2015-06-14(Sun)

戦争法案 「違憲」法制 (2) 違憲の疑い深まる 150609-12

「合憲」見解 論理の破綻は明らかだ 違憲を合憲と言う無理 論理に値しない強引さ

<各紙社説>
北海道新聞)新安保法制 「合憲」見解 論理の破綻は明らかだ(6/11)
北海道新聞)新安保法制 法案の正当性 違憲を合憲と言う無理(6/10)
秋田魁新報)安保法案審議 「違憲」指摘に耳傾けよ(6/10)
岩手日報)安保法制審議 「土台」が揺らぎ始めた(6/9)
河北新報)安保法案「違憲」/土台の揺らぎ再考の契機に(6/11)
新潟日報)安保法案「違憲」 向き合うべき重い指摘だ
信濃毎日新聞)安保をただす 文官統制撤廃 軍事路線へまた一歩(6/11)
信濃毎日新聞)安保をただす 政権の反論 論理に値しない強引さ(6/10)
京都新聞)安保法制と憲法  政府の見解は無理筋だ(6/12)




以下引用



北海道新聞 2015/06/11 08:55
社説:新安保法制 「合憲」見解 論理の破綻は明らかだ


 安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会はきのう、集団的自衛権行使を可能にする法案を「合憲」とした政府見解について与野党がその根拠をただした。
 だが政府側は、憲法解釈を変更した昨年7月の閣議決定をなぞる答弁に終始し、矛盾も浮き彫りになった。論理破綻は明らかだ。
 他国軍の後方支援拡大が憲法上、禁じられる「他国の武力行使との一体化」に当たらないとする見解も説得力を欠いている。
 法案撤回をあらためて求める。
 政府見解は、集団的自衛権行使は「憲法上許されない」とした1972年政府見解の結論部分を「許容される」と変えた理由として、安保環境の変化を挙げた。
 その上で、武力行使の新3要件に基づく限定的な集団的自衛権の行使であれば「これまでの憲法解釈との論理的整合性と法的安定性は保たれる」としている。
 きのうの審議で野党側が、安保環境が好転すれば再び行使は許されなくなるのかただしたのに対し、中谷元・防衛相は認めた。
 時の政権が安保環境をどう判断するかで集団的自衛権を行使できたり、できなかったりすることになる。論理的整合性と法的安定性を保つ解釈とはとても言えまい。
 武力行使の新3要件について中谷氏は「世界に類を見ない、極めて厳しい縛りだ」と強調した。
 だが政府見解は新3要件について、「いかなる事態」にも備えるために「ある程度抽象的な表現が用いられることは避けられない」とした。集団的自衛権の行使が限定的かどうかも極めて疑わしい。
 他国軍の後方支援について政府見解は「現に戦闘を行っている現場」では活動しないことなどを挙げ、「(他国の武力行使との)一体化の回避という憲法上の要請は満たす」とした。
 従来の「非戦闘地域」の考え方をやめる理由について中谷氏は「一度指定すると変更がきかない」ためとしたが、だからこそ政府はこれまで活動地域を慎重の上にも慎重に選んできたのではないか。
 その歯止めをなくし、弾薬提供まで可能にしても「一体化」しないという説明は納得しかねる。
 法案の根拠が揺らいだことで、野党だけでなく自民党内からも「政府が憲法に書いていないことを解釈でできるようになれば、憲法は有名無実化する」などと反対意見が出ている。
 政府はこうした声に謙虚に耳を傾けるべきだ。



北海道新聞 2015/06/10 08:55
社説:新安保法制 法案の正当性 違憲を合憲と言う無理


 衆院憲法審査会で自民党推薦を含む参考人3人全員が安全保障関連法案は違憲としたことを受け、政府はきのう、法案は合憲と反論する見解を国会に示した。
 だがその説明に説得力はなく、到底納得できない。
 全国の憲法学者が発表した関連法案廃案を求める声明は、賛同する学者が約200人に上った。
 法案の根拠にこれだけ多くの専門家から疑義が示された意味は重い。政府は法案を撤回すべきだ。
 関連法案は、憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認した昨年7月の閣議決定に基づく。
 政府が憲法解釈変更の根拠としたのは1972年の政府見解だ。
 憲法は「自国の存立を全うするために必要な自衛の措置を禁じていない」としながらも、結論として集団的自衛権の行使は「憲法上許されない」と明記している。
 閣議決定はこのうち「必要な自衛の措置を禁じていない」などの部分を「基本的論理」として援用し、結論だけを逆に変えた。自民党推薦の参考人、長谷部恭男早大教授が「従来の政府見解の基本的論理の枠内では説明がつかない」と批判したのはこの点だ。
 政府がきのう示した見解は「安保環境が根本的に変容」したとして、集団的自衛権のうち「わが国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の自衛の措置」は認められるとした。
 昨年7月の閣議決定をなぞったにすぎず、説明になっていない。安保環境の変化を理由に統治の根幹となる憲法を解釈で変えてしまえば、法の支配は崩れる。
 安倍晋三首相は「合憲」の根拠として、59年の砂川事件の最高裁判決を持ち出した。
 だが砂川事件で問われたのは駐留米軍の合憲性で、集団的自衛権行使の是非ではない。昨年7月の閣議決定で政府は当初、同判決を憲法解釈変更の根拠にしようとしたが、公明党から異論が出て、72年政府見解に変えた経緯がある。
 乏しい論拠しか示せないのは、憲法違反の集団的自衛権行使を無理に合憲と主張するからだ。
 中谷元・防衛相は先の国会答弁で「現在の憲法をいかに法案に適応させればいいかという議論を踏まえて閣議決定した」と述べた。
 法案に合わせて憲法を都合良く解釈したと受け取れる発言だ。閣僚としての適格性が疑われる。
 野党はこうした政府の姿勢を許さず、法案の正当性について引き続き厳しく追及してほしい。



秋田魁新報 (2015/06/10 付)
社説:安保法案審議 「違憲」指摘に耳傾けよ


 自衛隊の活動範囲を大幅に広げる安全保障関連法案に、根本的な疑問が生じている。衆院憲法審査会で参考人の憲法学者3人がいずれも、法案の根幹となる集団的自衛権の行使は憲法違反だと述べたためだ。
 政府はきのう、違憲ではないとの見解を野党に文書で提示。ただ、昨年来の主張の踏襲にとどまっている。
 安保法案への国民の理解は進んでおらず、反対論も根強い。政府・与党は参考人の指摘を重く受け止め、原点に返って議論をし直すべきだ。
 歴代政権は、▽日本は自衛のために必要最小限度の武力を行使できる▽他国への攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は憲法の認める必要最小限度を超えている—との見解を維持してきた。内閣法制局長官も国会で集団的自衛権の行使には憲法改正が必要だと答弁してきた。
 だが安倍政権は昨年7月、同盟関係にある米国などが攻撃され、日本の存立が脅かされる危険がある場合などは反撃できると、憲法解釈の変更を閣議決定した。
 北朝鮮や中国の軍備増強をはじめ安全保障環境が変化した。米国などへの攻撃が日本に深刻な影響を及ぼすことも想定され、「必要最小限度の武力行使」に集団的自衛権の行使も含まれる。解釈変更の理由を、安倍政権はこう説明している。
 この解釈変更について自民党推薦の長谷部恭男早稲田大教授は衆院憲法審で「従来の政府見解の基本的論理では説明がつかない。法的な安定性を大きく揺るがす」と述べた。
 他国に加勢する集団的自衛権が必要最小限度の武力に含まれるとの理屈には無理がある。安全保障環境が変われば解釈が変わるというのでは法の安定性が揺らぐ。そう指摘したのだ。
 民主党推薦の小林節(せつ)慶応大名誉教授も「積み上げてきた先例から論理的に吹っ飛んでしまっている」と批判。維新の党推薦の笹田栄司早稲田大教授は閣議決定について「すっきり理解できなかった。国民の理解が高まるとは思えない」と話した。
 安保法案の国会審議は、どのような場合に自衛隊が海外派遣され、隊員のリスクがどう高まるのかといった個別の事案が中心だった。今後は参考人の突き付けた根本的な疑問が論戦の軸になる可能性が高い。
 中谷元(げん)防衛相は野党の追及に「憲法をいかに法案に適応させればいいかという議論を踏まえ閣議決定した」と述べた。特定の法律のため最高法規である憲法の解釈を変えるという本末転倒の発想が図らずも露呈した。
 「国の安全を守るのは学者でなく、私たち政治家」(稲田朋美自民党政調会長)との開き直りも、傲慢(ごうまん)にすぎる。
 いま政府・与党に求められるのは、違憲の指摘に謙虚に耳を傾けて議論する姿勢だ。それもなく法案成立へ突っ走るようでは、将来に大きな禍根を残す。



岩手日報 (2015.6.9)
論説:安保法制審議 「土台」が揺らぎ始めた


 苦労して組み立てた論理が揺らいできたのではないか。戦後日本の転換となる安全保障法制の国会審議が始まって2週間。この間に法案の「ほころび」が目立ってきた。
 与党に大きな衝撃だったのは、衆院憲法審査会の参考人質疑で与党推薦を含む3人の憲法学者全員が「違憲」という認識を表明したことだ。
 この法案が目指す集団的自衛権の行使について、いずれも明快に憲法違反と断じた。政府は「政府の憲法解釈の裁量の範囲内」と弁明に追われたが、昨年7月の閣議決定という「土台」そのものが問われている。
 与党の言う「人選の誤り」だけで済ませていい問題ではない。法案自体への疑問の声が広がっている。共同通信社が5月下旬に行った世論調査では、法案成立後に自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが高くなるという回答は68%に上った。
 国会審議では法案への理解は深まるどころか、疑問が増しているからだ。その大きな原因は、政府のあいまいな答弁にある。
 典型は、自衛隊派遣のために複雑に想定した「事態」についての説明だ。
 その一つが、集団的自衛権の行使を可能にする「存立危機事態」。日本が直接攻撃を受けていなくても、密接な関係にある他国への武力攻撃で「国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義した。
 しかし、この事態をどんな基準で認定するのかは、依然あいまいなままだ。安倍晋三首相はまた、自衛隊派遣について「日本が主体的に判断する」としたが、日本単独で作戦行動を展開することは考えられない。
 国会の承認は原則として必要だが、事後承認も完全には否定していない。歯止めがきかないままで恣意的な判断が入り込む不安も消えない。
 「周辺事態」の地理的な制約を取り払った「重要影響事態」の際の後方支援は、従来の「非戦闘地域」から「戦場以外」に広げたことで安全への懸念が指摘されている。だが、政府からリスクについての明確な説明はない。
 日本はこれまで、専守防衛の国是の下で自衛隊が可能な活動を一つ一つ積み上げてきたが、法案が成立するとその姿が大きく変わる。
 安全保障環境が変化していることはその通りだが、この道しかないのか。憲法解釈で進めてしまう問題なのかをもう一度考えるべきだ。
 共同通信社の世論調査では「説明が不十分」という回答が80%を超えた。首相は米議会で夏までの成立を明言したが、優先すべきは国民の納得であり、真摯な審議だ。決して強行すべきでない。



河北新報 2015年06月11日木曜日
社説:安保法案「違憲」/土台の揺らぎ再考の契機に


 安全保障関連法案の審議の行方が読みづらくなってきた。憲法学者3人がそろって「憲法違反」とした衆院憲法審査会における発言が波紋を広げ、民意もより慎重な方向に動きかねない情勢だからだ。
 理論構成に弱点を抱えたまま、半ば強引に憲法解釈変更の閣議決定に踏み切ったことによる当然の帰結と受け止めるべきだろう。多くの憲法学者が当初から指摘してきた「矛盾」が、安倍晋三首相が強烈にこだわる憲法改正に関する審査会で表面化したのは、皮肉めいても見える。
 衝撃だったのは、与党・自民党が参考人として推薦した長谷部恭男早稲田大教授の発言だ。集団的自衛権の行使を容認する安保法案について「憲法違反」と明言し、「従来の政府見解の基本的論理では説明がつかず、法的安定性を揺るがす」と指摘した。
 「どこまで武力行使が許されるのか不明確」だとし、米軍などへの後方支援をめぐっても「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」と批判した。
 この日の審査会は立憲主義などがテーマだったが、正攻法と目される憲法(9条)改正を回避して、手っ取り早く進めた安保法制整備の、その手法が図らずもやり玉に挙がってしまったわけだ。
 民主党推薦の小林節慶応大名誉教授、維新の党推薦の笹田栄司早大教授も「違憲」との見解を表明。著名な憲法学者がそろって政府判断に「ノー」を突き付けた。
 安保法案は従来「できない」としてきた集団的自衛権行使を、「できる」と解釈を180度変えた閣議決定が起点。決定にお墨付きを与えた有識者会議の人選からして憲法を重視する姿勢は希薄だったが、中谷元・防衛相は衆院特別委員会で「憲法をいかに法案に適用させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」と答弁。最高法規を法の下に置く逆立ちした対応と言わざるを得ない。
 政府は集団的自衛権の「限定行使」や自衛隊派遣の「歯止め」を強調、憲法に基づく専守防衛との整合性を問う識者らの批判をかわしてきた。一方で、あらゆる事態に対応するため、法案は抽象的にならざるを得ないという。裁量の幅に含みを残す法理論と限定をにおわす政策判断を使い分ける答弁は綱渡り的で、破綻の危険性が付きまとう。
 安倍首相は違憲論に真っ向反論するが、成立に向けた流れに狂いが生じたのは確かだ。国民の理解が深まらない状況で、憲法への抵触まで指摘されては一定時間、審議に費やしたからといって、採決を強行しづらくもなろう。
 安保環境の変容があるとはいえ、拙速であってはならない。国際情勢を冷静に分析、外交手段を尽くすなどソフトパワーの発揮に努めたい。
 切れ目のない備えを可能とする安保法制が欠かせないとしても、土台が揺らぎ、ほころびの目立つ法案を押し通していいものか。憲法改正という王道こそ、立憲主義の貫徹、法の安定性、政策効果のいずれにおいても理にかなう。
 無理を重ねたその先に、より大きな矛盾を表面化させてはならない。再考の時だ。



新潟日報 2015/06/09
社説:安保法案「違憲」 向き合うべき重い指摘だ


 衆院憲法審査会に参考人として招かれた憲法学者3人が、集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法案は「憲法違反だ」とそろって明言した。
 衆院で審議中の安保法案への逆風を心配する安倍政権は、国民の理解を求めるため、街頭演説などで働き掛けを強めた。
 「最高裁判所は日本が侵略されるとき、最低限必要な自衛権を行使できると言い、集団的自衛権も否定していない」と谷垣禎一自民党幹事長は反論した。
 別の自民党幹部も、「憲法学者の言う通りにしていたら日本の平和と安全は守れない」などと口々に訴えた。公明党も法案の合憲性をあらためて強調する。
 影響を最小限にとどめたい安倍政権のあわてぶりが、こうした一連の動きに見て取れる。それだけ今回の違憲の指摘は重いということの証左といえるだろう。
 政府、安倍政権が今なすべきは、この指摘にきちんと向き合うことだ。その上で誠実に国会審議に臨まねばならない。
 違憲の指摘をしゃにむに否定したり、憲法学者の言葉をことさら軽いものに見せたりするのに腐心するのは見苦しい。
 参考人のうち自民、公明両党と次世代の党が推薦した長谷部恭男早稲田大教授は、集団的自衛権の行使について「従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と明言した。
 民主党推薦の小林節慶応大名誉教授は「憲法9条は、海外で軍事活動する法的資格を与えていない」と述べた。
 維新の党推薦の笹田栄司早稲田大教授も、歴代政権と内閣法制局が作り上げた従来の法制の枠組みを「踏み越えており、違憲だ」との認識を語った。
 見解に曖昧さはない。では、そもそも安倍政権の安保法制整備がどう始まり、どういう議論がされてきたのか。これを問い直さないわけにはいかない。
 内閣法制局の方針がどのようにして変化したか。人選の偏りが指摘された首相の私的懇談会での検討は適切だったのか。自民、公明両党による与党協議の進め方は正しかったのか。
 そうした検証をきちんと踏まえて考える必要がある。
 昨年7月の集団的自衛権閣議決定の経緯を振り返り、日米防衛協力指針の改定や、首相訪米演説における法案成立の「確約」などを思えば、結論ありきの姿勢を疑いたくもなる。
 違憲の指摘への反発と打ち消しばかりが目立つ政府・与党のありようを考え合わせると、今後の審議についてはより強い態度への転換も懸念される。
 国会での議席数の力学はともかく、国民の理解が全然進んでいないのは明らかだ。
 日本の平和と安全を確保するというが、多くの人はそのことを信じられないでいる。信じる人も、説明が十分だとは思っていないのが実態であろう。
 最低でも、期限を切って法案成立を目指すような強引さはすぐに捨ててもらいたい。



信濃毎日新聞 2015年06月11日(木)
社説:安保をただす 文官統制撤廃 軍事路線へまた一歩


 安倍晋三政権が軍事強化路線へ、また一歩踏み込んだ。
 防衛官僚(背広組)と自衛官(制服組)が対等に防衛大臣を補佐できるようにする改正防衛省設置法が成立した。
 これまでは大臣が制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示する場合など、背広組の官房長や局長が「大臣を補佐する」と規定していた。
 制服組よりも背広組を優位とする「文官統制」である。軍部の暴走を許した先の戦争への反省から設けられた。政治が軍事に優越する「文民統制」の一翼を担ってきた歴史がある。
 今回、この文官統制が撤廃された。制服組の政治への発言力が強まるのは必至だ。安全保障政策に関わる重要な政策判断の不透明さが増し、国民の目にさらに見えにくくなる恐れがある。
 改正防衛省設置法は、国家安全保障会議(NSC)の創設、特定秘密保護法の整備など、安倍首相が力を入れる戦後安保政策転換の一環とみていい。
 政府・与党は、米軍との共同行動など自衛隊の活動を質量ともに拡大させる安保関連法案の今国会成立も目指している。
 外交・安保の司令塔、NSCの事務局、国家安全保障局には外務官僚、制服組、背広組が3分の1ずついるとされる。それまで前面に出てこなかった制服組が本格的に政策決定に関わっている。
 「制服組の人がいて、その情報が提供される。NSCをつくって大変よかった」。首相はこんな感想を述べたという。
 国会で審議中の安保法制が整備されればどうなるか。地球規模で米軍と協力できるようになる。既に米軍と自衛隊の共同訓練も盛んに行われている。
 改正法は、自衛隊の部隊運用を制服組主体にも改めた。米側と気脈を通じた制服組の意向で、相手の要請に応じやすくなるのではないか。米軍の行動に自衛隊が積極的に関わるようになっていくことも否定できない。
 さらに、防衛装備庁の新設も盛り込んでいる。安倍政権は既に事実上の武器禁輸政策を撤廃した。新組織は武器輸出や国際共同開発を盛んにする狙いがある。
 軍産複合体化が進み、安保法制と並んで日本が紛争に加担する恐れが高まる。急速に変わる安保政策の行方を、これまで以上に厳しく見据えねばならない。



信濃毎日新聞 2015年06月10日(水)
社説:安保をただす 政権の反論 論理に値しない強引さ


 苦し紛れの説明としかいいようがない。
 憲法学者から安全保障関連法案が憲法違反と指摘されたことに対し、安倍晋三政権が反論を強めている。
 政府はきのう、集団的自衛権の行使を可能にする安保法案について、合憲だと強調する見解を文書で野党に示した。
 だが、政府見解は論理的に昨年夏に行使を認めた閣議決定の域を出ず、説得力に欠ける。
 それに先立ち、自民党は所属議員に違憲ではないとし、早期成立を求める文書を配った。
 政権側の反論は、砂川事件をめぐる1959年の最高裁判決が言及した「存立を全うするために必要な自衛のための措置を取り得る」とした部分を強調。党内文書では自衛権に個別的か、集団的かの区別はないと訴えている。
 そもそも、この裁判の争点は駐留米軍が憲法9条の禁じる「戦力」に当たるかどうかだった。一審を担当した元判事は「当時、自衛権といえば個別的自衛権だった」と証言している。
 強弁を重ねるほど、安保法制が強引な論理立てと政治手法で進められてきたことを物語る。到底理解を得られるものではない。
 安倍政権は昨年、集団的自衛権の行使容認に向け、砂川判決を根拠にしようとした。公明党を含め、野党や有識者から「こじつけ」などと批判された。
 岸田文雄外相が「(判決を)直接の根拠として(行使を)検討するものではない」と答弁し、落ち着いた経緯がある。
 閣僚が根拠にしないと明言しながら、今回、違憲との指摘に再び砂川判決を前面に出してきたことは理解に苦しむ。
 安倍政権は、憲法との整合性に関する突っ込んだ論議は脇に置き、都合のいい見解をつまみ食いしたりしてきた。
 中谷元・防衛相の姿勢も問題が多い。先週の委員会で「現在の憲法をいかにこの法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえ、閣議決定した」と述べた。憲法より安保法案の方が上位、と言ったのも同然である。
 中谷氏はきのう釈明したけれど、答弁は撤回しなかった。憲法98条は、憲法に反する法律は効力を有しない、としている。安倍首相は「法の支配」の重要性を頻繁に訴える。なのに、憲法を頂点とする法秩序を自ら崩しているようなものだ。看過できない。



[京都新聞 2015年06月12日掲載]
社説:安保法制と憲法  政府の見解は無理筋だ


 憲法解釈変更で集団的自衛権行使を容認することを核とする安全保障関連法案について憲法学者から「違憲」との指摘が相次いでいる問題で、政府が見解を示して反論している。だが疑念解消には不十分と言わざるを得ない。
 10日の衆院平和安全法制特別委員会で、菅義偉官房長官は多くの憲法学者が法案を違憲としていることについて「数(の問題)ではない」とした上で「憲法の番人は最高裁だ。その見解に基づき法案を提出した」と述べ、合憲との見解を重ねて主張した。安倍晋三首相も同様の考え方を示している。
 最高裁の見解とは、駐留米軍の合憲性が争われた1959年の砂川判決のことだ。その中で、国の存立を全うするための自衛措置は「国家固有の権能の行使として当然」と指摘した。
 政府は、憲法解釈変更の基本的な論理について砂川判決と「軌を一にする」とし、自国防衛を目的とした限定的な集団的自衛権行使は合憲とする。だが判決は集団的自衛権を認めたものではない。
 そもそも砂川判決については、昨年7月の閣議決定の際に公明党などから「判決は個別的自衛権が前提だ」と批判が続出し、「直接の根拠として(行使を)検討するものではない」(岸田文雄外相の国会答弁)とした経緯がある。
 その判決を再び持ち出してきたのは、憲法解釈の権限は憲法学者ではなく最高裁にあると強調したいためだろうが、ご都合主義がすぎないか。
 政府はまた見解で「必要最小限度の自衛の措置」は憲法上許されるとした72年の政府見解を引用。安全保障環境の変容などを理由に、集団的自衛権のうち「わが国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の自衛の措置」は認められるとした。
 だが72年の政府見解は集団的自衛権の行使は憲法上、許されないとしており、政府が主張するように「これまでの憲法解釈との論理的整合性と法的安定性は保たれている」と言えるか疑問だ。本来、憲法改正が必要な問題である。それを解釈変更でつじつまを合わせようとするところに根本矛盾がある。
 自民党の高村正彦副総裁はきのうの衆院憲法審査会で「自衛の措置が何であるか考えるのは、憲法学者ではなく我々政治家だ」と述べた。だが政治家が憲法解釈を勝手に変えていけば、憲法で権力を縛る立憲主義は崩れる。
 安保法制をめぐる本質の問題である。徹底した議論が要る。

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