2015-01-29(Thu)

スカイマーク 大手、LCCに押され ワンマン経営致命傷

負債710億8800万円 航空自由化政策も暗礁 

スカイマーク民事再生法の適用を申請した。
大手航空会社の寡占に風穴を開けようと政府が1990年代に進めた航空自由化の象徴として誕生してから19年。
同時期に新規参入したエア・ドゥなどは既に経営不振によってANAホールディングスの傘下に入っており、
大手と格安航空会社(LCC)に挟撃される「第三極」の経営の難しさが鮮明に。
退任する西久保慎一社長の大型機大量購入など、ワンマン経営の失敗が致命傷になった。・・・
(毎日新聞)

航空市場の「第三極」として独立経営を維持してきたスカイマークの経営破綻で、
政府が1990年代後半から進めてきた新規参入の促進による航空自由化政策は行き詰まることになる。
国内航空市場は全日本空輸と日本航空の「2強時代」に入り、
航空大手とその傘下の格安航空会社(LCC)の支配力が一段と強まる可能性がある。・・・
(日経新聞)


スカイマーク
http://www.skymark.co.jp/ja/
1/28 民事再生手続開始の申立て及び資金支援等に関するお知らせ
http://www.skymark.co.jp/ja/company/investor/150128_ir_2.pdf





以下引用

帝国データバンク 2015/01/28(水)
倒産・動向記事
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4005.html
定期航空運送
今年初の上場倒産、東証1部上場
スカイマーク株式会社
民事再生法の適用を申請
負債710億8800万円
TDB企業コード:987544705
「東京」 スカイマーク(株)(資本金141億8673万3442円、大田区羽田空港3-5-7、代表有森正和氏など2名、従業員2209名)は、1月28日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は佐藤明夫弁護士(港区北青山3-6-7、電話03-5468-7860)など10名。監督委員は多比羅誠弁護士(中央区銀座8-9-11、電話03-3573-1578)。
 当社は、1996年(平成8年)11月に大手旅行会社(株)エイチ・アイ・エスの創業者である澤田秀雄氏らが国内航空への新規参入を目的として設立した定期航空運送事業者。98年7月に運輸省(現・国土交通省)より事業免許を付与され、羽田空港内に事業所を開設。同年9月には、東京-福岡便が初就航となり、大きな話題を呼んだ。また、初就航時は、格安を得意とするエイチ・アイ・エスの主導の下、国内航空線で新規参入したため、徹底したアウトソーシングによって既存の大手航空会社に比べ格安の運賃をアピールし、大手との差別化に注力していた。2000年5月には東証マザーズに上場(2013年11月に東証1部上場)を果たし、2002年に国際航空運送事業許可証を取得し、東京―ソウル便の就航を開始した。2006年10月には商号をスカイマークエアラインズ(株)から現商号へ変更。羽田空港を基幹空港として、同空港と福岡、神戸、札幌、那覇をつなぐ路線を主力に、成田や関西から発着する新路線の就航や新機材導入によって事業拡大を進め、2012年3月期の年収入高は約802億5500万円を計上していた。
 しかし近年は、複数の国内LCC(ローコストキャリア)の台頭により価格競争が激化。不採算路線の見直しを行っていたものの、燃料費の高騰の影響などから、2014年3月期は年収入高約859億7500万円に対し、約18億4500万円の最終赤字を余儀なくされていた。さらに7月下旬には代金支払いのメドが立たないことを理由に欧州エアバス社から納入予定だった6機の超大型旅客機「A380」の売買契約解除を通知され信用は大きく低下。解約違約金を巡ってはエアバス社と減額や支払済の前払金について交渉を続けてきた。一方、日本航空や全日本空輸との共同運航など支援要請を検討していたが、2014年12月の搭乗率(全路線平均)も54.5%と低迷、資金繰りが悪化していた。
 負債は約710億8800万円。
 上場企業の倒産は今年に入って初めてで、2013年8月のワールド・ロジ(株)(ジャスダック、大阪)以来、17ヶ月ぶりのこととなる。


朝日新聞 2015年1月29日12時29分
破綻のスカイマーク、12路線減便 A330運航中止へ
 民事再生法の適用を申請して経営破綻(はたん)したスカイマークの有森正和新社長が29日記者会見し、「ご迷惑をおかけしたことを心よりおわびします」と陳謝した。2月から神戸―新千歳など12路線で便数を減らし、将来的に沖縄県の石垣、宮古両空港から撤退することを明らかにした。減便数は曜日によって違うが、1日あたり最大で26便になる。
スカイマーク民事再生法適用を申請 運航は継続
 有森社長は、28日退任した西久保慎一前社長の後任に就いた。西久保氏は取締役も退任したという。有森氏は「投資ファンドのインテグラル(東京)から支援を受けて経営再建を目指す」と強調。ANAホールディングスなど同業大手からの出資については「第三極の立場を貫きたい」と否定した。
 有森氏は経営破綻の理由として、円安のためドルで支払う航空機のリース料負担が増えたことや、大型機「A380」の契約をめぐりエアバスから7億ドル(約830億円)の違約金を求められたことを挙げ、「再建には法的手続きが不可欠と判断した」と説明した。
 2月からは席数が多くコストがかかるエアバスA330の運航をやめる。そのため新千歳―仙台、新千歳―茨城、新千歳―中部、中部―那覇、神戸―新千歳、神戸―米子、神戸―那覇、福岡―仙台、福岡―茨城、福岡―那覇、那覇―宮古、那覇―石垣の12路線で便数を減らす。全体では1日152便から曜日により126~128便に減る。
 その他の運航については「一切の支障がない」とした。全日本空輸、日本航空との共同運航についても「前向きにお願いしたい」と実現を目指す考えを示した。全日空と日航も、予定通り3月末から共同運航を始める方向で準備している。
 国土交通省は29日、スカイマークに対し、引き続き安全を確保するとともに、利用者への案内を徹底して混乱を防ぐよう要請した。
■スカイマーク株はストップ安
 29日の東京株式市場では、民事再生法の適用を申請し、上場廃止が決まったスカイマーク株式に大量の売り注文が出て、取引が成立しないままストップ安となっている。前日終値は317円だったが、午前の取引では制限値幅いっぱいの80円安い237円まで下がっている。
 一方で、利用客が流れる期待から、ANAホールディングスや日本航空(JAL)の株価は値上がりしている。
 東京証券取引所は28日にスカイマークを整理銘柄に指定し、3月1日付で上場廃止にする。時価総額は28日の終値ベースで約290億円、株主数は昨年3月末時点で約2万4千人。上場企業の経営破綻(はたん)は、2013年8月の物流会社ワールド・ロジ以来、1年5カ月ぶり。


毎日新聞 2015年01月29日 01時11分
スカイマーク:大手、LCCに押され ワンマン経営致命傷
滑走路を行き交うスカイマーク機=北海道千歳市の新千歳空港で2014年10月、手塚耕一郎撮影

スカイマークの歩み
 スカイマークが民事再生法の適用を申請した。大手航空会社の寡占に風穴を開けようと政府が1990年代に進めた航空自由化の象徴として誕生してから19年。同時期に新規参入したエア・ドゥなどは既に経営不振によってANAホールディングスの傘下に入っており、大手と格安航空会社(LCC)に挟撃される「第三極」の経営の難しさが鮮明に。退任する西久保慎一社長の大型機大量購入など、ワンマン経営の失敗が致命傷になった。
 ◇西久保社長は退任
 スカイマークは、日本航空、全日本空輸などの既存の大手航空会社に対抗する新興航空会社として96年に創業した。航空自由化で、運賃が認可制から届け出制になったことを受け、安さを前面に打ち出し、注目された。
 しかし、価格競争の激化で赤字が続いたため、2003年にIT関連企業の創業者だった西久保氏の出資を受け、債務超過を解消した。西久保氏は04年に社長に就任。赤字路線からの撤退と、羽田−新千歳(札幌)など収益力の高い路線への集約でコストを下げ、経営を安定させた。一方、滑走路の誤進入など安全面の問題を立て続けに起こしたとして、12年に国交省から厳重注意を受けるなど、公共交通の経営者としての資質を問われることもあった。
 顧客流出が進んだのは、LCCが相次ぎ参入した10年代以降。このため昨年、安さ以外に「機内の快適性」を売り物にする作戦に出る。従来運航していたボーイング社「B737」より1席当たりの面積に余裕があるエアバス社の「A330」を導入した。これが誤算だった。客室乗務員にミニスカートを着用させ、物議を醸したばかりでなく、円安による燃料費高騰で、運航コストが膨らんだ。
 業績悪化からエアバス社の超大型機「A380」6機の購入をキャンセルせざるを得なくなった。7月に違約金7億ドルの支払いを求められ、経営不安が表面化する。15年3月決算(単独)では136億円の最終赤字見込みで、決算書で監査法人は「事業継続に重要な疑義がある」と明記した。さらに、14年12月の搭乗率は54・5%と12月としては過去5年で最低水準を記録。業績不振と客離れの悪循環に陥っていた。【種市房子】
 ◇スポンサー選び焦点
 スカイマークは当面、西久保氏の後任に就いた有森正和新社長が主導し、国内系投資ファンド「インテグラル」の支援を受け再建を目指す方針だが、経営不安の引き金になったエアバス社との7億ドルの違約金問題の行方が不透明な中、立て直しは容易ではない。再建の行方次第で航空業界の再編に発展する可能性もある。
 インテグラルを率いる佐山展生氏は国内を代表するファンド経営者として知られ、数々の企業買収や再生を手がけてきた。スカイマークは資金面の支援に加え、経営改善策の立案など全面的な協力を受ける方針だ。
 課題は山積している。経営不安の表面化後も客離れは深刻で、事業の抜本的立て直しの処方箋は描きにくい。民事再生法が適用されても、エアバス社が違約金の削減をすんなり受け入れる保証はなく、再建の足かせになりかねない。
 スカイマークには羽田発着便という「ドル箱」があり、複数の航空会社やリース会社、旅行会社のほか国内外の投資ファンドなども興味を示しているとみられる。インテグラル主導の再建策が不調に終われば、新たなスポンサー選びを迫られる可能性もあり、その場合は全日空や複数の新規参入航空会社を傘下に持つANAホールディングスが有力候補になりそうだ。
 全日空は既にスカイマークと羽田発着便の共同運航で大筋合意しており、国内路線の拡大にも積極的な姿勢を見せている。ANAホールディングス首脳は28日夜、毎日新聞などの取材に「(民事再生法の適用申請を)先ほど聞いたばかりで、支援するかどうかまだ何も考えていない」と発言。一方、共同運航に関しては「スカイマークは今後も運航を続けると言っている。予定通り進めていく」と前向きな姿勢を示した。
 スカイマークがファンドの支援で再建を果たし「第三極」としての独立路線を貫くのか。他の航空会社との再編に発展するのか。今後の行方次第で日本の空をめぐる業界地図を大きく塗り替える可能性をはらんでいる。【赤間清広、朝日弘行】
 ◇スカイマーク
 旅行業大手、エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社として1996年に設立され、澤田秀雄HIS社長(当時)が会長に就任。規制緩和による新規航空会社として98年に羽田−福岡線で運航を開始した。機内サービスの簡素化などで運賃を抑え国内航空業界3位の地位を確立したが、格安航空会社(LCC)との競争激化で業績が悪化。インターネット関連企業「ゼロ」の西久保慎一会長が2004年に社長に就任した。近年は円安進行に伴う燃料費高騰などで業績が悪化。エアバスからの旅客機購入契約を巡って違約金を求められ、14年9月中間決算で事業継続に「重要な疑義」があるとした。収益力強化のため、全日本空輸、日本航空とコードシェア(共同運航)協議を進めている。


日本経済新聞 電子版2015/1/29 1:05
スカイマーク、拡大裏目 「共同運航」間に合わず
 起業家の西久保慎一氏が率いてきたスカイマークが民事再生法の適用を申請した。格安航空会社(LCC)の台頭に対し、航空機の大型化で巻き返しを狙ったが、身の丈に合わない投資が裏目に出た。国土交通省の判断にも翻弄され、生き残りをかけた大手との共同運航にこぎ着ける直前で資金繰りに行き詰まった。


 インターネット接続サービス会社の経営者だった西久保氏がスカイマークの経営に関わるようになったのは2003年。エイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長が設立したものの、業績低迷で債務超過状態に陥っていたスカイマークの第三者割当増資を個人で引き受けて筆頭株主になると、翌04年には社長に就任した。「ネットビジネスとは異なる航空事業の規模の大きさに魅力を感じた」(西久保氏)というのがその理由だ。
 社長就任後、西久保氏はそれまで使用していた米ボーイングの中型機「767」を順次削減し、燃費効率の高い小型機「737」に機材を統一する。機内サービスを簡素化したり、運航管理システムを自社開発したりすることで全日本空輸や日本航空に比べ割安な運賃を実現。12年3月期決算では802億円の売上高に対し152億円の営業利益を計上、経営を見事に立て直した。
 11年には国際線の参入に向け、欧州エアバスと超大型機「A380」6機を総額1915億円で購入する契約を結ぶ。年間売上高の2倍を超える巨額投資の背景には、超大型機の導入で全日空や日航に肩を並べようという西久保氏の野心もあったようだ。
 ただこの頃から、業績に陰りが見え始める。12年にピーチ・アビエーションなど国内LCCが相次ぎ参入したことで運賃競争が激化。円安に伴う燃油費の上昇も重なり、14年3月期には5期ぶりの最終赤字に転落した。
 LCCとサービスの違いを打ち出すため、14年には座席間隔が従来より約2割広い「グリーンシート」を全席に導入した中型機「A330」を就航させた。だが、提供座席数の増加に見合う新規顧客を獲得できず、搭乗率は低迷。小型機より割高なリース料や運航コストが業績を悪化させた。


 A380の解約を巡りエアバスから巨額の損害賠償を求められたことが障害となり外部からの資金調達も難航した。無借金経営だったため、資金繰りを支える大手銀行もなかった。
 14年11月からは搭乗率の改善に向け日航と共同運航に向けた交渉を進めたが、公的支援で再生を果たした日航の事業拡大につながる恐れがあると国土交通省が難色を示したことで頓挫。その後は全日本空輸を交えた形での共同運航を模索したが、交渉が長引き、決着を待たずに自己資金が底を突いた。大手2社は今週中に共同運航を申請するとしていた。


日本経済新聞 電子版 2015/1/29 1:08
航空自由化政策も暗礁 スカイマーク民事再生法
 航空市場の「第三極」として独立経営を維持してきたスカイマークの経営破綻で、政府が1990年代後半から進めてきた新規参入の促進による航空自由化政策は行き詰まることになる。国内航空市場は全日本空輸と日本航空の「2強時代」に入り、航空大手とその傘下の格安航空会社(LCC)の支配力が一段と強まる可能性がある。
 96年に設立されたスカイマークを皮切りに、参入規制の緩和によって国内には新興航空会社が相次ぎ誕生した。政府は大手の寡占状態だった市場に風穴を開け、運賃の引き下げなど競争を促す政策を推進してきた。
 実際、新興航空会社が就航した路線では大手が大幅な割引運賃を設定するなど、参入促進政策は運賃競争に一定の効果を上げた。このため政府は国内線の「ドル箱」とされる羽田空港の発着枠を優先的に配分し、新興航空会社の成長を後押ししてきた。
 ただ、厳しい競争環境の中でAIRDOやスターフライヤーなど新興航空会社の多くは単独では生き残れず、現在はANAホールディングスの出資を受けるようになっている。近年、台頭し始めたLCCも多くは航空大手の出資を受けており、大手2社の対抗勢力にはなり得ていない。
 スカイマークは今後、裁判所が選任する弁護士の下でスポンサーの選定や再生計画の策定に着手する。スポンサーの立場を巡って、これまでスカイマークと資本提携交渉を試みたマレーシアのエアアジアなど海外の航空会社がスポンサー候補に名乗りを上げれば、第三極が維持される可能性もある。


〔共同〕2015/1/29 1:12
利用客「いつかこうなると…」 スカイマーク民事再生法
 「いつかこうなると思っていた」。スカイマークが民事再生法の適用申請を決めた28日、羽田空港では、冷静に受け止める利用者がいる一方「路線が廃止されると困る」と困惑する人も。カウンターで利用客の対応をしていた女性職員は「何も聞いていない」と驚いた様子だった。
 カウンター付近は、28日夜も普段と変わらない様子で、搭乗手続きを済ませた乗客が次々と保安検査場へ向かった。
 同僚に勧められ、初めて同社便に乗るという大阪市の男性会社員(50)は「PRが派手で、軽いイメージがあった。いつかこうなると思っていた」と冷静に受け止める。
 一方、同社便で神戸に帰るという自営業の女性(34)は「早く予約すれば片道1万円以下で新幹線より安く、年数回利用している。路線が廃止されると困る」と話した。
 「格安航空会社に押されて、厳しいんじゃないかなと感じていた」と話すのは、出張で福岡に向かう東京都渋谷区の会社役員の男性(56)。「どんな企業も順風満帆とはいかない。客を喜ばせることを第一に考えていれば立ち直れるはずなので頑張ってほしい」とエールを送った。


日経ビジネス 2015年1月29日(木)
スカイマークの誤算
スカイマーク、破綻は不可避だった
“自転車操業”がついに止まった日
日野 なおみ
 最悪の事態は免れた――。
 1月28日、国内航空3位のスカイマークが民事再生法の適用を申請した。負債総額は約710億円。同日付けで西久保慎一社長は経営責任を取って辞任し、有森正和取締役が社長に就いた。
「スカイマーク、民事再生法適用を申請へ 運航は継続」。この一報が流れた1月28日夜、胸をなでおろす航空関係者は少なくなかったはずだ。
 スカイマークがこの夜発表した「民事再生手続き開始の申し立て及び資金支援等に関するお知らせ」によると、経営が行き詰まった原因として、同社は急激な円安によるドル建てリース料支払いの負担増や、競合他社との競争激化などを列挙している。
 対応策として、スカイマークでは不採算路線の運航休止などを進めたが、徹底したコスト削減には至らなかったとしている。また欧州の航空機大手エアバスと結んだ超大型機「A380」の購入契約が解消され、7億ドル(約830億円)の解約違約金が発生する可能性が生じたことなどから、自主再建は極めて困難と判断した。
 この書面から、スカイマークの年明け以降の窮状を読み取るのは難しい。だが事情を良く知る関係者は、「まさに自転車操業。ふとしたタイミングでいつ資金がショートしてもおかしくない状況が続いていた」と打ち明ける。
飛行機が、ある日止まる?
 「もうほとんど時間がない」「数日後には資金がショートするかもしれない」――。
 今年の1月以降、西久保前社長や有森新社長などのスカイマーク幹部は、同社の資金繰りについて悲鳴ともつかない、こんなSOSを関係者に発してきたという。日々の資金繰りは極めて厳しい状況だった。
 この冬、急激に手元資金が乏しくなった背景には、いくつかの理由がある。もちろん、円安などという先に挙げた理由もあるだろう。加えて、A380購入契約解約以降、経営危機が深刻になるほどスカイマークの利用者は確実に減り続けていた。
 最も象徴的なのが、2014年12月の搭乗実績だろう。全路線の実績を見ると、座席利用率は54.5%しかない。これまで使ってきた小型機ボーイング737型機よりも、座席数の多い中型機エアバスA330を導入したことで、提供座席数が増えたという背景はある。それにしても、年末年始の帰省需要のある12月に、大半の路線が座席利用率50%を切っているのだ。昨年夏以降に続いた経営不振のニュースは、ボディーブローのようにスカイマークを蝕んでいた。
 1月中旬には、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)との共同運航(コードシェア)を実施し、収益を改善するとも報じられた。資金繰りに窮するスカイマークにとって、確かにこれは明るいニュースだったはずだ。ただし3社の共同運航が始まるのは3月29日以降とされていた。コードシェアなどの道筋が見えれば、投資ファンドによる第三者割当増資など、新しい突破口も見えたのかもしれない。
 しかしコードシェアにしろ、第三者割当増資にしろ、実現するには時間がかかる。しかしその前に、スカイマークは一刻の猶予も許されないようなきわどい状況に陥っていた。「何もしなければ、1月いっぱい持たないのでは」。こう懸念するスカイマーク関係者は多かった。
 国土交通省も、最悪の事態に備えて粛々と準備を進めていた。
“突然死”は免れたが…
 「スカイマーク社運航停止による特別代替輸送の実施について」
 1月中頃には、表題にこう記されたプレスリリースの「素案」が、国交省から国内航空各社に送られている。仮にスカイマークの運航便が止まっても、運航停止に伴う混乱を回避し、利用者の利便性を最大限確保しなくてはならない。そのために、国交省はANAやJALのほか、AIRDO、スカイネットアジア航空、スターフライヤーなどが、スカイマークの予約客に対して、特別運賃で代替輸送を実施するよう要請する。こうした内容のものだった。
 国交省としても、日々深刻になるスカイマークの手元資金について把握し、最悪の瞬間に備えていたというわけだ。
 ある日、燃油の支払いが途絶えて、突然飛行機が飛ばなくなる。搭乗客がみな空港に足止めされ、パニックが起こる――。
 振り返れば5年半前、JALが経営危機に陥った時にも、こんな懸念が持ち上がった。手元資金が尽き、ついにはその日の燃油費も払えなくなる。そして空港には動かないまま横たわる飛行機がずらりと並ぶかもしれない。そんなパニックに備えて色々な対策が練られていた。
 ただし幸いなことに、スカイマークの“突然死”は回避され、手元資金が途絶えるか途絶えないかというきわどい状況ながらも、何とか民事再生法適用の申請にこぎつけた。
 投資ファンドのインテグラルが当面の資金を融資し、燃油費などを支払いながら運航を続けていくという。同時に今後は再建計画の作成やスポンサーの選定なども進める。
 今回、スカイマークが民事再生法の適用を申請したことで、国交省にとっての最悪の事態は免れた。スカイマークの運航便が突然止まれば、空港は大混乱に巻き込まれ、安全運航にも深刻な懸念が生じることになる。監督官庁の面目は丸潰れだっただろう。
 ひとまず胸をなでおろしたのは国交省だけではない。スカイマークの大口債権者であるエアバスと、米航空機リース会社イントレピッド・アビエーションの2社も同じ。エアバスはスカイマークに対し、A380の売買契約の解消に伴い、約830億円の損害賠償請求を実行できないリスクがあった。一方、イントレピッドは、スカイマークにリースしているA330の新たな借り手を探さなければならなかった。
 足下に迫っていた最悪のシナリオは、ひとまずは回避できた、と言える。しかし、スカイマークが破綻へ至った真因を紐解き、いかに再建に導くかという道筋はまだ示されていない。一連の経営難を通して、スカイマークのブランド力や信用力は大きく傷ついている。再建への道のりは決して簡単ではない。

Aviation Wire  2015年1月28日 23:50 JST
スカイマーク、民事再生法申請 社長に有森氏、インテグラルが支援
By Tadayuki YOSHIKAWA
 業績不振が続く国内3位のスカイマーク(SKY/BC、9204)は、1月28日午後7時から開いた臨時取締役会で民事再生法の申請を決議し、東京地方裁判所へ申し立てを行った。西久保愼一社長は経営責任を取り辞任した。負債総額は約710億8800万円。投資ファンド「インテグラル」の資金支援を受け、運航は当面続ける。
 代表権は井手隆司会長と取締役の有森正和氏に移り、後任の社長には有森氏が就いた。裁判所の管理下で再建を目指す。監督委員には、多比羅誠弁護士(ひいらぎ総合法律事務所)が選任された。国内航空会社の経営破綻は、2010年1月19日に会社更生法の適用を申請した日本航空(JAL/JL、9201)以来、5年ぶり。
 SKYの業績悪化は、急激な為替の円安進行や、このところ一段落した原油価格の高騰などの影響が大きい。また、2014年10月で撤退した成田路線など、不採算路線が足を引っ張っていた。2015年3月期通期単体の純損益は、過去最大の136億7600万円の赤字(前年同期は18億4500万円の赤字)となる見通し。
 手元資金も大きく減少しており、2014年9月末時点の現預金残高は45億4900万円で、2014年3月期末から25億1600万円減少。高額の固定資産をリース会社などに一旦売却し、リース契約を結ぶ「セール・アンド・リースバック」により、フルフライト・シミュレーター(FFS)3台と作業用車両36台を合計18億円で売却したものの、抜本的な改善には至らなかった。
 こうした中、2014年12月の利用不振が響いた。ロードファクター(座席利用率、L/F)は前年同月を5.6ポイント下回る54.5%と、2005年以来9年ぶりに50%台に落ち込んだ。直行便23路線のうち、半数にあたる12路線のL/Fは50%未満だったことに加え、これまでは堅調だった羽田発着5路線も振るわず、地方路線の不調を補えなかった。
 SKYは現在、ボーイング737-800型機(177席)を27機、エアバスA330-300型機(271席)を6機の計33機をリース導入し、運航している。インテグラルからの資金援助と収支改善策に基づき、当面は運航を続ける。
 業績悪化を受け、エアバスは2014年7月に、SKYが6機発注していた総2階建ての超大型機A380について、契約解除を通告。エアバスがSKYに求めている違約金は、7億ドル(約825億円)にのぼるとみられる。
 西久保氏は経営の独立性にこだわったが、こうした状況から自主再建は困難であるとして、断念した。今後はSKYの経営再建を進めていく上で、エアバスとの違約金交渉や、JALや全日本空輸(ANA/NH)とのコードシェア(共同運航)提携、リース会社との交渉などが課題となる。

///////////////////////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : スカイマーク LCC 航空自由化政策 民事再生法

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン