2015-03-30(Mon)

JR西脱線事故裁判 3元社長に無罪 無罪で消えぬ企業責任

企業の刑事責任は否定されぬ 「結果の重大性を無視」(遺族)

-----乗客106人が死亡した尼崎JR脱線事故から、来月で10年になる。業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長の控訴審判決で、大阪高裁はおととい、一審に続いていずれも無罪を言い渡した。
 
-----JR西の刑事責任が否定されたわけではもちろんない。3元社長にも、当時の経営トップとして免れ得ない責任はあろう。「二度と事故を起こさない組織に」―遺族の切実な願いに応えるよう、JR西は検証と再発防止に努め、安全運行に徹してもらいたい。
(愛媛新聞)

----これほどの大事故をおこした企業のトップが誰も処罰されない事態に、遺族は「とうてい納得できない」と憤った。
 
来月25日で事故から10年を迎える。無罪であっても、一連の裁判を通じて浮き彫りになったJRの安全軽視の姿勢は明白だ。経営陣の責任はきわめて重いことを指摘しておきたい。
 
-----事故の直接原因は、死亡した運転士が速度を出しすぎたためとされた。だが、現場が急カーブに切り替えられたのは事故の9年前だ。速度超過による脱線の危険性が高まったのに、JRではこの間、誰も安全装置を付けようと考えなかった。
 
元社長らは「安全対策は担当者に任せていた」「当時、安全装置を設置する法的義務はなかった」と繰り返した。
 
きのうの判決は「大規模鉄道事業者として率先して安全対策を進めることが強く期待されていた」と指摘し、組織としてのJRの責任を示唆した。
(朝日新聞)


-----企業のトップが刑事責任を免れたとしても、多くの人命を預かる公共交通機関として安全に最大限の手立てを尽くす責務の重さに変わりはない。JR西日本は再発防止策を徹底して進めなければならない。

-----1987年の国鉄分割・民営化で発足したJR西は、競合する私鉄に対抗するため、列車の高速化と経営の効率化を進めた。それが利益を優先し安全を二の次にする企業体質をつくり、事故につながったのではないかと批判された。山崎氏を無罪とした判決も「安全対策が期待される水準になかった」と言及したことを経営陣は忘れてはならない。

-----JR西は事故後、安全投資を増やし、事故の予兆を分析するリスクアセスメントを始めた。遺族らとともに事故原因を検証し、第三者機関が安全管理状況を検査する体制整備が重要とする報告書もまとめた。着実に再発防止策を実行することが信頼回復につながるはずだ。

-----国は運輸事業者の安全管理体制を評価する制度を新設し、体制強化を図ってきた。それでもJR北海道の検査記録改ざんなど業界全体が安全軽視の体質を脱したとは言えない。脱線事故は来月25日、発生から10年たつ。経営者は安全対策に死角がないか再点検してもらいたい。
(毎日新聞)


<各紙社説>
朝日新聞)JR事故裁判―「無罪」が示した課題(03/28)
毎日新聞)JR西脱線事故 無罪で消えぬ企業責任(03/28)
北海道新聞)脱線事故無罪 「強制起訴」考える機に(03/28)
愛媛新聞)JR西3元社長に無罪 企業の刑事責任は否定されぬ(03/29)
高知新聞)【脱線事故無罪】JR西の責任は変わらぬ (03/29)
----------------------------------------
日本経済新聞)尼崎脱線の遺族「結果の重大性を無視」 上告求める声相次ぐ(03/28)
日本経済新聞)強制起訴また無罪 尼崎脱線、「組織責任」追及に限界も(03/28)



以下引用



朝日新聞 2015年3月28日(土)付
社説:JR事故裁判―「無罪」が示した課題


 現場カーブで事故が起きる危険性を、3人は具体的に予見できなかった――。
 107人が死亡したJR宝塚線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に、大阪高裁は一審に続き無罪を言い渡した。
 検察が起訴した別の元社長もすでに無罪が確定している。
 これほどの大事故をおこした企業のトップが誰も処罰されない事態に、遺族は「とうてい納得できない」と憤った。
 来月25日で事故から10年を迎える。無罪であっても、一連の裁判を通じて浮き彫りになったJRの安全軽視の姿勢は明白だ。経営陣の責任はきわめて重いことを指摘しておきたい。
 事故の直接原因は、死亡した運転士が速度を出しすぎたためとされた。だが、現場が急カーブに切り替えられたのは事故の9年前だ。速度超過による脱線の危険性が高まったのに、JRではこの間、誰も安全装置を付けようと考えなかった。
 元社長らは「安全対策は担当者に任せていた」「当時、安全装置を設置する法的義務はなかった」と繰り返した。
 きのうの判決は「大規模鉄道事業者として率先して安全対策を進めることが強く期待されていた」と指摘し、組織としてのJRの責任を示唆した。
 刑法で過失責任が問えるのは個人だけだ。市民で構成される検察審査会は、組織を束ねる元社長らに責任があると判断し、強制起訴に持ち込んだ。しかし大きな組織ほど業務は分かれ、責任のありかは見えにくい。
 その結果の「全員無罪」だ。
 記者会見で、遺族は組織そのものを処罰できる法整備が必要だ、と強く訴えた。巨額の罰金を科すほか、経営陣の安全意識が低い場合は公表するとの案を挙げた人もいた。
 事故で人が死亡した時、組織を処罰する法律は英国にあるが、日本への導入には慎重論も強い。関係者が責任追及を恐れて口をつぐみ、原因究明に支障をきたす懸念があるためだ。
 だが課題はあっても、国レベルで検討する価値はあろう。
 組織を処罰対象に加えることのメリットとデメリットは何か。遺族の疑問にこたえる事故の原因究明をどう実現するか。考えることは多いはずだ。
 10年たっても、遺族は「脱線事故の真相を知りたい」と求めてやまない。この現状は、いまの法制度に不備があることを如実に物語っている。
 事故の犠牲を決して無にせず、より安全な社会へとつなげる仕組みを整えていきたい。



毎日新聞 2015年03月28日 02時35分
社説:JR西脱線事故 無罪で消えぬ企業責任


 企業のトップが刑事責任を免れたとしても、多くの人命を預かる公共交通機関として安全に最大限の手立てを尽くす責務の重さに変わりはない。JR西日本は再発防止策を徹底して進めなければならない。
 乗客106人が死亡した2005年4月のJR福知山線脱線事故で、大阪高裁は、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西の井手正敬(まさたか)元会長ら元社長3人に対し、1審に続いて無罪を言い渡した。
 運転士のブレーキのかけ遅れと速度超過が事故の原因だが、現場カーブに自動列車停止装置(ATS)があれば惨事は防げた。3人はATSを設置する義務を怠ったとして強制起訴されたが、大阪高裁は「カーブでの異常な速度超過運転という危険性を具体的に予見するのは困難だった」と刑事責任を否定した。
 検察が唯一起訴した山崎正夫元社長の無罪も確定している。現場を急カーブに付け替えた当時、安全対策の責任者である鉄道本部長だったが、「事故の予見可能性は低い」と神戸地裁は判断した。現場からさらに遠い立場の歴代社長の過失立証は厳しい面があったと言えよう。
 とはいえ、企業が対策を怠り事故を起こしても誰一人処罰されないのは、遺族感情として割り切れないところがある。企業自体に刑事罰を科す制度の導入を含め、組織が絡む事故の責任追及や真相解明のあり方を議論すべきではないか。
 今回の審理の中では、井手氏が公の場で初めて謝罪し、被害者参加制度で遺族らが直接質問し意見を述べた。強制起訴による裁判の意義が見いだせたとは言えるだろう。
 1987年の国鉄分割・民営化で発足したJR西は、競合する私鉄に対抗するため、列車の高速化と経営の効率化を進めた。それが利益を優先し安全を二の次にする企業体質をつくり、事故につながったのではないかと批判された。山崎氏を無罪とした判決も「安全対策が期待される水準になかった」と言及したことを経営陣は忘れてはならない。
 JR西は事故後、安全投資を増やし、事故の予兆を分析するリスクアセスメントを始めた。遺族らとともに事故原因を検証し、第三者機関が安全管理状況を検査する体制整備が重要とする報告書もまとめた。着実に再発防止策を実行することが信頼回復につながるはずだ。
 国は運輸事業者の安全管理体制を評価する制度を新設し、体制強化を図ってきた。それでもJR北海道の検査記録改ざんなど業界全体が安全軽視の体質を脱したとは言えない。脱線事故は来月25日、発生から10年たつ。経営者は安全対策に死角がないか再点検してもらいたい。



北海道新聞2015/03/28 08:50
社説:脱線事故無罪 「強制起訴」考える機に


 乗客106人が死亡した2005年の尼崎JR脱線事故で、大阪高裁は業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本の歴代3社長に対し一審に続き無罪を言い渡した。
 検察が不起訴にした事件を検察審査会が起訴相当と議決し、強制的に起訴された裁判の控訴審だ。
 判決は現場カーブでの脱線の危険性について具体的に予見できなかったと判断し、被告の過失責任は問えないと結論づけた。
 それでも元会長が公の場で陳謝し被害者も納得するなど、今回の裁判には一定の意義があった。
 ただ、強制起訴制度にはさまざまな問題点も指摘されている。
 検察が独占してきた起訴権限に、市民感覚を反映させる方向は間違っていない。課題を解決し、制度の改善を図りたい。
 強制起訴制度は09年に導入された。検察の不起訴処分について検察審が2回、起訴すべきだと議決すれば指定弁護士が起訴する。
 従来、起訴権限は検察だけが持ち、有罪が得られると考えられる事件のみ起訴してきた。
 有罪率は99・9%と高率となる一方、不起訴となる事件、事故も多く、事実関係や責任の所在が明らかにならないこともあった。
 強制起訴制度は不起訴処分の妥当性を市民の目で判断し、真相究明を公開の法廷の場で行う点でも意味がある。
 たとえば、兵庫県明石市の歩道橋事故では、判決が警備体制のずさんさに言及し、その後の再発防止につながった。
 問題は、これまで全国で強制起訴された8件のうち、有罪判決が出たのは2件ということだ。捜査のプロの判断を覆すのがいかに難しいかを示している。
 強制起訴制度は従来のように被告の有罪、無罪の判断を求めるだけでなく、事件、事故の真相究明の役割も果たしている。
 そうであっても、無罪が大半を占める現状では制度の信頼性そのものを損ないかねない。起訴された場合の負担も大きい。
 改善点を考えたい。検察審に助言をする補助弁護士を、現行の1人から複数にして、有罪立証の可能性をしっかり見極める必要がないか。
 可能ならば検察審が関係者に話を聞く機会を設けるべきだろう。
 注意すべきは公開の法廷での真相究明などにとらわれるあまり、検察審が起訴相当の議決に傾いてしまうことだ。
 浮き彫りになった課題と意義をしっかりと検証していきたい。



愛媛新聞 2015年03月29日(日)
社説:JR西3元社長に無罪 企業の刑事責任は否定されぬ


 乗客106人が死亡した尼崎JR脱線事故から、来月で10年になる。業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長の控訴審判決で、大阪高裁はおととい、一審に続いていずれも無罪を言い渡した。
 JR西の刑事責任が否定されたわけではもちろんない。3元社長にも、当時の経営トップとして免れ得ない責任はあろう。「二度と事故を起こさない組織に」―遺族の切実な願いに応えるよう、JR西は検証と再発防止に努め、安全運行に徹してもらいたい。
 最大の争点は、3元社長が脱線の可能性を予見でき、自動列車停止装置(ATS)を設置する義務があったかどうかだった。大阪高裁は、事故の直接原因は異常な速度超過であり、その危険性を具体的に予見することは困難だったと結論付けた。一方で、組織としての過失責任を示唆した点は見逃せない。
 二審判決は「JR西は率先して安全対策を進めるよう強く期待されていた」と認め、法人組織の責任を問う場合には考慮されると判断した。一審の神戸地裁も、個人のATS設置義務は否定しつつ「設置されていれば事故回避は可能だった」と踏み込んだ。しかし、現行刑法では法人の過失責任を問えず、トップを法廷に立たせるしかないのだ。
 このままだと、企業の過失に起因する可能性がある大規模事故などは、誰も責任を取らないことになりかねない。遺族が納得していないのは明らかだ。責任の所在を明らかにし、真相究明につなげるためにも、企業の刑事責任を問える仕組みの創設に向け議論を深めなければなるまい。
 事故は、死亡した運転士が制限速度の時速70キロを40キロ以上超過してカーブに進入、脱線しマンションに衝突した。神戸地検は3元社長を嫌疑不十分で不起訴としたが、遺族の申し立てを受けた検察審査会の議決で強制起訴された。
 強制起訴は2009年の制度導入以降、無罪判決が相次ぐ。制度の是非を問う声が高まることを危惧する。刑事司法への民意反映という理念は否定すべきでないことを、国民の共通認識としたい。
 審理の中で、遺族は被害者参加制度を利用して元社長に質問し、謝罪のほか、懲罰的な日勤教育や電車を大幅増発したダイヤ改正への見解を引き出した。判決に直接反映されなくても、安全軽視ともいえる企業風土を浮かび上がらせた意義は小さくないのだ。
 検察が唯一起訴した別の元社長は、3年前に無罪が確定している。この判決も、リスク解析やATS設置の在り方に問題があると言及した。現経営陣をはじめ、JR西の組織全体が度重なる司法の指摘を真摯しんしに受け止め、信頼回復に努めねばならない。



高知新聞 2015年03月29日08時08分
社説:【脱線事故無罪】JR西の責任は変わらぬ


 106人に上る乗客の命を奪った尼崎JR脱線事故から間もなく10年。大阪高裁は、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長を、一審に続いて無罪とした。
 とはいえ、判決は悲劇の背景となった当時の企業体質をあらためて指摘した。重大事故を招いた組織のトップであっても、個人の刑事責任は厳格に判断したということだろう。
 多くの命を預かる公共交通機関の責任が、今なお問われ続けていることに変わりはない。JR西は事故への責任を再認識し、再発防止への取り組みを緩めてはならない。
 事故は2005年4月、兵庫県尼崎市のJR福知山線で発生した。快速電車が急カーブを曲がりきれずに脱線、マンションに激突した。神戸地検は3社長を嫌疑不十分で不起訴としたが、遺族の申し立てを受けた検察審査会の議決に基づき強制起訴された。
 裁判は、事故が起きる可能性を予見できたかが最大の争点だった。
 大阪高裁は、事故の直接原因は運転士の「異常な速度超過運転」で、予見は困難とした。検察官役の指定弁護士が指摘した、急カーブやダイヤ改正による快速電車増発などの危険性も「個人の刑事責任の判断に当たり大きく考慮できない」と退けた。
 一方では、「大規模鉄道事業者として、率先して安全対策を進めることを強く期待されていた」と言及。事故を防げなかった「企業責任」を強くにじませた。
 だが、企業の安全対策に触れながら、経営トップの刑事責任が認められなかった結果に、遺族らの割り切れない心情は想像に難くない。事故を起こした企業に、直接刑事責任を問える制度の新設を求めている遺族もいる。導入の是非を含め、議論を深める機会ではないか。
 また、今回の判決を含め、強制起訴事件での無罪が続いている。これまでの8事件のうち、有罪は2件にとどまる。ただ、そもそも検察審査会の対象は、嫌疑不十分で検察が不起訴とした事件などだ。当初から有罪立証の難しさは予想されていた。
 今回のように、刑事裁判の場で重大事故の背景が究明された意義は大きいといえよう。一部には制度を疑問視する向きはあるが、「開かれた司法」の実現には、時間をかけて制度を育てていく必要がある。

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日本経済新聞 2015/3/28 1:38
尼崎脱線の遺族「結果の重大性を無視」 上告求める声相次ぐ


 「結果の重大性を無視した判決だ」。JR福知山線脱線事故の遺族らは27日夕、大阪市内で記者会見し、大阪高裁判決を批判した。検察官役の指定弁護士に上告を求める意見も相次いだ。
 長女(当時40)を亡くした藤崎光子さん(75)は「命が帰ってこないことを忘れないでほしい」と語気を強めた。
 これより前、大阪高裁で無罪判決が言い渡されると、JR西日本の井手正敬元相談役ら歴代3社長は裁判長に向かって深々と頭を下げた。
 判決後、3社長は被害者や家族に対し「深くおわび申し上げます」などとするコメントをそれぞれ出した。記者会見した3社長の弁護人は「正当な判決」と評価した。
 JR西日本の真鍋精志社長は同日、「今後も被害者の方々に真摯に向き合い、安全のための取り組みを継続していく」と述べた。



日本経済新聞 電子版2015/3/28 1:37
強制起訴また無罪 尼崎脱線、「組織責任」追及に限界も


 JR西日本の歴代3社長に無罪を言い渡した27日の大阪高裁判決は、市民感覚を反映させるため導入された強制起訴が、現行法上の刑事責任と結びつきにくい実態を改めて浮き彫りにした。個人の刑事責任を問う業務上過失致死傷罪で、重大事故の「組織責任」を追及する限界も示した。
 2009年5月の強制起訴制度導入以降、対象となった8事件10人中、有罪になったのは2件(1件は上告中)。
 3社長について、神戸地検は不起訴としたが、神戸第1検察審査会は「(トップが)可能な限りの安全対策をとることは市民感覚として当然」と判断、強制起訴された。
 だが、大阪高裁は「大規模組織では、専門性の高い事項は経営会議などで取り上げられないのは無理からぬところがある」と判断。
 経営幹部として情報収集していれば事故を予測できたとする指定弁護士側の指摘については「JR西の法人組織としての責任を問題にする場合には妥当だが、個人の刑事責任の判断を考慮する事情とするのは難しい」と判示した。
 事故の遺族らは企業の刑事責任を問う「組織罰」の研究を進めるなど、法改正を求める声も上がっている。


日本経済新聞 2015/3/28 1:36
JR西3社長、控訴審判決も無罪 尼崎脱線で予見可能性認めず
 兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴され、一審で無罪となったJR西日本の歴代3社長の控訴審判決で、大阪高裁(横田信之裁判長)は27日、3人に改めて無罪を言い渡した。「事故の具体的な予見可能性は認められない」と判断し、検察官役の指定弁護士側の控訴を棄却した。
 強制起訴されたのは井手正敬元相談役(79)、南谷昌二郎元会長(73)、垣内剛元顧問(70)。3人は事故現場を急カーブにした1996年から事故発生まで順に社長を務めた。一審の求刑は禁錮3年だった。
 指定弁護士側は上告について「慎重に考えながら決めたい」とした。
 事故は05年4月25日、尼崎市の福知山線の急カーブに快速電車が進入し曲がりきれずに脱線、マンションに衝突して多数が死傷した。
 公判で指定弁護士側は「経営幹部として情報を収集していれば(事故を)予測できた」と主張。3社長は「現場のカーブで脱線事故が起きることは予測できなかった」などと主張していた。
 判決は、運転士が制限速度を45キロ上回る時速約115キロで現場カーブに進入した点について「このような異常な運転に及ぶことを予見することは相当困難」と指摘。「多数存在する同様のカーブでも、数多くの列車が基本的に安全を維持しながら走行していた」と認め、現場カーブに自動列車停止装置(ATS)を整備する注意義務はなかったと判断した。
 3社長については、神戸地検は嫌疑不十分で不起訴としたが、遺族の申し立てを受けた検察審査会の議決に基づき、強制起訴された。
 検察は、現場を急カーブにした当時の鉄道本部長で安全対策の責任者だった山崎正夫元社長(71)を起訴したが、一審・神戸地裁が無罪とし、確定している。


日本経済新聞 2015/3/27 14:10
JR西の歴代3社長、二審も無罪 尼崎脱線事故
大阪高裁
 兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴され、一審で無罪となったJR西日本の歴代3社長の控訴審判決で、大阪高裁(横田信之裁判長)は27日、無罪を言い渡した。
 3社長は事故の予見可能性を否定し、一貫して無罪を主張していた。
 強制起訴されたのは、現場を急カーブにした1996年から事故発生までの歴代社長だった井手正敬元相談役(79)、南谷昌二郎元会長(73)、垣内剛元顧問(70)。事故の刑事裁判では、唯一検察が起訴した山崎正夫元社長(71)の無罪が確定している。
 公判の争点は、3社長が(1)事故現場の急カーブでの脱線を予見できる可能性があったか(2)自動列車停止装置(ATS)の整備などの安全措置を指示すべきだったか――どうかだ。
 13年9月の一審・神戸地裁判決は「脱線事故が発生する具体的な予見可能性はなかった」と3社長を無罪(求刑禁錮3年)とし、検察官役の指定弁護士側が控訴した。
 控訴審の被告人質問で、3社長は、事故現場の安全対策について「担当者に任せていた。部下からの進言もなかった」などと述べた。弁護人も「現場カーブの危険性を認識しておらず、認識できる立場にもなかった」などと主張した。
 検察官役の指定弁護士は、一審判決について「都市圏の鉄道輸送を担う大規模な鉄道事業者のトップが払うべき注意義務の程度について踏み込んだ判断を示していない」と指摘。そのうえで「JR西程度の規模の鉄道事業者のトップであれば、事故現場のカーブの危険性に着目し、ATSの整備で事故を回避できた」と訴えている。
 弁護側は「事故を予見できたとする指定弁護士の主張は、当時までの鉄道事業者や有識者の認識とかけ離れている」と反論。「多数あるカーブの中から、事故現場について脱線転覆の危険性を認識することはできなかった」としている。

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