2015-02-02(Mon)

「イスラム国」の蛮行を糾弾する

国際的結束でテロ組織包囲を

<各紙社説>
朝日新聞)「イスラム国」の非道―この国際犯罪を許さない(2/2)
読売新聞)後藤氏殺害映像 「イスラム国」の蛮行を糾弾する(2/2)
毎日新聞)日本人人質事件 この非道さを忘れない(2/2)
日本経済新聞)後藤さんの志を踏みにじる卑劣な犯行(2/2)
産経新聞)後藤さん殺害映像 残虐な犯罪集団を許すな 対テロで国際社会と連携(2/2)
東京新聞)日本人人質殺害映像 絶対に許せぬ蛮行だ(2/2)
しんぶん赤旗)日本人人質殺害 国際的結束でテロ組織包囲を(2/2)



以下引用



朝日新聞 2015年2月2日(月)付
社説:「イスラム国」の非道―この国際犯罪を許さない


 あまりに非道な行為が、無事解放の願いを打ち砕いた。
 過激派組織「イスラム国」が拘束していたジャーナリスト後藤健二さんを殺害したとする映像を公開した。湯川遥菜(はるな)さんに続く無情の殺害宣告だ。
 1月20日に明るみに出た人質事件は、安倍首相の中東訪問をとらえた脅しだった。「イスラム国」のために住む場所を失った難民への人道支援を表明した日本政府を責めたて、身代金や人質交換に応じなければ殺害するという主張は、独りよがりでおよそ道理が立たない。
 残虐きわまりない犯人と組織を強く非難する。
■責任追及と処罰を
 最悪の事態を避けられなかったことは、国際社会や日本が向き合わなければならない多くの課題を突きつけた。
 「イスラム国」の特徴の一つが、外国人を拘束して予告した上で殺害し、その様子をインターネットで公開するむごたらしい手口だろう。
 この上ない人権侵害であり、国際犯罪である。このような行為を続ける組織との対話や交渉の困難さは想像にあまりある。
 しかし、米国が主導する空爆などの軍事行動では解決できない側面がある。そもそも「イスラム国」のような理解しがたい組織がなぜ台頭してきたのか。米英が中心となって強行したイラク戦争が中東地域の宗派間の対立を生み、情勢をいっそう複雑にしてきた経緯に思いをいたさざるをえない。
 国際社会は国連などを中心に国単位での問題解決を基本としてきた。「イスラム国」のように国家を名乗りながら、近代国家の常識からかけ離れ、暴力的に支配地域を広げようとする組織とどう対峙(たいじ)していくか。そのことが改めて問われる。
 国連の調査委員会が昨年まとめた報告書は、「イスラム国」による思想統制や女性への組織的な性暴力などの残酷な統治の実態を指摘し、戦争犯罪や人道に対する罪で司令官らを国際刑事裁判所(ICC)で訴追するよう促している。
 たやすいことではないだろう。それでも2人の日本人のほか、人質となった米国人、英国人が殺害された事件も含め、訴追と処罰を求める国際社会の圧力を高めていくべきだ。
■政府の対応、検証を
 安倍首相らの国会などでの説明によると、湯川さんの拘束事件を受けて昨年8月に首相官邸に情報連絡室などを設置。11月には後藤さんの行方不明を把握し、政府が対応する事案に加えたという。
 それでも2人を救出できなかったという現実を直視しなければならない。
 最初の脅しの映像がネット上に出たとき期限とされた72時間は短かったが、政府が2人の拘束を知ってからでいえば、すでに相当の月日がたっていた。
 ジャーナリストらが拘束されたものの解放されたフランス、スペインのケースでは殺人予告などに至る前に解放に向けた交渉が進んでいたとされる。
 今回の日本政府の対応について、菅官房長官はきのうの会見で「(「イスラム国」とは)接触しなかった」と述べた。それはなぜなのか。昨年、新設された政府の国家安全保障局は、どのように機能したか。
 同じ被害を繰り返さないためにも、政府は事実を最大限公表し、検証する責任がある。
■互いを知り合う必要
 冷戦後、中東は戦争や紛争の現場となってきた。日本政府は欧米主要国とは一線を画し、抑制的なかかわり方をしてきた。非軍事で、難民らへの人道支援に重きをおくものだ。
 「イスラム国」は後藤さんを殺害したとする映像で、安倍首相を名指しし、日本を敵とみなすメッセージを送りつけてきた。しかし、「イスラム国」に対する軍事作戦に日本は参加していない。人道支援を重視する日本の姿勢は、いまも中東地域に広く浸透している。
 「イスラム国」から筋違いの脅しは受けたが、これからも家を失い、苦境に立たされている人たちの生活を支える姿勢を守り通すべきだ。
 紛争地の取材を重ねてきた後藤さんが心を寄せていたのも戦闘の帰趨(きすう)ではなく、現地の人たちの暮らしぶりや、喜び、悲しみだったという。
 殺害宣告は理不尽きわまりない行為である。中東ではこのような理不尽が日々積み重ねられている。それらは「対岸」の出来事ではなく、日本が向き合わねばならないことである。
 周辺の国々にはシリア、イラクから逃げる人たちがあふれ、欧州各国も含め、難民受け入れの負担が増している。今こそ日本政府が難民に門戸を広く開くときではないか。
 ほとんどのイスラム教徒は穏健で命を大切にする人たちだ。互いをもっと知り合う。そして必要な助けの手をさしのべる。
 悲劇を乗り越え、その原則を貫きたい。



読売新聞 2015年02月02日 01時29分
社説:後藤氏殺害映像 「イスラム国」の蛮行を糾弾する


 ◆日本人標的のテロに警戒強めよ
 尊い人命を弄ぶ、卑劣な蛮行である。断固として糾弾する。
 重要なのは、「テロに屈しない」という国際社会共通の原則を堅持し、関係国との連帯を強めることだ。在留邦人の安全確保にも万全を期す必要がある。
 シリアでの人質事件で、過激派組織「イスラム国」は、拘束していた後藤健二さんを殺害したとするビデオ映像を動画サイトに投稿した。政府は、映像の信ぴょう性は高いと判断している。
 ◆国際社会の結束不可欠
 殺された湯川遥菜さんとみられる写真も既に公開されている。2人の犠牲が事実なら、痛ましい結末であり、強い怒りを覚える。
 安倍首相が「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携する」と表明したのは、当然である。
 オバマ米大統領は「極悪な殺人を非難する」と声明を発表し、英仏首脳も足並みをそろえた。
 犯行グループのメンバーは映像の中で、後藤さんの殺害に関連して、日本がイスラム国との戦いに参加したことを一方的に非難した。
 黒装束の男は「勝ち目のない戦いに参加するという安倍(首相)の無謀な決断」と批判した。「このナイフは、あらゆる場所で日本人の虐殺をもたらす」とも脅迫している。
 身勝手な解釈に基づき、日本を一方的に「敵」と決めつける主張であり、決して容認できない。
 首相が表明した2億ドルの中東支援は、非軍事分野の人道援助だ。避難民向けの医療や食料支援、インフラ整備などに充てられる。
 そもそも国際ルールを無視し、虐殺、略奪、誘拐、占拠など、凶悪で非道な犯罪行為を重ねてきたのは、イスラム国である。
 イスラム国を封じ込めるには、国際社会の結束が欠かせない。米国主導の有志連合には約60か国が参加している。国連安全保障理事会も邦人人質事件に関し、イスラム国への非難声明を発表した。
 ◆自己責任にとどまらず
 日本が対イスラム国包囲網に参加することは、国際社会の一員として当然の責務である。
 人質事件は、最初の脅迫映像が流れた後、めまぐるしく事態が動いた。犯行グループは、2億ドルの身代金を要求し、その後、ヨルダンで収監されている爆破テロ犯の死刑囚の釈放に切り替えた。
 実現しないなら、イスラム国に拘束中のヨルダン軍パイロットと後藤さんを殺害すると脅した。
 ヨルダン政府は、パイロットの解放を条件に死刑囚を釈放するとして、ギリギリの人質交換交渉を進めたが、実を結ばなかった。
 日本政府は、「テロに屈しない」原則と「人命尊重」の観点の両立という困難な対応を迫られた。
 イスラム国は、インターネットを利用した「劇場型」の脅迫・殺害を繰り返す特異な集団である。「ヨルダン頼み」の手探りの交渉には限界があったと言える。
 ジャーナリストの後藤さんは昨年10月、退避勧告が出ていたシリアにあえて入国した後、「何か起こっても責任は私自身にある」とのメッセージを残していた。
 「自己責任」に言及したものだが、結果的に、日本政府だけでなく、ヨルダン政府など多くの関係者を巻き込み、本人一人の責任では済まない事態を招いたのは否定できない。
 同様の事態を避けるため、今後、危険地域への渡航には従来以上に慎重な判断が求められる。
 今回の事件により、日本人が海外で誘拐の標的となる危険が一層高まったことにも留意したい。
 過激派組織にとっては、日本の軍事的報復を恐れる必要はない。日本に圧力をかけ、中東各国などに間接的に要求をのませる手法を再び使う可能性もある。
 安倍首相が在留邦人らの安全確保の強化を閣僚に指示したのは、こうした事情があるためだ。
 ◆邦人救出の議論も要る
 首相は、海外での邦人救出に自衛隊を活用するための法整備を検討する方針である。領域国による自衛隊受け入れの同意など、様々なハードルもあろう。政府・与党で議論を深めることが大切だ。
 中東支援の強化も重要となる。首相は、「食料、医療といった人道支援をさらに拡充していく」と強調している。
 イスラム国の壊滅までには時間を要しようが、「テロとの戦い」の一翼を担い、その最前線に立つ中東諸国を支援するという現在の方針を変えてはなるまい。
 今後も、欧米や中東の各国との連携を強め、地域の安定とテロの拡散阻止に努めたい。



毎日新聞 2015年02月02日 02時30分(最終更新 02月02日 03時56分)
社説:日本人人質事件 この非道さを忘れない


 かすかな望みを無慈悲に断ち切る映像だった。ジャーナリストの後藤健二さんを拘束していたイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)は後藤さんの殺害を示すとみられる映像をインターネット上で公開し、これは日本にとって悪夢の始まりであり、今後も日本人を殺し続けると宣言した。湯川遥菜さんに続き2人目の日本人人質の殺害が告げられたことに、激しい憤りと悲しみを覚える。仮にもイスラム教徒と名乗る者たちが、なぜこうも簡単に市民の命を奪うのか。私たちは忘れない。これはイスラムを隠れミノとした無法組織の、決して許されない残虐行為だ。
 ◇時代錯誤の狂信集団
 後藤さんの解放については、ヨルダン当局が収監する女性死刑囚の釈放がカギになっていた。ISは後藤さんの映像と音声を使って2人の交換解放を提案し、日本がヨルダン政府に釈放を働きかけるよう要求していた。ISがこの取引の期限としたのはイラク時間1月29日の日没(日本時間同日深夜)である。
 これに対しヨルダン政府は、ISが昨年末に拘束した空軍パイロットの生死確認が先決だとして期限内に死刑囚を釈放しなかった。この時点で、後藤さんの無事解放には黄信号がともったのである。
 だが、ヨルダン政府に責任があるわけではない。ISが釈放を求めた死刑囚は2005年、ヨルダンを揺るがした同時テロに関与して拘束された。ISの前身「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者(06年、米軍の空爆で死亡)とゆかりの深い人物でもある。
 そんな危険人物を簡単には釈放できまい。しかも国民が救出を熱望するパイロットを差し置いて2人の交換解放に応じれば、「アラブの春」のような激しい反政府運動によってヨルダン王政が存続の危機に直面しかねない。それでなくてもヨルダンは地域強国のシリアやイラク、イスラエルと国境を接し、地域情勢によっては「いつ倒れてもおかしくない国」と言われてきた。
 そもそもISはそんなヨルダンの事情を承知で交換解放という「くせ球」を投げた可能性もある。親日・親米のヨルダンはISと戦う有志国連合の一員である。ヨルダンを揺さぶって有志国連合にくさびを打ち込み、あわよくばヨルダンを脱退させることもISは狙っていたようだ。
 人質事件の背景として、ISが安倍晋三首相の中東歴訪を挙げるのも言いがかりである。21世紀の中東でISは初期イスラムへの回帰を訴え、正体不明の人物をカリフ(預言者ムハンマドの後継者)と奉じて強権的で時代錯誤的な共同体をイラクやシリアに広げている。



日本経済新聞 2015/2/2付
社説:後藤さんの志を踏みにじる卑劣な犯行


 志を踏みにじる卑劣な犯行だ。
 シリアやイラクの一部を実効支配する過激派「イスラム国」とみられるグループが、拘束していたフリージャーナリストの後藤健二さんを殺害したとする動画をインターネット上に公開した。
 菅義偉官房長官は「映像は後藤さんの可能性が高い」と述べた。事実だとすれば、犯行グループがすでに殺したと主張する湯川遥菜さんに続いての蛮行である。心の底から怒りが湧く。罪なき人々に非道な行為を繰り返す暴挙を断じて許すわけにはいかない。
 犯行グループは後藤さんを解放する条件として、ヨルダンで起きたテロ事件に関与し、同国に収監されている女死刑囚の釈放を求めた。日本だけでは決断できない冷酷な要求だ。
 日本はヨルダンと良好な関係にある。事件解決へ協力も要請した。しかし、ヨルダンはイスラム国の脅威と日々、対峙している。米国が主導する軍事行動に加わり、イスラム国に捕らわれた軍のパイロットもいる。
 ヨルダン国内ではパイロットを救えとの声が高まっていた。パイロットが解放されなければ、ヨルダン政府が死刑囚の釈放に応じられないのはやむを得まい。
 後藤さんは弱者の目線に立ち、紛争地で苦しむ女性や子供の姿を世界に伝えてきた。ヨルダンを巻き込み、後藤さんの命を取引に使ったイスラム国は卑怯(ひきょう)としか言いようがない。
 拡散するテロが世界を脅かしている。解決には震源地である中東の平和と安定の実現が不可欠だ。安倍晋三首相は「テロに屈することなく、中東への人道支援を拡充していく」と述べた。
 方向は間違っていない。国際社会と連携してテロに立ち向かい、中東を安定させる取り組みに率先して加わることは重要だ。同時に忘れてはならないのは危機管理の力を高めることだ。
 政府は後藤さんらの拘束情報を受けて昨年、非公表で対策本部を設置したという。事件は首相の中東訪問のタイミングが狙われた。どこまで状況を把握していたのか。解放に向けた交渉のルートは確保できていたのか。虚を突かれる前に点検すべきことがあったように思える。
 日本人がテロに遭う事態は今後も起こりうる。未然に防ぐ情報の収集と、国民が危険を回避するための適切な開示が欠かせない。



産経新聞 2015.2.2 05:02
【主張】後藤さん殺害映像 残虐な犯罪集団を許すな 対テロで国際社会と連携


 過激組織「イスラム国」に拘束されていたジャーナリストの後藤健二さんが殺害されたとみられる残忍な映像が、インターネット上に公開された。
 後藤さんとともに拘束されていた湯川遥菜さんも、すでに殺害されたとみられている。残虐で卑劣な犯罪行為である。どんな主張があるにせよ、暴力や恐怖によって相手を屈服させようとするテロリズムを許すことはできない。
 安倍晋三首相は「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく」と述べた。
 日本の歩むべき道は、テロと戦う国際社会とともにあることを強く再確認したい。
 ≪覚悟持つ社会の醸成を≫
 後藤さんはこれまで、主に紛争や貧困など厳しい環境にある子供たちの姿を追い、書籍や映像で伝えてきた。後藤さんを知る多くの人が、彼の生還を待っていた。彼の新たな報告や作品を待っていた。殺害が事実なら、それもかなわぬこととなる。
後藤さんと湯川さんが拘束された映像が流れたのは1月20日だった。ナイフを手にした男は身代金として2億ドル(約236億円)を日本政府に要求した。安倍首相が中東歴訪中に表明した、避難民に対する人道支援の額と同額である。
 金額の多寡に関係なく、これを受け入れるわけにはいかなかった。テロに屈すれば新たなテロを誘発する。身代金は次なるテロの資金となり、日本が脅迫に応じる国であると周知されれば日本人は必ずまた誘拐の標的になる。
 音声は日本政府を批判し、日本国民には政府に圧力をかけるよう要求した。これに呼応する形で国内の野党や一部メディアから同様の批判の声が相次いだが、日本の国民は冷静だった。
 産経新聞社とフジニュースネットワークが実施した合同世論調査によると、イスラム国による脅迫事件への政府の対応について58・9%が「取り組みは十分」と評価し、67・3%が身代金を「支払うべきでない」と答えた。
後藤さんを殺害したとみられる映像は再び音声で日本政府を批判し、「日本にとっての悪夢の始まりだ」と脅した。理不尽な脅迫に対峙(たいじ)するためには、政府が毅然(きぜん)とした態度をみせるとともに、国民一人一人がテロに対して揺るがぬ心を持つ、覚悟を持った社会の醸成が必要となる。事件の責任を日本政府に求めるのは誤りだ。憎むべきは、テロ集団である。
 イスラム国は2度目の脅迫画像をネット上に公開した際に身代金の要求を引っ込め、イラク人死刑囚の釈放を要求した。3度目の画像で後藤さんはイスラム国に捕らわれたヨルダン軍パイロットの写真を持たされ、パイロットの殺害も予告していた。
 死刑囚は2005年にアンマンで60人以上の尊い生命を奪った連続爆破テロの実行犯である。逮捕されたのは自爆装置の起爆に失敗し、不発に終わったためだ。釈放には多くのヨルダン国民が反対し、ヨルダン政府もパイロットの生存確認を最優先させた。
 ヨルダンの懸命の対応には感謝すべきで非難することは誤りだ。テロに屈しない。自国民の保護を優先させる。いずれも批判の対象とはなり得ない。両国の立場が逆だったとしても同様である。
 ≪日本として責任果たせ≫
 オバマ米大統領は「安倍晋三首相や日本国民と連帯し、この野蛮な行為を糾弾する。われわれは中東や世界の平和と繁栄を前進させるため、日本が着実に取り組んでいることを称賛する」などとする声明を発表した。
 キャメロン英首相は「人命を一顧だにしない悪の権化」だと、イスラム国を強く非難した。
 中東やアフリカなどイスラム圏の20カ国・地域からなる「在京アラブ外交団」は1月27日、「イスラムの気高い教えや原則をかたってこのような野蛮な行為が行われたことに対し、遺憾の意を表する」と声明を発表していた。
 忘れてならないのは、「イスラム国」は国ではなく、犯罪集団であり、イスラム社会にとっても敵であるという事実だ。
 安倍首相は改めて「日本がテロに屈することは決してない」と述べ、中東への人道支援をさらに拡充することを表明した。今後もイスラム諸国を含むテロと戦う国際社会と連携し、日本としての責任を果たさなくてはならない。



東京新聞 2015年2月2日
【社説】日本人人質殺害映像 絶対に許せぬ蛮行だ


 「イスラム国」とみられるグループの人質、後藤健二さんが殺害されたとみられる映像が公開された。事件は最悪の結末となった。許せぬ蛮行だ。
 政府は映像の信ぴょう性は高いと判断。安倍晋三首相は「卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える」と述べた。
 犯人グループは当初、身代金を要求したが、ヨルダンに収監されているサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放に要求を変えた。
 同死刑囚は六十人以上が死亡したホテルの自爆テロ実行犯。ヨルダン政府は、「イスラム国」の捕虜になっているヨルダン軍パイロットの生存を示す証拠が示されなければ釈放には応じられないと主張。日本は主導権を失った。
◆理も情も通じないテロ
 ヨルダンの主張は当然だ。責める筋合いはない。日本とヨルダンが分断となれば、犯人側の思うつぼだ。
 後藤さんは紛争国での取材を続け、先に殺害されたとみられる画像が公開された湯川遥菜(はるな)さんを捜すため、「イスラム国」支配地域に入ったとみられる。「何があっても責任は私にある」と覚悟を語っていた。母親は解放を訴え、「私は健二です」と英語で書いたプラカードを持つ投稿が国内外から寄せられるなど、救出を求める声も広がっていた。
 犯人グループは、後藤さんの妻にまで死刑囚釈放を訴えるよう要求していた。その果ての蛮行。道理も情けも通じない。人間味の一切ない手口に強い憤りを感じる。
 「イスラム国」は英仏によって中東地域に引かれた国境線に異を申し立て勢力を拡大。人質や捕虜らを次々と殺害し、暴力と残虐により支配している。そんな「大義」に正当性があるはずがない。
◆空爆支援の否定は当然
 国際化の時代、海外に滞在したり、訪問する邦人は多い。「イスラム国」とみられるグループは、映像メッセージで「(日本)国民がどこにいようとも虐殺をもたらすだろう」と警告した。
 日本は、テロを許さないというメッセージの発信とともに、国内外での邦人の安全確保に万全を期すことも必要だ。その際、重要なのは、日本は武力の行使には加担せず、これまで通り、あくまでも食料や医療などの人道支援に徹するということだ。
 菅義偉官房長官は記者会見で、米国主導の有志国連合が「イスラム国」に行っている空爆に、資金や人的な協力をする可能性を「全くない」と否定した。当然だ。その言葉を違えてはならない。
 戦後日本は先の大戦の反省に基づいて専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない「平和主義」を貫いてきた。
 この平和国家としての歩みが、国際社会での高い評価と尊敬を得て、日本の外交力の基礎となっていることに疑いの余地はない。
 日本は欧米と違い、「イスラム国」が台頭する中東地域を、植民地支配したことも戦闘目的で派兵した歴史もない。中東諸国が親日的とされる要因だろう。
 日本が一転、軍事的な貢献へと踏みだせば、この地域の日本への好感情をも傷つけかねない。
 原油輸入の約九割を依存するこの地域の安定は、日本にとって死活問題だ。「イスラム国」の脅しには屈することなく、中東安定のために、平和国家・日本にふさわしい貢献を続けるべきである。
 日本が国際社会での高い評価と尊敬をより確固たるものとするには、人道支援や難民支援など、非軍事分野の民生支援を地道に進めるしかあるまい。
 日本がテロリストとは対決しても、一般のイスラム教徒には敵意を抱いていないという真意も説明し続ける必要があるだろう。
 安倍内閣は、政府開発援助(ODA)政策の基本方針を示す大綱を近く改定する。
 これまで禁じてきた他国軍への支援を、民生目的や災害救助などの非軍事目的に限って解禁することが柱だが、非軍事支援の軍事転用を防ぐ歯止めはない。
 特に、不安定な状況が続く中東では慎重な対応が必要だ。援助政策の変更が、国際紛争を助長することになってはならない。
◆政府対応の検証は必要
 安倍首相は「自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対応できるようにすることは国の責任だ」と国会答弁した。邦人保護は国の役割だとしても、特殊部隊による人質奪還作戦のようなことを想定しているのなら、飛躍が過ぎる。
 菅氏は、事件をめぐる政府対応について、有識者を交えて検証する考えも示した。政府対応に改善すべき点はなかったか、国会でも徹底的に議論する必要がある。
 政府は経緯を明らかにし、野党側も厳しくただすことが、邦人の一層の安全確保につながる。




しんぶん赤旗 2015年2月2日(月)
主張:日本人人質殺害 国際的結束でテロ組織包囲を


 過激組織「イスラム国」は日本時間1日早朝、人質にしていた日本人ジャーナリスト後藤健二氏を殺害したとする映像をインターネットで公開しました。1月24日にもう一人の日本人人質、湯川遥菜氏を殺害したことに続く、残虐非道な蛮行を断固として糾弾するものです。こうした悲劇が繰り返されることを絶対に許してはなりません。
「イスラム国」の蛮行
 なにより重要なことは日本共産党の志位和夫委員長の声明も指摘しているように、「イスラム国」の蛮行を阻止し、解体に追い込むための国際的な結束です。
 「イスラム国」はイラクとシリアの国境をまたぐ地域を支配し、極端なイスラム教解釈に基づく統治を行っています。同じイスラム教スンニ派の住民に対しても、敵対勢力とみると拷問と「処刑」を繰り返しています。その残虐性は昨年、「生みの親」である国際テロ組織アルカイダから「破門」されるほどです。イスラム教徒以外の少数派住民への弾圧もすさまじく、昨年10月には「奴隷制の復活」を宣言し、イラク北部で拉致したヤジディ教徒の女性や子どもを「戦利品」として自らの戦闘員に与えました。
 「イスラム国」によるこうした残虐な行為はイスラム教とはまったく無縁です。
 国連安保理は昨年8月、全会一致で決議2170を採択。「イスラム国」の広範囲にわたる系統的な一般住民に対する攻撃を「人道に対する罪」にあたると断定し、同組織を「武装解除と解体」に追い込むため、「外国人テロリストの流入」、「武器の供給」と「資金調達」の防止などを各国に呼びかけました。
 そうしたテロへの対処では、国連憲章をはじめとした国際法、国際人道法を順守することが不可欠です。
 「テロとの戦争」を掲げたアメリカのブッシュ政権が開始したアフガニスタン報復戦争(2001年10月)、イラク侵略戦争(03年3月)、北大西洋条約機構(NATO)によるリビア空爆(11年)、オバマ米政権のもとで拡大した無人機による「テロ容疑者」に対する空爆など、国際法に背く軍事介入が繰り返されてきました。
 米欧諸国が自らのモデルを押し付けようとした「民主化構想」はいずれも成功せず、戦争(内戦)の泥沼化、宗派間の対立激化、米欧諸国への憎悪を深めてきました。これがテロの口実をつくり出し、過激派集団の伸長につながりました。「イスラム国」がイラク北部に支配地を広げているのは偶然ではありません。
 またアラブの人々を深く傷つけているイスラエル・パレスチナ紛争の公正な解決をはじめ、軍事一辺倒でなく、貧困や格差、差別などテロの温床を根絶することも必要です。
「戦争する国」許さず
 今回の日本人人質事件を口実に、安倍晋三首相が「在外邦人救出」のために自衛隊派兵の拡大へ向けた法的整備が必要などと軍事的対応に前のめりの姿勢を表明していることは重大です。いま日本政府に求められるのは、今回の人質事件での日本政府の対応を冷静に検証することです。「テロ」を口実に「海外で戦争する国づくり」を加速することは許されません。

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