2014-10-06(Mon)

再生エネルギー 買い取り中断 普及にブレーキかけるな (2)

原発依存に戻るのか 電力改革を後退させるな 普及促進が見直しの大前提だ

<各紙社説・論説>
愛媛新聞)再生エネ買い取り制度 普及促進が見直しの大前提だ(10/4)
宮崎日日新聞)再エネ受け入れ中断 日照生かす本県に大痛手だ(10/2)
琉球新報)再生エネ接続中断 異常事態の解消を急げ(10/2)
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<2014年9月の各紙社説・論説・主張>
産経新聞)再生エネ買い取り 強引な普及計画は見直せ(9/29)
岩手日報)再生エネ契約中断 障壁克服する手だてを(9/29)
福島民友新聞)再生可能エネルギー/安定供給へ技術革新に力を(9/27)
信濃毎日新聞)自然エネルギー 普及を妨げてはならない(9/28)
西日本新聞)再生エネ見直し 普及にブレーキかけるな(9/28)
南日本新聞)[再エネ買い取り] 早くも欠陥が露呈した(9/26)
琉球新報)再生エネルギー 普及を止めてはならない(9/28)




以下引用

愛媛新聞 2014年10月04日(土)
社説:再生エネ買い取り制度 普及促進が見直しの大前提だ
 四国や九州など5電力会社が、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく契約を中断した。国が定める買い取り価格が引き下げられる前に駆け込み契約が相次いだため、供給量が需要を上回って供給不安定になる恐れが高まったとしている。
 経済産業省は急きょ制度改革を打ち出した。が、そもそも4月に閣議決定したエネルギー基本計画は太陽光や風力発電の推進に伴い、広域的運用による調整力の確保や送電網整備、蓄電池活用など安定供給に向けた対策の必要性を挙げていた。早くから指摘された課題に真剣に向き合わなかった国は猛省すべきだ。
 改革は買い取り量の上限設定などが焦点になる。再生可能エネルギーは不安定と強調し、普及促進の理念まで見直すとすれば、原発再稼働に国民の理解を得やすくするためでは、との疑念も生じる。決して理念を見失うことのないようくぎを刺しておきたい。
 電気は需要と供給を常に一致させるのが鉄則。需要の変化を見極めながら出力の微調整を行う。各電力会社は、気象条件に左右される太陽光や風力は出力が安定せず調整が困難とし、需給バランスが崩れれば周波数の変動や停電のリスクが高まると説明する。
 四国電力管内の太陽光と風力を合わせた8月時点の設備量は247万キロワットに達し、電力消費が最も少ない5月の休日の250万キロワットに迫る。供給過剰が目前というわけだ。
 10キロワット未満の家庭用太陽光の買い取りは当面継続するというが、影響が懸念される。膨らみ始めた普及の機運をしぼませてはならない。本当に受け入れられないのか、どうすれば受け入れられるのか、各電力は徹底的に検証し、情報開示に努めてほしい。
 他国の成功例は注目に値しよう。風力発電先進国のスペインでは、発電量の予測システムが高精度で機能し、全電力に占める再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高めている。日本でも地域ごとの精緻な気象予測などで発電量を事前に把握できれば、各社のエリアを越えた広域的な調整が見えてくる。そのための送電網増強も欠かせない。
 安定供給に資する蓄電システムも検討しなければなるまい。実績がある揚水発電の効率的運用のほか、性能やコストに優れた大規模蓄電池の研究開発に官民一体で取り組んでもらいたい。
 東京電力福島第1原発事故後、多くの国民が原発に依存しない社会を望む。一方、国は原発維持にこだわり電源構成の比率目標を先送りした。脱原発の道筋とともに、再生可能エネルギー普及のペースが定まってこそ、送電網増強の度合いなど必要な対策が具現化する。時期を明示した数値目標を急がねばならない。


宮崎日日新聞 2014年10月2日
社説:再エネ受け入れ中断 日照生かす本県に大痛手だ
 九州電力が再生可能エネルギー(再エネ)の固定価格買い取り制度(FIT)に基づく契約の手続きを中断、事業者や地域活性化のために導入を推進してきた自治体に動揺が広がっている。特に本県は接続契約の受付件数(高圧以上の申し込み前含む)が1万8250件と九州では最多。恵まれた日照条件を生かしたエネルギー創造の機運が盛り上がっていただけに大きな痛手だ。
■安定供給に支障恐れ■
 九電は1日、宮崎市で説明会を開催。参加した事業者ら約600人に理解を求めたが「発表が遅すぎる」「損害賠償請求もあり得る」など不満の声が渦巻いていた。
 中断の最大の理由は、契約が急増し、全て接続すると送電網の容量を上回り、電力の安定供給に支障が出る恐れがあるためという。自家消費の割合が高い家庭などの小口は受け付けを続ける。九州における太陽光・風力のFITによる電力量は全国の26%を占め、突出して高い。
 県内でもFITがスタートして以来、売電事業参入が活発化。建設候補用地を確保し、積極的にメガソーラーの立地を働きかける自治体も出てきた。雇用は多く見込めないが、企業誘致が進まない中、遊休地で固定資産税が見込める上、自然エネルギーによるイメージ向上が図れるからだ。
 特に今年4月から買い取り価格が引き下げられ、制度の厳格化が図られたため、3月に駆け込み申し込みが急増した。
 太陽光発電は昼間も天候が急変すれば発電力が急激に低下するなど発電量が安定しない。九電の説明では、揚水発電での調整を超えて需要と供給のバランスが崩れると、周波数が維持できず大規模な停電につながる恐れがある。実際、2006年11月にあった欧州大停電は、大量の再エネ(主に風力発電)が停止したのが主な原因という。
■見通し甘いまま推進■
 九電は「再エネをどこまで受け入れられるか見極めるには数カ月を要する」としている。契約手続き中断は四国、北海道、東北、沖縄の各電力会社にも広がった。
 政府は、甘い見通しのまま短期的に再エネ比率を上げようとしたために電力会社の受け入れ態勢を無視した推進策を導入、結果として国民の期待に水を差した。
 電力会社の責任も小さくない。もっと早くこういう事態を予想して、情報公開できなかったのか。事業参入を図って、多額の資金を投入して土地や資材を購入した事業者にとっては死活問題だ。本県経済に深刻な悪影響を与える恐れもある。政府や電力会社は早急に解決策を打ち出してほしい。
 受け入れ中断の発表と前後して、九電は川内原発(鹿児島県)再稼働を打ち出したため、事業者の間には「原発優先のために再エネへの参入を抑制したいのではないか」という疑念もある。九電は「どちらも必要」と無関係を強調するが、丁寧な説明が必要だ。


琉球新報 2014年10月2日
<社説>再生エネ接続中断 異常事態の解消を急げ
 沖縄電力は9月30日、太陽光発電など再生可能エネルギーの電力の買い取り契約を中断したと発表した。8月7日までに申し込まれた発電事業者の出力の合計が31万キロワットを超え、沖縄本島の送電網の再生エネ受け入れ能力を上回ったためだ。
 接続可能量の上限超過は全国で初めてで、出力10キロワット未満の一般家庭用を含む全ての再生エネの新規接続ができなくなる異常事態となった。県内の再生エネ普及の取り組みに水を差す状況に陥ったのは極めて遺憾だ。
 沖縄は本土から電力を融通できない独立系統のため、送電網に限界が生じやすいとかねて指摘されていた。それにしても、沖電からの具体的な説明は乏しく、再生エネ受け入れ拡大に向けて最大限の措置が講じられたのか、甚だ疑問だと指摘せざるを得ない。
 沖電によると、県内の総発電量に占める再生エネの比率は2012年が2%だが、10年後の22年でもわずか3%を想定するにすぎない。これでは導入に後ろ向きと受け取られても仕方ないだろう。
 接続量の限界についても、新規申し込みへの回答を4月から保留していることが7月になって明らかになったように、情報公開と説明責任が十分になされたとは言い難い。今回の発表についても、関連事業者からは「あまりにも急だ」と対応を批判する声が上がる。
 沖電はこうした疑問や批判の声を真摯(しんし)に受け止めてもらいたい。受け入れ再開に向け、抜本的な対策を早急に示すべきだ。
 もちろん沖電だけが問題ではない。再生エネの受け入れについては、電力各社で中断する動きが急拡大している。再生エネでつくられた電気を電力会社が決められた価格で一定期間買い取ることを義務付けた固定価格買い取り制度は2012年7月に導入された。安定供給に支障が出ると判断された場合は接続を拒否できるとはいえ、わずか2年で制度の根幹に関わる危機的な状況を迎えたといっても過言ではない。
 そもそも安倍政権は4月に策定したエネルギー基本計画で再生エネの導入加速を掲げたばかりだ。政府の無計画ぶりは目に余る。とりわけ、手をこまねいていた経済産業省の責任は極めて重大だ。これは、安倍政権が原発再稼働に前のめりになっていることとも決して無縁ではない。再生エネ拡大がポーズでないならば、まずは原発に見切りをつけることが先決だ。

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産経新聞 2014.9.29 05:04 (1/2ページ)[主張]
【主張】再生エネ買い取り 強引な普及計画は見直せ
 九州電力が太陽光など再生可能エネルギーの買い取りを中断することを決めた。他の電力会社でも同様の動きが出ている。実態を踏まえない普及制度の杜撰(ずさん)さが露呈したといえる。
 買い取り制度に基づく申請が急増し、安定的な電力供給に支障を来しかねない事態に陥ったという。割高な価格で買い取りを進めていることが大きな原因だ。
 多様な電源の確保を目的とした制度とはいえ、電力需給の不均衡を招くようでは本末転倒だ。
 割高な買い取り価格は料金に転嫁される。国民負担や電源構成のバランスを考えず、再生エネの普及ばかりを優先させる姿勢は転換すべきだ。買い取り価格の引き下げを含め、導入策の再設計を求めたい。
 再生エネによる発電設備は、一昨年7月の制度開始から今年3月末までに、約900万キロワット分の稼働が始まった。このうち9割超を太陽光発電が占める。とくに九州は土地が比較的安く、日照時間が長いこともあり、九電に太陽光発電の買い取り申請が集中した。
 だが、太陽光は天候や昼夜の発電量の差が大きく、安定性に欠ける。これを大量に受け入れると、周波数が乱れて電気の質が下がったり、停電が起きたりする恐れもあるという。
 電力の安定供給のため、九電が受け入れ中断を決めたのはやむを得ない。
 送電網の容量が限られていることもあり、東北電力や東京電力でも地域によって再生エネの受け入れを制限している。北海道電力では風力発電の受け入れ能力が限界に近づいている。
 電気代に上乗せした徴収分は、すでに標準家庭で年間2700円の負担となっており、これからも増えることが確実視される。それとは別に、原発の運転停止による料金の大幅上昇もある。
 制度改革は待ったなしだ。大規模な発電事業者には、送電網の容量増や接続設備などで一定の負担を求めたい。年1回の買い取り価格の見直しの機会を増やし、割高な価格の是正も急ぐべきだ。
 再生エネは環境に対する負荷が小さい。「地産地消」型の分散電源として、将来にわたって大事に育成すべきものだ。
 無理な普及策をごり押しするなら、かえって普及を妨げることになりかねない。


岩手日報(2014.9.29)
論説:再生エネ契約中断 障壁克服する手だてを
 再生可能エネルギー普及にとって思わぬ事態が生じた。固定価格買い取り制度に基づく契約について、東北電力が受け付けの中断を検討する考えを示した。
 これより先に九州電力が契約中断を決定。対象は管内全域で、大手電力としては初めてとなる。新規だけでなく、申請を済ませても契約には至っていない約7万件を含む。
 この動きは今後、全国に波及する可能性がある。
 理由に挙げているのは、太陽光発電の急増によって、需給バランスが崩れる恐れだ。これまでに申し込みのあった設備が契約してフル稼働した場合、供給力が需要を大幅に上回り、自動的に発電が停止する可能性があるという。
 また、太陽光は気候によって出力の変動が大きく、送電設備が対応できずに安定的な供給に影響が出る。
 背景には、4月以降に買い取りの単価が引き下げられたことに加え、認定取り消しの制度が厳格化されたことがある。
 このため駆け込み申請が殺到。九州電力の場合、3月の1カ月間でそれまでの1年分に相当する約7万件もの太陽光接続契約の申し込みがあった。7月末時点の申し込み全てと接続した場合、供給が需要を上回り、しかも変動型であるため停電などが起きる恐れが出る。
 契約中断の措置は、買い取りを前提に多額の投資をした企業に波紋を広げ、導入促進を掲げる自治体も困惑している。再生可能エネルギー普及に冷水を浴びせることになった。
 自然エネルギー財団は、認定量に比べ導入量がまだ少ない状態での契約中断について「唐突で、自然エネルギービジネスに大きな混乱をもたらす」と批判する。
 国は「導入量をコントロールできていない」と焦りを隠さない。太陽光発電の拡大は想定以上だったようだ。今になってみると、当初の価格設定や認定方法など制度設計に甘さがあった。
 とはいえ、当面急ぐべきは、導入のための対応だ。鍵を握るのは送電網の拡充や、他の電力会社間との連係増強だ。昼間の余剰電力を揚水運転などによって活用することも求められる。九州電力も検討するが、本来ならもっと早く着手すべきだったろう。
 折しも九州電力管内では、川内(せんだい)原発(鹿児島県)が再稼働に向けて準備が進められている。「ベースロード電源」である原発と変動性のある太陽光などは異なるとはいえ、「原発への投資ではなく、送電網に投資すべきだ」との声も聞かれる。
 電力会社、国がいかに取り組むか。乗り越えなければならない正念場が訪れた。


福島民友新聞 (2014年9月27日付)
社説:再生可能エネルギー/安定供給へ技術革新に力を
 東北電力の海輪誠社長は25日の定例会見で固定価格買い取り制度に基づく再生可能エネルギー電力の買い取りについて、契約受け付けの中断を含め、今後の対応を検討する方針を示した。
 太陽光発電を中心として再生可能エネルギーの発電事業が急増し、天候による出力の変動に送電設備が対応できずに電力の安定供給に支障が出る恐れがあるとの理由からだ。
 同制度をめぐっては九州電力が同日から九州全域で、自家消費している家庭用の太陽光などを除いて契約受け付けを中断したほか、東京電力が一部地域で受け付け制限を始めた。
 電力会社が買い取りを制限する動きが広がれば、再生可能エネルギーの普及にブレーキがかかりかねない。政府は制度の抜本改定を迫られたが、加えて見逃せないのは再生可能エネルギーの導入促進にとって送電システムの強化が喫緊の課題であることが顕在化してきた点だ。
 成長戦略に再生可能エネルギーの導入促進を位置付ける政府は、積極的に送電インフラの強化対策を講じる必要がある。次世代送電システムなどの技術開発を急ぐことも重要だ。
 太陽光や風力発電は天候で出力が変動しやすく、送電設備の容量を超えると停電に陥る恐れがあるという。東北電力管内で国が制度の対象に認定した再生エネルギーの発電総出力は5月時点で1149万キロワット。全てが送電設備に接続されると需要が低い時期の最大電力800万~900万キロワットを上回る計算だ。
 海輪社長は、送電網に蓄電池を備えて出力変動の影響を緩和し、受け入れ可能量を増やす対策の検討を急ぐ考えを示した。
 ただ送電網の増強には大きな費用負担が必要で、今後の発電量の増加に電力会社の努力だけでは追い付かない懸念がある。
 本県にとっては再生可能エネルギーは震災と原発事故からの復興政策の大きな柱だ。県は2040年ごろまでに県内で必要となるエネルギーの100%を再生可能エネルギーで供給する目標を立てている。特に津波被害と原発災害の影響が色濃く残る沿岸部や原発事故に伴う避難区域については、復興を牽引(けんいん)する基幹産業と位置付けている。
 県などが各種の補助制度を設けて発電事業を行う企業の立地を促しているが、送電網の容量不足の懸念は県も抱いており、来年度の政府予算要望では増強のための支援措置を求めている。復興を加速させるためにも再生可能エネルギーの拡大に向けた対策が急がれる。


信濃毎日新聞 2014年09月28日(日)
社説:自然エネルギー 普及を妨げてはならない
 政府が、自然エネルギー固定価格買い取り制度の抜本的な改定に着手した。
 自然エネの買い取りを中断したり、制限したりする動きが大手電力会社にみられるためだ。
 現在の買い取り価格は、自然エネの導入が進む欧州に比べて高い。費用は電気料金に加算され、消費者の負担が増えているのも事実だ。自然エネの発電コストは低下傾向にある。適正な価格を再検討することに異存はない。
 ただ、自然エネ普及拡大の足かせとなっている重要な問題はほかにもある。政府は電力供給の仕組み全体を見渡し、改善策を講じなければならない。
 買い取り制度は2012年7月に始まった。国の認定を受けた事業者が次々と参入。これまでに原発10基分に相当する約1000万キロワットの運転が始まっている。
 九州電力が先日、制度に基づく買い取り契約の受け付けを中断した。東北電力も中断の検討を公表している。自然エネの接続がさらに進むと送電網の容量を超え、電力の安定供給に支障を来す、ことを理由に挙げている。
 「認定を受けた設備」すべての自然エネを接続した場合を前提としている。認定数は太陽光だけで23万件に上る(昨年11月時点)。が、実際に発電したのは2割ほど。土地や設備を確保できていない例や、利益を狙い認定だけ受ける悪質な業者も少なくない。
 電力会社が、停止中の原発を優先して送電網の容量に加えていることも疑問だ。契約の受け付けを制限している東京電力や関西電力、接続上限を設けている北海道電力なども、容量に関する情報を公開する必要がある。
 国はしっかり指導し、曖昧な送電網への接続ルールを明確にしてもらいたい。
 電力を全国で融通し合うための「連系線」の整備も大きな課題となる。大型の太陽光発電施設は、土地に余裕がある地方で目立つ。半面、人口の少ない地方では電力需要は限られる。
 電力各社の管内だけで需給バランスを図ることに無理がある。政府は国内全体で需給調整する観点に立ち、既存の連系線の利用方法を見直し、整備のあり方を探るべきだ。潜在力の大きい風力発電を取り入れる上でも欠かせない。
 買い取り価格を下げ、接続を制限するだけでは、各地で芽生えている自然エネの利活用に水を差すことになりかねない。どうすれば導入を促進していけるかを基本に議論を深めてほしい。


=2014/09/28付 西日本新聞朝刊=
社説:再生エネ見直し 普及にブレーキかけるな
2014年09月28日(最終更新 2014年09月28日 10時33分)
 再生可能エネルギーの普及拡大にブレーキがかかっている。
 送電線の容量限界などから再生エネの買い取りを中断する動きが、九州電力をはじめ電力業界に広がってきた。これを受け政府は、再生エネの固定価格買い取り制度の抜本改定に着手するという。
 太陽光発電など再生エネは原発の代替電源として期待されている。制度見直しが、その普及に水を差さないよう留意すべきだ。
 九電は、固定価格買い取り制度に基づく新たな契約を九州全域で一時中断した。7月末までに契約申し込みがあった発電設備が1千万キロワットを超え、春や秋の昼間の電力需要を上回る。このまま送電線へ接続すれば、電力の安定供給に支障が出かねないとしている。
 東北電力や四国電力も同様に買い取り中断の検討に入っており、政府が対応を急ぐのは当然だ。
 ただ、再生エネの契約増加に伴う需給調整の課題や送電線の容量不足は当初から指摘されていた。政府や電力業界の対応が後手に回った側面は否めない。
 電力会社の都合で再生エネ事業が中断されるのは損失だ。制度見直しでは買い取り量の上限設定、価格の水準や算定方法などが焦点となる見通しで、さらに事業が制限される可能性もある。事態の急激な変化で、再生エネ事業者には動揺や困惑も広がっている。これは見過ごせない。
 再生エネ普及への課題は明らかだ。送電線の設備増強や電気を一時的に蓄える蓄電池の導入である。電力会社ごとに分割されている送電線の広域運用も欠かせない。それには電力会社の発電と送電部門の分離が必要とされる。電力システム改革の実施が急務だ。
 送電線や蓄電池の整備には膨大な費用がかかるとされる。見直し論議ではその負担のあり方も検討課題になるが、国民の負担増を極力抑えるよう努力してほしい。
 何より重要なのは、政府が再生エネ導入の数値目標や行程を具体的に示すことだ。そうでなければ買い取り制度の見直しも電力システム改革もなかなか進まない。


南日本新聞 ( 2014/9/26 付 )
社説:[再エネ買い取り] 早くも欠陥が露呈した
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度をめぐり、九州電力が売電事業者への回答を保留すると発表した。保留件数は太陽光発電の適地に恵まれた宮崎、鹿児島が1位、2位を占める。
 急増する申し込みに全て応じれば、電力の需給バランスが崩れてしまう。季節によっては発電計画量が管内の全需要を上回り、大規模停電につながりかねないとの理由だ。
 買い取り制度は再エネの普及を促す切り札として、民主党政権時の2012年7月に始まった。導入2年で早くも制度の欠陥が露呈したといえる。
 制度導入をきっかけに発電を始めた全国の再エネ設備は、ことし3月末で大型原発8基分に相当する。それでも国内総発電量に占める割合は、買い取り制度を先行導入したスペイン、ドイツに見劣りするのが実態だ。
 欠陥を理由に再エネ普及にブレーキをかけるのか。それとも手直しし、バランスがとれた制度に再構築するのか。政府の取り組みが問われる。
 九電によると、買い取り価格引き下げ直前のことし3月だけで、約1年分に相当する約7万件の太陽光発電の接続申し込みが殺到した。それにしても突然の発表である。事業者に丁寧に説明し納得してもらうことが大切だ。
 回答保留中に九電は、水を利用した蓄電である揚水発電の活用、九州外への送電などを検討するという。天気に左右される太陽光の申し込みが多いのでは、接続可能量の見極め自体、相当に難しいだろう。
 さらに難しい問題は、蓄電設備や送配電網の強化にしろ、そのコストをだれがどう負担するかだ。民間任せでは、早晩行き詰まるのが目に見えていた。
 買い取り制度は大手電力会社に買い取りを義務付け、電力会社はその費用を電気料金に上乗せしている。導入時に月87円だった一般家庭の上乗せ額は、14年度は3倍近い225円に拡大した。
 再エネは持続可能な資源で、原発のように「核のごみ」問題もない。温暖化対策に有効で、地域への経済効果も期待できる。
 しかし、普及するほど消費者負担が増えるというジレンマを抱える。天候に左右されにくい地熱、バイオマス(生物資源)の活用を含めて、政府は再エネの確かな見取り図を示すべきだろう。
 安倍内閣は安全性が確認された原発の再稼働を掲げる一方、再エネの徹底活用を強調している。買い取り制度見直しは政府の本音を占うことにもなる。


琉球新報 2014年9月28日
<社説>再生エネルギー 普及を止めてはならない
 送電網の容量限界から電力会社が再生可能エネルギーの買い取りを中断する動きが出ている。政府は固定価格買い取り制度の抜本改定に着手したが、再生エネルギー普及に水を差してはならない。
 太陽光発電の導入が急速に進んだ一方で、送電設備の容量が不足しているという。電力会社によると、電力の安定供給には需要とのバランスが重要だが、太陽光発電などの新規買い取りを続けて供給量が需要を大幅に上回ると需給バランスが崩れ、停電を招く恐れがある。
 九州電力は九州全域で買い取り契約の受け付けを中断した。東京電力なども一部で受け付けを制限している。沖縄電力は住宅用を含む太陽光発電の新規申し込みを一時保留していた。現在は太陽光に接続上限を設定している。
 制度は再エネ普及の有力な手段だったはずが、電力設備の事情で受け付けが制限されるという制度の欠陥が露呈した形だ。
 太陽光の発電事業者や導入促進を掲げる自治体は「事業を今さら中断できない」と動揺している。当然だろう。再エネ普及に取り組む県内の自治体や事業者なども先行きを不安視している。
 固定価格買い取り制度は太陽光や風力などの導入推進へ、再エネ事業者が発電した電気を国が定めた固定価格で長期にわたり買い取るよう電力会社に義務付けている。太陽光発電の出力容量が急増したのは価格引き下げや制度厳格化を前に、ことし3月までに申請が殺到したことも背景にあるようだ。政府の見通しも甘かった。
 政府は買い取り量の上限設定や価格の水準、算定方法などを議論するというが、現状を抜本的に改善するには送電網の増強などが必要となろう。送電網増強には数兆円かかるとされ、国民の負担増を懸念する声もある。だが電力会社は国民的合意のない原発再稼働に振り向ける資金があれば、送電網整備に投資すべきではないか。
 識者からはスマートグリッド(次世代送電網)や蓄電池、発電量予測などの技術開発でコストを抑制できるとの指摘もある。政府が技術開発や金融面などで強力に支援すべきだ。
 そもそも買い取り制度は東電福島第1原発事故を受け、原発依存の脱却を目指してつくられた。地球温暖化が深刻化する中、再生エネルギー移行は世界的潮流でもある。流れに乗り遅れてはならない。

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