2015-04-29(Wed)

ドイツ機墜落 操縦室常時2人を義務化 各社に指示 国交省

運航現場の実情を考慮していない対策 客室乗務員本来の保安任務に支障

-----国土交通省は28日、フランス南部でのドイツ機墜落を受けた暫定措置として、旅客機の操縦室に常に2人以上の人員を配置するよう、日本の航空各社に指示した。国交省は「事実上の義務化」としている。

 国交省は、事故の詳細が明らかになった段階で再検討の必要があるとした上で(1)強化型ドアを装備した操縦室では常時2人以上を配置(2)入退室の具体的手順を定め、職員に教育を徹底―の2点を指示した。

 開始時期は各社に任せるが、国交省は1週間程度で導入できるとみている。
 太田昭宏国交相は28日の記者会見で「各国当局の動向を踏まえ、暫定的措置として指示することとした」と述べた。(共同)


操縦室の補助は
今回のような事故の対策として、操縦室に2人体制をとることが検討されています。つまり、1人のパイロットが離席中に、客室乗務員を操縦室に呼んでパイロットを監視させたり、補助をさせようというのです。
 
 運航現場の実情を考慮していない対策です。職務上、操縦操作の知識がない客室乗務員に操縦室での補助はできません。また客室で乗客の安全を守るという客室乗務員本来の保安任務に支障がでかねません。

 そもそも1980年代までは、大型旅客機は2人のパイロットと航空機関士1人の3人で運航していました。90年代に入って、技術革新を理由に規制緩和が推進され、今日ではほとんどの旅客機がパイロット2人だけでの運航となってきたことも忘れてはなりません。

 このように事故後に安全対策が議論されていますが、ドイツ機墜落事故と同様の事故を防ぐような真の安全対策になるか疑問があります。
 現在の航空業界に潜む不安全要素を取り除く対策を講ずることこそ求められています。
 (山□宏弥・航空連前議長)





以下引用

毎日新聞 2015年04月28日 19時57分
旅客機:「操縦室常時2人」指示 国交省が文書で通達
 ◇独旅客機の墜落事故を受けて
 国土交通省は28日、フランス南部で3月に起きた独ジャーマンウイングス機の墜落事故を受け、旅客機の操縦室常時2人以上の乗務員を配置するよう、国内の航空各社に文書で通達を出した。
 対象は外部からの侵入を不可にできる「強化型ドア」を装備した航空機。2001年の「米同時多発テロ」以降、テロ対策として操縦室に導入された。ほぼ全てのジェット旅客機が対象になる。
 国内線や国際線、運行時間の長短に関係なく、トイレなどで機長または副操縦士が操縦室から出る場合、代わりに客室乗務員が入り、常に「2人以上」を維持するよう求めている。
 開始時期は「速やかに」とのみ記載されているが、国交省によると、最長でも1週間以内で準備は可能とみられ、国内の大手航空会社は来月初旬から実施する見通し。
 独機事故の調査が継続中のため、「暫定措置」とし、詳細な事故原因の判明後、再発防止策の再検討を行う。
 独機事故では、トイレに立った機長を副操縦士が閉め出し、故意に墜落させた疑いが強まっている。【佐藤賢二郎】


NHK 4月28日 11時32分
国交省 操縦室の2人態勢維持を指示
 フランスで起きたドイツ機の墜落で、副操縦士が機長を操縦室から閉め出し故意に墜落させたとみられることを受けて、国土交通省は日本国内の航空各社に対し、操縦室内で常に2人態勢を維持するよう指示しました。
 先月フランスで起きたドイツ機の墜落では、副操縦士が機長を操縦室から閉め出し故意に墜落させたとみられ、ヨーロッパの当局は各社に対し、操縦室内で常に2人態勢を維持するよう勧告しています。
 日本ではこれまで国のルールはなく、各社の判断で対応してきましたが、国土交通省は28日、国内の航空各社に対し、操縦室内で常に2人態勢を維持するよう指示しました。これを受けて各社は、2人のパイロットのうち1人がトイレなどで外に出る場合、代わりに客室乗務員が操縦室に入るなどの対応を取るとみられます。
 こうした対応は、国内でも一部の会社が以前から導入していますが、国土交通省は、ドイツ機の墜落を受け、ほかの各社でも同じような対応が必要と判断したとしています。
国交相「安全確保に万全を」
 これについて、太田国土交通大臣は28日の会見で「最終的な事故調査が明らかになるまでの暫定措置として、国内の航空会社に対し、操縦室に乗務員など常時2名以上配置することを指示した。航空会社は速やかに実施し、安全運航の確保に万全を期してほしい。国土交通省としては引き続き、事故調査の進捗(しんちょく)状況や国際民間航空機関の動向を踏まえ、適切に対応していきたい」と述べました。

日本経済新聞 2015/4/28 13:35
操縦室、国内も常時2人に 独機墜落を受け国交相が表明
 フランス南東部で3月に起きたドイツ旅客機の墜落を受け、太田昭宏国土交通相は28日の閣議後の記者会見で、操縦室に常時2人以上がいる体制を確保するよう国内の航空会社に指示する方針を明らかにした。
 操縦士がトイレなどで室外に出るときは、客室乗務員が代わりに入るなどの対応を想定している。国交省は同日、操縦室を入退室する際に第三者の出入りを防ぐなど、安全確保のための手順を定めるよう各社に通達した。国交省によると、1週間程度ですべての航空会社が常時2人体制を導入する見通しという。
 ドイツ機の事故では、副操縦士が機長を操縦室から閉め出し、意図的に機体を急降下させたことが原因とみられている。欧州航空安全局はすでにパイロット1人を含む2人以上が操縦室に常駐するよう航空各社に勧告している。


朝日新聞 2015年4月28日12時48分
操縦室、常時2人態勢を義務づけ 独機墜落で国交省
 独ジャーマンウィングス機の墜落事故を受け、国土交通省は28日、国内の航空会社に、運航中の操縦室内にパイロットらを常時2人以上配置するよう義務づける指示を出した。トイレなどでパイロットが操縦室を離れる場合、客室乗務員(CA)や同乗の社員が代わりに入り、操縦室内を1人にしないようにする。
 独機の事故では副操縦士が機長を閉め出し、故意に墜落させた疑いが強まっている。60席以上の旅客機の操縦室ドアはテロ防止のため外から開けられない強化構造で、航空各社は国交省の指示を受け、パイロットの代わりに入るCAらに出入りの手順を事前に訓練する。各社とも1週間程度で実施できる見込み。

2015/04/28 12:47 【共同通信】
国交省、操縦室常時2人を義務化
ドイツ機墜落受け各社に指示
 国土交通省は28日、フランス南部でのドイツ機墜落を受けた暫定措置として、旅客機の操縦室に常に2人以上の人員を配置するよう、日本の航空各社に指示した。国交省は「事実上の義務化」としている。
 国交省は、事故の詳細が明らかになった段階で再検討の必要があるとした上で(1)強化型ドアを装備した操縦室では常時2人以上を配置(2)入退室の具体的手順を定め、職員に教育を徹底―の2点を指示した。
 開始時期は各社に任せるが、国交省は1週間程度で導入できるとみている。
 太田昭宏国交相は28日の記者会見で「各国当局の動向を踏まえ、暫定的措置として指示することとした」と述べた。

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しんぶん赤旗 2015年04月22日
航空業界に潜む安全問題 ㊤
ドイツ機墜落事故から考える
<寄稿>山□宏弥・航空連前議長
    日本航空解雇撤回パイロット原告団長

 ドイツ旅客機の墜落など航空機事故が相次いで起こり、空の安全が社会問題となっています。30年前の御巣鷹事故の際には日本航空乗員組合委員長をつとめるなど、空の安全問題に長年取り組んできた山□宏弥・航空労組連絡会前議長(日航解雇撤回パイロット原告団長)に空の安全を守るために何が大切かについて寄稿してもらいました。

健康管理を国の責任で

 3月にフランスの山中に、ドイツの格安航空会社 (LCC)ジャーマンウィングスの旅客機が墜落する事故が起きました。この事故は、今日の航空業界に潜む数々の問題点を指摘しているように思えてなりません。

82年事故と共通
 この事故は、パイロットが意図的に墜落させた可能性があるという点で、1982年2月に日本航空機が逆噴射によって墜落した羽田沖事故と共通性があります。そして、今日の航空業界が、当時から大きく変貌していることも考慮しなくてはならないでしょう。
 事故を契機に、パイロットの健康管理問題がクローズアップされています。航空に限らず公共輸送機関の安全対策は、労働者個人に健康管理を任せるだけでなく、事業者や国が責任を持たなくてはなりません。 ドイツ機事故の後に、国土交通省が「日本では、精神面も含めて乗員の健康管理の対策は取られている」とコメントした報道を読みました。
 確かに、羽田沖事故後の84年に、安全対策として、乗員の健康管理を事業者に任せるだけではなく、第三者機関として設立された航空医学研究センターで、日航や全日空パイロットの航空身体検査を実施するようになりました。この点は評価できることです。しかし、経営破綻後の日航では、パイロットの航空身休検査は、別の民間の診療機関で実施しています。
 国交省は、羽田沖事故以来、日本の航空会社で精神疾患による事故は起きていないと、日本での乗員の健康管理の充実ぶりをアピールしています。しかし、規制緩和が行われています。2012年4月1日から、機長の航空身体検査を6ヶ月ごとから1年ごとへ頻度を減らすなど、後退している面も見逃せません。
 また、今回のような事故の対策として、操縦室に2人体制をとることが検討されています。つまり、1人のパイロットが離席中に、客室乗務員を操縦室に呼んでパイロットを監視させたり、補助をさせようというのです。
 
操縦室の補助は
 運航現場の実情を考慮していない対策です。職務上、操縦操作の知識がない客室乗務員に操縦室での補助はできません。また客室で乗客の安全を守るという客室乗務員本来の保安任務に支障がでかねません。
 そもそも1980年代までは、大型旅客機は2人のパイロットと航空機関士1人の3人で運航していました。90年代に入って、技術革新を理由に規制緩和が推進され、今日ではほとんどの旅客機がパイロット2人だけでの題航となってきたことも忘れてはなりません。
 このように事故後に安全対策が議論されていますが、ドイツ機墜落事故と同様の事故を防ぐような真の安全対策になるか疑問があります。
 現在の航空業界に潜む不安全要素を取り除く対策を講ずることこそ求められています。   (つづく)

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しんぶん赤旗 2015年04月23日
航空業界に潜む安全問題 ㊦

現場の声生かす改善を
 航空業界の不安全要素のひとつが、パイロットの労働条件や職場環境などの問題です。
 近年、さまざまな職場で、長時間労働による過労やパワハラによる自殺が起こっています。パイロットであっても他の職種から例外ではなく、労働環境や人間関係が悪ければ、心身に変調をきたす危険性があります。
  
乗務時間の延長
 近年、航空の規制緩和策によって、パイロットの乗務制阪時間が延長されています。世界的なパイロット不足からくる過重な労働によって、疲労の蓄積はないでしょうか。病気のときに無理して乗務をしないよう、病気欠勤しても賃金の保障はあるでしょうか。
 この種の労働条件の問題は、本来、安全対策の一環として取り組むべき課題です。しかし、経営の効率化を追求したい事業者は、労働条件改善に否定的です。 行政側は「個別企業の労働条件には不介入」などの理由をつけて、企業の立場を擁護しています。現状は、企業の利益第一主義の下で、こうした視点での安全対策が見落とされています。
 もうひとつ、安全を担保する上での重要な視点として、パイロットの仲間同士の交流など、職場でのパイロット相互の信頼関係の問題があります。
 日航の羽田沖事故(1982年)のケースでは、産業医が当該機長の精神疾患を見逃したという問題もありました。同時に、当該機長は、機長訓練中から同僚との交流がほとんどなくなっていました。
 また、当時は機長全員管理職制度の下で、機長がお互いに率直に悩みや意見を述べ合う労働組合の存在がありませんでした。御巣鷹山事故後の1986年、空の安全を守ろうと機長組合が結成され、当時の職場の雰囲気は一変しました。特筆すべきことでした。
 過去の日航では、副操縦士が訓練中にパワハラを受けて悩み、帰国便のトイレの中で自傷を試みた事例や、副操縦士が精神的に追い詰められ、家族が組合に相談に来たケースなどがありました。また、操縦室で機長が副操縦士に対して暴力をふるった事件もありました。
 私自身も副操縦士時代に同乗した機長からパワハラを受けて、上海から成田まで乗務する間、機長といっさい目を合わせることも、言葉を交わすこともなかった経験があります。

信頼関係と組合
 こうしたケースが異常運航に至らなかったのは、職場に信頼できる仲間がいたことや、パワハラをなくそうとする乗員組合の取り組みがあったからです。
 私は2010年末に解雇されるまでの35年間の日航での乗務経験から、「自由にものの言える明るい職場が安全運航の基盤である」と確信を持っています。
 今、後輩のパイロットから「職場が暗い」と話を聞きます。私たちが解雇されてからの4年間に150人ものパイロットが日航を自主退職して他社に流出しています。これは深刻な問題です。
 日航では、労働組合を分裂させて差別する労務政策が半世紀以上も続き、安全の基盤を切り崩しています。このことを日航経営者も国も認識すべきです。
 ドイツ機事故でも、ジャーマンウィングス社の労務管理や職場実態を調査することが必要でしょう。LCC(格安航空会社)は航空の規制緩和策の象徴となっていますが、LCCといえども乗客の命を預かることに変わりはありません。
 また、日本の行政当局には、これまでの安全対策では想定できなかった問題が現場に潜んでいることに着目して、現場の声を反映させた安全対策を講じるよう求めたい。   (おわり)

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