2015-07-06(Mon)

自民報道批判 (2) 安倍首相謝罪 沖縄2紙社説 150627-0705

「安倍応援団」暴言 権力による言論統制だ 「異論排除」の体質改めよ 自民圧力発言 議員辞職しか道はない

沖縄2紙社説>
琉球新報)安倍首相謝罪 「異論排除」の体質改めよ(7/5)
沖縄タイムス)[報道圧力]首相の本心が聞きたい(7/3)
琉球新報)自民圧力発言 議員辞職しか道はない(7/2)
沖縄タイムス)[基地と報道]平和・公正の実現めざす(6/30)
琉球新報)島尻氏発言 検閲にらむ危うい発想だ(6/30)
沖縄タイムス)[「安倍応援団」暴言]沖縄への偏見あらわに(6/29)
琉球新報)報道圧力で処分 安倍首相の責任どう示す(6/29)
沖縄タイムス)[自民勉強会 暴言]権力による言論統制だ(6/27)
琉球新報)百田氏発言 開いた口がふさがらない(6/27)




以下引用



琉球新報 2015年7月5日 6:02
<社説>安倍首相謝罪 「異論排除」の体質改めよ


 自民党勉強会の報道圧力や沖縄2紙などをめぐる発言に関して、安倍晋三首相は「国民に対し大変申し訳ない。沖縄県民の気持ちを傷つけたとすれば申し訳ない」「最終的には私に責任がある」と述べ、ようやく自らの非を認めた。
 勉強会から8日後だ。遅過ぎる。しかも「傷つけたとすれば」という仮定付きだ。真に心から沖縄に向けた言葉かどうか疑わしい。
 報道圧力が表面化した翌日、首相は「報道の自由は民主主義の根幹」と語ったものの、謝罪を避け、関係者の処分にも消極的だった。
 首相は今月中旬とされる安全保障関連法案の衆院採決を視野に入れ謝罪したのだろう。世論の批判が強く、法案審議が滞りかねないと、問題を収拾させ環境整備を図ろうとの思惑があったと推測される。謝罪はあくまで安保関連法案を優先したものだ。県民より先に公明党に謝罪したことでも明らかだ。
 今回の報道圧力問題の根底には「異論は許さない。排除する」という安倍政権の本質が流れている。
 安倍政権は「公正中立」を名目に、これまで何度も政治報道に注文を付けてきた。衆院選前の昨年11月、テレビ各局に衆院選報道の「公正の確保」を求めた文書を出した。同月下旬にはテレビ朝日のアベノミクス報道を批判し「公平中立な番組づくり」を要請した。
 さらにことし4月、党の調査会が報道番組でのやらせが指摘されたNHKと、コメンテーターが首相官邸を批判したテレビ朝日の幹部を党本部に呼んで事情聴取した。
 安倍首相自身、官房副長官だった2001年1月、日本軍「慰安婦」問題を取り上げたNHK番組に対し、放送前にNHK理事と面会し、「公正・中立にやってほしい」と注文を付けたこともある。
 政権側は「表現の自由は憲法で保障されている」と圧力を否定するが、結果的に報道機関が萎縮し、言論の自由を脅かす恐れをはらむ。
 政権や与党議員が、報道が気に入らないから圧力をかけよう、排除しようとするのは、憲法21条が保障する「表現の自由」を踏みにじる行為だ。言論、表現、報道の自由は民主主義の根幹を成すものであり、マスメディアが権力を監視、検証して批判することは当然の責務だ。
 これらのことを十分理解し、異論排除の体質、謙虚さを欠いた政権姿勢を改めない限り、真の謝罪とはいえない。
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沖縄タイムス 2015年7月3日 05:30
社説[報道圧力]首相の本心が聞きたい


 自民党若手国会議員の勉強会で、県内2紙への批判を含む報道機関への圧力発言や、米軍普天間飛行場の成り立ちに関する事実誤認発言が出てから約1週間。事態は、一向に収まる気配がない。
 党執行部は勉強会代表の木原稔青年局長を更迭するなど関係議員を一斉処分し、早期の幕引きを図った。しかし、厳重処分を受け、自身のホームページに「心より反省する」とのコメントを出した大西英男衆院議員が、再び報道への威圧発言に及んだ。
 大西氏は、国会内で記者団に「(マスコミを)懲らしめようという気はある」と述べ、「誤った報道をするマスコミに対して広告は自粛すべきだと個人的に思う」と主張した。
 「懲らしめる」とは、悪さをした人に制裁を加えて二度としないという気持ちにさせる意味だ。気にくわない報道機関に制裁を加えて言論を封じ込めようとする考えを、政権与党の国会議員が悪びれもせず言ってのける。その傲慢(ごうまん)さに怒り、あきれ、ぞっとする。
 言論の自由は憲法で保障され、国会議員には憲法を尊重し擁護する義務があることも定められている。権力と報道機関との対立構図は古くからあるが、報道の本質は権力批判にある。その基本的理解が、自民党の一部議員に欠落している、と指摘せざるを得ない。
 党執行部は再度、大西議員を厳重注意処分とした。だが、今後も「暴言」を止められないようであれば、自民党自体がその考えを是認しているとみられてもしょうがないのではないか。
    ■    ■
 一連の問題に対し、総裁である安倍晋三首相はどう考えているのか、いまひとつ分からない。
 衆院の特別委員会では「事実なら大変遺憾だ」と述べるにとどまり、明確な謝罪はなかった。一方で、公明党の山口那津男代表には「迷惑を掛け、大変申し訳ない」と陳謝した。謝る相手が違うのではないか。
 問題の発言があった勉強会は、安倍首相に近い若手議員の集まりである。講師を務めた作家の百田尚樹氏も、総裁選で安倍首相を支援するなど首相と気脈の通じた間柄だ。
 同時期には、党内のリベラル系若手議員でつくる勉強会も会合を予定していたが、党幹部の自粛要請で中止になった。安全保障関連法案に批判的な講師を招く予定だったため、審議への影響に懸念が出たという。
 党内ですら、首相に近い立場でなければ言論の自由が保障されない。危機的な状況である。
    ■    ■
 県議会は2日、勉強会での発言に対する抗議決議を、賛成多数で可決した。宛先は総裁・安倍首相である。
 抗議決議は、百田氏発言とこれに呼応した自民党議員らの発言に対し、「報道機関だけでなく、読者である沖縄県民をも侮辱するもので到底、看過できない」と厳しく批判し県民への謝罪を求めた。
 首相には決議を重く受け止めてもらいたい。同時に、一連の問題をどう考えているのか本心を聞きたい。
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琉球新報 2015年7月2日 6:02
<社説>自民圧力発言 議員辞職しか道はない


 自民党所属国会議員の妄言・暴言がとどまるところを知らない。
 「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ」と党の勉強会で発言した大西英男衆院議員(東京16区)は記者団に問われ、再び「(誤った報道をする一部のマスコミを)懲らしめようという気はある」と述べた。
 勉強会を主催した木原稔氏(熊本1区)は沖縄全戦没者追悼式典に関し、首相にやじを飛ばした参加者が「動員」によるものだとの認識を示した。
 いずれも無知、無理解に基づくものだ。沖縄の2紙を「左翼に乗っ取られている」と放言した長尾敬衆院議員(比例近畿)を含め、うそをまき散らし、憲法で保障された自由を否定する各氏に残された道は議員辞職しかない。
 大西氏は自身の発言について、表現の自由を否定するものではないと繰り返し主張している。さらに「マスコミ規制をするとか、言論の自由を弾圧するなんてのは絶対あり得ない」「表現の自由、言論の自由は民主主義の根幹であることを理解している」とも語っている。
 権力を持つ側が心掛けるべきことは、少数者の意見や多様な論説を自由に表現できる環境をつくることにある。大西氏は朝日新聞の「従軍慰安婦」誤報問題や安保法制審議で政府と異なる主張をする報道を例に挙げ「懲らしめなければいけないんじゃないか」と発言した。勘違いも甚だしい。言論の府に身を置く人間が、異論を排除しようと発想すること自体、言論の自由に対する抑圧ではないか。
 木原氏は初めて参加した全戦没者追悼式が「異様な雰囲気だった」と語っている。例年と異なる状況にあるのが、なぜなのか考えたのだろうか。辺野古の問題をはじめ、国が沖縄の民意をないがしろにし、民主主義の危機にあるからだ。
 背景を考察せず「動員」と断じる発想が理解できない。不特定多数に私見を披露するのなら根拠を示してほしい。できなければそれは妄想という。
 一連の発言に対し、安倍首相は公明党の山口那津男代表に謝罪したが、あくまで国会審議に影響が出たことへのものだ。国民、沖縄県民に対するものではない。誰にでも言論の自由は保障されているが、妄言や虚言を許容するためのものではない。党内処分や締め付けでなく、首相自身が言論の自由を守り抜く決意を示すべきだ。
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沖縄タイムス 2015年6月30日 05:30
社説[基地と報道]平和・公正の実現めざす


 敗戦とサンフランシスコ講和条約によって沖縄は戦後、日本本土から切り離され、米軍統治下の苦難の道を歩むことになった。韓国や台湾と同じく、沖縄は冷戦の最前線にあった。
 施政権が返還され、憲法が適用されるようになった復帰後も、本土と沖縄は決して同じ道を歩んだわけではない。
 「小さなカゴに、あまりにも多くの卵を詰めた」(元米政府高官)ような基地オキナワの現実は変わらなかった。
 県議会が米軍基地問題で意見書・決議を可決したのは復帰後、396件に上る。
 県や基地所在市町村は、基地問題の処理に振り回され、飛行場周辺の住民は騒音や墜落の不安に悩まされ続けてきた。
 これが沖縄の基地問題を語る際の歴史的な前提である。基地問題をめぐる地元メディアの報道姿勢は、この前提を抜きにしては何も語れない。
    ■    ■
 安倍晋三首相に近い自民党議員の勉強会で、報道機関を威圧し、言論を統制するような発言が、講師や参加者から飛び出した。
 歴史的な前提を無視した一方的な発言が相次いだことは、「日本の安全保障のためには沖縄の負担や犠牲も止むを得ない」という沖縄切り捨ての発想が自民党の中に根深いことを浮き彫りにした。
 この発想は、彼らだけの突出した考えではない。防衛事務次官を経験した故久保卓也氏は「基地問題は安保に刺さったトゲである。都市に基地がある限り、安保・自衛隊問題について国民的合意を形成するのは不可能」だと述べ、基地の沖縄集中を正当化した(『マスコミ市民』1995年11月号)。
 安倍首相の外交・安保のブレーンだった元大使の故岡崎久彦氏も、沖縄の置かれた状況を船に例え、「沖縄の人が怒っているのは、自分たちの部屋がエンジンルームに近くて、うるさくて暑い。これは不公平だと言っているわけです。どうせ誰かがエンジンルームの側に住むわけだから、それに対する十分な代償をもらえばいい」と語った(『ボイス』96年2月号)。
 だが、岡崎氏の議論はあまりにも一方的だ。なぜ、九州かどこかにエンジンルームを移さないのか。なぜ、沖縄がエンジンルームの側で我慢し続けなければならないのか。
 実は過去何回か、米側から、沖縄の海兵隊を撤退させたい、との提案があった。その都度、米側提案に待ったをかけ、本土にではなく沖縄に駐留し続けてもらいたいと懇願してきたのは日本政府である。
 撤退は困るが、本土に移すと政治的問題を引き起こすから、沖縄にとどまってほしい-。沖縄の人々はここに、基地をめぐる構造的差別を見る。
    ■    ■
 宜野湾市議会は29日、普天間飛行場の成り立ちに関する作家の百田尚樹氏の発言に対し、強制的に土地を接収された地主の尊厳を傷つけるもの、だと全会一致で抗議決議を採択した。
 県議会定例会で翁長雄志知事は、「本土の方々は沖縄の戦後を知らない」「あと20年たったら(基地問題は)余計に風化する。今のうちに発言しないと、本土の理解を得られない」と危機感をあらわにした。
 戦後70年。日々の取材活動を通して私たちが実感するのも、沖縄戦や冷戦下の沖縄の状況に対する「歴史健忘症」の進行である。戦争体験者がいなくなり、「歴史健忘症」が社会の中に広がっていくと、戦争を防ぎ止める力が弱まる。
 自民党の議員勉強会で驚かされるのは、参加した講師や議員の憲法感覚の乏しさだ。「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」と言うに至っては、その稚拙さにあ然とせざるを得ない。
 自分たちの気に入らない言論を権力で封じ込める。そのような言論弾圧的な発想が、安保法制の国会審議の最中に、加藤勝信官房副長官も参加した政権与党の勉強会で公然と語られたのである。
 メディアの重要な役割は権力を監視することだ。沖縄戦と米軍統治を体験したメディアとして謙虚に、ひるまずに、役割を果たしていきたい。
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琉球新報 2015年6月30日 6:02
<社説>島尻氏発言 検閲にらむ危うい発想だ


 政権や政治家が権力を盾に報道内容に介入することを許せば、歯止めが利かなくなる。表現・報道の自由を揺るがしかねない懸念材料は徹底して摘み取らねばならない。報道機関が権力の行き過ぎを監視し、それに歯止めをかける使命を果たすことは、民主主義社会の基盤を強くするからである。
 民間放送局の番組やCMなどを蓄積する「放送アーカイブ」構想をめぐり、県選出の島尻安伊子参院議員が事後の報道監視に用いるべきだとの見解を示していた。
 ことし3月の自民党内の会合で、島尻氏は「先日の選挙では私の地元メディアは偏っていた。あの時、どうだったかを調査するのは大事だ」と述べた。昨年11月の県知事選や翌12月の衆院選沖縄選挙区で自民党が推した候補者が全敗を喫した。その際の報道内容を問題視していると解釈するのが自然だ。
 これは、自民党に不利な放送内容があるという前提に立ち、事後検閲の制度化を求めるものだ。
 憲法21条は検閲を禁じている。
 文化的資源として放送番組を記録、蓄積するという制度の趣旨を逸脱し、特定の政党に不利な内容がないかを追及することは極めて危険な発想であり、憲法に反する。
 県内の放送局も見解を示すべき事案だろう。報道の自由を押しつぶしかねない問題と認識し、島尻氏は考えを改めるべきだ。
 制度に詳しい山田健太専修大教授は島尻氏発言の延長線上に、個別番組への抗議や総務省への行政指導を求める動きが出かねないと指摘している。
 与野党が議員立法を目指している「放送アーカイブ」は「文化的資産として放送番組を蓄積し利用すること」と目的をうたう。国立国会図書館が番組などを蓄積し、研究者などの研究に資することが軸となる計画のはずである。
 ところが、現在の計画では国会議員のために国会図書館が番組をチェックし、議員に内容を報告することが可能になり得るという。
 安倍政権と自民党は許認可権を盾に放送局への圧力を強めている。4月には番組内容に問題があったとして、NHKとテレビ朝日の幹部を呼び付けて事情聴取した。昨年の衆院選前には公平性の確保を求める文書を在京テレビ各局に送り、街頭声取りの在り方にまで注文した。
 島尻氏発言は政権の体質と符号するだけに、危うさが増幅する。
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沖縄タイムス 2015年6月29日 05:30
社説[「安倍応援団」暴言]沖縄への偏見あらわに


 安倍晋三首相に近い自民党若手議員でつくる勉強会「文化芸術懇話会」で、沖縄2紙を含む報道機関を威圧するような発言が噴出した問題に関し、同党は勉強会代表の木原稔党青年局長(熊本1区)を更迭し、1年間の役職停止処分とすることを決めた。
 また「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」と発言した大西英男氏(東京16区)、「番組ワースト10とかを発表して、それに(広告を)出している企業を列挙すればいい」と述べた井上貴博氏(福岡1区)、「沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった」と発言した長尾敬氏(比例近畿ブロック)の3人を厳重注意とした。
 勉強会での発言で浮き彫りになったのは、安倍首相の応援団を自認する自民党若手議員の中に、報道機関に圧力をかける言論統制的な発想を平気で口にする体質があることだ。加えて、苛烈な沖縄戦やそれに続く米軍統治下の沖縄の苦難の歴史について、理解が決定的に欠けていることである。
 安倍首相は、勉強会での発言について「事実であれば大変遺憾だ」と述べたが、問題の根は深い。勉強会には首相側近とされる加藤勝信官房副長官、萩生田光一党総裁特別補佐も出席していた。辺野古への新基地建設をめぐって政府と県の対立が深まっているときだけに、政権への不信感を一層募らせることになりかねない。
    ■    ■
 沖縄では23日、沖縄全戦没者追悼式が行われた。翁長雄志知事は、県民が望む恒久平和の実現と普天間飛行場の辺野古移設中止を訴えた。
 追悼式のあいさつで大島理森衆院議長は故・山中貞則初代沖縄開発庁長官の「沖縄のこころをより深く理解し、常に思いをいたしたい」との言葉を引用し、県民に寄り添う姿勢を示した。大島氏は山中氏から「沖縄の人の心になり、沖縄の人の目で東京を見なさい。決して東京から沖縄を見てはいけない」と教えられたエピソードも披露した。
 かつて自民党には橋本龍太郎元首相や梶山静六元官房長官、小渕恵三元首相、野中広務元官房長官など、沖縄戦を体験した県民に寄り添うことを信条として沖縄政策を展開した政治家がいた。
 それを知らない若い世代の議員が安保政策や沖縄政策を進めている。勉強会の発言はそういう時代の転換期に現れたものであるが、危うさを感じる。
    ■    ■
 作家の百田尚樹氏が「普天間飛行場は田んぼの中にあり、商売のために周囲に人が住みだした」などと発言したことについて、与党自民党の県関係国会議員の反応が鈍い。
 「歴史的事実を無視し、県民を愚弄(ぐろう)するもの」と抗議文を手渡した宮崎政久氏と「独自の勉強会を続ける」とした国場幸之助氏のほかはコメントを控えている。特に県連会長を務める島尻安伊子氏が会合不参加を理由に「コメントできない」としているのは納得できない。県連会長として一連の発言をどうとらえているのか、明らかにすべきだ。
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琉球新報 2015年6月29日 6:02
<社説>報道圧力で処分 安倍首相の責任どう示す


 無知と無責任に巨大与党のおごりが加わった不遜な発言のオンパレードだった。トカゲのしっぽ切りで済ますことは許されない。幕引きには到底ならない。
 若手所属議員が開いた勉強会で、講師による「沖縄の2紙はつぶさないといけない」という発言に同調し、言論封殺を図る意見が噴き出した問題で、自民党は会の代表の木原稔青年局長を更迭し、3議員を厳重注意処分にした。
 世論の反発が急速に強まっていることに焦りを募らせ、反対が強い安全保障法制の審議への影響を抑えるための党利党略第一の即決処分であることは間違いない。
 谷垣禎一幹事長は28日のNHK番組で「大変申し訳なかった。沖縄の問題に取り組んできた歴史に反する議論だった」と謝罪したが、自民党総裁である安倍晋三首相は国会で人ごとのように謝罪を拒んでいた。首相自身がどう責任に言及し、県民に対してけじめをつけるかが次の焦点になっている。
 安保法制や名護市辺野古への新基地建設をめぐり、出席議員は国民の反発が高まる状況に業を煮やし、報道がその要因と決め付けた。
 その上で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働き掛けてほしい」などと発言していた。
 言論、表現、報道の自由は民主主義の根幹を成す。権力を監視、検証して批判するのは報道機関の当然の責務だ。仲間内だけの会合で居丈高に「懲らしめる」と発言する感覚は傲慢(ごうまん)そのものだ。
 講師だった作家の百田尚樹氏による「2紙つぶさないと-」発言を引き出したのが長尾敬議員だ。
 長尾氏は琉球新報、沖縄タイムスの2紙を名指しし、「左翼勢力に乗っ取られている。その牙城の中でゆがんだ(沖縄の)世論を正しい方向に持っていく」などと述べた。虚偽に基づく悪質なレッテル貼りは無知と背中合わせで、国会議員の言動とはおよそ思えない。
 沖縄戦を起点に米軍基地の過重な負担が続く中、県民は基地被害の除去、改善を訴えている。基地に厳しい世論の源流を学ぶこともなく、沖縄の新聞がミスリードしていると言い募るのは県民への侮辱に等しい。
 事ここに至っては、佐藤優氏が指摘する「沖縄蔑視発言事件」の性格を帯びている。「県民に丁寧に説明する」と繰り返してきた安倍首相の責任はやはり重い。
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沖縄タイムス 2015年6月27日 05:30
社説[自民勉強会 暴言]権力による言論統制だ


 政党であれ個人であれ批判の自由は保障されなければならないが、これはまっとうな批判とはとてもいえない。政権与党という強大な権力をかさにきた報道機関に対する恫喝(どうかつ)であり、民主的正当性を持つ沖縄の民意への攻撃である。自分の気に入らない言論を強権で押しつぶそうとする姿勢は極めて危険だ。
 安倍晋三首相に近い自民党の若手議員約40人が25日、憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」の初会合を党本部で開いた。
 講師として出席した作家の百田尚樹氏は、沖縄の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と発言した。一体、何様のつもりか。見過ごせないのは、百田氏の基地問題に関する発言に事実認識の誤りやゆがみが目立つことだ。
 百田氏は米軍普天間飛行場の成り立ちについて、「みんな何十年もかかって基地の周りに住みだした」と指摘した上で、騒音訴訟の判決に触れ、「そこを選んで住んだのは誰だと言いたい」と自己責任論を展開した。
 とんでもない認識不足である。普天間飛行場は沖縄を軍事占領した米軍が本土侵攻に備えて住民を収容所に移住させ、地権者の合意もなしに一方的に建設したものだ。宜野湾市には戦後、普天間飛行場のほかにもキャンプ瑞慶覧、キャンプ・マーシー、キャンプ・ブーンなどの基地が建設された。地域の人々は、旧居住地に戻れないために基地の周りや他地域で不便な生活を強いられたのだ。
    ■    ■
 司法は騒音の違法性を認め、いわゆる「危険への接近」論を採用していない。普天間飛行場の騒音被害を自己責任だと主張するのは、周辺住民の苦痛や不安を知らない局外者の暴言というしかない。
 百田氏は米兵によるレイプ事件についても「沖縄県全体で沖縄県自身が起こしたレイプ犯罪の方がはるかに率が高い」と語ったという。人権感覚が疑われる発言である。
 勉強会では安保関連法案を批判するメディアの報道について、出席した議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働きかけてほしい」との声が上がった。
 4月には自民党情報通信戦略調査会が放送内容に文句をつけ、放送法上の権限がないにもかかわらず、テレビ朝日などの経営幹部を呼びつけたばかり。国会の1強体制がもたらした「権力のおごり」は、とうとう来るところまで来てしまったようだ。
    ■    ■
 「沖縄に寄り添う」と口では言いながら、安倍自民党の対応は沖縄の多くの人々の感情を逆なでし、反発を増幅させている。
 昨年の名護市長選、県知事選、衆院選で「辺野古ノー」の圧倒的な民意が示されたことを地元メディアの報道のせいにするのは、現実から目をそむけるようなものである。
 一連の選挙でなぜ、あのような結果が生じたのか。沖縄の声に謙虚に耳を傾け、見たくない現実にも目を凝らすのでなければ沖縄施策は破綻する。
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琉球新報 2015年6月27日 6:02
<社説>百田氏発言 開いた口がふさがらない


 ものを書くのをなりわいとする人間が、ろくに調べず虚像をまき散らすとは、開いた口がふさがらない。あろうことか言論封殺まで提唱した。しかも政権党の党本部でなされ、同調する国会議員も続出したのだ。看過できない。
 安倍晋三首相に近い自民党若手国会議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、作家の百田尚樹氏が「沖縄の2紙をつぶさないといけない」と述べた。
 出席した議員も「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ。経団連などに働き掛けて」と述べた。気に入らない報道は圧力でつぶすということだ。
 国会でこの問題をめぐる質疑が出たが、自民党総裁である安倍首相はおわびを拒否し、発言議員の処分も拒んだ。言論封殺に対する首相の認識を疑わざるを得ない。
 百田氏は米軍普天間飛行場について「もともと田んぼの中にあった。まあなんにもない。基地の回りに行けば商売になるということで人が住み出した」とも述べた。事実誤認も甚だしい。
 戦前の宜野湾村役場があった場所は現在の滑走路付近だ。周辺には国民学校や郵便局、旅館、雑貨店が並んでいた。さらに言えば琉球王国時代の宜野湾間切の番所(村役場に相当)もここだ。有史以来の地域の中心地なのである。
 ここは沖縄戦のさなか、米軍が地元住民を収容所に閉じ込めている間に建設を強行した基地だ。民間地強奪を禁じたハーグ陸戦条約違反だが、戦後も居座った。土地を奪われた住民が古里の近くに住むことを金目当てであるかのごとく言うのは、誹謗(ひぼう)中傷に等しい。
 しかも日本復帰までは落下傘降下訓練が主で、今のような運用ではなかった。1974年に滑走路が整備され、76年に岩国基地から海兵航空団が移駐してきて今のような運用になったのだ。62年には既に市制に移行し、75年に人口は5万人を超えていた。市街地に航空団の方がやってきたのである。
 この情報は宜野湾市のホームページにある。少し調べれば分かる話だ。百田氏はそれすらせずに虚像を拡散させたのである。軍用地主が「みんな大金持ち」というのもうそだ。極めて悪質と言わざるを得ない。
 「沖縄2紙をつぶす」発言について、百田氏は翌日になって「冗談として言った」と述べたが、言い訳は通用しない。言論封殺を望む考え方自体が問題なのである。
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