2014-10-21(Tue)

ダム堆砂 機能低下 100カ所5割 

20か所 計画量も上回る 土砂流入、洪水リスク高まる 検査院調べ

会計検査院が、国土交通省所管ダムのうち約210カ所を調べた。
うち、5割にあたる100カ所余りで土砂がダムにたまり、洪水を防ぐ機能が弱まっていた模様だ。

検査院は、上流部が浸水する危険性が高まるため、土砂がたまらないよう国交省に対策を求めた。

国交省所管ダムは、直轄と、都道府県が管理する補助ダムで全国に計約550カ所。
このうち計約210カ所(約2兆4千億円の国費を投じた)を抽出し、調べた。
 
その結果、100カ所余りで相当量の堆砂が確認された。
なかには、稼働後100年でたまる堆砂量の予想を超えたダムが約20カ所もあった。
3倍以上のダムもあったという。

稼働から約60年たったダムもある。
堆砂など洪水機能の低下したダムが増えていることが確認された。

これらのダムが、洪水調整にどれだけ役立ってきたのだろう。
コンクリート構造物は必ず老朽化。・機能低下する。維持更新費用もずっとかかる。
検証することなしに、新たにダムを造りつづけていいのか。いま問われている。

会計検査院
「ダムの維持管理について」全文(PDF形式:188KB)
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/pdf/261021_zenbun_03.pdf
調節池等の維持管理について」全文(PDF形式:134KB)
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/pdf/261021_zenbun_04.pdf






以下引用

会計検査院法第36条の規定による処置要求
平成26年10月21日会計検査院
会計検査院は、平成26年10月21日、国土交通大臣に対し、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求しました。
ダム維持管理について」
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/h261021_3.html
•全文(PDF形式:188KB)
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/pdf/261021_zenbun_03.pdf
調節池等の維持管理について」
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/h261021_4.html
•全文(PDF形式:134KB)
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/pdf/261021_zenbun_04.pdf

会計検査院
第36条会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。

******************************************

朝日新聞 2014年10月21日12時16分
ダムの土砂「排除している」国交相、機能低下指摘に反論
 国土交通省所管のダム約210カ所を会計検査院が調べたところ、100カ所余りで土砂がたまり洪水を防ぐ機能が弱まっていたとされる問題で、太田昭宏国土交通相は21日、「土砂の排除は常にやっている」と述べ、洪水を防ぐ機能は損なわれていないと反論した。
 太田国交相は「検査院から現時点で正式な文書は届いていない」としたうえで、ダムは100年でたまる土砂の量を予想して計画・建設しているが、洪水を防ぐ層にも砂がたまることがあることは認めた。その一方、「浚渫(しゅんせつ)や迂回(うかい)トンネル建設などで(土砂を)できるだけ早く取り除いている」とした。


NHK 2014年10月21日 17時50分
全国のダム調節池 土砂堆積で機能低下

洪水を防ぐために整備されたダム調節池について、会計検査院が調べたところ、河川から流れ込んだ土砂が想定を超えて堆積するなどして、20か所のダムと76か所の調節池で、洪水を防ぐ機能が低下しているおそれがあることが分かりました。
 会計検査院は、国土交通省に改善を求めました。
会計検査院は、洪水対策として、国土交通省が全国に整備しているダムや調節池の状況を調べました。その結果、ダムは、河川から流れ込む土砂の量を100年分推計して設計されていますが、実際には、長野県の松川ダムなど、20か所のダムで、流入した土砂が想定を超えてダムの底に堆積し、洪水を防ぐ機能が低下しているおそれがあることが分かりました。
 松川ダムは、建設から40年近くで想定の1.4倍の土砂が堆積したということです。
 一方、76か所の調節池では、堤防の高さのチェックなど具体的な点検の方法を定めた管理マニュアルが作成されておらず、雨水をためる機能が維持されているかどうか十分に確認できていないということです。
 高知県の仁淀川に整備された岡花調節池では、堤防の高さが計画よりも最大で1.5メートル低くなっていて、想定した7割ほどの雨水しかためられない状態になっていました。
 会計検査院は、洪水を防ぐ機能が低下しているダムや調節池について改善を急ぐよう国土交通省に求めました。


時事通信(2014/10/21-17:06)
ダム200カ所で管理不備=土砂堆積、治水機能低下も-検査院
 洪水を防ぐため建設された治水ダムのうち、全国200カ所以上で適切な管理が行われず、大雨に備えた貯水容量が想定より不足するなどしていることが21日、会計検査院の調査で分かった。局地的豪雨や台風に対処できない恐れがあるとして、検査院は国土交通省に適切な対応を求めた。
 検査院は全国約500の治水ダムのうち、2012年度までに建設され国交省と21道府県が管理する211カ所を調べた。
 検査院によると、ダム建設では100年間で底部にたまる土砂の量を想定して貯水容量などを決めるが、20のダムは完成後20~60年で堆積量が計画を上回り、容量が減少。想定の2倍以上の土砂が堆積しているダムも6カ所あった。
 また堆積量が想定内でも、106カ所ではダムの斜面など底部以外に土砂がたまり、洪水に備え空けておくべき容量が不足。多い所では容量が約2割減少していた。55カ所では堆積量を算出しておらず、容量の減少を反映せず放水や貯水の計画を立てていたダムも152カ所あった。
 このほか5カ所では地震計などの故障を放置。通報装置や非常用電源など災害への備えが不十分なダムも多数あった。
 維持管理費の不足などが背景にあるとみられ、何らかの問題があるダムは約95%の201カ所に上った。検査院は「4兆円近い建設費が掛かっており、日常から適切に管理すべきだ」と指摘した。
 国交省は「内容を精査していないが、一般的には設計には余裕を持たせてあり、直ちに機能に支障が生じることはない」としている。


共同通信 2014年10月21日 17時31分
ダム106カ所、治水低下 土砂堆積で増水分の容量減 
 大雨による洪水を防ぐため建設された全国のダムのうち106カ所で、上流の川から流れ込んだ土砂が堆積し、増水分をためる容量が減っていることが21日、会計検査院の調べで分かった。治水機能が低下し、局地的な豪雨などの場合に下流域での災害につながる恐れもあり、検査院は国土交通省に土砂を取り除くなどの対策を求めた。
 検査院によると、国や都道府県はダム建設の際、100年間に流入する土砂の量を想定。その上で、工業や農業に使う利水用の容量と、大雨などによる増水分である「洪水調節容量」を確保している。(共同)


朝日新聞 2014年10月16日05時00分
ダム100カ所、防災機能低下 土砂流入、洪水リスク高まる 検査院調べ
ダムに土砂が流入すると洪水を防ぐ機能が弱まる

 国土交通省が所管するダムのうち約210カ所を会計検査院が調べたところ、5割にあたる100カ所余りで土砂がダムにたまり、洪水を防ぐ機能が弱まっていることがわかった。上流部が浸水する危険性が高まるため、検査院は土砂がたまらないよう国交省に対策を求める方針だ。
 国交省によると、平時のダムは閉じた水門付近で水位を保ち、それより低い層で飲料水や工業用水を供給している。豪雨などで川が増水すると、水門より高い層に水をためていき、一定の貯水量に達すると水門を開いて下流に放水し、洪水を防いでいる。土砂が水門の高さを超えると洪水を防ぐ機能が弱まり、上流の川底にも土砂がたまって流域の浸水リスクも高まる。
 国交省直轄のダムと、国の補助を受けて都道府県が建設したダムは全国に計約550カ所ある。このうち約2兆4千億円の国費を投じた計約210カ所を検査院は抽出。国交省が把握している各ダムの土砂の測量結果などをもとに、洪水を防ぐ機能などを調べた。
 その結果、100カ所余りで土砂が部分的に水門の高さを超え、洪水を防ぐ機能が弱まっていた。
 国や都道府県は、稼働後100年でたまる土砂の量を予想してダムを設計・建設している。また、最も古いダムでも稼働から約60年だ。ところが、検査院が土砂の量を調べると、約20カ所ですでに100年後の予想量を上回り、3倍以上のダムもあった。
 国交省河川環境課は「調査の詳細がわからないのでコメントできない」とした上で、ダムの土砂については「著しくたまれば上流域の浸水被害の原因になり得る。ただちに支障が生じるとは認識していないが、土砂の除去には費用と時間もかかり、対策が進んでいないダムもある」と認めた。(水沢健一)
 ■財政圧迫、進まぬ除去
 長野市西部の奥裾花(おくすそばな)ダム。管理する長野県河川課によると、稼働から100年でたまると予想した1・3倍の土砂が昨年末、わずか33年でたまった。
 抜本対策には計100億円近くかかる可能性があり、この10年近くは土砂を取らず、調査だけしてきたという。担当者は「早く対策をとらなければいけないが、費用を考えると慎重に決めざるをえない」と話している。
 1956年にできた宮崎県日向市の渡川(どがわ)ダムでは、予想量の4・4倍の土砂が今年3月までにたまった。年約4千万円をかけて土砂を取り除くが、減る気配はない。県河川課は「大きな予算は見込めない。当分の間、豪雨の前に放水して水位を下げ、貯水容量を確保するしかない」とする。
 今回の調査対象外だが、ダムにたまった土砂の影響で被害が出た例もある。2011年7月の福島県の豪雨では只見川が増水し、同県金山町などで住宅が全半壊した。下流の水力発電ダムには予想量を超える土砂がたまっており、管理するJパワー(電源開発)は「土砂が原因で浸水した」として、一部住民に補償金を払った。
 国や都道府県は予想量をもとに「ダムの寿命は100年」とし、建設の根拠としてきた。だが、市民団体「水源開発問題全国連絡会(水源連)」の情報公開請求で7月に国交省が開示した文書には、予想量を超えたダムが複数並んでいた。
 水源連の嶋津暉之共同代表は「国はダムを建設したいので予想量を甘く見積もるが、100年も持つはずがない。大量にたまれば除去費用がかかり、新たな国民の負担になる」と指摘している。(贄川俊、小林誠一)
 ■ダム治水の限界
 今本博健(ひろたけ)・京都大名誉教授(河川工学)の話 ダムは土砂が底から順にたまることを想定して設計されているが、実際は上流側の洪水を防ぐ層に偏ってたまっていく。このため稼働から数年でも洪水を防ぐ機能が急激に落ちることがある。水を十分にためられなくなると放水の頻度が一気に増え、下流で氾濫(はんらん)が起きるおそれもある。人命にかかわる問題だが土砂の除去には巨費がかかり土砂を運ぶ場所も見つかりにくい。ダムによる治水の限界と言える。堤防強化に予算を振り向けるなど別の手法を考えていくべきだ。

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