2015-03-17(Tue)

辺野古調査再開 民主国家否定する暴挙止めよ (3)

中断し、民意に向き合え 政府の強硬さは目に余る 移設の強行は禍根を残す 工事強行は不信を深める

<各紙社説・論説等>
京都新聞)辺野古調査再開  中断し、民意に向き合え(03/13)
神戸新聞)辺野古問題/工事強行は不信を深める(03/14)
山陰中央新報)米軍普天間飛行場移設/対話の努力を払うべきだ(03/13)
愛媛新聞)辺野古海底調査再開 民主国家否定する暴挙止めよ (03/14)
徳島新聞)辺野古調査再開 対立より対話が大切だ(03/15)
高知新聞)【辺野古移設問題】政府の強硬さは目に余る(03/13)
佐賀新聞)辺野古調査再開(03/14)
熊本日日新聞)辺野古調査再開 移設の強行は禍根を残す(03/13)




以下引用



[京都新聞 2015年03月13日掲載]
社説:辺野古調査再開  中断し、民意に向き合え


 沖縄防衛局はきのう、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先とする名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、海底ボーリング調査を再開した。地元の意思を顧みない強行である。
 沖縄の民意は、昨年11月の知事選や翌12月の衆院選の沖縄4小選挙区で辺野古移設反対派が全勝したことではっきりしている。なのに政府は強硬姿勢を変えず、話し合いにさえ応じようとしていない。
 地元住民は反発を強めており、このままでは対立がエスカレートするだけだ。政府はこれ以上、亀裂を深めてはならない。調査を中断し、ただちに沖縄と対話を始めるべきだ。
 調査は昨年8月に始まり、12カ所で実施したが、翌9月から悪天候や知事選への配慮から調査を中断。今年1月から再開に向けた準備作業を始めた。
 これに対し、移設に反対する翁長雄志知事は、前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を設置し、検証中は海上作業を見合わせるよう防衛局に求めていた。
 翁長氏は対決姿勢を強め、埋め立て承認の取り消しを視野に入れている。加えて防衛局が調査再開のため海中に投入した大型コンクリート製ブロックが、岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を傷つけているのを潜水調査で確認したとして、岩石掘削などの作業に関する許可の取り消しも検討している。
 政府はまず、強硬一点張りの姿勢を改めることだ。
 安倍晋三首相は選挙結果を受けて「民意を真摯(しんし)に受け止める」と語ったはずである。ところが翁長氏が再三にわたって上京し、移設問題の協議を求めても、いまだに会おうとしていない。
 沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅義偉官房長官は接触を模索する動きもみせるが、歩み寄る気配はなく、調査再開の日も「環境保全に万全を期しながら粛々と進める」と語った。
 「辺野古が唯一の選択肢」というなら、その根拠をきちんと翁長氏に説明すべきだ。それさえしないのは、政府の責任放棄であり、沖縄の民意を無視するのに等しい。
 この間、辺野古の米軍キャンプシュワブ前では、抗議行動の中でけが人や逮捕者も出ている。
 政府は地盤の強度や地質を調べた後、夏ごろにも埋め立て工事に着手する構えだが、強行すれば沖縄を傷つけるだけでなく、政権の命取りにもなりかねない。民主政治の質が問われている。



神戸新聞 2015/03/14
社説:辺野古問題/工事強行は不信を深める


 米軍普天間飛行場の移設計画をめぐる、安倍政権と沖縄県の関係はこじれるばかりだ。
 政府は、中断していた名護市辺野古沖の海底ボーリング調査を県の反対を押し切って再開した。翁長雄志(おながたけし)知事は、移設阻止へ「あらゆる手法を駆使する」と明言した。
 県知事が国への対決姿勢をこれほどあからさまにするのは異例の事態といえる。
 県民からも「民意の無視」などと批判の声が上がる。政府の強硬姿勢が沖縄の怒りを買った形である。
 政府は夏ごろに埋め立て工事に着手する方針も表明した。計画通りに進める考えを強調するが、溝を埋めようとする姿勢は見られない。
 「手続きに法的な問題はない」と政府は言う。だとしても、工事の強行は深い傷を残す。もつれた糸をほぐすため、いったん作業を中断して話し合いの場を持つべきだ。
 安倍晋三首相らが口にする「丁寧な説明」とは矛盾すると批判されている。首相や政府首脳はなるべく早く知事と会い、沖縄県民の思いに向き合わねばならない。
 ボーリング調査が行われているのは名護市辺野古の沿岸部で、約160ヘクタールの海域を埋め立て、宜野湾市の普天間飛行場をそこに移す。
 政府は2019年までに普天間の運用停止を目指す方針だ。「市街地にある普天間の危険を除去するために埋め立ては不可欠」とする。
 普天間移設計画は、20年前の米兵による少女暴行事件を受けて日米両政府が協議した結果で、米国はそれを機に軍の再配置に動きだす。それが基地負担軽減につながる-。
 政府が描く道筋だが、当事者である沖縄の人たちの心に届いているとは言い難い。
 むしろ、一連の政府の対応が不信を深めているといえる。
 一昨年末の仲井真弘多(ひろかず)前知事による抜き打ち的な埋め立て承認、反対を押し切る形での工事着手、政権による沖縄振興費予算の減額…。政府による露骨な圧力を感じている県民は少なくないだろう。
 対抗措置といっても県知事ができることには限界がある。「しようがない」という県民のあきらめを期待する声も政府内にはあるようだが、民意を踏みにじられた痛みは残る。このままでは計画への「理解」など到底得られない。



山陰中央新報 ('15/03/13)
論説:米軍普天間飛行場移設/対話の努力を払うべきだ


 沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、沖縄防衛局が、昨年9月から中断していた海底ボーリング調査を再開した。これに対して翁長雄志知事は反対の姿勢を明らかにしている。政府はこのまま沖縄との対立構図を深めるのではなく、沖縄県民との対話の努力を払うべきだ。
 基地の負担軽減を目指した普天間飛行場移設は、そもそも「沖縄県民のため」が原点だった。この原点に立ち戻ると、強行策を取るのではなく、可能な限り翁長氏らとの話し合いに臨むべきだ。
 海底ボーリング調査が再開されたことについて、翁長氏は「大変遺憾だ。あらゆる手法を駆使し、辺野古に基地をつくらせないという公約の実現に向け全力で取り組む」と態度を硬化させている。
 翁長氏は、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事による埋め立て承認の取り消しも視野に入れており、今年1月には、埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を設置し、検証中は海上作業を見合わせるよう防衛局に求めていた。
 一方、菅義偉官房長官は、海底ボーリング調査について「環境保全に万全を期しながら粛々と進める」と述べた。沖縄防衛局は地盤の強度や地質を調べ、設計に反映させる方針だ。
 沖縄防衛局は昨年8月に海底ボーリング調査を開始し、12カ所で調査を終え、翌9月中旬から、悪天候や11月の知事選への配慮などで調査を中断していた。埋め立て工事の着手時期について、中谷元・防衛相は「夏ごろ」としている。
 沖縄県は今年2月末、防衛局がボーリング調査再開のため海中に投入した大型のコンクリート製ブロックが、岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を傷つけているのを潜水調査で確認したとして、許可の取り消しを検討している。今後、沖縄県と政府の対立が先鋭化する可能性が高い。
 政府側は「米軍の抑止力と普天間の危険除去を考えたときに唯一の解決策だ」として、移設を進める姿勢を崩さない。辺野古移設を「唯一の解決策」としたのは、日米両政府の合意だからだ。強行策の背景には、この合意を履行しなければ同盟関係にひびが入りかねないとの危機感もあるとみられる。
 一方で地元の状況は変化した。普天間飛行場の辺野古移設をめぐっては、昨年1月、受け入れ側の名護市長選で辺野古移設反対の稲嶺進市長が再選。11月の知事選では翁長氏が初当選し、翌12月の衆院選では沖縄4小選挙区で辺野古反対派が全勝している。沖縄県の民意は「反対」で明確になっていると言ってもいいだろう。
 知事就任以降、翁長氏は移設問題を政府と直接協議するために上京したが、安倍晋三首相や沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅氏との会談は実現していない。安倍首相や関係閣僚が基地負担問題を地元首長と協議する「普天間飛行場負担軽減推進会議」も、翁長氏が知事に就任後一度も開かれず、凍結状態だ。
 1996年4月に日米両政府が普天間飛行場返還で合意してから20年近くになる。この間、移設が進まなかった現実を直視し、政府には対応を見直す必要がある。



愛媛新聞 2015年03月14日(土)
社説:辺野古海底調査再開 民主国家否定する暴挙止めよ


 これが民主主義を掲げる国のすることなのか。
 政府は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向けた海底ボーリング調査を再開した。沖縄県の再開見合わせ要請や県民の強い反発に一切耳を傾けることなく、説明や対話の機会を持とうともしないままである。
 「粛々と工事を進める。法に基づいており、全く問題ない」(菅義偉官房長官)。権力を持つ政府が地元の民意を抑え込み、新基地建設へと突き進んでいる。これは民意の黙殺であり県民への抑圧にほかならない。民主国家を政府自ら否定する暴挙を、決して認めることはできない。直ちに中止を求めたい。
 県全体の民意が辺野古移設に反対していることは明らかだ。昨年、名護市長選と知事選に加え、衆院選も4小選挙区全てで反対派が勝利した。
 にもかかわらず、政府は日米合意を盾に、無視を決め込む。安倍晋三首相は衆院予算委員会で「基地問題のような大事な政策は、その時々の政局、選挙に利用してはならない」とけん制。就任後7度上京した翁長雄志知事に一度も会おうとしない。
 首相や関係閣僚が沖縄の米軍基地負担問題を地元首長と協議する「普天間飛行場負担軽減推進会議」も昨年10月から開いていない。その状況で辺野古の埋め立て工事に「夏ごろにも着手したい」(中谷元・防衛相)と一方的に言及している。
 「移設が進めば反発は収まっていく」と政府関係者が言うように、既成事実をつくって反対運動を抑えようとの思惑は明らかだ。到底見過ごすことはできない。
 地元の反発は当然だ。政府は海上保安庁や内閣府の出先機関である国道事務所を使って市民の監視や抗議の封じ込めに躍起だが、自らの強硬姿勢が県民の心を踏みにじり、緊迫の度合いを深めている現状を省みてもらいたい。
 沖縄は戦争で多大な犠牲を出した。戦後も在日米軍専用施設の大半が沖縄にあり、今なお米国追従の影を背負わされている。戦後70年。米国の視点でなく、沖縄の痛みから国の針路を見つめ直す時機が来ている。地元の声から逃げず丁寧に対話することで、基地縮小の道を探らねばならない。軍縮と平和を沖縄から米国へ、世界へと発信したい。
 沖縄の人々は、自分たちの暮らしだけでなく、自然破壊を食い止め、海の生物を守るためにも声を上げている。ボーリング調査再開のため海中に投入した大型のコンクリート製ブロックが、県の岩礁破砕許可区域外でサンゴ礁を傷つけているのも確認されている。辺野古で起きている重い現実を、いま、日本の問題として国民全体で見つめたい。



徳島新聞 2015年3月15日付
社説:辺野古調査再開 対立より対話が大切だ


 防衛省が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先としている名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、海底ボーリング調査を再開した。
 地元が反対する中での強行である。翁長雄志(おながたけし)知事をはじめ、県民が反発を強めるのは当然だろう。
 強引なやり方は、沖縄との溝を深めるだけだ。政府は対決姿勢を際立たせるのではなく、翁長知事らとの対話を始めるべきである。
 調査は地盤の強度や地質を調べ、飛行場の設計に反映させるためのものだ。
 昨年8月に始め、12カ所で完了したが、9月中旬から、悪天候や知事選への影響を考慮して中断していた。
 今回の再開に、翁長知事は「大変遺憾だ。あらゆる手法を駆使し、辺野古に基地をつくらせないという公約の実現に向け全力で取り組む」と憤った。
 今年1月には、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を設け、検証中はボーリング調査を見合わせるよう防衛省に求めたばかりである。
 これに対し、菅義偉官房長官は「知事が代わったことで(埋め立て承認を)取り消すことはできない。粛々と進めていきたい」と語り、配慮するそぶりすら見せていない。
 政府の中には「手続きや工事が進めば、できたものはしょうがないという声も出てくる。県民世論も変わり得る」との見方があるという。
 既成事実を積み重ね、力で押さえつければ、反対運動はやがて下火になると見込んでいるのだろう。
 中谷元・防衛相は、夏ごろにも埋め立て工事に着手したいとの意向を示している。
 しかし、楽観的に過ぎるのではないか。
 沖縄では、移設計画が最大の争点となった昨年1月の名護市長選に続き、11月の知事選、12月の衆院選の沖縄4小選挙区全てで、辺野古反対派が勝っている。
 民意は明確であり、それを無視して推し進めるのは、怒りの火に油を注ぐようなものだ。反対の県民世論は一層高まろう。
 安倍晋三首相は、今年2月に行った施政方針演説で「引き続き沖縄の方々の理解を得る努力を続けながら、辺野古沖への移設を進めていく」と述べている。
 だが、翁長知事がこれまで7度上京したにもかかわらず、一度も会おうとしないのはどうしたことか。沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅長官も同様だ。
 さらに、「普天間飛行場負担軽減推進会議」も翁長知事の就任以来、開かれないままになっている。
 沖縄の米軍基地負担問題について、首相や関係閣僚が地元首長と協議する会合であり、前知事時代は、事務レベルの作業部会を含めると毎月開かれていた。
 知事選の意趣返し、沖縄いじめとも取れるやり方に、県民からは「露骨な嫌がらせだ」との批判が出ている。
 異論に耳を傾けず、意に沿わない人は排除する。そんな対応で理解が得られるわけがない。
 世界一危険とされる普天間飛行場を、固定化させてはならない。政府は、辺野古移設が「唯一の解決策」だというのなら、沖縄と話し合いの場を持ち、その理由をきちんと説明すべきである。



高知新聞 2015年03月13日08時13分
社説:【辺野古移設問題】政府の強硬さは目に余る


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先とされる名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、沖縄防衛局が昨年9月から中断していた海底ボーリング調査を再開した。
 辺野古周辺では、反対派の市民と海上保安庁や警察との衝突が続き、「過剰警備」との批判が高まっている。その抗議活動の目の前で、調査再開を強行した格好だ。
 政府は「沖縄の方々の理解を得る努力を続ける」(安倍首相の施政方針演説)と繰り返してきたが、これでは言行不一致と言わざるを得まい。早急に強硬姿勢を改めるべきだろう。
 政府と沖縄の関係は日ごとに、悪化しているといってよい。
 昨年11月の知事選に続き、12月の衆院選でも4小選挙区全てで辺野古反対派が勝利した。明らかな民意にも、政府は翁長雄志知事との対話拒否や予算減額など、意趣返しにもみえる姿勢を取り続けている。
 中でも、市民の反対運動への対応は目に余る。逮捕者や暴行を受けたとの告訴が相次ぐのは、明らかに異常事態だ。一連の選挙が終わったとたん、強硬姿勢に転じた政府に強い違和感を覚える。
 県と見解が対立する手続き面でも、政府の強引さは否めない。工事の前提にある仲井真弘多(ひろかず)前知事の埋め立て承認に関して沖縄県の有識者委員会が検証しており、その間は海上作業を見合わせるよう求めていた。
 昨年開かれた県議会の調査特別委員会(百条委)で、環境部局や環境影響評価審査会が工事による悪影響を「払拭(ふっしょく)できない」などとしたにもかかわらず、承認された不透明さが問題視された経緯がある。
 翁長知事の反対姿勢はあるにせよ、承認過程に疑念が残る以上、政府は調査再開を待つべきではなかったか。
 ましてや県が許可した範囲外で、防衛局が投入したブロックによりサンゴが傷ついた疑いが浮上している。
 防衛局と米側は県が求めた潜水調査を拒否したが、政府は環境保護に責任を持つ立場にある。率先して調査に協力し、地元の環境への懸念を解消しなければならない。
 両者の認識の大きなずれは、対話を欠いたことに起因していよう。ジュゴンが泳ぎサンゴの豊かな海、沖縄県民の信頼も、完全に失ってからでは取り返しがつかない。



佐賀新聞 2015年03月14日 05時00分
論説:辺野古調査再開


 沖縄防衛局が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に向けた海底ボーリング調査を再開した。沖縄県で多数を占める移設反対の声を無視した強行策で、政府と沖縄県の対立は先鋭化するばかりだ。
 防衛局は埋め立てに必要なボーリング調査を昨年8月に開始し、翌9月から中断していた。その後は台風による悪天候、さらに11月の県知事選への影響を意識して再開を先延ばししていた。
 この間に示された沖縄の民意は明確だ。知事選で「新基地阻止」を訴えた翁長雄志(おながたけし)氏が、移設推進の仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事を大差で破って初当選した。翌12月の突然の衆院選でも自民圧勝の中、県内4小選挙区全てで辺野古反対派が自民候補に勝った。県外移設を求める沖縄県民の思いは強い。
 選挙で出た民意を尊重するのが民主主義の基本だが、政府は一顧だにしない。安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で「基地問題のような大事な政策は、その時々の政局、選挙に利用してはならない」とけん制している。
 政府の頼みの綱は前知事による埋め立て承認だ。翁長氏は取り消しを視野に入れるが、政府は「取り消せない」と強調する。前知事も10年の再選時に県外移設を訴えながら変節した。承認の手続きに瑕疵(かし)がないとしても、県民の総意はそこにない。沖縄ではいくら選挙で意思表示しても、方向性を変えられないことへの不満が鬱積(うっせき)していることだろう。
 この問題は、普天間飛行場の危険除去を考え、日米両政府が飛行場返還で合意してから20年近くの歩みがある。強引な政府対応の背景には、合意を履行しなければ、同盟関係にひびが入りかねないとの危機感もあるとみられる。
 強硬姿勢は「知事に安全保障にかかわる基地問題の行方を決める権限はない」と言っているようなものだ。佐賀県には米軍も絡んだ佐賀空港への自衛隊のオスプレイ配備計画があり、新知事に「佐賀のことは佐賀で決める」と主張した山口祥義氏が就任した。事情の違いはあれ、沖縄で起きていることを前にすると、こちらに決定権があるのか、不安に思えてくる。
 翁長氏は公約実現に向け、「あらゆる手法を駆使」すると息巻くが、打つ手は限られているようだ。防衛局がボーリング調査再開のため、海中に沈めた大型のコンクリート製ブロックがサンゴ礁を傷つけていることを端緒に、海底作業の許可の取り消しを目指しているが、限界もあるようだ。
 知事就任以降、翁長氏は計7度上京したが、首相や沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅義偉官房長官との会談が実現していない。政府の意に沿わない知事への意趣返しにしか見えず、大人げない。
 埋め立て工事の着手時期を中谷元・防衛相は「夏ごろ」としている。既成事実を積み重ねれば、反対運動の勢いを削ぐことになろうが、このまま突き進んでは政府と沖縄、本土と沖縄に修復しがたい溝ができる。在日米軍基地面積の74%が集中する沖縄の不満が失望に変わり、爆発しかねない。
 基地の負担軽減を目指した普天間移設の原点は、「沖縄県民のため」だったはず。政府はここに立ち戻り、まずは翁長氏らと会い、互いの言い分に耳を傾けるべきだ。(宮崎勝)



熊本日日新聞 2015年03月13日
社説:辺野古調査再開 移設の強行は禍根を残す


 「これ以上、基地はいらない」という沖縄県民の声は、政府には届かないようだ。沖縄防衛局は12日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、海底ボーリング調査を再開した。
 翁長雄志[おながたけし]知事は「大変遺憾だ」と述べ、辺野古に新基地をつくらせないためにあらゆる手法を駆使する、と対決姿勢を鮮明にした。当然の反応だろう。翁長氏は1月26日、仲井真弘多[なかいまひろかず]前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を設置。検証中は海上作業を見合わせるよう防衛局に求めていたからだ。
 地元の意向を完全に無視し、既成事実を積み上げようとする政府の姿勢はさらなる反発を招くだけだ。移設の強行は将来に禍根を残すことになる。政府はいったん調査を中止し、翁長氏や地元住民と胸襟を開いて話し合うべきだ。
 防衛局は昨年8月にボーリング調査を開始し、24カ所のうち12カ所を完了。翌9月中旬からの悪天候や11月の知事選への配慮などで中断していた。
 知事選では辺野古移設反対を訴えた翁長氏が仲井真氏らを破り初当選。12月の衆院選でも沖縄の4小選挙区で辺野古反対派候補が全勝するなど、民意は明確に示された。にもかかわらず、政府は再開した調査で地盤の強度や地質を調べ、埋め立て工事に夏ごろにも着手する意向という。
 政府は普天間飛行場の辺野古移設を容認した仲井真氏の要望を受けて、2019年2月までに普天間の運用停止を目指す方針を示している。しかし、米政府は「空想のような見通しだ」と反対を表明。辺野古に建設される代替施設完成の時期を考えると「最も早くて22年」としたとされる。普天間の永続的な使用も視野に入れているとされ、19年の運用停止は絵に描いた餅に終わる可能性もある。
 中谷元・防衛相は、19年2月の運用停止について、「翁長氏をはじめ全国の知事の協力が必要だ」と述べた。それならば、まず翁長氏と話し合う必要があろう。ところが、昨年12月の知事就任以来、安倍晋三首相や沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅義偉官房長官との面会は実現していない。さらに、政府が沖縄の米軍基地負担問題を地元首長と協議する「普天間飛行場負担軽減推進会議」も昨年10月以来開かれていない。
 これは辺野古移設に反対する翁長氏への圧力、嫌がらせではないのか。前知事のように辺野古移設を認めれば予算を潤沢につけて負担軽減も考えるが、自らの方針に反対するのであれば会いもしないというのなら言語道断だ。
 確かに普天間飛行場の移設は外交、安全保障上の案件であり、日米両政府の合意事項であろう。ならばこそ、まず地元の理解が必要だ。理解が得られないのなら、有識者らを交え別の道を探ることも検討するべきだ。
 民意を無視した基地建設は「沖縄への差別」との声も上がる。この国の民主主義が問われている。

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