2014-11-27(Thu)

衆院選 自民の政権公約 「この道」しかないのか

実績ばかり並べても 耳に心地よい話が並んだ自民の公約

(東京新聞より)
首相は自らが主導する経済政策(アベノミクス)によほど自信があるのだろう。公約でも民主党政権時の二年前と比べて雇用が百万人以上増え、賃上げ率は過去十五年間で最高だと自負している。
 経済状況から消費税再増税先送りは当然だとしても、安倍政権の「成果」はうのみにはできない。
 雇用が増えたのは非正規労働者で正規労働者は逆に減っている。賃上げ率は過去最高でも物価上昇がそれを上回り、実質賃金は消費税増税前から下がり続けている。
 金融緩和による急激な円安は、家計や原材料を海外に頼る企業を圧迫。株高は一部企業や富裕層には恩恵だが国民全体、特に地方や中小企業への広がりを欠く。
 「企業の収益が増えることで、雇用の拡大や賃金の上昇が生まれる」という政策自体に、ほころびを生じているのではないのか。
 財政再建も経済再生と並ぶ公約の重点に掲げてはいる。二〇二〇年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化する目標は堅持し、達成に向けた具体的な計画を来年夏までに策定するという。
 ただ、安倍政権下で国の予算は膨張を続けている。行政改革のための「事業レビュー」も内輪の会議にとどまり、切り込み不足は否めない。問われるのは、行財政改革を断行する覚悟と具体策だ。
 争点は経済問題に限らない。
 原発の「活用」が堂々と記され、「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」という二年前の衆院選公約は、反古(ほご)にされている。
 集団的自衛権の行使容認に基づく安全保障法制整備も盛り込まれている。原発の再稼働同様、国民の多数が反対する政策だ。
 景気回復同様、「この道しかない」という硬直的な政治姿勢で、道を誤ることになっては困る。


<各紙社説>
朝日新聞)衆院選 自民政権公約 実績ばかり並べても(11/26)
読売新聞)自民政権公約 「この道」の具体策が問われる(11/26)
毎日新聞)自民党公約 300項目列挙で何を問う(11/26)
日本経済新聞)耳に心地よい話が並んだ自民の公約 (11/26)
東京新聞)衆院選 自民党の公約 「この道」しかないのか(11/26)
北海道新聞)<2014衆院選>自民の政権公約 「この道しかない」のか(11/26)




以下引用

朝日新聞 2014年11月26日05時00分
(社説)衆院選 自民政権公約 実績ばかり並べても
 自民党の政権公約は「景気回復、この道しかない」と掲げ、経済再生と財政再建をともに実現すると宣言している。
 消費税率の再引き上げを先送りしても、基礎的財政収支の赤字を目標通り減らし、子ども・子育て新支援制度をはじめとする社会保障政策も進めていくという。本当に実施できるのか、かつての選挙公約のような「あれもこれも」式の空手形にならないのか、安倍首相らは道筋を示さねばなるまい。
 首相自ら「アベノミクス解散」とうたう通り、政権公約は経済対策に重点を置いている。強調しているのは、過去2年間の実績だ。
 「就業者数は約100万人増加」「賃上げ率は過去15年で最高」。確かにこれらの数字は、第2次政権発足以来の株高ともあいまって安倍氏の経済政策がそれなりの成果を上げてきたことを示している。
 ただ、首相自身が認めるように、その果実は中小企業や地方には行き届いていない。問題の本質はそこにある。
 本来なら、株高などの恩恵に浴する富裕層から富がしたたり落ちる「トリクルダウン」効果が出て、多くの国民が景気回復を実感できるようになるのかが問われるはずだ。それなのに、そこにいたる道筋は、次のように極めて抽象的だ。
 「雇用や賃金の増加を伴う経済の好循環をさらに拡大し、全国各地への波及を図る」「燃油高騰や米価下落などに十分配慮し、力強い景気対策を速やかに実施する」。公約の詳細版である「政策BANK」をめくっても具体策は乏しい。
 民主、自民、公明による2年前の「社会保障と税の一体改革」の3党合意には、国民に負担増を強いる苦い決断を与野党で分かち合う意味があった。それをないがしろにする形で踏み切った衆院選だというのに、政権党の公約が抽象的なかけ声にとどまっていては、アベノミクスの将来にも不安が募る。
 一方、有権者の賛否が分かれる課題には、簡単に言及しているだけだ。
 安全保障では「集団的自衛権」の言葉は使わず、「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備する」と触れた。原発再稼働では、相変わらず原子力規制委員会任せの書きぶりだ。
 首相は「アベノミクスは成功だった。今後も続けるから、将来のことはみな白紙委任しろ」とでもいうのだろうか。
 とうてい納得の得られるものではない。


読売新聞 2014年11月26日 01時27分
社説:自民政権公約 「この道」の具体策が問われる
 様々な政策課題に、具体的な処方箋を示し、着実に実現するのが政権党の責務である。
 自民党が、「景気回復、この道しかない」と題した政権公約を発表した。安倍首相の経済政策「アベノミクス」の推進を前面に掲げた。
 成長戦略として、法人税実効税率の20%台への引き下げや、科学技術基盤の強化、再生医療の推進などを挙げた。農業、医療分野などの「あらゆる岩盤規制を打ち抜く」とも強調している。
 企業の競争力を強化し、日本の「稼ぐ力」を高める狙いは妥当だが、具体策は新味を欠く印象が拭えない。農協など自民党の支援・友好団体が反対する規制改革をどう実行するかも不透明である。
 来年10月の消費税率10%への引き上げは1年半先送りし、引き上げ時の軽減税率導入を目指す方針を明示した。一方で、財政健全化目標は維持し、その具体的な計画を来年夏に策定するという。
 目標達成には、景気回復による税収増に加え、給付抑制を含む社会保障制度改革など、歳出構造の大胆な見直しが欠かせない。
 疑問なのは、ばらまき政策の復活である。整備新幹線の工期の大幅な短縮や、商店街の「地域商品券」発行を支援する交付金などが盛り込まれた。財政再建とどう両立していくのか。
 焦点のエネルギー政策では、安全性が確認された原発の再稼働を進める。政府が前面に立ち、地元自治体の理解と協力を得るよう取り組む。この方針は適切だ。
 中長期的には、「原発依存度は、可能な限り低減させる」とした。電力の安定供給には、火力、原子力、再生可能エネルギーなどのバランスが取れた活用が望ましい。自民党は、最適な電源構成に関する議論を主導してもらいたい。
 安全保障分野では、集団的自衛権行使を限定容認する政府見解に基づいて「安全保障法制を速やかに整備する」と明記した。昨年の参院選でも掲げた「国家安全保障基本法」の制定は削除した。
 重要なのは、平時から有事まで切れ目のない危機対処体制の構築だ。来年の通常国会への関連法案提出に向け、その必要性を国民にきちんと訴える必要がある。
 憲法改正については、「国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出する」と記述した。具体的な改正点や手順に言及していないのは、物足りない。自民党は積極的に改正論議を深めるべきだ。


毎日新聞 2014年11月26日 02時40分
社説:自民党公約 300項目列挙で何を問う
 自民党が衆院選政権公約を発表した。安倍晋三首相が争点と掲げる経済政策の継続にほぼ絞る形で一点張り戦略を鮮明にしたが、ほとんどの具体的な政策は「第2部」とした約300項目の政策集で優先順位もつけずに列挙された。
 アベノミクスの評価のみならず、戦後70年を控え外交、内政にわたる課題が多岐にわたる中での選挙だ。だが、公約からは「景気回復、この道しかない。」とのスローガン以外、安倍内閣がどんな姿勢と具体的な政策で中長期の政権運営にのぞもうとしているかが伝わりがたい。有権者本位の政策論争に資する中身か、疑問を抱かざるを得ない。
 政権ビジョンを政党ができるだけわかりやすく説こうとした昨今の流れからすれば、異例の構成だろう。通常の主要公約にあたる「第1部」の多くはアベノミクスの狙いやこれまでの実績を強調する図表などで占められた。政策は延期した消費税率の10%への引き上げを2017年4月に実施することなどを明記したが「経済再生・復興加速」、「地方創生」など政策目標についての基本的な説明が目立つ。
 党側は「アベノミクス(の成果)がここまできており、道は間違っていないと理解を得る」ため公約にメリハリをつけたと説明する。だが、解散直前に公表された国内総生産の連続マイナスは実績を掲げ審判にのぞむ戦略を狂わせた。だからこそ、公約は現状と「第三の矢」とされる成長戦略を再点検し、丁寧に有権者の理解を得る好機だったはずだ。
 経済以外の主要課題の多くは政策集に「全体のひとつ」として扱われた。エネルギー政策は原発依存度について「可能な限り低減」との表現の一方で政府の基本計画に沿い、原子力は「重要なベースロード電源」との位置づけを明確にした。
 集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定に関しては1項目で「切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備」などの表現で済まされた。来年の通常国会の主要テーマと目されるが、法案の踏みこんだ説明はない。
 一方で国の針路を決める憲法改正について政策集は具体的条文にふれず「国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出し、(中略)憲法改正を目指します」と記した。よもやこの80字程度の記述をもって選挙結果次第で有権者からお墨付きが得られたと主張するわけではあるまい。
 首相は長期政権を視野に解散を決断したとみられている。だとすれば4年間の衆院議員の任期を念頭に何をなそうとしているかを有権者にわかりやすく説明する責任がある。実のある選択の指標を示すべきだ。


日本経済新聞 2014/11/26付
社説:耳に心地よい話が並んだ自民の公約
 自民党が衆院選の政権公約を発表し、「地方に実感が届く景気回復を加速させる」との目標を掲げた。そうなることを望みたいが、個別の政策をみると、ばらまきではないかと思われるものが結構ある。耳に心地よい話ばかり並べるのではなく、本当に経済効果のある施策を取捨選択すべきだ。
 公約は表紙に安倍晋三首相の顔写真と「景気回復、この道しかない」とのキャッチフレーズを載せた。続く首相メッセージにも「この道」は2回出てくる。アベノミクスは是か非かの二者択一を有権者に迫るつくりになっている。
 問題は具体策である。安倍政権の看板政策である「地方創生」を柱に据えた結果、「地域経済を支える建設業・運輸業・造船業の経営基盤の強化」「整備新幹線を含む高速鉄道体系の形成促進」など自民党の伝統的な支持基盤に目を向けた公約が多く並んだ。
 国土強靱(きょうじん)化や中小企業育成の名の下に無駄な公共事業が乱発される懸念がある。
 公約を決めた総務会では、選挙を前に業界団体に配慮すべきだとの趣旨の発言があった。農協改革の表現が「議論を深め、着実に推進する」との言い回しにとどまったのはそのせいだろうか。
 「責任あるエネルギー戦略」の項目は、原発再稼働の是非に注目を集めたくないためか、「エネルギーミックスの将来像を速やかに示す」と曖昧な表現だった。
 女性活躍は「子ども・子育て支援新制度を必要な予算を確保し、来年4月から実施する」と明記した。だが、消費再増税の延期で財源のめどは立っていない。これでは「財源なきばらまき」と批判された民主党政権と大差ない。
 気になるのが経済政策以外への言及があまりに少ないことだ。
 自民党の党是ともいうべき憲法改正は末尾に4行だけ。しかも憲法改正案の国会提出について「国民の理解を得つつ」との縛りを付けた。外交・安保に「集団的自衛権」という単語は出てこない。
 国論を二分するようなテーマを争点にしたくないのだろうが、これは極端なやり方ではないか。
 「突然の解散で投票率が下がるだろうから、固定票をまとめれば勝てる」。この公約からは自民党内のそんな雰囲気が読み取れる。


東京新聞 2014年11月26日
【社説】衆院選 自民党の公約 「この道」しかないのか
 衆院選に向けた自民党の「政権公約」は、いわゆる「三本の矢」政策の推進を訴える。しかし、指摘されるのは政策のほころびだ。本当に「この道」しかないのか。
 経済再生と財政再建を公約の第一に掲げたのは、今回の衆院解散・総選挙を「アベノミクス解散」と位置付ける安倍晋三総裁(首相)の意向を反映したのだろう。
 政権公約の表題は「景気回復、この道しかない」。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」政策を強力に進め、「景気の好循環」を本格化させる、としている。
 首相は自らが主導する経済政策(アベノミクス)によほど自信があるのだろう。公約でも民主党政権時の二年前と比べて雇用が百万人以上増え、賃上げ率は過去十五年間で最高だと自負している。
 経済状況から消費税再増税先送りは当然だとしても、安倍政権の「成果」はうのみにはできない。
 雇用が増えたのは非正規労働者で正規労働者は逆に減っている。賃上げ率は過去最高でも物価上昇がそれを上回り、実質賃金は消費税増税前から下がり続けている。
 金融緩和による急激な円安は、家計や原材料を海外に頼る企業を圧迫。株高は一部企業や富裕層には恩恵だが国民全体、特に地方や中小企業への広がりを欠く。
 「企業の収益が増えることで、雇用の拡大や賃金の上昇が生まれる」という政策自体に、ほころびを生じているのではないのか。
 財政再建も経済再生と並ぶ公約の重点に掲げてはいる。二〇二〇年度までに国・地方の基礎的財政収支を黒字化する目標は堅持し、達成に向けた具体的な計画を来年夏までに策定するという。
 ただ、安倍政権下で国の予算は膨張を続けている。行政改革のための「事業レビュー」も内輪の会議にとどまり、切り込み不足は否めない。問われるのは、行財政改革を断行する覚悟と具体策だ。
 争点は経済問題に限らない。
 原発の「活用」が堂々と記され、「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」という二年前の衆院選公約は、反古(ほご)にされている。
 集団的自衛権の行使容認に基づく安全保障法制整備も盛り込まれている。原発の再稼働同様、国民の多数が反対する政策だ。
 景気回復同様、「この道しかない」という硬直的な政治姿勢で、道を誤ることになっては困る。


北海道新聞 (2014/11/26)
社説<2014衆院選>自民の政権公約 「この道しかない」のか
 自民党の「1強多弱」状況の下、政策が硬直化してしまっているのではないか。同党が発表した政権公約のことだ。
 キャッチフレーズは「景気回復、この道しかない」で、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」を前面に押し出している。
 だが7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が2四半期連続でマイナス成長となるなど、アベノミクスの評価は揺らいでいる。
 にもかかわらず「この道しかない」と言い切る首相のかたくなな政治姿勢が、公約の随所に現れている。
 アベノミクスに関し、公約は「就業者数は約100万人増加」「賃上げ率は過去15年で最高」などと数字を列挙して効果をアピールし、継続の正当性を訴えている。
 しかし、円安に伴う物価上昇に賃金が追いつかず、家計の実質負担は増えている。雇用の増加も非正規労働者が中心だ。都合のいい数字だけを有権者に示すのは誠実さを欠く。
 消費税率10%への引き上げは2017年4月と明記し、軽減税率導入は17年度を目指すとした。
 一方で税制と一体で進めるはずの社会保障改革については具体的な全体像を示していない。これでは有権者は消費税再増税の是非を判断できない。  首相が消費税増税に伴う「身を切る改革」として確約した衆院議員の定数削減は、衆院議長の下に設置した第三者機関の「答申を尊重」とするにとどめた。やる気を疑わざるを得ない。
 アベノミクス以外でも「この道しかない」と言わんばかりだ。
 米軍普天間飛行場移設問題では、沖縄県知事選で名護市辺野古への移設反対派が勝利したにもかかわらず「辺野古への移設を推進」する方針を堅持した。
 米国が強硬姿勢を崩さないため難航している環太平洋連携協定(TPP)交渉についても「国益にかなう最善の道を追求する」と推進の立場を維持した。
 原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働を進める姿勢も重ねて打ち出した。
 一方、安全保障政策では7月の閣議決定で容認した「集団的自衛権の行使」に直接言及せず、「戦後初めての安全保障政策の立て直しに挑戦している」などとした。
 行使容認に国民の反対が多いからだろう。国の行方に関わる重要テーマでこうした争点隠しは許されない。きちんと議論を戦わせ、謙虚に国民の審判を仰ぐべきだ。

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