2015-04-26(Sun)

JR西 尼崎脱線事故10年 安全意識に緩みはないか 150425

「安全文化」を育てたい 「安全最優先」胸に改革続けよ 教訓を安全の礎に 風化させてはならない

<各紙社説>
朝日新聞)JR事故10年―教訓を安全の礎に(4/24)
信濃毎日新聞)尼崎脱線10年 安全意識に緩みはないか(4/25)
京都新聞)尼崎事故10年  「安全文化」を育てたい(4/25)
神戸新聞)脱線事故10年/安全追求の歩み止めるな(4/25)
山陽新聞)尼崎脱線10年 改革半ば示す倉敷の事故(4/25)
愛媛新聞)尼崎JR脱線10年 「安全最優先」胸に改革続けよ(4/25)
高知新聞)【尼崎脱線10年】教訓は生かされているか(4/25)
西日本新聞)尼崎脱線事故 共有したい10年前の教訓(4/25)
南日本新聞) [尼崎事故10年] 風化させてはならない(4/25)




以下引用



朝日新聞 2015年4月24日(金)付
社説:JR事故10年―教訓を安全の礎に


 「生」と「命」。現場近くの畑に地元住民が花で描いた文字が、惨事の記憶を呼び起こす。
 死者107人、負傷者562人を出したJR宝塚線脱線事故から25日で10年。この半世紀で最悪の鉄道事故はなぜ防げなかったのか。遺族や負傷者の問いかけは今も続く。
 強制起訴されたJR西日本の元社長3人には2度の無罪判決が出た。遺族らの強い意向を受け、検察官役の指定弁護士は今月、最高裁に上告した。
 組織としての責任の取り方の一つは、事故を起こさない会社へ生まれ変わることだ。
 この10年で、JR西はどこまで変わっただろうか。
 事故当時は、ミスをした運転士を業務から外し、懲罰的な教育を課していた。それが運転士を萎縮させ、よりミスを重ねる危険を生んだと指摘された。
 私鉄との競争に勝つため、ダイヤ上のゆとりを削って電車を速くした。こうした効率優先の経営姿勢も強い非難を浴びた。
 事故後、JR西はさまざまな改革を進めた。
 08年には、リスクを現場ごとに洗い出し、優先順位を決めて解決していく制度を他社に先駆けて整えた。電車のダイヤにはゆとりを加えた。軽微なミスは処分対象にしないことにした。
 それでも、安全性が飛躍的に高まったとはいいがたい。
 今年2月には岡山県の踏切で電車がトラックと衝突し、乗客ら18人が負傷した。車の立ち往生を知らせる警告が作動していたのに、運転士がブレーキをかけるのが遅れた。労組が昨秋実施したアンケートでは4割近い運転士が、「責任追及の風潮もある」「原因究明より責任追及が重視されている」と答えた。
 改革はなお道半ばといえよう。今やJR西社員の3分の1が事故後の入社だ。全員が事故の教訓を胸に刻み、安全意識を引き継ぐのは容易ではない。
 JR西は今年度から、安全への取り組みを第三者機関が客観的に評価する仕組みを導入する。原因究明に携わった遺族らの提言を取り入れた。身内では気づかない指摘を、さらなる安全向上につなげてほしい。
 「安全に完成はない」
 JR西の真鍋精志社長はそう繰り返す。有言実行を願う。
 ほかの交通事業者も、教訓を改めて肝に銘じてほしい。
 どの事業者も、より便利に、より効率良く、を追求する。だが多くの人を一度に運ぶ交通は、常に惨事と隣り合わせだ。
 気づかぬうちに危険性が高まっていないか。時に立ち止まり、確かめるべきである。



信濃毎日新聞 2015年04月25日(土)
社説:尼崎脱線10年 安全意識に緩みはないか


 兵庫県尼崎市のJR線脱線事故から10年を迎えた。列車が線路脇のマンションに激突する前代未聞の事故で乗客106人が亡くなり、562人がけがをした。JR史上最悪の惨事だ。
 昨夜、現場では遺族らがろうそくの火で「2005・4・25 わすれない」の文字をつくり、犠牲者を追悼した。事故の教訓を風化させてはならない。遺族の思いを胸に刻む日にしたい。
 大事故の責任は誰にあるのか。この問いは今も続く。
 直接の原因は、死亡した運転士のブレーキ操作が遅れ、速度超過のままカーブに進入したことだ。事故から2年後、国土交通省の事故調査委員会が報告書で結論づけた。ただ、その背景にはブレーキの不備の放置や運転士への懲罰的な日勤教育などJR西日本の企業体質があったことを指摘。速度を監視する最新の列車自動停止装置が設置されていれば事故は防げたとも記している。
 この責任を問うべく強制起訴された歴代3社長の裁判で大阪高裁は先月、いずれも無罪とした一審判決を支持し、控訴を棄却した。舞台は最高裁に移った。
 これほどの事故の刑事責任を誰も負わないことに遺族の割り切れなさは残る。個人の責任を問う現行法の限界とすれば、安全対策を徹底させるためにも法人の責任を問う仕組みを検討すべきだろう。
 JR西は事故後、安全性を高めるための改革を進めてきた。中でも注目されるのは、遺族と専門家を交えて事故を検証し、再発防止策を検討する安全フォローアップ会議を立ち上げたことだ。
 2年がかりの論議で昨年4月にまとめられた提言を基に、JR西は先日、安全管理の内部監査に第三者機関を同行させ、評価を受ける制度を導入すると発表した。フォローアップ会議も第三者評価も、身内だけでは甘くなったり、気付かなかったりする問題を克服する方法として広げたい試みだ。
 尼崎の事故後も、JR北海道のレールの異常放置のように安全管理のずさんさが露呈するケースは後を絶たない。
 最近も、JR東日本の山手線で架線の支柱が倒れてレールに接触しているのが見つかった。3分後に電車が通過する予定で、大惨事になりかねなかった。2日前から支柱が傾いているのが何度も目撃されているのに放置されていた。
 安全意識に緩みが生まれていないか。見落としている問題はないか。すべての交通事業者が再点検してほしい。



[京都新聞 2015年04月25日掲載]
社説:尼崎事故10年  「安全文化」を育てたい


 107人が死亡、562人が負傷した尼崎JR脱線事故から、きょうで10年になる。遺族や被害者の思いはさまざまだろうが、今も苦しみを抱える声を聞く。
 JR西日本が進める安全対策も道半ばだ。私たちの社会は相変わらず効率とスピードを追い求め、安全を二の次にしていないか。
 まだ事故は終わっていない、との感を強くする。事故から教訓をくみ取り、安全文化を根付かせる努力を続けるしかない。
 報道などで、遺族や被害者の新たな歩みが伝えられる一方で、心身に傷を負い苦闘する姿を見る。賠償交渉も続いていると聞き、事故の罪深さを思い知らされる。
 さまざまな状況に置かれた遺族や被害者に、寄り添い続けることが大切だ。心身のケアや生活サポートだけでなく、施策の不備があれば改善するようにしたい。
 多くの遺族や被害者が願うのは事故原因の解明だ。死亡した運転士がカーブで速度超過したのが直接原因だが、JR西の企業責任を見過ごすわけにはいかない。過密ダイヤ、自動列車停止装置(ATS)の不備、厳罰主義の研修などが問われたが、強制起訴された元社長3人は無罪判決。遺族側の弁護士は最高裁に上告している。
 遺族の間から、個人の過失責任しか問えない現行法に疑問を感じ、企業の責任を問う「組織罰」の法制化を求める声が上がっている。英国では、鉄道事故の被害者の働きかけで法制化されている。議論を深めてほしい。その際、被害者を交えることが欠かせない。
 遺族らの切実な訴えを受けて、JR西の安全への姿勢は変わってきたように見える。事故原因と再発防止を検討する有識者とJRの円卓会議に、遺族が加わった。加害企業と遺族が共同で原因追及するのは異例で、2年かけて最終報告書をまとめた意義は大きい。
 今月、JR西は安全監査に第三者機関の評価を受ける仕組みを導入すると発表したが、それは最終報告書が提言していたことだ。
 ミスを報告しやすい環境づくりや社内研修の改善など、さまざまな取り組みが始まっている。こうした安全対策は、他の鉄道会社にも広がっている。それでも事故や不祥事は後を絶たない。JR東日本・山手線の支柱倒壊は、重大事故につながりかねなかった。
 事故が起き、被害を受けるのは私たち利用者だ。無理な運転をしていないかなど、日ごろから目を向けたい。そこから、安全文化は育っていくのではないか。



神戸新聞 2015/04/25
社説:脱線事故10年/安全追求の歩み止めるな


 乗客ら107人が亡くなり、約500人が負傷した尼崎JR脱線事故から、きょうで10年になる。
 乗客の多くは普段と変わらずに家を出て、仕事や学校などへと向かう途中だった。夜勤明けで家路を急ぐ人もいたかもしれない。
 事故は、そんな日常を一瞬にして奪い、人々の未来を変えた。
 遺族や負傷者はこの10年、愛する者の死、体や心に負った傷と向き合ってきた。「地獄のようだった」。長女を亡くした女性はそう振り返る。掛ける言葉すら見つからない。
 悲しみや苦しみを抱えながらも遺族らが訴え続けてきたのは、JR西日本が安全最優先の企業へと生まれ変わることだった。悲劇は繰り返さないとの願いからだ。
 安全の追求こそが、被害者や遺族らの思いに報いる道である。
 事故では、民営化以降、利益や効率性を優先してきたJR西の企業体質が批判を浴びた。余裕のないダイヤ編成や、ミスを犯した乗務員に対する懲罰的な教育(日勤教育)などは事故の遠因と指摘された。
 JR西は事故後、安全関連の投資を以前より年平均4割程度増やしてきた。事故の芽を摘むため、ミスについては責任追及から原因究明重視へ転換。軽微なものは処分対象から外し、報告を促す形に改めた。
 遺族や専門家らの提言を受け、新たに安全管理体制を第三者機関が評価、公表する仕組みも取り入れた。「変わりつつある」と感じる遺族も少しずつ増えてきているようだ。
 真鍋精志社長は「安全の取り組みに完成はない」と話す。その言葉通り、歩みを止めてはならない。
 同時にこうした取り組みを発信するのも責務だ。鉄道をはじめ公共交通の事故やトラブルは後を絶たない。JR西の経験や教訓を共有し、安全確立に生かさねばならない。
 JR史上最悪の惨事は、運転士のブレーキ操作の遅れが直接の原因とされる。そこに至る経緯は、航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の報告書でも触れているが、同僚や家族らの証言に基づいた推測の部分も少なくない。
 再発防止や安全対策は、事故原因の全容解明の上に成り立つ。
 運転士に何が起きたのか。事故はなぜ防げなかったのか。10年という節目を機に、過去の調査内容の検証も考えるべきだ。



山陽新聞 (2015年04月25日 08時09分 更新)
社説:尼崎脱線10年 改革半ば示す倉敷の事故


 倉敷市内のJR山陽線踏切で今年2月、立ち往生していた大型トラックと普通列車が衝突して18人が負傷する事故が起きた。突然強い衝撃を受けた乗客の中には瞬間的に、あの事故の光景が頭をよぎった人もいたという。
 2005年に、兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた脱線事故である。速度超過の快速電車が急カーブを回りきれずに脱線。乗客106人と運転士が死亡し、562人が負傷した。未曽有の大惨事から丸10年を迎えたきょう、犠牲者への鎮魂とともに、あらためて安全が問い直される。
 脱線事故を招いた直接的な原因は、自らのミスで生じた運行時間のロスを取り戻そうとした運転士のブレーキ操作の遅れとされる。同時に、そういった事態を招いた背景も浮き彫りになった。
 JR西日本は、スピードアップや便数を増やす一方で、自動列車停止装置(ATS)の設置が遅れるなど、見合う安全策を怠った。効率優先の企業風土といえよう。ミスに対する懲罰的な「日勤教育」が、乗務員を萎縮させている点なども指摘された。
 一からの出直しを迫られたJR西は、信頼回復に向けた模索を続けてきた。現場の声に基づいて事故の危険性をあらかじめ分析する「リスクアセスメント」を業界で初めて導入した。過密化したダイヤもゆとりを持たせた。制限速度を超えると自動的にブレーキがかかる新型ATSの設置区間も大幅に増やした。
 JR西の取り組みを促す上で、力を発揮したのが遺族たちである。責任の追及を横に置いて「なぜ事故が起きたかを一緒に究明しよう」と粘り強く働き掛け、JR西も胸襟を開いた。加害企業と遺族が重ねた対話は、組織的な問題点に踏み込むなど成果をあげた。真相を求め、安全の確立を願う遺族たちの熱意と行動力には頭が下がる。
 とはいえ、安全対策やJR西社内の意識改革が十分とは言い難い。一つの例が、倉敷市のJR山陽線踏切事故である。踏切の障害物検知装置が作動し、運転士に異常を知らせる線路脇の非常灯が点滅していたが、運転士が気付くのが遅れたとみられている。
 JR西は脱線事故後、「人はミスするもの」との考えを取り入れ、人と機械・技術が補完し合う運行システムの確立を目指してきたはずだ。見落としを防ぐ警報装置などの導入はできなかったか。改革はまだ道半ばといえよう。
 この10年間は、遺族や被害者にとって厳しい試練の日々だったろう。ようやく明るさを取り戻せた人がいる一方で心身の傷が癒えず、「10年は区切りにならない」という人も多い。事故後に入社した社員が3割を超えるJR西内部での事故の風化を懸念する声も聞かれる。
 遺族や被害者に寄り添い、安全の確立に全力を注いでいくことが、公共交通機関としてのJR西の使命である。



愛媛新聞 2015年04月25日(土)
社説:尼崎JR脱線10年 「安全最優先」胸に改革続けよ


 乗客106人が死亡した尼崎JR脱線事故から、きょうで10年になる。
 歳月を経ても、被害者や遺族の悲しみは癒えることはない。安全対策をきちんと取っていれば防げたはずの事故。安全対策にゴールはない。悲劇を繰り返さないため、JR西日本は安全対策に取り組み続けなければならない。
 事故の直接的な原因は、死亡した運転士が速度超過で運転し、ブレーキ操作が遅れ、減速せず現場カーブに進入したミスとされる。が、個人の責任に矮小(わいしょう)化することは許されない。問われるのは、安全対策を怠り、懲罰的な社員教育や余裕のないダイヤ編成などの問題を生んだ組織の「体質」だ。
 事故後、JR西は安全対策の強化に乗り出した。事故の危険性を事前に分析、評価する制度の導入などの新安全計画を実施。余裕のあるダイヤになった。事故発生件数は事故直前の2004年度の146件から13年度は89件へと4割削減したとする。しかし、過去の風潮から脱しきれない体質故に、4割しか減らせなかったとみるべきだろう。
 事故の要因には、過密ダイヤへの運転士の心理的負担やミスに対する懲罰的指導もある。運転士が処分を恐れて萎縮するあまり、ミスを犯すリスクを経営陣は見過ごした。今も人為ミスによる事故は後を絶たない。ミスの責任を個人に押しつけている限りは、安全の向上は図れないのだ。
 2月には岡山県倉敷市の踏切で、電車とトラックが衝突し、18人が負傷する事故が起きた。踏切内の異常を知らせる装置は作動し警告したが、運転士は気付かず、ブレーキ操作が遅れた。人為ミスは起こり得るとの前提に立ち、二重三重の安全対策で事故を防ぐ組織へと生まれ変わらなければいけない。
 JR西は先週、安全管理体制充実のため、第三者機関から評価を受ける仕組みの導入を決めた。JR西と遺族、有識者でつくる「安全フォローアップ会議」が昨年4月に提言した仕組みで、内部監査に第三者が同行して評価する。安全対策を鉄道事業者だけに任せられないとの遺族の執念が実を結んだ内容で、評価したい。着実に実行することが信頼回復につながるはずだ。
 業務上過失致死傷罪で強制起訴された歴代3社長には大阪高裁が先月、無罪判決を言い渡した。上告したが、誰も刑事責任に問われないことへの遺族や被害者の怒りは当然だ。「組織罰」の必要性も検討すべきだろう。
 安全を横に置き、利益と効率化を追求した組織の責任は重い。意識改革は道半ばだ。JR西は、安全を最優先にした組織の風土を構築し、事故の再発と風化の防止に全力で取り組む必要がある。



高知新聞 2015年04月25日08時08分
社説:【尼崎脱線10年】教訓は生かされているか


 原形をとどめない列車の衝突現場がいまも鮮明に記憶に残る。乗客106人と運転士が死亡、562人が負傷した尼崎JR脱線事故が発生から10年になった。
 安全を担保するはずの組織が、逆に安全を脅かす―。航空・鉄道事故の原因究明で、これほどまでに事業者の体質が問われた事故はないだろう。
 そして10年を経て、教訓は生かされているのか問われている。
 事故は2005年4月25日、兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた。速度超過の快速電車が急カーブを曲がりきれずに脱線し、マンションに衝突した。直接の原因は運転士のブレーキ操作が遅れたことだった。
 しかし、背景には理不尽なJR西日本の運転士管理があった。同社は過密ダイヤの中、運行でミスをした運転士を「日勤教育」として草むしりをさせるなど懲罰的に指導していた。国の事故調査委員会は07年に公表した調査報告書で、運転士は車掌にミスを見逃してもらおうと車内電話に気を取られ、ブレーキが遅れた―と指摘した。
 同社は厳しい批判にさらされ、ダイヤ改正や自動列車停止装置(ATS)の増設などを矢継ぎ早に実施。遺族と専門家を交えた会議も立ち上げ、事故の組織要因を検証してきた。安全教育も強化している。意識改善を一定評価する声はあるが、犠牲は大きすぎたと言わざるを得ない。
 人間はミスを犯しやすいが、組織のゆがんだ体質はミスを助長し、甚大な被害を生む。社会がこの事故から学び取るべきものは多い。にもかかわらず、企業体質や経営が絡む事故やトラブルは後を絶たない。
 JR北海道では、脱線事故やレール異常放置・検査数値の改ざんなどの不祥事が続いた。今月12日に東京で発生した山手線の支柱倒壊も、大惨事につながりかねないトラブルだった。JR東日本は事前に異変を察知しながらすぐに補修しなかったという。鉄道事業者としての体をなしてない。
 12年に群馬県の関越自動車道で起きた高速ツアーバスの衝突事故も衝撃的だった。7人が帰らぬ人となり、価格競争や無理な運行計画と居眠り運転の関係が取り沙汰された。
 JR西日本はもちろん、他の鉄道、航空、バスなどの事業者も教訓を継承していく使命がある。監督官庁の責任も重い。一層の指導の強化や安全システムの確立が求められる。



西日本新聞 2015年04月25日10時34分
社説:尼崎脱線事故 共有したい10年前の教訓


 兵庫県尼崎市のJR福知山線の急カーブで快速電車が脱線し、通勤・通学客など107人が死亡、562人が負傷した事故の発生からきょうで10年となる。
 1987年の国鉄分割民営化に伴うJR発足以来、最悪の惨事だった。遺族会などの強い働き掛けもあり、事故の原因と背景はかなり詳細に解き明かされてきた。その貴重な教訓は鉄道に限らず、多くの乗客の命を預かる公共交通機関全体で幅広く共有したい。
 事故の直接原因は運転士のブレーキ操作の遅れだった。だが、より強く批判されたのは、安全軽視ともいえるJR西日本の企業体質だった。電車増発や所要時間短縮を繰り返しながら、それに見合う安全対策を怠っていたからだ。
 速度超過時に自動ブレーキをかけるATSの設置が遅れていた。ひとたび遅れると回復が難しいほど過密なダイヤに加え、ミスをした乗務員に草むしりをさせる懲罰的な日勤教育も問題視された。
 事故後、JR西日本が打ち出した対策は、企業体質にまで踏み込んでいないと批判された。そこでJR西日本は2012年、遺族や専門家と再発防止策を議論する会議を設けた。異例の試みだ。
 会議の提言を踏まえ、JR西日本は今月、安全管理体制を外部の評価機関にチェックしてもらう仕組みをつくると発表した。国内でも先進的な取り組みで専門家も評価している。実際に利用者や社会に理解され、実効性の高い制度になるのか。注目したい。
 尼崎事故を受けて国は06年、全国の鉄道事業者に安全部門の統括管理者に役員級を選任するよう義務付けた。会社が一丸となって安全に取り組むよう求めたものだ。
 それは実現しているだろうか。JR北海道では13年にレール検査数値の改ざんが発覚した。JR東日本でも今月、山手線で架線の支柱が倒壊した。いずれも重大事故につながりかねないものだ。
 尼崎事故の遺族には事故の風化を懸念する人がいる。多くの犠牲者が出た事故である。その教訓に学ぶ努力を怠ってはならない。



南日本新聞 ( 2015/4/25 付 )
社説: [尼崎事故10年] 風化させてはならない


 兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた脱線事故からきょうで10年になる。乗客106人と運転士が死亡、562人が重軽傷を負う大惨事だった。
 事故を風化させてはならない。痛ましい教訓を生かし、安全対策にどうつなげるか。JR西日本をはじめ鉄道事業者には不断の努力を求めたい。
 国の事故調査委員会は事故原因について、スピードを出しすぎた運転士のブレーキ操作の遅れとした。
 個人的なミス以外にも浮かび上がった問題があった。列車の増発や速度アップを進めながら、それに見合う安全対策をなおざりにしてきた企業体質である。
 事故が起きたのは、1996年に新線開業のため急カーブに付け替えられた区間だった。自動列車停車装置(ATS)は設置されていなかった。
 ミスをした乗務員に草むしりをさせるなど懲罰的な日勤教育も問われた。厳しい労務管理が精神的な重圧になり、事故を誘発した一因とされたからだ。
 JR西は二度と重大事故を起こさない会社を目指し、模索してきた。
事故前、京阪神近郊で計350キロだった新型ATSの設置区間は12年9月、2倍近い661キロに拡大した。
 鉄道業界で初めて導入したのが、事故の危険性を事前に分析する「リスクアセスメント」だ。今月には、安全管理体制を充実させるために外部評価を受ける仕組みも設けると宣言した。
 社内に設置した安全研究所は、操作しやすい運転台の考案や眠気防止のガイドライン策定などに取り組んだ。
 こうした対策の積み重ねが事故の危険の芽を摘む。だが、気を緩めるわけにいかない。
 今年2月、岡山県倉敷市のJR踏み切りで立ち往生した大型トラックと普通列車が衝突し、乗客ら18人がけがをした。JR西の社長は「リスクを洗い出しているが、完璧ではなかった」と、道半ばを認めている。
 折しも、東京のJR山手線でJR東日本の支柱が倒壊するトラブルがあったばかりだ。一歩間違えば大事故につながりかねなかった。異変を察知しながら、危険への見通しが甘いまま放置していたのが原因だ。
 事故への落とし穴はどこにあるか分からない。鉄道事業者は、安全追求に終わりがないことを肝に銘じてほしい。乗客の命を預かっているという原点を忘れてはならない。 

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