新聞)不明なお16人 時間が過ぎゆくつらさ(10/4)
信濃毎日新聞)御嶽救助活動 二次災害にくれぐれも(10/2)
京都新聞)戦後最悪の噴火  御嶽山から教訓得たい(10/3)
神戸新聞)火山への備え/被害を減らす情報が要る(10/4)
山陽新聞)御嶽山噴火 火山リスクに向き合おう(10/1)
南日本新聞)[御嶽山噴火] 登山者を災害から守れ(10/3)




以下引用

NHK 10月4日 15時42分
御嶽山 計4人を心肺停止状態で発見
47人が死亡し、戦後最悪火山災害となった御嶽山の噴火から4日で1週間です。
長野県の対策本部は、4日朝からおよそ1000人の態勢で、行方が分からなくなっている16人の登山者の捜索を行い、新たに4人が心肺停止の状態で見つかりました。
4日の捜索は午後3時に終了し、5日は台風の状況を見ながら捜索を再開するかどうか判断することにしています。
先月27日の正午前に起きた御嶽山の噴火では、噴石が直撃するなどして47人が死亡し、69人が重軽傷を負いました。
これは43人が犠牲になった平成3年の長崎県・雲仙普賢岳の噴火を上回り、火山災害としては戦後最悪の被害となりました。
長野県の対策本部は3日、行方が分からない登山者が16人いると発表し、警察や自衛隊、消防は4日朝からおよそ1000人の態勢で捜索を行いました。
その結果、山頂付近の登山道から離れた斜面などで新たに4人が心肺停止の状態で見つかりました。
警察などは、4人をふもとに搬送し、身元などの確認を急いでいます。
4日の捜索は午後3時に終了し、警察や自衛隊、消防は下山を始めています。
長野地方気象台によりますと、御嶽山の周辺では早ければ5日の朝から雨が降り出し、6日には台風18号が近づくと予想されています。
対策本部は捜索隊の山頂付近までの往復の時間を考えて、7時間以内に雨が降る予報がある場合は捜索を行わないことにしていて、5日の捜索については台風の状況などを見ながら再開するかどうか判断することにしています。


NHK 10月3日 10時50分
御嶽山 行方不明16人と長野県が発表
47人が死亡し、戦後最悪火山災害となった御嶽山の噴火で、長野県は行方が分からない登山者が現時点で16人いることを明らかにしました。
警察や消防、自衛隊は現在、捜索を中止していますが、天候や火山活動の状況を見ながら再開する方針です。
長野県は3日午前10時半から会見し、災害対策本部の青柳郁生危機管理監が行方が分からない登山者が午前9時の時点で、16人いることを明らかにしました。
警察にはこれまでに安否が分からない人の情報が500件以上寄せられていたということですが、この中で登山届や登山口などの駐車場に止まっていた車、それに一緒に登っていた人や家族からの聞き取りなどを基に総合的に判断し、現在も16人が御嶽山にいる可能性が高いと説明しました。
そのうえで、この人数は今後も変動する可能性があるとしています。
一方、16人の名前については特定できているものの家族の要望などから公開を控えるとしています。
長野県の青柳危機管理監は「行方不明の皆様が一日も早くご家族のもとに帰れるよう全力を挙げて救助します」と述べました。
警察や消防、それに自衛隊は現在、捜索を中止していますが、天候や火山活動の状況を見ながら捜索を再開する方針で、登山道から離れた斜面などにも範囲を広げることにしています。

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読売新聞 2014年10月03日 01時13分
社説:御嶽山惨事 火山情報の発信に工夫が要る
 噴煙に巻き込まれたら逃げようにも逃げられない。火山の恐ろしさを改めて思い知る。
 御嶽山噴火戦後最悪火山災害となった。死者は、1991年、93年に計44人の死者・行方不明者を出した雲仙・普賢岳の火砕流を上回る。
 御嶽山は、日本百名山に数えられる人気の山だ。紅葉シーズンの週末、山頂に人が集まる昼食時間帯の噴火が被害を広げた。噴石が当たり、亡くなった人が多い。
 警察や陸上自衛隊、消防などが懸命の捜索を続けている。火山灰が積もり、有毒ガスも発生している。再噴火や、降雨による土石流の恐れもある。くれぐれも二次災害には注意してもらいたい。
 遭難者の安否情報は二転三転し、帰還を待ちわびる家族は振り回された。長野県の災害対策本部と県警、消防が連携を欠き、確認が不十分なまま、捜索状況が伝えられた結果だろう。
 国内には110の活火山がある。活動性の高い要注意の火山を抱える自治体は、万一の噴火を想定した備えを強化すべきだ。
 今回の噴火で、重要性が浮き彫りになったのが登山届である。登山者や同行者の氏名、行程、緊急連絡先などを記入し、登山口のポストなどに入れておく。
 遭難時に、自治体や警察などは、誰が入山しているかを迅速に把握できる。登山計画を基に、遭難地点の割り出しにも役立つ。
 遭難者が多い群馬県の谷川岳や富山県の剱岳では、県条例で登山届の提出を義務づけている。これらは例外で、他の山では登山者の自主性に任せているのが現状だ。未届けで入山する人は多い。
 御嶽山でも、噴火時にどれだけの人がいたか、今も把握に手間取り、捜索に支障が生じている。苦い教訓である。
 気象庁は、御嶽山の活動を24時間体制で監視してきた。9月中旬には、火山性地震を観測したと、3度にわたり周辺自治体に伝え、ホームページにも掲載した。
 ところが、この地震が何を意味するか、具体的な解説がないこともあって、自治体側が重要視することはなかった。
 異変を把握したら、その内容を分かりやすく伝える工夫が不可欠だ。登山口や山小屋に表示することも役立つだろう。登山者も、火山情報には十分留意したい。
 安倍首相は国会で、「火山活動の監視を強化するなど、対策にスピード感を持って取り組む」と述べた。惨事を繰り返さぬよう、防災体制を再点検すべきだ。


毎日新聞 2014年10月03日 02時30分(最終更新 10月03日 18時41分)
社説:御嶽山の犠牲者 「戦後最悪」から教訓を
 長野、岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)の噴火は戦後最悪火山災害となった。
 噴火活動が続き火山灰や火山ガスが放出される中、警察や消防、自衛隊が山頂付近で救出活動を行い、2日までに47人の死亡が確認された。計44人が死亡・行方不明となった長崎県の雲仙・普賢岳の火砕流災害を上回る。私たちはこの被害を教訓として、今後の火山対策に生かさなければならない。
 警察や地元自治体によれば、安否が確認されていない人がまだ多数おり、山頂付近に取り残されている可能性がある。関係機関は捜索を継続するという。天候悪化も予想されており、2次災害の発生には十分な注意を払ってもらいたい。
 生存者の証言などから浮かんでくるのは、噴火に伴って飛び出してきた噴石の恐ろしさだ。長野県警によれば、死亡が確認された47人中46人の死因は、噴石が直撃したことなどによる「損傷死」だった。
 噴石は秒速150〜200メートルに達することがあり、小石程度の大きさでも衝撃は大きい。御嶽山には噴石などを避ける退避壕(ごう)は設置されておらず、噴火直後に山小屋などに逃げ込むことができたかどうかが明暗を分けたと見られる。
 日本には活火山が110あり、このうち富士山を含めた47火山は、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性があるなどとして、気象庁が常時監視している。しかし、退避施設が整備されているのは、阿蘇山や浅間山などわずかしかない。活火山の登山者は、平常時もヘルメットなどの装備を準備するようにしたい。
 御嶽山では噴火の半月ほど前に火山性地震が多発した。気象庁は情報を自治体に伝え、ホームページにも掲載した。しかし、噴火警戒レベルは平常の「1」を維持し、登山者らへの積極的な情報提供はなかった。
 活火山が作り出す景観は、各地で観光資源となっている。警戒レベルの引き上げは、観光客の減少に直結する。政府は情報提供の在り方などを検証する方針だが、人命最優先の対応が求められる。
 内閣府の検討会は昨年、火山の大規模噴火に備え、監視体制の強化や避難計画の早期策定を求める提言をまとめた。東日本大震災をきっかけに、富士山を含め全国で火山の活動が活発化する恐れがあるという。
 だが、大学で火山の観測や研究に従事する研究者は40人程度で、火山学を専攻する学生も減っている。
 東日本大震災の教訓の一つは、災害リスクを「想定外」としてしまうことの恐ろしさだった。政府はもちろん、国民一人一人が火山国に暮らすリスクを認識し、防災・減災対策に取り組む必要がある。


産経新聞 2014.10.4 05:03
【主張】御嶽山の惨事 リスク最小化の現実策を
 長野、岐阜両県にまたがる御嶽山の噴火は、火山災害としては戦後最悪の惨事となった。
 3日までに47人の死亡が確認され、長崎県の雲仙・普賢岳の火砕流(平成3年)による死者・行方不明者を超えた。
 山頂付近には、噴火に巻き込まれた登山者が取り残されている可能性がある。長野県は、3日午前の時点で安否の確認できない登山者が16人いることを明らかにした。
 自衛隊や警察、消防による救出・捜索活動は難航している。火山灰や火山性のガスに加え、降雨により土石流の危険も高まり、3日の捜索は中止となった。今後の活動で捜索隊が二次災害に巻き込まれることはあってはならない。天候や火山活動に十分な注意を払ってもらいたい。
 日本は、110の活火山が連なる火山国である。噴火から命を守り、火山と共存していくための教訓を、御嶽山の惨事から学びとらなくてはならない。
 安倍晋三首相は国会で「火山観測の強化などにスピード感を持って取り組む」と述べるとともに、情報発信のあり方を検討する意向を示した。
 起こり得る災害を想定し、それに備えるためには、観測態勢の強化・充実は不可欠である。登山者や住民に情報をきちんと伝えることも大切だ。
ただし、観測強化によって「噴火予知」がすぐにも可能になるかのような過度の期待は持つべきではない。
 御嶽山噴火の前には、火山性地震の一時的な増加や火山性微動が観測されたが、噴火の兆候とは判断されなかった。東日本大震災でも、2日前のマグニチュード(M)7・3の地震が前兆だと判断できたのは、M9の巨大地震が起きた後だ。
 現在の科学では地震や火山噴火の予知はそれだけ難しい。その現実を認識し、国、自治体と国民がそれぞれ、現実的な災害リスクの最小化に取り組むべきである。
 御嶽山噴火の犠牲者のほとんどが、噴石に打たれたことによる損傷死だった。また、避難した登山者の多くが呼吸確保の大切さを語っている。
 突然の噴火から命を守るには噴石を避け、呼吸が確保できるような備えが重要だ。登山者が多い活火山では、シェルターの設置などを検討すべきだろう。


東京新聞 2014年10月3日
【社説】火山災害 メッセージ見落とすな
 長野、岐阜県境の御嶽山の噴火は四十七人の死亡が確認され、戦後最悪の火山災害となった。悲しみを繰り返してはならない。火山が発するメッセージを見落とさず「共存」していかなくては。
 前兆は、なかったのか。
 御嶽山では、半月ほど前から微小地震の増加が観測されていた。その後、減少したため噴火警戒レベルが「平常」から引き上げられることはなかった。
 多くの専門家は「これだけで噴火の恐れがあるとは言えない」と、警戒レベル据え置きの判断を追認しているようである。
 現状の科学的知見では、噴火の予知は難しいとされる。しかも、火山ガス、火山灰などの降下物、火砕流、火山泥流、溶岩流など、噴火に伴って多様な現象が発生するという特徴がある。
 想定外の事態が起こりうる、という認識を共有することは、自分たちを守る第一歩であろう。
 もちろん「分からない」で済ませてしまうわけにはいかない。
 二〇〇〇年三月に北海道の有珠山が噴火した際は、その二日前に緊急火山情報が出された。一万六千人もの住民が避難し、人的被害を防ぐことができた。
 集積されたデータが多く、分かりやすい火山だった、とも言われるが、それだけではあるまい。
 予知成功の背景には、有珠山のホームドクターとして、その麓に住み、日夜、山と住民に向き合ってきた研究者の努力があった。
 火山が発するわずかなメッセージも聞き漏らさぬようにしていたからこそ、なのである。
 いうまでもなく、日本は火山国である。火山は荒々しく、また美しく、登山者によく親しまれている。火山の周辺にわき出る温泉も、地方の貴重な観光資源である。あるいは熊本県の阿蘇山のように、カルデラの中に人が暮らしているところもある。
 この国に暮らす私たちは、火山と共存していくしかない。火山の恵みを利用するだけでなく、火山を知り、その恐ろしさとも付き合っていく覚悟が必要だろう。
 一般的に、火山災害が繰り返される周期は、地震・津波や土砂災害などに比べ、はるかに長い。だから、他の自然災害に比べ、火山災害の経験をめぐる地域の伝承は少ない。
 だからこそ、火山の動向には敏感に耳を傾け、観測機関、自治体、住民、登山者は情報を共有したい。火山の発するメッセージを見落としてはならない。


東奥日報 2014年10月4日(土)
社説:入山者への情報 迅速に/県内の火山噴火対策
 長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)で起きた噴火は、大勢の登山者を巻き込み、戦後最悪の火山災害となった。
 県内には八甲田、岩木山、恐山、十和田(十和田湖を含む一帯)の4活火山がある。このうち八甲田大岳周辺で昨年、火山性地震が増加したことから、県は「八甲田山火山防災協議会」を組織した。今年3月に災害予想区域図(ハザードマップ)を決定している。
 岩木山は県内で唯一、常時観測するべき全国47火山に含まれている。気象庁が24時間体制で監視しているが、周辺自治体の避難計画作りが進んでいないという課題が指摘されている。
 御嶽山では火山性地震の増加が察知されていたにもかかわらず、気象庁が自治体に伝えるにとどまり、情報伝達の在り方が問われた。関係機関は避難計画や入山規制の基準策定に加え、入山者に迅速に情報提供できるよう体制を見直してほしい。
 昨年9月、八甲田を対象に本県初の火山防災協議会が発足。大岳山頂と地獄沼を想定火口とした噴火警報の発表基準を示した。
 今年3月にはハザードマップを決定。積雪時の噴火で雪が解け大量の泥水となって流れ込む「融雪型火山泥流」が発生した場合、堤川、駒込川沿いの青森市街が浸水すると予測した。8月には大岳噴火時の入山規制範囲を6キロ圏と定めた。
 八甲田山系では1997年、田代平付近で訓練中の陸自隊員3人が通称「ガス穴」で高濃度二酸化炭素により死亡した。2010年に酸ケ湯温泉付近の山中で、女子中学生が硫化水素中毒とみられる症状で死亡した事故は記憶に新しい。入山者は噴火だけでなく、火山性有毒ガスへの警戒も忘れるわけにはいかない。
 岩木山噴火を想定した対応はどうか。岩木山火山噴火緊急減災対策砂防計画検討委員会が今年1月、噴火の影響範囲や被害想定の見直し案を公表。大規模噴火時に火砕流が流下する範囲が拡大、弘前市弥生地区や鯵ケ沢町の一部にも到達する恐れがあるとした。
 弘前市は市地域防災計画(風水害等編)の中に火山災害対策の項目を設け情報収集・伝達、避難の在り方などに関する文言を盛り込んでいるが、詳細な避難マニュアルのようなものはない。西目屋村は噴火に対応する防災計画がなく、鯵ケ沢町もマニュアル策定は今後の検討課題だという。
 八甲田で設置済みの火山防災協議会だが、岩木山についてはこれからだ。三村申吾知事は2日の会見で、年度内に協議会を設置する方針を明らかにした。関係機関や住民が取るべき防災対応を5段階で表す「噴火警戒レベル」が岩木山で導入されることになる。
 御嶽山の噴火は多くの教訓をもたらした。観測態勢の充実と精度向上はもちろんだが入山者の把握や避難対応、情報提供など課題は多く、今後発足する協議会での活発な議論を望みたい。入山者は噴火などの非常事態に備え、自己防衛の意識を高めてほしい。


岩手日報 (2014.10.1)
論説:御嶽山噴火 「生きた火山」の認識を
 長野と岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)で起きた噴火は、多くの登山客を巻き込む大惨事となった。山頂付近にはなお心肺停止の人が多数おり、救助・捜索活動が続いている。火山噴火の恐ろしさをまざまざと見せつけた。
 御嶽山が突然活動を始めたのは正午直前。紅葉の週末とあって火口付近にいた登山客も多く、噴石や火山灰の直撃を受けた。不幸な条件が重なり、小規模噴火でも多くの被害者が出た。
 火山活動はまだ終息していない。今後も噴火の可能性がある。有毒ガスで自衛隊や警察や消防が現場になかなか近づけない。ヘリコプターの捜索も度々中断している。
 火山噴火予知連絡会は今回の噴火を、地下水が地中のマグマで熱せられて地上に噴出した水蒸気爆発と判断。同時に南西斜面では低温の火砕流も発生したと断定した。
 これだけの人的被害が出た火山災害は、1991年に発生した長崎県の雲仙・普賢岳の火砕流で43人が犠牲になって以来。火山災害への関心は薄れていなかったか。私たちが火山列島に住んでいることをあらためて認識したい。
 多くの課題が浮かび上がった。一つは、情報伝達。気象庁は9月中旬、御嶽山で火山性地震の増加を確認。自治体に小規模な火山灰噴出の可能性があるという情報を出したが、噴火警戒レベルは「平常」の1を維持した。
 しかし、この情報は登山者までは伝わっていなかった。「平常」であっても火山には常にリスクを伴うことを登山者は知るべきだし、情報の生かし方を考えていかなければならない。
 噴火予知の難しさも浮き彫りになった。地下のマグマが直接噴き出す「マグマ噴火」の前兆となる地殻変動を観測しなかったため、火口付近の立ち入り規制や入山規制は行われなかった。そこを水蒸気爆発が「不意打ち」した形となった。
 近年の火山防災対策は大きく進んだが、対象は麓の住民が中心で、登山客の防災対策はいわば盲点だった。
 国内の活火山は110もある。多くの登山者には「生きている火山」という認識は薄いのではないか。登山ブームに防災意識を育てる方策が必要だろう。もちろん、手薄と言われる火山の観測・監視体制の強化も重要な課題だ。
 岩手山でも1998年に火山性地震が頻発する「噴火危機」があった。幸い活動は沈静化し、2004年に全山の入山規制が解除された。それから既に10年。ともすれば記憶から薄れがちだが、風化を防ぐ努力も求められる。
 火山は温泉などの恵みをもたらす一方、時に牙をむく。つきあう知恵を学びたい。


福島民友新聞 (2014年10月1日付)
社説:御嶽山の噴火/火山災害への備え強めたい
 長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)で起きた噴火は、行楽シーズンの週末を楽しんでいた登山者を巻き込んだ。
 県内にも常時監視対象になっている吾妻山、安達太良山、磐梯山をはじめ、五つの活火山がある。火山災害への備えを強化したい。
 県は先月29日、県内の活火山が噴火した場合に備え、緊急の防災担当者会議を開いた。福島地方気象台は、吾妻山は大穴火口の噴気活動がやや活発な状態を続けているが、安達太良、磐梯両山などとともに、直ちに噴火する兆候は認められないと説明した。しかし、御嶽山は県内の活火山と同じ噴火警戒レベルが最低の「1」で噴火した。油断してはならない。
 御嶽山の噴火を受け、県は年内に予定していた火山防災協議会の設置を11月に前倒しすることで調整に入った。協議会は、国が防災基本計画に盛り込んだ県レベルの火山防災に関する会議で、県や福島地方気象台、火山噴火で被災する可能性が高い19市町村などで構成する。火山の専門家も加える考えだ。これまで火山災害対策の中心は麓の地域や住民だったが、御嶽山噴火の教訓を踏まえ、手薄だった登山者向けの火山防災も検討してもらいたい。
 御嶽山の噴火は、火山学的には小規模な噴火だったが、大量の噴石が直撃した火口近くに多くの人がいたことが大惨事につながった。山小屋が避難場所として大きな役割を果たす一方、噴石で屋根が突き破られるなどもろさも露呈した。県内においても山小屋や避難小屋の強度向上やシェルターの設置に努めてほしい。噴石から頭部を守るヘルメットも常備すべきだ。
 御嶽山では先月10日から火山性地震が増え、気象庁は自治体にその情報を伝えていた。だがそれで十分だったのか。今後は提供先を広げ、登山者が集まる施設や山小屋、メディアにも注意喚起する努力を求めたい。
 携帯電話が通じないところもあったという。太陽光発電や衛星携帯電話、拡声装置などを組み合わせた警報システムを頂上や火口付近に設置することも有効だろう。
 火山対策では、麓の地域での災害を想定したハザードマップがある。安達太良山と磐梯山は2001(平成13)年度に策定され、吾妻山は今年8月に改定された。麓まで被害が及ぶような大規模な噴火にも備えを十分にし、噴火の際にどのような避難行動を取ればいいのか。確認しておくことが必要だ。


【神奈川新聞】2014.10.04 10:32:00
【社説】御嶽山の噴火災害 火山のリスク共有図れ
 47人の死亡が確認され、火山災害としては戦後最悪となった御嶽山(おんたけさん)の噴火から4日で1週間となる。なお16人が行方不明であると長野県が発表した3日は、雨のため捜索活動が中止になった。
 火山灰の噴出が続き、再噴火に加えて土石流の恐れもある。二次災害は当然回避しなければならないが、関係機関が知恵を絞り、捜索に全力を挙げてもらいたい。
 火山学の見地からは、今回の噴火は小規模なものだった。にもかかわらず被害が拡大したのは、火口のある山頂付近に多数の登山客がいたからに他ならない。亡くなった人のうち、実に46人が噴石の直撃を受けるなどした損傷死だったことは、規模の大小に関係なく、噴火が始まってから避難するのでは命を守れないという厳しい現実を示している。
 火山学者は活火山に登ることは、リスクを伴う行為であると理解してほしいと訴える。ならば、そのリスクに関する情報をより積極的に提供する試みがなされていいはずだ。
 御嶽山では9月10日前後から地震が多発。その後、徐々に落ち着いていったが、2週間以上が過ぎた27日に水蒸気爆発を起こした。
 地震活動がいったんは収まったことなどから、前兆と判断するのは難しかったという。そもそも噴火の予知は確実なものではなく、観測態勢も不十分と指摘されている。
 ただ、御嶽山を含む全国30の活火山には、気象庁が噴火警戒レベルを導入している。火山活動の状況に応じ、避難や入山規制など5段階に分けて呼び掛ける仕組みだが、御嶽山では噴火が起きるまで平常を意味するレベル1のままだった。
 地震が続いた段階で火口周辺への立ち入りを規制するレベル2に引き上げるべきだったとの指摘も出ている。大きな教訓であり、運用の見直しを図るなど今後に生かすべきだ。
 国は豪雨や高潮、津波などの際に市町村が発表する避難勧告・指示について、空振りを恐れず早めに発令するよう求めている。災害に巻き込まれる危険を少しでも減らすためだ。噴火警戒レベルも同じ発想で発表するのはむしろ当然と言えよう。
 私たちは火山大国に生きている。そうした認識を共有しつつ、個々の火山活動の状況から、場合によっては人々が自主的に山に入らないという選択肢を持てるような環境づくりを急がねばならない。


新潟日報 2014/10/04 08:57
社説:最悪の噴火災害 悲劇繰り返さぬ道探ろう
 御嶽山(おんたけさん)の噴火からきょう4日で1週間となる。困難を極めた捜索・救出作業を経て死亡が確認された登山者は47人に上り、1991年の雲仙・普賢岳(長崎県)の噴火での犠牲者を超えて戦後最悪の火山災害となった。
 ほかにも16人が巻き込まれて行方不明とみられ、不明者はさらに増える可能性がある。
 報道される犠牲者の生前の様子や、残された遺族の表情に胸をつかれる。生還したものの、仲間を失った登山者が自分を責める言葉を聞くのがつらい。
 二次災害の危険がある中、山頂周辺で活動する警察、消防、自衛隊の苦労に感謝したい。
 噴火と天候の状況を慎重に見極めながら、今後の捜索に全力を尽くしていただきたい。
 大惨事は噴火予知の困難さをあらためて示した。だが、予知にしろ防災対策にしろ、「限界がある」と言ってあきらめてしまうわけにはいかない。
 どんなに難しくとも、被害を最小限にする道を探っていくほかはない。それが再び悲劇を招かないための第一歩であり、犠牲者と遺族の思いに寄り添い、応えることであるはずだ。
 噴火のかすかな兆候を捉え、そうした情報を科学的にはもちろん、社会的な影響も含めて適切に評価し、必要な方面に確実に伝達していく態勢をさらに強化していくことが求められる。
 御嶽山では噴火の前に火山性地震が観測された。地殻変動データが得られなかったため、気象庁は解説情報を出したものの、噴火警戒レベルは最も低い「1」に据え置いていた。
 この間の情報の処理と発信の在り方については、検証していかなければなるまい。
 情報は万一の場合の注意点を含め、詳しく、分かりやすい説明を尽くすことだ。ネットだけでなく登山口などで誰の目にも触れる形で示すのは大切だ。
 警戒レベルにかかわらず、活火山では噴火に備える心構えが常時求められることを、もっと広く周知する必要もある。
 観光への悪影響を恐れて情報を出すことをためらうようなことがあってはならない。安全最優先を地域で徹底したい。
 設備面では、浅間山や桜島にあるような頑丈な退避施設を増やすことを検討すべきだ。御嶽山では身を隠す場所が少ないところに噴石が降り、多くの人が直撃を受けて亡くなっている。
 国内には110の活火山があり、御嶽山や富士山、本県の焼山を含む47が24時間観測対象となっている。機器や態勢に不備がないかの確認が急務といえる。
 焼山は1974年の噴火で3人が犠牲になり、今年は40年の節目を迎えた。現在噴火の兆候はないが「御嶽山のような水蒸気爆発はいつ起きてもおかしくない」と研究者は警鐘を鳴らす。
 県は御嶽山噴火を受けて、登山者への対策を強化するため、昨年策定した避難計画を見直す方向だ。課題を掘り起こし、万全の対策を築いてほしい。


信濃毎日新聞 2014年10月04日(土)
社説:不明なお16人 時間が過ぎゆくつらさ
 御嶽山の噴火による被害は時間が過ぎるにつれ、悲惨な様相をますます強めている。
 きのうは長野県が午前9時現在の見方として、行方不明者が16人に上ると発表した。これまでに死亡が確認されている47人と合わせ、人的被害としては戦後最悪の火山災害になった。
 災害などで行方不明者を探すとき「72時間の壁」が指摘されることが多い。人間が飲食せずに耐えられる限度である。
 山の遭難では登山者は多くの場合、水や食料を持っている。72時間の壁を越えて無事に帰ってくる例は少なくない。
 ただ、心肺停止になった人を検視した医師によると、体にはあざが重なって残り、5、6カ所を骨折している人もいたという。噴石から頭をかばったのか、手に傷を負った人が多かった。
 御嶽の山頂周辺には登山者が身を隠せる岩陰などは少ない。行方不明の人の多くは火山灰や噴石に埋もれているとみられている。熱風や噴石に追われ、登山道を外れて斜面を滑落したままの人がいる可能性も否定できない。
 状況は厳しさを増しているけれど、一刻も早い発見に最善を尽くすほかない。
 火山活動がこの先どうなるか、今の時点で見通すのは難しい。噴石やガスがいつ襲ってくるか分からない。二次災害には十分気を付けてもらいたい。
 日曜日以降、天候の悪化が予想されている。台風の接近も気掛かりだ。大量の雨が降れば降り積もった灰が土石流となって流れ下り、災害を引き起こす心配が高まる。麓に危険が及ぶ可能性にも注意が怠れない。
 山で大勢の犠牲者を出した遭難に、近年の例では▽北海道・大雪山系のトムラウシ山で暴風雨のため、ガイドを含む8人が死亡(2009年7月)▽北ア・白馬岳で天候の急変により6人が死亡(12年5月)▽中ア・檜尾岳で韓国人パーティーの4人が死亡(13年7月)―などがある。
 火山活動が原因で遭難したケースでは、▽長野県境に近い新潟県の焼山で高山植物を調査中の大学生3人が噴石に当たって死亡(1974年7月)▽福島県の安達太良山で登山者が硫化水素ガスを吸い込み4人が死亡(97年9月)―が代表例だ。
 今回の御嶽山での遭難は過去のケースを大きく超える規模になった。近代登山史上、未曽有の災害だ。避けることはできなかったのか、との思いが湧く。


信濃毎日新聞 2014年10月02日(木)
社説:御嶽救助活動 二次災害にくれぐれも
 火山性微動や有毒ガスに脅かされながらの捜索、救助活動である。足元には火山灰が厚く積もり、行動を阻む。危険と隣り合わせの作業が続く。
 被害に遭った人を一分一秒でも早く救助、搬送してほしい。同時に、二次災害にはくれぐれも注意してもらいたい―。
 これが、捜索を見守る多くの人の願いだろう。
 長野県警によると、死亡が確認された人は47人になった。
 43人が死亡・行方不明になった1991年の雲仙・普賢岳の火砕流災害を上回る。戦後最悪の火山災害になった。
 噴火の危険のため救助作業はしばしば中断した。家族らにはもどかしかったことだろう。
 火山活動が比較的穏やかだったきのうは大型ヘリを投入し、千人の捜索態勢によって、心肺停止の人の搬送が一気に進んだ。
 ただ、先月27日の爆発のとき山頂付近に何人の登山者がいたか、正確なことは分からない。登山届を出さないまま頂上に向かった人もいたはずだ。
 山頂一帯は火山灰が厚く積もっている。遭難者が倒れていても見つけにくい。誰にも知られないまま岩陰などで救助を待っている人がいるかもしれない。丁寧な捜索がこれからも欠かせない。
 山は噴煙を上げ続けている。マグマの活動による火山性地震や、地中の熱水、ガスの移動が原因とされる火山性微動も続く。
 いつ収まるのか、まだ分からない。活動が長期化する可能性も指摘され始めた。
 火山ガスは硫化水素などの有害成分を含む。特に危ないのが呼吸器に害を及ぼす二酸化硫黄だ。呼吸困難を引き起こし、大量に吸い込むと死に至ることもある。
 警察や消防、自衛隊は、防じんマスクやガスマスク、防弾チョッキを着けての作業を強いられている。酸素濃度が地上の7割ほどしかない3千メートルの高地である。苦労には頭が下がる。
 捜索、救助の態勢で気掛かりなことが一つある。心肺停止の人や行方不明者についての情報が交錯し、待機している家族らに戸惑いを広げたことだ。
 山の事故はそうでなくても全体像を把握しにくい。比較的簡単に登れる山の場合には、登山届の提出率も低くなりがちだ。
 御嶽は登山口や山小屋の所在地が長野、岐阜両県に分かれ、混乱を招きやすい。情報を一元管理し家族らに迅速、正確に提供する態勢の整備が急務だ。


[京都新聞 2014年10月03日掲載]
社説:戦後最悪の噴火  御嶽山から教訓得たい
 戦後最悪の火山被害になってしまった。御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県)の噴火で、犠牲者の数が47人に増えた。
 なおも安否をたずねる家族が多く、捜索できていない場所も残っている。ほかに巻き込まれた登山者はいないか、二次災害に注意しながら、捜索を急いでもらいたい。
 亡くなった人の大半が、山頂付近の屋外で倒れていた。長野県警によると、ほとんどが噴石が頭などに当たったことによる「損傷死」とみられる。山頂付近では有毒な火山ガスが今も漂っている。水蒸気爆発で発生する硫化水素を高濃度で吸うと酸欠になって、意識障害を起こして倒れるという。
 登山者の命を奪い、捜索活動を拒む。火山噴火の底知れない恐ろしさを、あらためて思い知る。
 火山国日本では、突然の大噴火がしばしば大きな被害をもたらした。明治期以降では、1888年に磐梯山(福島県)が噴火し、山の崩壊で集落が埋まり、住民400人以上が亡くなった。戦後でこれまで最悪だったのは、1991年の雲仙・普賢岳(長崎県)の火砕流で、消防団員ら43人が犠牲となった。
 世界の活火山約1500のうち、110が日本列島に集まる。この中で噴火の可能性が指摘されるのは御嶽山を含め47火山で、24時間監視の対象だ。しかし観測データの評価・解釈、深い地下の状況把握は難しく、噴火予知に期待できる段階ではないようだ。
 2000年の北海道・有珠山の噴火で数日前に可能性を公表し、死傷者を出さなかったのは、それまでの火山活動の記録の蓄積があったからだ。すぐに成果は見えなくても、観測体制や研究者を充実させていく必要がある。
 予知が難しい現状を踏まえて、被害の最小化を図ることを考えたい。火山性微動などの情報を、リアルタイムに登山者にネットなどで提供したり、噴石を避けるシェルターを設けるなど、火山を抱える自治体どうしで情報交換してみてはどうか。政府は予算などで後押ししてほしい。
 御嶽山の噴火に遭遇したのは、京都など各地からやってきた登山者たちで、自然を愛する人たちだろう。ただ最近の登山ブームでレジャー気分の人が増え、自然の恐ろしさに無防備な人がいる。活火山の富士山にも、大勢の人が登っている。
 古来、火を噴く山は人々に畏怖され、信仰の場であった。御嶽山は現代人に何を問いかけているのか。そんなことも考えたい。


神戸新聞 2014/10/04
社説:火山への備え/被害を減らす情報が要る
 御嶽山(おんたけさん)噴火は戦後の火山噴火で最大の犠牲を出す惨事となった。兵庫県内でも加古川市の親子ら4人が犠牲になったことは痛ましい。
 発生から1週間。山には安否不明の登山者がまだ残されているとみられ、救出を急がねばならない。
 なぜ、多くの登山者が巻き込まれたのか。検証し、次に備えるのは有数の火山国・日本の務めである。
 御嶽山は「百名山」の一つで、紅葉シーズンと週末の好天が重なり多くの登山者が繰り出した。頂上に人が集まる昼時に噴火するという不運が加わって最悪の結果になった。
 頂上で眺望を楽しみ、弁当を広げる。突然、噴煙が上がり、火山灰と噴石が降り注ぐ。死亡した47人中46人が「損傷死」という警察の発表が、噴石災害のむごさを示す。
 無事だった人の話から津波に襲われた時の「てんでんこ」の教訓を思わずにいられない。躊躇(ちゅうちょ)せず逃げよとの教えは火山噴火に通じる。一瞬の判断と迅速な避難を肝に銘じたい。そのために必要なのは火山活動や噴火に関する情報だ。情報がないと、とっさの行動に移れない。
 御嶽山では9月上旬から地震活動が活発だった。気象庁は岐阜県と長野県の関係自治体に情報提供したが、噴火警戒レベルは5段階のうち平常の「1」に据え置き、火口周辺への立ち入りを制限する「2」に上げなかった。登山者にはほとんど伝わっていなかった。情報の伝え方に工夫の余地があることは否めない。
 情報に関し、政府も無策なわけではない。内閣府の有識者検討会の指摘を受け、春に噴火警戒レベルごとの対応方針案をまとめた。しかし、こうした対応も観測体制が整い、信頼できる情報に基づいてこそだ。
 日本には活火山が110ある。よく噴火する火山や影響が大きい47について、地震計などを設置し、常時監視している。だが、研究者は国内に40人ほどしかいない。観測所があっても無人のところが多く、変化を確認できる人員がいないことも噴火の兆候をとらえにくくしている。
 研究環境の整備は急務である。ただ、地球内部で起こる活動には不明な点が多く、予測につながる知見がすぐに得られるとは限らない。火山研究の到達点と可能性を見極め、できることから手を付けたい。
 火山国にふさわしい研究分野にすることが人的被害を減らす道だ。


山陽新聞(2014年10月01日 07時45分 更新)
社説:御嶽山噴火 火山リスクに向き合おう
 長野、岐阜県境にある御嶽山が9月27日に噴火し、多くの登山者が巻き込まれた。現場が危険なために救出・捜索活動もままならない。火山災害の恐ろしさをあらためて見せつけられた。
 御嶽山は7合目までロープウエーが運行し、3千メートル級の山の中では登りやすいことで知られる。紅葉シーズンで、しかも好天に恵まれた週末の昼前に噴火が起きたことで、被害が大きくなった。
 気象庁は「予知は困難だった」としている。御嶽山の警戒レベルは5段階で最低の「レベル1(平常)」で、「レベル3(入山規制)」に引き上げたのは噴火後だ。今回は地下のマグマで地下水が熱せられて起きる水蒸気爆発とみられており、地下のマグマが噴き出すマグマ噴火に比べ、予測が難しいという。
 しかし、前兆の一つとされる火山性地震は9月10日に52回、同11日に85回も観測されていた。1日に50回を超えたのは、2007年3月に起きた前回の噴火前の観測以来だったという。情報は周辺自治体には伝えられていたというが、多くの登山者は知らなかったはずだ。
 人命を守るにはもっと積極的に情報提供をするべきではないか。登山ブームで遠方の山に登る人も増えている。不特定多数の登山者に向けた注意喚起のあり方、警戒レベルを引き上げる基準の妥当性など、徹底的に検証してもらいたい。
 日本が世界有数の火山国だという現実を直視したい。かつては、活動していない火山は「休火山」「死火山」と呼ばれていたが、火山活動の“寿命”は長いことから、現在は過去1万年以内に噴火した山はすべて「活火山」と定義されている。地球上には約1500の活火山があり、このうち日本列島には7%に当たる110がある。中四国地方では三瓶山(島根県)と阿武火山群(山口県)がある。
 気象庁は110の活火山のうち、富士山など47の山について噴火の恐れがあるとして計器を置いて監視している。御嶽山もそのうちの一つだった。東日本大震災後、多くの研究者が火山活動が活発化している可能性を指摘している。噴火の予知が難しい以上、活火山への登山がリスクを伴うことを一人一人が認識しなければなるまい。
 今回の噴火で、あらためて注目されているのが九州電力川内原発(鹿児島県)だ。同原発の周辺には活火山群がある。九電は「火山を監視し、兆候があれば原発を停止し、核燃料を運び出す」と説明し、国の原子力規制委員会は9月、新規制基準に適合していると認めた。これに対し、多くの火山研究者が「前兆を観測できたとしても確実な予測は困難」と批判していた。今回の御嶽山噴火では、その懸念が現実になった形だ。
 自然の脅威に対して、私たちはもっと謙虚に向き合うべきなのではないか。


南日本新聞 (2014/ 10/3 付 )
社説:[御嶽山噴火] 登山者を災害から守れ
 長野、岐阜両県にまたがる御嶽山の噴火で、47人の死亡が確認された。1991年に火砕流で43人の死者・行方不明者を出した雲仙・普賢岳を上回る戦後最悪の火山災害となった。痛ましい限りだ。
 山頂付近にはまだ登山者が取り残されている可能性があるという。火山活動は依然続き、雨で土石流が起きる危険もある。消防や自衛隊は二次災害に十分警戒し、捜索を続けてもらいたい。
 噴火からきょうで7日目になり、惨事の状況が徐々に分かってきた。関係機関は徹底した検証を行い、今後の火山防災に生かさなければならない。
 警察庁によると、ほとんどの死者は山頂付近の屋外で倒れていた。多くの人が頭や首に噴石の直撃を受けたとみられる。
 噴火は紅葉シーズンが始まった週末の昼前に起きた。好天に恵まれ、山頂付近は朝から登り始めた登山者でにぎわっていた。火山噴火予知連絡会は「噴出物は数十万トンから200万トンほどで、今回の噴火は小規模の部類」と説明する。火口近くに大勢の人がいたことが大惨事につながった。
 噴火は前兆がほとんどないまま起きる「水蒸気爆発」とされ、噴火警戒レベルが5段階の「1」(平常)のときに発生した。だが、9月中旬に一時火山性地震が増えていた。気象庁は自治体にその情報を伝えていたものの、結果的に登山道の立ち入り規制には至らなかった。
 噴火予知が極めて難しいなか、どう注意を喚起するかが課題となる。火山活動情報も自治体ばかりでなく、登山者が集まる拠点や山小屋など提供先を広げることはできないか。情報活用の在り方の見直しを求めたい。
 中高年を中心に登山ブームが続くが、自治体や観光関係者は登山者らの安全を守る責務がある。火山の危険性を知ってもらう啓発活動に力を入れたい。噴石から身を守るシェルターの設置も検討してほしい。
 政府は噴火予知や監視態勢強化を検討するという。国内には活火山が110あり、世界全体の約7%を占めるが、観測や研究の体制は貧弱と指摘される。防災対策の拡充へ指導力を発揮すべきだ。
 被害者の把握も課題となっている。現在も20人を超える安否不明者がいるとされるが、被害の全容はつかめず、警察や自治体は対応に苦慮している。居住者が分かっている土砂災害と異なり、入山者の数がはっきりしないからだ。
 鹿児島県内には11の活火山が集中し警戒は怠れない。被害を最小限に抑える備えを新たにしたい。

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