2015-01-10(Sat)

整備新幹線前倒し 大義はない

「ガラス細工の資金繰り」危惧の声

-----財政難の中、国や地方自治体の負担も増やす前倒しは理屈が立たない。

-----追加費用は5400億円に達し、建設主体になる鉄道建設・運輸施設整備支援機構の借金などで賄うが、どうしても足りない900億円は国と関係自治体が税金で埋め合わせる。
巨額の負担に見合うメリットがあるのか、政府・与党には説得力ある説明をする責任があるはずだ。
 
-----自民党は「政権公約」に「地方創生に役立つ」と記載した。
しかし過去の新幹線延伸では、首都圏や中核都市への移動が容易になった結果、延伸先や沿線の自治体がさびれてしまうというデメリットも指摘されている。地域の足になる並行在来線へのしわ寄せも心配される。

-----前倒しが決まった区間の経済効果は、国土交通省の試算でも採算ラインぎりぎりだ。
開業までに経済情勢や交通をめぐる状況は変わり得る。採算割れの可能性も否定できまい。
 
旧国鉄は政治に翻弄(ほんろう)され、採算を度外視して路線網の整備を進めた結果、膨大な累積赤字を抱えて分割民営化された。
累積赤字の大半は国の一般会計に承継されたが、まだ18兆円も残っている。
新幹線整備を政権の実績作りや地方への利益誘導に使うことは許されないはずだ。
 
今回の前倒し対象は民主党政権時代に、採算が疑問視されていったん凍結された路線だ。
民主党はその後、国民負担を軽くするために開業時期を先延ばしして着工を認めた。
改めて前倒しすることで、国民負担を加重し、累積赤字まで増やすことがあってはならない。
(毎日新聞)

-----ただ、将来JR各社が得る新幹線の運行収益を担保に金を借りる、借金の金利を安めに見直す、地元と国の負担を増やす――など、
「ガラス細工の資金繰り」(政府関係者)との見方もある。
そもそも「需要が想定通りにあるか」など、従来からの不確定な要素もあり、慎重な運営を求める声が高まる可能性もある。
(J-CASTニュース 2015/1/ 8)


<各紙社説・論説>
毎日新聞)整備新幹線 前倒しに大義はあるか(1/10)
北海道新聞)新幹線札幌延伸 5年前倒しを起爆剤に(1/10)
福井新聞)新幹線県内開業前倒し ソフト充実含め課題多い(1/9)




以下引用

毎日新聞 2015年01月10日 02時40分
社説:整備新幹線 前倒しに大義はあるか
 北海道、北陸、九州の3整備新幹線の開業時期が前倒しされることになった。中でも北陸新幹線の金沢−福井間は、2020年の東京五輪に間に合わせるため、政府・与党で一段の前倒しを検討するという。
 自民党は先の総選挙で開業の前倒しを公約していたが、それを必要とする根拠は不明だ。財政難の中、国や地方自治体の負担も増やす前倒しは理屈が立たない。
 政府・与党が決めたのは北海道の新函館北斗−札幌間の開業時期を現在予定している35年度から5年、北陸の金沢−敦賀間は25年度から3年それぞれ早め、九州(長崎ルート)の武雄温泉−長崎間は22年度から可能な限り前倒しすることだ。北陸の金沢−福井間は今年夏までに一段の前倒しの是非を決めるという。
 追加費用は5400億円に達し、建設主体になる鉄道建設・運輸施設整備支援機構の借金などで賄うが、どうしても足りない900億円は国と関係自治体が税金で埋め合わせる。巨額の負担に見合うメリットがあるのか、政府・与党には説得力ある説明をする責任があるはずだ。
 自民党は「政権公約」に「地方創生に役立つ」と記載した。しかし過去の新幹線延伸では、首都圏や中核都市への移動が容易になった結果、延伸先や沿線の自治体がさびれてしまうというデメリットも指摘されている。地域の足になる並行在来線へのしわ寄せも心配される。
 新幹線輸出を成長戦略の要に位置づける政権内には、「東京五輪で来日する各国の要人に売り込む機会になる」との思惑もあるという。しかし、新幹線には東海道も東北もある。新線の整備を急ぐ理由にはなるまい。福井県などの地元は「五輪で訪れる外国人観光客を誘致できる」と期待するが、その期待は巨額の負担増に見合うものだろうか。
 前倒しが決まった区間の経済効果は、国土交通省の試算でも採算ラインぎりぎりだ。開業までに経済情勢や交通をめぐる状況は変わり得る。採算割れの可能性も否定できまい。
 旧国鉄は政治に翻弄(ほんろう)され、採算を度外視して路線網の整備を進めた結果、膨大な累積赤字を抱えて分割民営化された。累積赤字の大半は国の一般会計に承継されたが、まだ18兆円も残っている。新幹線整備を政権の実績作りや地方への利益誘導に使うことは許されないはずだ。
 今回の前倒し対象は民主党政権時代に、採算が疑問視されていったん凍結された路線だ。民主党はその後、国民負担を軽くするために開業時期を先延ばしして着工を認めた。改めて前倒しすることで、国民負担を加重し、累積赤字まで増やすことがあってはならない。


北海道新聞(2015/01/10)
社説:新幹線札幌延伸 5年前倒しを起爆剤に
 政府・与党が、北海道新幹線の札幌―新函館北斗間の開業を当初予定から5年前倒しして2030年度末とすることを決めた。
 開業を早めれば、観光や企業誘致などの経済効果が早期に表れることが期待できる。歓迎したい。
 国土交通省は、工期短縮により約2700億円の国内総生産(GDP)押し上げ効果があるとの試算を示している。
 道や経済界が中心になり、オール北海道で札幌延伸を生かした振興策を練り上げたい。
 北海道新幹線新函館北斗―新青森間が来年3月に開業する。それから15年で念願の札幌―東京間が結ばれる。
 東北、関東が道都まで線でつながる意義は大きい。人やモノの交流が一層活発になり、新たなビジネスが生まれるきっかけにもなるだろう。
 だが、克服すべき課題は山積している。
 一つは地元負担だ。道や沿線自治体の延伸区間建設の負担総額は約2900億円で変わらない見通しだが、前倒しにより単年度分は増加する。
 新幹線の負担増が、ほかの住民サービスの低下につながることがあってはならない。
 経営分離されるJR函館線の小樽―函館間の扱いも同様だ。鉄路を維持するか、バスなどの代替交通にするか、沿線住民の利便性を第一に考えたい。
 その際、重要なのは新小樽駅(仮称)など、この区間の四つの新幹線停車駅と連動させることである。いかに集客力を高め新幹線効果を地元に還元するか。そうした視点も大事にすべきだ。
 札幌市内のルートも課題である。住宅が密集する手稲トンネル出口付近やマンションが点在するJR桑園駅付近などは、用地買収の難航が予想される。
 このため一部には地下トンネルの案も浮上している。
 延伸区間の7割超がトンネルだが、掘削土の処分地はほとんど決まっていない。札幌も地下ルートとなれば、さらに事態が深刻になる恐れもある。
 こうした難題を乗り越えるためには関係自治体ばかりでなく、北海道全体の知恵を結集したい。
 同時に、新幹線と空路を軸に、道路網を含めた道内の高速交通体系全体の再構築にも取り組まねばならない。
 将来を見据えながらグランドデザインを描き出す。それが北海道の活性化につながる。


福井新聞(2015年1月9日午前7時30分)
論説:新幹線県内開業前倒し ソフト充実含め課題多い
 北陸新幹線の福井延伸、早期開業がより現実的になってきた。政府・与党ワーキンググループ(WG)が金沢−敦賀の3年前倒しを最終決定した。14日の政府予算案閣議決定で正式に決まるが、さらに福井間を2年程度前倒しし、先行開業させることを今後の検討課題とすることも確認した。
 早期開業は、本県が強く要望してきたように、政府も経済効果が大きいと判断したからだ。3月14日には金沢までが開業。本県は後れを取っている。北陸地域での都市間格差が一層懸念される中での朗報である。しかし、福井先行開業のハードルは高く、財政面や技術面での問題も多い。県都の再開発や沿線地域の再整備についても課題があり、ハード以上にソフト戦略の構築を急ぐ必要がある。
 整備計画決定から40年超の歳月が流れた。列島に広がる新幹線網をみても、福井が「空白域」なのは国土の均衡ある発展の観点からもおかしい。政治力を最大限に発揮し、県内政財界、地域、県民一丸となって取り組むべき最重要課題だ。
 当初の計画では敦賀開業が2025年度(26年春ごろ)であり、3年前倒しなら22年度。さらに福井までを2年早めれば東京五輪・パラリンピック開催の20年度に間に合う計算。政府の成長戦略と「地方創生」に乗り、五輪効果を取り込む好機となるのは確かだ。
 だが前倒しには難問がある。敦賀3年前倒しは、JR西日本が導入予定のフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)が間に合わない可能性がある。新幹線利用だと、乗り換えが不便な敦賀駅の構造上の問題も出てくる。現駅併設の福井駅なら支障はない。
 福井先行開業はこうした事情もあるが、新たな財源探しに加え、早期完成を迫られる「新九頭竜橋」は難工事。折り返しに必要な駅周辺の車両基地が必要かどうか、敦賀以西ルートも現実的な議論が求められる。
 政府・与党は14日にまとめる合意文書の中に福井先行開業の検討を盛り込む予定だ。今夏までに結論を得る構えだが、暫定的な手法で運行させる「先行活用」という考え方もある。
 新幹線は、人・モノ・カネ・情報、さらに「時間」や潜在的な資源を動かす原動力ともなる。観光面にとどまらず、あらゆる観点から相乗効果を高め、地域の活性化につなげていく必要があろう。待っていれば実現するものではない。よほどの覚悟と決断力、実行力が求められるのは当然だ。
 春開業に期待が膨らむ金沢は歴史文化と現代性を調和させた都市空間の創造が着々と進む。中核市の富山市は環境未来都市にも選定され、コンパクトシティーとして高質な都市整備を図っている。福井市はどうか。歴史と伝統ある財産を有しながら、まちづくりの方向性がぼやけ、奥行きと幅の広さに欠ける。県と市の連携もいま一つだ。
 新幹線は手段にすぎない。県都の顔づくりは無論、県内隅々に波及効果が届く県民本位の緻密な戦略をスピード感をもって進めるべきだ。市民団体などが現行特急の存続を求めるなど、県民の足確保も重要課題。将来を展望しつつ、足元をしっかり見据えたい。

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政府・与党整備新幹線検討委員会の開催について
平成27年1月9日
http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo03_hh_000063.html
 政府・与党整備新幹線検討委員会が下記の通り開催される予定となっておりますので、お知らせします。なお、メンバーについては、添付資料の通りとなっております。
日時 :平成27年1月14日(水)14:00~14:20
場所 :官邸4階大会議室
取材等:傍聴及びカメラ撮りは、冒頭のみ※。(担当者の指示に従って御退室ください。)
※ただし、官邸入邸証を持った方に限る。
なお、会議終了後、国土交通省において会議の概要についてブリーフを行う予定です。
添付資料
政府・与党整備新幹線検討委員会メンバー(PDF形式)
http://www.mlit.go.jp/common/001065752.pdf

国土交通省鉄道局幹線鉄道課 
TEL:03-5253-8111 (内線40313)

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毎日新聞 2015年01月09日 地方版
北陸新幹線:敦賀延伸前倒し 首長ら、歓迎の声 市民には戸惑いも /福井
 政府・与党が8日、北陸新幹線の金沢−敦賀間の延伸開業について、現行計画の2025年度から3年早めることを決めた。県内では、延伸の前倒しを政府などへ要望してきた自治体首長から歓迎の声が上がった。一方で市民の間には、賛成の中に戸惑いの声も聞かれた。【山衛守剛、松野和生】
 敦賀市の河瀬一治市長は記者団の取材に対し、「前倒しは市や県にとって重要な課題だった。(西川一誠)知事や国会議員の皆さんに頑張っていただいた成果であり、感謝したい」と評価。「今後のスケジュールを一日も早く示していただいて3年短縮が実現され、敦賀に新幹線が来ることを願う」と期待を込めた。
 また、さらに2年前倒しが検討される金沢−福井間の先行開業については、「財源が課題だが、早期開業で県全体(の経済)に波及すれば無駄にはならず、先行開業は結構なこと」と述べた。
 県内延伸で期待することについては経済波及効果を挙げ、「新幹線が福井まで入れば観光客に県内のいろんな所へ足を運んでもらえるチャンス。県が一丸となって開業効果に期待しながら準備を進めなければならない」と語った。
 また、西川知事も談話を発表。「尽力いただいた政府・与党をはじめ関係者に感謝し、県内各界のこれまでの精力的な活動とご支援、ご協力に対し厚くお礼申し上げる」とした。福井先行開業についても「政府・与党においてしっかりと議論を深めていただきたい」と期待した。
 福井市中央の女性(50)は、「開業が早まるのは大歓迎。東京との距離が縮まるのは早ければ早いほどうれしい。ただ、工期が短縮されたからといって工事は焦らず、丁寧に着々と進めてほしい」と話した。
 一方、同市花堂の介護士の男性(41)は「3年程度の短縮ではまだまだ時間がかかりすぎだ」と指摘。「新幹線は必要だと思うが、敦賀までの開業に時間がかかれば、北陸の中で福井は富山や石川から経済的に大きく後れをとり、新幹線の恩恵から取り残されてしまう。もっと早い時期に開業すべきだ」と話した。


日本経済新聞 2015/1/9 10:38
敦賀開業前倒し、用地買収・湿地対応急ぐ 北陸新幹線
 政府・与党のワーキンググループ(WG)が8日、北陸新幹線の敦賀開業を3年前倒して2022年度に決めたことを受け、沿線の石川・福井両県からは歓迎の声が上がった。両県は今後、ルート上の用地買収を加速させ、工事が円滑に進むことを目指す。検討課題とされた金沢―福井間の先行開業実現に向け、経済界は国などへの働き掛けを強める考えだ。
 3年前倒しは福井県が強く要望してきた。同県の西川一誠知事は「尽力いただいた政府・与党をはじめ関係者に感謝する」とコメントした。石川県の谷本正憲知事も「(15年度)政府予算案において、工期短縮に必要な予算を配分していただきたい」と期待した。
 建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構から委託を受け用地取得に当たる両県は手続きを急ぐ。金沢―敦賀間は約113キロあり、両県は担当者を増やすなど体制を強化する方針だ。
 金沢以西の石川県内区間が約40キロある谷本知事は5日の記者会見で「2~3年で用地を取得、5年で建設」というスケジュールを示した。これまで同県内で買収したのは1.3キロにとどまる。福井県は道路や水路の付け替えなどに関する沿線集落との設計協議を14年度末までに終える計画。そのうえで用地については「16~17年度には取得完了を目指す」(新幹線建設推進課)考えだ。
 同県内ではルートがラムサール条約に登録されている敦賀市の「中池見湿地」を横切っている。鉄道・運輸機構は専門家らの検討委員会で環境への影響を検討し、昨年12月に湿地の約100メートル外側を通る「アセスルート」の方が現行の認可ルートより影響が少ないとの結果を示した。
 検討委は14年度中に結論を出す予定で、3月に開く次回会合でルートを修正する公算が大きい。実施には工事計画の変更が必要になるが、国土交通省は「速やかに対応する」としている。
 敦賀延伸時には大阪方面などに乗り換えなしで移動できるようにするため、在来線と直通運転できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の導入が検討されている。FGTの車両は西日本旅客鉄道(JR西日本)が25年度を目標に開発を進めている。ただ、豪雪地帯を通るだけに消雪技術などの課題があり、3年前倒しに間に合わせるためのハードルは低くない。
 商工会議所など福井県内の経済3団体が20年の東京五輪に間に合うよう実現を強く求めている金沢―福井間の先行開業については今後、与党で検討することになった。福井駅を終着駅にして折り返し運転をするには同駅周辺に新たな車両基地が必要で、財源や用地の確保などが課題となる。西川知事は「政府・与党において、しっかりと議論を深めていただきたい」と指摘した。


日本経済新聞 2015/1/9 10:24
札幌延伸前倒し、経済効果1割増 北海道新幹線
 北海道新幹線の札幌延伸が当初計画より5年前倒しとなり、2030年度とする方針が8日決まった。およそ15年で札幌―新函館北斗間に1兆6700億円の工費を投じる。沿線の関係者からは歓迎の声が相次ぎ、経済波及効果は開業初年度だけで1割近く高まるとの試算もある。工期短縮により自治体の年度ごとの財政負担は高まるが、それを超えるだけの効果を引き出せるかが重要になる。
 北海道新幹線は新函館北斗―新青森が16年3月に開業する。札幌―新函館北斗はそれから15年後の開業となる。北海道旅客鉄道(JR北海道)は同日、「札幌延伸がより現実的になり、様々な取り組みが具体化して北海道経済によい効果が生じると期待する」とのコメントを出した。
 札幌―東京は約5時間となり、現在よりも4時間ほど短縮される。道内でも札幌―函館が現在は3時間40分ほどかかっているが、札幌―新函館北斗が約1時間と日帰り圏になる。
 足元では資材の高騰や建設業界の人手不足などで工事単価は上昇している。だが、札幌―新函館北斗に投じる工費は従来計画を据え置く。
 総額は変わらないが、工期短縮により地元自治体の単年度の負担は高まる。北陸、九州の両新幹線をあわせて工期前倒しには5400億円が必要だ。現状の負担割合から単純計算すると、道内では年に10億円あまりが追加で必要となる。
 地元からは歓迎の声が目立つ。北海道商工会議所連合会の高向巌会頭は「足元では公共工事が増え、将来でも観光を基点とした展望が開ける」と声を弾ませる。不動産や食品などにも新たな動きがでると見込む。
 停車駅ができる倶知安町の福島世二町長も「本州や新千歳空港からのアクセスが良くなり、ニセコ地区のスキー客をはじめ観光客がますます増える」と喜ぶ。「駅前の再開発や二次交通の確保などの検討を加速しなければならない」と話す。
 札幌延伸は東京と高速鉄道網で結ばれるだけではなく、その間の東北などと道内を結ぶ意味でも効果が大きい。北海道経済連合会の大内全会長は「北海道と東北がひとつの経済圏となり、道内でもニセコと札幌が30分ほどで結ばれ、北海道の魅力が一層高まる」と期待する。
 また、函館国際観光コンベンション協会(函館市)の藤森和男専務理事は「札幌圏がぐっと近くなり、長旅を敬遠した人たちの需要を掘り起こせる」と歓迎する。
 道庁は「利用者の増加により道内への経済波及効果も大きくなる」(新幹線推進室)と期待を示す。ただ、整備費の負担は小さくない。北海道新幹線の工事に着工した05年度から13年度までの累計で、道庁は起債を含めて約790億円を負担した。このため「国の財源措置の拡充によりできるだけ地方負担を軽減してほしい」と求めている。


朝日新聞 2015年1月9日09時35分
北海道)新幹線札幌開業 5年早まり2030年度に
■沸く地元、課題も前倒し
 北海道新幹線の札幌開業が当初予定より5年早まり、2030年度となることが8日決まった。札幌までの延伸の正式決定から2年半余り。開業前倒しを国に働きかけてきた沿線自治体や経済界は喜びにわいた。一方、札幌市内の用地取得など課題も残る。
 「新年早々の朗報。間違いなく北海道の新たな扉を開くこととなる」。道内各地の商工会議所でつくる北海道商工会議所連合会(道商連)の高向巌会頭は、前倒しの決定を喜んだ。
 経済界は道内の大企業や各種団体、沿線自治体などと「北海道新幹線建設促進期成会」をつくり、工期短縮を国に働きかけてきた。高向会頭は、札幌市が開催をめざす26年冬季五輪にも触れ、「オリンピックに合わせた札幌開業を」と、さらなる開業の前倒しに期待感を示した。
 道は昨年5月、開業後5年間の経済波及効果は工期の5年短縮により約400億円増の約5100億円になると試算。札幌開業を早くすればするほど、道内にもたらされる経済波及効果が大きくなるとして、高橋はるみ知事が先頭に立って札幌開業の前倒しを訴えてきた…


NHK 1月9日 13時25分
金沢~福井間さらに前倒し「技術的に難しい」
整備新幹線のうち、北陸新幹線の金沢・福井間の開業時期を3年前倒しするだけでなく、さらに早められないか与党が検討を行うとしていることについて、太田国土交通大臣は9日の閣議のあとの記者会見で、「技術的に難しい面がある」と述べ、開業をさらに早めることに慎重な見方を示しました。
整備新幹線の開業時期については、政府・与党のワーキンググループが8日、北陸新幹線の金沢・敦賀間を3年、北海道新幹線の新函館北斗・札幌間を5年、それぞれ前倒しさせるなどの方針を決めました。
これを受けて、太田国土交通大臣は9日の閣議のあとの記者会見で、新年度・平成27年度の政府予算案の決定に向けて「財源など最後の詰めをしっかり整えたい」と述べました。
一方、北陸新幹線のうち、金沢・福井間の開業時期を3年前倒しするだけでなく、さらに早められないか与党が検討を行うとしていることについて、太田大臣は「政府としては技術的に難しい面があると考えている」と述べ、開業をさらに早めることに慎重な見方を示したうえで「別途、与党で検討されると承知をしている」と述べ、与党での議論を見守る考えを明らかにしました。


朝日新聞 2015年1月9日05時31分
北海道・北陸新幹線の開業前倒し 税金900億円投入へ
土居新平
開業の前倒しが決まった3路線
 政府は、北海道新幹線の新函館北斗―札幌間の開業を5年間早めて2030年度に、北陸新幹線の金沢―敦賀間を3年間早めて22年度に前倒しする方針を決めた。前倒しに必要な5400億円のうち900億円程度は国と地方の税金を使うことにした。国は15年度予算から16年間、毎年約35億円を計上し、地方にも年十数億円の負担を求める。
 8日開かれた政府と与党の作業部会で合意した。九州新幹線の武雄温泉―長崎間はできる限り前倒しする。北陸新幹線の金沢―福井間を20年に先行開業することについて与党内で検討し、今年の夏までに結論を出すことも決めた。
 前倒しのために投入する約900億円の税金について国土交通省は「事業費の総額は増えず、将来的に国と地方で負担する額を先行的に投資するものだ。経済的効果も大きい」と説明する。
 残る約4500億円についても、新たな手当てをする。新幹線を建設・保有する鉄道・運輸機構が、在来線を支えるために間接的に資金支援する仕組みがあるが、JR貨物の在来線使用料を増やすことや、国費を使うことなどを検討する。結果として浮いた機構のお金を建設費に回せるようにする考えだが、公的負担が見た目より増える可能性もある。年2%で試算していた借入金の金利も実態に合わせて1%前後で試算し、約300億円を浮かせる。(土居新平)

朝日新聞デジタル2015年1月9日05時00分
前倒し、政権押し切る 衆院選大勝、国交省に攻勢 北海道・北陸新幹線
 北海道、北陸新幹線の開業前倒しが8日、決まった。景気回復の実感を地方に行き渡らせる「地方創生」の目玉として、安倍政権が国土交通省や財務省に実現を強く働きかけた。ただ、元々採算性が低い区間に約900億円の税金を追加でつぎ込むことには疑問の声も上がっている。▼1面参照
 「前倒しは技術的、財源的に難しいと思っていたが、関係者がよく頑張った」。8日午後、官邸で開かれた作業部会を終えた自民党の高木毅前国交副大臣(衆院福井2区)は胸を張った。
 新幹線の建設計画と必要な財源はセットで決められ、毎年の予算で一定額が投入されてきた。過去10年間で増額されたのは、消費増税があった今年度の14億円だけ。地方の利権に直結するだけに、政治家からの圧力で野放図に予算が増額されるのを防ぐ省庁側の「知恵」だった。
 だが今年度は、地方創生を掲げる安倍政権が「前倒しできるのであればやった方がいい」(麻生太郎財務相)とぶち上げ、与党も国交省に必要な財源の試算を求めるなど圧力を強めた。
 前倒しを政権交代の象徴にしたいという狙いもあった。もともとの開業予定は、2012年度に民主党政権が決めたもの。国交省幹部は「民主党がつくった方針を自民党が変えようとしたことが大きい」と言う。
 国交省はもともと、与党が求める「北海道5年、北陸3年」前倒し幅の実現には消極的だった。公共事業予算の大幅な増額が見込めない中、前倒しに税金をつぎ込めば他の公共事業を削らざるを得ないためだ。
 決め手は昨年末の衆院選で前倒しを公約に掲げた自民党が大勝したことだ。国交省は結局、「奥の手」として温めていた在来線への支援の見直しを提案し、要求通りの前倒しを実現させることになった。
 ■税金900億円、効果に疑問も 駅前、目立つ空き地/大都市集中進む懸念
 北海道の自治体や経済界は、前倒しを歓迎する。しかし、沿線では、どこまで経済効果があるのか疑問視する声もある。
 来年3月に開業を控える新函館北斗駅(北海道北斗市)。駅前には今も広大な空き地が広がる。地元の北斗市は駅前の約5万平方メートルを13区画に分けて商業施設を誘致してきた。最大3億円の補助金を用意して1千社以上に声をかけたが、決まったのはレンタカー会社など3分の1ほどだ。
 新函館北斗―札幌間にできる長万部駅の予定地近くでも、熱気は乏しい。シャッターが下りた店が目立つ商店街の男性店主は「人が減り続けている町に新幹線が通ったときにどうなるのか。他にお金を回すべき所があるのでは」と話す。
 北海道の試算によると、新函館北斗―札幌が30年度に開通した場合の経済効果は道全体で1048億円。前倒しで9%増えるが、効果の7割は札幌市に集中する。大都市以外の駅周辺では逆に活気が失われる懸念さえある。
 今回前倒しする区間は北海道、北陸とも開業で生まれる経済効果を建設費や維持費で割った数値が1・12。採算ラインの1をかろうじて上回る水準で、前倒ししても北海道が1・19、北陸が1・18とわずかに改善するだけだ。
 前倒しの費用について国交省は「完成までにかかるお金を先に使うだけ。長い目で見れば国民負担は増えない」と説明する。ただ一時的とはいえ本来は他の目的に使える税金を投じる必要があるのか、疑問は残されたままだ。(土居新平、山下龍一)



日本経済新聞 2015/1/8 22:08 (2015/1/9 0:16更新)
北海道・北陸新幹線延伸、3~5年前倒し決定
 政府・与党は8日、北海道新幹線の函館から札幌への延伸を現行計画より5年早い2030年度、北陸新幹線の金沢から敦賀への延伸は3年早い22年度にすることを正式に決めた。九州新幹線の長崎ルートは可能な限りの前倒しをめざす。
 与党内では敦賀駅への延伸前に福井駅を早期開業するよう求める声が強く、慎重な政府とは溝がある。およそ1年半に及んだ議論は決着を迎えたが、新たな火種を抱え込んだ。
 与党幹部や関係大臣が出席する14日の政府・与党検討委員会で合意文書を交わす。
 北海道、北陸、九州・長崎ルートの整備計画は民主党政権の12年に現在の枠組みが決まった。従来の計画より建設期間を延ばし、単年度あたりの財政負担を抑えたのが特徴だ。早期開業を求める自公政権による今回の計画の見直しで、財政規律は緩む。
 前倒しに必要な建設資金は国土交通省が昨年5月に5400億円と試算した。同省は国費を使わない幾つかの財源案で4500億円を捻出した。
 1つめは新幹線の整備主体である独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の民間金融機関からの借り入れだ。新幹線を運行するJR各社が将来支払う線路や駅の使用料を担保に約2000億円を調達する。
 2つめはJR各社が鉄道・運輸機構に使用料として払っている貨物調整金の見直しだ。一部を建設財源に回せるよう制度を改め約2000億円を捻出する。
 3つめは鉄道・運輸機構の金利費用の想定の見直しだ。これまでは一律2%とみなしていたが、実勢にあわせ0.5~1.5%に下げ、300億円弱をひねり出す。
 これらの措置で確保できる財源は合計4500億円となる見通しだ。残り900億円ほどの建設費用は国と地方の財政支出を増やして賄う。建設期間の16年で割り、国と沿線自治体が2対1で負担し合う取り決めに従うと、16年の建設期間中に国は支出を単年度あたり約35億円、地方は約18億円増やす必要がある。政府は14年度に720億円を計上した新幹線予算を、15年度は35億円程度増やす方針だ。
 開業時期の前倒しで満額回答を引き出した与党内では、敦賀までの途中駅である福井の早期開業を求める声が強まってきた。与党の作業チームで今年夏までに結論を出すが、用地買収や建設工事など課題は多い。国交省幹部は「できないことをできますとは言えない」と慎重で、今後の議論は波乱含みだ。


J-CASTニュース 2015/1/ 8 17:30
北陸、北海道の整備新幹線の延伸時期を前倒しへ、「ガラス細工」の金策に危惧の声も
北海道と北陸の整備新幹線の延伸を前倒しする計画が固まりつつある。ただ、将来JR各社が得る新幹線の運行収益を担保に金を借りる、借金の金利を安めに見直す、地元と国の負担を増やす――など、「ガラス細工の資金繰り」(政府関係者)との見方もある。
そもそも「需要が想定通りにあるか」など、従来からの不確定な要素もあり、慎重な運営を求める声が高まる可能性もある。
開業の経済効果を高める狙い
札幌から東京まで伸ばしても...(画像はE7系・W7系新幹線の外観イメージ)
前倒しの検討対象となっているのは、北海道新幹線の新函館北斗~札幌間(211キロ、2035年度開業予定)と、北陸新幹線の金沢~敦賀間(113キロ、2025年度開業予定)だ。北海道は新青森~新函館北斗間(149キロ)が2016年3月、北陸は長野~金沢間(240キロ)が2015年3月に開業が迫っており、函館や金沢などでは新幹線がもたらす経済効果などに期待が高まっている。こうした中、それぞれの延伸区間について開業を前倒しすることで、経済効果をより向上させようというのが、与党や国土交通省の主張だ。
ちなみにもう一つの建設中の整備新幹線、九州新幹線長崎ルート(武雄温泉~長崎=67キロ、2022年度開業予定)も前倒しを求める声はあるが、地元負担が増えることもあって本格的な議論にはいたらなかった模様だ。
長崎ルートについて付け加えると、67キロで完結するわけではない。在来線の武雄温泉~新鳥栖と九州新幹線鹿児島ルートの新鳥栖~博多間を活用。在来線も使える「フリーゲージ車両」を使うことで2022年度に博多~長崎間で新幹線を運転するもので、山陽新幹線への乗り入れも検討されている。フリーゲージ車両の導入は北陸新幹線の敦賀~大阪間でも検討されているほか、札幌から旭川への延伸や岡山と高知を結ぶ「四国新幹線」でも構想として温められている。
将来の運賃収入を担保に借金
延伸区間前倒しの金策に話を戻すと、政府は北海道新幹線について、札幌までの延伸を従来計画から5年早めて2030年度とし、北陸新幹線は敦賀への延伸を3年早めて2022年度とする方向で調整を進めている。しかし、それぞれの前倒しには新たに計5400億円の財源が必要と国土交通省が試算している。これをどうするか。
政府が焦点を当てたのは、JR各社が得る将来の新幹線の運賃収入だ。整備新幹線は実態として公共事業であり、建設費用は国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担する。JRは建設された施設を借りる立場で、運賃収入から経費を差し引いた額を「貸付料」として、施設を建設・保有する独立行政法人「鉄道・運輸機構」に支払う。この貸付料を担保に計2000億円を金融機関から借りることにした。
さらに、鉄道・運輸機構の借金の金利とJR貨物への支援金の見直しで、2500億円程度を得る算段だ。鉄道・運輸機構の借入金利は2%だが、日銀の金融緩和で実勢金利が下がっていることを踏まえ1%前後に引き下げる。JR各社が払う「貸付料」の一部がJR貨物の支援に充てられる現状を見直し、新幹線整備に回せるようにする。それでも足りない900億円は国と地方自治体が追加負担する方向だ。当初、与党が検討したJR九州の株式上場による売却益の充当は見送られた。もともと株式売却益は旧国鉄債務処理法で旧国鉄職員の年金に充てることになっているためだ。
しかし、そこまでして金策に走って延伸を前倒しすることには疑問の声もある。もともと札幌―東京間は航空各社のドル箱路線。どれだけ頑張っても5時間近くかかる新幹線にいかほどの乗客がシフトするかは見方が分かれる。北陸も「金沢と敦賀の需要の違いは精査が必要」との指摘もあるだけに論議を呼ぶ可能性がある。

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