2015-05-14(Thu)

戦争法案 閣議決定 安保政策 歴史的転換

集団的自衛権容認 憲法9条破壊/安倍内閣総理大臣記者会見2015.5.14

政府は14日、首相官邸で臨時閣議を開き、自衛隊活動の拡大を図る安全保障関連法案を決定した。

集団的自衛権の行使を可能にし、憲法9条に基づく専守防衛を根幹としてきた安全保障政策の歴史的な転換に道を開く内容だ。

米軍への後方支援など、自衛隊の海外活動も飛躍的に拡大される。

15日に国会に提出し、政権は夏までの成立を目指す。

安倍晋三首相は記者会見し「厳格な歯止めを掛けた」と強調したが、
民主党など野党は反発を強めており、激しい国会論戦になるのは必至だ。
(毎日新聞より)





以下引用

平成27年5月14日安倍内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0514kaiken.html
こちら(政府インターネットTV)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg11715.html
【安倍総理冒頭発言】
 70年前、私たち日本人は一つの誓いを立てました。もう二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。この不戦の誓いを将来にわたって守り続けていく。そして、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この決意の下、本日、日本と世界の平和と安全を確かなものとするための平和安全法制を閣議決定いたしました。
 もはや一国のみで、どの国も自国の安全を守ることはできない時代であります。この2年、アルジェリア、シリア、そしてチュニジアで日本人がテロの犠牲となりました。北朝鮮の数百発もの弾道ミサイルは日本の大半を射程に入れています。そのミサイルに搭載できる核兵器の開発も深刻さを増しています。我が国に近づいてくる国籍不明の航空機に対する自衛隊機の緊急発進、いわゆるスクランブルの回数は、10年前と比べて実に7倍に増えています。これが現実です。そして、私たちはこの厳しい現実から目を背けることはできません。
 ですから、私は、近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しています。総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してまいりました。いかなる紛争も、武力や威嚇ではなく国際法に基づいて平和的に解決すべきである。この原則を私は国際社会で繰り返し主張し、多くの国々から賛同を得てきました。外交を通じて平和を守る。今後も積極的な平和外交を展開してまいります。
 同時に、万が一への備えも怠ってはなりません。そのため、我が国の安全保障の基軸である日米同盟の強化に努めてまいりました。先般のアメリカ訪問によって日米のきずなはかつてないほどに強くなっています。日本が攻撃を受ければ、米軍は日本を防衛するために力を尽くしてくれます。そして、安保条約の義務を全うするため、日本近海で適時適切に警戒監視の任務に当たっています。
 私たちのためその任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない、何もしない。これがこれまでの日本の立場でありました。本当にこれでよいのでしょうか。
 日本近海において米軍が攻撃される、そういった状況では、私たちにも危険が及びかねない。人ごとではなく、まさに私たち自身の危機であります。私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている。そして、その危機を排除するために他に適当な手段がない。なおかつ必要最小限の範囲を超えてはならない。この3つの要件による厳格な歯止めを法律案の中にしっかりと定めました。さらに、国会の承認が必要となることは言うまでもありません。極めて限定的に集団的自衛権を行使できることといたしました。
 それでもなお、アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか。漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方にここではっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にあり得ません。新たな日米合意の中にもはっきりと書き込んでいます。日本が武力を行使するのは日本国民を守るため。これは日本とアメリカの共通認識であります。
 もし日本が危険にさらされたときには、日米同盟は完全に機能する。そのことを世界に発信することによって、抑止力は更に高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと考えます。
 ですから、戦争法案などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤りであります。あくまで日本人の命と平和な暮らしを守るため、そのためにあらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うのが今回の法案です。
 海外派兵が一般に許されないという従来からの原則も変わりません。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、今後とも決してない。そのことも明確にしておきたいと思います。
 他方、海外において、自衛隊は原油輸送の大動脈、ペルシャ湾の機雷掃海を皮切りに、これまで20年以上にわたり国際協力活動に従事してきました。今も灼熱のアフリカにあって、独立したばかりの南スーダンを応援しています。そこでは日本がかつて復興を支援したカンボジアが共にPKOに参加しています。
 病院を運営するカンボジア隊の隊長が現地の自衛隊員にこう語ってくれたそうであります。国連PKOでの日本の活躍は、母国カンボジアの人々の記憶に今も鮮明に残っている。この病院も本当は誰よりも日本人に使ってほしい。私たちは日本人のためならば24時間いつでも診療する用意がある。
 これまでの自衛隊の活動は間違いなく世界の平和に貢献しています。そして、大いに感謝されています。延べ5万人を超える隊員たちの献身的な努力に私は心から敬意を表したいと思います。
 そして、こうした素晴らしい実績と経験の上に、今回PKO協力法を改正し、新たに国際平和支援法を整備することといたしました。これにより、国際貢献の幅を一層広げてまいります。我が国の平和と安全に資する活動を行う、米軍を始めとする外国の軍隊を後方支援するための法改正も行います。しかし、いずれの活動においても武力の行使は決して行いません。そのことを明確に申し上げます。
 これらは、いずれも集団的自衛権とは関係のない活動であります。あくまでも紛争予防、人道復興支援、燃料や食料の補給など、我が国が得意とする分野で国際社会と手を携えてまいります。
 我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態にとどまることなく、日本は積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献していく決意であります。
 戦後日本は、平和国家としての道を真っすぐに歩んでまいりました。世界でも高く評価されている。これまでの歩みに私たちは胸を張るべきです。しかし、それは、平和、平和とただ言葉を唱えるだけで実現したものではありません。自衛隊の創設、日米安保条約の改定、国際平和協力活動への参加、時代の変化に対応して、平和への願いを行動へと移してきた先人たちの努力の結果であると、私はそう確信しています。
 行動を起こせば批判が伴います。安保条約を改定したときにも、また、PKO協力法を制定したときにも、必ずと言っていいほど、戦争に巻き込まれるといった批判が噴出しました。
 しかし、そうした批判が全く的外れなものであったことは、これまでの歴史が証明しています。私たちは、先の大戦の深い反省とともに、70年もの間、不戦の誓いをひたすらに守ってきました。そして、これからも私たち日本人の誰一人として戦争など望んでいない。そのことに疑いの余地はありません。
 私たちは、自信を持つべきです。時代の変化から目を背け、立ち止まるのはやめましょう。子供たちに平和な日本を引き継ぐため、自信を持って前に進もうではありませんか。日本と世界の平和のために、私はその先頭に立って、国民の皆様と共に新たな時代を切り拓いていく覚悟であります。
 私からは、以上であります。

【質疑応答】
(内閣広報官)
 それでは、皆様からの御質問をお受けいたします。
 質問をされたい方は、挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、所属とお名前を明らかにされた上で質問をお願いいたします。
 初めに、幹事社からいただきます。どうぞ。
(記者)
 幹事社の朝日新聞の円満と申します。
 御質問させていただきます。
 閣議決定された安全保障関連法案ですけれども、報道各社の世論調査では、賛否が分かれて、慎重論は根強くあると思います。
 また、野党からは、集団的自衛権の行使をすることについての反対に加えて、先の訪米で総理が議会で演説された「夏までに実現する」という表明についても、反発の声が出ております。
 総理はこうした声にどうお答えしていく考えでしょうか。例えば今後の国会審議で法案の修正の選択肢はあるのでしょうか。
(安倍総理)
 先ほど申し上げましたように、国民の命と平和な暮らしを守ることは、政府の最も重要な責務であります。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るために、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う平和安全法制の整備は不可欠である、そう確信しています。
 例えば、海外で紛争が発生しそこから逃れようとする日本人を、同盟国であり能力を有する米国が救助し我が国へ移送しようとしているとき、日本近海で攻撃を受けるかもしれない。このような場合でも、日本自身が攻撃を受けていなければ、救出することはできません。この船を守ることはできないわけでありまして、国民の命と平和な暮らしを守り抜く上で、十分な法制となっていないのが現状であります。
 当然、先ほど申し上げましたように、国民の命と幸せな暮らしを守る、それが最も重要な責務である以上、その責務をしっかりと果していくために、この法改正は必要である。
 もちろんそんなことが起こらなければいいわけでありますが、そうしたときに備えをしていく。これは私たちの大きな責任だろうと思います。
 こうしたことをしっかりとわかりやすく丁寧に、そのためにこそ必要な法整備であるということを、これから審議を通じて説明をしていきたいと思います。
 また、先般の米国の上下両院の合同会議の演説において、「平和安全法制の成立をこの夏までに」ということを申し上げました。
 しかし、これは平成24年の総選挙以来、私は総裁として、また我が党として、この平和安全法制を整備していくことを公約として掲げています。一貫して我々は公約として掲げてきたということであります。
 特に、先の総選挙においては、昨年7月1日の閣議決定に基づいて、平和安全法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民の審判を受けました。
 ですから、選挙で全く公約もせず何も述べずにいきなり何かを政策として政権をとって実行するということとは全く違うということは、御理解いただけるのではないかと思います。
 3回の選挙戦で私たちはお約束をしてきて、そして昨年の7月1日の閣議決定を受けて、そして総選挙において速やかに法整備を行うと言いました。そして、12月24日総選挙の結果を受けて発足した第3次安倍内閣の組閣に当たっての記者会見において、皆様も覚えておられると思いますが、平和安全法制は通常国会において成立を図る旨、はっきりと申し上げております。国民の皆様にはっきりと申し上げたはずであります。
 さらに、本年2月の衆議院の本会議において質問をされまして、その質問に対しまして二度にわたり、この国会において、本国会において成立を図るということを申し上げているわけでございますから、当然これは今まで申し上げてきたことを、米国議会における演説で更に繰り返し述べたということでございます。
 そこで、私どもが提出をするこの法案につきましては、与党において25回にわたって協議をしたものであります。それまで長きにわたって有識者の皆様に御議論をいただいたものでございますから、私たちとしてはベストなものであるとこう考えております。しかし、国会審議はこれからでありまして、国会にかかわる事項、事がらにつきましては、政府として申し上げることは差し控えたいとこのように思いますが、政府としては、国会審議を通じて、この平和安全法制が必要だということを各議員の皆様に御理解をいただくべく、努力をしていきたいとこう思っております。
(内閣広報官)
 それでは、幹事社の方、もう一社、どうぞ。
(記者)
 テレビ朝日の足立と申します。
 総理は、今もありましたけれども、今国会中の法案成立を目指しておられますが、成立後、直ちに自衛隊の参加を検討している活動は具体的に念頭にあるのでしょうか。
 例えばで例を挙げさせていただきますと、世界各地のPKOで、法改正に基づいた活動の拡大を行うことは考えておられるのか。また、アメリカが南シナ海で中国が基地の建設を一方的に進めている島、ここの周辺に艦船や偵察機の派遣を検討していますけれども、この活動を日米共同で行うようなことは考えておられるのでしょうか。
 もう一つ具体例なのですが、ISIL、イスラム国の掃討作戦がアメリカを含む有志連合によって行われていますが、これの後方支援を行うようなことは考えておられるのでしょうか。よろしくお願いします。
(安倍総理)
 先ほど説明いたしましたように、今回の法案については、例えば紛争があった国から逃れてくる日本人、その日本人を米艦が運んでいる。その艦艇が攻撃を受けても、その艦艇を日本は守ることができない。これを変えていくものでもあります。
 そして、現在の安全保障状況というのは、テロにしろそして核やミサイルにしろ、国境を容易に超えてくるわけでありまして、もはや一国のみで自国を守ることができないそういう時代であります。その中において、国際社会そして同盟国の米国と協力をしながら日本自身、そして地域の平和と安定を守るのは、当然これは日本人の命と平和な暮らしを守っていくことにつながっていくと、こう確信をしています。
 PKO活動におきましても、万が一ともに活動している他国の部隊が襲われて救助を頼まれたときに、今まではその救助の要請に応えることができなかったり、あるいは日本人を輸送しに派遣された自衛隊が、万が一その救出・輸送しようとする対象の日本人がテロリストに襲われようとしているときにも、全く救出することができない。そうしたことを変えていく法案であります。
 正にそういう意味におきまして、日本人の命や平和な暮らしを守るための法案でありまして、そうしたことが起こったときのために備えていくものであって、この法案が整備されたからどこに行くかというものではないということは、まず申し上げておきたいと思います。
 例えば、今例として挙げられましたPKOです。PKOについては、必要な活動をより効率的に行うことができるようにする。例えばPKO活動を自衛隊がしていて、近傍にNGOの方々がいて、そのNGOの方々は日本人である可能性も高いのですが、そういう方々からいわば救出を要請された場合にも、救出活動ができるということになってくるわけであります。いわば機能が、日本人の命やあるいはPKO活動として役割を果たす上において、向上していくものなのだということを御理解いただきたい。新たな活動を広げていくという、新たな拡大を行っていくということではない。よりこれは確かなもの、日本人の命を例えば守っていく上においては確かなものとなっていくものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
 例えば南シナ海における件におきましては、これは全く私も承知しておりませんので、コメントのしようがないわけであります。
 そしてまた、例えばISILに関しましては、我々がここで後方支援をするということはありません。これははっきり申し上げておきたいと思います。今まで行っている難民や避難民に対する食料支援や医療支援等、大変いま感謝されています。こうした非軍事的な活動を引き続き行っていくことになるのだろうと、このように思います。
(内閣広報官)
 それでは、幹事社以外の皆様からの質問をお受けしますので、御希望の方は挙手をお願いいたします。
 では、西垣さん。
(記者)
 フジテレビの西垣と申します。お疲れさまです。
 この機会なので、まだ、これから法制が始まる、国民の不安、懸念などについて説明を伺いたいと思います。
 先ほど、総理は、戦後日本が平和国家の道を歩む、そういうことに胸を張るというお話と、自衛隊の方々の活動の平和に貢献というのがありました。
 これまで、自衛隊発足後、紛争に巻き込まれて自衛隊の方が亡くなるようなことはなく、また、戦闘で実弾を使ったりすることがないことが、日本人の国内の支持であったり、国際的な支持というのも日本の平和にあったかと思います。
 今回、その平和安全法制が成立した暁に、こういった自衛隊の活動が重要事態に行くとか、あとは任務遂行型の武器使用になるとかいうことで、すごく危険だとか、リスクな方に振れるのではないかというような懸念があるかと思われるのですけれども、そういったことに対する総理の御説明をお願いいたします。
(安倍総理)
 先ほど申し上げましたように、例えばPKOについて、駆けつけ警護ができるということは、近傍で活動している地域の、例えば子供たちの健康のために、医療活動のために従事している日本のNGOの人たちがいて、その人たちに危険が迫って、自衛隊員の皆さんに救援に来てもらいたいと頼まれて、しっかりとした装備をしている自衛隊員の皆さんが救助に行けなくていいのでしょうか。そういう訓練をしている、まさに自衛隊員の皆さんは、日ごろから日本人の命、幸せな暮らしを守る、この任務のために苦しい訓練も積んでいるわけであります。まさにそういう任務をしっかりと、これからも同じように果たしていくものだということであります。
 そして、今までも自衛隊の皆さんは危険な任務を担ってきているのです。まるで自衛隊員の方々が、今まで殉職した方がおられないかのような思いを持っておられる方がいらっしゃるかもしれませんが、自衛隊発足以来、今までにも1,800名の自衛隊員の方々が、様々な任務等で殉職をされておられます。私も総理として慰霊祭に出席をし、御遺族の皆様ともお目にかかっております。こうした殉職者が全く出ない状況を何とか実現したいと思いますし、一人でも少ないほうがいいと思いますが、災害においても危険な任務が伴うのだということは、もっと理解をしていただきたいと、このように思います。
 しかし、もとより、今、申し上げましたように、自衛隊が活動する際には、隊員の安全を確保すべきことは当然のことであります。今回の法制においても、例えば後方支援を行う場合には、部隊の安全が確保できない場所で活動を行うことはなく、万が一危険が生じた場合には業務を中止し、あるいは退避すべきことなど、明確な仕組みを設けています。
 また、自衛隊員は自ら志願し、危険を顧みず、職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルとして誇りを持って仕事に当たっています。日々高度の専門知識を養い、そして、厳しい訓練を繰り返して行うことで、危険な任務遂行のリスクを可能な限り軽減してまいりました。それは今後も変わることがないのだということを申し上げておきたいと思います。
(内閣広報官)
 それでは、次の御質問、はい、どうぞ。
(記者)
 読売新聞の中島です。
 総理は、安全保障法制を整備する必要性について、常々日本を取り巻く国際情勢が厳しさを増しており、万全の備えをする必要があるということをおっしゃっているかと思います。厳しさを増す国際情勢というのは、具体的にどのような点なのでしょうか。そして、なぜ、今、万全の備えをとる必要があるとお考えなのでしょうか。
 また、本日閣議決定された法案には、将来にわたって万全の備えをとるために必要な点が全て盛り込まれたとお考えでしょうか。
(安倍総理)
 先ほど申し上げましたように、日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。
 例えば北朝鮮の弾道ミサイルは、日本の大半を射程に入れております。そして、なかなか北朝鮮の行動については予測するのが難しいというのが、これが実態だろうと思います。そして、また、残念ながら何人もの日本人の方々がテロの犠牲となったわけであります。
 今や脅威は国境を簡単に越えてくるという状況の中においては、切れ目のない対応が必要になってくるわけであります。そして、その切れ目のない対応をしっかりと整えていくこと。そして、日本は米国と日米安保条約で同盟によって結ばれています。この同盟関係がしっかりとしているということは、抑止力、いわば事前に事態が起こることを防ぐことにつながっていくことは間違いがないわけであります。同盟に隙があると思えば、日米間においていわば連携が十分にできない、日米同盟は機能があまりスムーズにしないのではないか、1足す1が2になっていないのではないか、このように思われることによって、むしろこれは攻撃を受ける危険性というのは増していく。いわば地域の不安定な要素となっていく可能性もあるわけであります。そうした可能性をあらかじめしっかりと潰しておく必要があるわけでありまして、これは正に国民の命と幸せな暮らしを守るためであります。
 そのような意味におきまして、今回の法整備において、集団的自衛権の一部行使を限定的に認めていくことからグレーゾーンに至るまで、しっかりとした整備を行っていかなければならない。そのことによって、結果として、いわば全くそうした紛争に巻き込まれることも、日本が攻撃を受けることも、日本人の命が危うくなることも、リスクとしてはより減少していくというふうに考えています。
(内閣広報官)
 予定をしておりました時間が過ぎております。
 では、最後にもう一問だけ。
 では、宮崎さん。
(記者)
 テレビ東京の宮﨑といいます。
 防衛関連の費用についてお伺いします。
 今回の安全保障体制の変更により、安倍政権の中では防衛関連費は年々増加をしているのですけれども、今回の変更により、今後の防衛費の推移を総理はどのようにお考えでしょうか。また同時に、財政再建をかなえていかなければいけない中、こちらに対する対応をどのように考えておられるのかお伺いしたいと思います。
(安倍総理)
 約11年近くにわたって日本はずっと防衛費を減少してきました。その中で、安全保障環境は逆に厳しさを増しているわけであります。何のための防衛費か。それは、正に日本人の命や幸せな暮らしを守るための防衛費であり、先ほど申し上げましたように、しっかりと備えをしている国に対して攻撃をしようという国はあるいは人々は、少なくなっていくわけであります。
 そこで安倍政権においては、ずっと減らしてきた防衛費を11年ぶりに増やしました。増やしたといっても、これは消費税が上がった分のものもあります。それを除けば0.8%であります。既に防衛計画の大綱及び、これは一昨年末でありますが、中期防衛力整備計画を閣議決定をしておりますが、この中において、中期防衛力整備計画において5か年の防衛費の総額を既に明示をし、閣議決定をしているわけでございまして、いわばこの法制によって防衛費自体が増えていく、あるいは減っていくということはないということは申し上げておきたいと思います。
 これは、防衛費について詳しい方はよく御存じのことでありますが、いわば中期防衛力整備計画において5年間の総枠を決めますから、その中で防衛力をあるいは整備をしていくということになっている。これは変わりがないということであります。それはもう既に一昨年決まっているということであります。
 例えば、かつて第1次安倍政権時代に防衛庁を防衛省に昇格させました。そのときも同じ質問を受けたのです。防衛省に昇格させると防衛費が増えますねと。結果はどうだったか。その後ずっと防衛費は減少してきたということでありますから、いわばそれと同じように、関わりなくやっていかなければいけないとこう考えています。
(内閣広報官)
 それでは、予定をしておりました時刻を過ぎましたので、以上をもちまして、安倍総理の記者会見を終わらせていただきます。
 皆様、御協力どうもありがとうございました。

*****************************************

毎日新聞 2015年05月15日 東京朝刊
安保政策:歴史的転換 関連法案を閣議決定 集団的自衛権容認
記者会見冒頭に安全保障関連法案の閣議決定について発言する安倍晋三首相=首相官邸で2015年5月14日午後6時5分、藤井太郎撮影
 政府は14日、首相官邸で臨時閣議を開き、自衛隊活動の拡大を図る安全保障関連法案を決定した。集団的自衛権の行使を可能にし、憲法9条に基づく専守防衛を根幹としてきた安全保障政策の歴史的な転換に道を開く内容だ。米軍への後方支援など、自衛隊の海外活動も飛躍的に拡大される。15日に国会に提出し、政権は夏までの成立を目指す。安倍晋三首相は記者会見し「厳格な歯止めを掛けた」と強調したが、民主党など野党は反発を強めており、激しい国会論戦になるのは必至だ。【高本耕太、飼手勇介】
 ◇首相「抑止力高まる」強調
 首相は会見で、「北朝鮮の数百発もの弾道ミサイルは日本の大半を射程に入れている。国籍不明機に対する自衛隊機のスクランブル(緊急発進)の回数は10年前と比べて7倍に増えた。これが現実です」と強調。その上で「日米同盟が完全に機能することを世界に発信することで抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく」と述べた。
 首相はさらに「戦争法案といった無責任なレッテルは全くの誤りだ」と反論。かつての湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に自衛隊が参加することは「今後とも決してない」と断言し、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)掃討作戦への自衛隊の後方支援参加も「ありません」と否定した。
 集団的自衛権の行使容認については「日本近海で米軍が攻撃される状況は、私たち自身の危機だ」とし、昨年7月に閣議決定した武力行使の「新3要件」に関し「三つの要件による厳格な歯止めを法案に定め、極めて限定的に集団的自衛権を行使できることとした」と説明した。
 他国軍への後方支援など自衛隊活動の拡大でリスクが高まるとの懸念には「隊員の安全確保は当然のこと。明確な仕組みを設ける」としたが、「自衛隊発足以来、1800人の隊員が殉職している。隊員は危険を顧みず職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルだ」と述べた。
 安全保障関連法案は「日本の平和と安全」に関する法案と「国際社会の平和と安全」に関する法案に大別される。
 「日本の平和」に関しては、昨年7月の閣議決定に基づき、集団的自衛権を限定的に行使できるよう武力攻撃事態法などを改正。行使できるのは、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される「存立危機事態」の場合とした。
 日本周辺有事を想定していた米軍支援のための周辺事態法は、事実上の地理的制約を撤廃し、日本への影響が甚大であれば、地球規模で米軍などを支援できる重要影響事態法案に改定された。武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」で米軍艦船などを防護するための規定は自衛隊法改正案に盛り込まれた。
 「国際社会の平和」に関する法案では、国際社会の平和が脅かされた際に他国軍を後方支援する「国際平和支援法案」を新設。国連平和維持活動(PKO)協力法改正案は、武器使用基準を緩和し、治安維持活動や人道復興支援でPKO以外の活動への参加を可能とする。
 政府は14日の臨時閣議で、武装勢力が離島を占拠した場合などで速やかに自衛隊に出動を命じるため、電話による閣議決定で海上警備行動や治安出動を認めることも決めた。
==============
 ■解説
 ◇責任ある論戦が必要
 安倍晋三首相は14日、与党の関連法案了承の報告を受け、「しっかりと国会を通じて丁寧な説明をしていきたい」と語った。首相自身がこう言わなければならないほど、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備について、国民の理解は進んでいない。
 国際的な安全保障環境は確かに悪化している。首相が記者会見で語ったように「もはや一国のみで自国の安全を守ることができない時代」に入っているのも事実だろう。
 しかし、悪化した安保環境と今回の法整備がどのようにかみ合うのかについては、十分に説明されたとは言い難い。関連法案の整備が、かえって東アジアの安保環境を悪化させることになるのではないか、という危惧も消えない。
 日米同盟を強化する今回の法整備の狙いは、台頭する中国の軍事力をどう抑止するかが根幹にある。だが、首相は、関連法案を成立させ、中国とどう向き合うつもりなのかについて多くを語っていない。
 民主党などは集団的自衛権の行使を容認した憲法解釈変更を追及していく構えだ。長年の解釈を一内閣の判断で変えることの是非については徹底的に議論してもらいたい。ただ、野党にも批判だけではなく、日本を取り巻く環境をどう分析し日本の平和をいかに守るつもりなのか示す責任がある。将来ビジョンの選択肢を国民に示し合う論戦が求められている。【古本陽荘】

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