2015-02-07(Sat)

JR九州上場へ 法改正 上場が必要か

誰のための上場か 住民の足を守る公共性優先こそ  

<各紙社説・論説等>
読売新聞)JR九州上場へ 収益拡大に一層の工夫が要る(2/3)
朝日新聞)JR九州上場―売却益は国民のために(1/28)
西日本新聞)JR九州上場 地域貢献の役割を強めよ(1/29)
宮崎日日新聞)JR九州上場へ(1/30)
南日本新聞) [JR九州基金] 返済免除も責任は重い(1/29)




以下引用



読売新聞 2015年02月03日 01時11分
JR九州上場へ 収益拡大に一層の工夫が要る


 株式上場後は、厳しい市場の評価を受ける。これまで以上に収益拡大を図り、企業価値の向上に努めねばならない。
 国が実質的に100%保有しているJR九州の株式が、2016年度に上場されることになった。1987年の国鉄分割・民営化で誕生したJR各社の上場は、東日本、西日本、東海に次いで4社目である。
 国土交通省は、今国会にJR会社法の改正案を提出し、国の管理下にある「特殊会社」から、純粋な民間会社に移行させる。
 事業計画の策定や長期資金の借り入れなどに対する国の認可は不要になり、自由度の高い経営が行えるようになる。
 赤字の鉄道事業を引き継いだJR九州は、不動産や外食など関連事業の強化により、収益を安定させた。「攻めの経営」で、上場を可能にしたことを評価したい。
 上場を巡って焦点となったのが民営化時、赤字ローカル線の維持のために国が拠出した3900億円の経営安定基金の扱いだ。
 財務省が国庫への返納を求めたのに対し、国交省は基金の運用益がなくなり、JR九州の収益が悪化すると主張した。調整の結果、基金を全額取り崩して、九州新幹線の施設使用料前払いや、借金返済に充てることになった。
 基金で債務を削減し、上場後の経営安定に役立てるのは、やむを得ない判断だろう。
 上場後、運用益の穴をどう埋めるかが大きな課題となる。
 JR九州は、豪華寝台列車「ななつ星」など、ユニークな取り組みで全国的に注目されている。それでも、鉄道事業は民営化以降、一度も黒字になっていない。本業のテコ入れが求められる。
 乗客の増加を目指し、自治体とも連携した新たな観光資源の掘り起こしが必要になろう。アジアなど海外への情報発信を充実させ、観光客誘致を加速したい。
 「地域の足」をしっかり確保することは、鉄道の重要な使命だ。国交省が、完全民営化後もローカル線の廃止に歯止めをかける指針を示すのは、当然と言える。
 経営効率化と公共交通機関としての役割について、どうバランスを取っていくかが問われる。
 数千億円とされる株式売却益は法律で、旧国鉄職員の年金財源に充てることになっている。
 ところが与党内には、法改正をして、整備新幹線の建設費に使うよう求める声もある。厳しい財政事情を考えれば、貴重な株式売却益の安易な流用は慎むべきだ。



朝日新聞 2015年1月28日(水)付
社説:JR九州上場―売却益は国民のために


 JR九州の株式を16年度にも上場すると政府が発表した。87年の旧国鉄の分割・民営化の後、JRの株式上場は97年の東海に次いで約20年ぶり、4社目だ。JR北海道、四国とともに、赤字ローカル線の維持を支援する補助金「経営安定基金」を政府からもらってきた「3島会社」では初の上場である。
 焦点だった3800億円余の基金は、政府に返さず、取り崩して債務の返済などに充てることになった。JR九州の鉄道事業は年間150億円程度の赤字で、基金の運用益で穴埋めしている。とはいえ、力を入れてきた不動産事業が鉄道事業の赤字を補っており、直近の決算は売上高、経常利益で過去最高を更新した。それだけに「上場できるなら、まずは基金を返すべきだ」との声もあった。
 JR九州は、国民負担による基金がもらい切りになる意味を重く受け止め、民間企業として経営強化とサービスの維持・充実に努めてほしい。
 経営首脳からは「まちづくり会社になる」との声も聞かれるが、基本はあくまで鉄道事業だ。ユニークなデザインの車両や豪華寝台列車「ななつ星」で注目されるが、地元住民の通勤・通学をしっかり支える必要があるのは言うまでもない。上場前に大規模な無人駅化を進める動きもあるようだが、収益改善とサービス維持の両立は、公的な役割を担う鉄道会社として当然の責任である。
 JR九州の動向とともに目が離せないのは、同社の株式上場で得られる数千億円ともされる収益の扱いだ。
 与党議員の中には「鉄道がもたらす利益だから鉄道に使うべきだ」「整備新幹線の建設促進に」といった声がある。しかし、それでは筋が通らない。
 独立行政法人を通じて国が実質的に株式を持ち、4千億円近い公費による基金を抱える会社である。それがもたらす収益を「鉄道村」の埋蔵金のように扱うことは許されない。鉄道分野で今後、老朽化対策などさまざまな補助事業を行う必要があるとしても、毎年度の予算編成を通じ、財政全体の中で配分を決めるべき問題である。
 財政難は深刻だ。国の借金総額は1千兆円を超える。来年度の国の一般会計は、税収増で前年度より好転するとはいえ、財源不足を穴埋めするために37兆円近い国債を発行する。今後、東日本大震災の復興予算を積み増す可能性もある。
 そんな厳しい状況の中での貴重な財源であることを忘れてはならない。



=2015/01/29付 西日本新聞朝刊=
社説:JR九州上場 地域貢献の役割を強めよ


 JR九州が長年の悲願を達成する。国土交通省は同社の株式を2016年度に上場させる方針を発表した。完全民営化で経営の自由度が高まる分、責任も増す。経営体質改善を進め、従来に増して地域貢献の役割を果たしてほしい。
 1987年の旧国鉄分割民営化から28年になる。この間、同社はJR北海道、四国とともに国の経営安定基金の支援を受けてきた。三島会社では初の上場となる。
 JR九州は発足以来、事業多角化で収益力を高めてきた。駅ビルなど不動産事業、外食やホテル事業にも進出し、今では連結売上高の約6割を非鉄道部門が占める。
 本業の鉄道部門でも、列車の本数を増やし、観光列車を各地で展開した。約60の新駅設置で集客力を高めるなど赤字圧縮に努めてきた。一連の経営努力が上場決定を後押ししたことは評価できる。
 上場して完全な民間企業になれば、社長人事や事業計画で国の認可権限は無くなり、機動的な資金調達など柔軟な経営が可能になる。会社側のメリットは大きい。
 問題は地域や住民の利便性だ。
 鉄道事業は14年3月期決算でなお約156億円の赤字だ。大都市圏のような「ドル箱」路線もない。人口減少が見込まれる九州で黒字を目指すのは容易ではない。
 3877億円に上る経営安定基金は国に返却せず、同社の財務体質強化に充てることで決着した。鉄道ネットワークの維持・向上に必要との判断からだ。
 同社はこの優遇措置を重く受け止めるべきだ。不動産や運輸業界などには「公平な競争を乱す」との警戒感もある。赤字路線を廃止するようでは「何のための返還免除か」との批判を免れまい。
 同社は、年間約60億円の市町村税の減免措置継続を国に求めている。赤字軽減に向け駅の無人化も検討しているという。地元自治体との十分な協議が必要である。
 鉄道会社は地域社会との共存が使命だ。完全民営化するJR九州は、これまで以上に収益改善とサービス強化に努め、地域と利用者の期待に応えてほしい。


宮崎日日新聞 2015年01月31日 05時00分
論説:JR九州上場へ


 政府が2016年度にJR九州の株式を上場すると決めた。経営の自由度が増し、より積極的な経営に踏み込める。1987年の国鉄分割・民営化に伴う会社発足から約30年を経て、ようやく完全民営化を果たす。
 現在、JR九州の株式は国土交通省所管の独立行政法人が全て保有している。現行のJR会社法では社長人事や事業計画を定めるには国土交通相の許可が必要で、実質的には国の管理下にある。株式の取り扱いは、民営化に先立つ閣議決定で「経営基盤の確立など条件が整い次第、逐次株式を処分し、できる限り早期に純民間会社とする」としていた。
 完全民営化への環境が整ったのは企業努力によるものだ。本業の鉄道事業は赤字から抜け出せていない。豪華寝台列車「ななつ星in九州」など観光列車の運行、九州新幹線の全線開業と華々しいイメージもあるが、多くのローカル線を抱えている実態がある。
 今後も人口減少で鉄道収入の大きな伸びが見込めない中、JR九州は駅ビルやマンション、流通や外食、ホテル事業など経営多角化を果敢に進めてきた。今や非鉄道部門の連結売上高に占める割合は6割もある。
 その効果もあって14年3月期連結決算は、売上高が過去最高の3548億円、経常利益212億円に上った。鉄道を含む運輸事業は約150億円の赤字で、これを民営化の際に与えられた経営安定基金3877億円の運用益で穴埋めしている。上場に向けては、この基金の扱いが焦点だった。
 経営安定基金は輸送量が少なく、経営環境が厳しいJR北海道、四国、九州の「三島会社」に与えられた路線網を維持するための支援策だ。三島会社で初の上場となるJR九州は、基金の継続を望み、政府内では国庫に返納するように求める声があった。国交省がまとめた報告書は、基金を取り崩して債務返済などに充てることが「適切」とした。
 具体的には、九州新幹線の線路などを保有する鉄道建設・運輸施設整備機構に開業から30年間支払うことになっている施設利用料の一括払いに2205億円、同機構からの借入金返済に800億円、残りの872億円は鉄道関連の投資に充てる方針だ。今後の経営にとって恩恵は計り知れない。
 基金を継続して特別扱いのままでは競合する企業から不満も出かねないし、取り上げれば財務体質がぜい弱になる。年間120億円前後の運用益はなくなるが、基金が果たしてきた目的に即した使い道ではある。地域の足を維持する責任がより重くなったと言える。
 今国会で、JR会社法を改正して基金の取り崩しを可能にし、国の監督下からJR九州を外す。新規事業や投資を素早く決定できるようになる一方で、法改正案では鉄道事業の公益性に鑑みて国の関与を残す。路線維持や利便性確保を求める指針を定め、指針に反した場合には是正を勧告、命令できる規定を盛り込むつもりだ。
 赤字ローカル路線を安易に切り捨てるような企業の論理だけが前面に出る完全民営化では困る。JR九州は通勤・通学を支え、観光振興やまちづくりにおいても重要な役割を担っている。地域の期待に応える企業に、さらに磨きをかけてほしい。(宮崎勝)



南日本新聞 ( 2015/1/29 付 )
社説: [JR九州基金] 返済免除も責任は重い


 国土交通省は、2016年度の株式上場を目指すJR九州について、民営化時に受け取った経営安定基金3877億円を国庫に戻さず、債務返済などに充てることが適切とする報告書を発表した。
 同社は経営多角化により財務状況が安定する一方、鉄道事業では赤字から抜け出せていない。国交省は、ローカル線の維持や利便性確保のためには財務体質の強化が不可欠と判断した。法改正で基金の取り崩しを可能にする。
 同社は巨額の基金の返済が免除されることになるが、上場によってさらなる経営の合理化を迫られる一方で、採算性の低い路線を含めた地域の足の維持に重い責任を負うことを忘れてはならない。
 経営安定基金は1987年の国鉄分割・民営化の際、経営基盤の弱いJR北海道、四国、九州の「三島会社」に与えられた。路線網を維持するため、運用益で鉄道事業の赤字を穴埋めしている。
 JR九州の2014年3月期連結決算は不動産事業などの多角化が奏功して売上高3548億円、経常利益212億円を記録した。今後も安定経営が見込めるとして三島会社では初めて上場が認められたが、鉄道を含む運輸事業は約150億円の赤字だった。
 同社は当初、経営安定基金を持ったままの上場を求めていた。だが、実質的な補助金を持ったままの上場は公平性を欠くとして認められなかった。
このため同社は基金を取り崩し九州新幹線の線路などを保有する鉄道建設・運輸施設整備機構に開業から30年間支払うことになっている施設利用料の一括払いに2250億円、鉄道関連の投資に872億円、同機構からの借入金返済に800億円を充てる方針だ。
 基金を取り崩すことで批判をかわす狙いだが、これで鉄道事業の赤字を補てんしてきた年間120億円の運用益はなくなる。
 同社は、九州新幹線や豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを柱に経営改善の努力を続けているが、多くのローカル線を抱え高速バスとの激しい競争にさらされており、赤字解消のめどは立っていないのが実情だ。
 ただ、鉄道は地域の暮らしを支える重要なインフラだ。安倍政権が最重要課題と位置付ける「地方創生」の実現に向けても交通網の維持は不可欠で、不採算路線の安易な切り捨ては許されない。
 巨額の公金返済を免れた同社がその恩恵をどのように経営に生かしていくのか。国交省は、同社の株式上場後も、路線の維持や利便性確保について厳しくチェックを続けていく必要がある。

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