2015-07-05(Sun)

骨太の方針と成長戦略 (2)格差拡大なおいっそう  150701-03

財政への危機感が薄い 社会保障「営利化」暮らしの基盤を壊す

<各紙社説・論説・主張>
しんぶん赤旗)社会保障の「営利化」 暮らしを支える基盤を壊すな(07/03)
秋田魁新報)財政健全化 歳出削減の本気度問う(07/03)
福井新聞)財政再建と成長戦略 両立図る道筋が見えない(07/03)
信濃毎日新聞)財政再建 本気度が感じられない(07/02)
読売新聞)骨太方針決定 アベノミクスを深化させよ(07/01)
日本経済新聞)成長と財政両立の宿題は山積みだ (07/01)
河北新報)骨太方針決定/財政健全化へ本気度を疑う(07/01)
福島民友新聞)骨太の方針/財政健全化への努力怠るな(07/01)
神戸新聞)骨太と成長戦略/総花で目標が実現するか(07/01)
徳島新聞)骨太方針 財政健全化の道筋見えぬ(07/01)
高知新聞)【骨太方針】財政健全化は進むのか(07/01)
西日本新聞)成長率目標 官民の差はどこにあるか(07/01)




以下引用



しんぶん赤旗 2015年7月3日(金)
主張:社会保障の「営利化」 暮らしを支える基盤を壊すな


 安倍晋三政権が閣議決定した「骨太の方針2015」は、「財政健全化」を口実に、社会保障費の伸びを毎年3000億~5000億円規模で削減する方針を盛り込み、国民の暮らしを壊す姿勢を鮮明にしました。それとともに「社会保障をはじめとする公的サービスの産業化の推進」と明記したことは見逃せません。医療、介護、保育などの分野を大企業などのもうけの場に変質させる狙いです。暮らしの安心の基盤である社会保障を「営利化」することは、国民の願いに逆らう方向です。
機械的削減に反省なく
 「骨太の方針」は、政府の経済財政運営の基本方針です。12年末に政権復帰した安倍政権下で3度目の今年の「骨太の方針」は、「社会保障は歳出改革の重点分野」と強調し、もっぱら社会保障費をやり玉にあげました。社会保障費が国の財政の重荷になっているという発想です。その具体策として、16年度から5年間で、社会保障費の伸びを毎年3000億~5000億円カットするとしました。
 高齢者の人口増や医療技術の革新などで年間約8000億~1兆円の自然増が見込まれる社会保障費を、政治の力で無理やり抑え込むことが、国民の暮らしにどれほど深刻な被害をもたらすか。
 社会保障費「毎年2200億円削減」を実行した小泉純一郎内閣時代に、「医療崩壊」「介護難民」を続発させたことへの反省はまったくみられません。
 安倍政権下でも、年金実質引き下げ、介護報酬大幅削減、生活保護費削減などが次々と行われ、国民の暮らしを直撃しています。国民をさらに苦境に追い込む社会保障費連続削減はやめるべきです。
 「骨太の方針」が削減路線と一体で前面に打ち出したのが社会保障の「産業化」です。「企業等が医療機関・介護事業者、保険者、保育事業者等と連携して新たなサービスの提供を拡大」「民間の活力を活(い)かしながら歳出を抑制する」などとさかんに強調しています。昨年の「骨太の方針」より踏み込んだ内容です。国や地方自治体が「歳出削減」のために社会保障から撤退したところを、民間企業に担わせる意図を露骨に示すものです。
 「骨太の方針」と同時に閣議決定した改訂「日本再興戦略」や「規制改革実行計画」は、国民の安全・権利を守る規制を撤廃し「営利化」の加速へ具体策を掲げています。
 利潤追求が原則の民間営利企業によるサービス提供は、国・地方自治体が責任をもつ公共サービスと根本的に違います。保育や介護の事業に参入した企業がもうからないと撤退し、利用者が置き去りにされるケースも少なくありません。お金のない人が必要なサービスから締め出される事態をさらに深刻化させるものです。憲法25条で定められた社会保障の安心・安全を脅かし、国民の暮らしの大本を揺るがす「営利化」をすすめることは許されません。
公的責任を強めてこそ
 政府は、「財政健全化」といえば社会保障費を減らすことばかりしか考えない固定観念から脱却すべきです。大企業のもうけのために国民の暮らしや安心を犠牲にする政治では経済再生もできません。
 国民の生存権を保障し、社会保障の向上・増進にたいして国が責任を持つ政治へ転換することが、いよいよ重要となっています。
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秋田魁新報 (2015/07/03 付)
社説:財政健全化 歳出削減の本気度問う


 政府は、経済の活性化を促す「成長戦略」と、経済財政運営の指針「骨太方針」を閣議決定した。
 成長戦略によって経済が成長し景気が拡大すれば、税収(歳入)が増える。一方、骨太方針にはどう歳出を減らし、借金漬けの財政を立て直すかという財政健全化策が盛り込まれている。歳入と歳出を併せて考えないと、財政再建ができないため、成長戦略と骨太方針をセットで決めたのである。
 国の借金は1千兆円を超えている。年間予算(一般会計)の10倍強だ。毎年の予算編成も借金に頼らざるを得なくなっている。とても1、2年で改善できる財政状況ではない。
 そこでまず、5年後の2020年度には、新たに借金をしなくても必要な政策経費が賄えるようにしようとの目標を掲げた。これを「基礎的財政収支の黒字化」という。
 それを達成するために「経済再生なくして財政健全化なし」を基本方針に据えた。安倍晋三首相がかねて主張してきた考え方で、経済再生、つまり経済成長による税収増を軸に財政再建を図ろうというのである。
 しかし、その前提となる経済成長率があまりに楽観的だ。物価の影響を考慮した実質で2%、名目で3%と見積もっている。過去20年間、実質成長率は平均0・9%程度で推移し、名目成長率も3%に届いたことが一度もないのにである。
 成長戦略の中身も、女性活躍推進の支援や訪日外国人客の増加など小粒な施策が並び、どれほど効果的か疑問だ。
 仮にこのシナリオ通りに成長したとしても、基礎的財政収支は依然として9兆円超の赤字が見込まれる。
 歳入増が危ういとなれば、もう一方の歳出をどう削減・抑制するのか。こちらも思い切って切り込んだとは言えない。
 焦点の社会保障費を含めた政策経費の伸びを、18年度までの3年間で1・6兆円に抑制するとした。しかし、この額はあくまでも目安であって、厳格な順守事項としたわけではない。
 歳出抑制が踏み込み不足になっている背景には、今後の政権運営をにらんだ首相側の思惑があるようだ。社会保障費の抑制は来年夏の参院選に影響しかねない。安全保障関連法案の国会通過に全力を挙げなければならないこの時期に、歳出削減をめぐり政府・与党内がもめるようなことは避けたい。そんな計算が働いているようだ。
 しかし、財政健全化はもう待ったなしのところまできている。政権や与党の都合で先延ばしできるほどの余裕はない。早く健全化しないと国債の信頼度が低下し、それに伴う金利上昇で利払いが増え、健全化が一層遠のく可能性もある。
 政府は、甘い見立てに基づく成長頼みを捨て、もっと歳出削減を徹底させた実現性の高い健全化策につくり直すべきだ。
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福井新聞 (2015年7月3日午前7時00分)
論説:財政再建と成長戦略 両立図る道筋が見えない


 「経済再生なくして財政再建なし」と強調する安倍晋三首相の考え方は間違っていない。ただ、とっくに低成長社会に突入している日本が、高い成長を前提に財政再建を図ろうとする楽観性は現実離れしている。
 政府は新しい経済財政運営指針「骨太方針」と「成長戦略」、人口減少を踏まえた当面の地方政策「まち・ひと・しごと創生基本方針」を閣議決定した。
 焦点だった財政健全化計画では「2020年度に基礎的財政収支を黒字化」という目標を堅持した。だが一般歳出額の上限は設定せず、伸びを今後3年間で1兆6千億円程度に抑えるとの緩やかな「目安」を盛り込む程度にとどまった。
 頼みは経済の好循環による税収増だ。財政再建が命題の財務省は具体的な削減目標にこだわったが、官邸サイドに押し切られた。
 政府のシナリオは物価変動の影響を除いた実質で2%、名目では3%程度を上回る経済成長の実現を描いている。だが過去20年間をみても実質成長率は平均0・9%程度。名目では一度も3%に届いておらず、あまりに見通しが甘い。
 借金は1千兆円を超え、深刻度は主要国最悪。健全化目標はこれ以上の財政悪化を防ぐ処方にすぎない。危機感が希薄な成長頼みでは、将来世代へツケを回さない覚悟の程が問われる。
 その成長戦略は安倍政権で3度目となるが、これまでの法人税率引き下げや農業・医療・雇用分野の岩盤規制改革のような大胆な政策もなく、目玉に乏しい。「予算確保を狙った省庁任せの政策集」との指摘もある。成長力強化へ「生産性向上」に軸足を置いているものの、大学改革による技術開発力の底上げや女性の活躍推進など、政策の力不足は否めない。
 設備、人的投資増に向けた「官民対話」の創設やサービス産業の生産性向上を図る官民協議会の設置も盛り込んだ。人口減対策だが株価や為替、賃上げ同様、市場原理と異なる強引な「官製相場」の発想だ。
 IT分野でも「マイナンバー」の活用を明記したが経済成長につながるかは疑問。働き方では、解雇無効の判決が出ても金を払えば退職させられる制度の導入を計画している。不当解雇を増長しかねず、これも疑問が多い。農地集約政策では、耕作放棄地への課税強化を検討するが、放棄せざるを得ない過疎の中山間地いじめともなる。
 創生基本方針では東京圏などの高齢者の地方移住促進を打ち出した一方で、骨太方針において地方の医療費抑制を前提にした病床数削減を狙う。政策の整合性が問われて当然だ。
 アベノミクスは金融政策や財政政策では効果があっても、肝心の成長戦略が思うように機能しない。膨らむ社会保障費に加えて、東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の整備費が2520億円と当初予定より900億円も増える無計画ぶり。このままでは財政再建は危うい。実効性を見極め、骨太方針や成長戦略全体の見直しを図るべきだ。
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信濃毎日新聞 2015年07月02日(木)
社説:財政再建 本気度が感じられない


 台所が火の車だというのに、危機感があまりにも薄い。
 日本の財政事情である。国の借金は1053兆円以上。国民1人当たりにすると約830万円もの額になる。先進国の中では最悪のレベルだ。
 政府が閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」は、この不都合な現実に目をつむるかのような内容となった。
 柱である財政健全化計画は、黒字化への確かな道筋と呼べるようなものにはなっていない。抜本的な解決策を先送りにしていれば、財政がさらに悪化し、国民生活は苦しくなるだろう。
 安倍晋三政権は計画を一から練り直し、財政再建の道筋を早急に示さなくてはならない。
 首相はかねて「経済再生なくして財政健全化はない」と訴えてきた。自身の経済政策「アベノミクス」で経済成長を促し、それに伴う税収増などを柱にして財政を再建しようというものだ。
 骨太方針もこの考え方に基づいている。2020年度に基礎的財政収支を黒字化するとの以前からの目標は堅持した。新たな借金をせずに政策経費を賄えるかどうかを示す指標である。
 黒字化までの中間目標として18年度に基礎的財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比で1%程度に抑えることを打ち出した。
 一方、歳出面では一般歳出の総額を過去3年間の実績並みに抑えることもうたった。
 裏付けに乏しい目標や政策ばかりである。歳出抑制に関してもあくまで「目安」との位置付けだ。実効性は疑わしい。
 問題なのは、財政健全化計画が名目で3%超の高い経済成長率を前提としていることだ。日本経済の実力からみると信用できる数字とは言えない。
 歳出抑制を訴える財務省と経済成長を重視する首相官邸との対立が裏であったとされる。結局、数値目標化は見送られた。
 肝心の成長戦略も、ロボット技術の育成や旅行者など外国人の誘致といった従来の政策の焼き直しが目立つ。羅列した項目も小粒でインパクトがない。
 国際社会も日本の財政運営に厳しい目を注いでいる。
 経済成長によって財政再建ができるのならそれに越したことはないが、現実離れしている。「身を切る改革」や「痛みを伴う改革」に関する突っ込んだ論議が欠かせないのに、首相は踏み込まない。国民に負担を求める政策についても丁寧に語るべきだ。
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読売新聞 2015年07月01日 01時09分
社説:骨太方針決定 アベノミクスを深化させよ


 ◆成長と財政再建の両立が肝心だ◆
 脱デフレを確実にするとともに、人口減少に対応して日本経済の成長力を底上げする。
 そのためには、経済政策「アベノミクス」をさらに深化させる必要がある。
 政府が、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)と、成長戦略「日本再興戦略」の第3弾を閣議決定した。
 民間活力を引き出す規制緩和などで高い成長を実現し、財政赤字の解消や社会保障制度の再構築など構造問題の解決を図る。経済成長と財政再建の二兎を追う基本戦略を堅持したのは妥当である。
 ◆生産性の向上に軸足◆
 安倍首相は、骨太方針と成長戦略を取りまとめた経済財政諮問会議で、「経済財政の一体改革を、不退転の決意で断行していく」と強調した。
 アベノミクスの効果で、景気は緩やかに回復している。
 だが、デフレ脱却は道半ばだ。「失われた20年」に確実に終止符を打つには、「3本目の矢」の成長戦略を加速し、日本経済の基礎体力を強化することが重要である。
 今回の成長戦略は、需要不足の解消に重きを置いてきたアベノミクスが、人口減少など供給面の制約の克服を目指す「第2ステージ」に入ったと位置付けた。
 労働力が減少する中で成長を続けるには、生産性向上が欠かせない。民間企業による設備、技術、人材への投資拡大による「生産性革命」によって、稼ぐ力を高める方向性は適切だろう。
 成長の主役はあくまで民間企業である。経営者による「攻め」の決断を後押しする政策支援を、さらに拡充することが大事だ。
 戦略には、企業に投資を促すため、官民の対話の場を設けることが盛り込まれた。時宜にかなった対応と言える。
 大幅な賃上げにつながった政労使会議のように官民が連携し、好循環経済を目指す手段として有効に活用したい。
 ◆規制緩和の深掘りを◆
 ただ、成長戦略の策定は、3年目に入ったこともあり、全体に施策が小粒な印象は拭えない。
 解雇を巡る金銭解決制度の導入や一般住宅を宿泊施設として活用する「民泊」の解禁なども、検討方針を示すにとどまった。
 共通番号(マイナンバー)の利用範囲拡大や、職業訓練の充実など、既存政策の延長線の域を出ないメニューも並んだ。
 イノベーション(技術革新)を担う人材の育成を目指す「特定研究大学」や、産学連携で人工知能などの専門人材を集める「卓越大学院」の創設は、着想は悪くないが、肝心の中身が不透明だ。看板倒れにならないだろうか。
 実効性が高まるよう、具体策を練り、強力に推進することが求められる。
 過去2回の成長戦略は、法人税実効税率引き下げに道筋をつけたほか、農業、労働、医療などの分野で岩盤規制の改革に着手し、一定の成果を上げた。
 しかし、検討過程で各府省や業界団体の抵抗を受け、改革が中途半端になったり、先送りされたりしたケースも多い。企業の農地所有の解禁などが典型だ。
 規制緩和を先行的に導入する「国家戦略特区」についても、経済界から進捗が遅すぎるとの指摘が出ている。
 成長戦略や規制改革は、そもそも長い時間と手間がかかる取り組みである。
 目新しさを追うより、一度は手をつけたものの、積み残しになった課題を真剣に洗い直し、地道に実現を図るべきだ。
 中長期的な成長力の向上には、財政再建も避けて通れない。
 健全な財政基盤がないと、景気悪化などへの機動的な政策対応が困難になる。
 ◆歳出削減が物足りない◆
 今回の骨太方針に盛り込まれた財政健全化計画は、実質2%という高成長率が実現し、税収が大幅に増えることを前提としている。このため、肝心の歳出削減は、踏み込み不足に終わった。
 最大の焦点である社会保障費の抑制策も、検討課題の列挙にとどまった。給付削減や負担増に必要な制度改正の時期や内容を明示していないのは問題だ。
 痛みを伴う改革の必要性を国民に正直に訴え、理解を得ることこそが、政治の責任である。安倍首相の指導力が問われる。
 夏以降、2016年度予算案の編成作業が本格化する。歳出削減の具体策を積み上げ、財政再建へ着実な一歩を踏み出せるかどうかが、その試金石となろう。
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日本経済新聞 2015/7/1付
社説:成長と財政両立の宿題は山積みだ


 政府が成長戦略(日本再興戦略の改訂)と、財政健全化計画を盛り込んだ経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)を決めた。
 日本経済の最大の課題である成長力の強化と、財政健全化を両立する道筋を示せたとはいえない。むしろ課題を浮き彫りにした。
 国と地方をあわせた日本の債務残高(借金)は国内総生産(GDP)の2倍程度もある。債務危機に苦しむギリシャよりひどく、先進国で最悪の状態だ。
及び腰の歳出抑制策
 政府は国と地方をあわせた基礎的財政収支を2020年度に黒字にする目標を掲げている。財政健全化計画ではそのための具体策が問われたが、問題は多い。
 まず前提条件が甘い。物価変動の影響を除いた実質で2%程度、名目で3%程度を上回る経済成長が実現するシナリオを想定した。
 構造改革により経済の実力を示す潜在成長率を高めることは正しい。しかし、先行きが不確実な中長期の計画で、楽観的な想定は控えるべきではなかったか。
 財政再建は成長による税収増、歳出削減や抑制、増税の3通りが基本だ。安倍晋三政権は10%を超えて消費税率を上げる選択肢を排除しているわりに、歳出削減・抑制に及び腰だ。
 国の政策経費である一般歳出について、過去3年の実質的な増加額が1.6兆円となっていることを「目安」にするという。何もないよりましだが、骨抜きにされるリスクはある。
 歳出抑制の具体策も、いまひとつはっきりしない。焦点の社会保障分野では、価格の安い後発医薬品(ジェネリック)の普及を急ぐ方針は示した。だが、効果の大きそうな項目の大半は実質的に結論を先送りした。
 たとえば、医療費の伸びを抑えるため、医薬品の公定価格である薬価を毎年改定する案は「頻度を含めて検討する」という。原則1割となっている75歳以上の後期高齢者の窓口負担は「あり方について検討する」にとどめた。
 高所得者の年金削減も含めた抜本改革の方向性を年末までに決めるべきだ。地方財政でも、リーマン危機後に導入した支援措置は撤廃してほしい。
 15年度の税収は当初予算の想定より増える可能性がある。アベノミクスの成果だからといって、安易に補正予算の財源にせず、国債発行を減額するのが筋だ。
 20年度の基礎的財政収支の黒字化は、財政健全化の一里塚でしかない。特に25年度には団塊の世代がすべて後期高齢者となり、放っておくと医療、介護、年金などの社会保障費が大きく膨らむ。
 経済再生後に長期金利が上がれば、国債の利払い費も増えるだろう。20年度よりあとも着実に財政再建を進め、借金の対GDP比率を下げる。そんな息の長い取り組みを忘れてはならない。
 「経済再生なくして財政健全化なし」という安倍内閣の基本方針は理解できる。ただ、今回の成長戦略がそれにふさわしい内容といえるだろうか。
 ドイツにならって「第4次産業革命」と唱えるのはいいが、中身に乏しい。女性、若者、高齢者、外国人材の活用をさらに進め、規制改革で技術革新や新陳代謝を後押ししてほしい。
岩盤規制を突き崩せ
 国家戦略特区で、遠隔診療や、小型の無人飛行機(ドローン)の実証実験などを進めやすくするのは前進だが、農業・漁業・林業、旅館業法などの「岩盤規制」は残っている。解雇無効の判決が出た後の金銭解決に道を開くといった難題にも取り組むときだ。
 税制改革はこれからが本番だ。法人実効税率をできるだけ早く20%台に引き下げるための具体案を早期に固め、日本の立地競争力を高めたい。
 女性がもっと働きやすくなるための配偶者控除見直しの検討は待ったなしだ。現役世代より年金受給者に手厚い税制の見直しは、社会保障の効率化にもつながる。
 通商分野では、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の前進をテコに、欧州連合(EU)などとの経済連携協定(EPA)交渉を加速すべきだ。
 エネルギー分野では、安全性を確認した原子力発電所を再稼働するとともに、温暖化ガス削減の前提となる省エネルギー対策をもっと前進させる必要がある。
 安全保障関連法案はもちろん重要だが、「経済最優先」という政権運営の基本を崩してはいけない。経済と財政を両立するための宿題が山積していることを、首相は肝に銘じてほしい。
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河北新報 2015年07月01日水曜日
社説:骨太方針決定/財政健全化へ本気度を疑う


 浮かんでくるのは「捕らぬたぬきの皮算用」と「丼勘定」という二つの成語である。それほどに甘く、ずさんな計画ではないか。
 きのう閣議決定された経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込まれた財政健全化計画のことである。
 新たに借金をせず、政策経費を主に税収でどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支(PB)を2020年度に黒字化するという、国際公約でもある目標を堅持した。
 だが、歳入はここ10年で一度も届いたことのない名目3%という高い水準の経済成長が続くことを前提にした税収増を見込む。不確実な「果実」を当てにして計画を立てる皮算用以外の何物でもない。
 一方、歳出は過去3年間でその総額の伸びを実質的に1兆6千億円程度に抑制してきた取り組みの継続を「目安」とした。歳出削減の明確な数値目標ではない。しかも列挙された歳出抑制策は、その実施でどれだけ効果が上がるのか、それさえ分からない。
 歳入も歳出も不確かで大まかな丼勘定そのものであり、健全化の道筋が一向に見えてこない。これでPBの黒字化が達成できるのか、疑問というしかない。
 国と地方の借金が1千兆円を超える先進国最悪水準の財政は、将来へリスクをはらんだ重いツケとなる。その改善に向けた本気度が、この計画からはとてもうかがえない。
 そのことを象徴するのは、新たに設けられた18年度の中間目標である。15年度で国内総生産(GDP)比3.3%(約16.4兆円)のPB赤字を1%(6兆円程度)に圧縮するという。
 中間目標の設定は計画の進展具合を検証するのが目的だ。が、目標を達成できなくとも、その時点で追加対策を検討すれば済むという「免罪符」と捉えれば、問題の先送りにほかならない。そうなら無責任のそしりを免れまい。
 そもそも20年度にPBの黒字化を達成できたとしても、それで国と地方の借金が減るわけではない。
 社会保障や公共事業といった政策の費用が税収で賄えているだけで、発行済みの国債(借金)の元利償還のためには、新たに国債を発行しなければならない。加えて20年代前半には「団塊の世代」が75歳以上となり社会保障費の一層の増大が予想され、さらなる財政の悪化が懸念される。
 いま、本腰を入れて取り組まなければ、まさに将来に禍根を残しかねないことを政府は肝に銘ずるべきだ。
 財政再建に向け、政策経費の4割を占める社会保障の改革は避けられまい。骨太方針は、割安なジェネリック医薬品の普及率引き上げ、医療や介護における高所得者の負担増の検討も盛り込んだ。
 経済成長を期すなら、国民の将来不安が拭われなければ成長を左右する個人消費の拡大は望めまい。そうした観点から言えば、場当たり的な社会保障の見直しはむしろ、不信と不安を助長しかねない。
 国民が納得し、安心できる社会保障の負担と給付の全体像を明確にする。そのことが財政再建の確かな一歩となり中核となるのではないか。
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福島民友新聞 2015年7月1日
社説:骨太の方針/財政健全化への努力怠るな(7月1日付)


 経済再生と財政健全化の両立を目指す戦略は基本的に妥当といえるが、肝心の経済成長は思惑通り進むか予断を許さない。さらなる歳出改革に力を注ぐ必要がある。
 政府が経済財政運営の指針「骨太方針」と新たな成長戦略などを閣議決定した。
 2020年度の財政健全化目標をどのように達成するかが焦点だったが、そのための「経済・財政再生計画」には一般歳出の伸びを今後3年間で1兆6000億円程度に抑えるとの「目安」が盛り込まれるにとどまった。
 その一方で計画は、現実的にかなり難しいともみえる高成長を見込み、それによる税収増を当てにする姿勢を明確にした。「経済再生なくして財政健全化なし」との安倍晋三首相の考えを反映したためだが、計画としてバランスと厳しさに欠くと言わざるを得ない。
 日本の借金は1000兆円を超え、深刻度は主要国で最悪だ。健全化目標は、これ以上の財政悪化を防ぐ小さな一歩にすぎないことを忘れてはならない。
 政府は、15年度で16兆円余りと見込まれる基礎的財政収支の赤字を、20年度に黒字化する目標を掲げている。税率10%への消費税再増税の延期を昨秋決めた際、安倍首相が目標実現のための計画作りを表明していた。
 計画で大切なのは前提にどのような経済の姿を描くかであり、その上で歳出と歳入をどう見直すかだった。今回の計画は、その両面で甘さが目立つものとなった。
 まず経済の姿だが、アベノミクスがうまくいき、実質で2%、名目も3%を上回る高成長が実現した場合を計画の前提に採用した。
 しかし過去20年、実質成長率は0.9%程度であり、名目成長率は一度も3%に届いていないのが現実だ。もし成長率が1%にとどまれば、20年度の基礎的財政収支の赤字幅は7兆円も増える。
 それでいながら安倍首相が「第2ステージ」とする成長戦略は、大学改革による技術開発力の底上げなどにとどまった。安倍政権が狙う民間活力を生かした経済再生を果たすには物足りなさが残る。
 高成長を前提にするならば、せめて手堅い歳出削減や抑制の道筋が示されるベきだが、その点でも計画は心もとない。今後、16年度の予算編成などを通じて歳出改革に取り組んでもらいたい。
 方針では、本県の震災と原発事故からの復興について、廃炉・汚染水対策の充実や福島・国際研究産業都市構想の早期整備などが明記された。確実に取り組みを進めるよう求めたい。
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神戸新聞 2015/07/01
社説:骨太と成長戦略/総花で目標が実現するか


 政府は「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)と、新しい成長戦略「日本再興戦略」を閣議決定した。
 骨太方針は、2020年度までに新たな借金をせずに国と地方の政策経費を賄えるかを示す基礎的財政収支の黒字化を目指す。中間目標として、現在の国内総生産(GDP)比3・3%の赤字を、18年度には1%に減らすことを盛り込んだ。
 前提としているのが「名目3%、実質2%」という高い経済成長率である。だが、バブル崩壊後、実質成長率が2%を超えたことはない。
 政府は「経済再生なくして財政健全化なし」と強調するが、高成長に伴う税収増に頼った財政再建では、実現性を疑わざるを得ない。
 そもそも、日本の中長期的な成長可能性を示す潜在成長率は1%を割っているとされる。人口が減少する中、潜在成長率を高めるには労働力の確保や生産性向上が欠かせない。
 その意味で、安倍政権として3度目の策定となる今回の成長戦略が、生産性向上を目指す政策に軸足を置いたことは評価できる。
 だが、内容は雇用、農業、IT、観光など幅広い分野にわたり、総花的で小粒な印象が否めない。
 雇用分野では、中高年の転職や出向を受け入れる企業や女性のキャリアアップに積極的な企業に対し助成制度を検討する。非正規労働者の「正社員転換・雇用管理改善プロジェクト」(仮称)を年度内に策定し、正社員化を後押しする。
 ただ、女性が非正規として働く要因でもある配偶者控除は「幅広く丁寧な国民的な議論」を進めるとし、見直しに踏み込まなかった。
 世界最高水準のIT社会の実現も目玉に掲げ、国民に番号を割り当てるマイナンバーの利用拡大やビッグデータの活用を挙げるが、国民の不安は根強い。サイバーセキュリティーに十分配慮した上でとしているものの、慎重さが求められる。
 他にも、あらゆる製品をインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングズ)の推進や、人手不足解消に役立つロボット技術の開発などでイノベーションを促すとするが、これら政策の実現は時間もコストもかかる。
 国際競争は激しさを増す。民間任せでなく、政府がどこまで本気で取り組むかが問われる。
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徳島新聞 2015年7月1日付
社説:骨太方針 財政健全化の道筋見えぬ


 政府が、経済財政運営の指針となる「骨太方針」を閣議決定した。高い経済成長による税収増を当てにして財政健全化を目指すとしたのが特徴である。
 しかし、同時に決定した新たな成長戦略は力不足の印象が否めない。歳出の抑制でも数値目標を明示せず、実効性は不透明だ。
 国と地方を合わせた長期債務残高は1千兆円規模に達しており、日本の財政状況は先進国で最悪の水準にある。
 骨太方針は2020年度に財政を健全化させる政府目標を堅持したが、これでは達成への意欲が疑われよう。成長頼みではなく、しっかりとした道筋を示すべきである。
 政府目標は、新たな借金をせずに政策経費を賄えるかどうかを示す国と地方の基礎的財政収支を、20年度に黒字化するというものだ。
 そのために骨太方針に盛り込んだのが、来年度から5年間の「経済・財政再生計画」である。
 計画は18年度までを「集中改革期間」とし、現在は国内総生産(GDP)比で3・3%(約16兆4千億円)の赤字となっているのを、18年度に1%程度に減らす中間目標を設定。進み具合を検証し、不十分なら追加措置で対応するとした。
 だが、計画は名目のGDP成長率が3%以上となる景気拡大が続くことを前提としている。過去10年で成長率が3%以上になったことは一度もなく、見通しが甘過ぎる。
 しかも、内閣府の試算では、高い成長が実現したとしても20年度は黒字にならず、9兆4千億円の赤字とされる。これをどう埋めるのか。
 骨太方針と新成長戦略は、割安なジェネリック医薬品(後発薬)の普及率引き上げや公共サービスへの民間参入、大学改革による技術開発力の底上げなどを打ち出したが、成長を強力に後押しする内容とは言い難い。
 歳出を抑制できるかどうかも見通せない。
 骨太方針は、国の政策に使う一般歳出の実質的な伸びについて、1兆6千億円程度に抑えた過去3年間の基調を18年度まで継続することを盛り込んだ。
 ただ、あくまでも「目安」という位置付けで、厳格な目標にはしなかった。17年春の消費税再増税に対応する景気下支えなどを理由に歳出圧力が高まり、目安が骨抜きにされる恐れがある。
 一般歳出のうち、伸びの大きい社会保障費では、医療や介護で高所得者の負担増を検討するとした。これには、来夏の参院選を控えて自民党内から異論が出る可能性があり、難航が予想される。
 20年度の基礎的財政収支の黒字化は世界に向けた公約である。達成できなければ、国際的な信用や市場の信頼を失うことになる。
 痛みを伴う政策をいつまでも避けることはできまい。政府は強い危機感を持って臨まなければならない。社説: 骨太方針 財政健全化の道筋見えぬ

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高知新聞 2015年07月01日07時53分
社説:【骨太方針】財政健全化は進むのか


 政府が経済財政運営の指針「骨太方針」を閣議決定した。
 財政健全化に向けた計画を盛り込んだものの、経済成長による税収増を当てにし、具体的な道筋は明確に示せていない。政府の本気度が疑われても仕方ないだろう。
 計画は、新たな借金をせずに政策経費を賄えるかを示す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を、2020年度に黒字化する目標は変えていない。この目標は国際公約でもある。
 達成に向け、18年度のPBの赤字を現在の国内総生産(GDP)比3・3%から1%程度に下げる中間目標を新たに設けた。進み具合を検証し、不十分なら追加措置で対応するという。
 計画途中での検証はよいとして、それを口実に困難な取り組みを先送りする懸念がつきまとう。歳出抑制などの具体的な道筋がはっきりとみえないからだ。
 黒字化目標は名目で3%超の極めて高い成長率を前提とし、大幅な税収増を当て込んでいる。それでも、内閣府の試算では20年度に9兆4千億円の赤字が残り、歳出をどれだけ抑制できるかが成否の鍵を握る。
 ところが、歳出削減の数値目標は示していない。不人気策を避けるとともに、経済成長のために弾力的な財政出動の余地を残したい、とする安倍首相らの意向が働いたようだ。
 その代わりにと設けたのが、社会保障や公共事業などの一般歳出抑制の目安だ。過去3年間の取り組みによって実質的な総額の伸びを1兆6千億円程度にとどめた基調を、18年度まで継続するという。
 むろん、目安にすぎず、歳出増大の歯止めとしては不十分だろう。列挙された個々の歳出削減策も実効性は未知数といわざるを得ない。
 一方、同時に閣議決定された成長戦略は「新たな」というには程遠い内容だ。全体に小粒な上、従来の政策の焼き直しが目立つ。首相周辺から「国民の前に陳列すべき商品が少ない」との声が漏れるようでは、在り方を見直す必要があるだろう。
 規律なき財政運営の行き着く先は、ギリシャの破綻が象徴していよう。経済成長に寄りかかった甘い見通しではなく、厳しい財政規律の下で着実に健全化を進めていく決意と覚悟がいまこそ求められている。
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=2015/07/01付 西日本新聞朝刊=
社説:成長率目標 官民の差はどこにあるか


2015年07月01日 10時43分
 経済再生と財政再建を同時に達成することが政府の目標である。そのため不可欠なのが、中長期的に名目3%程度、実質2%程度を上回る経済成長を続けることだ。
 思い切った政策で土台はできたと政府は言う。日本経済がほぼ四半世紀ぶりの良好な状況に達しつつあることが、その証拠という。
 官の自信に対し、民はどうか。6月の経済同友会の調査がある。本年度の実質経済成長率の見通しで回答は「1・5%以上2・0%未満」が約44%で、「1・0%以上1・5%未満」が約25%、「0・5%以上1%未満」が約21%と続き、2%以上は8%台だった。
 民間は総じて慎重である。官民の差はどこにあるか。それは企業経営者に根強く残るデフレマインドが原因だ、と政府は言う。物価下落が続くと思うから積極的な投資などができないというわけだ。
 10年、15年続くデフレなどの表現は正確ではない。日本経済の停滞はその時々で原因が異なる。
 1990年代はバブルの崩壊で株価や地価が暴落し、銀行などが巨額の不良債権を抱え込んだ。
 不良債権処理は2000年代に入っても続いた。米国でもITバブル崩壊があり、世界的な低金利が続いた。結果、投機資金が原油などの資源価格をつり上げ、日本には重荷となった。
 世界的カネ余りによる好況は2008年秋の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻でとどめが刺された。これで深手を負った欧米に比べ安全と見られた日本の円が買われ、円高が進むことになった。
 日本経済は幾多の荒波にもまれてきた。この間、一貫して進んだこともある。高齢化である。そして、人口減少時代に突入した。
 高齢者の増加と現役世代の減少が経済成長の制約要因となっていることは間違いあるまい。政府の経済財政運営の指針「骨太方針」でも、その克服に知恵を絞る。
 だが、骨太方針は取り組むべき課題の羅列となっており、丁寧な分析や具体的数字に乏しい。それが希望的な観測に映り、民の信用を得るだけの説得力を持たない。
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