2015-03-13(Fri)

3・11東日本大震災 4年 (4) フクシマ 原発事故からの復旧・復興

新財政計画、復興途上の現実を直視せよ  東電の情報公開、体質改善し信頼回復を図れ

<社説・論説>
福島民友新聞)常磐線全線再開へ/復旧見据え利活用策考えよ(3/12)
福島民友新聞)「3.11」から4年/未来を見つめ確実に進もう(3/11)
福島民友新聞)政府の新財政計画/復興途上の現実を直視せよ(3/10)
福島民友新聞)東電の情報公開/体質改善し信頼回復を図れ(3/8)
福島民友新聞)福祉避難所/震災の教訓生かし備え急げ(3/7)
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福島民報)【復旧・復興】明るい兆しを力に(3月12日)
福島民報)【次代担う人材育成】「福島生まれ」を誇りに(3月11日)
福島民報)【原発賠償】東電は柔軟な対応を(3月10日)
福島民報)【中間貯蔵13日搬入】本格輸送の心構えで(3月9日)
福島民報)【避難者ケア】1人1人きめ細かく(3月7日)




以下引用



福島民友新聞 2015年3月12日
社説:常磐線全線再開へ/復旧見据え利活用策考えよ(3月12日付)


 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から4年。これまで復旧の見通しが立っていなかったJR常磐線が全線復旧に向かって動きだした。
 政府が常磐線の運行を来年春から順次再開し、将来的に全線で再開通させることを決めた。
 常磐線は、常磐道とともに本県を縦断する浜通り地方の大動脈だ。再開通は復旧復興の弾みとなる。早期の全線再開を期待したい。
 現在の不通区間は、竜田(楢葉町)-原ノ町(南相馬市)の46キロと、相馬(相馬市)-浜吉田(宮城県亘理町)の22.6キロ。相馬-浜吉田は2017(平成29)年春の再開予定が既に決まっている。
 残りの区間について国土交通省がJR東日本と調整し、16年春までに小高(南相馬市)-原ノ町、17年春までに浪江(浪江町)-小高、18年春までに竜田-富岡(富岡町)の開通を目指すことを確認した。
 再開の時期は沿線市町村とJRが、施設の被害の大きさや避難指示の解除の見通しから判断した。例えば富岡町は駅から国道6号にかけての市街地を復興拠点に位置付けている。町再生への追い風にしてほしい。
 富岡-浪江間は、空間放射線量が高い帰還困難区域を通過することや、線路の損壊が激しいことから、再開時期は未定のままだ。除染を終え、放射線量が高い地点で電車が止まった場合の乗客の安全確保などを定めた上で運行を再開する。
 同区間の再開通が同時に全線での運行再開となる。一日も早い復旧を望みたいが、双葉、大熊町には、第1原発から5キロも離れていない駅もある。安全確保を最優先に復旧作業とその後の運行を目指してもらいたい。
 ただ常磐線は震災前から、利用が上野-いわき間に集中し、いわき-仙台間は常磐線全体の利用客の1割未満にとどまっていたという現実がある。
 復旧・復興の基盤として全線再開は欠かせないが、有効に活用していかなければ、全線再開という目標をかなえるだけで終わってしまう可能性がある。
 常磐線は今週末から「上野東京ライン」の開業で、東京、品川駅まで乗り入れることになり、東海道新幹線への乗り換えや、私鉄を利用した羽田空港利用が便利になる。
 1日に全線開通した常磐道を含め、交通ネットワークを復興と、その後の発展にどう生かすか。常磐線の全線再開通後を見据えた利活用策の検討がいまから欠かせない。



福島民友新聞 2015年3月11日
社説: 「3.11」から4年/未来を見つめ確実に進もう(3月11日付)


 「3・11」と刻まれる、忘れてはならない日を迎えた。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から4年。ようやく形になってきた復興施策がある一方、再建が進んでいない被災の現状も残る。諦めることなく前を向き、5年目となる復興の歩みを確かなものにしたい。
 今月1日には常磐道が全線開通し、津波と原発事故で大きな被害を受けた浜通りに人や物の流れを生む効果が期待される。
 産業復興に向けてはロボットの研究拠点を整備する政府の構想がまとまり、具体化に向けて動きだす。再生可能エネルギーや医療機器産業を根付かせるための研究施設も整備が進む。
 これらの動きを復興の強みに生かしたい。が、忘れてならないのは、いまもなお、約12万人の県民が古里から避難したままという厳しい現実だ。
 暮らしの復興を急がねばならない。復興公営住宅の整備を加速させる必要があるが、避難によって失われた隣近所との触れ合いのようなコミュニティーの場を新たな生活圏でどのように構築していくかが課題になる。
 若い人とは違って生活再建に踏み出せないお年寄りも多く、孤立化が心配だ。NPOなどの民間支援や福祉、保健分野の人材を充実させ、人に優しい復興も加速させなければならない。
 放射線への不安解消も暮らしの復興に欠かせない。原発事故から4年がたち、子どもたちには放射線の影響よりむしろ、外遊びや戸外の運動を控えることからくる肥満などの健康上のリスクが顕在化してきた。
 放射線のリスクコミュニケーションを深め、子どもの健康を守る取り組みを強めたい。
 子どもは次代を担う宝だ。4月開校の中高一貫校「ふたば未来学園」を教育復興につなげ、子どもたちの未来に明るい光を届けたい。
 農林水産業や観光業の再生に向けては、5年目以降が風評と風化の正念場になると肝に銘じたい。官民を挙げて情報の発信力を強めることが重要だ。
 苦渋の判断を迫られる県民がいることにも心を寄せたい。
 県内の除染で出る汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設が、政府の設置要請から3年半を経て着工した。ただ、本体施設の大半の用地交渉はこれからだ。
 政府は施設の本格稼働を目指し、地権者の理解を得る努力を丁寧に進める必要がある。
 福島第1原発の廃炉、汚染水対策は厳しい闘いが続く。政府と東電は安定した作業に全力を挙げていかなければならない。



福島民友新聞 2015年3月10日
社説:政府の新財政計画/復興途上の現実を直視せよ(3月10日付)


 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興で、政府が検討する新たな財政計画の素案が分かった。
 素案では、国が「財政再建」を目指す中、事業を絞り込む姿勢がにじむ。しかし、明日で震災から丸4年となる今も復興の実感は乏しい。財政難のしわ寄せが復興に及ぶことがないよう被災者や被災地の視点に立ち検討を重ねてもらいたい。
 政府は震災があった2011(平成23)年度から20年度までを復興期間、うち11~15年度を集中復興期間としている。
 素案では、集中復興期間は延長せず、16~20年度の5年間を「後期復興期間(仮称)」とし6兆円前後を追加投入。再増税はせず、主に歳出削減や税収が自然に増える分で財源を賄い、自治体の一部負担も検討する。
 原発事故からの復興には21年度以降も取り組むと明記するが、ほかは発生から10年以内の事業完了を掲げ「自立に向けた施策」への重点化を打ち出す。
 素案からは厳しい財政事情のほか、17年4月の消費税再増税を控え、これ以上の増税論議は避けたいとの思惑が透けて見える。被災自治体に負担を求める検討もその一環だ。
 国として財政再建は当然進めなければならないが、だからといって、復興を同じテーブルで論じるのはいかがなものか。霞が関と永田町で進む「風化」の表れとも受け取れる。
 本県など被災県は、実質的に全額国費で事業を進めてきた集中復興期間の延長を求めている。復興の現状と被災地の意向を踏まえ、復興期間を含めて財政計画を煮詰めてもらいたい。
 ただ、自治体も規定路線のまま事業規模を追うのではなく、困難を抱えた地域の声をよく聴き、重要度が高い施策を見極めていく努力が欠かせない。
 自治体が一部負担することになった場合、高齢者の見守りや避難生活でストレスを増す子どもたちの心のケアなど、目に見えにくい事業は後ろに回され、廃止・縮小される懸念もある。ときがたつにつれて、ソフト事業の大切さは増すばかりであることを忘れてはならない。
 竹下亘復興相は本紙インタビューで、16年度以降の主要テーマとして「被災者の自立」を挙げた。自立が重要課題であることは間違いないが、自立を理由に、予算削減に動くようなことがあってはならない。
 復興の進度は地域や個人により格差が生じている。自立を促すのであれば、雇用や住まいの確保など、自立に向けた支援策を拡充・強化する必要がある。



福島民友新聞 2015年3月8日
社説:東電の情報公開/体質改善し信頼回復を図れ(3月8日付)


 東京電力が「情報隠し」や「隠蔽(いんぺい)」と疑われるような事態を招き信頼を損なったままでは、福島第1原発で取り組まれる汚染水・廃炉対策への地元の理解が進まない。
 高線量の下で連日、約7000人の作業員が汗を流している現場の士気にも関わる。
 東電は信頼回復の重大さを強く自覚し、一から出直す覚悟を持って情報公開の姿勢を正していかなければならない。
 第1原発で汚染された雨水が港湾外の外洋に流出していながら、県民に公表してこなかった問題で東電は、取締役会の諮問機関である「原子力改革監視委員会」の提言を受け、新たな情報公開の方針を決めた。
 新方針は、周辺環境に直接影響を及ぼす水や粉じんに関する全ての放射線データの公開を原則とし、国内外の専門家がチェックするとしている。
 東電は今月30日までに、新方針に基づく情報公開の具体的な仕組みや方策をまとめる。あらためて指摘しておきたいのは、現場で何が起き、どのような影響があるのかといった分かりやすい情報公開に徹することだ。
 汚染雨水の流出問題では、東電は外洋に通じる排水路で放射性物質を検出していた事実を原子力規制委員会の会議などで報告はしていたが、原因が分かるまで公表はしなかった。
 原子炉建屋近くの井戸からくみ上げた地下水を浄化し、海に放出する「サブドレン計画」の実施に理解を求めてきた漁業関係者にも伝えてこなかった。
 起きた事象の原因を究明することはもちろん重要なことだ。だが、速やかな情報の公開に思いが至らない体質は、これまでも批判されてきたはずだ。
 改革監視委もこの点を指摘している。同委はこれまでも「会社の判断と社会の尺度のずれ」の是正を求めてきたのに、改善されなかったことを東電は真摯(しんし)に反省しなければならない。
 同委は社外による監視・評価の強化も提言し、委員会の下に情報公開分科会を設置した。
 社外メンバーが今回の問題の経緯や事実関係の社内調査結果を検証し、情報公開の在り方などを点検する考えだ。社外の監視、点検の目が行き届き、有効に機能するよう求めたい。
 東電には縦割り体質の改善も必要だ。今回の問題では測定などの技術的な部門と汚染水対策への理解を求める部門間で、情報が共有されていたのか疑問が残る。現場で起きる事象の重大性や情報公開の判断をどの部門が任うのか、役割分担と責任の所在を明確にする必要がある。



福島民友新聞 2015年3月7日
社説:福祉避難所/震災の教訓生かし備え急げ(3月7日付)


 東日本大震災では、介護者不足が高齢者らの避難生活に影を落とした。しかし緊急時に支援が必要な被災者を受け入れる福祉避難所の指定は、4年たっても国が望ましいとする水準に届いていない。 国は、災害時に、一般の避難所で健康な人と同じ環境で生活するのが困難な認知症患者や障害者、妊婦らを受け入れる福祉避難所の指定を自治体に求めている。しかし県内では59市町村のうち、全体の4割に当たる24市町村(昨年9月末時点)が1カ所も決めていない状況だ。
 県によれば、徐々に指定が進んでおり、今月末時点で実施する調査では「指定ゼロ」の自治体が大幅に減る見通しだが、県が目指してきた本年度中に全市町村での指定は難しい状況だ。
 原発事故による避難区域や会津地方の山間部など指定が困難な地域もあるが、東日本大震災で経験したように大規模災害時には避難が広域に及ぶことを考えれば、県内にくまなく、できるだけ多くの避難所を設けることが肝心だ。
 福祉避難所は、阪神大震災を機に必要性が指摘され、2007(平成19)年の能登半島沖地震の際に初めて設置された。国は東日本大震災後から働き掛けを強め、自治体にバリアフリー化された福祉施設などと事前に協定を結び、場所を住民に周知するよう求めている。
 県によると、県内の福祉避難所は、震災翌年の12年は67だったが、13年は127、昨年は242カ所(いずれも9月末時点)へと増えてきている。しかし地域によって偏りがあるなど、国が求める小学校学区に一つの指定にはほど遠い状況だ。
 指定が進まない要因はさまざまだ。平時でさえ職員の確保が大変になる一方の中、災害時には要支援者がさらに増加し、逆に支える側が被災して減ってしまう可能性もある。マンパワーだけでなく、ベッドや福祉機器の確保も必要だ。
 県は避難の際に、支援が必要になる人は約16万5000人と推計している。既に検討に着手しているという広域的な応援態勢の確立や、介護ボランティア養成制度の創設などに積極的に取り組んでもらいたい。
 災害派遣医療チーム「DMAT」の福祉版ともいえる「DCAT」(災害派遣介護チーム)をつくる動きが全国にあり、県内でも設立に向けた作業が進んでいる。介護福祉士や看護師が被災地に駆け付け、避難所や福祉施設で活動する。福祉避難所とともに「緊急介護」に対応する組織の充実も急務だ。

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福島民報(2015/03/12 08:34)
論説:【復旧・復興】明るい兆しを力に(3月12日)


 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から5年目に入った。本紙などが今月実施した県民世論調査によると、県民の6割が原発事故の風化と風評の根強さを感じ、7割が「県内の現状が国民に正しく理解されていない」と回答した。実感だろう。ただ、明るい兆しもある。4年間積み重ねてきた復旧・復興に向けた努力と、その成果を前に進む力にしたい。
 県内の現状を県外の人たちに的確に伝えるのは難しい。ひと言ではなかなか言い表せない。常磐自動車道の全線開通に代表される社会基盤整備、県外避難者の減少、県産農産物の汚染状況の改善、漁業の試験操業魚種の拡大など復旧・復興に向けた歩みは着実に進んでいる。一方で約12万人の避難者の生活再建、止まらぬ関連死、汚染水問題をはじめとする福島第一原発の廃炉作業、中間貯蔵施設整備など深刻な問題や課題を数多く抱えているのも事実だ。
 そうした中、福島第一原発での汚染水漏れなど新たな問題や課題が発覚するたびに、これまで一歩一歩積み上げてきた復旧・復興に向けた動きや成果が無に帰し、負の印象だけが国内外に伝わっているように感じる。今回の世論調査結果の背景には、そうした状況に対する県民のいら立ちや無力感があるのではないか。むなしさにさいなまれ、県民が県内の地道な取り組みに背を向けてしまうようでは復旧や復興はおぼつかない。
 県民の気持ちを切らさないためには、明るい材料をきめ細かく提供し続ける必要がある。例えば、過剰基調もあって販売不振が続いている県産米だが、全農県本部によると、沖縄県の量販店との取引は震災前の水準に戻りつつある。北海道の最大手の量販店でも試験的販売が昨年12月から始まり、販売員からは「福島産を気にしない顧客が大半」との声が出ているという。農家や農協関係者はもちろん一般県民も伝え聞けば元気が湧いてくる。この手の情報は農業分野に限らず数多くあるはずだ。
 県は平成27年度の風評・風化対策として、教育旅行や観光客の誘致に力を入れる。首都圏や関西、九州に加え、東海や北海道でも情報発信イベントを新たに催す。県外向けの取り組みの継続は重要だ。一方で県民向けの情報発信にも力を入れるべきだ。さまざまな分野の復旧・復興の動きや成果を定期的に公表する。現状への理解が深まれば、前向きな気持ちを維持できるし、口コミで情報が広がることで風評の払拭[ふっしょく]にもつながる。(早川 正也)



福島民報(2015/03/11 09:19)
論説:【次代担う人材育成】「福島生まれ」を誇りに(3月11日)


 東日本大震災から丸4年となる。東京電力福島第一原発事故による除染廃棄物の中間貯蔵施設搬入が決まり、常磐自動車道も全線開通し、ようやく復興への動きが見え始めた。一方で依然11万人以上の県民が避難を余儀なくされ、廃炉作業の鍵を握る汚染水対策はトラブルが相次ぐ。県内には光と影が混在しており、少しでも光を増やす取り組みが求められる。
 光の最たるものは、強い意志と決意を持った子どもたちの存在だ。子どもたちの夢、希望をかなえることが復興につながると肝に銘じたい。
 教育復興に向けて、県立中高一貫校のふたば未来学園高が来月、広野町に開校する。大学進学を目指す「アカデミック」、スポーツ選手を育成する「トップアスリート」、幅広い職業人を育てる「スペシャリスト」の3系列を設置する。充実した教育内容に期待する。受験者が定員を大きく上回ったことが、何よりうれしい。急きょ定員を志望者数と同数に引き上げた県教委の英断に拍手を送る。
 南相馬市の小高工高と小高商高が平成29年4月をめどに統合するのも明るいニュースだ。新設校には再生可能エネルギーやロボット産業などの先端技術を学ぶ産業革新科を設ける。福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を推進する力になるのは間違いない。
 厳しい状況の中、浜通り地方で学ぶ子どもたちのために、しっかりとした教育をすることが重要になる。学校任せにせず、行政や企業、地域が連携して応援したい。
 弊社が震災翌年の平成24年から実施している「ふくしま復興大使」派遣事業に参加した子どもたちは実に頼もしい。派遣事業から戻った高校生らは「将来は先生になる。福島に戻って、学ぶことの大切さを伝える」「リハビリの専門学校に進んで、避難生活を送る人の役に立つ」などの決意を語り、実際にその道を歩んでいる。県教委は新年度、小中高生が県内外で社会活動に参加する際の費用を一部補助する。子どもたちの復興に懸ける思いを後押しする。時宜を得た取り組みだ。
 内堀雅雄知事は弊社の発災4年に関するインタビューで「子どもたちが福島に生まれ、育って良かったと思えるようにしたい」と力を込めた。将来「どこの生まれ」と聞かれたとき、「福島県の生まれです」と誇りを持って堂々と言えるようにするのが、今を生きる大人の責任だ。そのためにも、それぞれの立場で少しでも前進を続けることを心に誓う。(芳見 弘一)



福島民報(2015/03/10 08:07)
論説:原発賠償】東電は柔軟な対応を(3月10日)


 東京電力福島第一原発事故による賠償が大きな転換点を迎えている。避難区域内に勤務していた人の減収分を補う就労不能損害賠償は2月末で原則打ち切りとなった。事業の損失分を補う営業損害賠償は来年2月で打ち切る東電の素案に商工業者から猛反発が起きている。被災者が置かれている現状を考えると、打ち切り時期を示すのは時期尚早と言わざるを得ない。
 本県の有効求人倍率は全国平均を大きく上回り、高い水準を保っている。就労不能損害賠償は延長の議論なく終了した。ただ、内容を吟味すると、働きたい職種と求人側の職種のミスマッチが多い。古里を離れ、働きたくとも働き場のない避難者もいる。仲介する現場での相談やカウンセリングの充実が必要だ。
 避難区域内の病院は、在籍していた職員を解雇する「苦渋の選択」を迫られた。就労不能損害賠償の支払い終了により、職員の今後の職業選択に影響が出ると考慮した末の決断だった。避難区域の医療の継続に打撃を与えた。「打ち切りではなく、実態に合った制度に転換すべき」との声は強い。
 来年2月で打ち切りの素案が示された営業損害賠償は商工業者の猛反発を受け、東電が素案を見直し、期間延長を検討している。震災から丸4年となり、避難先で業務を再開できない企業の事情はそれぞれ異なる。避難者の再起への思い入れは濃淡が鮮明になってきている。東電には個々の状況や事情を十分に把握した上で、賠償に向き合う柔軟な対応を求めたい。
 原発事故に関する損害賠償は文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)の中間指針が判断の基準となっている。中間指針は「迅速、公平かつ適正な賠償」を東電に求めているが、現在の賠償の交渉状況を見ると、中間指針が指摘する体制ができているとは言い難い。被災地に明るい兆しが生まれ始めた時期だからこそ、さらに手厚い体制の構築を望みたい。
 将来に向けては、営業損害賠償を請求しなくても済む、前向きな制度の設計も重要になってくる。例えば、多くの中小企業の事業再開に役立っているグループ補助金をもっと活用できないだろうか。帰還先で業務を再開する際にも新たな補助金を受けられる仕組みがあれば、企業の負担が軽減され、古里の復興にも大きく寄与するだろう。
 本当の復興につなげるため、国、県は被災者が賠償に頼らずに前向きに進むことができる新たな政策を打ち出してほしい。(安斎 康史)



福島民報(2015/03/09 09:04)
論説:【中間貯蔵13日搬入】本格輸送の心構えで(3月9日)


 東京電力福島第一原発事故に伴う県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設への搬入が、13日に始まる。環境省は最初の1年間を試験輸送と位置付ける。本格輸送に向けて課題を洗い出し、十分な安全対策を講じてほしい。
 ただ、試験輸送とはいっても、失敗が許されないのは当然だ。住民にとって、除染廃棄物を積んだ車が身近な場を行き交う状況は本格輸送と変わりない。計画に携わる全ての機関、関係者が気を引き締め、細心の注意を払って作業に当たるよう求めたい。
 試験輸送では、まず双葉郡に田村市を加えた9市町村の積込場からそれぞれ約1000立方メートルの除染廃棄物を運ぶ。続いて放射性物質汚染対処特措法に基づき除染計画を策定している34市町村から、各約1000立方メートルを運び込む。試験輸送は来年春ごろまでに完了の見通しだ。本格輸送に備えて多面的な検証・確認作業が実施される。
 同省は総合管理システムによる輸送車両の一元的な運行管理、警察・消防など関係機関と連携しての事故対応、一般交通や沿線の生活環境への影響把握と対策実施のための調査、などを打ち出している。それでも、沿線住民からは事故による放射性物質の落下・飛散、渋滞の発生、10トンダンプトラック通行に伴う振動や騒音などを心配する声が上がる。国の対策が十分に機能するよう万全の態勢を構築し、安全確保を徹底しなければならない。
 県民の理解を得て進めていく取り組みも欠かせない。国はいったん3月11日までの搬入開始を目標に掲げ、地元から「日程ありきで説明不足」と批判されて見直した経緯がある。再び国の都合や論理を前面に出して事業を動かそうとすれば、一層厳しい反発を受けるのは必至だ。計画全体が暗礁に乗り上げかねない。あらゆる情報を公開するとともに、分かりやすい説明を重ねていくべきだ。
 中間貯蔵施設の地権者には、より丁寧に向き合う必要がある。施設は廃棄物を一時的に置く保管場の整備に着手したばかりで、予定地の大半で地権者との用地交渉が進んでいない。国には苦渋の決断で施設の建設、搬入を受け入れた大熊、双葉両町民の痛みを胸に刻み、地元に寄り添った対応を心掛けるよう望む。
 搬入が開始される13日は「30年以内の県外での最終処分完了」の起算日ともなる。中間貯蔵施設の建設と搬入、県外最終処分場の候補地選定は一体だ。国は早急に最終処分に向けた工程表を示す責任がある。(佐藤 研一)



福島民報(2015/03/07 08:42)
論説:【避難者ケア】1人1人きめ細かく(3月7日)


 仮設住宅の入居は災害救助法で原則2年以内と定められている。だが、県内では東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から4年たっても、1万2000戸以上で避難者が暮らす。自宅を再建したり、アパートを見つけたりして退去する人たちがいる。一方で、災害公営住宅の整備の遅れから、仮設にとどまらざるを得ない人も少なくない。避難生活が長期化する中、さまざまなケースにきめ細かく対応する態勢づくりが必要だ。
 現在、仮設住宅での生活を余儀なくされている人の多くは高齢者だ。若い世代が退去するたびに「取り残されるのでは」との不安にかられるという。励まし合ってきた仮設の空気に変化が生じている。借り上げ住宅の高齢者らも見知らぬ土地で孤立感を深めている。人と会ったり、外出したりする機会が減り、悩みや不安を抱えたまま、誰にも相談できない人もいる。
 全町避難を続ける浪江町は昨年暮れ、町民の健診データなどを基に「健康白書」をまとめた。慢性疾患の悪化や高齢者の認知症の発症・進行が見られ、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病も増える傾向にあるという。白書は長期の避難生活によるストレスや精神不安定だけでなく、慣れない避難地で医療機関を受診する機会を失ったことによる疾病の早期発見の遅れも一因だと推察している。
 県は新年度、仮設住宅や借り上げ住宅で見守り活動をする生活支援相談員を現在の約200人から400人に増やす。市町村と連携し、できるだけ多くの避難者を訪ねてほしい。直接話を聞かなければ、潜在化した問題は見えてこない。医師ら専門家の協力を得て、避難者の心身の変化にいち早く気付き、医療機関につなげる仕組みが求められる。
 災害公営住宅の整備も喫緊の課題だ。県が平成28年度末までに整備完了の予定だった4890戸のうち、1000戸超の完成が29年度にずれ込む見通しになった。災害公営住宅は仮設住宅の厳しい住環境を改善するだけではなく、避難者の心にも大きな影響を及ぼす。
 本紙「みんなのひろば」欄に、郡山市の仮設住宅で避難生活を送る富岡町の90歳男性の投稿が載った。「人は小さくても前に灯がないと生きられない生物なようです」と記し、前向きに暮らす日々をつづっていた。計画の遅れは、この小さな灯さえ消してしまいかねない。示した復興の青写真を確実に実現しなければ、5年目に入る避難者の希望をつなぎとめることはできなくなる。(鎌田 喜之)

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