2015-03-24(Tue)

辺野古停止指示 沖縄県 翁長雄志知事

辺野古沖での作業中止を指示 沖縄県、許可取り消しも

<各紙社説・主張>
朝日新聞)辺野古移設―沖縄の問いに答えよ(2/24)
毎日新聞)沖縄の対抗措置 政府は追い詰めるな(2/24)
東京新聞)辺野古基地調査 県に従い作業停止を(2/24)
しんぶん赤旗)米軍新基地建設 「この期に及び」強行許されぬ(2/24)
信濃毎日新聞)辺野古移設 政府はごり押しやめよ(3/24)
京都新聞)辺野古停止指示  政府は亀裂を深めるな(3/24)
琉球新報)新基地停止指示 安倍政権は従うべきだ 知事判断に正当性あり(3/24)
沖縄タイムス)[辺野古 作業停止指示]筋を通した重い判断だ(3/24)
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琉球新報)新基地阻止集会 屈しない強固な民意示した(3/22)
沖縄タイムス)[辺野古反対集会]揺るがぬ民意を示した(3/22)

<各紙報道>
辺野古沖での作業中止を指示 沖縄県、許可取り消しも



以下引用



朝日新聞 2015年3月24日(火)付
社説:辺野古移設―沖縄の問いに答えよ


 政府はどこまで問答無用の姿勢を続けるつもりなのか。
 沖縄県翁長雄志知事はきのう、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設に伴う埋め立て工事に向けたボーリング調査など一連の作業を1週間以内に停止するよう、沖縄防衛局に指示した。
 指示に従わなければ、昨年8月に仲井真弘多・前知事が出した「岩礁破砕許可」を取り消すとしている。
 翁長知事は会見で「腹を決めている」と述べた。沖縄側の最後通告ともいえる意思表示と考えるべきだろう。
 これまでの経緯を振り返ると、「沖縄の方々の理解を得る努力を続けながら」と言ってきたはずの政府が実際には、沖縄の訴えに耳を閉ざして「粛々と」作業に突き進んできた状況がある。
 岩礁破砕は海底の地形を変化させる行為。水産資源への影響を避けるため、県漁業調整規則で知事の許可が必要だ。
 ことの発端は1月、沖縄防衛局が海底に大型のコンクリートブロックをいくつも沈めたことだった。
 ブロックの投下は、許可区域を広く取り囲むように設定された立ち入り禁止区域に沿って行われ、許可区域外の海底のサンゴ礁などが傷ついているおそれがある。県は独自調査に取り組み始めていた。
 しかし立ち入り禁止区域での調査は米軍に拒まれ、県は再度調査を申請している。翁長知事は今回、防衛局に調査への協力も求めた。
 翁長知事は仲井真前知事が出した埋め立て承認を検証する第三者委員会の結論が出るまで、作業の中止を要求した。それを無視して政権側はボーリング作業に突き進んだ。
 政府はブロック投下について「(前知事時代に)県から岩礁破砕手続きの対象とならないと示されていた」と主張し続け、「対象となる」とする県の言い分に聞く耳を持たない。
 知事選で辺野古移設阻止を公約して当選した翁長知事にしてみれば、知事の行政権限を駆使して沖縄の立場を訴える行動に出るのは当然の流れだろう。
 知事の姿勢を、中谷防衛相は「もう少し沖縄県のことや日本の安全保障を踏まえて考えていただきたい」と批判する。
 だが、米軍基地が集中する沖縄の県民にとっては、国の安全保障政策は「なぜ辺野古か」「なぜ沖縄に海兵隊か」といった疑問だらけである。沖縄からの深刻な問いかけに、政府はまず向き合うべきだ。



毎日新聞 2015年03月24日 02時40分
社説:沖縄の対抗措置 政府は追い詰めるな


 沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた海底作業を1週間以内に停止するよう防衛省の沖縄防衛局に指示した。指示に従わなければ、岩礁破砕許可を取り消すことがあると警告している。政府は直ちに作業を停止し、県との話し合いに応じるべきだ。
 昨秋の知事選で、移設に反対する翁長知事が誕生して以来、政府と沖縄の亀裂は深まるばかりだ。今回も両者の主張は完全にすれ違う。
 県は前知事時代の昨年8月、辺野古の埋め立て区域内で、海底の岩石を砕いて土砂を採取する岩礁破砕許可を防衛局に出した。しかし今年に入り、海底ボーリング調査再開の準備作業として、防衛局が立ち入り制限区域を示すブイ(浮標)などの重り用にコンクリート製ブロックを海に沈めたところ、県の岩礁破砕許可の区域外でブロックがサンゴ礁を押しつぶしているのが見つかった。
 一方、政府は昨年、破砕許可を得る過程で、ブイや重りの設置について県に問い合わせたが、手続きは不要だという回答を受けた。菅義偉官房長官は「この期に及んではなはだ遺憾だ。法律に基づいて粛々と工事を進める」と県の対応を批判した。
 だが、政府の一連の行政手続きの前提となっている前知事の辺野古埋め立て承認は、昨秋の知事選で県民から信任を得られなかった。
 県から見れば、重りの設置手続きが不要という昨年の回答は、サンゴ礁を傷つけるほど大型のブロックを想定していなかったためだ。許可区域外でサンゴ礁の破壊が明らかになった以上、防衛局は許可を取り直すべきだということになる。
 県の岩礁破砕許可は、県漁業調整規則に基づき「公益上の理由により別途指示する場合は従うこと」「条件に違反した場合は許可を取り消すことがある」と規定している。県はこれに従って、許可の取り消しを検討すると説明している。
 政府が手続き上の問題はないというのは、一つ一つの行為だけを取り上げればそういう理屈も成り立つのかもしれない。だが、問題がここに至ったのは、政府が沖縄との対話の扉を閉ざしたまま、一方的に移設作業を進めてきたことが背景にある。
 政府が今のやり方を進めていっても、その先には何の展望も見いだせない。沖縄の理解と納得がないまま、将来、仮に辺野古に代替施設が完成したとしても、それは日米安保体制の強化につながるだろうか。
 むしろ、いつ暴発するともわからない県民感情を抱えて、同盟は不安定化しかねない。これ以上、沖縄を追い詰め、感情的な対立を深めれば、問題解決は遠のくばかりだ。



東京新聞 2015年3月24日
【社説】辺野古基地調査 県に従い作業停止を


 それでも安倍内閣は、米軍基地の新設に向けて作業を強行するのか。沖縄県の許可区域外で岩礁を破壊した可能性が高いという。翁長雄志知事の指示に従い、海上作業をいったん停止すべきだ。
 安倍内閣が名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部で進めている米軍基地新設に向けた作業は、あまりにも乱暴ではないのか。
 翁長氏はきのう、沖縄防衛局が海底掘削調査のために投入したコンクリート製ブロックがサンゴ礁を損傷した可能性が高いとして、県が海底調査を実施してあらためて指示するまでの間、すべての作業を一時停止するよう指示したことを明らかにした。
 指示に従わなければ、海底の岩石採掘と土砂採取など、岩礁破砕に関する許可を取り消すことも検討する、という。
 政府側は「現時点で作業を中止すべき理由は認められない」(菅義偉官房長官)として、指示に従わない方針のようだ。
 菅氏は常々「法令に基づいて粛々と対応する」と述べているが、県の指示も法律や県の規則にのっとった法的手続きだ。安倍内閣が日本は法治国家だと自負するのなら、まず県の指示に従い、作業を停止させるべきではないか。
 安倍内閣が辺野古での作業を進める根拠としているのは、公約に反して米軍普天間飛行場の県内移設容認に転じた仲井真弘多前知事による埋め立て許可である。
 しかし、仲井真氏は昨年十一月の県知事選で、県内移設反対を掲げた翁長氏に敗れた。前回当選時の公約を破った仲井真氏に、県民は厳しい審判を突き付けたのだ。
 続く十二月の衆院選でも、沖縄県内の全四小選挙区で県内移設を掲げる自民党候補は敗北した。
 にもかかわらず、安倍内閣は県内移設を拒む沖縄県民の民意に向き合おうとせず、翁長氏と政権首脳との面会も拒み続けている。抗議活動中の市民を逮捕、排除してまで作業を進めようとする。そんな法治国家がどこにあるのか。
 翁長氏が会見で指摘したように県民の理解を得ようとする政府の姿勢は「大変不十分」である。まずは安倍晋三首相の方から沖縄県民に歩み寄るべきだ。
 在日米軍基地の約74%が沖縄県に集中する現状は異常だ。普天間飛行場返還のためとはいえ、その負担を同じ県民に押し付けていいわけがない。基地負担を極力減らし、日本国民が可能な限り等しく分かち合うために力を尽くす。それが政治の仕事のはずである。



しんぶん赤旗 2015年3月24日(火)
主張:米軍新基地建設 「この期に及び」強行許されぬ


 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志県知事は、沖縄防衛局が辺野古沖で強行している海底ボーリング(掘削)調査などの中断を指示し、指示に従わなければ、ボーリング調査の根拠となっている仲井真弘多前知事時代の岩礁破砕許可を取り消すことがあると通知しました。昨年11月の県知事選で翁長知事が「オール沖縄」の意志として掲げた「新基地建設阻止」の公約に基づく行動です。翁長知事を支え、安倍晋三政権による新基地建設強行を許さない県民・国民のたたかいを一層強めることが必要です。
道理のない立ち入り拒否
 翁長知事の指示は、安倍政権が新基地建設に向けた海上作業のために設けた立ち入り禁止海域(臨時制限区域)やその内側のボーリング調査実施海域を囲むブイ(浮標)やフロート(浮具)を固定する巨大コンクリートブロックがサンゴ礁を破壊している問題にかかわるものです。
 翁長知事は岩礁破砕許可区域外でのコンクリートブロックの設置について「許可を得ずに岩礁破砕行為がなされた蓋然(がいぜん)性が高い」として、「県が必要とする調査を実施する」と通知しました。県はこのため、米軍に再度立ち入り禁止海域内での調査を申請しており、実現に向け安倍政権は「責任ある対応」(翁長知事)を行うべきです。
 沖縄防衛局は昨年夏、ブイやフロートを固定するために海底にアンカー(いかり)約250個を設置しました。ところが、このうち半数近くが昨年10月の台風通過後に消失し、アンカーが海底を傷つけた痕跡も多数見つかりました。
 こうした事態を受け防衛局は今年1月に入り、県との協議も行わず、それまでの重さ百数十キロのアンカーに代え、これをはるかに上回る数十トン規模のコンクリートブロックを次々と海底に投下しました。このコンクリートブロックがサンゴ礁を破壊していることが発覚し、県も調査に乗り出しました。
 ところが、県の調査は立ち入り禁止海域の外側でしかできず、米軍が管理する立ち入り禁止海域の内側は「運用上の妨げになる」という理由で拒否されました。その上、米軍が立ち入り調査を拒否した直後に、沖縄防衛局は昨年秋以降中断していたボーリング調査の再開を強行しました。
 米軍の立ち入り調査拒否に道理がないことは、翁長知事が沖縄防衛局に出した通知で明白です。
 立ち入り禁止海域内では「民間工事船や海上保安庁の船艇が多数出入りし」、沖縄防衛局も「自らの潜水調査を実施して」おり、県の調査船の立ち入りだけが「運用上の問題」になるなどというのは拒否の理由に全くなりません。「(昨年6月に)立ち入り制限が課される前までは自由に航行できた水域について、県の公務遂行の調査さえ出来ないということは、不合理きわまりないものである」という指摘も当然です。
県民の審判は明白
 菅義偉官房長官は知事の指示について「この期に及んで甚だ遺憾だ」などと述べ、作業を中止する考えを示しませんでした。しかし、安倍政権が、知事選や総選挙で審判が明らかになってもなお、「この期に及んで」新基地建設をあくまで強行しようとすることこそ決して許されない行為です。



信濃毎日新聞 2015年03月24日(火)
社説:辺野古移設 政府はごり押しやめよ


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる沖縄県民と政府との対立が、ますます抜き差しならない状況になってきた。
 翁長雄志知事が記者会見し、政府が進めている海底ボーリング調査を含め「海底面の現状を変更する行為を全て停止する」ことを沖縄防衛局に指示したことを明らかにした。政府が指示に従う可能性は低い。
 対立の原因は県民の反対を押し切って移設を強行しようとしている政府にある。政府は、沖縄の民意を力ずくでねじ伏せるやり方をやめて、対話による問題の打開に転換すべきだ。
 政府は先日、辺野古のボーリング調査を再開した。知事選などへの影響を考え、昨年夏から中断していた調査である。
 調査は海上や沿岸部で住民の抗議行動に取り囲まれ、もみ合いが続いている。反対派女性の一人を海上保安官が馬乗りになって制圧するなど、乱暴な警備が住民の怒りを駆り立ててもいる。
 「法律に沿って粛々と工事を進める」。菅義偉官房長官は繰り返す。仲井真弘多前知事による許可を根拠に調査を続ける構えだ。
 前知事が埋め立てを承認した後の知事選で、移設反対を掲げた翁長氏が前知事を大差で破り、当選している。12月の総選挙では県内四つの小選挙区全てで自民党の公認候補が敗北した。
 県民は辺野古移設に対し明快に「ノー」の意思表示をしている。前知事の承認を根拠に、政府が作業を続けるのは許されない。翁長知事が調査をやめさせようとするのは当然だ。
 知事はきのうの会見で、埋め立て承認手続きの経緯を検証し、場合によっては撤回する考えも示した。検証のための第三者委員会は既に議論をスタートしている。早ければ4月にも報告がまとまる見通しだ。知事が姿勢を軟化させる見通しはない。
 翁長知事の就任後、政府は沖縄県に対する圧力を露骨に強めている。知事が何度も上京し安倍晋三首相との面会を求めても応じようとしない。2015年度予算案では沖縄振興予算を減額した。自民党も知事を党の会合に呼ばないままだ。仲井真前知事のときとは打って変わった対応である。
 冷遇すればそのうち音を上げる、と高をくくっているとすればとんでもない考え違いだ。住民意思を無視しての移設は沖縄では、本土による差別と受け止められている。対話の姿勢を欠いては、打開の道は遠くなるばかりだ。



[京都新聞 2015年03月24日掲載]
社説:辺野古停止指示  政府は亀裂を深めるな


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、政府と沖縄の亀裂が決定的になろうとしている。
 辺野古沿岸部でボーリング調査の再開を強行した沖縄防衛局に対し、沖縄県の翁長雄志知事は投入したコンクーリート製ブロックがサンゴ礁を損壊しているとして全作業の停止を指示した。1週間以内に従わなければ岩礁破砕に関する許可を取り消す可能性も示唆した。
 翁長知事が公約の辺野古移設阻止へ本格的に動きだした格好だ。法廷闘争も視野に停止指示を決断した背景には、昨年の知事選や衆院選などで示された「移設反対」の民意と向き合おうとしない政府への不信がある。事前説明なしに調査を再開し、再三上京しても安倍晋三首相や菅義偉官房長官が会おうともしないことへの憤りも決断を後押ししたのだろう。
 県は、移設推進派の仲井真弘多前知事時代に県漁業調整規則に基づいて岩礁破砕を許可したが、県はブロック投入は「許可の対象外」と説明していた。県側は、許可が取り消されれば、ボーリング調査ができなくなるとしている。
 この動きに対し、官房長官は「この期に及んで甚だ遺憾」と反発し、夏ごろの埋め立て着手を見据えて「粛々と工事を進める」と突き放した。このまま強硬姿勢を貫くつもりなのだろうか。
 安倍首相は4月末の訪米に向けて辺野古移設計画の進展を鮮明にしたいようだ。だが、米海兵隊の司令官は米議会上院軍事委員会の公聴会で辺野古移設に懸念を表明した。これ以上こじれれば、県民の怒りの矛先が沖縄の米軍基地全体に及ぶことを憂慮しての発言だろう。移設に揺れる沖縄の姿が、当の米軍関係者の目にも危ういと映っているとみていい。
 政府が優先すべきは強引な移設計画推進ではなく、沖縄との関係修復だ。ボーリング調査の現場では、反対派住民との間で衝突が頻発している。強引に進めれば反対派もエスカレートし、取り返しのつかない事態に発展しかねない。
 菅官房長官は県側に説明責任を果たす考えを示した。遅きに失した感は否めないが、まずは自ら沖縄に出向いて知事との対話を始めることだ。「辺野古移設しかない」という根拠は何か、県民が納得のいく説明をしなければならない。
 地元の理解が得られないまま移設を進めても、安全保障にプラスになるとは思えない。政府は、沖縄だけでなく、日本の将来のためにいったん調査を止め、誠実に民意と向き合うべきだ。



琉球新報 2015年3月24日
<社説>新基地停止指示 安倍政権は従うべきだ 知事判断に正当性あり


 目の前に横たわる不条理に対し、冷静に法理を尽くし、粛々と是正を求める権限行使である。沖縄の尊厳を懸けた安倍政権との攻防は新たな局面を迎えた。
 名護市辺野古への新基地建設に向け、国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング(掘削)調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示した。
 作業停止を拒む政府に対し、翁長知事は「腹は決めている」と述べた。埋め立て本体工事の基盤となる岩礁破砕許可も取り消される公算が大きくなった。
「主権」はどこへ
 翁長知事は安慶田光男、浦崎唯昭の両副知事と共に会見した。新基地建設阻止に向けた不退転の決意を県内外に示す狙いがあろう。
 「沖縄のことは沖縄が決める」。われわれは地方自治の原則に根差した知事の決断を強く支持する。
 問題を整理しよう。国は新基地建設に抵抗する市民を排除するため、埋め立て海域を取り囲む臨時立ち入り制限区域を設けた。その上で、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事から昨年8月に岩礁破砕の許可を得た。
 広大な臨時制限区域を示す浮標灯を固定する重りとして、沖縄防衛局は海底に最大160キロの鋼板アンカー248個を設置したが、大型台風で120個が流出した。
 消えたアンカーの代わりにしたブロック塊の重量は10~45トン、低く見積もっても当初のアンカーの62~280倍に及ぶ。環境保全に背を向けた常軌を逸した対応だ。
 埋め立て海域とは関係ない海域で巨大なブロックがサンゴ礁を無残に押しつぶしている。「無許可行為」が確認されれば、岩礁破砕許可取り消しなどを命じることができる。知事の作業停止指示には環境破壊を防ぐ法的正当性がある。
 一方、県は臨時制限区域内で、サンゴ礁の破壊の有無を調べる立ち入り調査を申請したが、米軍は「運用上の理由」を挙げ、不許可にした。
 だが、沖縄防衛局は連日、潜水調査を実施しており、運用上の理由は成り立たない。防衛省や外務省は県の調査実現の仲介さえしようとしない。狭量な二重基準が極まっている。
 安倍政権と米軍が気脈を通わせた県排除の構図だ。日本国内の環境を守るための調査さえかなわないなら自発的な「主権喪失」と言うしかない。安倍晋三首相が国会などで連呼してきた「主権」は沖縄では存在しないかのようだ。
低劣な品格あらわ
 「全く問題はない」。沖縄の基地負担軽減を担当しているらしい菅義偉官房長官はこの日も硬い表情で断定調の「全く」を再三口にした。強気一辺倒の物言いには、沖縄を敵視する響きがある。
 見たくない現実から目を背け、都合のよい事情だけ取り入れて強がり、恫喝(どうかつ)する。仲井真前知事による埋め立て承認にすがりつき、沖縄の民意を問答無用で組み敷くことしか打つ手がないことの表れだ。子どもじみた心性が際立つ。民主主義の価値を損なう政権の低劣な品格が映し出されている。
 沖縄の民意は「普天間固定化ノー、辺野古新基地ノー」だ。掘削強行や人権無視の過剰警備など、安倍政権のやることなすことが沖縄社会の反発を強める悪循環に陥っている。「辺野古移設か、固定化か」という脅しも沖縄に基地を押し込める差別を助長している。
 普天間飛行場は戦後、米軍が民有地を強制接収して造った。奪われた土地にできた基地を動かす先がなぜ県内なのか。かつて県内移設を認めていた県民も根本的な疑念を深め、今は総じて7割超が反対している。普天間飛行場を抱える宜野湾市でも民意は鮮明だ。昨年の県知事選と衆院選で危険性除去を訴えた仲井真前知事と自民党現職は大差をつけられた。
 民主主義を重んじる正当性は沖縄にある。安倍政権は工事停止指示を受け入れるべきだ。追い込まれているのは政権の側である。



沖縄タイムス 2015年3月24日 05:30
社説:社説[辺野古 作業停止指示]筋を通した重い判断だ


 名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志知事が、自らの権限を行使し、新たな対抗措置に踏み切った。ボーリング調査を含むすべての海上作業を1週間以内に停止するよう沖縄防衛局に指示したのである。
 国が指示に従う可能性は極めて低い。従わなければ来週にも岩礁破砕の許可を取り消す考えだ。
 海底の岩石採掘と土砂採取などを内容とする岩礁破砕の許可が取り消されれば、埋め立て工事の着工に影響を与えるのは確実である。
 翁長知事にとっては就任以来、最も重い政治決断といえる。なぜ、何を根拠に、知事は作業の停止を求めたのか。一連の経過を冷静に吟味すれば、筋の通った毅然(きぜん)とした判断であることが理解できる。
 県は昨年8月、仲井真弘多前知事の時に、県漁業調整規則に基づき埋め立てに必要な岩礁破砕を許可した。
 しかし今年2月、海底ボーリング調査を再開するため海中にコンクリート製の大型ブロックを投入した際、許可区域外にコンクリートブロックを設置し、サンゴを傷つけていたことが県の潜水調査で分かった。
 翁長知事は「漁業調整規則違反の懸念が払拭(ふっしょく)できない」と主張、調査が終了するまでのすべての作業の中止を指示したのである。
 併せて県は、臨時制限区域への立ち入り調査を認めるようあらためて沖縄防衛局に申請した。公務遂行のための調査であるにもかかわらず、米軍は、県の立ち入り調査を認めていないからだ。
    ■    ■
 臨時制限区域内では、民間の工事船や海上保安庁の警備船が多数出入りし、沖縄防衛局も独自の潜水調査を実施している。なのに、県の調査だけを認めないというのは、嫌がらせと言うしかない。
 菅義偉官房長官は「国としては十分な調整を行った上で許可をいただき工事をしている。全く問題ない」と法的正当性を強調する。だが、岩礁破砕の許可には条件がついており、条件に反する行為が確認されれば、許可を取り消すのは当然である。
 それよりも何よりも最大の問題は、前知事の埋め立て承認を唯一の根拠に、県との一切の対話を拒否し、選挙で示された民意を完全に無視し、抗議行動を強権的に封じ込め、一方的に作業を続けていることだ。
 埋め立て承認が得られたからといって、公権力を振り回して問答無用の姿勢で新基地建設を進めることが認められたわけではないのである。
    ■    ■
 国の環境監視等委員会(第三者機関)に配布した資料の改ざん、議事録公開の遅れが問題になっている。同委員会の副委員長は、国の環境影響評価(アセスメント)に不満を抱き、辞任を表明した。
 埋め立て承認の適法性に疑問符が付いているだけでなく、国の環境影響評価の信頼性も、疑われ続けているのである。「1強多弱」の国会の中で、安倍政権におごりや慢心が生じていないか。新基地建設は、今や完全に「負のスパイラル(らせん)」に陥っている。異常な事態だ。

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琉球新報 2015年3月23日
<社説>新基地阻止集会 屈しない強固な民意示した


 豊かな生態系を育む美ら海をつぶす新基地建設は決して許さない。沖縄を組み敷こうとする安倍政権に決して屈しないという強固な意思が重層的に示された。
 米軍普天間飛行場に代わる新基地建設に向けた海底掘削調査が再開されて初めて、名護市辺野古沖への新基地建設阻止を訴える県民集会が名護市瀬嵩の浜で開かれた。
 会場は海上工事が進む大浦湾が目の前に広がる。埋め立て海域を遠巻きにする臨時制限水域を示すフロートが数百メートル沖に浮かび、集会中も抗議するカヌー隊が拘束された。
 工事や調査に影響するとは思えない区域まで囲い込み、県民を排除して恥じない。県内外から駆け付けた約3900人の参加者が、安倍政権の強権性を現地で目に焼き付けた意義は大きい。
 翁長雄志知事の名代として参加した安慶田光男副知事は「知事は近々最大の決意をし、決断すると思う」と明言した。沖縄防衛局に出した岩礁破砕許可の取り消しを強く示唆した発言にひときわ大きな拍手が湧いた。
 翁長県政の取り組みを懸念する声があることも確かだが、集会は「ウマンチュの声を聞く翁長県政だからこそ、(新基地の)歯止めとなる」(呉屋守将・島ぐるみ会議共同代表)ことを再認識する場となった。一人一人の主体的な行動が知事を支え、「自己決定権」を発揮することが新基地をはね返す原動力になることを共有した。
 沖縄の民意と環境保全に背を向けて久しい安倍政権に対し、翁長知事は臆することなく、粛々と対抗策を講じてもらいたい。
 沖縄防衛局は海底掘削調査の期間を3カ月延ばす。政府が7月ごろを目指すとしていた本体工事の着工時期は秋以降にずれ込む。
 昨年8月の工事着手以来、選挙や天候に影響された面はあっても、工事が大幅に遅れているのは、海上とキャンプ・シュワブのゲート前で粘り強く続く非暴力の反対運動の成果である。
 県民の支援も広がり、アイデア豊富な取り組みを展開する若者が存在感を増している。集会で沖縄の不条理を正す決意を表明した20代の4人の若者の感性豊かな発言は参加者の胸を打った。
 理性を失った力ずくの海上作業は、安倍政権の側が追い込まれつつあることと背中合わせである。沖縄の民意は揺るがない。首相は新基地断念に踏み出すべきだ。



沖縄タイムス 2015年3月22日 05:30
社説:[辺野古反対集会]揺るがぬ民意を示した


 瀬嵩の浜に集まった3900人の表情には、民意を顧みない日米両政府への怒りと、豊かな海を守り抜く強い決意があふれていた。
 名護市辺野古への新基地建設に反対する県選出国会議員や県議、市民団体でつくる「止めよう辺野古新基地建設実行委員会」が主催した同市瀬嵩での集会だ。
 会場となった砂浜は目の前に大浦湾を望む。穏やかで美しい海だが、常時立ち入りを禁止する臨時制限区域を示すフロートが、湾を取り囲むように張り巡らされている光景は異様である。
 海上では、基地建設に抗議するカヌー隊と海上保安庁職員とのにらみ合いが続いていた。そこが今、日米両政府によって沖縄の海と県民が遮断されている現場だ。
 集会には、翁長雄志知事の代理として県首脳で初めて安慶田光男副知事が出席した。「知事が近いうちに必ず最大の決意、決断をする時期が来る」。安慶田氏の発言に会場が沸いた。
 新基地は造らせない-。瀬嵩の浜を包んでいたのは、知事の強い決意と県民の意思が揺るぎないものであることを示す一体感だった。
 前知事の仲井真弘多氏は2011年、雑誌のインタビューでこう語っている。
 「仮に知事の私が埋め立て許可を出しますと言っても、反対する市民がみんなで抵抗したら工事はとてもできない。できないことを両政府が決める意味が分からない」
 まさに今、現実は仲井真氏が語っていた方向に向かいつつある。
    ■    ■
 新基地建設に向けた国と米軍のなりふり構わぬ姿勢は目に余る。仲井真氏が埋め立て承認の際に環境保全の担保とした国の環境監視等委員会は、機能を果たしていない。
 議事録は委員会開催から9カ月余りたってから公表された。資料の改ざんも発覚した。委員会への配布資料で3本と明記された仮設桟橋・岸壁の数が公開時には1本に書き換えられていた。
 同委員会の副委員長を務める琉球大学の東清二名誉教授は辞意を表明している。「結論ありきで、専門家のお墨付きをもらうためで意味がない」という理由からだ。
 サンゴ損傷が疑われる臨時制限区域内への県の立ち入り調査を米軍は不許可とした。一方で、沖縄防衛局は同区域内で潜水調査を行っていたことも明らかになった。あからさまな「二重基準」である。姑息(こそく)な手法は、そもそも計画に無理があることを証明しているようなものである。
    ■    ■
 安倍晋三首相は「辺野古が唯一の選択肢だ」と繰り返し述べるが、これこそ欺瞞(ぎまん)に満ちたものだ。選択肢のない政策などあり得ない。辺野古以外の選択肢を日米両政府で検討すべき時だ。
 もしこれ以上、強行すれば、さまざまな破壊が進むことになる。大浦湾の豊かな生物多様性は破壊され、地域づくりに取り組んできた住民の結束は破壊される。それが日米関係の不安定化を招き、結果としてマイナスになるだろう。両政府はそのことに早く気付くべきだ。

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<各紙報道>



辺野古沖での作業中止を指示 沖縄県、許可取り消しも


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沖縄タイムス
2015年3月24日 13:20
沖縄防衛局が審査請求手続き 
沖縄防衛局は翁長沖縄県知事の辺野古海底作業停止指示を不服とし、行政不服審査法の審査請求手続きに入った。(共同通信)

沖縄タイムス 2015年3月24日 10:59
辺野古ボーリング調査継続 知事の停止指示無視

翁長雄志知事が全ての作業を中止するよう指示した翌日も作業員が上がるスパット台船と、監視するカヌー隊=24日午前10時すぎ、名護市辺野古
 【名護】名護市辺野古への新基地建設で、翁長雄志知事が沖縄防衛局に7日以内に作業の全面停止を指示した翌24日午前、防衛局は海底ボーリング調査を続けている。翁長知事の指示を無視した格好で、防衛省幹部は「引き続きのボーリング調査だ」と作業継続を認めた。


日本経済新聞 2015/3/23 12:17
辺野古調査の中止要請へ 沖縄県、許可取り消しも
 沖縄県は23日、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部で、政府が進める海底ボーリング(掘削)作業を中止するよう沖縄防衛局に要請する方針を固めた。翁長雄志知事は沖縄防衛局が応じない場合、県が昨年8月に出した岩礁破砕許可を取り消す意向だ。翁長知事が23日午後に記者会見で県の方針を説明する。
 県は2月に辺野古沿岸部の海底で現地調査を実施。県が許可した区域の外で防衛局の設置したコンクリート製ブロックが「サンゴ礁を破壊した蓋然性が高い」(翁長知事)とみる。これに対し沖縄防衛局は3月12日、昨年9月に中断した海底ボーリング作業を再開し県と対立が続いている。県は岩礁破砕許可がなければ、ボーリング作業はできなくなるとしている。
 菅義偉官房長官は23日の記者会見で「甚だ遺憾だ。法律に基づき粛々と工事を進めていきたい」と述べ、移設作業に影響はないとの認識を示した。


日本経済新聞 2015/3/23 15:27
沖縄県、辺野古沖掘削調査中止を防衛局に指示
 沖縄県は23日、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部で、政府が進める海底ボーリング(掘削)調査を含む移設作業を中止するよう沖縄防衛局に指示した。1週間以内に移設作業を中止しない場合「岩礁破砕許可を取り消すことがある」とした。23日午後に記者会見した翁長雄志知事は「腹は決めている」と述べ、来週にも許可を取り消す考えを示した。
 翁長知事が取り消しに言及したのは、仲井真弘多前知事が昨年8月に出した岩礁破砕許可。県は今年2月に辺野古沿岸部の海底を調査。県が出した許可の範囲外で沖縄防衛局が設置したコンクリート製ブロックにより「サンゴ礁が破壊された蓋然性が高い」(翁長知事)と主張していた。
 一方、沖縄防衛局は3月12日に中断していた海底ボーリング調査を再開。政府と県の対立が深まっていた。県は岩礁破砕許可を取り消せば、沖縄防衛局がボーリング作業を続けることはできないとしている。


時事通信 (2015/03/23-20:23)
沖縄知事、辺野古移設の停止指示=政府は続行の構え-期限1週間、許可取り消しも
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設作業の停止指示に関し、記者会見する沖縄県の翁長雄志知事=23日午後、沖縄県庁
 沖縄県の翁長雄志知事は23日午後、防衛省沖縄防衛局に対し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた海底ボーリング調査など、全ての海上作業を30日までに停止するよう文書で指示した。知事はこの後、県庁で記者会見し、政府側が応じなければ「岩礁破砕許可を取り消すこともある」と述べ、強硬手段も辞さない姿勢を示した。
 これに対し、菅義偉官房長官は会見で「甚だ遺憾だ」と批判。「文書の内容を精査した上で法令にのっとって対応する」とした上で、「一般論として、現時点において作業を中止すべき理由は認められない」と語り、作業を続行する構えを示した。政府関係者は23日夜、県が岩礁破砕許可を取り消した場合、「法的措置も検討する」と明言した。県と政府側の対立は先鋭化が避けられず、普天間飛行場移設問題は重要な局面を迎えた。
 会見で知事は、防衛局が今年1月、辺野古沖の岩礁破砕許可区域外に大型コンクリート・ブロックを設置したことについて、「許可を得ずに岩礁破砕行為がなされた蓋然(がいぜん)性が高い」と指摘。サンゴ礁の損傷状況を県が調査する必要があるとして、1週間以内に全ての海上作業を停止するよう指示したと説明した。
 また、政府側が指示に従わなかった場合の破砕許可取り消しに関し、知事は「腹は決めている」と語り、厳しい態度で臨む意向を示した。最終的に法的手段に訴える可能性についても「そのようなことも念頭に対応したい」と排除しなかった。 
 翁長知事は昨年11月の知事選で、辺野古移設阻止を掲げて仲井真弘多前知事を破り初当選。前知事が辺野古埋め立てを承認した手続きに法的瑕疵(かし)がなかったかを検証する第三者委員会を1月に設置し、検証結果が出るまで作業を中断するよう求めていた。しかし、防衛局は応じず、昨年9月から中断していたボーリング調査も今月12日に再開した。


朝日新聞 2015年3月23日12時27分
辺野古関連の許可取り消し検討 沖縄知事、方針表明へ
 沖縄県の翁長雄志知事が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設予定地・名護市辺野古での埋め立てに必要な岩礁破砕許可の取り消しに向けた最終的な検討を事務方に指示したことがわかった。午後にも記者会見し、当面の方針を示す。実際に取り消せば、「移設阻止」を掲げる翁長知事が移設関連の許可を初めて取り消すこととなり、計画に影響を与える可能性がある。
 関係者によると、取り消しに先立ち、現在進められている作業の中止や、コンクリートブロックの設置により損傷したサンゴの原状回復についても、沖縄防衛局に求める方向で検討している。その上で取り消しの可能性に踏み込むことで、移設を強行する政権を牽制(けんせい)する狙いがありそうだ。
 埋め立てには、公有水面埋め立て承認と岩礁破砕許可の両方が必要で、破砕許可を取り消しても埋め立て承認は有効なままとなる。
 菅義偉官房長官は23日午前の定例会見で「(コンクリートブロックの設置については)防衛省と沖縄県の事前調整の段階で、知事が定める県漁業調整規則などを踏まえて十分な調整を行って実施されたというふうに報告を受けている。この期に及んで(許可取り消しが)検討されているとすれば、はなはだ遺憾だ」と述べた。


NHK 2015年3月23日 15時05分
沖縄県知事 辺野古沖での作業中止を指示
沖縄県の翁長知事は臨時の記者会見を行い、アメリカ軍普天間基地の移設計画を巡って、沖縄防衛局に対し、名護市辺野古沖での作業を1週間以内に中止し県の現地調査に協力するよう指示したことを明らかにしたうえで、指示に従わない場合は前の知事が出した埋め立て工事で岩礁を破壊する許可を来週にも取り消す方針を示しました。
この中で沖縄県の翁長知事は、アメリカ軍普天間基地の移設に向けて沖縄防衛局が行っているボーリング調査に関連して、「知事の許可を得ずに岩礁破砕がされた蓋然性が高いと思量されることから、県が必要とする調査を実施する」と述べました。
そして翁長知事は、「調査終了後、改めて指示するまでの間、海底面の現状を変更する行為のすべてを停止するよう指示した」と述べ、沖縄防衛局に対し、ボーリング調査も含めて名護市辺野古沖での移設に向けたすべての作業を1週間以内に中止し県が独自に行っている現地調査に協力するよう、23日指示したことを明らかにしました。
 そのうえで翁長知事は、「指示に従わなかった場合は許可を取り消すことになる。腹は決めている。そういった事態になった場合は、粛々とさせていただきたい」と述べ、沖縄防衛局が指示に従わない場合は、去年8月に前の知事が出した埋め立て工事で岩礁を破壊する許可を来週にも取り消す方針を示しました。
 また翁長知事は、「政府は一貫して『沖縄県民に理解を求めながら粛々と』としているが、大変不十分ではないか」と述べ、政府の姿勢を批判しました。
反対グループは拍手
沖縄県名護市辺野古の埋め立て予定地に隣接するアメリカ軍キャンプシュワブのゲート前には、午前中から移設計画に反対する市民グループのメンバーなど80人余りが集まり、ボーリング調査の中止などを求めて抗議の声を上げました。
 午後になって、翁長知事の会見の内容が伝えられると、全員から拍手が沸き起こり、移設計画に反対する意思を改めて確認していました。抗議活動に参加した南城市の60代の男性は「やっと知事が決断してくれて心強く感じる。これから国の圧力がさらに増してくると思うが、県民が一致団結して翁長県政を支え、新基地の建設が断念されるまで頑張りたい」と話していました。
「許可取り消せば埋め立て工事できず」
沖縄県は、沖縄防衛局が名護市辺野古沖で行っているボーリング調査について、県の漁業調整規則に基づいて、去年8月に前の知事が出した埋め立て工事で岩礁を破壊する許可によって実施を認めているとしています。
 許可には、県の規則で条件が付けられていて、▽公益上の事由等により別途指示をする場合はその指示に従うこと、▽申請外の行為をし、または条件に違反した場合は、許可を取り消すことができるとなっています。
 沖縄県は、許可を取り消せば岩礁を破壊する行為は認められないことになり、ボーリング調査だけでなく埋め立て工事そのものも行うことができないとしています。
名護市長「説得力ある内容」
沖縄県の翁長知事が示した方針について、アメリカ軍普天間基地の移設計画に反対する名護市の稲嶺進市長は、「翁長知事が今回の方針を示すまでに時間はかかったが、行政としての判断には根拠や整合性が必要で、きょうの発言は説得力のある内容だと思う。沖縄県の指示に関わらず、今後、国が移設計画を強行しようとするなら、法治国家としてどうかと疑わざるを得ない」と述べ、国は移設に向けた作業を中止して沖縄県の指示に対応すべきだという考えを示しました。 
防衛省「工事に入れない可能性も」
防衛省は、沖縄県が埋め立て工事で岩礁を破壊する許可を取り消したとしても、現在行っているボーリング調査については許可を得る前の去年7月に沖縄県と協議して実施の了承を得ているとして、作業を続けることに問題はないとしています。一方、早ければことしの夏ごろの開始を目指している埋め立て工事は、沖縄県知事による岩礁を破壊する許可に基づいて行うもので、許可が取り消されれば工事に入れない可能性もあるとしています。防衛省は、沖縄県知事の許可が水産資源保護法に基づいて行われていることから、法律を管轄する農林水産省に対し、許可の取り消しの無効を求め行政不服審査法に基づく不服審査請求を行うことも検討しており、農林水産省が不服審査請求を認めた場合、許可の取り消しが無効となる可能性もあります。  
官房長官「中止する理由ない」
菅官房長官は午後の記者会見で、「防衛省で文書の内容の確認を行っているところであり、現時点ではコメントは控えたい。ただ、アンカーの設置、防衛省と沖縄県の事前調整の段階で、沖縄県漁業調整規則などを踏まえ、十分な調整を行ったうえで実施している。わが国は法治国家であり、この期に及んでこのような文書が提出されること自体、甚だ遺憾だ」と述べました。そのうえで菅官房長官は、「あえて申し上げれば、現時点で作業を中止すべき理由は認められないと認識している。ボーリング調査などの作業は、環境に万全を期して粛々と進めていきたい」と述べました。


日本経済新聞 朝刊 2015/3/24付 
沖縄知事、辺野古作業の停止指示 政府は移設を継続
 沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地を名護市辺野古沿岸部に移す作業をめぐる政府と県の対立が23日、一段と深まった。翁長雄志知事は海底ボーリング(掘削)調査を含む移設作業の停止を沖縄防衛局に指示。応じない場合、許可を取り消す意向を示した。政府は移設作業を「粛々と進める」(菅義偉官房長官)との立場を崩していない。対立は泥沼化しつつある。
 掘削調査など移設作業の停止指示は、沖縄県の漁業調整規則に基づく。県は30日までの「7日以内」に作業停止を文書で報告することを求めている。
 理由は沖縄県が2月に初めて実施した辺野古沖の海中調査。沖縄防衛局が設置したコンクリート製ブロックによって工事区域の外でサンゴ礁が傷ついた蓋然性が高く、改めて広い範囲で調査する必要があるという。
 翁長氏は記者会見で、作業停止の指示に従わない場合、沖縄県が仲井真弘多前知事時代の2014年8月に出した岩礁破砕許可を取り消すと強調したうえで「腹は決めている」と語った。同年11月の知事選以来「あらゆる手法を尽くして辺野古に基地をつくらせない」と繰り返してきた。
 強硬姿勢の背景には政府対応への不満がある。日米両政府が立ち入りを制限した工事区域の内側の調査を政府と米軍それぞれに求めたが、断られた。12日には沖縄防衛局が中断していた掘削調査が再開された。「不合理極まりない」(翁長氏)と反発を強めた。
 一方、政府は辺野古移設の作業を進める立場を堅持している。菅長官は23日の記者会見で「この期に及んでこのような文書が提出されること自体、甚だ遺憾だ」と批判した。掘削調査を経て夏にも埋め立て工事をスタートさせる政府方針は揺らいでいない。
 沖縄県は許可を取り消せば政府側が一連の作業を進めることができなくなるとみている。しかし、政府は移設を遅らせるための時間稼ぎととらえ、「手続き面に瑕疵(かし)がない以上、効力はない」(防衛省幹部)と続ける見通しだ。
 政府と沖縄県の対立は法廷闘争に発展するおそれもある。県が取り消し処分に踏み切った場合、政府は無効を求めて提訴する構えをみせている。
 1995年には米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否した当時の大田昌秀知事を国が提訴し、96年に最高裁で県側敗訴が確定した。
 日米関係に影響を及ぼすとの見方も出ている。中谷元・防衛相は23日、米海兵隊トップのダンフォード司令官と防衛省内で会談し、「一日も早く(辺野古沿岸部に)移設できるよう努力したい」と改めて約束した。
 日米両政府は4月下旬に外務・防衛担当の閣僚協議(2プラス2)、同28日にはワシントンで首脳会談の開催をそれぞれ予定している。今回は日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を18年ぶりに見直す節目でもある。防衛省幹部は「米国の信頼を失うわけにはいかない」と懸念している。

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