2014-10-26(Sun)

地方創生  審議始まるが・・・ (2)

「反省なき国策」で地域壊すな  「よそから引っ張ってくる」発想もはや限界  現実をより直視した審議

----人口減少を防ぐため雇用をどう生み出すか。東京一極集中をどう是正するのか。カネのばらまきで終わらぬよう、省庁の縦割りを打破できるか…。地方再生に関しては、腰を据えて取り組まねばならない課題が山積している。
 今後の政策に反映させる具体策を打ち出すことができるかが問われているのに、序盤の論戦を聞く限り、実のある論議は期待できそうにない。(信濃毎日新聞)

----「アベノミクス」がめざす「世界で一番企業が活躍しやすい国」に向け地方をつくりかえ、大企業の「稼ぐ力」のために雇用や医療、農業など国民の生活と権利を守ってきた規制の緩和や撤廃を全国におしつけるのが狙いです。
 これらが破たんずみの政策であることは明白です。大企業・財界のもうけを最優先にした歴代自民党政権による地域・国土政策が、どれだけ地方を衰退させ、東京圏など都市部に異常に人口を集中させてしまったのか。低賃金・不安定・長時間労働をもたらした雇用破壊や、農業・中小企業いじめの政策が、どれほど若者の未来への希望を奪い、少子化を加速させてしまったのか―。これらになんの反省もなく、「地方創生」の新たな看板で、地域破壊を引き起こす政策を推し進めることは、逆行です。「アベノミクス」は都市にも地方にも「効果」をもたらしません。(赤旗)

----補助金を国から取る。工場を誘致して雇用を生む――。深刻な財政難や国際競争の激しさを考えると、そうした「よそから引っ張ってくる」発想自体が、もはや限界ではないか。
 人口減や過疎化で「消滅自治体」すら話題になる厳しい状況の中で、地域社会を支えていくには、おカネの「地産地消」の流れを作ることがカギになる。(朝日新聞)

----6年後に東京五輪がある。法律にどう書こうと一極集中はおのずと加速するかもしれない。地方もやればできるという精神論だけでは心もとない。現実をより直視した審議を求めたい。(中国新聞)

<各紙社説・主張>
毎日新聞)視点・地域密着の鉄道=人羅格(論説委員)(10/19)
しんぶん赤旗)「地方創生」議論 「反省なき国策」で地域壊すな (10/17)
南日本新聞) [地方創生法案] 自治体の力も問われる(10/17)
朝日新聞)民間発の地方創生―「社会的投資」を突破口に(10/16)
信濃毎日新聞)地方創生 実のある論議になるか(10/16)
中国新聞)「地方創生」審議 厳しい現実の直視こそ(10/16)




以下引用

毎日新聞 2014年10月19日 02時30分
社説:視点・地域密着の鉄道=人羅格(論説委員)
 ◇石破さんこそ先導役に
 安倍内閣による地方の人口減少対策「地方創生」の検討が進んでいる。だが、どんな施策を打ち出すかのイメージは依然として明確でない。一方で、地方への交付金の新設など制度論に関心が偏りがちだ。
 中央からの施策の押しつけは禁物だ。それでも、ある程度具体的な方向性は示すべきだろう。その候補として、地域密着型鉄道の活用を挙げたい。
 ローカル鉄道というと、自動車に押されいまだに「お荷物」的なイメージが強いかもしれない。現に、国土交通省によると2000年以降、全国で35路線、674キロの鉄道が採算性などの事情で廃止された。
 だが、違う流れも起きている。超高齢化や人口減少社会を迎える中で地域の安定輸送手段として鉄路が注目されている。
 その代表がバリアフリーの低床化などを施し手軽に利用できる次世代型路面電車と呼ばれるLRTの導入だ。
 人口減少に対応できるコンパクトなまちづくりを掲げる富山市は「団子と串」という表現でまちを結ぶ公共交通にLRTを導入した。開業コストをめぐり是非論が割れるケースもあるが、自治体のLRTへの関心は高い。岡山市と岡山県総社市、JR西日本が吉備線のLRT化を検討したり、神戸市が運行ルート案などの募集を実施したりするなど活発な動きがある。
 ローカル鉄道も気を吐く。和歌山電鉄貴志川線は南海電鉄時代に廃線が検討されたが、存続を求める市民運動が起き、岡山の企業の子会社として生まれ変わった。貴志駅の三毛猫「たま駅長」が乗客数アップに貢献するなど営業努力でも知られる。
 欧州での普及など鉄道の公共的な役割に詳しく「鉄道復権」(新潮選書)の著書もある宇都宮浄人・関西大教授は「鉄道は社会インフラ。事業単体ではなく街全体の収支で考えるべきだ。行政が初期費用を負担し、民間が運行する方式もある」と説く。政府の後押しにも「より前面に出てほしい」と期待する。
 地方創生に必要な視点はかつての「全国総合開発計画」(全総)のような高速道路や新幹線を重視した開発主導ではなく、かといって市場原理を徹底した競争至上主義でもあるまい。世代を超えて利用でき、住民になじみやすい鉄道や路面電車の役割を再評価し、地域社会を維持する手段として公的支援を拡充するのも選択肢ではないか。
 石破茂地方創生担当相は政界きっての鉄道マニアで知られる。ここはぜひ地域密着型鉄道を重視するメッセージを遠慮なく発してもらいたい。


しんぶん赤旗 2014年10月17日(金)
主張:「地方創生」議論 「反省なき国策」で地域壊すな
 安倍晋三政権が国会に提出した「地方創生」関連2法案の衆院審議が続いています。安倍首相は開会中の臨時国会を「地方創生国会」と名づけ、「若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生」などをうたいますが、国民の願う解決策はまったく見えず、“かけ声”ばかりが先行しています。そもそも地方の疲弊などをここまで深刻化させたのは一体誰なのか―。その反省もないままに、新たな「国策」をおしつけることは、住民にも地域にも決して役立ちません。
破たんずみの政策で
 審議入りした2法案は、「まち・ひと・しごと創生」法案と地方再生法改定案です。「創生」法案は、▽人口減少の歯止め▽東京圏の人口集中の是正▽地域の住みよい環境の確保―などを目的にし、国が基本方向となる「総合戦略」を閣議決定し、都道府県と市町村にも同戦略をつくらせるものです。
 人口減少による地域衰退や「東京一極集中」のゆがみを打開することは、多くの国民が切実に求めているものです。しかし、安倍政権の「地方創生」は、その願いにこたえていません。
 安倍政権の政策の大もとは6月に決めた「改訂成長戦略」「骨太方針」です。そこでは「地域の経済構造」の「思い切った改革」を明記し、目標に「アベノミクスの効果を全国に波及させ地域経済の好循環をもたらす」ことを掲げています。「アベノミクス」がめざす「世界で一番企業が活躍しやすい国」に向け地方をつくりかえ、大企業の「稼ぐ力」のために雇用や医療、農業など国民の生活と権利を守ってきた規制の緩和や撤廃を全国におしつけるのが狙いです。
 これらが破たんずみの政策であることは明白です。大企業・財界のもうけを最優先にした歴代自民党政権による地域・国土政策が、どれだけ地方を衰退させ、東京圏など都市部に異常に人口を集中させてしまったのか。低賃金・不安定・長時間労働をもたらした雇用破壊や、農業・中小企業いじめの政策が、どれほど若者の未来への希望を奪い、少子化を加速させてしまったのか―。これらになんの反省もなく、「地方創生」の新たな看板で、地域破壊を引き起こす政策を推し進めることは、逆行です。「アベノミクス」は都市にも地方にも「効果」をもたらしません。
 物価高や消費税増税による暮らしの被害は地方でとりわけ深刻なかたちであらわれています。「アベノミクス」は、大企業が一時的にもうける「効果」はあっても、地域の中小企業、農業、福祉などを衰退させるものです。リニア中央新幹線などの大型開発推進は「東京集中」をさらに加速させます。環太平洋連携協定(TPP)参加は、農業など地域再生の土台を掘り崩す暴走でしかありません。
住民主役を応援してこそ
 地域再生・活性化にいま必要なのは、「アベノミクス」をはじめとする安倍政権の悪政から暮らしと地域を守ることです。安定した雇用と社会保障こそが人口減少にたいする最大の歯止めです。
 国主導の大規模合併に抗した「小さくても輝く自治体」が、個性を発揮して元気な地域づくりをしている姿は教訓的です。国は破たんずみの「国策」おしつけをやめ、住民と自治体の創意あふれる活動を応援する立場に転換することこそ必要です。


南日本新聞 ( 2014/10/17 付 )
社説: [地方創生法案] 自治体の力も問われる
 地方創生の基本理念を示す「まち・ひと・しごと創生」など関連2法案が国会で審議入りした。
 安倍晋三首相は早速、地方自治体の判断で柔軟に使える新たな交付金を、来年度から設ける方針を明らかにした。人口減や地域経済の疲弊に苦しむ地方への支援策の一つとされる。
 交付金は、毎年2000億円程度とし、5年間続ける案が有力という。国が使い道を限定する補助金と異なり、自由度が高いため地方の期待感は強い。
 問題は、交付金を受ける自治体の側が、どこまで地域の実情に沿った具体的な創生策を打ち出せるかである。
 交付金を支給する前提として首相は「地方が自ら政策目標を設定し厳格な効果検証を行う」とクギを刺した。都道府県や市町村はこれまで以上に、地域浮揚策に知恵を絞らなければならない。
 ただ、地方の政策づくりも、2~3年で担当が異動する「役所」まかせでは限界がある。足らざるところはNPO(非営利組織)や大学、民間研究機関などからもっと知恵を借りていい。
 農林水産業や観光の振興、街づくりなど、NPOには役所にはない柔軟な発想がある。それぞれの分野に精通した人材もいる。
 地方創生をめぐっては、年内に国が総合戦略と長期ビジョンを決める。都道府県や市町村も来年以降、それぞれの総合戦略をつくる。NPOなどの活用は、その際の手助けにもなるはずだ。
 気掛かりなのは交付金を支給することで、地方自治体に配分している地域活性化関連の補助金の廃止や縮小が予想され、各省庁の抵抗が必至なことである。
 交付金の窓口になる省庁が、補助金廃止などで低下した地方への影響力を、交付金の支給で補うようでは話にならない。省庁のさじ加減による「ばらまき」になる恐れも大きい。
 首相や石破茂地方創生担当相はこうした省庁の「縦割り行政」を排除するため、指導力を発揮すべきだ。
 そもそも、創生法案の目的は人口減に歯止めをかけ、東京への過度な人口集中を除くことである。
 福井県の西川一誠知事は、一極集中是正のための国の対策を「今後10年間に鉄道などのインフラを整備し、グローバル化に直面しながら独自性を発揮しようとする地方の努力を応援することだ」と訴えている。
 創生法案やその核となる新たな交付金が、地方の再生を応援するものになるのかどうか。国と地方双方の対応を注視したい。


朝日新聞 2014年10月16日(木)付
社説:民間発の地方創生―「社会的投資」を突破口に
 安倍政権が重要政策に掲げる「地方創生」を巡り、国会で本格的な論戦が始まった。
 「ばらまきはしない」。こう強調する首相は、各地の地域活性化への実例を引きながら「やればできる」「一緒に挑戦しよう」と自治体に呼びかける。
 では、具体的にどんな政策を打ち出すのか。早速取りざたされているのは、1兆円を超える自治体向けの交付金や「ふるさと納税」の拡充などだ。
 交付金は、国に納められた税金の一部を自治体に移す仕組みだ。ふるさと納税は、好きな自治体に寄付し、地元自治体などへの税金を軽くしてもらう。最近は過熱気味で、自治体間の税の奪い合いの様相だ。
 ともに、国・自治体という「官」の内部での資金の配分を変える制度である。地方が自由に使える財源を増やし、自治体が創意工夫を競う仕組みへと見直していくことは大切だろう。ただ、国も地方も多額の借金を抱え、そもそも税収が足りない現状を忘れてはなるまい。
■行政だけでは限界
 福祉や教育、環境保護など暮らしに身近な分野でも、行政の手が回らずに放置されている課題は少なくない。地域の活性化策も「官」任せでは知恵や財源に限界があり、縦割りの弊害もなくならない。
 NPO(非営利組織)や中小企業、大学などの地域での社会的活動を支えるために、民間の資金を呼び込めないか。その資金のもとに官と民、産や学が集い、知恵を出し合って「自治力」を高めていけないか。
 こんな問題意識から注目されているのが「社会的投資」である。
 個人や企業が「社会のために」と出すおカネには、まず寄付がある。直接の見返りを求めない、渡し切りだ。
 一方で、通常の株式や債券への投資でも、もうけるだけではない何か、を求める動きが広がる。社会貢献度が高そうな企業の株式が注目され、投資信託でも収益の一部を寄付に回す商品が関心を集める。
 「社会的投資」は、この両者の中間と言えようか。
 自分の生活のことを考えると、多額の寄付までには踏み切れない。ただ、もうけはそこそこ、トントンでもいいから、投じたおカネをすべて社会課題の解決に充ててほしい。そんな「志ある投資」を指す。
 公益財団法人「京都地域創造基金」は、地元の住民や企業がおカネを出し合って作られた。理事長を務める深尾昌峰さん(40)の思いはこうだ。
■おカネの地産地消を
 補助金を国から取る。工場を誘致して雇用を生む――。深刻な財政難や国際競争の激しさを考えると、そうした「よそから引っ張ってくる」発想自体が、もはや限界ではないか。
 人口減や過疎化で「消滅自治体」すら話題になる厳しい状況の中で、地域社会を支えていくには、おカネの「地産地消」の流れを作ることがカギになる。
 発想の起点は、自治体によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の誘致合戦だった。おひざ元の京都市も、東京の大手IT企業グループがからむ事業を呼び込んだが、これでは収益の多くが東京に流れ出し、地元での資金循環の効果が薄れる。
 以前から地域興しで縁があった和歌山県印南(いなみ)町と組んで太陽光発電に乗り出した。1年前に立ち上げた「1号機」は、教鞭(きょうべん)を執る大学からの拠出と金融機関からの借り入れで資金をまかなった。初年度の利益は、約1千万円の見込み。この一部で基金を作り、地元のNPOなどへの助成に回す。地域を元気にし、新たな資金を生む好循環を目指した一歩だ。
 今月に同県串本町で稼働した「2号機」は、借り入れに加え、個人からの投資受け入れを実現した。より理想に近い「市民発電」だ。
■後押しが政府の役割
 「都市部だけでなく、地方にも資金は眠っている。社会的投資への関心も、確実に広がっている。新たな動きを後押しすることこそが政治の役割ではないか」。深尾さんは言う。
 実際、資金はある。株式投資を促す少額投資非課税制度(NISA)の口座開設が相次いだり、税制上の優遇措置をつけたことで祖父母から孫への贈与が急増したりしているのは、その表れだろう。こうしたお金を、個人や家系を超えて社会の中へ導き出せるかどうか。
 昨年、英国で開かれた主要国首脳会議(G8サミット)では、キャメロン英首相が社会的投資に関する検討チーム立ち上げを提唱し、9月には課題を整理した報告書が公表された。社会的投資は、財政難や高齢化、低成長に直面する先進国に共通する関心となりつつある。
 日本政府も、従来の発想や制度を超えて、民間発の新たな動きに応じていく時ではないか。
 「地方創生」は、国のあり方をも問い直している。


信濃毎日新聞 2014年10月16日(木)
社説:地方創生 実のある論議になるか
 安倍晋三首相が今臨時国会の最重要課題とする「地方創生」に関する2法案の本格審議が始まった。
 首相は、衆院本会議で地方自治体の判断で柔軟に使える新たな交付金の創設を表明した。ばらまきを問題視する野党が中身を問いただしても、「ばらまき型の投資は絶対にしない」などと意気込みを語るばかりで、踏み込まなかった。
 石破茂地方創生担当相も含め、政府側の答弁からは新味ある案も聞かれない。
 人口減少を防ぐため雇用をどう生み出すか。東京一極集中をどう是正するのか。カネのばらまきで終わらぬよう、省庁の縦割りを打破できるか…。地方再生に関しては、腰を据えて取り組まねばならない課題が山積している。
 今後の政策に反映させる具体策を打ち出すことができるかが問われているのに、序盤の論戦を聞く限り、実のある論議は期待できそうにない。
 審議入りした2法案は、地方向け施策の基本理念を示し、地域支援策の申請窓口を一本化することなどを柱とするもので、対策の入り口にすぎない。真価が問われるのはこれからだ。
 対策の司令塔となる創生本部が先日、少子化対策や産業振興など多岐にわたる分野で省庁や地方自治体から聞き取りをした。縦割り行政やばらまき予算を排し、政府がまとめる2020年までの総合戦略などに生かすためだ。
 各省庁は来年度予算の概算要求に盛った地方関連事業の必要性をアピールする場面が目立ったという。縦割り打破の難しさを印象付ける結果となった。
 安倍首相は本会議で「地域の声に徹底して耳を傾ける」と強調している。しかし、聞き取りで地方関係者に与えられた時間は短く、出席者からは「説明しきれない」との不満が出た。
 そもそも安倍政権が「地方創生」を看板に掲げたのは、来春の統一地方選や思い通りにいかないアベノミクスのてこ入れを狙ってのことだ。場当たり的な対策になる可能性が捨てきれない。
 選挙が終わった後は、集団的自衛権行使容認に伴う安全保障法制の整備など、首相が執心する政策に焦点が移り、地方対策は後景に退いていってしまうことも十分に考えられる。
 人口減少や経済低迷など地方の疲弊は進む一方だ。「地方創生」を選挙を乗り切るために利用しようとしていないか。首相の言動に目を光らせなくてはならない。


中国新聞 2014/10/16
社説:「地方創生」審議 厳しい現実の直視こそ
 安倍晋三首相が臨時国会の最重要課題と位置付ける「まち・ひと・しごと創生法案」と関連法案が衆院で審議入りした。
 人口減に歯止めをかけ、東京への過度の集中を是正する。結婚や子育てに希望が持てる社会をつくり、地域の特性を生かした就業機会を創出する―。新法の目的や基本理念はもっともなだけに、今のところ国会論戦は政府・与党ペースに見える。
 地方創生をめぐっては掛け声が先行して具体策は後回しの感は拭えなかったが、ここにきて首相が一歩踏み込んだ。新たな交付金創設の表明である。
 自治体が政策目標を立てるとともに効果の検証を厳しく行うことを条件に、柔軟に使えるお金を渡すという。地方の側から要望がある仕組みであり、来年度から5年間、年2千億円を用意する案が浮上している。
 ただ目玉施策として胸を張れるかはまだ見通せない。首相は「ばらまき型の投資はしない」と強調するが、予算編成が本格化しているのに制度設計もこれからだ。しかも60兆円という地方の一般財源総額でみればスケールは決して大きくない。
 民主党政権が創設した年6千億円余りの「一括交付金」が思い出される。こちらは使い道が限定され、手続きが煩雑で自治体に不評だった。安倍政権があっさり廃止し、省庁縦割りの交付金に戻した経緯がある。
 国民からすれば、やはり場当たり感があろう。今度こそ従来型の「ひも付き」から完全に脱し、自治体本位の使い勝手が求められるはずである。
 ただ早くも先行きを不安視する声がある。財源を考えれば不可欠となる既存制度のスクラップ・アンド・ビルドに対し、省庁側の強い抵抗が予想されるからだ。調整役の石破茂地方創生担当相の力量も問われよう。
 野党が攻め手を欠く法案の中身だが、気掛かりな点は残る。人口減などを克服するための総合戦略を国と地方が策定する手法である。5カ年計画とされ、まずは年内に日本全体について決定した後で「都道府県版」と「市町村版」を努力義務として自治体につくらせる。
 そもそも5年で何とかなる簡単な話ではない。こうした手順では国の目先の方針を押しつけて、金太郎あめのように施策が横並びとなる恐れはないか。
 自主性を重んじるといいつつ自治体の要望に応じて中央官僚を派遣し、政策立案を補佐する構想もある。地方分権がなかなか進まない現状のまま中央省庁が自治体をコントロールする空気が強まるとすれば問題だ。
 安倍政権は地方の成功例ばかりに目を向けているように思える。その一つが空き家を活用した企業のサテライトオフィスが集まる徳島県神山町だ。地方創生の先取りとして重視するが、同じ方法論が津々浦々でうまくいくとは考えにくい。
 政府側は法案について月内の衆院通過を見込むが、公聴会などで地方の実情をもっとくみ取る場が必要だろう。例えば過去に国の政策に乗った活性化策が空振りに終わり、疲弊が進んだ事例も学べないだろうか。
 6年後に東京五輪がある。法律にどう書こうと一極集中はおのずと加速するかもしれない。地方もやればできるという精神論だけでは心もとない。現実をより直視した審議を求めたい。

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