2014-11-22(Sat)

タカタ製エアバッグ、未改修100万台 国内分

国交相が調査報告求める 対応のまずさが浮き彫りに

自動車部品メーカー「タカタ」のエアバッグをめぐる問題が収まらない。
日本国内でリコール(回収・無償修理)を届け出た車約254万台。
9月末時点で4割が未改修で、約100万台に上るようだ。
対象車は、さらに増える恐れがある

国土交通省は、タカタと車メーカー各社にリコール範囲の精査を指示。調査報告求めた。
太田国交相は、「自動車安全上、極めて重要な問題と認識しており、万全の体制を取らなければならない」と述べ、
自動車メーカーへの通常の調査に加えた異例の措置だとした。

また、米当局がリコールの全米拡大を要求したことに関連し、「日本でも同様に行う必要があるかどうかを精査する」とした。



以下引用

読売新聞 2014年11月21日 14時13分
エアバッグ欠陥問題、国交相が調査報告求める
 太田国土交通相は21日の閣議後記者会見で、自動車部品大手タカタ製のエアバッグの欠陥問題で、同社に調査を直接指示し、報告を求めていることを明らかにした。
 自動車メーカーへの通常の調査に加えた異例の措置で、「自動車安全上、極めて重要な問題と認識しており、万全の体制を取らなければならない」と述べた。
 太田国交相は、米当局がリコール(回収・無償修理)の全米拡大を要求したことに関連し、「日本でも同様に行う必要があるかどうかを精査する」との認識を示した。



朝日新聞 2014年11月23日07時57分
タカタエアバッグ未改修100万台 国内分
工藤隆治
タカタエアバッグの作動と破裂のイメージ
 自動車部品メーカー「タカタ」(本社・東京)のエアバッグをめぐる問題で、日本国内でリコール(回収・無償修理)を届け出た車約254万台のうち、9月末時点で4割が未改修で、約100万台に上ることが国土交通省への取材でわかった。同省はタカタと車メーカー各社にリコール範囲の精査を指示。対象車は、さらに増える恐れがある。
• うちのエアバッグは大丈夫?
 対象のタカタ製エアバッグは衝突時に破裂し、車内に金属片が飛び散ってけがをする恐れがある。2009年以降、トヨタ自動車ホンダ、日産自動車など車メーカー10社(海外現地法人を含む)がリコールを届け出た。
 破裂の原因となる部品の多くはタカタが00~02年に海外で製造し、車も10年近く前に製造されたものが大半。各社は車の登録情報を元に持ち主にリコールの案内状を送り、電話やメールなどでも知らせている。ただ、転売を重ねた古い車は持ち主と連絡がつきにくく、改修率が低くなるという。各社のホームページや相談電話でも、車検証にある「車台番号」を元に対象車かどうか調べられる。
 国交省によると、リコール対象となった約254万台のうち、問題のエアバッグがあるのは助手席用が約236万台、運転席用が約18万台だった。死亡事故は少なくとも米国で2件、マレーシアで1件発生。国内での人身事故はないが、物損事故が4件起きている。
 米国の運輸当局は、日本で対象とされた製造時期以外の車にもリコールを拡大。日本の国交省も検討に入った。太田昭宏国交相は「自動車の安全上、極めて重要な問題だ。万全の態勢をとる」と話している。(工藤隆治)


朝日新聞 2014年11月23日07時58分
うちのエアバッグは大丈夫? リコール対象車はDM通知
工藤隆治
タカタ製エアバッグを搭載したリコール対象車種
 自動車に乗る人を守るはずのエアバッグが、凶器になるかもしれない――。米国でも波紋を広げるタカタ製エアバッグのリコール問題。対象車種は車メーカー各社のホームページなどでわかるが、「修理が終わるまでは乗らないで」と呼びかけるメーカーもある。
• 国内分は未改修100万台
■1時間で無料改修
 リコール対象となった車の持ち主には、国土交通省が管理する登録情報を元に、各車メーカーがダイレクトメールなどで通知する。販売店に持ち込めば1時間余りで無料で直してもらえる。中古車も同じだ。
 例えば、トヨタ自動車は2010年以降、国内で21車種、計約101万台のリコールを国交省に届け出た。同社のホームページでは、車検証の「車台番号」を打ち込むと、自分の車が該当車かどうかがわかる。電話相談の窓口もある。ホンダ、日産自動車、マツダ、富士重工業、BMWなども同様の対応だ。
 ただ、問題のあるタカタ製エアバッグは世界中に広がっており、日本に届け出た10社だけで、リコール対象の車は約1300万台に上る。今年6月、各社による大量リコールがあった際、十分な数の改良品が用意できず、応急処置として、衝突してもエアバッグが作動しないようにした。
 国交省によると、国内でリコール対象になった約254万台のうち、問題のエアバッグがあるのは助手席用が約236万台、運転席用が約18万台だった。トヨタは「改修まではなるべく助手席に乗らず、乗っても座席を一番後ろまで下げて」と呼びかけている。
■タカタ「現在生産の製品は安全
 エアバッグは、衝突の衝撃により、折りたたまれたバッグが瞬時にガスで膨らんでクッションとなり、人の頭や胸を守る。運転席用はハンドル内、助手席用はダッシュボード内にバッグが収められている。
 化学反応で燃焼ガスを容器の穴から噴き出させるのは「インフレーター」(膨張装置)。筒状の金属容器にドーナツ形のガス発生剤が入っている。タカタの資料では、衝突からバッグが膨らむまで0・04秒。まばたきの半分以下の時間だ。
 一連のリコールでは、このインフレーターに問題があった。国交省への報告では、タカタが米国工場でガス発生剤を作った際、押し固めが不十分だったのに加え、メキシコ工場では湿度の高い場所に放置され、ガス発生剤が湿気を吸って膨らんだ。表面積が想定より大きくなり、作動時に爆発的に燃焼して、金属容器が破裂。金属片が飛び散り、乗っている人に刺さる危険があるとわかった。
 死亡事故は少なくとも米国で2件、マレーシアで1件起きている。国内での人身事故はないが、物損事故が4件。静岡県では1月、電柱にぶつかったトヨタ・カローラの助手席エアバッグが破裂し、高温の金属片が後部座席に飛び散って車内が焼けた。タカタは20日の米議会上院公聴会で、指摘された死亡事故5件中3件で関連を認めて謝罪。「現在生産されている製品は安全だ」と訴えた。(工藤隆治)
     ◇
 〈タカタ〉 シートベルトやチャイルドシートなど自動車の安全部品の大手メーカー。エアバッグの世界シェアの2割を占め、スウェーデンのオートリブ社に次ぎ2位。日本の大手自動車メーカー全社にエアバッグの採用実績がある。繊維織物会社として1933年に創業。本社は東京都港区。

財経新聞 - ‎2014年11月22日 20:13
収まらないタカタのエアバッグ問題 対応のまずさが浮き彫りに
記事提供元:エコノミックニュース
温度・湿度管理の不備で圧力が異常にかかってしまい、インフレーターが破損して外に金属片が飛び散る。米国のジョージア州にあるタカタの工場で01年11月~03年11月の期間に製造されていたものが該当する。
 自動車部品会社大手のタカタ<7312>がエアバッグ問題で揺れている。車の衝突時に膨らむエアバッグが破裂し、金属製の部品が飛び出る不具合で、ついには死者まで出る事態に。世界2位のシェアを誇っていたエアバッグは、ホンダ<7267>、トヨタ<7203>、日産<7201>をはじめ、クライスラー、フォード、フォルクスワーゲン、GMなど、世界中の自動車メーカーに装備されており、リコール(無償回収・修理)は総計で1,700万台にものぼる。2014年9月の中間連結決算では499億もの特別損失を計上したが、今後さらに加算されることが予想されている。
 問題はエアバッグに充填するガスを発生させる装置「インフレーター」にある。温度・湿度管理の不備で圧力が異常にかかってしまい、インフレーターが破損して外に金属片が飛び散る。米国のジョージア州にあるタカタの工場で01年11月~03年11月の期間に製造されていたものが該当する。今年7月27日、マレーシアでホンダの「シティ」を運転していた女性が衝突事故を起こした際、エアバッグ不具合により金属片が体に刺さって死亡。この事故によってリコールとなったのは「シティ」、「ザッツ」「フィットアリア」に加え、海外の車種も対象となった。国内のリコール対象台数は7万797台で、海外分を合わせると17万台となる。
 タカタの高田重久会長は10月27日、リコール問題についてコメントを発表。関係者に対して迷惑をかけたことについて謝罪し、原因を追求と再発防止に努めるとした。しかし、メディアの前に立って直接会見する機会を設けなかったことから、批判の声が上がっている。不具合発覚後からリコールまでの対応の不味さも相まって、問題は未だ収束の兆しが見えない。ついには米上院の商業科学運輸委員会が公聴会を開き、タカタとホンダを召喚するという事態にまでに発展した。
 またニューヨーク・タイムズ紙は、タカタが検査技師に対し、不具合のあったエアバッグのテストデータの削除を指示していたと報道。これを受けて2人の米上院議員は司法省にタカタの刑事捜査を求めた。タカタはテスト結果の意図的な操作はしていないと反論している。事態は深刻さを増すばかりだ。(編集担当:久保田雄城)


ロイター -2014年 11月 21日 19:08 JST
特別リポート:タカタ欠陥エアバッグ、尾を引く「メキシコの誤算」
[フロンテラ(メキシコ)/デトロイト 21日 ロイター] - 米国を中心に相次ぐ死傷事故と大規模なリコール(回収・無償修理)を引き起こしているタカタ7312.tの欠陥エアバッグ問題。人命を守るはずの安全機器がなぜ一瞬にして凶器に変わったのか。
その原因をたどると、米国との国境から車で3時間余り、メキシコ北東部の小さな町で起きたある出来事が浮かび上がってきた。
<原因不明の爆発、想定外の生産遅延>
メキシコ・コアウイラ州フロンテラ。タカタは2000年、人口7万5000人あまりの同地域に北米向けを中心とするエアバッグの製造工場を建設した。死傷事故やリコールにつながった同社製品は2001─2002年と2012年頃に製造されているが、リコール記録や当局、自動車メーカーによると、そうした欠陥品はこの工場で作られていたことがわかっている。
エアバッグ生産コストの削減策として大きな期待を寄せていた同工場が、タカタにとって「誤算」に転じた出来事は2006年に起きた。皮肉にも、同社が東証第一部に上場した記念すべき株式新規公開(IPO)の年だった。
同年3月30日の夕方、工場内で数回にわたり原因不明の爆発が発生。工場からは無数の火の玉が飛び散り、外壁は吹き飛び、1キロ離れた家の窓も壊れるほどのすさまじい爆発だった。
爆発の際、工場内には数百人の作業員がいた。幸いにして彼らは全員が無事に脱出し、近くの住民にも死傷者はでなかったが、この爆発についてはタカタからの公式説明はなく、原因は不明のままだ。同社は事故対応に2100万ドルを特別費用として計上。同年11月のIPOに向けた祝賀ムードに水を差す出来事になった。
事故後、1カ月もしないうちに同工場は生産を再開、ホンダ(7267.T: 株価,ニュース, レポート)やフォード(F.N: 株価, 企業情報, レポート)が部品不足を理由に自社工場を停止する事態は避けられた。復帰して仕事を続けた従業員には、特別奨励金が支払われ、さらにテレビや冷蔵庫を賞品にしたくじ引きやイースターの礼拝も行われた。会社側の手厚い配慮もあり、爆発事故の衝撃はほどなくして癒えた。
マネージャーらは工場の復旧を誇りにし、記念に、爆発の写真が載った大型豪華本を製作したり、最初の爆発の日時が刺繍された野球帽を作るなど、今では従業員をつなぐ記念の出来事にさえなっている。
しかし、この爆発によって同社のメキシコ戦略は生産遅延という大きな問題に直面した。操業強化のため、作業員への容赦ないプレッシャーがかかり、特にメキシコに赴任してきた米国人のマネージャー達からの圧力は強かった、と同工場で2008年まで管理職として勤務していたアレハンドロ・ペレス氏らは語る。
<生産目標達成へ容赦ない圧力>
エアバッグの基幹部品であるインフレーター(ガス発生装置)については生産個数の割当があり、時には一日200個を超す数をこなさなければならなかった。「もしそれを達成できなければ、遅れているということになり、ボーナスももらえなくなる」と2004年から2010年まで同工場で働いたホセ・サンチェスさんはいう。
生産強化に向けて突然に高まったプレッシャーが、同社製品の品質にどういう影響を与えたかは明確になっていない。しかし、2010年と2011年、同工場は運転者エアバッグ用の新しい種類のインフレーターについては、一貫して生産割り当てを達成できなかった。
その状況を打破するため、経営側は工場にセキュリティーカメラを設置、製造ラインでなまけていたり、しゃべって仕事に集中していない作業員を監視。その画像を社内メールに添付して回覧することもあった。これについて会社側は、カメラは窃盗の防止で作業員の監視用ではないと説明している。
この時期、同工場では、インフレーターの製造ラインで、欠陥部品の修理をするという「問題行為」も発覚した。生産目標の達成を容易にするためだ。しかし、本来、欠陥部品は誤って出荷される事がないよう、赤い容器に分別され、検証を経た上で、可能であれば修理を行うという手間をかけるのが工場のルールだった、と元従業員たちは言う。
ロイターが入手した2011年5月にスペイン語で書かれたメールが当時の状況を物語っている。当時、工場の管理をまかされていたギアルモ・アプード氏は、「ライン上での補修は禁止!リーダー/担当者/オペレーターは勝手に補修をしてはいけない。不良品発生の原因になるからだ」と叱責。「今すぐに変える必要がある」と強く呼びかけた。これについて同氏はコメントを拒否している。
タカタと自動車メーカーが米道路交通安全局(NHTSA)に提出した書類によると、2012年、タカタはメキシコ工場から出荷予定だったインフレーターに誤った部品を装着した。その部品を入れる容器が近過ぎる状態で置かれていたためだ。これによって自動車メーカー3社の35万台以上がリコールとなった。
しかし、このミスはすぐには発覚しなかった。2013年10月、米国人のブランディ・オーウェンズ(当時25歳)が新車のGM「シボレー・クルーズ」を運転中、別の車に衝突、エアバッグが破裂して彼女は左目を失明した。2014年4月に起こされた訴訟で、タカタのメキシコ工場でのミスが明らかになり、2か月後のリコールにつながった。
<メキシコ投資、需要確保への賭け>
タカタにとって、2000年のメキシコでの工場建設は、より安い労働力を活用し、北米を中心とするエアバッグのおう盛な需要に応えるという戦略的な意味を持っていた。
同社の社内プレゼンテーション資料によると、インフレ―ター生産を米国の2つの工場からメキシコへ移管させた結果、インフレ―ター生産の1個当たりの労働コストは2ドルから約75セントに低下。2006年までの5年間に、同社は7000万ドルの労働コストを削減した。タカタの顧客である完成車メーカーにとっても、インフレータ―の購入コストが1個当たり20ドル未満と20%以上も引き下げとなり、大きな恩恵が及んだ。
同工場では、従業員が両手を挙げてバンザイのようなしぐさをうかがわせるような記念写真が撮られている。それが象徴するように、メキシコへの生産移管という「賭け」は、2005年春までに大きな成果をもたらした。一方、タカタは米アトランタの南東、ジョージア州ラグランジェ工場を閉鎖。4年間のうちに、タカタはアトランタ工場と米国にある2つ目の工場、ワシントン州のモーゼスレイクでの生産を減らしていった。
しかし、米軍基地の跡地に建てられていたモーゼスレイク工場では、現場のやる気が大きく損なわれていった、と複数の従業員らがロイターの取材に語った。彼らによると、工場では生産量(ノルマ)の達成が最優先され、乗用車やSUV(スポーツ多目的車)の需要増加に追いつくため、長時間労働も強制された。「われわれはみんな燃え尽きた」と一人の元従業員は振り返る。2002年、工場は100人の従業員を解雇。一方で、当時のメディアは、タカタのメキシコでの生産増加を伝えている。
<「目が行き届いていなかった」>
インフレーターはエアバッグの安全性を左右する最も重要な部品の一つだ。その生産を担う現地工場の状況について、東京にあるタカタ本社がどの程度把握していたかは明らかになっていない。生産量を増やした際、タカタは正社員を本社からメキシコ工場へ送り込まなかった、と従業員らは話す。
メキシコ工場については、タカタの安全監査役は2011年5月に米国から派遣されている。ロイターが入手した監査レポートによると、不安定な硝酸アンモニウムの取り扱いに問題があり、十分にしっかりと詰め込まれた構成物質の袋が閉じられていない、良い材料の近くに、スクラップされたもしくは不純物の混ざったプロペラント(推進剤)が保管されているといった、リスクと隣り合わせにある状態が見つかった。しかし、その監査役はリポートの中で、タカタ本社に監査結果を送ることはないと述べていた。
「米国市場も当時、非常に拡大していたこともあり、残念ながら、われわれの目が行き届いていなかった状況が発生した」。今年6月のタカタの株主総会で、創業者の孫である高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)は、こうコメントした。彼がもっとも直近で公の場に姿を見せたのがこの株主総会だった。
(JOANNA ZUCKERMAN BERNSTEIN、 BEN KLAYMAN 日本語版編集:北松克朗、加藤京子、白木真紀)

ロイター -2014年 11月 22日 08:57 JSTタカタのエアバッグ問題、ホンダが交換部品調達で2社と交渉=報道
[デトロイト 21日 ロイター] - タカタ(7312.T: 株価, ニュース, レポート)のエアバッグ欠陥問題で、ホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)はリコール(回収・無償修理)対応に必要な交換部品を調達するため、他の供給元2社と交渉している。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が21日、関係筋の話として報じた。
タカタの品質管理を担当する東京本社品質本部の清水博シニア・バイス・プレジデントは前日の米上院公聴会で、交換部品の生産ペースを現在の月間30万個から45万個まで引き上げても、必要な水準に達しない可能性があるとの考えを示している。
米道路交通安全局(NHTSA)のデービッド・フリードマン局長代行も、月間45万個の生産ペースでは、米国でリコールされた車のエアバッグを交換するのに2年を要するとの指摘に対し、同じ考えだと述べた。またタカタ以外のエアバッグメーカーが交換部品を供給することは困難としながらも、2社と接触していることを明らかにしている。

ロイター -2014年 11月 19日 18:07 JST
焦点:タカタのエアバッグ問題、創業者一族の経営支配に影響も
[東京/北京 19日 ロイター] - タカタ(7312.T: 株価, ニュース, レポート)が製造するエアバッグの異常による相次ぐ死傷事故とリコール(回収・無償修理)拡大が、創業者一族の経営支配にも影響を与える可能性が出てきた。米国でのリコールや訴訟の費用、さらには刑事捜査の可能性などをにらみ、同社への資本注入を検討する動きも水面下で広がっている。
決着点の見えないタカタのエアバッグ問題は、約81年にわたって続いてきた同社オーナー経営の足元も揺さぶり始めている。
<先の見えないリコール・訴訟費用>
同社のエアバッグ問題は、事故が集中している米国で18日、新たな展開を見せた。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は同日、これまでフロリダやアラバマ州など一部の州にとどまっていたタカタ製エアバッグのリコールを全米に広げるよう指示。同局のフリードマン局長代行は、タカタがこれまでリコール対象拡大に関して対応に消極的な姿勢を示している、と苦言を呈した。
これに対し、タカタは19日、「詳細については確認中だが、そういうリコールになれば当局とメーカーに協力をし、対応していく」と表明。一方、同社はエアバッグの欠陥をめぐる法的問題に対応するため、米ニューヨークの著名弁護士であるアンドリュー・レバンダー氏を起用したことを明らかにしている。
同社製エアバッグを搭載した自動車は2008年以降、世界各国で1700万台以上がリコールされ、同社は20件以上の集団訴訟を抱えている。
同社は11月6日、2015年3月期の連結純損益は前期の111億円の黒字から250億円の赤字に転落するとの見通しを発表した。エアバッグの異常による自動車のリコール費用が膨れ上がったためだ。
同日の決算会見で同社の最高財務責任者(CFO)、野村洋一郎執行役員は、一連のリコールについて「多大な迷惑、心配をかけて申し訳ない」と陳謝する一方、下期の受注が「キャンセルされていることはない」と述べ、事業に影響は出ていないとの見解を示した。
しかし、今後、リコールの対象が広がれば、タカタの経営はさらに圧迫される懸念がある、と同社をウォッチする多くの市場アナリストはみる。
「(タカタは)いくつか出ているリコールに関しては大体引き当てたと言うが、問題がどのように収束するか不透明」と日本格付研究所(JCR)の小野正志シニアアナリストは指摘する。同研究所は今年7月、タカタの長期発行体格付けを「A」から「#A/ネガティブ」にした。「今の問題が他の製品や地域に広がれば見方が厳しくなる可能性もあるし、訴訟の行方なども不透明」と小野氏は言う。
SMBC日興証券のクレジットリサーチ課長、阿竹敬之氏は19日付のレポートで、米国全域にリコールが拡大すれば、タカタがリコール費用を想定以上に繰り入れざるを得なくなり、自己資本が大幅に毀損するリスクが高まったと指摘する。
さらに、JCRが格下げした場合、これまで想定していた1ノッチ引下げの「A─」どまりではなく、「BBB」格への下落も考えられ、そのタイミングについても「早期に格下げアクションが行なわれる可能性が高まった」という。
<ルネサス型支援スキームも>
タカタの事故対応コストが増大すれば、同社の資金繰りの悪化や外部からの支援導入という事態も否定できない。それを見越した動きがすでに出始めている。
「PE(プライベート・エクイティ)ファンド何社かがタカタ経営陣とのミーティングを設定するよう依頼している」と、ある投資銀行幹部は話す。メディアとの接触はできないことになっていると弁明しながらも、同幹部は「ファンドはタカタに資本参加できないか考えている」と打ち明ける。
別の投資銀行関係者は、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス (6723.T: 株価, ニュース, レポート)の支援スキームが、タカタにも最適ではないかと話す。産業革新機構と自動車、部品メーカーなど取引先8社は2012年、経営難に陥ったルネサスに共同で出資し、「日本の技術維持」を目指した官民による支援措置を講じた。
ただ、この場合、現経営陣には引責辞任を迫ることになるため、タカタの経営権を握る創業家である高田一族がすんなり受け入れるとは考えにくいとも指摘。また、創業家に提案をするような「段階にない」と話し、訴訟の行方など、同社を巡る状況を注視している。
同社の発行済み株式総数の58.6%(間接保有も含む)を保有している。エアバッグ問題でタカタの株価は年初来60%下落しており、同社が約150億円をエクイティファイナンス(新株発行をともなう資本調達)で調達すれば、創業家の保有比率は50%を割り込む計算になる。
同社の野村CFOは先週、マスコミに非公開で行われた投資家向け説明会で、資本増強ニーズの必要性を否定したという。その理由として、同氏はリコール費用として計上した776億円の大半がまだ手つかずで残っているため、と説明している。
<説明乏しいタカタの対応>
これまでに起きた5件の死亡事故はホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)車で発生。さらに他社の自動車も含め、160件もの負傷事故が起きている。エアバッグの部品であるガス膨張装置(インフレーター)が過度の圧力を受けて爆発、その金属片がバッグを突き抜けて車内に飛散し、運転者らを死傷させた、というのが各種の調査で明らかになっている事故の状況だ。
事故が多発している米国では、すでにタカタへの刑事訴追の可能性が出る一方、米議会上院は11月20日に同社幹部を呼び、エアバッグ問題についての公聴会を開く予定だ。タカタからは東京本社品質本部の清水博シニア・バイス・プレジデントが出席する。
自社のエアバッグ異常による問題が拡大する中、タカタの創業家や経営陣による対外的な説明はまだほとんどない。高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)(48)も、昨年就任したスイス人のステファン・ストッカー社長兼最高執行責任者(COO)(60)も、6月の株主総会以降、公の場に姿を現していない。その株主総会もメディアには非公開だった。タカタの広報担当者は、両氏は「適切な時期に適切に対応させていただく」としている。
「人命が失われ、自社製品の不具合が原因かもしれない場合、経営幹部が迅速に公式な対応をとる必要がある」とコーポレートガバナンスの専門家で会社役員育成機構(BDTI)のニコラス・ベネシュ氏は指摘する。
<創業家に大きな試練>
有価証券報告書によると、同社の株式は重久氏が2.89%、母である暁子氏(74)が2.06%を所有、52.1%はタカタの100%子会社で、暁子氏と重久氏が役員に名を連ねるTKJ株式会社が保有する。
ロイターの取材によると、TKJとタカタ財団、その他いくつかのタカタ関連会社が、東京のオフィスビルの一角に共同で所在し、受付の電話を共有している。受付担当者によれば、暁子氏や重久氏が訪れることはめったにない。さらに、重久氏が代表を務めるST株式会社という会社が1.5%を保有する。これもタカタの100%子会社で、会社の所在は住居棟に登記されている。
同社は、1933年に重久会長の祖父である武三氏が滋賀県彦根市で織物製造を営む高田工場として創業した。重久氏は2007年に41歳で社長に就任し、2011年に父の重一郎氏が死去すると、後を継いで会長に就任した。重久氏の母の暁子氏は元タカタ役員で、現在は公益法人のタカタ財団の理事長を務める。
創業家の事情に詳しい人物によると、重久氏は同社幹部の一部から「むすこ」や「しげちゃん」と呼ばれ、暁子氏は「大奥さん」と呼ばれており、暁子氏が依然として社内で影響力を持っているという声もある。
世界に大きな波紋を広げる安全機器メーカー、タカタのエアバッグ事故。その渦中で、創業家・高田一族が大きな試練に直面している。
(江本恵美 斉藤真理 白水徳彦、白木真紀  編集:北松克朗 加藤京子)


///////////////////////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : タカタ エアバッグ リコール 未改修 国土交通省 自動車 安全 トヨタ ホンダ

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン