2015-06-28(Sun)

自民の勉強会 報道批判 (1) 言論封じる姿勢許せぬ 150627-28

民主主義への挑戦だ 異論封じる暴言の体質 自民の傲慢は度し難い

<各紙社説>
朝日新聞)異常な「異論封じ」 自民の傲慢は度し難い (6/27)
朝日新聞)異常な「異論封じ」 最悪の国会にするのか (6/27)
読売新聞)自民若手勉強会 看過できない「報道規制」発言 (6/27)
毎日新聞)自民党勉強会 言論統制の危険な風潮 (6/27)
日本経済新聞)懲らしめられるのは誰だろう
東京新聞)自民の報道批判 民主主義への挑戦だ (6/27)
北海道新聞)自民の勉強会 マスコミ批判は筋違い (6/27)
信濃毎日新聞)安倍自民党 異論封じる暴言の体質 (6/27)
中国新聞)自民勉強会問題 言論封じる姿勢許せぬ (6/28)
西日本新聞)報道圧力発言 これが自民党の「本音」か (6/27)




以下引用



朝日新聞 2015年6月27日05時00分
(社説)異常な「異論封じ」 自民の傲慢は度し難い


 これが、すべての国民の代表たる国会議員の発言か。無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える。
 安倍首相に近い自民党若手議員の勉強会で、出席議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などと発言していた。
 権力を監視し、検証して批判する。民主主義国の新聞やテレビならば当たり前の仕事である。それに対して、政権与党の議員が「反論」でも「批判」でもなく、「懲らしめる」というのだから恐れ入ってしまう。
 【懲らしめる】制裁を加えて、悪いことはもう二度としないという気持ちにさせる(「明鏡国語辞典」)
 正義は我にあり。気に入らない言論には圧力をかけ、潰してしまって構わない――。有志による非公式な会であっても、報道の自由、表現の自由を脅かす発言を見過ごすわけにはいかない。勉強会には加藤勝信官房副長官や、首相側近の萩生田光一総裁特別補佐も出席していた。谷垣幹事長は「クールマインドでやってほしい」と他人事だが、党として事実関係を調査し、厳正に対処すべきだ。
 さらに講師として招かれた、前NHK経営委員で、作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞社は潰さないといけない」「米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」などと発言していた。
 地元の2紙については出席議員も「左翼勢力に完全に乗っ取られている。沖縄の世論のゆがみ方を正しい方向に持っていく」と主張したという。
 沖縄県民全体に対する明らかな侮辱である。
 きのうの安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、民主党の寺田学氏に、百田氏の話を聞いた感想を求められた加藤副長官は、「大変拝聴に値すると思った」と答えた。
 首相は「事実であるなら大変遺憾」としたものの、「沖縄の人たちにおわびすべきではないか」との寺田氏の指摘には、「言論の自由こそが民主主義の根幹であり、当然尊重されるべきものだ」と一般論で応じた。
 傲慢(ごうまん)と怠慢。安保関連法案をめぐってはリスク論議が盛んだ。しかし、異論には耳を貸さず、力で踏みつぶせばいいのだという政治家に、国民の生死がかかった判断を委ねてしまうことこそ、最大のリスクだ。



朝日新聞 2015年6月27日05時00分
(社説)異常な「異論封じ」 最悪の国会にするのか


 戦後最長、95日間の大幅延長となった国会で、安全保障関連法案をめぐる衆院特別委員会の審議が再開した。
 だがきのうの審議でも、安倍首相らの政府答弁に説得力がないのは相変わらずだった。
 象徴的なのは、法整備がなぜ必要なのか、根本的な理由だ。首相らは「安全保障環境の変化」と繰り返すが、それが何を指し、法案とどう関係するのか納得できる説明はない。
 それなのに、首相は「どこかの時点で議論が尽くされたという議会の判断がなされれば、決める時には決める」と、早くも採決に前のめりだ。
 まともな説明のない審議をいくら積み重ねても、議論を尽くしたことにはならない。早期採決など、もってのほかだ。
 さらに耳を疑うのは、自民党執行部の異常なまでの「異論封じ」の動きである。
 若手リベラル系議員の勉強会を「時期が悪い」と中止に追い込み、党の幹部会議では「法制を批判するOB議員を黙らせるべきだ」という声まで出た。
 異論に耳を傾け、議論を通じてより良い結論を探る。そんな言論の府の使命を、今の自民党は忘れたとしか思えない。
 ましてや日本の安保政策を大転換させる今回の法案である。多様な意見を踏まえ、丁寧な議論を重ねなければ、国民の理解が広がるはずもない。
 実際、朝日新聞の最新の世論調査では、法案への賛成29%に対し、反対53%。首相の説明が「丁寧ではない」と考える人が69%。「丁寧だ」の12%を大きく上回った。国民の理解を欠いた安保政策が円滑に機能すると思っているのか。
 憲法学者や内閣法制局長官OB、弁護士、広範な専門分野の有識者、多くの市民団体も強い反対の声をあげている。
 それがまったく聞こえないかのように、政権の言うことをただ信じればいい、とばかりに振る舞う政権は、民主主義の土台を掘り崩しつつある。
 首相は、60年の日米安保条約改定や92年の国連平和維持活動(PKO)協力法成立の時も強い反対があった例を挙げ、「法案が実際に実施される中で理解が広がっていく側面もある」と述べた。
 そういう側面があったとしても、異常な「異論封じ」を正当化する理由にはならない。
 国会議員に問いたい。
 このまま、戦後最長にして最悪の国会にしていいのか。
 問われているのは、言論の府の矜持(きょうじ)であり、民主主義と法治の理念そのものである。



読売新聞 2015年06月27日 01時07分
社説:自民若手勉強会 看過できない「報道規制」発言


 報道機関を抑えつけるかのような、独善的な言動は看過できない。
 自民党の保守系若手・中堅議員らによる勉強会「文化芸術懇話会」が、25日に開いた初会合での発言のことだ。
 安全保障関連法案に批判的な報道機関を念頭に、出席議員から「マスコミを懲らしめるには、広告収入がなくなるのが一番だ。経団連に働きかけていただきたい」といった声が上がった。
 自らの主張と相いれない新聞やテレビ局に広告を出させない形で圧力をかけようとしている、と受け取られても仕方あるまい。
 「1強」の勢力を持つ自民党の驕りの表れであり、国会議員としての見識も疑われる。
 言論・報道の自由が保障され、様々な論調が存在することが、民主主義の基本原則である。
 安倍首相が衆院平和安全法制特別委員会で、一連の発言について「事実ならば大変遺憾だ」と述べたのは当然だ。
 自民党内では、谷垣幹事長が「メディアに対して批判・反論することはあってもいいが、主張の仕方には品位が必要だ」と指摘した。二階総務会長も、「そこにいた責任者がトータルとして責任を取るべきだ」と語った。
 党幹部も、今回の事態を問題視しているのだろう。
 勉強会には、9月の総裁選に向けて、首相に近い議員ら40人弱が集まった。「真の政治家」になるための教養を学ぶのが設立目的というが、あまりにレベルの低い言動には驚かされる。
 講師に招かれた作家の百田尚樹氏の発言も物議を醸した。
 百田氏は、米軍普天間飛行場の辺野古移設に批判的な琉球新報と沖縄タイムスについて、「あの二つの新聞社はつぶさなあかん」などと述べた。
 辺野古移設は、市街地の中心部にある普天間飛行場の固定化を避けるための実現可能な唯一の選択肢だ。「移設反対」を掲げる沖縄2紙の論調には疑問も多い。
 しかし、地元紙に対する今回の百田氏の批判は、やや行き過ぎと言えるのではないか。
 通常国会の会期は、安全保障関連法案の確実な成立を図るため、9月末まで大幅延長された。
 政府・与党には、十分な審議時間を確保し、徹底した議論を重ねる努力が求められる。
 大切なのは、批判的な報道を規制・排除することではなく、法案の意義と必要性を国民に分かりやすく訴えることだ。



毎日新聞 2015年06月27日 02時35分
社説:自民党勉強会 言論統制の危険な風潮


 危うい風潮である。安倍晋三首相に近い自民党若手議員の会合で、今国会で審議中の安全保障法制をめぐり、報道機関に広告主を通じて圧力をかけるべきだとの議論が噴出した。講師として出席した作家は沖縄の新聞2紙について「つぶさないといけない」と発言した。
 民主主義の根幹をなす言論の自由を否定しかねない言動が政権与党の会合で出たことに驚く。非公式な議論という説明では済まされない。一連の発言内容は不適切だという認識を首相はより明確に示すべきだ。
 問題の発言は自民党議員による勉強会「文化芸術懇話会」で、NHK経営委員も務めた作家の百田尚樹氏との質疑の際に出た。安保法制の国民理解が広がらないことと報道の関連をめぐり、出席議員の一人は「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」と発言したという。報道機関をどうかつし、政権批判を封じようというのでは言論統制に等しい発想である。
 さらに耳を疑うのは百田氏の発言だ。沖縄の主要紙である琉球新報、沖縄タイムス2紙が政権に批判的だとの意見に対し、「つぶさないといけない」と応じた。「あってはいけないが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば(県民も)目を覚ますはずだ」と語ったという。基地負担に苦しむ県民の感情を踏みにじるような暴言である。
 安保法制に国民の理解が広がらないのは政府の説明が矛盾を来し、「違憲法案」との疑念が拡大しているためだ。メディアのせいだとばかりに批判するのは責任の転嫁である。
 勉強会は首相と関わりが深い。会合には加藤勝信官房副長官、萩生田光一党総裁特別補佐も出席し、総裁選を控えた首相の応援団とみられている。百田氏も首相との親しい関係が知られている。
 自民党は昨年の衆院選で報道内容をめぐり放送局に細かく要望したり、NHKや民放番組の内容を問題視して事情を聴いたりするなど報道への関与を強めてきた。
 今回の「懲らしめ」発言はこうした傾向が一層露骨になった印象だ。国民に多様な情報を提供する言論の自由は民主主義に不可欠であるというイロハすらわきまえていないではないか。まるで戦前の言論統制への回帰を図る不穏な空気が広がっているかのようだ。政権内から「権力が自分たちのものだと思ってはならない」(石破茂地方創生担当相)など、懸念の声が出るのも当然だ。
 首相は国会で「事実とすれば大変遺憾」などと答弁するにとどめた。このような風潮を放置すれば、民主主義の基盤がむしばまれてしまう。



日本経済新聞 2015/6/28付
社説:懲らしめられるのは誰だろう


 開いた口がふさがらない。自民党若手議員が開いた勉強会で報道の自由を制限するような発言が相次いだことだ。批判の広がりにあわてた党執行部は、会の代表である木原稔青年局長を1年間の役職停止にし、関係議員を厳重注意して火消しに躍起になっている。
 問題の発言は、安倍晋三首相の総裁再選を支援するねらいで開いた若手議員の集まりでのものだ。作家の百田尚樹氏の講演のあとの質疑応答で、ある議員が沖縄の琉球新報と沖縄タイムスを批判、百田氏は「2つの新聞社はつぶさないとならない」と応じた。
 安全保障法案に批判的なメディアを念頭に、別の議員は「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけてほしい」と述べたという。
 彼らは言論・報道の自由をどう考えているのだろうか。反対意見を封殺せず、言論には言論で対抗していくのが民主主義である。言論の自由があって、メディアが権力へのチェック機能をはたすことで成り立っているはずだ。
 小選挙区制のもと選挙のたびに100人を超える新人議員が誕生、入れ替えがどんどん進んだ結果、議員の劣化が目立っているのは、彼ら自身が認めているところだ。そうした議員を選んだのは有権者なのだから、われわれ自身がしっかり識別していかなければならないということだ。
 自民党という政党の習い性とでもいっていいサイクルがある。選挙で勝つと空気が緩み、おごりや油断で、スキャンダルや失言が相次ぎ、有権者におきゅうをすえられ選挙に敗北し、更正を約束して立て直していく――。
 昨今の自民党をみていると、一強多弱で緊張感を欠いているところがあるのは間違いない。衆院憲法審査会での自民党推薦の参考人の選び方にしても、今回の若手の発言にしても墓穴を掘っているのに等しい。
 このままでは懲らしめられるのはマスコミではなく自民党になってしまうだろう。



東京新聞 2015年6月27日
【社説】自民の報道批判 民主主義への挑戦だ


 自民党議員からまた「暴言」が飛び出した。広告主に働き掛けて自分たちの意に沿わない報道機関を懲らしめるのだという。民主主義の根幹をなす言論の自由への重大な挑戦であり、看過できない。
 その発言は二十五日、安倍晋三首相に近い自民党若手議員が党本部で開いた勉強会であった。出席議員が、安全保障法制を批判する報道機関について「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人、民間の方々が経団連に働き掛けてほしい」などと、講師として招いた作家の百田尚樹氏に呼び掛けたのだ。
 勉強会は冒頭以外は非公開だったが、本紙を含めた報道を受けて安保法制関連法案を審議する衆院特別委員会でも問題視された。浜田靖一委員長が発言はあったと確認し、「甚だ遺憾」と述べた。
 発言の背景には安保法案への反対が依然、国民の多数を占めることへのいら立ちがあるのだろう。
 しかし、「憲法違反」と指摘される法案を国民に理解しろということ自体、無理がある。法案に批判的な報道機関に責任転嫁するような愚を犯すのではなく、なぜ自らの非を認めようとしないのか。
 報道機関の重要な収入源である広告の出稿を、広告主に要請して止めれば、報道側が音を上げ、権力が意のままに操れる。そう考えているのなら勘違いも甚だしい。
 表現や言論、報道の自由は民主主義社会の根幹をなす。権力による言論統制や言論弾圧が日本を破滅的な戦争へと導いたことを忘れてはなるまい。自民党に限らず、政治に携わる者すべてが歴史を学び直すべきである。
 首相は遺憾の意を示したが、発言があったのは「党の正式な会合ではない」とも釈明した。
 そもそも国会議員は全国民を代表する公人であり、勉強会も党本部という公の場で開かれた。正式な会合でないから、何を発言しても許されるわけではあるまい。認識が甘すぎるのではないか。
 勉強会では百田氏が、米軍普天間飛行場の「県内移設」に反対する沖縄県の地元紙、琉球新報と沖縄タイムスを「つぶさないといけない」とも述べた。冗談では済まない。一作家の発言だが、反論しなかったのなら同意したと受け取られても仕方があるまい。
 報道の自由に対する挑発、挑戦である。平和国家として歩み続けてきた戦後日本が重大な岐路に立たされている今だからこそ、沖縄の二紙のみならず、報道機関全体で抗議すべきことである。




北海道新聞 2015/06/27 08:55
社説:自民の勉強会 マスコミ批判は筋違い


 耳を疑う発言が、また自民党から飛び出した。一昨日開かれた中堅・若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」の席上だ。
 安全保障関連法案を批判する報道に関し「マスコミを懲らしめるには広告収入をなくせばいい。文化人が経団連に働きかけてほしい」との声が上がったという。
 各種世論調査を見ても、国民の間で安保法制について慎重論が根強い。それは法制に根本的な疑念が拭えないからにほかならない。
 それなのに、国民の理解が得られない鬱憤(うっぷん)をメディアに押しつけるとは、筋違いも甚だしい。
 加えて勉強会の講師だった作家百田尚樹氏も基地問題などで政府に批判的な沖縄の地元紙について、こう述べたという。
 「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはず」
 酒席での放談ではない。昼間、ほかでもない党本部で開かれた会合での物言いだ。
 言論の自由は民主主義を支える要諦だ。そして報道機関の役割は権力の監視であり、誤りがあれば国民に知らせ正すことにある。
 その基本の「キ」にあえて目をつぶったような発言は、到底看過できない。
 自民党のマスコミ批判は今に始まったことではない。しかし「広告を取りやめるように働きかけよう」とか、「新聞をつぶせ」とか、露骨で物騒な発言が飛び交うのは聞いたことがない。それなりの自制が働いてきたからだ。
 それが政権政党の矜持(きょうじ)だったはずだ。安保法制の審議が思い通りに進まないからといって、八つ当たりはあまりに大人げない。
 主張が正しいと信じるなら、反発や批判があっても国民の中に分け入ってでも説得する。それが政治のあるべき振るまいだ。今回の発言からは、そうした謙虚な姿勢はうかがえない。
 安倍晋三首相はきのう、衆院特別委員会で勉強会での発言について問われ「報道(内容)は知らない」と答えた。
 しかし、勉強会は9月の自民党総裁選で安倍首相の再選機運を盛り上げる狙いで発足したものという。首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一・党総裁特別補佐も出席していた。
 それでも首相はわれ関せずで押し通すのか。何もしなければ、首相も同じ考えと見られても仕方あるまい。自ら、発言した議員に真意を聞き猛省を促すべきだ。



信濃毎日新聞 2015年06月27日(土)
社説:安倍自民党 異論封じる暴言の体質


 「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人、民間人が経団連に働きかけてほしい」
 安倍晋三首相に近い自民党の若手議員らが一昨日開いた勉強会で、耳を疑う発言が飛び出した。
 さらに、沖縄の地元紙が政府に批判的だとの発言に、講師に招かれた作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などと語った。同氏は首相と親しいことで知られる。
 とんでもない暴言だ。憲法が保障する表現の自由を否定し、異論は力で封じることができると言ったも同然である。
 会合には加藤勝信官房副長官、萩生田光一総裁特別補佐ら約40人が出席した。憲法改正や安全保障関連法案の成立を重視し、首相を応援するメンバーという。
 冒頭の発言をした議員は明らかにはなっていない。この発言に同調したという福岡1区の井上貴博衆院議員が「誤解を招いたとすれば申し訳なく思っている」と陳謝するコメントを出した。
 百田氏に至っては「冗談として言った」と語っている。
 言論に携わる2人が言論封殺を平気で語るのは尋常でない。陳謝も釈明も納得できない内容だ。
 「おごりの結果だ」(民主党の岡田克也代表)「言論統制する独裁政党と言わざるを得ない」(維新の党の今井雅人政調会長)
 野党からは一斉に批判の声が上がった。きのうの衆院特別委員会でも自民党総裁である安倍首相の責任を問う声が出た。
 首相は「報道の自由は民主主義の根幹」と繰り返し、政権幹部も火消しに追われた。
 安保法案に対しては国民の理解が広がらず、逆に懸念する声が高まっている状況だ。学者からの「憲法違反」との指摘に加え、自民党の一部議員やOBらも批判や反対を表明するなど、政権に逆風が吹き始めている。
 党内では反論や異論に神経をとがらせているようだ。一昨日予定されていたハト派とされる議員らの勉強会は党幹部が自粛を求め、中止になっている。
 かつての自民党は信条の違いも含め、多彩な人材を抱え、一定のバランス感覚があった。支持を集める源になってきたが、今は懐の深さが感じられない。
 民意より自身の信条や国家観を重視する首相の政治姿勢がこの状況を招いてはいないか。
 安保政策転換の先には何が待っているのか。安倍政権には不安と不信ばかりが募る。



中国新聞 2015/6/28
社説:自民勉強会問題 言論封じる姿勢許せぬ


 報道と言論の自由をあからさまに脅かす発言が、政権与党の勉強会で堂々と出たことに強い危機感を覚える。
 自民党の中堅・若手議員で発足した「文化芸術懇話会」だ。初会合で安全保障関連法案への反対意見を唱える報道機関に対する批判が噴き出し、圧力をかけて封じ込めようとする声が上がったという。「マスコミをこらしめるためには広告収入がなくなることが一番」とした上で経団連に働き掛けよう、とも。
 安保法案の衆院審議が前に進まないことに焦り、メディアに責任を転嫁したくなったのかもしれないが、筋違いどころか悪質極まりない暴論である。
 そればかりではない。辺野古沖への米軍基地建設に強く反対する沖縄のメディアについて、議員の一人が「左翼勢力に乗っ取られている」と偏見に満ちた発言をした。講師に招かれた作家百田尚樹氏も「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と述べた。後で「冗談として言った」と弁明したが、事の重大さをどこまで分かっていよう。
 政府・与党のチェックは報道機関の責任であり、権利でもある。それを強引に封じればどうなるか。国民に正しい情報が知らされず、悲惨な結果を招いた戦争の教訓からも明らかだ。
 野党からの猛反発を受けて自民党も慌てたに違いない。勉強会代表を務める木原稔青年局長を1年間の役職停止処分とし、問題発言をした3議員は厳重注意にするとした。
 国会会期を大幅延長したのに成立が見通せない安保法案へのさらなる影響を回避する思惑があるのだろう。しかし、これで幕引きできる話とは思えない。安倍政権全体の「おごり」と、異論に真摯(しんし)に耳を傾けない姿勢の表れとも考えられるからだ。
 安保法案の審議で野党議員に向かって首相自ら「早く質問しろよ」とやじを飛ばしたこと。多くの憲法学者による、集団的自衛権の行使容認は違憲とする指摘を黙殺しようとすること。今回のさまざまな発言と重ね合わせる人は少なくなかろう。
 そもそも勉強会には安倍カラーが強い。9月の党総裁選で、首相の再選を後押しする意味合いもあるとみられる。初会合には、首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一自民党総裁特別補佐も出席していた。
 首相自身もおとといの国会で追及されたが、報道の自由は尊重すると強調した上で「私的な勉強会」とひとごとのように言い逃れた。公人の国会議員が、党本部で開いた会合のはずだ。谷垣禎一幹事長がきのうになって「党に対する国民の信頼を大きく損なうもの」と認めた重みを首相も受け止めるべきだ。
 対メディアだけではない。この勉強会と同じ日にリベラル派の議員らも勉強会を開こうとして党幹部から待ったがかかったという。集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更に批判的な漫画家小林よしのり氏を招く予定だった。党内議論の「封殺」ではないか。以前の自民党ならもっとバランス感覚があったはずだ。
 自由に報道し、活発に意見を戦わせるのが民主主義の基本である。そして厳しい批判を正面から浴びるのも、時の政権の責任ではないのか。思うままにならないから異論を封じようというなら、最初からまともな政策ではなかったということだ。



=2015/06/27付 西日本新聞朝刊=
社説:報道圧力発言 これが自民党の「本音」か


 まさに自民党の「地金」が出たと言わざるを得ない。
 安全保障関連法案の審議が続く中、安倍晋三首相に近い若手議員約40人が25日、作家の百田尚樹氏を講師として招き、党本部で勉強会を開いた。
 出席者などによると、安倍政権の安保政策に批判的な沖縄の地元新聞2紙に話が及んだ際、百田氏は「沖縄の二つの新聞社はつぶさなあかん」と発言したという。
 また、出席した自民党議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるためには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働きかけてほしい」との声が上がったとされる。
 百田氏は安倍首相とも親しい保守派の論客である。NHKの経営委員も務めた。いかなる主張も自由だが、勉強会での発言は明らかに度を越している。講師に招いた自民党の見識も問われるべきだ。
 「こらしめる-」の議員発言に至っては、何をか言わんやである。隙あらばマスコミに圧力をかけ、権力への批判を封じ込めたいという本音が丸見えではないか。
 言うまでもなく報道の自由は民主主義社会の根幹の一つである。戦後70年を迎えるというのに、この種の問題発言が飛び出す自民党の体質には驚かされる。
 この発言は26日の衆院平和安全法制特別委員会でも取り上げられた。安倍首相は「大変遺憾」としながらも「(勉強会は)党の正式会合ではない」とかわした。
 安保法案では、自衛隊の活動にどのような歯止めをかけるかが論点の一つだ。歯止めの判断には、活動実態に関する現場からの報道が重要となる。報道を圧力でコントロールしたいというのが自民党の底意だとすれば、安保法案も断じて認めるわけにはいかない。
 百田氏が「つぶさなあかん」と発言した沖縄の2紙(琉球新報と沖縄タイムス)は、いずれも沖縄戦や基地、安全保障問題について分厚い報道の実績があり、取材力にも定評がある。ジャーナリズム界での評価は高いことを付言しておきたい。

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