2015-04-21(Tue)

高浜原発差し止め 再稼働認めず (3)150414

政府は再稼働方針を撤回せよ 政府は重く受け止めよ 危険性認めた決定は重い 前のめり姿勢への警告だ

<各紙社説>
愛媛新聞)高浜原発差し止め 政府は再稼働方針を撤回せよ(4/15)
徳島新聞)高浜再稼働認めず 政府は重く受け止めよ (4/15)
高知新聞)【再稼働の禁止】危険性認めた決定は重い(4/15)
西日本新聞)高浜原発仮処分 決定を重く受け止めたい(4/15)
佐賀新聞)高浜原発差し止め(4/17)
熊本日日新聞)高浜原発仮処分 前のめり姿勢への警告だ(4/15)
南日本新聞)[高浜原発仮処分] 再稼働の不安に応えた(4/15)
琉球新報)再稼働差し止め 脱原発の世論と向き合え(4/15)
沖縄タイムス)[高浜原発差し止め]「粛々と」とはいかない(4/16)




以下引用



愛媛新聞 2015年04月15日(水)
社説:高浜原発差し止め 政府は再稼働方針を撤回せよ


 住民の不安に向き合い、命と安全を最優先した重い判断といえるだろう。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを周辺住民らが申し立てた仮処分で、福井地裁は再稼働を認めない決定をした。原発の運転を禁止する仮処分は全国初だ。
 樋口英明裁判長は、政府が「世界で最も厳しい」と自賛する新規制基準を「合理性を欠く」「緩すぎる」と切り捨てた。安倍政権の原発推進政策の全否定に等しい。速やかに再稼働方針を撤回しなければなるまい。多くの国民が求める原発に依存しない社会の実現こそが責務なのだと、肝に銘じてもらいたい。
 新基準自体が否定された影響は、高浜原発だけにとどまらない。示された懸念は、分離して仮処分の審理が進む関電大飯原発3、4号機(同)や、原子力規制委員会の審査をほぼ終えた四国電力伊方原発など、全国どの原発にも当てはまる。
 住民らは、基準地震動を超える地震で炉心が損傷し、重大事故に陥る可能性があるとして人格権が侵害されると訴えた。決定は「関電の想定は信頼に値する根拠が見いだせない」と、住民側の主張を認めた形だ。「250キロ圏内の住民に具体的危険がある」という指摘を、社会全体で受け止める必要がある。
 高浜3、4号機は2月に新基準に事実上「合格」し、関電は11月の再稼働を目指していた。判決と異なり、仮処分決定は直ちに発効する。不服を申し立てても、取り消しや変更などがない限り再稼働はできず、今後のスケジュールへの影響は避けられない。
 合格イコール「安全」ではないことも、再確認しておきたい。規制委の田中俊一委員長自らが「リスクはゼロではない」と繰り返し強調している。合格は基準への適合を確認しただけであり、安全性の担保にはなり得ないのだ。
 樋口裁判長は昨年5月、大飯3、4号機の運転差し止めを命じる判決を出している。判決理由の中で「具体的な危険性が万が一でもあるかが判断の対象とされるべきで、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するのに等しい」と述べた。東京電力福島第1原発事故を受けたものであり、今回の決定にも反映されている。
 主に国の手続きの適否を対象としてきた従来の審理への反省に立ち、安全性に正面から向き合って審査しようとの強い決意が伝わる。国民の願いにも合致していよう。
 決定を受け、菅義偉官房長官は再稼働方針の堅持を強調した。憤りを禁じ得ない。福島の事故は、原子力を完全に制御することはできず、想定外の事態は起こり得るとの教訓を残したはずだ。政府は目をそらしてはなるまい。



徳島新聞 2015年4月15日付
社説:高浜再稼働認めず 政府は重く受け止めよ


 原発の再稼働に前のめりの安倍政権に、冷や水を浴びせる決定である。
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の安全対策は不十分だとして、周辺住民らが再稼働の差し止めを申し立てた仮処分で、福井地裁が再稼働を認めない決定を下した。
 仮処分で原発の運転を禁止する決定が出たのは全国で初めてだ。
 決定は直ちに効力を発し、関電の不服申し立てが認められるまで再稼働できない。
 高浜3、4号機は2月、原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査に合格したばかりである。
 決定はその新基準について、緩やかに過ぎ、合理性を欠くと断じた。
 政府は「世界一厳しい」とする新基準に適合した原発は再稼働させる方針を示しているが、決定は安全性を根本的に否定したものといえよう。
 政府は司法判断を重く受け止め、原発政策を真剣に考え直す必要がある。
 申し立てた住民らは、関電の想定する基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)を超える規模の地震で、放射性物質が飛散する過酷事故に陥ると主張。そうした可能性が万が一でもあれば、住民の人格権が脅かされると訴えた。
 これに対して関電は、地震や津波の規模は把握しており、過酷事故に陥らないよう十分な安全対策を講じていると反論し、周辺への放射性物質の大量放出も防止できるとしていた。
 決定は住民側の主張を認めた上で、関電の地震想定は「信頼に値する根拠が見いだせない」と厳しく批判した。
 新基準については、規制委が高浜3、4号機を合格とした際、田中俊一委員長自身が「リスクがゼロと確認したわけではない」と述べている。合格が原発の絶対的な安全性を意味しないとする、従来の考えを強調したものだ。
 合格を「お墨付き」にして再稼働を進めようとしている政府の姿勢が、あらためて問われる。
 高浜3、4号機では、地元の同意の在り方をめぐっても問題が浮上している。
 地元同意は福井県と高浜町だけでいいというのが政府と同県の立場だが、避難計画の策定が求められる30キロ圏内の自治体には、京都府と滋賀県の8市町が含まれている。
 広範囲に放射性物質が飛散する原発事故に、県境はない。甚大な被害に遭う恐れがある自治体や住民の意向を十分に尊重すべきである。
 東京電力福島第1原発では、廃炉の見通しどころか、詳しい事故の原因も解明されていない。汚染水や除染廃棄物の処理もままならず、福島県の避難者は今も12万人近くに上っている。
 各種世論調査で、再稼働に反対する意見が過半数を占めているのは当然だろう。
 安全性への不安が残っている中、再稼働に踏み切ることは許されない。



高知新聞 2015年04月15日08時08分
社説:【再稼働の禁止】危険性認めた決定は重い


 福井県の住民らが、関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働差し止めを申し立てた仮処分で、福井地裁が再稼働を認めない決定をした。
 原発の運転禁止の仮処分は全国で初めてだ。政府や電力会社が再稼働に向けた歩みを加速させているだけに、司法が原発の危険性にあらためて警告を発した意味は非常に重い。
 高浜3、4号機は2月に原子力規制委員会の新規制基準に基づく審査に合格し、3月には高浜町議会が再稼働に同意した。今後、町長や県知事の同意などの手続きを経て、関電はことし11月の再稼働を想定している。
 地裁決定は「新規制基準は合理性を欠く」と指摘し、基準に適合していても安全性は確保されていないとする。関電が想定した、耐震設計の目安となる揺れ「基準地震動」について、「信頼に値する根拠を見いだせない」としたことなどからも明らかだろう。
 政府は新規制基準を「世界で最も厳しい」と強調している。だが、基準地震動の策定方法を含め、専門家からは「世界一」に対する疑問の声が上がっているのが実情だ。
 規制委の田中俊一委員長の発言もある。「運転に当たり求めてきたレベルの安全性を確認した」「絶対安全とは言わない」などだ。科学者としての立場の表明といえるが、国民の懸念は膨らまざるを得ない。
 今回の裁判長は昨年5月、関電大飯原発3、4号機(同県おおい町)をめぐる訴訟で、再稼働を認めないとの判決を出した。福島原発事故を踏まえ、原発の危険性を指摘した判断を踏襲したのは当然といってよい。
 この訴訟は控訴審で争われており、関電は今回の決定についても異議と執行停止を申し立てる方針だ。菅義偉官房長官も「粛々と(再稼働を)進めていきたい」と、再稼働方針に変わりはないことを強調している。
 ただし、今後の司法手続きで関電の主張が認められるまでは再稼働はできない。他の原発でも同じような仮処分の申し立てがあり、その判断によっては政府の方針に影響を及ぼす可能性がある。
 政府はエネルギー政策で原発活用路線を取り続けるが、福島の惨事を体験した国民の多くは「脱原発依存」を求めている。その思いに応えたともいえる司法判断を、政府や電力会社は重く受け止める必要がある。



=2015/04/15付 西日本新聞朝刊=
社説:高浜原発仮処分 決定を重く受け止めたい


 東京電力福島第1原発事故を「なかったもの」にすることはできない。言うまでもないことだ。
 だから、新たなエネルギー政策を考えるに際しては福島原発事故が出発点になる。これも当然だ。
 だが、政府の本音はどうか。2030年の電源構成比率をめぐる政府の動きなどを見ると、原発回帰が明らかである。福島事故は過去のものとなりつつあるようだ。
 福井地裁(樋口英明裁判長)が関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働を認めない決定をした。周辺住民らが安全対策が不十分だとして再稼働差し止めの仮処分を申し立てていた。
 福井地裁の樋口裁判長は昨年5月、福井県おおい町の関電大飯原発3、4号機の運転差し止めを求める住民らの訴えを認める判決を下した。樋口裁判長は判決で、福島事故で明らかになった原発の危険性と被害の大きさに比べ、事業者の安全対策が不十分とした。
 今回の決定も福島事故で実際に生じた事実や生じる恐れがあった事実を踏まえたとする。結果、新規制基準も事業者の対策も甘い見通しの上にあり、不十分とした。
 高浜原発3、4号機は原子力規制委員会が定めた新規制基準に適合していると認められ、再稼働の準備が進む。今回の決定にも政府は「規制委の判断を尊重し、再稼働の方針に変わりない」という。
 昨年の判決も今回の決定も同一裁判長で地裁の判断である。最終決定でもないから、政府としては一つの意見と聞き流すつもりか。
 反対の動きを横目に見ながら既成事実を積み重ねていく。結論先送りで時間を稼ぎ、最後は仕方ないなと相手に思わせる-。この作戦が裏目に出たのが国営諫早湾干拓事業の開門調査問題である。
 潮受け堤防排水門の開門をめぐり、認める判決と差し止めの仮処分決定が出て、開門してもしなくても制裁金を払う事態になった。
 脱原発の声を無視して新たなエネルギー政策を考えても絵に描いた餅に終わる恐れが強い。異論を排すのでなく、政府は今回の決定をまずは重く受け止めるべきだ。



佐賀新聞 2015年04月17日 05時46分
論説:高浜原発差し止め


 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを求めて周辺住民らが申し立てた仮処分で、福井地裁が再稼働を認めない決定をした。原子力規制委員会の新規制基準そのものについて安全性確保を担保するものではないと断じ、原発政策の根本見直しを迫る判断となった。政府は司法の指摘に真摯(しんし)に向き合うべきだ。
 今回の決定では、政府が「世界一厳しい」と自負する新規制基準を「合理性を欠く」と一蹴。再稼働に向けた一連の手続き自体に疑問符を投げかけたという意味で非常に重い指摘といえる。
 全国の原発で過去10年間に想定を超える地震が5回発生した。それを踏まえて「国内に地震の空白地帯はない。想定を超える揺れの地震が起きないというのは、根拠に乏しい楽観的見通し」と関電の見通しの甘さを厳しく指弾した。
 さらに想定内の揺れでも外部電源が断たれ、ポンプ破損による冷却機能喪失の恐れがあることを指摘。炉心損傷に至る危険があるとした。これは昨年5月、同地裁が下した関電大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟と同じ判断を示した格好だ。
 また使用済み核燃料プールが堅固な施設で閉じこめられていない現状にも言及。「国の存続に関わる被害が出る可能性がある」との懸念も示した。「安全対策は十分」との関電の主張を全面的に退けた。
 新規制基準に適合するか否か判断するまでもなく「原発から250キロ圏内に住む住民は原発の運転によって人格権を侵害される具体的な危険がある」とも指摘。ここまで踏み込んだ表現は、再稼働を急ぐあまり、本来最優先すべき安全確保の議論が不十分ではないかという国民の不安を司法が代弁したといえる。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、福井地裁の指摘について「重要なところの事実誤認がいくつかある」と反論。規制基準について見直す必要性がないとの認識を示した。法廷で多くの資料を交えながら審理した裁判官に対して「事実誤認がある」と主張するなら、国民に規制基準の安全レベルがしっかりと伝わっていないと考えるのが自然だろう。ならば、政府は国民に規制基準が求める安全レベルの妥当性を丁寧に説明すべきだ。その上で「再稼働ありき」ではない、原発の今後を考える議論を進めるのが筋だろう。
 政府は2030年の電源構成比率で、原発の割合を18~19%に引き下げる方向で検討している。2割を切ることで原発に批判的な世論に配慮しようという意図が透けて見える。東日本大震災前の2010年度が28・6%であることを考えれば、全国の原発を一定程度再稼働しなければ達成できない。
 22日には九州電力川内原発の再稼働差し止めの仮処分申請に対する決定が出る。各地で係争中の同様の訴訟に影響を与えるだけでなく、内容次第では政府のエネルギー政策にも大きな影響を及ぼす。
 東京電力福島第1原発事故で何を学んだのか。今回、司法が突きつけたのは根源的な問いかけだ。過酷事故が起きれば一国の経済に多大な影響を与え、その存続すら危うくしかねない。政府には、誰もが納得できる答えを示す責務がある。(梶原幸司)



熊本日日新聞 2015年04月15日
社説:高浜原発仮処分 前のめり姿勢への警告だ


 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働に「待った」が掛かった。福井地裁は14日、周辺住民らの主張を受け入れ、同原発の再稼働を認めない仮処分決定をした。最優先されるべき安全性について疑問符を付けており、他原発の再稼働論議や国のエネルギー政策に一石を投じる判断だ。
 高浜3、4号機は原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査に合格。次のステップとして地元同意の手続きに移っており、既に地元の高浜町議会が再稼働にゴーサインを出し、福井県などの判断が焦点となっていた。
 再稼働が目前に迫る中、危機感を抱く住民側が取ったのが今回の仮処分申請で、法的に即効力がある。関電は不服申し立てをする構えだが、主張が認められない限り再稼働できない。11月に想定していた再稼働時期に狂いが生じるのは避けられない。
 審尋では、地震時などの安全対策が大きな焦点となった。住民側は免震重要棟が設置されていないなど、防災対策の不備を主張。重大事故が起きれば「人格権が侵害される」とした。
 一方、関電側は発電所周辺の地震発生状況から「基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を超える地震の到来は考えられない」として、耐震性には問題なしの立場を取った。
 今回、福井地裁は関電の地震想定について「信頼に値する根拠が見いだせない」と指摘。新規制基準の適合性審査についても「合理性を欠く」と指弾した。東京電力福島第1原発事故から4年余。原因究明が不十分との声もある中、再稼働に前のめりな国や電力会社への重い警告だといえる。
 昨年5月には、同じ福井地裁が関電大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止めを命じた判決を出している。関電はこれを不服として控訴。結論を待たずに再稼働に向けて動いており、住民らの不信感を増幅させていた。
 菅義偉官房長官は今回の決定を受けて政府の再稼働方針に変更はないとしたが、国や電力会社は一連の司法判断を謙虚に受け止める必要があるのではないか。単に手順通りではなく、原発の必要性とリスクを住民に示し、丁寧に合意形成を図る姿勢が欠かせない。



南日本新聞 (2015/ 4/15 付 )
社説:[高浜原発仮処分] 再稼働の不安に応えた


 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを申し立てた仮処分で、福井地裁は再稼働を認めないとする決定をした。この決定が覆らない限り、2基は稼働できない。
 福井地裁は1年前の関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟でも「地震対策に構造的欠陥がある」として、再稼働を認めない判決を言い渡した。
 差し止め訴訟判決にしろ今度の仮処分決定にしろ、東京電力福島第1原発事故による「安全神話」の崩壊が念頭にあったのだろう。
 発生5年目に入ったのに事故収束の見通しは立たない。
 一方、安倍政権は原発を「重要なベースロード電源」と位置づける。関電も差し止め訴訟が高裁で係争中なのに、その判決を待たずに再稼働の準備を進める。
 それでも事故は起きる、というフクシマの教訓が生かされているのか。再稼働の不安に応えた司法判断といえよう。
 仮処分は昨年12月、福井県の住民らが申し立てた。関電が想定する基準地震動を超える地震などにより、過酷事故に陥る危険性を主張した。関電は十分に安全性が確保できているとして、住民側と全面的に争った。
 申し立てた当時、高浜3、4号機は原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査が進められ、ことし2月に合格した。
 決定は新規制基準を「緩やかにすぎ、適合しても安全性は確保されない」と明快に否定している。誠実に受け止めるなら、影響は2基にとどまらないはずだ。
 新規制基準は原発事故後につくられ、地震や津波への備えは確かに格段に強化された。安倍晋三首相は「世界で最も厳しい」基準への適合を、再稼働を進める「お墨付き」にしてきた。
 もっとも当の規制委の田中俊一委員長は新規制基準を「世界最高のレベルに近い」と評しながら、「安全だとは申し上げない」とも述べている。
 日本は世界有数の火山国、地震国である。自然災害への備えを固めたのは当然であり、むしろ遅きに失したぐらいだ。
 2基の運転差し止めをめぐっては昨年11月、大津地裁が仮処分申請を却下した。福井地裁と一見正反対の判断にみえるが、避難計画などの未整備を指摘し、「規制委が再稼働を容認することはありえない」との理由だった。
 首相は先月の参院予算委員会でも「安全神話と決別する」と答えた。そうであるなら、おざなりの避難計画などでいいはずがない。



琉球新報 2015年4月15日
<社説>再稼働差し止め 脱原発の世論と向き合え


 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、福井地裁が再稼働を差し止める仮処分決定を出した。再稼働の動きに司法がブレーキをかけた画期的な判断と言えよう。
 3、4号機をめぐり安全対策が不十分として、周辺住民らが再稼働差し止めを求め仮処分を申し立てていた。仮処分で原発の運転を禁止する決定は全国で初めてだ。
 決定はすぐに効力を持つ。関電は不服を申し立てる方針だが、主張が認められない限り再稼働はできない。
 再稼働に関しては昨年5月に福井地裁が関電大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。だが関電は判決を不服として控訴し、その結論を待たずに再稼働に向けた作業を進めていた経緯がある。
 住民側が今回、再稼働の動きをすぐに止めようと仮処分を求めたのは、昨年5月の判決を事実上無視した関電の姿勢が背景にある。
 関電は仮処分決定に対して「当社の主張を理解いただけず誠に遺憾。到底承服できない」とコメントして仮処分の取り消しを求めたが、関電は今回の決定や再稼働に反対する国民世論と今こそ真摯(しんし)に向き合うべきだ。
 仮処分では重大事故の発生可能性などが争点だった。住民側は、関電が想定する基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)を超える地震で、放射性物質が飛散する過酷事故に陥ると主張した。
 関電側は「十分な安全対策を講じている」と反論した。だが樋口英明裁判長は、全国の原発で過去10年足らずの間に5回、電力会社の想定を超える地震があったと指摘し「基準地震動を超える地震が到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにすぎない」と批判した。極めて妥当だろう。
 東京電力福島第1原発事故からわれわれが学んだことは「安全に絶対はない」という教訓だったはずだ。ところが安倍政権や電力会社は4年前の過酷事故を忘れたかのように再稼働に前のめりになっている。
 政府、自民党はエネルギー政策の焦点である2030年の電源構成比率で、原発について約2割を確保するなど原発回帰路線を鮮明にしているが、今回の決定は、なし崩し的な再稼働の動きに、司法が強い警告を発したものだ。
 脱原発を求める世論と向き合い、エネルギー政策の議論を根本からやり直す契機とすべきである。



沖縄タイムス 2015年4月16日 05:30
社説[高浜原発差し止め]「粛々と」とはいかない


 司法が原発の安全性に異議を唱え、全国で初めて、再稼働を差し止める市民目線の判断を示した。
 原発回帰に突き進む政府・自民党、電力会社に対する警告の意味を持つだけでなく、東京電力福島第1原発事故を風化させるなというメッセージでもある。これまで「原発安全神話」の一翼を担ってきた司法の自己反省とも受け取れる内容だ。
 福井地裁(樋口英明裁判長)は、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを求める住民の訴えを認め、再稼働を禁じる仮処分を決定した。
 仮処分決定は訴訟の判決と違って直ちに効力を持つため、正式な裁判で仮処分決定を覆す判決が出ない限り、再稼働は事実上不可能となる。
 関電は「とうてい承服できない」と強く反発、司法の場で争う構えだ。
 高浜3、4号機は今年2月、新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に合格したばかり。安倍政権は「世界最高水準の規制基準」だと評価し、早期の再稼働を目指す政策を進めていた。
 決定は、原発の規制基準について「適合していれば万が一にも深刻な災害は起きないといえる厳格さが求められる」と指摘した上で、「現在の新規制基準は緩やかで合理性がなく、適合しても安全性が確保されたとはいえない」と強い調子で批判した。
 原発への到来が想定される最大級の地震の揺れのことを基準地震動と呼ぶ。原発の耐震設計の目安になるものだ。決定は、この基準地震動についても疑問を投げている。
    ■    ■
 2005年以降、全国の4原発で5回にわたって基準地震動を超す地震が起きており、「想定を超える地震が来ないとの根拠は乏しい」と決定は指摘する。さらに、基準地震動に満たない地震であっても、主給水ポンプなどの破損で冷却機能が喪失し、重大な事故が生じる危険性がある、とも述べている。
 今回の決定で新規制基準をめぐる原子力規制委員会と政府の見解のずれも浮き彫りになった。
 規制委の田中俊一委員長は、高浜原発について「稼働に必要な条件を満たしているかどうかを審査した。イコール事故ゼロではない」と述べ、審査を合格すれば安全だとする考え方を否定する。これに対し、政府は新規制基準に適合した原発を安全が確保されたと見なし、順次、再稼働させる方針だ。司法が待ったをかけた意味は大きい。
    ■    ■
 仮処分決定について菅義偉官房長官は、原子力規制委員会の審査に合格したことを取り上げ、「大丈夫だと判断された。(再稼働は)粛々と進めていきたい」と語った。
 新基地建設問題で封印したはずの「粛々と」という言葉はどうやら、政府の意に沿わない結果が出たときに、それでもやるんだという意思を示すために、使うものらしい。
 権力の乱用を防ぎ国民の権利と自由を保障するためには、立法・司法・行政の相互抑制が欠かせない。今回の仮処分決定は、三権分立の意義をあらためて考えさせる。

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