2015-03-16(Mon)

3・11東日本大震災 4年 (8) フクシマ 原発事故

安心の生活なくして復興なし 事故の教訓風化させるな 脱原発依存の実行力示せ

<各紙社説・論説>
山陽新聞)原発事故4年 見通せない廃炉の先行き(03/10)
愛媛新聞)揺れ続ける福島 安心の生活なくして復興なし(03/10)
徳島新聞)大震災4年(下) 原発事故の処理に全力を (3/11)
高知新聞)【大震災4年(下)】事故の教訓風化させるな (3/11)
西日本新聞)福島原発事故 風化させるのは早すぎる (3/10)
佐賀新聞)東日本大震災から4年(03/11)
熊本日日新聞)福島事故4年 脱原発依存の実行力示せ(3/12)
宮崎日日新聞)原発事故4年 依存度減らす道明確に示せ(3/12)
沖縄タイムス  [原発事故から4年]収束に国の英知を注げ(3/11)




以下引用



山陽新聞 (2015年03月10日 08時13分 更新)
社説:原発事故4年 見通せない廃炉の先行き


東京電力福島第1原発事故から4年を迎える。だが、放射性物質による汚染水の増加を止められないなど廃炉作業は困難な局面が続く。原発は重大事故が起きれば、収束させることがいかに難しいか。厳しい現実があらためて浮き彫りになっている。
 東日本大震災の地震と津波を受け、運転中だった1~3号機では、原子炉内の核燃料が溶け落ち、大量の放射性物質が放出された。廃炉作業では、この核燃料を取り出す前の段階として、まずは4号機も含めプールに保管されている使用済み核燃料を取り出すことになっている。
 このうち4号機は事故当時、定期点検中で原子炉内に核燃料がなく、建屋内の放射線量が低いことからプールに残る燃料の取り出しが約1年をかけ昨年12月に完了した。
 だが、建屋内の放射線量の高い1~3号機は遠隔操作の作業が必要で、全ての取り出しには数年かかる見通しとなっている。線量が極めて高い2号機は、取り出し時期すら見通せない状況だ。
 廃炉作業のうち最難関とされる溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しは、東電や政府は2020年ごろの作業開始を目指しているが、デブリの位置や状態さえ4年たった今も分かっていない。
 原子炉建屋に流れ込む地下水の対策も大きな懸案である。1日約300~350トンの地下水が流れ込み、放射性物質により高濃度の汚染水となって増え続けている。
 汚染水の低減策として、東電などが設置を進めているのが「凍土遮水壁」だ。1~4号機の建屋周囲に約1550本の凍結管を埋めて地中を凍らせ、建屋に流入する前に地下水をせき止める。昨年6月に始まった設置工事には約350億円の国費が投じられており、東電は近く凍結を始めたいとしている。
 ただ、海側の凍土壁をめぐっては、打ち込んだ鋼管で地下水をせき止める海側遮水壁がほぼ完成していることなどから、原子力規制委員会から「凍土壁の設置は不要ではないか」との意見が2月の会合で出され、東電との間で足並みの乱れも露呈している。東電は海側の凍土壁の必要性などについて説得力のあるデータを示すことが求められる。
 汚染水の処理も先行きが見えない。トリチウム以外の62種類の放射性物質を取り除く装置で汚染水を処理している。だが、装置のトラブルが続いて処理が遅れているほか、トリチウム水の取り扱いは決まっておらず、敷地内で計約32万トンがタンクで保管されているままだ。規制委は基準値以下にした上での海洋放出を東電に求めているものの、地元漁業者の反発は強い。
 福島第1原発の現状から見えてくるのは、原発事故処理の困難さと影響の深刻さである。福島県の避難者は今も約12万人に上る。原発を推進する社会的なコストを見つめ直す必要があろう。



愛媛新聞 2015年03月10日(火)
社説:揺れ続ける福島 安心の生活なくして復興なし


 突然奪われた日常。ふるさとを追われ、いつ帰れるか、帰ることはできるのか、先の見えない不安は消えることなく、福島の人々の心や暮らしを揺さぶり続けている。
 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故から、あすで4年。いまだに12万人近くが県内外で不自由な避難生活を強いられている。長期の避難生活による体調悪化などが原因の震災関連死は1800人を超え、直接死を上回った。年月を経て傷は深まる。
 県内外に分散した住民の過酷な現状をあらためて見つめ直したい。暮らしの復興に何が足りないのか、たゆまぬ検証と実態に沿った対応が必要だ。住民の声を丁寧に聞き、不安解消へ最大限の力を注がなくてはならない。
 除染によって、昨年4月の田村市都路地区を皮切りに避難指示の解除が続く。だが、安心からは遠く、帰還イコール復興とは到底言えない。
 自宅に戻った人のほとんどは高齢者だ。若者や子どもは放射能への不安や雇用の問題からなかなか帰れない。東電からの賠償金は次々打ち切られ生活は厳しく、健康不安や介護問題がのしかかる。支援体制構築を急ぐ必要がある。
 除染を進めても、はぎとった表土や伐採した草木など膨大な廃棄物は行き場がない。黒い袋に詰められ、一時保管として至る所に山積みされている。その量は東京ドームの18個分にも上る。
 双葉、大熊両町に国の中間貯蔵施設の建設が決まったが地権者との用地交渉は難航。本格稼働は見通せない。施設の建設を迫ることは、同じく原発災害の苦悩を共有する地域住民のふるさとを奪うことになり、県民はやりきれない思いを抱えている。
 中間貯蔵施設の使用開始から30年以内に県外で最終処分することは法制化された。だが、受け入れ場所が見つかるめども全くない。
 国策として原発政策を進めた政府は、解決への重い責任を果たさなければならない。
 にもかかわらず、政府は東電とともに放射能のデータや原発トラブルなどの情報隠蔽(いんぺい)を繰り返し、国民との信頼関係を壊し続けている。住民をないがしろにする態度が、福島の人たちに不安と政治不信を植え付け、復興を遅れさせていることを省みるべきだ。
 最近も第1原発構内では汚染雨水が港湾外に流れ出すなどトラブルが頻発。廃炉は進まない。事故が収束しないにもかかわらず、政府が経済活動を優先して原発再稼働を進めることは、認められない。
 地震や津波は天災だが、人間が作った原発の事故は人災にほかならない。再稼働に走る前に、福島の苦悩と解決のめどが立たない原発災害の現実を、国民もまた、もう一度直視しなければならない。



徳島新聞 2015年3月11日付
社説:大震災4年(下) 原発事故の処理に全力を


 東日本大震災の復興に大きな影を落としているのが、東京電力福島第1原発事故だ。
 事故発生から4年がたつのに、高濃度汚染水の処理などの問題が続発し、周辺住民は不安にさいなまれている。国や東電は原発事故の処理に全力を挙げなければならない。
 炉心溶融(メルトダウン)が起きた1~3号機では、溶融燃料の取り出しが最大のネックである。いまだに溶融燃料の位置や状態さえ、はっきりと分からないのだ。
 事故当時、定期検査中で原子炉内に燃料がなかった4号機は昨年末、使用済み核燃料プールに保管されていた燃料の取り出しを終えた。
 1号機では、放射性物質の飛散防止のために建屋全体を覆うカバーを約1年がかりで解体して、燃料の取り出しに着手する。
 2、3号機でも燃料の取り出しを目指すが、遠隔操作も必要で、全て取り出すにはかなりの困難を伴いそうだ。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構が廃炉スケジュールの軸となる「戦略プラン」の策定を進めており、その方策に注目したい。
 地下水が原子炉建屋に流れ込み、高濃度汚染水になっているのも大問題である。凍土遮水壁を設置して地下水を食い止める計画は、前提となる作業が難航している。打開策を急がなければならない。
 さらに東電は先月、2号機原子炉建屋の屋上から高濃度の放射性物質を含む雨水が、外洋に流出していた事実を明らかにした。
 新たな問題が浮上するたびに、住民が不信感を募らせるのは当然だ。東電には適切な情報開示を求める。
 岩手、宮城、福島の被災3県では、約22万9千人が県内外で避難生活を余儀なくされている。福島県が約12万人を占めており、いかに原発事故の影響が大きいかが分かる。
 徳島県内でも福島県からの12世帯33人が避難生活を送っている。地域住民の温かい支援が励ましになろう。
 政府は除染作業を進め、被災者の早期帰還の願いがかなうよう、道筋をつけたい。
 だが、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設は本格稼働の時期が見通せない。福島県と建設予定地の双葉、大熊の2町が搬入の受け入れを決めたが、地権者との用地交渉が難航しているためだ。
 産業、交通インフラの課題も残る。福島県沿岸では原発事故の影響で、JR常磐線のうち46キロが運休している。
 水産庁が東北・関東5県の水産加工業者を対象に行ったアンケートで「売り上げが震災前の8割以上に回復した」とする回答は福島県が最も低く、21%にとどまった。復興への問題点は「販路の確保・風評被害」が31%と最多だ。
 風評被害をどのように払拭するか、政府が関係者とともに知恵を絞ることが大切だ。
 放射線の健康への影響も気に掛かる。原発事故当時18歳以下の福島県内全ての子どもを対象に放射線の影響を調べる甲状腺検査は、1巡目で約30万人が受診。昨年末時点でがんが「確定」したのは86人で、「疑い」は23人に上る。
 子どもを抱える家庭の悩みはとりわけ深い。国や県は健康管理に格段の配慮をしてほしい。
 政府は原発の再稼働に前のめりにならず、事故の処理と被災者らの心身のケアに力を注ぐべきである。



高知新聞 2015年03月11日08時08分
社説:【大震災4年(下)】事故の教訓風化させるな


 福島第1原発事故から4年を目前にして、建設が遅れていた福島県内の常磐自動車道が開通した。
 まっすぐに延びる車線の脇には、放射線量の表示板。周辺には荒涼とした景色が広がる。復興加速への後押しと期待される真新しい道路は一方で、「天災」の上にもたらされた「人災」の罪深さを問い掛けているようにも見える。
 福島原発は今も、不安定な状況を脱していない。事故時に定期検査中だった4号機は昨年末、建屋内のプールから核燃料の取り出しを終えた。だが、炉心溶融を起こした1~3号機はまだその準備段階にある。
 原子炉内で溶けた燃料の取り出しは廃炉に向けた最大の難関だが、今後の技術開発を待つ必要がある。廃炉までの道筋は描けないままだ。
 廃炉作業を阻む汚染水の対策もトラブルが相次ぐ。五輪誘致に際し、安倍首相が述べた「アンダー・コントロール」がむなしく響く。
 敷地内のタンクに保管する汚染水の全量処理は、予定していた2014年度内から先送りを余儀なくされた。先日は高濃度の放射性物質を含んだ雨水が海に流出したことが判明。東京電力は昨年春に事態を把握しながら2月まで公表せず、変わらない隠蔽(いんぺい)体質を印象付けた。
 目に見えない放射線は、福島の復興に影を落とし続ける。今なお県内外で避難生活を送る約22万9千人のうち、福島県民が半数以上を占める現実は重い。
 避難の長期化で、古里へ帰ることへの諦めも広がりつつある。原発が立地する双葉町や大熊町では帰還を望む住民は1割強にとどまり、避難先で新たな生活を選ぶケースが目立つ。
 これも住居や仕事など生活基盤の再建が思うに任せないからだ。福島の漁港や農地は、岩手、宮城に比べ大きく復旧が遅れている。
 そんな中、福島県と両町は除染で出た廃棄物の中間貯蔵施設の建設と搬入受け入れを決めた。土地の提供は、古里との決別を意味する被災者も多いことだろう。原発事故が過去ではなく、現在進行形であることをあらためて認識させられる。
進む原発回帰
 しかし、政府や電力業界は、事故が遠い過去となったかのように原発再稼働へと突き進んでいる。
 エネルギー基本計画で原発を「ベースロード電源」と位置付けた政府は、民主党政権時に国民的議論から導かれた「30年代の原発ゼロ」を覆し、原発回帰へとかじを切った。
 原子力規制委員会は、九州電力の川内(せんだい)原発と関西電力の高浜原発に、安全対策が新規制基準に適合することを示す「審査書」を決定し、夏場以降の再稼働が現実味を帯びる。
 だが、被害が広域に及んだ事故の教訓が生かされたとはいいがたい。原発から30㌔圏で義務付けられた避難計画は実質、自治体任せで規制委の審査対象にもなっていない。
 避難車両の確保など計画の実効性に疑問符が付いたまま手続きばかりが進む現状には、「安全神話」の復活も疑わざるを得ない。16年4月の電力小売り全面自由化に際し、原発を優遇しようとする動きさえある。
 こうした状況を、原発に古里を奪われた多くの福島県民はどう見ているのか。このまま、事故の教訓を風化させてはならない。



=2015/03/10付 西日本新聞朝刊=
社説:福島原発事故 風化させるのは早すぎる


 ■大震災から4年■ 
 今年1月、東京電力福島第1原子力発電所を訪れた。事故発生後に初めて足を踏み入れた2012年10月以来、4回目となった。
 事務所の免震重要棟で説明を受け、1~4号機の原子炉建屋周辺と、少し離れた5、6号機付近をバスで巡って免震重要棟に戻る。ここは基本的に毎回同じだ。
 1、2回目はバスから見るだけだったが、3、4回目は防護服とマスクを着けて外にも出られた。
 ▼収束作業の歩みは遅く
 3回目の13年12月は4号機の使用済み燃料プールから核燃料の取り出しが始まったところを見た。
 今回は未使用の核燃料を含め同プールにあった1535本の燃料が全て取り出された後を見た。
 廃炉に向けた作業は確かに進んでいる。が、その歩みは遅い。4号機を見てあらためて感じた。
 最初に訪れた12年10月、4号機は水素爆発の跡がなお生々しかった。ここから使用済み核燃料をどうやって取り出すか。免震重要棟で模型を使った説明を受けた。
 東京タワーとほぼ同量の鋼材約4千トンで高さ約53メートルの巨大な鉄骨の枠組みを造り、燃料プールを上から覆う。そして、上部に設けたクレーンで燃料を取り出す‐。大変な費用と労力がかかるのだ。
 あれから2年余りを経て目標は達成できた。だが、全てが同じように予定通りと言えない。すぐ頭に浮かぶのは汚染水問題である。放射性物質に汚染された水が増え続けていた。これをどう処理するかが最初から大きな問題だった。
 汚染水問題では東電はみそを付け続けている。先月も批判を浴びた。2号機の大物搬入口屋上にたまった放射性物質を含む雨水が排水路から外洋に流れ出ていた。
 東電はこの事実を地元漁業者などに知らせず、対策も取らなかった。汚染水流出が報じられて初めて対策を検討する事態に至った。
 福島第1原発事故を受けて政府と国会、民間の事故調査委員会が発足し、それぞれ調査報告書を出した。その一つの政府事故調の報告書に事故原因究明に熱心ではないと東電を批判した箇所がある。
 事故の再発防止や原発の安全性向上のため、積極的に原因究明に取り組むべきなのに東電に熱意が感じられない‐と。不都合な事実を隠していないかと疑っている。
 もたつく東電に業を煮やした国は廃炉・汚染水問題で前面に立つとし、安倍晋三首相は昨年1月の施政方針演説でもそう宣言した。
 それで劇的に改善したかというと違う。国が前面に立つと言っても最終責任を負うわけではない。
 大事故が起きたときの備えが国も東電もほとんどなかった。福島第1原発事故で明らかになった。多くの被害者を生みながら最終的に責任を負った者はいなかった。こんな曖昧な状況は変わったか。
 民間事故調のメンバーが先月、「吉田昌郎の遺言‐吉田調書に見る福島原発危機」を発表した。
 事故当時、福島第1原発所長だった吉田氏(故人)が政府事故調に語った記録が昨秋、公開された。これを読み込み、あらためて事故を検証してみる試みである。
 ▼高校生が事故を学んで
 国会事故調の報告書を読み、事故を考える活動もある。国会事故調の元スタッフを中心とした「わかりやすいプロジェクト国会事故調編」である。8日、福島市内の高校に福島県内の高校生13人と首都圏の高校生4人が集まった。
 報告書を読んだ上で、被災者、事故収束作業者、東電役員や東京のビジネスマン、国会議員などの役になりきって事故とそれ以降の状況をどう考えるか発言する。事故を多様な視点で考える試みだ。
 この活動は今年1月から始まった。印象に残ったのは議論の中身よりも福島と首都圏で高校生の意識の差が大きいことだった。参加した首都圏の高校生は原発事故に関心が高い人たちだろう。
 それでもはっきり差を感じる。被災地との距離、4年の歳月を考えれば仕方ないのかもしれない。
 しかし、考えなくなる、忘れてしまうよりもはるかにいい。
 政府事故調が求めた「事故原因の継続的解明」と「被害の全容を明らかにする調査」はどうなったか。国会事故調が注文した政府の危機管理体制の抜本的な見直しはきちんと行われたか。宿題を残したまま事故を風化させられない。



佐賀新聞 2015年03月11日 05時00分
論説:東日本大震災から4年


 きょうで東日本大震災の発生から4年がたつ。約22万9千人が今も県内外で避難生活を強いられ、うち福島県の避難者が半数の約12万人を占める。福島の復興を妨げているものの、一つに東京電力福島第1原発事故に起因する除染廃棄物がある。現状から原発事故の影響を捉え直したい。
 福島県では各地で行われた除染作業で、はぎとった表土や伐採した草木など大量の廃棄物が発生した。これらを第1原発周辺に設ける中間貯蔵施設に運び込む作業が、試験的ではあるが、あさって13日からようやく始まる。
 その量は最大で2200万立方メートルと推計され、東京ドームの18個分に相当する。現在は廃棄物を入れた黒い袋が、各地の仮置き場や民家の庭先など約7万6千カ所で一時保管されたままだ。都市部では生活空間を圧迫し、早期搬入を求める声が出ている一方、避難指示が解除された地域などは至る所に山積みで住民の帰還意欲を奪っているとの懸念もある。1カ所に集積されれば、目に見えて復興の歩みを感じ取れることだろう。
 中間貯蔵施設は2011年8月に、政府が福島県に設置の方針を伝えていた。福島県と建設予定地の同県双葉、大熊両町は今年2月に受け入れの苦渋の判断をした。福島県は引き替えに、使用開始から30年以内に県外での最終処分の法制化を求め、政府は応じた。原発から出る「核のごみ」と同様に最終解決は先送りで、その場しのぎにしか思えない。
 今回の受け入れは、あくまでスタートラインだ。搬入開始後の約1年間は試験期間であり、実際に搬入される量は県内の廃棄物の1%にも満たない。全ての廃棄物が運び終わる時期は見通せない。
 そもそも予定地内の地権者約2300人以上との用地取得交渉が難航している。復興のためとはいえ、そこが最終処分場になる可能性は拭えず、土地を奪われる側に抵抗があるのは当然だ。本格稼働すれば、県内全域で廃棄物を積んだトラックが走り回り、日常生活への不安も出てくる。
 まき散らされ、処分に難渋している廃棄物はほかにもある。中間貯蔵施設に保管するほど汚染度は高くはないが、放射性物質が含まれた焼却灰や稲わらなどの指定廃棄物が福島県やその周辺県にある。政府は県ごとに処理する方針を決定した。既存の施設で処分しきれない5県では、国が1カ所ずつ最終処分場をつくる計画だ。
 しかし、福島県に限らず、場所選定の段階から住民の反発は強い。各地で行き詰まり、「福島に集約すべき」との声が上がっている。原発の立地自治体と周辺自治体の関係に新たな問題を提起している。この反応からも今後、除染廃棄物の最終処分場を福島県外で探すことの厳しさがうかがえる。
 汚染の発生源である第1原発では、廃炉作業が2040~50年ごろまで続く。原子炉建屋のプールに残る燃料の取り出しに向けた工程が進んでいる。その先に溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しという最難関が待ち構えるが、デブリの状況把握さえままならない。
 福島が立ち直る道は長く険しい。ひとたび原発で過酷な事故が起きればどうなるか。今夏にも原発再稼働が検討されている中、福島が経験していることをいま一度思い巡らしたい。(宮崎勝)



熊本日日新聞 2015年03月12日
社説:福島事故4年 脱原発依存の実行力示せ


東京電力福島第1原発事故から12日で4年。あの日、原発の「安全神話」は崩壊した。だが、その後、ほとんど原発なしでやってきたにもかかわらず、電力の安定供給を名目に原発再稼働に向けた動きが進む。日本は今、再び原発依存を強めようとしている。
 事故から私たちが学んだのは、原発が人の手では制御できないリスクを抱えているということだった。安全対策のための設備や高レベル放射性廃棄物の最終処分、廃炉などの費用を含めると、その総コストは膨大になろう。地震国である日本では、いずれの点もおろそかにはできない。それだけ、リスクやコストは今後も大きくなる可能性をはらんでいる。
 「原発即ゼロか否か」はおくとしても、多くの人が原発に依存しない社会を望んでいよう。安倍晋三首相自身、「再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存を低減させる」と述べている。ならば、実行力が問われる。政府は脱原発依存の道筋を明確に示し、エネルギー供給の抜本改革にかじを切るべきだ。
 今も事故の原因究明は進まず、福島第1原発構内からは汚染水流出のトラブルが相次いでいる。廃炉の見通しも不透明なままだ。そんな中、再稼働の動きだけが強まっていることには大きな懸念がある。原子炉の安全対策、周辺地域の避難計画などは決して十分とは言えまい。前提条件がきちんとクリアされないまま、立地自治体という限られた範囲の地元同意で再稼働を進めていいものか。
 「トイレのないマンション」に例えられる日本の原発の限界もあらわになっている。「核のごみ」と言われる高レベル放射性廃棄物の最終処分をどうするかという問題である。これにめどを付けずに再稼働を進めれば、“厄介物”の使用済み核燃料が積み上がるばかりとなる。政府は地中深くに埋める地層処分を目指しているが、処分地選定は難航必至だ。しかし、これに目をつぶって再稼働を進めることはもはや許されまい。
 原発回帰へ導くような施策が、検討されたり実施されたりしていることも看過できない問題だ。
 政府がこのほど閣議決定した電気事業法改正案では、大手電力の「発送電分離」を2020年4月に実施するとした。電力システム改革の総仕上げという触れ込みだが、付則で発送電分離の実施に当たっては電力の安定供給に支障がないか検証する手続きが盛り込まれた。要は「延期あり」ということだ。その間に、原発再稼働をできるだけ進めようという電力会社の思惑が透けて見える。
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しで「接続可能量」という上限が設定されたのも、原発再稼働を見越した上で計算されたものだった。太陽光をはじめとした再生可能エネの普及にストップをかける動きにしか見えない。送電網増強や全国規模での電力融通などの対策を打たなければ、首相の「原発依存低減」は単なる“お題目”に終わろう。



宮崎日日新聞 2015年3月12日
社説:原発事故4年 依存度減らす道明確に示せ


 東京電力福島第1原発事故から4年。当面の電力を確保するためとして原発再稼働に向けた動きが進み、長期的にも原発温存に向けたさまざまな政策が実行されつつある。日本は今、再び原発依存を強めようとしている。
 だが、地震国日本で、事故から何も学ばなかったかのように安易に原発に頼ることは、あまりにもリスクとコストが大きい。「再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存度を低減させる」(安倍晋三首相)と言うのなら、道筋を明確にし、エネルギー供給構造の抜本的な改革に、今こそかじを切るべきだ。
■再生エネは従の政策■
 事故原因の究明が進まぬ中、事故を教訓にした原子炉の安全対策も防災対策も十分ではないまま、次々と原発の再稼働を進めることには疑問がある。さらに問題なのは、ずるずると原発依存を続けることになるような多くの政策が実施、検討されていることだ。
 日本は先進国の中で唯一、大電力会社が送電網を支配下に置き、自社の発電所を優先することができる国だ。原発事故後、発送電分離を中心とする電力システム改革が動きだした。公平な競争環境の下では、リスクもコストも大きく、市民の支持も薄い原発が市場での競争力を失う。
 この事態を防ぎ、原発産業を維持しようとする政策が次々と打ち出されている。早期の廃炉で事業者に損失が出ないようにするために会計ルールが変えられた。原発を支援するための新たな料金制度の導入や、事故時の損害賠償制度の改変なども検討されている。
 送電網を支配する電力会社が再生可能エネルギーの拡大に待ったをかけ、「接続可能量」という上限が設定された。東電福島第2原発や建設中の原発を含めて国内のすべての原発が稼働するというのが、上限の計算の前提だ。これは「原発が主、再生可能エネルギーが従」という政策ではないか。
■安定供給でもリスク■
 今、世界の多くの先進国では、原発は高リスク、高コストの電源だと受け止められている。日本の原発事故の経験と、その結果、各国で導入された安全規制の強化がそれに拍車を掛けた。一方で、再生可能エネルギーは安定性が増し、価格も急速に下がった。
 再生可能エネルギーが純国産であるのに対し、原発は「準国産」と呼ばれる。海外のウラン資源に依存する点では化石燃料と同じだ。大量に生み出される高レベル放射性廃棄物の処分の見通しも全く立っていない。
 原発事故は、原発のような大規模集中型の発電所が一度に長期間止まることが、電力の安定供給の点で巨大なリスクとなることを教えてくれた。原発は将来的に日本が依存を続けられるような持続可能なエネルギー源ではない。既得権益との衝突を恐れて矛盾のある政策を積み重ねるのではなく、思い切った改革に踏み出すべきだ。



沖縄タイムス 2015年3月11日 05:30
社説:社説[原発事故から4年]収束に国の英知を注げ


 東日本大震災から4年。津波によって未曾有の過酷事故を起こした東京電力福島第1原発では廃炉に向けた作業が進むが、事故の収束は見通せない。事故で県内外に避難している住民は、なお12万人に上る。あの日から多くの人が、出口の見えないトンネルにいるような思いを強いられている。
 30~40年かかるとされる福島第1原発の廃炉作業。前例のない取り組みだけに相次ぐトラブルに見舞われている。廃炉への道のりは、実質的には緒に就いたばかりといえよう。
 課題の一つが汚染水の問題だ。先月下旬、汚染水が海に流れ出ていたことを、東電が1年近く黙っていたことが発覚した。
 汚染水は2号機の建屋屋上にたまっていた雨水だった。高濃度の汚染された雨水が排水路から外洋に流出していたのである。東電は大雨のたびに排水路の放射性物質濃度が上がることを認識していた。
 原子力業界の隠蔽(いんぺい)体質がまたもあらわになった。住民や漁業関係者の憤りは当然である。国や東電は、積極的に国民に情報を開示しなければならない。
 福島第1原発では、原子炉建屋に流入した地下水が、溶け落ちた核燃料に触れ、1日に300~400トンの汚染水が発生している。
 汚染水の問題は、いまだに抜本的な対策の実現には至っていない。建屋への地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」の建設も進められているが、効果を疑問視する声もある。
    ■    ■
 過酷事故を起こした原発の廃炉作業は、高い放射線量との闘いでもある。東電は昨年12月、4号機の使用済み核燃料の取り出しを完了したが、メルトダウン(炉心溶融)を起こした1~3号機については高い放射線量に阻まれ、作業が難航している。
 建屋内の除染が思うように進まず、使用済み核燃料の取り出しに向けた調査なども遅れている。炉内に溶け落ちた核燃料の状態などは分かっていない。
 安倍晋三首相は、東京五輪の招致演説で「(原発の)状況はコントロールされている」と語ったが、福島第1原発の現状とはほど遠いと言わざるを得ない。
 政府は昨年、廃炉作業への国の関与を強めるための組織を発足させている。廃炉作業を最重要政策として取り組み、収束に向けたペースを速めるべきだ。
    ■    ■
 復興庁が実施した住民意向調査によると、福島第1原発周辺の浪江、双葉、大熊、富岡の4町で帰還の意向を持っている人は1~2割にとどまっている。
 長引く避難生活で、先行きが見通せず帰還をためらう人。あるいは、避難先での新たな生活が軌道に乗り始めた人もいるだろう。
 福島原発事故に関しては、被災者への関心や事故の風化が進んでいると感じている人も少なくないとも言われる。原発事故は次世代へも影響を及ぼす問題である。国民一人一人が事故と向き合い、どのような支援ができるか、考え続けたい。

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