2014-10-14(Tue)

再生エネルギー 買い取り中断 普及拡大を後退させるな (3)

普及阻まぬ制度見直しを 普及の流れに水を差すな 国は民間任せにするな 国の責任で打開策示せ

<各紙社説・論説等>
東奥日報)バランスある供給体制を/再生エネ買い取り(10/13)
京都新聞)太陽光発電  国は責任ある青写真を(10/13)
熊本日日新聞)再生エネルギー 普及阻まぬ制度見直しを(10/13)
東京新聞)週のはじめに考える “大転換”の風が吹く(10/12)
秋田魁新報)再生エネ契約中断 国の責任で打開策示せ(10/10)
読売新聞)再生エネ中断 電力の安定供給が優先される(10/9)
毎日新聞)再生エネの普及 国は民間任せにするな(10/7)
徳島新聞)再生エネ契約中断 普及の流れに水を差すな(10/7)
沖縄タイムス)[再生エネ購入中断]普及の機運を妨げるな(10/6)
山陽新聞)再生エネ中断 普及拡大を後退させるな(10/5)




以下引用

東奥日報 2014年10月13日(月)
社説:バランスある供給体制を/再生エネ買い取り
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に関し、政府は現在の太陽光発電偏重を是正する方針を固めた。地熱や風力発電の導入を促す一方で、大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の認定の一時停止などの検討を進める。
 大手電力会社の間で、再生エネルギーでつくる電力の新たな買い取り契約を中断する動きが相次いでいる事態に対応した。
 太陽光は6月末時点で買い取り制度による再生エネルギー認定設備容量の96%を占める。パネルの設置が簡単なため1年程度で発電を開始でき、買い取り価格の条件も良いことから事業者が集中した。
 政府の見通しの甘さや固定価格買い取り制度の不備が露呈した形だが、多様なエネルギー源の確保は今後も進めなければならない課題だ。バランスのとれた再生エネルギーの供給体制を実現するため、制度の見直しを急ぐべきだ。
 買い取り制度は2012年7月に導入され、再生エネルギーの普及に大きな効果を挙げた。太陽光や風力などで発電した電力を、政府が定めた価格で一定期間買い取るよう、電力会社に義務付けている。買い取り価格は再生エネルギーの普及のため高めに設定、年度ごとに改定している。
 ところが、九州電力をはじめ大手電力会社が相次いで新たな買い取り契約を中断、東北電力も今月1日に管内全域で中断した。
 東北電力管内で国が買い取り制度の対象に認定した再生エネルギー発電施設の出力は5月末現在で1149万キロワットで、このうち1073万キロワットが太陽光だ。風力の受け付け可能枠の200万キロワットを加え接続すると1273万キロワットとなり、これは需要が低かった今年5月の最大電力(平日平均)の970万キロワットを大きく上回る。
 需要(消費量)と供給(発電量)の均衡は主に火力発電の出力で調整しているが、調整の範囲を超えて供給過剰となれば周波数が上昇し、発電所が次々と停止するなどして大規模な停電につながりかねない、と同電力は説明する。
 もう一つ大きな問題がある。経産省の試算によると、買い取り制度で認定を受けた太陽光などの事業者がすべて運転を開始すると、電気料金に上乗せされる金額が、標準家庭の場合、現在の毎月225円から935円に上昇、年1万円を超えることになる。
 政府は4月に策定したエネルギー基本計画で、再生エネルギーの導入を加速する方針を示した。県も再生エネルギーを生かして産業振興や雇用創出を目指す「県エネルギー産業振興戦略」を来年改定するための作業に入った。
 東北電力が青森市で開いた説明会では、事業者らから「再生エネルギーの普及に冷や水だ」「地元事業者の枠を設けて」などの声が相次いだ。電力会社は事業者らへの丁寧な説明に努めなければならない。一方、政府は再生エネルギーの普及拡大と国民負担の抑制を両立させるため、最大限の知恵を絞ってほしい。


[京都新聞 2014年10月13日掲載]
社説:太陽光発電  国は責任ある青写真を
 経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で大規模な太陽光発電施設の認定を一時停止する検討を始めた。買い取りが急増し、受け入れ能力を上回る恐れがあるとして、九州電力、東北電力など電力5社が相次ぎ新規契約を中断したのを追認する形だ。
 方針では一般家庭は契約を継続するが、事業者の新規参入や新増設を認めない。買い取り価格や算定の見直し、上限量を設ける総量規制など抜本改革も検討する。
 制度開始から2年で本格化してきた再生エネ普及のブレーキとなるのは避けられない。再生エネ事業者や立地自治体などの間で、計画見直しが必要と困惑が広がっており、慎重な対応が必要だ。
 経産省は今後、有識者会議で電力各社の受け入れ可能量を検証する。認定済みの発電量に送電網が対応できないというが、実際の稼働はまだ約15%だ。安定供給を大前提としつつ、各社に詳細データの公表も求め、受け入れ手立てはないか知恵を集めてほしい。
 今回の事態は国の制度設計の甘さと対応の遅れが招いた。地域ごとの電力需要、設備に応じた普及計画を設けなかったため、事業参入が地代の安い地方に集中。大消費地の関東、関西は再生エネの受け入れ余力があるのに融通する送電能力の限界にぶつかっている。
 土地、設備を確保していなくても認定し、宙に浮いた計画もある。買い取りは認定時の価格が維持されるため駆け込み申請も膨らんだ。今春以降、半年間に土地・設備確保ができなければ認定を取り消す運用にしたが、遅きに失した。既存案件の精査が不可欠だ。
 政府は4月に策定したエネルギー基本計画で2030年に全電源の21%を再生エネとする目標を掲げている。その実現に向け、国は事業者任せにせず、責任ある青写真と道筋を示して普及の「壁」打開を急ぐべきだ。脱原発と再生エネ拡大を政策の基軸に据えてこそ、官民とも受け皿整備や技術開発に思い切った投資ができる。
 先進地・欧州の経験も参考にしたい。再生エネが約4割を占めるスペインは気象情報から発電量を予測し、需要に応じ細かな出力調整をしている。ドイツも送電網整備で安定供給に努めている。
 日本では地域間の送電網整備に数兆円の費用が見込まれる。再生エネ拡大に伴う電気料金への上乗せ負担増も課題で、国の役割が欠かせない。巨額の核燃料サイクル事業はじめエネルギー政策全体を見直せば不可能ではないはずだ。


熊本日日新聞2014年10月13日
社説:再生エネルギー 普及阻まぬ制度見直しを
 固定価格買い取り制度の導入後、順調だった再生可能エネルギーの普及に水を差す事態だ。買い取り制度は大手電力会社に再生エネでつくった電気の全量買い取りを義務付けているが、新たな買い取り契約を見合わせる動きが広がっている。
 こうした動きを受け、政府は早急な対策が必要と判断し、2017年ごろの予定を前倒しして買い取り制度の抜本改定に着手した。小渕優子経済産業相は「再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」と発言。総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会に専門部会を設けて電力各社の再生エネ受け入れ能力や送電網の増強策について検討、年内に結論を出す考えだ。
 経産省は当面の措置として大規模太陽光発電所(メガソーラー)認定の一時停止を検討しており、15日に開く小委員会に提示する。買い取り制度の見直しは必要だが、これまでの再生エネ普及の機運をしぼませないようにしたい。
 新規買い取り中断の背景には、12年7月に始まった買い取り制度で太陽光発電の導入が急速に進んだことがある。ところが、太陽光は天候の影響を受けやすく、発電量が安定しないのが弱点。電力の安定供給のためには需要と供給のバランスを取り続ける必要があるが、送電設備の容量が足りなくなるケースも相次いでいる。このまま新規買い取りを続ければ需給バランスが崩れて大規模停電を引き起こす懸念があるというのだ。
 北海道電力や沖縄電力は一部購入に上限を設けていたが、供給管内全域で新規買い取り中断に踏み切ったのは九州電力が初めてだった。
 九州電力は先月25日から契約受け付けを中断した。期間は数カ月の予定で、該当するのは太陽光のほか風力やバイオマスなど買い取り制度の対象となる再生エネの発電設備。管内全域で約7万2千件、設備容量は約1200万キロワットに上る見込みで、うち熊本支社管内は約9千件、約240万キロワット。
 これに四国電力、北海道電力、東北電力、沖縄電力が追随。大手電力10社のうち5社が管内全域での新規買い取り中断を決めた。
 一方、参入に向けて資金調達などの準備を進めてきたメガソーラー事業者や、再生エネを推進してきた自治体には混乱が広がってる。買い取り制度は原発依存からの脱却を目指してつくられたが、当初から太陽光発電に偏っていると指摘されていた。そうした制度設計や見通しの甘さが招いた行き詰まり、混乱と言えよう。
 政府は地熱や風力発電の導入を促進し、太陽光偏重を改めるという。需給バランスの問題は、電力会社が垣根を越えて広域で電気を融通し合う態勢をつくることなどで解決できる。だが、そのための送電網整備は巨額投資が必要で、電力会社任せでは進まないだろう。政府は4月に策定したエネルギー基本計画で再生エネの導入加速方針を掲げている。もっと政府は前面に立つべきだ。


東京新聞 2014年10月12日
【社説】週のはじめに考える “大転換”の風が吹く
 ドイツでは、再生可能エネルギーが急速に普及しています。かといって、電力が足りなくなることはなく、ものづくりも好調です。風は誰が吹かすのか。
 今年ドイツでは、電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合が、28・5%になりました。
 二〇〇〇年には3%しかなかった風力や太陽光の電力が、25・1%の褐炭火力を抜いて電源別第一位の座に就いたのです=写真。
 日本では、せいぜい2%程度しか、太陽や風の力を活用していません。ドイツでは、なぜ増えていくのでしょうか。
 「そもそも、なぜエネルギーベンデ(大転換)が必要か」
 ドイツ環境・建設・原子力安全省気候変動対策・エネルギー転換局長のトーステン・ビショッフさんは問い掛ける。
 ドイツで公表された最新の予測では、二一〇〇年までに世界で二億人を超える人々が、地球温暖化による海面上昇に暮らしや命を脅かされる。中国だけでも五千万人、日本では千三百万人が影響を受けるという。
 温暖化を食い止めるため、世界は行動を起こさなければなりません-。私たちの想像以上に欧州は、温暖化に対する危機感を強く共有しています。
 「エネルギーベンデは、温室効果ガス削減の特別な道具です」とビショッフさん。
 連邦政府が描く二〇五〇年までの温室効果ガス削減のシナリオには「再エネ電源を八割にする」と明記されています。
 福島原発事故による連邦政府の脱原発政策が、再エネの普及を加速させました。
 国として確かな目標を持つ-。このことがエネルギーベンデの大前提になっている。目標を実現するために、連邦政府は厳格なルールを掲げています。
◆再エネが奏でる主旋律
 ビショッフさんはその原則を「再エネが主なリズムを奏で、他の電源がそれを補う」と表現します。送電線の中では再エネの電力が最優先、火力や原子力は常に、道を譲らなければなりません。
 発電事業と送電事業は完全に分離され、送電事業者は再エネの電力を、決められた値段で無制限に買い取らなければなりません。
 風力や太陽光は天候に左右されやすく、電源として不安定な面があるのは否めない。それを承知で再エネを電力の主役に据えたことにより、ドイツでは、ベースロード電源という考え方が、時代遅れになりました。
 日本のエネルギー基本計画では、原発を維持する理由にされた、二十四時間、安定的に使える高出力の電源が、不要になるということです。その代わり、送電網の拡充と近代化が必要です。
 再エネ電力の売り手の多くは、個人や小規模事業者です。
 小規模で多様な電力をまとめ上げ、よりスムーズに家庭や事業所へ送り込むマネジメントが、送電事業者の役割です。高圧超電導ケーブルの開発など毎時、毎分、毎秒単位の需給調整が可能になるような、柔軟な送電網の確立にドイツは挑んでいるのです。
 エネルギーベンデとは、電源の転換だけではありません。送電網も含めたエネルギーシステム全体の大転換を意味しています。
 日本では、再エネの買い取り申請が増えすぎて、大手電力会社が受け入れを中断し始めた。
 不安定な再エネ電力が送電線に殺到すると、周波数が乱れ、停電を引き起こす恐れがある…。ドイツではできない言い訳です。
 もう一つ、エネルギーベンデに欠かせないのが、電力消費者の理解でしょう。
 再エネの買い取り料金が賦課されて、家庭の電気料金が値上がりしたのは確か。ところが世論調査では、ドイツ市民の九割以上が惑うことなくエネルギーベンデを支持しています。石油やガスを輸入しなくていい社会、原発事故や温暖化の心配がない未来への投資だと、割り切っているからです。
◆市民が何を選ぶのか
 ビショッフさんに「政府の意思と国民の選択が、成功の秘訣(ひけつ)でしょうか」と聞いてみました。
 ビショッフさんは、にっこり笑って言いました。
 「ドイツでも四年に一度、連邦議会の選挙があるからね」
 風車へ風を送るのも、太陽光に光を当てるのも、結局は私たちだということです。


秋田魁新報 (2014/10/10 付)
社説:再生エネ契約中断 国の責任で打開策示せ
 東北電力など電力各社が再生可能エネルギーの買い取り契約手続きを中断し、発電事業者から批判が相次いでいる。
 再生エネルギーは東京電力福島第1原発事故以降、普及に向けて取り組みが進んでいたが、そこに突然の手続き中断である。このままでは脱原発依存を支える再生エネルギーの推進が危うくなりかねない。固定価格買い取り制度をつくった国の責任は重く、国と電力各社は受け入れ再開に向けた道筋を一日も早く示さなければならない。
 買い取り制度はエネルギー自給率の向上や地球温暖化対策として2年前に始まり、事業者からの買い取りを電力各社に義務付けた。国のエネルギー基本計画も再生エネルギー導入を最大限加速し、送配電網の整備を進める方針を盛り込んでいる。
 特に太陽光発電は、買い取り価格が高いことから事業参入が急増。電力各社は、電力の過剰供給により大規模停電を招く恐れがあるとして契約手続きを中断した。東北電は受け入れに余裕がある風力を除き、太陽光や水力、地熱、バイオマスの一定規模以上について今月から中断している。
 秋田市で開かれた東北電の説明会では、事業者から「あまりに唐突」「国の政策を根幹から揺るがす事態だ」との怒りの声が上がった。東北電は中断の期間を「数カ月」と説明しているが、その間、どのような対策を検討しているのか情報を随時公開してほしい。融資を受けて事業に乗り出す企業もあり、経営に大きく影響するからだ。
 事業参入急増の背景には、買い取り額が年度ごとに下がるため、2013年度末に設備認定の駆け込み申請が殺到したことがある。
 電力各社はなぜ、もっと早く買い取り制限の見通しを示せなかったのか。事業者から見れば、買い取りは国が制度として約束したものだ。遊休地などの利用による太陽光発電の導入で電力事業に貢献でき、将来的な収益増も見込めることから、参入が増えることは予想できたのではなかったか。
 電力各社の手続き中断を受けて、国は制度の抜本見直しに着手。今後は買い取り量の上限設定や価格の水準などが焦点となる。価格が大きく変われば、企業の事業計画に影響するだけに慎重な検討が必要だ。
 買い取り分は電気代に上乗せされており、家庭や企業の負担軽減も考慮しなければならない。再生エネルギーの普及と国民の負担をどう両立させるのか。消費増税後は特に負担が重くなっており、消費者側の視点も忘れないでもらいたい。
 電力の小売り全面自由化は2年後にも始まる。これによって電力事業が多様化し、事業参入はさらに増えるはずだ。今回の手続き中断のような事態を再び招けば、電力改革そのものの信頼性が揺らぐことを国は認識しなければならない。


読売新聞 2014年10月09日 01時42分
社説:再生エネ中断 電力の安定供給が優先される
 太陽光や風力など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を巡り、大手電力会社が、新たな受け入れを中断する動きが広がっている。
 電力10社のうち北海道、東北、九州など7社で、買い取り申請が急増し、受け入れ能力を超えた、と説明している。このままでは、電力需給バランスが崩れ、停電を起こす恐れがあるという。
 再生エネはできる限り普及させたいが、電力の安定供給が最優先である。政府は買い取り制度の欠陥を早急に正さねばならない。
 政府が認定した再生エネ発電所がすべて稼働した場合の供給能力は7000万キロ・ワットとなり、全発電量の2割を目指すという政府目標の9割を達成できる計算だ。
 数字の上では再生エネ導入が順調に進んでいるように見えるが、落とし穴があった。
 太陽光などは、天候や時間帯によって発電量が急激に変動する短所を抱えている。需要量と的確に均衡を保たないと、電気の周波数や電圧が乱れ、停電や設備の故障を引き起こす恐れがある。
 再生エネが多いほど、火力など他の電源の発電量を調整し、需給均衡させることが困難になる。
 再生エネ特別措置法が、電気の円滑な供給に支障が生ずるおそれがある場合は、電力会社が再生エネの買い取りを拒否できると定めているのは、このためだ。
 再生エネ導入の急加速を受け、電力各社が、将来の安定供給に危機感を持ち、受け入れ制限に踏み切ったのは理解できる。
 経済産業省は有識者による作業部会を設け、再生エネ買い取り可能量の調査を始めた。小渕経産相は7日の参院予算委員会で「年内に検証を終えたい」と述べた。
 再生エネ発電の計画が中断を強いられ、窮地に立つ事業者も少なくない。正確なデータに基づき、しっかり検証してもらいたい。
 再生エネ発電をより多く受け入れるには、大型蓄電池の設置や、電力会社間の送電線拡充による余剰電力の相互受け入れなどの手段がある。ただ、これらを本格的に実施するには、兆円単位の費用がかかると言われる。
 再生エネを急激に拡大すれば、こうしたコストがかさむことは予想されていたが、それを賄うルールさえ決まっていない。 高すぎる買い取り価格や審査体制の不備なども含め、民主党政権時代に決めた制度設計の甘さが、問題の根幹にある。政府は制度を抜本的に見直し、現実的な再生エネ普及策に改めるべきだ。


毎日新聞 2014年10月07日 02時30分
社説:再生エネの普及 国は民間任せにするな
 再生可能エネルギーの普及に暗い影が差している。
 大手電力会社の間で、固定価格買い取り制度(FIT)に基づく太陽光と風力発電の新規受け入れを停止する動きが広がっている。供給量が急増し、受け入れ能力が足りなくなったからだ。再生エネ普及を加速させるには、受け入れ能力の拡充に国が責任を持つ必要がある。
 国内では1000万キロワットを超える再生エネ発電が稼働し、FITで認定済みの設備を含めると、発電容量は7000万キロワットを上回る。すべてが動くと政府がエネルギー基本計画で示した「2030年に全体の約2割をさらに上回る」との目標を達成する計算だ。
 しかし、このままでは絵に描いた餅になりかねない。九州電力や北海道、東北、四国、沖縄の電力5社が新規受け入れを一時停止すると発表したからだ。
 FITは毎年4月に買い取り価格を見直すが、価格を引き下げる直前の3月、太陽光を中心に高い買い取り価格を狙った「駆け込み申請」が殺到した。その結果、経済産業省の認定を受けた発電容量が受け入れる電力5社の需要のピークを上回ってしまった。認定分がフル稼働すると電力会社が自前の発電所を完全に止めても電気が余るということだ。
 電気は需給の均衡が崩れると発送電設備に過大な負担がかかって大規模停電を起こすおそれがある。そこで各社は数カ月かけて受け入れ可能量を検討するという。不安定な電源として拒絶するのではなく、最大限受け入れる努力を求めたい。
 経産省は各社の受け入れ可能量を検証する有識者会議を設置し、受け入れを促す方針だ。それ自体は必要だが、抜本解決にはつながらない。現状では需要のピークを超える電気は受け入れようがないからだ。
 再生エネ発電は都市部から遠く、地価が安い地域に集中する。こうした事態を招くことはFITを導入した時から想定できたはずだ。制度設計を早急に見直す必要がある。
 再生エネを増やすには電力会社の垣根を越えて送電網を強化し、広い地域で電気を融通しなければならない。しかし、それには数兆円単位の費用がかかる。エネルギーの将来像が明確に示されない中で、民間会社である電力会社だけにそうした負担を強いるのは難しい。国の支援が不可欠と言える。
 政府は核燃料サイクル事業のために20兆円近い費用がかかると試算している。これは原発の存続を前提としたものだ。一方、再生エネ拡大は原発依存から脱却するために欠かせない。限られた予算は、そのために振り向けるべきだ。


徳島新聞 2014年10月7日付
社説:再生エネ契約中断 普及の流れに水を差すな
 四国電力など電力会社の間で、再生可能エネルギーの固定買い取り制度に基づく新規契約を、一時中断する動きが広がっている。
 太陽光発電設備が予想を超えるペースで増え、供給が需要を一時的に上回る恐れが出てきたためだという。
 買い取り制度が追い風となり、再生エネ普及の機運は高まっている。技術的な問題があるとはいえ、その流れに水を差すようなことがあってはならない。
 10キロワット未満の家庭用は契約中断の対象から除くものの、徳島県など再生エネ導入に積極的な自治体や発電事業者への影響は小さくない。契約が再開できるよう、政府や電力各社は早急に対策に取り組む必要がある。
 管内全域で新規契約を中断したのは四国と北海道、東北、九州、沖縄の5電力会社だ。東京、関西両電力も一部地域で制限している。
 四電によると、太陽光発電の供給が需要を超えると、電気の周波数が不安定になり、停電など電力供給の障害が起こりやすくなるという。
 買い取り制度が始まった2012年以降、四電に契約申し込みがあった太陽光発電量は、今年8月末時点で未接続を含め187万キロワット(うち徳島県41万キロワット)に上る。風力発電の受け付け上限60万キロワットなどを加えると約260万キロワットとなり、フル稼働すれば、春や秋の低需要期の需要を上回る恐れがあると見込まれている。
 他の電力会社も理由は同じで、各社とも今後、他地域への融通などの対策を検討し、契約可能な再生エネの出力や契約再開の時期を判断するとしている。
 経済産業省も近く専門部会を立ち上げ、各社の再生エネ受け入れの取り組み状況を検証する。余った電力で水をくみ上げ、不足時に動かす「揚水発電」が有効に活用されているかなど、精査すべき点は多い。中立の立場でしっかり点検してもらいたい。
 再生エネをさらに増やすためには、送電線網の容量拡大や、余剰電力を各社間で融通するための送電線「連系線」の増強が不可欠だ。
 広い土地を確保しにくい首都圏など大都市部では、地方に比べて太陽光発電量は多くない。連系線を増強すれば東北電から東電などへと、太陽光発電の電気をより多く送ることができる。
 問題は費用負担をどうするかだ。電力小売りの全面自由化や発送電分離により、送電線が将来、道路のように公共インフラの性格が強まることも考慮されよう。
 専門家からは、気象データに基づき、再生エネの発電量を精密に予測する技術を開発し、需給バランスを保つ方策を探るべきだといった提言も出されている。
 発電した電気をためておく蓄電池の整備も必要だ。技術開発を急ぎたい。
 発電量を安定させるためには、天候の影響を受けやすい太陽光や風力だけではなく、地熱やバイオマス発電の普及にも力を入れるべきだ。
 政府は再生エネの増加を受けて、買い取り量に上限を設ける「総量規制」や、買い取り価格の引き下げなどを検討するという。
 割高な買い取り価格によって電気料金が高くなるのは避けなければならないが、再生エネ導入への意欲をそいではいけない。


沖縄タイムス 2014年10月6日 05:30
社説[再生エネ購入中断]普及の機運を妨げるな
 太陽光など再生可能エネルギーの普及にブレーキがかからないか懸念が募る。電力会社が、再生可能エネルギーの買い取りを中断する動きが広がっているからだ。
 九州電力が9月25日から固定価格買い取り制度に基づく契約の受け付けを中断した。北海道、四国、東北の各電力会社も同様に買い取り契約の手続きを中断。沖縄電力は、太陽光発電の接続を申し込んだ世帯のうち、8月8日以降の申し込み分が「接続可能量」を超えたため、接続できない状況になっていると発表した。
 九州電力などによると、電力の安定供給には需要とのバランスを保つ必要がある。しかし、太陽光発電の急増で、供給力が需要を大幅に上回ると需給バランスが崩れ、安定供給に支障が出る可能性があるという。
 そもそも、政府が2012年7月に再生エネルギーの固定価格買い取り制度を導入したのは、東京電力福島第1原発事故を受け、原子力や化石燃料に代わる再生エネルギーの普及を図ることが目的だったはずだ。
 そのため、太陽光などで発電した電力を政府が定めた価格で一定期間、電力会社が全量を買い取るよう義務づけ、普及を促進するため買い取り価格を高めに設定した。太陽光発電の急増は、その効果が表れたものだともいえよう。
 にもかかわらず制度導入から、わずか2年で大きな壁に突きあたったのはなぜか。再生エネルギー受け入れに必要な送電網強化など環境整備を怠ったためではないか。制度設計も含め、国の見通しの甘さが招いた事態である。
    ■    ■
 これを受けて政府は、固定価格買い取り制度の改定に乗り出した。小渕優子経済産業相は「再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」と述べた。
 具体的には年間の買い取り量の上限設定、買い取り価格の水準や算定方法の見直しなどが軸になる見通しだ。だが、これまで順調に進んできた再生エネルギー普及に水を差すようなことになってはならない。
 送電網や蓄電池の整備に要する費用負担をはじめ、電気料金に上乗せする賦課金の適正化など課題は残る。一方、電力システム改革で電力融通を担う広域的運用機関が来年4月から業務開始する。今後、電力小売りの自由化や発送電分離などを目指す。こうした改革を送電網の増強などに生かし、効率的な制度見直しにつなげることが必要だ。
    ■    ■
 固定価格買い取り制度を受け参入した太陽光発電事業者などへの影響も懸念される。電力会社には、積極的な情報開示と今後の対応を含めた丁寧な説明が求められる。
 安倍政権はエネルギー基本計画で、再生エネルギーの導入加速を掲げ、水力を含む再生エネルギーの割合を現在の1割から2割以上の水準に増やす目標を設定している。
 地球温暖化対策の観点から再生エネルギーへの転換は世界の潮流である。安倍政権は、脱原発の姿勢を鮮明にし、再生エネルギー推進の具体的な道筋を示すべきだ。


山陽新聞 (2014年10月05日 09時04分 更新)
社説:再生エネ中断 普及拡大を後退させるな
 大規模太陽光発電所(メガソーラー)など再生可能エネルギーの普及にブレーキがかかり始めた。再生エネルギーによる電力の固定価格買い取り制度で、北海道、東北、四国、九州、沖縄の5電力会社が、事業者からの買い取り契約の手続きを供給管内全域で中断することを決めた。
 電力各社によると、太陽光発電を中心に買い取り契約が急増した。全て接続すると送電網が受け入れることのできる容量を上回り、電力の安定供給に支障をきたすと判断したという。
 固定価格買い取り制度の不備が露呈した格好だ。電力会社による受け入れの中断が広がっていることを受け、政府は制度の抜本改定に乗りだした。再生エネルギーの普及を後退させることのないよう、施策を講じることが不可欠である。
 固定価格買い取り制度は、再生エネルギーの導入を推進するため2012年7月に始まった。再生エネルギー事業者が発電した電気を、国が定めた固定価格で長期にわたり買い取るよう大手電力会社に義務付けている。安定供給に支障が生じる恐れがある場合は買い取りを拒否できる。中国電力は現時点では制限を検討していない。
 買い取り価格が高めに設定されていることなどから、政府や電力会社の想定を超える事業者が参入した。とはいえ、送電網の容量不足の問題は以前から指摘されていた。専門家からは、送電網の受け入れ能力を見極めず、発電設備の認定を続けた経済産業省の対応を批判する声も出ている。制度設計や見通しの甘さは明らかだろう。
 制度の抜本改定では、年間の買い取り量に上限を設けることや、買い取り価格の水準が焦点になる見込みだ。現行制度は、電力会社が払う買い取り費用は一般の電気料金に上乗せされており、買い取り量が増えれば、国民負担が重くなる仕組みとなっている。消費者の負担増をできるだけ抑制する必要はあるが、改定が再生エネルギーの失速につながっては元も子もない。
 送電網についての問題では、接続可能量の拡大策を検討するため経産省が、総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会に、中立的な有識者による専門部会を設ける。余った電力の他社への融通や、需給調整するための揚水発電の活用など、電力各社が再生エネルギーによる電力の受け入れで十分な措置を講じているかをしっかり検証することが必要だ。
 発電した電気をためておく蓄電池の整備や、電力システム改革を踏まえた方策も求められよう。
 東日本大震災前のように原発に大きく依存することは不可能である。再生エネルギーは日本にとって重要なエネルギーであり、地球温暖化対策としても、その比率を高めざるを得ない。着実に普及拡大していくべきだ。

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