2014-10-25(Sat)

地方創生  審議始まるが・・・ (1)

競争に走り過ぎるな 東京一極集中を解消する展望と構造的な改革こそ必要

----一方で地域の競争力の強化や、新規ビジネスなどに安倍政権の視点が偏りがちな傾向も感じられる。首相が所信表明演説で地方の努力を紹介したのはよいが、多くは特産物や輸出振興など産業に関わる事例だ。
 アベノミクスの競争原理や成長戦略だけから地方創生を目指すのであれば、現在の国家戦略特区を拡大すれば済む話ではないか。(毎日新聞)

----東京一極集中と地方の過疎化に歯止めをかけようという動きは40年以上も前から試みられた。昭和47年、田中角栄首相が「日本列島改造計画」を打ち出したのが最初。全国に交通・情報通信網を構築し、工業や産業を日本全体に「再配置」。中央と地方の均衡ある発展をさせようという発想だった。
 しかし、この構想は「カネ余り」を背景に地価の高騰・買い占めが横行し、折からの石油危機が重なり激しいインフレを招き、頓挫してしまう。次は昭和62年に竹下登首相が提唱した「ふるさと創生」である。「自ら考え自ら行う地域づくり」を基本に、地域主導による過疎からの脱却の活動を支援しようとのことであった。
 そのため各市町村が自由に使える資金として1億円ずつを交付する。市町村はさまざまな事業を展開したが、竹下政権自体がリクルート事件と消費税導入への批判を受けて退陣、その後のフォローもなく、これも尻切れトンボに終わる。これ以降、この問題に真正面から取り組む政権はなく、大都市への人口流失、地域の少子・高齢化、その結果としての過疎化や寂れが深刻の度を増した。(福島民報)

----若者が東京など大都市へ流出するのを食い止めるために東京一極集中の是正が急務であるにもかかわらず、論戦を通じて首相がこの点に触れることはなかった。これでは地方創生にどこまで真剣に取り組もうとしているのか、その本気度が問われよう。
----一方、目玉政策とする地方創生についても具体的な提示がない。所信表明では「ふるさと名物」を人気商品にする支援などを挙げ、「気概を持てば景色は一変する」と言い切る。やればできる、といったスローガンで乗り切れるほど地方の状況は甘くない。東京一極集中を解消するための中長期の展望と構造的な改革こそ必要だ。(愛媛新聞)

<各紙社説・論説>
岩手日報)中小企業の廃業 地方の活力が失われる(10/13)
琉球新報)人口減への不安 地方再生につなげる施策を(10/13)
毎日新聞)地方創生の針路 競争に走り過ぎるな(10/6)
山陽新聞)国会論戦 看板政策の道筋が見えぬ(10/3)
愛媛新聞)臨時国会 国民の不安拭う説明求めたい(10/1)
南日本新聞)[地方創生] 人口減少に危機感もて(10/4)
福島民報)日曜論壇:地方創生-中央も変革を(9/28)




以下引用

岩手日報(2014.10.13)
論説:中小企業の廃業 地方の活力が失われる
 中小・零細企業の後継者問題が大きな課題として浮上してきた。高度成長期に創業した多くの企業は世代交代期を迎えたが、事業を受け継ぐ人材が決まっていない。
 中小企業は減少の一途。2014年版中小企業白書によると、中小企業・小規模事業者の企業数は直近の3年間で35万も減った。
 倒産が少なくなっているのに工場や商店が減少するのは休廃業・解散の増加が原因。中小企業白書によると、廃業を決断した理由は「事業の先行き不安」もあるが、「経営者の高齢化・健康問題」の方が半数近くを占めて圧倒的に多い。
 問題は事業を引き継ぐ人がいないことだ。もちろん、事業の将来に明るい見通しを持てないことが事業承継を断念した最大の要因だが、後継者がなく廃業に至ったケースが少なくない。
 県などが3年に1度実施している商店街実態調査の当面の問題点は、かつては「郊外の大型店の影響」が多かったが、最近の調査では「経営者の高齢化・後継者難」がトップになった。
 次いで「利用者(顧客)の高齢化」が続く。商店を取り巻く環境が、少子高齢化によって年々厳しくなっていることが分かる。
 東日本大震災のため、調査は2009年度以降行われていないが、地方では人口減少が著しい。商圏がどんどん狭まり、この傾向はさらに強まっていくだろう。
 その波をもろにかぶっているのが、小規模な自治体に根を下ろす商工会だ。県商工会連合会によると、青年部会の会員が一けたのところも出てきた。次の世代の経営者がいない。
 このままでは地域社会の重要な構成員である企業が姿を消しかねない。今の減少の中心は規模の小さい企業だが、中規模企業に波及すれば、市町村の税収や雇用に深刻な影響を与える懸念がある。
 課題は経営力を強化して、次の世代が引き継げる企業に育てていくことだ。県商工会連合会は、目標を従来の「数の維持」から「企業の質の向上」に切り替えた。
 人口減や消費生活の変化に対応できるサービス力、製品力、商品力を高める経営革新を目指す。県商工会議所連合会とともに「プロジェクトマネジャー」を中核に、経営力向上を支援している。
 9月の日銀短観によると、最近の景況感は大企業でプラスにとどまる一方で、中小企業はマイナスに転落。景気回復の実感は程遠い。
 今後も好転が見通せなければ廃業は止まらない。政府のうたう「地方創生」が、地域経済という足元から崩れる恐れもある。


琉球新報 2014年10月13日
社説:人口減への不安 地方再生につなげる施策を
 人口減少に「不安を感じる」と考える人が84%に達し、住んでいる市区町村の運営が困難になると感じている人が62%に上った。
 本格的な人口減少社会が到来する中、日本世論調査会が実施した全国世論調査の結果である。
 少子化と連動した働く世代の減少に伴う国力の低下や社会保障切り下げが不可避だと指摘される中、国民の危機感を反映していよう。
 効果的な対策を問うと、子育て世帯への支援拡充が49%、医療福祉サービスの充実が40%と上位を占め、ソフト面の強化を望む意識が浮かんだ。雇用創出を要望する声も強い。実効性ある対策を丁寧に吟味し、国民の不安解消に努めねばならない。
 大都市圏への人口の集中が続き、総じて人口流出が続く地方の疲弊が指摘されている。住みやすさ、子育てしやすい環境づくりなどのソフト面強化とともに、社会資本整備など、格差解消を望む地方自治体の声も無視できまい。雇用を創出する産業戦略など、地方再生に目を配った施策を求めたい。
 民間団体の「日本創成会議」は5月に896自治体が消滅の危機を迎えるとする報告書を発表し、人口減少問題がにわかにクローズアップされた。増田寛也元岩手県知事(東大大学院客員教授)が中心となってまとめ、子どもを生む中心世代(20~39歳)が2040年には10年に比べて半分以下になることを根拠に据えた。
 一方で、「消滅」の言葉が一人歩きし、名指しされた自治体では地域の再生に向けた意欲が損なわれるとの懸念が増幅している。
 人口減を危機バネとして生かし、不利を克服して人口を増やした自治体に目を注ぐ必要がある。
 日本海に浮かぶ島根県隠岐諸島の島の一つである海士(あま)町は過疎化にあえいでいたが、町長の給与50%カットなど徹底した行財政改革を進める一方、鮮度を保った魚を出荷できる最新の冷凍技術を使った海産物直売やブランド牛開発など産業振興に力を入れた。
 人口約2400人の約1割を島外からのほぼ働き盛り世代の移住者が占め、2013年に人口増に転じた。統廃合寸前だった高校も学級を増やした。
 山内道雄海士町長は「Iターン者の知恵が雇用を生み出し、何もなかった島を活性化させている」と手応えを話す。地方再生の先進例を人口減少社会の克服に生かすことも求められている。


毎日新聞 2014年10月06日 東京朝刊
社説:地方創生の針路 競争に走り過ぎるな
 安倍晋三首相が今国会の主要テーマと位置づける地方創生をめぐる議論が活発化してきた。石破茂地方創生担当相は国から地方に配分する交付金制度の検討を表明している。
 政府は地方からの意見聴取に着手したが施策の方向は実際にまだ固まっていないだけに、国会で見解をただす意味は大きい。地方創生が地方における中長期的な人口減少対策という目的を逸脱しないよう、野党も議論に積極参画すべきだ。
 国会に提出された基本法案は人口減少に歯止めをかけるため「東京圏への人口の過度の集中の是正」や「多様な就業機会の創出」など目的を掲げた。政府が年内にもとりまとめる総合戦略の中身が焦点となる。
 懸念されるのは、いまだに統一地方選に向けた一過性の景気対策との混同がみられる点だ。政府与党幹部の多くから地方創生に関連して「好循環を津々浦々に広げる」などの発言が目立つ。
 だが、本当に人口減少に取り組むのであれば、一定期間を経ないとそもそも効果など実感できない。交付金制度も景気対策との区別が不十分なまま「先にありき」で議論をするとばらまきの道具に陥りかねない。
 一方で地域の競争力の強化や、新規ビジネスなどに安倍政権の視点が偏りがちな傾向も感じられる。首相が所信表明演説で地方の努力を紹介したのはよいが、多くは特産物や輸出振興など産業に関わる事例だ。
 アベノミクスの競争原理や成長戦略だけから地方創生を目指すのであれば、現在の国家戦略特区を拡大すれば済む話ではないか。安定雇用の創出に加え住みやすさ、暮らしやすさへの努力も評価されるべきだ。政府が意見を聞いた鹿児島県伊仙町など子育て支援の工夫や、自然エネルギーの活用、「地産地消」的な取り組みにも大いに着目してほしい。
 人口減少自体への対応がおろそかにならないかも気になる。政府の「50年後に人口1億人維持」という目標は現在の出生率1・43を2030年ごろまでに2・07に引き上げるかなり高いハードルの下に設定された。人口減少を抑制する努力の一方でこれに対応できる社会、行政の体制づくりも急ぐべきだ。
 野党は取り組みが中央主導ではないかという観点からも追及している。基本法案は政府の総合戦略を「勘案」して都道府県などが基本計画を策定する仕組みを定める。地方の自主性をどう確保していくのか。
 とりわけ、分権改革と並行すべきだという野党側の指摘は理解できる。首相が「やれば、できる」と地方に言うのであれば、国からの権限移譲に大胆に取り組み、自治体行政の自由度を高めなければならない。


山陽新聞(2014年10月03日 08時10分 更新)
社説:国会論戦 看板政策の道筋が見えぬ
 臨時国会は安倍晋三首相の所信表明演説に対する衆参両院での各党代表質問がきのうで終わった。だが、政府が看板政策として掲げる地方創生や女性活躍推進の具体的な道筋が見えたとは言い難い。集団的自衛権や消費税再増税をめぐっては、首相が野党側の追及をかわす場面が目立った。第2次安倍改造内閣最初の論戦は、政府側が“安全運転”に終始したといえよう。
 地方創生や女性の活躍は、人口減少と地方の衰退への危機感が高まる中、誰もがその重要性を認識している。肝心なのは実効ある施策が打ち出せるかどうかだ。地方創生について、首相は所信表明で「大きな都市をまねるのではなく、その個性を最大限に生かしていく。発想の転換が必要」などと述べたものの、新味に欠け、質問戦を通じて具体策への言及も乏しかった。
 さらに、今国会で「若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生に向けて、力強いスタートを切る」(所信表明)とまでうたい上げた。その若者たちが地方から東京へ、働く場などを求めて移り住んでいるのが現実だ。
 若者が東京など大都市へ流出するのを食い止めるために東京一極集中の是正が急務であるにもかかわらず、論戦を通じて首相がこの点に触れることはなかった。これでは地方創生にどこまで真剣に取り組もうとしているのか、その本気度が問われよう。
 「地方」「女性」を前面に打ち出し、審議の波乱要因となるような案件を避けようとする政府の姿勢は、集団的自衛権を含む安全保障政策のあり方や消費税再増税の是非に関する論戦でも見て取れる。
 集団的自衛権の行使容認を7月に閣議決定して初めての国会だが、関連法案の提出は来春以降に先送りされた。野党側の追及に首相は「議論拒否という発想は毛頭ない」と反論したものの、法案の全体像や今後のスケジュールなどに踏み込んでいない。
 2015年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうか。消費税再増税の判断は国民生活に深く関わり、国会で説明を尽くすべきテーマである。しかし、首相が判断するのは12月上旬の見込みで、11月末までが会期の今国会終了後になる。これまでの答弁では従来方針の説明を繰り返すにとどまっている。
 あえて難題へ深入りすることを避け、世論を極力刺激せずに、今国会を乗り切ろうとしているように見える。その背景には来年の統一地方選を控え、集団的自衛権の行使容認で支持率が下がり、滋賀県知事選で敗北したような轍(てつ)を踏みたくないという思惑がうかがえる。
 国会を無難に乗り切るための安全運転で、政治家としての国民への責任を果たしていると言えるのだろうか。野党も政府側の「逃げ腰」の姿勢を許すのでなく、今後の委員会審議などを通じて、徹底的に追及すべきである。


愛媛新聞 2014年10月01日(水)
社説:臨時国会 国民の不安拭う説明求めたい
 第187臨時国会が召集された。安倍晋三首相は所信表明演説で「地方創生」と「女性の活躍推進」を2本柱に経済成長を進める考えを強調した。一方で、世論の根強い反発を振り切って閣議決定を強行した集団的自衛権容認問題や、消費税増税など、賛否の割れる政策についてはほとんど言及しなかった。
 異論が少ないテーマで実績をつくり、野党との対決案件は封印して内閣支持率を温存しようとする。明らかに、10月の福島、11月の沖縄両県知事選と来春の統一地方選をにらんだ戦略だ。
 安全保障政策の在り方や消費税再増税の判断は、国民生活に深く関わるテーマであり国会で丁寧に説明を尽くす必要がある。責任を果たさず選挙対策を優先する姿勢は、国会や国民を愚弄(ぐろう)しており、許されない。
 野党は惑わされず争点を明確に示し、国民の納得のいく政策を作り上げなければならない。でなければ国会の存在意義はないに等しい。野党の責任の重さをあらためて肝に銘じ、国民の声をくんだ対案を手に、論を戦わせてもらいたい。
 代表質問に立った民主党の海江田万里代表は、集団的自衛権の議論棚上げは「立憲政治を根底から否定している」と対決姿勢を鮮明にした。首相は「議論拒否という発想は毛頭ない」と反論。それならさらに深い議論へと進めなければならない。
 国民には納得いかないことばかりだ。首相は集団的自衛権の関連法案の今国会提出を見送った。「国民に丁寧に説明して理解を得る」と安全保障上の重要性を力説し、あれほど性急に閣議決定を進めたにもかかわらず、内閣改造以来、口を閉ざしている。相変わらず、国民の声を聞かずにやりすごそうとする姿勢は、卑劣でさえあろう。
 消費税率10%への引き上げ判断も、臨時国会後すぐの12月初旬に迫る。根拠や使途の説明抜きでは納得できない。
 原発再稼働については、首相が昨年10月の所信表明で、東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水問題に国が前面に立って取り組む決意を述べた。だが今回、停滞する汚染水対策に触れないまま再稼働の方針を強調している。看過できない問題だ。
 一方、目玉政策とする地方創生についても具体的な提示がない。所信表明では「ふるさと名物」を人気商品にする支援などを挙げ、「気概を持てば景色は一変する」と言い切る。やればできる、といったスローガンで乗り切れるほど地方の状況は甘くない。東京一極集中を解消するための中長期の展望と構造的な改革こそ必要だ。
 国民の不安に真正面から応える説明と政策を求めたい。


南日本新聞 (2014/10/4 付 )
社説:[地方創生] 人口減少に危機感もて
 安倍政権の看板政策の一つ「地方創生」へ向けた取り組みがようやくスタートした。
 政策の司令塔役を担う「まち・ひと・しごと創生本部」が、少子化対策などを手始めに、国がこれまで実施してきた地方向けの施策の検証作業に着手した。
 少子化対策は、保育サービスの充実などを目指した1994年のエンゼルプランから20年続く。だが、少子化の歯止めは一向にかからない。具体策が急がれる。
 検証作業の意見聴取では、伊仙町の大久保明町長が、高齢者祝い金などを減らして、子育て支援に充てた政策を説明した。伊仙町は2008~12年の合計特殊出生率が2.81と全国一で、日本全体の1.43の倍に近い。
 そんな伊仙町でも40年の人口は約3割減るとの推計がある。子どもを産む割合が高い20~30代の女性が減ると見込まれるからだ。
 推計を裏付けるようなデータもある。今年の1~6月、全国で生まれた赤ちゃんは前年同期比2.7%減の49万人余となり、1年間の出生数が初めて100万人を割り込む可能性があるのだ。
 地方創生は国会でも取り上げられた。石破茂地方創生担当相は「人口減少を克服し、地方が成長する活力を取り戻す。結果が出るまで総力戦で臨む」と答えた。
 もっともな答弁だが、具体策はまだあまり見えない。創生本部は地方の声に十分耳を傾け、今度こそ実効性のある政策を打ち出してほしい。
 少子化がこのまま進むと、60年の人口は今より約4000万人少ない約8700万人になり、65歳以上の高齢者が4割ほどを占める。政府が打ち出した「50年後に1億人維持」どころの話ではない。
 大幅な人口減少は働き手が少なくなるだけでなく、年金や医療など社会保障制度にも大きな影響を及ぼす。何より、社会の活力がそがれる。一極集中で一人繁栄を極める東京だって、地方が縮めば影響を免れまい。
 人口が減ること自体は防げないとしても、減少幅を抑制する方法はあるはずだ。
 高齢者に手厚い予算を改め、子育て世代へ振り向ける。そうした世代の就労支援を充実させ、子育てとの両立を図る。所得が低く、結婚に踏み切れない若者たちには雇用の安定策を施すことなどだ。
 気になるのは省庁の来年度予算の概算要求に、地方創生に便乗した要求が目立つことだ。
 国の財政や人口減少に危機感が足りないのではないか。創生本部は、省益を求める動きをまず排除しなければならない。


福島民報 ( 2014/09/28 08:34 カテゴリー:日曜論壇 )
日曜論壇:地方創生-中央も変革を(9月28日)
 安倍晋三首相の言葉は躍る。改造内閣に5人の女性閣僚を起用し「女性活躍担当相」を置いて「女性が輝く社会」を実現させる。石破茂氏を地方創生相にして「元気で豊かな地方の創生」を目指すという。
 「女性」も「地方創生」も重要課題として取り組むことには異議はない。しかし、抽象的な美辞麗句を並べる割には具体策に乏しい。とりわけ「地方創生」についてみると、安倍、石破両氏からほとんど聞こえてこないのである。
 東京一極集中と地方の過疎化に歯止めをかけようという動きは40年以上も前から試みられた。昭和47年、田中角栄首相が「日本列島改造計画」を打ち出したのが最初。全国に交通・情報通信網を構築し、工業や産業を日本全体に「再配置」。中央と地方の均衡ある発展をさせようという発想だった。
 しかし、この構想は「カネ余り」を背景に地価の高騰・買い占めが横行し、折からの石油危機が重なり激しいインフレを招き、頓挫してしまう。次は昭和62年に竹下登首相が提唱した「ふるさと創生」である。「自ら考え自ら行う地域づくり」を基本に、地域主導による過疎からの脱却の活動を支援しようとのことであった。
 そのため各市町村が自由に使える資金として1億円ずつを交付する。市町村はさまざまな事業を展開したが、竹下政権自体がリクルート事件と消費税導入への批判を受けて退陣、その後のフォローもなく、これも尻切れトンボに終わる。これ以降、この問題に真正面から取り組む政権はなく、大都市への人口流失、地域の少子・高齢化、その結果としての過疎化や寂れが深刻の度を増した。
 安倍政権が地方の活性化を目玉に掲げたのは、アベノミクスの恩恵が地方には及んでいないという批判をかわし、来春の統一地方選を有利に展開しようという狙いだろう。だが、この問題は短時日で解決できるものではない。
 その評価は別にして田中、竹下両元首相のように、安倍首相はまず自らの全体構想とそれを具体化する施策を明示すべきである。気になるのは石破氏の「知恵と熱意のあるところ」を国が支援すると言い続けていることである。
 地方の奮起を促したともとれるが、ずいぶん中央目線ではないか。どこの首長や自治体あるいは住民も悪環境の中で必死に知恵を絞り努力している。政府は、この努力がなぜなかなか成果を挙げていないのか、そこから謙虚に考え直すべきだろう。
 「地方創生」の名目で各省は便乗するかのように来年度予算で予算要求している。完全に縦割りである。地方に創意工夫を迫るなら、中央も「省益」を離れて統合し、自治体に使途自由な「一括交付金」の導入を検討すべきだ。永田町も霞が関も意識を変えて、地方に向き合うことが出発点ではないか。(国分俊英、元共同通信社編集局長、本宮市出身)

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