2015-03-15(Sun)

3・11東日本大震災 4年 (6) 復興 生活支援

「自立」を求める段階か 生活の安定へ寄り添いを 復旧復興の検証 国会で総ざらいすべきだ

<各紙社説・論説>
山陰中央新報)東日本大震災4年/これからが正念場だ(03/10)
中国新聞)大震災から4年 「自立」を求める段階か (2015/3/10)
山陽新聞)震災避難者 生活の安定へ寄り添いを(03/12)
山陽新聞)震災被災地 加速させたい暮らし再建(03/11)
愛媛新聞)東日本大震災4年 暮らしの質を高め心の復興を (3/11)
徳島新聞)大震災4年(上) 復興を実感できる支援に (3/10)
高知新聞)【大震災4年(上)】これからが復興の正念場 (3/10)
西日本新聞)復旧復興の検証 国会で総ざらいすべきだ (3/11)
西日本新聞)被災地の今 きめ細かな支援の拡充を (3/09)
熊本日日新聞)大震災4年 暮らしの復興を急ぎたい (03/11)
宮崎日日新聞)東日本大震災4年 住環境変化に細かく対応を (3/11)
南日本新聞)[復興予算] なぜ急いで決めるのか (3/13)
南日本新聞)[大震災から4年] これからが暮らし再建への正念場だ (3/11) 
琉球新聞)東日本大震災4年 復興を加速すべきだ 原発回帰は「教訓」に反する (3/11)
沖縄タイムス) [被災地 再生への苦悩]「復興格差」への対応を (3/12)




以下引用



山陰中央新報  ('15/03/10)
論説 : 東日本大震災4年/これからが正念場だ


 未曽有の大災害となった東日本大震災の発生から11日で4年になる。この1年、被災地は大きく変わった。
 仮設住宅の住民が、集団移転先や復興住宅(災害公営住宅)に移る動きが本格化してきた。津波浸水区域のかさ上げや、移転先の造成は急ピッチで進む。福島県では東京電力福島第1原発事故に伴う避難規制の解除が相次ぎ、常磐自動車道の全線開通などインフラも整いつつある。
 政府の「集中復興期間」は2015年度で終わる。しかし、正念場はこれからだ。
 気掛かりなのが、被災者の住環境の変化だ。宮城県亘理町に最近完成した5階建て復興住宅は、入居者で埋まりつつあるのに、1階にある全戸の郵便受けや各戸の表札は真っ白。氏名どころか、入居しているのかも分からない。
 都市部ならともかく、震災前は持ち家率が高く、濃密な人間関係があった地域。隣が誰か分からない集合住宅に戸惑いがあるようだ。
 過去の震災でも「コミュニティーは3回壊れる」といわれた。避難所、仮設住宅、復興住宅へと移るたびに抽選などでばらばらになる。住民や支援者が苦労して築いた人間関係や見守り活動は振り出しに戻ってしまう。
 阪神大震災では、ようやく入れた「ついのすみか」の復興住宅で、孤独死が相次いだ。プライバシーは確保されるようになっても、支援が減って部屋にこもりがちになる高齢者をどう支えていくのか。
 亘理町の復興住宅は、立派な集会所や、腰掛けて世間話ができる踊り場もある。工夫が見られるが、住民が使いこなせるかはこれからだ。
 宮城県石巻市には支援者が訪ねづらいオートロックの中層復興住宅がある。同県気仙沼市には周辺住民が「でかい」と驚嘆する10階建て復興住宅が建った。
 こうした復興住宅では、各戸の見回りやリーダー探し、自治会活動が仮設よりも難しいだろう。仮設住宅と違って家賃がかかり、生活困窮者の増加も懸念されている。
 一方で、仮設住宅から出る見通しが立たない人がいる。資力に余裕がある世帯が自力再建で仮設を出た結果、経済的に厳しい高齢者が残る。この人たちの選択肢は復興住宅に限られるが、被害が大きい地域は入居できるまで時間がかかる。
 さらに長期使用で仮設住宅は劣化も激しい。復興住宅と仮設住宅双方に目配りしないといけない厳しい局面を迎えている。
 石巻市最大の仮設住宅で診療をする医師は「入居者の健康状態が悪化している。以前は高齢者を支えていた地域の力も弱くなった」と指摘。「医療や福祉などの関係者が自分の分野にとどまらず、広く連携する体制が必要」と強調する。
 東日本大震災の特徴の一つは、元の自治体や地域を離れざるを得なかった人々の多さである。こうした人への配慮や、元の住民同士の交流も深めたい時期になってきた。
 家庭や仕事の事情で離れても、古里への思いを抱えている。分断された地域をつなぎ直す場が増えるよう願う。
 被災地は今、さまざまな生活再建の段階が混在する。その数だけニーズは多様にある。きめ細かな支援を息長く続けることが必要だ。



中国新聞 2015/3/10
社説:大震災から4年 「自立」を求める段階か


 東日本大震災からあす4年を迎える。大津波や原発事故に見舞われた人たちの悲しみやつらさをあらためて思う。
 津波の被災地ではかさ上げのつち音が響き、遅れていた高台移転も前に進みつつある。高速道路の開通や鉄路復旧に向けた明るいニュースも聞かれる。
 時間がかかったとはいえ、それなりに復興への道を歩んでいるように映る。とはいえ厳しい暮らしを強いられてきた被災者の視点からはどうだろう。
 2015年度までに26兆円余りの復興予算が国費で投じられるが、地域のにぎわいは戻りつつあるだろうか。被災地からの人口流出は加速するばかりだ。
 将来の津波に備えた住宅地を整備し、商店街などを再生したとしても肝心の人が減っていくなら効果は薄らぐ。復旧しつつある鉄道にしても被災前から慢性的な赤字だった経緯がある。単にインフラを元に戻すだけで解決するわけではない。
 そうした現実も直視しなければなるまい。大切なのは被災者一人一人のニーズに、これまで以上に寄り添うことだ。
 何より住宅再建がいまだ道半ばなのは見過ごせない。仮設住宅で暮らす被災者は8万人を超え、孤独死も増えている。
 次のステップとなる災害公営住宅の整備は確かに進む。完成を喜ぶ人もいる一方、住み慣れた地域を離れることに戸惑う人もいよう。長きにわたり生活するとなれば被災前に比べ、人間関係が希薄になることで負担がかかることも予想される。
 なりわいに関してもそうだ。三陸の主産業の水産加工業でみても若い力で前向きに踏ん張る動きが伝えられる半面、いったん失った販路を取り戻すのが難しい業者もあるようだ。
 つまり地域や個人の間で復興の差がじわり広がっている。
 まして福島の場合は12万人が避難を続ける。国として帰還を促す動きもあるが戻りたくても戻れない、あるいは戻らない決意をした被災者も少なくない。厳しい現状を政府としてどこまで深刻に受け止めているか。
 15年度まで、とされてきた「集中復興期間」の後をどうするかの議論が象徴的だろう。
 被災地の側からは延長を求める声が強い。これに対して期間は延長せず、東京五輪のある20年度までを「後期復興」と位置づけて6兆円前後を追加投入する財政計画の素案が明らかになった。財政難が背景にあるのは間違いあるまい。だが規模からして妥当といえるだろうか。
 しかも被災自治体の「自立」をうたって復興事業の地元負担を検討することを竹下亘復興相が示唆し、被災地を戸惑わせている。安倍晋三首相が「東北の復興なくして日本の再生なし」と繰り返してきたこととの落差を感じざるを得ない。
 復興予算は国民全体の増税などで確保してきた。これまでは不要不急に思える事業も紛れ込んでおり、今後の事業を精査するのは当然であろう。だが首相は放射能に古里を追われた人たちにまで「自立せよ」と迫るつもりなのだろうか。
 南海トラフ巨大地震や首都直下地震など次の大災害はいつ起こってもおかしくない。東北の復興は災害の時代に生きる私たちにとっても大きな意味があるはずだ。これからも国全体で支え続ける姿勢が欠かせない。



山陽新聞 (2015年03月12日 08時18分 更新)
社説:震災避難者 生活の安定へ寄り添いを


東日本大震災に伴う岡山県内への避難者数は、被災地から遠い西日本では特異な多さといえる。復興庁が把握している人数は、発生から4年を経ても1120人に上り、近畿以西の府県で最多だ。
 全国的には避難者は徐々に地元に帰り、避難者総数は2012年6月をピークに減少していった中で、岡山は増え続けた。昨年8月の1137人をピークに減少に転じたものの微減でとどまっている。行政が把握していない自主避難者もおり、実際の数はもっと多いとみられている。
 岡山の人気は、災害の少なさ、気候や交通の便のよさなどの地理的条件に加え、震災後の早い段階で避難者受け入れの市民団体が立ち上がり、きめ細かな対応をしてきたことも要因だろう。
 県内の10の市民団体が昨年6月に発足させた相談組織「うけいれネットワーク ほっと岡山」へは、福島県や関東などから岡山への移住相談が相次いでいるという。岡山市移住・定住支援室への相談も月に40件余りあり、前年度の1・5倍の増だ。移住ニーズは依然高いといえよう。
 問題は、避難者らの生活が必ずしも改善されていないことだ。原発事故に伴う放射線の子どもへの健康被害を懸念し、父親が仕事のある東日本に残って母子のみが岡山へ来るケースは多い。岡山理科大の研究グループによる90世帯へのアンケートからは、母子世帯を中心に、困難に直面している状況が浮かび上がる。
 家族で移住した世帯は、正規雇用が多く比較的生活が安定しているのに対し、母子・父子世帯は非正規雇用や無職が多く、生活設計などへの不安が強い。生活の満足度は、家族世帯が前年度よりやや上がった一方で、母子・父子世帯は下がっている。避難生活が長いほど不安が強い傾向もみられた。
 困り事のトップは「緊急時の託児」だ。不慣れな土地で、周囲に相談できる人が少ない状況がうかがえる。一方で、避難者仲間や地域とのつながりができたケースでは、定住に結びついていく傾向がみられる。育児・託児などの支援や、地域との交流促進による孤独感や疎外感の緩和などが、生活を改善する一つの鍵となろう。
 実際の取り組みも出てきている。瀬戸内市を拠点とする交流グループ「つむぐる」は、避難者と地域をつなぐ狙いで発足した。100人超の会員の約半数は地域住民という。料理教室やヨガ教室などで互いに学び合い、親交を深めている。
 先のアンケートでは、避難世帯の8割以上で各種資格や多様な技能を持った人がいることが分かった。調査した岡山理科大の緒方清隆非常勤講師は「能力を地域に生かしてもらうことで互いにメリットがある」と指摘している。
 避難者が地域の生活者として安定して暮らせるよう、寄り添っていきたい。



山陽新聞 (2015年03月11日 08時02分 更新)
社説:震災被災地 加速させたい暮らし再建


 東日本大震災から4年を迎えた。今も約22万9千人が避難生活を送っているが、住宅再建をはじめとする復興事業は、人手不足などのあおりを受けて遅れている。空室が増えた仮設住宅では、互いに支え合ってきた被災者のつながりが細りつつあるといった新たな課題も浮上している。
 家を再建しようにも宅地のかさ上げが終わらない。仮設住宅を出たいが、災害公営住宅完成の見通しが立たない。被災地ではそんな声が上がっている。住まいの再建は急務だ。現在、プレハブ仮設では岩手、宮城、福島3県の約8万人が暮らす。長引く仮設住まいで、心身の不調を訴えたり、生活再建への意欲を失う被災者もいる。
 自力再建が難しい人が入居する災害公営住宅は、3県が計画する約2万9千戸の半数で着工され、完成したのは5764戸。住宅の集団移転用地は3県で計341区画の計画に対し、完成は約3割にとどまる。作業員不足や資材高騰のために応札する業者がなく、入札が不調に終わった工事は昨年、3県平均で20%を超えた。復興の大きな足かせといえよう。
 プレハブ仮設に住む人はピーク時の7割に減った。仮住まいから抜け出した人が増えたのは朗報だが、一方では空室が増えて長屋的な住民同士のつながりは弱まっている。昨年は仮設住宅に住む44人が孤独死した。年々増え、これまでで最多となった。
 今後、被災者が移り住む災害公営住宅では、住環境は向上する半面、コミュニティー機能は低下しかねない。既に入居した人をみても、4割弱は65歳以上だ。
 高齢の被災者を孤立させないよう、仮設住宅に配置している生活支援相談員の見守り活動を拡充したり、災害公営住宅で自治会活動を活発にするなど対応が求められる。
 産業では、被災した沿岸部の水産業の再生が欠かせない。損壊した3県内の漁港は9割が復旧したが、担い手が賃金の高い建設業に流れ、人材確保に苦慮する水産加工業者もある。ここでも人手不足が影を落としている。
 気になるのは放射線の健康への影響である。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では、事故から4~5年たってから子どもの甲状腺がんが急増した。
 福島県の全ての子どもを対象にした県の2巡目の甲状腺検査で先月、1人が甲状腺がんと診断され、7人ががんの疑いありと判明した。1巡目の検査では確定86人、疑い23人だった。県の検討委員会は「放射線の影響は考えにくい」と繰り返してきた。
 甲状腺がんは進行が遅く、症状が出ないまま寿命を迎える例も多いとされ、検査による心身の負担などむしろ不利益が大きいと指摘する専門家もいる。不安にかられている保護者や子どもの立場に立って、分かりやすく丁寧に情報を提供してもらいたい。



愛媛新聞 2015年03月11日(水)
社説:東日本大震災4年 暮らしの質を高め心の復興を


 東日本大震災から4年。国が決めた集中復興期間は1年を残すのみとなった。
 先日全通した常磐自動車道をはじめ、道路や鉄道、漁港など社会基盤の復旧が進む一方、住宅再建や地場産業の回復などはまだ不十分だ。被災者が肌で感じられる復興は道半ばと言わざるを得ない。
 今なお23万人近くが避難生活を余儀なくされ、当たり前の日常を取り戻せていない現実は重い。暮らしの質が向上してこそ、心の復興につながる。政府はもちろん、すべての国民の共通認識としたい。
 政府は被災地の要望が強い集中復興期間の延長はせず、2016年度から5年間を後期復興期間と位置付け、6兆円前後を追加投入する方針を固めた。国の財政事情の厳しさから、被災自治体に負担を求めない特例を見直す可能性もあるという。
 検討中の計画案は、自立を促すという表現で事業を絞り込む姿勢をにじませる。一方的に15年度までで復興を一区切りとする考えなら、容認できない。財政難のしわ寄せが暮らしに及び、高齢者や子どもたちなど、本当に必要とする人に支援が届かないことがあってはならないのだ。
 公共インフラの復旧・復興進捗(しんちょく)率が10%台と最も遅れていた災害公営住宅は、用地確保がほぼ完了した。30%台の高台移転も、着工率は90%を超す。数字の上では軌道に乗ったかに見える。
 しかしながら、賃金の高い公共事業に労働力が流れ、主力産業の水産業は人手不足にあえぐ。復興事業が企業再建の足かせになる本末転倒な事態だ。政府は「目に見える復興」に満足せず、地域ごとの事情をくみ取り対策を講じる責務を肝に銘じてほしい。
 孤立化を防ぐ長期的な取り組みの重要性も高まる。プレハブの仮設住宅に暮らす被災者は岩手、宮城、福島の3県で8万人を超す。警察の集計で「孤独死」は昨年44人に上り、1月末までの累計は146人になった。しかも行政が賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」は含まれていないため、実態がさらに深刻なのは想像に難くない。
 地域コミュニティーがばらばらになった阪神大震災の教訓から、東北の仮設住宅では集落ごとに入居するなどの配慮もなされた。それでも孤独死は年々増える。災害公営住宅は自力再建が難しい被災者が入居するという性格上、高齢化率が一段と高くなるのは必至だ。行政と地域が情報を共有し、見守りとコミュニティー維持に知恵を絞りたい。
 われわれも、関心が薄れてはいないか自らに問いかけてみなければなるまい。避難、移住してきた人は愛媛にもいる。その人たちの声に耳を傾け、被災地に気持ちを向けることは決して難しくはない。



徳島新聞 2015年3月10日付
社説:大震災4年(上) 復興を実感できる支援に


 死者・行方不明者が1万8千人を超えた東日本大震災から、あすで4年を迎える。
  あの日、大津波に襲われた東北の沿岸各地では、連日のように工事を急ぐ重機がうなりを上げている。
  だが、津波や原発事故の影響で、今も23万人近くの人が不自由な避難生活を強いられており、復興と呼ぶには程遠いのが実情である。
  被災者がかつての暮らしを取り戻せるように、復興を急がなければならない。
  生活の拠点となる住宅の再建が、用地取得の難航や建設に携わる人手不足の影響からはかどっていない。
  プレハブの仮設住宅に暮らす被災者は、ピーク時に比べて3割減少したものの、今でも岩手、宮城、福島の被災3県に計8万2千人近くいる。
  阪神大震災では、約5年間で4万8300戸の仮設住宅全てが撤去された。
  3県に約5万3千戸が整備されたが、岩手、宮城両県で来年度末までに解体予定は約10%にとどまる。福島県の状況も大きく変わらない。
  仮設住宅は長期間の使用でカビや雨漏りなどによる傷みも目立ってきた。高台の土地造成や災害公営住宅の整備を加速させたい。
  沿岸部で住宅再建の見通しが立たず、避難先に定住する被災者も数多い。住宅整備の遅れは、沿岸部から人口が流出する一因にもなっている。 
 宮城県女川町の人口は、震災直前の2011年3月から31・5%減り6805人になった。減少した3127人のうち、転入から転出を差し引いた社会減は2043人に上る。同県山元町、南三陸町や岩手県大槌町の減少率も20%を超えている。
  人口減少は全国共通の課題であるが、20~30%もの減少は復興計画にも暗い影が差す深刻な問題だ。
  震災後いったんは下がった生活保護受給者の割合が、上昇に転じる自治体が相次いでいるのが気に掛かる。
  上昇しているのは宮城県東松島市、岩手県大槌町、福島県南相馬市など10自治体。義援金など一時的な収入で生活保護から脱したが、職を得られず再び受給する人が多いとみられる。
  被災地は復興需要で有効求人倍率は堅調だが、求人は建設業に偏っている。非正規雇用者の増加率も全国平均を大きく上回っており、必ずしも雇用環境の底上げにつながっていない。
  水産加工業など地場産業が大きな打撃を受けた。生活再建には安定した雇用は欠かせない。産業振興や雇用の拡大への手厚い支援が求められている。
  国は来年度末までを特例的に支援する集中復興期間とし、5年間で26兆3千億円を投じる。被災地が広く、高台移転や防潮堤建設といった津波対策が大きい影響で、阪神大震災の3倍近い額である。
  復興予算の内訳は、インフラ中心の「まちの復旧と復興」が約10兆円で全体の約40%を占める。一方、被災者支援は2兆円と、インフラ整備の20%にとどまっている。
  地元では「インフラ整備に偏っている」との指摘も出ている。
  被災者が復興を実感できる支援と言えるのだろうか。
  集中復興期間終了を1年後に控えて、生活支援を重視した形に見直すことも検討するべきだろう。



高知新聞 2015年03月10日08時08分
社説:【大震災4年(上)】これからが復興の正念場


 未曽有の津波被害などをもたらした東日本大震災から、あすで4年。
 岩手、宮城、福島の被災3県では鉄道や道路、漁港などのインフラ復旧が徐々に進み、生活や地域の再建に取り組む被災者も増えている。
 しかし被災地は広く、依然として23万人近くが避難を強いられている。福島第1原発事故の影響が残る福島の避難者がそのうち約半数を占め、先が見えない不安を抱えた人は多い。
 2015年度は政府による5年間の集中復興期間の最終年度だ。予算はこれまでにインフラ整備を中心に26兆円に達している。一方で、災害公営住宅の建設や除染など暮らしに近い部分の復興・復旧はなかなか進まない。
 政府は16年度からの5年間を「後期復興期間」(仮称)として、6兆円前後を追加投入する計画だが、3県が試算した必要額はそれを上回っている。
 さらに政府は、原発事故の被災地以外は震災から10年以内の事業完了を掲げ、自治体に「自立」を促していく考えだ。
 早期復興は国民の共通した思いだ。目標を立て、地域に自立を促していくのも間違いではないだろう。
 だが震災後、沿岸部では人口流出や高齢化が加速している。基幹産業だった水産、食品加工業は人手不足もあって落ち込んだままだ。復興事業の集中で、計画通りに工事が進まない入札不調など深刻な問題も抱えている。
 このような復興途上の状況で、政府がことさら自立を強調すれば被災者は支援が止まってしまうような不安を感じるだろう。今後の復興費について被災県と政府の試算は違っており、地元の意見や構想を丁寧に聞いて財政計画を練る必要がある。
 政府に望みたいのは、この4年で被災者や自治体が願った復興が着実に進んだかどうか、詳しい検証だ。
 防潮堤建設などハード整備に巨費を割いた半面、生活や雇用を支援する取り組みが十分でないとの声は根強い。縦割り行政排除を唱えて、3県に多くの職員を置く復興庁の仕事ぶりも再チェックすべきだろう。
心のケアに力を
 復興事業の中で急を要するのが住環境の整備だ。ピーク時より約3割減ったとはいえ、約8万人がプレハブの仮設住宅で暮らしている。
 高台の用地確保に時間がかかり災害公営住宅の建設が遅れているためで、「夏暑く、冬寒い」住居では被災者の健康が心配だ。仮設、公営住宅ともに高齢者の独り暮らし世帯が目立ち、ますます増えていくと予想される。
 お年寄りを孤立させない見守り態勢を整えつつ、可能な限り早く公営住宅を建設する必要がある。
 被災地では、震災後にいったん下がった生活保護受給者の割合が徐々に増えている。復興需要で求人はあるものの、建設業など業種が偏り、被災者の希望と必ずしも一致していない。非正規雇用の割合も全国に比べて高く、雇用環境の改善は待ったなしだ。
 さらに力を入れてほしいのが心のケアだ。阪神大震災では、3年後から心の不調を訴える人が増え始めた。自殺など最悪の事態を防ぐためにも、専門医らからアドバイスを受けられる仕組みをもっと充実させてほしい。
 復興はこれからが正念場だ。高知にいてもいろいろな活動や商品購入などで東北を支えることはできる。個々の力は小さくても支援を続ければ、被災地を忘れず、風化を防ぐことになる。



=2015/03/11付 西日本新聞朝刊=
社説:復旧復興の検証 国会で総ざらいすべきだ


 ■大震災から4年■ 
 東日本大震災の被災地の関心は今、2016年度以降に向いている。11年7月に政府が示した復興の基本方針では復興期間を10年間と見通した上で、前半の5年間を「集中復興期間」として一刻も早い復旧・復興を進めるとした。
 では、集中期間後はどうなるか。安倍晋三首相は新たな枠組みを夏までに決めて、今後も必要な支援や事業は行うと強調した。だが、国の厳しい財政事情から16~20年度の事業は縮小されるのではないかと被災地は懸念している。
 復興期間の折り返し点に差し掛かり、これまでの取り組みを総ざらいすることには意味がある。
 必要な施策が抜けていなかったか。支援の時期や方法が適切だったか。丁寧に検証していきたい。
 今後の災害に備える教訓にもなる。検証は政府任せにせず、国会が積極的に役割を担うべきだ。
 ▼国民に見える場で議論を
 「『後期復興』5年で6兆円」。本紙8日付朝刊にこんな見出しの記事が載った。16年度から5年間を「後期復興期間(仮称)」とし、6兆円を追加投入する。ただ、再増税はせず、自治体の一部負担も検討する。政府の新たな財政計画の素案が明らかに-とある。
 6兆円の中身はどんなものか。まず岩手、宮城、福島3県と市町村での災害公営住宅の整備と土地のかさ上げなどに約5兆円が必要だと想定する。残る約1兆円は復興債の利払いに充てるという。
 これに地元から不安や反発の声が上がるのは当然だろう。
 政府は当初、岩手、宮城、福島3県を中心とした被災地の被害額を約16兆9千億円と推計し、集中復興期間に実施する事業規模を少なくとも19兆円程度と見込んだ。
 政権交代後の13年1月、事業とその財源の規模は見直され、25兆円程度と大幅に上積みされた。さらに住宅再建・復興まちづくりの加速化策なども講じられてきた。
 巨額の復興予算が投じられた。だが、被災地からは生活の再建や地域の再生はまだ道半ばで復興の実感は乏しいとの声が上がる。
 国の都合ではなく、被災地・被災者の視点から必要な事業や予算の確保を-との声も理解できる。
 これまでやってきたことを振り返り、被災地の現状を見つめ、今後やるべきことを考える。国民の目に見える場で議論されれば、国民の理解も深まるのではないか。
 昨年11月の衆院東日本大震災復興特別委員会でも話が出た。復旧・復興を進める中で復興と直接関係ない事業への予算の流用、工事の入札不調、人材・資材の不足、用地取得と地籍問題など、さまざまな問題が起きた。これまでの事業を検証した上で今後5年間の復興を進めるべきだとの指摘だ。検証はぜひやるべきである。
 会計検査院が2日、大震災の復旧・復興事業に関する検査結果を発表した。事業が当初の予定通りに進まなかったり、需要に関する見通しが過大だったりして、補助金などが十分に活用されていない実態を浮き彫りにした。
 検査結果の報告書で目を引いたのは別表の資料編である。13年度までの復旧・復興事業の実施状況などが盛り込まれている。例えば11年度の補助事業などは農林水産業が42事業で、それぞれの執行率や不用額はいくらなどとある。
 ▼詰めるには時間の制約が
 東日本大震災復旧・復興事業一覧(経費項目別)となると、ほぼ100ページにわたって細かい字による説明と数字が並び、眺めているだけでも頭が痛くなりそうだ。
 ただ、検査院の資料は議論や検証作業の出発点になる。一つ一つの事業をまな板の上に置いて吟味してみる。必要性が乏しい事業は論外として、使い勝手の悪い事業や効果の低い事業をえり分け、もっと良いものに変える。仕分け作業がきちんとできれば理想的だ。
 国会で細かく詰められるだろうか。衆院東日本大震災復興特別委のこれまでの開催状況などを見ると、とても手が回りそうにない。
 時間の制約もある。年末の政府予算案の編成に向けて通常は8月に各府省の要求が出そろう。その前に通常国会が会期末を迎える。
 急いで議論を始める必要があるが、国会の動きは鈍い。息の長い復興を続けるには国民の後押しが欠かせない。国民の理解を得るため国会がもっと汗をかくべきだ。



=2015/03/09付 西日本新聞朝刊=
社説:被災地の今 きめ細かな支援の拡充を


 ■大震災から4年■ 
 古里に復興のつち音は響くものの、将来の具体的な生活に対する不安は拭えない。多くの被災者に共通する思いである。
 東日本大震災から11日で4年を迎える。道路や防潮堤などインフラ整備は徐々に進むが、今なお約22万9千人が不自由な避難生活を強いられている。
 老朽化が目立つプレハブの仮設住宅には、岩手、宮城、福島の3県で8万1千人を超す被災者が暮らす。ピーク時と比べると約3割減ったが、復興が進展したと手放しで評価できる状況ではない。
 高台移転や災害公営住宅の完成を待ちきれず、住み慣れた地元を離れた人もいる。仮設住宅から災害公営住宅へ移り住んでも、新たな環境になじめない人もいる。
 被災者の声を反映した柔軟なハード整備の加速化と、雇用や生活設計を含めたきめ細かな支援態勢を築く必要がある。
 ▼孤独死を防ぐには
 被災者が入居する災害公営住宅は3県で約2万9千戸が計画されているが、完成は2割弱にとどまる。かさ上げした高台に住宅などを移転する事業でも宅地造成が完了したのは約3割にすぎない。
 仮設住宅はカビの発生や雨漏りなどの傷みが目立ち、住民の多くは恒久的な住宅整備を求めている。住宅は被災者にとって生活再建の第一歩だ。最優先課題として取り組みたい。
 岩手県陸前高田市の7階建て災害公営住宅で今年1月、単身の高齢者が誰にもみとられずに死亡しているのが見つかった。
 被災者の孤独死は20年前の阪神大震災でも相次いだ課題である。当時は結果的に高齢者世帯を優先する入居となったのに加え、抽選で入居を決めたため、コミュニティーの崩壊が問題となった。
 東日本大震災の被災地ではこれを教訓とした。子育て世帯も住める部屋づくりや、大震災前の地域単位で入居できるような仕組みも整えたという。
 にもかかわらず、孤独死はなお深刻な問題である。災害公営住宅の増加に伴い、行政による見守りや住民同士の連携強化など、心のケアも含めて被災者を支える取り組みはますます重要となる。
 同市幹部は「地域と行政ができる部分を組み合わせ、対策の充実を図りたい」としている。
 行政や住民、NPOなどの連携で互いに支え合う地域をどうつくっていくか。4年の歳月を経ようとしている被災地の模索が続く。
 ▼「働く場」を求めて
 被害が大きかった沿岸部では、仙台市など一部市町を除いて人口が急速に減っている。宮城県女川町では震災前に約1万人だった人口が約7千人に落ち込んだ。
 古里に残りたくても働く場がない。若い世代は仕事を求めて都市部に移り住み、高齢者だけが残る-。そんな悪循環に歯止めをかけることが急務である。
 陸前高田市など2市1町の1月の有効求人倍率は1・82倍だった。被災地では復興に関連する建設業などの仕事は確かにある。ただ、土木や建築関連の資格が条件となっているケースが目立つ。逆に人気がある事務職などは求職者数が求人数を上回っている。
 隣接する大船渡市では昨年4月に新しい魚市場の供用が始まった。鮮度を保つため、海水をシャーベット状にする保冷設備もある。水揚げ高はすでに震災前の平均を上回った。水産業は地域の基幹産業である。水産加工会社など地域の特徴を生かした企業誘致と雇用拡大につなげたい。
 一方、福島県では原発事故が今も農林水産業に深刻な影響を与えている。安全に出荷する検査体制は整っているのに、風評被害で価格が低迷しているのだ。
 しかし、数々の困難を乗り越えながら、新たな取り組みも始まっている。例えば原発の廃炉や除染作業に役立つロボットの開発だ。
 災害現場や医療・福祉・農業など幅広い分野も想定しており、同県の内堀雅雄知事は「ロボット産業を軸にして地域の再生を図りたい」と意欲を語る。政府もさらに後押しをしてほしい。
 若い世代も高齢者も安心して古里で暮らしていくには、地域産業の再生と雇用の受け皿づくりが必要だ。復興に向けた被災地の新たな挑戦の成功に期待したい。



熊本日日新聞 2015年03月11日
社説:大震災4年 暮らしの復興を急ぎたい


 岩手、宮城、福島の3県で死者・行方不明者1万8404人を出した東日本大震災から4年。あの日、津波に襲われた町では道路や港、住宅の再建が徐々に進み、復興のつち音が響く。
 一方で、今も約22万9千人が県内外で避難生活を送り、プレハブ仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている人も8万人を超える。ばく大な予算を投じた集中復興期間はあと1年。追加予算の確保が課題となる中、被災者の暮らし再建への道のりはなお険しい。きめ細かな支援の充実が求められている。
■多様なニーズ混在
 「夜、眠れなくて。目を覚ましては、『まだ家がねぇ(ない)』と思う」。宮城県石巻市のプレハブ仮設に住む女性(82)はつぶやく。1年ほど前から室内にカビの臭いが漂い、冬でも窓を開けて換気しながらの生活が続く。入居期間が原則2年の仮設はもともと頑丈な作りではなく、傷みも目立つ。狭く、隣室の騒音など悩みも尽きない。
 時間の経過とともに仮設暮らしを抜け出す人が徐々に出てくる一方で、自立のめどが立たず、仮設以外に選択肢がない被災者は3県でなお8万372人に上る。過酷な環境に体調を崩す人も増えている。
 被災者用に建設された高層の災害公営住宅に移ったものの、隣が誰だか分からないような集合住宅に戸惑い、引きこもってしまう高齢者も多い。
 震災は、暮らしを根底から破壊した。復興途上の被災地には、さまざまなレベルの課題が混在している。多様なニーズにどう応え、生活再建へつなげていくかが課題となっている。
■町の活気戻らず
 国が被災地を特例的に支援する集中復興期間は、2015年度が最終年度となる。5年間の予算は26兆3千億円と、阪神大震災の復興予算9兆2千億円の3倍近くに上った。被災地の広さと高台移転や防潮堤建設など大規模な津波対策の影響だ。
 この間、基幹産業でもあった漁業復活に向け、漁港の9割は復旧。塩害に遭った農地も7割が回復した。鉄道も9割が復旧、総延長359キロの三陸沿岸道路(復興道路)の整備も進み、復興の加速化につながるとの期待も大きい。
 一方で、被災者を対象とした災害公営住宅の整備は遅れている。3県は計約2万9千戸を建設する予定だが、これまでに完成したのは5700戸にとどまる。高台に住宅などを移転する「防災集団移転促進事業」も341地区で計画されているが、造成が完了したのは3割にすぎない。用地取得の難航や資材の高騰、人手不足などが背景だが、長期化する仮設暮らしの原因ともなっている。
 復興に血を通わす地元経済の再生も途上だ。国は産業復興・雇用の確保に4兆1千億円を計上。施設復旧に取り組む企業や個人事業者のグループを支援する補助金も創設した。
 しかし、補助金を活用して設備を再建できても震災で他社に奪われた販売網は簡単には取り戻せない。かつての従業員は賃金の高い建設業に転職するなどして十分な人材を確保できず、売り上げが回復しない企業は多い。
 「町の活気は戻っていない。まだまだ復興の実感はない」というのが被災者の本音だろう。復興がハード面に傾斜し、地域経済やコミュニティー、生活への気配りに欠けた面も指摘できよう。
■帰還阻む放射線
 福島県では、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除が相次ぎ、避難者数は徐々に減っているものの、なお12万人近くが県内外の仮設住宅や借り上げ住宅で不自由な生活を送る。
 地域再生へ廃炉作業や災害に対応するロボット産業を育成し、新たな拠点化を目指す「イノベーション・コースト」構想も動きだしたが、第1原発構内では汚染水が流れ出すトラブルも頻発し、住民の帰還に影を落とす。
 復興庁は被災12市町村の将来像の検討で、国や県主導による自治体の広域連携も模索している。ただ、各自治体は放射線量によって避難指示の解除時期が異なるなど足並みがそろわない部分も残されている。どんな具体像を描いていくかが課題だろう。難問が山積する中、ふるさとをどう取り戻していくか。国は自治体や住民の声を丁寧に聞きながら、長期的な対応を心掛ける必要がある。
 暮らしを中心に据えた復興はどうあるべきか。未曽有の震災を風化させず、私たちの生活の中に防災をどう組み込んでいくか-。発生から4年を機に、そういった議論も深めていきたい。



宮崎日日新聞 2015年3月11日
社説:東日本大震災4年 住環境変化に細かく対応を


 東日本大震災の発生から4年。この1年、被災地は大きく変わった。仮設住宅の住民が、集団移転先や復興住宅(災害公営住宅)に移る動きが本格化してきた。
 津波浸水区域のかさ上げや移転先の造成は急ピッチで進む。福島県では東京電力福島第1原発事故に伴う避難規制の解除が相次ぎ、常磐自動車道の全線開通などインフラも整いつつある。政府の「集中復興期間」は2015年度で終わる。しかし、正念場はこれからである。特に被災者の住環境の変化が気掛かりだ。
■人間関係振り出しに■
 宮城県亘理町に最近完成した5階建て復興住宅。入居者で埋まりつつあるのに、郵便受けや表札はどこも真っ白だ。氏名どころか、入居しているのかも分からない。
 震災前は持ち家率が高く、濃密な人間関係があった地域である。隣が誰だか分からない集合住宅に戸惑いがあるようだ。
 避難所、仮設住宅、復興住宅へと移るたびにコミュニティーがばらばらになる。住民や支援者が苦労して築いた人間関係や見守り活動は振り出しに戻る。
 阪神大震災ではようやく入れた「ついのすみか」の復興住宅で、孤独死が相次いだ。プライバシーは確保されるようになっても、支援が減って部屋にこもりがちになる高齢者をどう支えるのか。
 亘理町の復興住宅は、集会所や、腰掛けて世間話ができる踊り場もある。工夫が見られるが、住民が使いこなせるかどうか。
 宮城県石巻市には支援者が訪ねづらいオートロックの中層復興住宅がある。同県気仙沼市には巨大な10階建て復興住宅が建った。こうした復興住宅では各戸の見回りやリーダー探し、自治会活動が仮設よりも難しいだろう。仮設住宅と違って家賃がかかり、生活困窮者の増加も懸念されている。
■幅広い連携体制必要■
 一方で、経済的に厳しく、仮設住宅から出る見通しが立たない人がいる。長期使用で仮設住宅は劣化が激しい。復興住宅と仮設住宅双方に目配りをしないといけない局面に突入している。
 石巻市最大の仮設住宅で診療をする長純一医師は「入居者の健康状態が悪化している。以前は高齢者を支えていた地域の力も弱くなった」と指摘。「医療や福祉などの関係者が自分の分野にとどまらず、広く連携する体制が必要」と強調する。
 東日本大震災の特徴の一つは、元の自治体や地域を離れざるを得なかった人々の多さである。みな古里への思いを抱えている。気仙沼市浦島地区では廃校になった小学校校舎の活用を考える振興会に、別の場所で再建した住民も加わる。分断された地域をつなぎ直す場が増えることを願う。
 被災地は現在、さまざまな生活再建の段階が混在する。その数だけニーズは多様にあるし、きめ細かな支援を息長く続けることが求められる。



南日本新聞 (2015/3/13付)
社説:[復興予算] なぜ急いで決めるのか


 なぜ急いで決めなくてはならないのだろう。被災者目線に沿った復興になるのか、ここらで総点検する必要がありはしないか。
 東日本大震災の集中復興期間が2015年度で終わる。その後5年間の復興予算について、政府は6月にも大枠を決める方針だ。
 政府は5年間で必要な復興予算を5兆円とはじき、利払いの1兆円を加えて総額約6兆円とする。震災直後の集中復興期間5年間とあわせると30兆円を超え、阪神大震災の3倍という巨費になる。
 それでもなお岩手、宮城、福島の被災3県が望む復興予算とは開きがある。政府がちらつかせる自治体負担の導入にも反発は強い。とても6月までにまとまるとは思えない。
 安倍晋三首相は「被災地の声に耳を傾けつつ丁寧に検討する」と述べた。その通りである。
 政府は予算額ありきで結論を急いではならない。被災自治体と丁寧に向き合うことで、不安解消に努めるべきだ。
 16年度以降の5年間の追加予算は、3県と市町村の災害公営住宅整備や土地のかさ上げなどに充てられる。復興加速に欠かせない事業であることは理解できる。
 ただ、これまでの復興予算でも4割はインフラ中心に使われた。産業復興・雇用の確保に計上した予算は、その半分に満たない。被災者が復興を実感できない一因になっていないか。
 震災から4年、被災地では沿岸部を中心に人口が10万人以上減った。高台に被災者向け分譲地を造りながら、申し込みゼロの例も起きている。
 復興事業そのものが岐路に立っている。住民ニーズをくんでいるのか、古里の未来に希望を持てる事業なのか。冷静に見直すべきだろう。
 安定財源の確保も焦点である。集中復興期間の予算総額26兆3000億円にしろ、所得税の25年間の増税や日本郵政株の売却など、やりくり算段で工面した。
 今後も家計や財政に余裕があるわけではないし、企業には法人税の臨時増税を1年前倒しで廃止、15年度から法人実効税率を下げる方針を決めている。
 しかし、復興予算は消化不良が目立ち、13年度で2兆6522億円を使い残している。被災地以外への「流用」もたびたび問題になった。財源をひねり出す余地はまだありそうだ。
 一度決めたら変えない。そんな硬直した予算執行を人口減少に合わせ、柔軟に見直す。これからの日本の課題でもあろう。しっかり精査してもらいたい。



南日本新聞 (2015/ 3/11付) 
社説:[大震災から4年] これからが暮らし再建への正念場だ


 東日本大震災の発生から4年の節目を迎えた。
 甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島3県の被災地では、仮設住宅から復興住宅(災害公営住宅)に移る動きが本格化しようとし、津波浸水区域のかさ上げや幹線道路の整備も進む。
 しかし、避難者は今なお約22万9000人に上る。住み慣れた古里を離れ、全国各地で不自由な生活を強いられている。仮設住宅の被災者はピーク時より約3割減ったとはいえ、それでも8万人を超す。
 政府の復興事業は2015年度が一つの区切りとなる。実質的に全額国費で進めた5年間の「集中復興期間」が終わるからだ。
 15年度までの予算は26兆3000億円に達する。インフラ整備などの復旧は進んでいるが、その一方で、暮らしの復興は遅々として進んでいないのが実態だ。
 被災者は将来に対する不安と日々向き合っている。先の見通せない苦悩は、時の経過とともに深まっていよう。
 政府、自治体は、被災者が安定した暮らしを取り戻せるような復興を加速させなければならない。
 ■雇用の場確保が急務
 被災者の生活再建をどう支えるか、これからが復興の正念場になる。
 復興住宅は2万9000戸を建設する予定だが、1月末現在、完成したのは2割に満たない。かさ上げした高台への住宅移転も、宅地造成を終えたのは3割にとどまる。
 地権者が分からず用地取得が難航し、建設に携わる人手不足なども要因とされる。入札をしても応札者が現れない「入札不調」問題も依然深刻だ。
 住まいは生活再建の根幹である。政府は、今の状況を打開する有効策を早急に打ち出してもらいたい。
 地元に働く場がなければ、生活の糧を求めて都市部に移り住まざるを得ない。雇用の受け皿づくりは急務だ。とりわけ地域復興の核となる若い世代の定着が課題となる。
 被災3県の有効求人倍率をみると復興需要もあり堅調だ。ただ、事務職の希望が多いのに求人は建設業に偏っているのが現状だ。
 農業や水産業など1次産業の再生を復興の原動力としたい。漁港整備などが進んでいるのは明るい材料だが、販売ルートの復活や風評被害対策など課題は多い。官民で知恵を絞り、支援を強化したい。
 生活基盤づくりが進まなければ不安や不満がたまり、心身の大きなストレスとなる。
長期の避難生活による体調悪化などが原因の「震災関連死」は、3県で少なくとも3226人に上る。阪神大震災の3倍以上で、事態は極めて深刻だ。
 高齢者対策は待ったなしだ。仮設住宅には経済的に厳しい高齢者が残るケースが目立つ。復興住宅でも65歳以上が入居者の37%を占めることが自治体アンケートで明らかになっている。1人暮らしも全世帯の4分の1近くに達する。
 部屋にこもりがちになる高齢者を支えるには、自治体の医療や福祉担当者による見守り活動をさらに活発化することが欠かせない。
 入居者同士のつながりを強める工夫や、ボランティアを活用する態勢づくりも急ぎたい。被災者に寄り添い、きめ細かな支援を続けることが求められる。
 被災自治体が注目しているのは、残り1年となった集中復興期間後の国の対応だ。自治体は集中復興期間の延長を求めている。
 政府は、今後5年間の枠組みを夏までに策定するとしている。ただ、国の財政は厳しく、自治体の一部負担も検討している。
 道半ばの復興を前に進めるには安定した財源が必要だ。政府は地元の声に真摯(しんし)に耳を傾け、財政支援していくべきだ。
 ■手さぐりの廃炉作業
 福島県の避難者は、大震災の避難者の半数の12万人に上る。震災関連死は全体の6割を占める。東京電力福島第1原発事故の影響がいかに大きいかを物語る。
 原発周辺の市町村は除染作業を進めてきたが、県内各地の仮置き場や住宅敷地に集められたぼう大な汚染土は、住民の古里への帰還のネックとなっていた。
 除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐって先月、福島県と建設予定地の双葉、大熊2町は搬入受け入れを決めた。大きな進展といえる。
 ただ、建設予定地の地権者との用地交渉は進んでおらず、本格的な搬入に時間がかかるのは必至だ。土地を手放すことになる地権者の理解が得られるよう丁寧な説明を尽くしてほしい。
 汚染水問題は、いまだに抜本的な対策の実現には至っていない。原子炉建屋に流れ込む地下水を食い止める「凍土遮水壁」を設置する方針だが、技術的問題は残ったままだ。汚染水漏れなどトラブル続きで国民の不信は募る一方だ。
 40年かかるとされる廃炉作業は緒に就いたばかりである。溶融燃料の取り出しなど難題が待ち受ける。安倍晋三首相は「国が前面に立つ」と述べた。行動で責任を果たしてもらいたい。
 被災地への関心を持ち続けることが、復興を加速させる力になる。節目の日に一人一人がその思いを新たにしたい。



琉球新聞 2015年3月11日
<社説>東日本大震災4年 復興を加速すべきだ 原発回帰は「教訓」に反する


 多くの命を奪い、ふるさとが失われた東日本大震災から11日で4年となった。
 道路の復旧などによって一部では、生活の再建に向けた環境が整いつつある。その一方で岩手、宮城、福島の被災3県では今なお約22万9千人が県内外で避難生活を送り、8万人以上が仮設住宅で暮らす。被災者が望む復興には程遠い状況がいまだ続く。
 政府には復興を加速させ、あらゆる手段を講じて被災者の生活再建、地域の再生を早期に成し遂げることを求めたい。国民も被災者の支援を続けてほしい。
被災者視点の施策を
 警察庁によると、東日本大震災の死者は2月10日現在、岩手、宮城、福島の被災3県で計1万5823人、行方不明者は計2586人に上る。未曽有の被害とその教訓を語り継ぐ必要がある。
 岩手、宮城両県が整備した仮設住宅は計3万6079戸ある。政府が被災自治体を財政支援する5年間の「集中復興期間」が終わる2016年3月末までに解体予定の仮設住宅は約3600戸、全体の約10%にすぎない。
 仮設住宅を長期にわたって使用させることは、それだけ復興が遅れているということである。阪神大震災では、兵庫県が約5年間で全仮設住宅4万8300戸を撤去したのと比べ、遅さが際立つ。
 あの日から4年たち、仮設住宅は老朽化も進む。それでも住まざるを得ない被災者がいることを、私たちは忘れてはいないか。
 被災者支援のために日本赤十字社に寄せられた義援金は震災発生1年間で約3千億円を超えた。だが、14年度は2月20日時点でその100分の1に満たない約29億円に激減している。国民挙げて支援の輪を広げたい。
 被災自治体は「集中復興期間」の延長を強く求めていたが、政府は延長には応じず16~20年度の5年間を「後期復興期間(仮称)」とし、6兆円前後を追加投入する方針である。財源は主に歳出削減や税収の自然増分で賄い、被災自治体の財政力に応じて一部負担も検討する。
 負担を求めることで、被災自治体独自の復興事業に予算が割り当てられない可能性がある。「後期復興期間」も政府予算を充てるべきだ。
 政府は原発事故の被災地以外は発生から10年以内の事業完了を掲げ、「自立に向けた施策」を打ち出すことにしている。「自立」を促すことは当然である。だが「自立」に向けた施策は被災者の視点に立ったものでなければならない。住民の声を反映した街づくりなしに、復興はあり得ない。
国策の責任自覚せよ
 東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島県の避難者は約12万人に上る。4年程度では放射線の影響を排除できないということであろう。
 復興庁などが実施した14年度の住民意向調査で、放射線量が高い福島県の帰還困難区域への帰還を望む世帯は双葉町12・3%、大熊町13・3%にとどまっている。帰ることを諦めざるを得ない状況に追い込まれているのである。原発は国策で進められた。その責任を政府は自覚すべきだ。
 ところが政府にはその自覚が決定的に欠けている。世論調査では原発再稼働反対が賛成を上回っている。にもかかわらず昨年4月にエネルギー基本計画を閣議決定し、原発回帰に大きくかじを切ったことが何よりの証しである。
 ドイツのメルケル首相は東京都内での講演で、ドイツが22年までの「脱原発」を決めた理由を「技術水準の高い日本でも予期しない事故が起こり得ると分かったからだ」と述べた。大地震も津波もないドイツだが国民の安全を考え、原発推進から脱原発に転換したのである。
 「フクシマの教訓」をメルケル首相は生かし、安倍政権は何ら学んでいないと言わざるを得ない。未曽有の原発事故の教訓に反する原発回帰は見直すべきだ。



沖縄タイムス 2015年3月12日 05:30
社説:[被災地 再生への苦悩]「復興格差」への対応を


 東日本大震災から4年を迎えた11日、雪が舞う被災地では、遺族や住民らが地震発生時刻の午後2時46分に黙とうし、悲しみを新たにした。
 震災の死者は全国で1万5891人(11日現在)。岩手、宮城、福島の被災3県では今なお、2584人の行方がわからず、ダイバーによる海中捜索などが続いている。
 約1600人が犠牲になった岩手県陸前高田市。津波で母親と兄夫婦を失った女性(68)は、墓前を掃き清め、キクやサクラの枝を供え、ぽつりと語っていたという。「時間がたった今のほうがつらいね」。大切な人を失い、家を失い、ふるさとを失った人々の生活再建は、失ったものがあまりにも大きいがゆえに、容易ではない。
 安倍晋三首相は震災3年の昨年、「被災地のみなさんが復興を実感できる1年にしていく」と決意を述べた。確かに大型インフラの整備は進んだが、法制度の壁、人員不足・資材不足の壁など、次から次に押し寄せる壁に行く手をさえぎられ、生活再建は思うように進んでいない。
 被災3県では災害公営住宅の建設などが遅れ、合わせて約8万人がプレハブの仮設住宅暮らしを余儀なくされている。妻を失い仮設住宅で1人で暮らす男性は、テレビの取材に対し、「これからどうやって生きていったらいいか、分からない」と力なく答えていた。
 仮設住宅が長引けば、健康にも悪い影響を与える。精神的に追い込まれた人々に対する心のケア、息の長い支援が必要だ。
    ■    ■
 仮設住宅には高齢者が多い。親と仮設住宅に住む小学生は、遊び友だちがいないために、感情が不安定になりがちだという。
 震災から4年たって、次第に浮かび上がってきているのは、自宅を再建し工場や店舗を建て直し、生活再建の第一歩を踏み出した人々と、さまざまな事情からそれができず、厳しい生活を強いられている人々との二極化傾向である。産業復興も、業種や地域の格差が大きい。
 壊れたままの自宅に住む「在宅被災者」の現状も、改善されたとは言い難い。1階は津波で破壊し尽くされ、修繕するゆとりもなく窓の割れた2階に住んでいる人。天井に段ボールをはり、雨漏りを防いでいる人…。
 就業機会や教育・子育て環境などを考慮し、ふるさとを離れた人々は、時がたつにつれて帰還の意欲を失いつつあるという。被災各地で人口流出が続いている。
    ■    ■
 政府が定めた5年間の「集中復興期間」は、来年3月で終わる。期間終了まで1年を残すのみとなった今年は、復興の正念場である。
 安倍首相は2016年度から5年間の新たな復興の枠組みを今年の夏までにまとめる考えだが、政府の中には地元自治体に負担を求める考えが浮上している。
 東日本大震災は現在進行形の震災である。復興は道半ば、原発事故を抱える福島にいたっては半ば以前の段階だ。「自助」を求める前にするべきことがある。

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