2015-07-07(Tue)

自民報道圧力問題  (5) 陳謝でも消えぬ疑念  150627-30

処分は幕引きにならぬ 首相の行動が問われる 首相は深刻さ認識すべきだ

<各紙社説・論説>
朝日新聞)報道への威圧 陳謝でも消えぬ疑念(7/4)
毎日新聞)「報道圧力」で陳謝 首相の行動が問われる(7/4)
北海道新聞)「報道圧力」問題 処分は幕引きにならぬ(7/5)
福島民友新聞)報道圧力問題/言論の自由、抑圧は許されぬ(7/4)
山陽新聞)「報道圧力」発言 透ける「1強」のおごり(7/6)
宮崎日日新聞)報道圧力問題 首相は深刻さ認識すべきだ(7/4)
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秋田魁新報)「安倍1強」政治 異論排除の姿勢改めよ(7/2)
信濃毎日新聞)重ねての暴言 安倍首相の責任を問う(7/2)
愛媛新聞)自民党報道圧力続く 「本質」理解せぬ首相の責任重い (7/2)
高知新聞)【報道批判問題】首相は明確な認識を語れ(7/1)
佐賀新聞)自民「報道圧力」問題(7/1)




以下引用



朝日新聞 2015年7月4日05時00分
(社説)報道への威圧 陳謝でも消えぬ疑念


 自民党議員らによる報道機関を威圧する発言について、安倍首相はきのうの衆院特別委員会で「非常識な発言だ」と認め、「心からおわびを申し上げたい」と述べた。
 憲法は、表現の自由、言論の自由を保障している。非公式な会での発言であっても、戦前の言論統制につながるような発言は看過できない。党総裁として首相の陳謝は当然である。
 だが、これで政権の表現の自由をめぐる姿勢がどれだけ変わるのか。疑問はぬぐえない。
 このところの報道機関への対応を振り返れば、衣の下に鎧(よろい)が見えるからだ。
 安倍氏が2012年に首相に返り咲いてから、報道機関への「介入」と受け取れる自民党の振る舞いが相次いでいる。
 今年4月には番組での「やらせ」が指摘されたNHKと、コメンテーターの発言が問題視されたテレビ朝日の幹部を呼び出し、事情を聴いた。昨年の衆院選の際には、在京テレビ各局に選挙報道の「公平中立、公正の確保」を求める文書を送った。
 「放送の不偏不党、真実及び自律を保障する」ことで、「表現の自由」を守る。そんな放送法の理念に照らして、見識を欠いた行為である。
 大西英男氏ら自民党の議員が「マスコミを懲らしめる」「日本の国を過てるような報道をするマスコミには、広告を自粛すべきだと個人的には思う」などとする発言を繰り返しているのは、こうした報道機関に対する「介入」を強めようとする政権の姿勢の反映ではないか。
 自民党が、12年の政権復帰前に発表した憲法改正草案を読み返してみよう。
 草案は、一切の表現の自由を保障した現憲法に「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」は「認められない」との例外をつけ加えている。
 「法律の範囲内」でしか言論の自由が認められなかった大日本帝国憲法への回帰である。
 首相は大西氏らの発言について当初、「私的な勉強会で自由闊達(じゆうかったつ)な議論がある。言論の自由は民主主義の根幹をなすもので、尊重しなければならない」と述べていた。
 だが、表現や言論の自由は、権力の介入から守られるべき個人の基本的権利であり、権力者が振りかざすものではない。ましてや、誤った事実認識をもとに他者を誹謗(ひぼう)中傷していい権利では決してない。
 首相はきのう「報道の自由を守るのが私たちの責任だ」と語った。今後は、それを行動で示さねばならない。
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毎日新聞 2015年07月04日 02時30分
社説:「報道圧力」で陳謝 首相の行動が問われる


 安倍晋三首相に近い自民党議員らの勉強会で、報道機関への圧力を求めたり沖縄を侮辱したりする発言が出たことについて、首相が国会で初めて陳謝した。
 ただ、安倍政権は、これまでにも報道機関への圧力と受け取られるような言動を繰り返してきた。安全保障関連法案の審議に悪影響を与えないための口先だけのおわびとならないよう、首相は今後の行動で示す必要がある。
 安保関連法案を審議する衆院の特別委員会で、首相は、勉強会での発言について「大変遺憾だ。非常識で、国民の信頼を大きく損ねる発言で、看過できない」と述べた。そのうえで「国民に申し訳ない。党の沖縄振興、基地負担軽減への努力を水泡に帰すものであり、大変残念で、沖縄の皆様の気持ちを傷つけたとすれば申し訳ない」と陳謝した。
 勉強会から1週間余り。問題の深刻さを考えれば、首相は党総裁としてもっと早く自らの言葉でこうした認識を語るべきだった。遅きに失した感はあるが、陳謝は当然だ。
 ただ、今回の陳謝で十分とはとても言えない。勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」と発言した大西英男衆院議員は、党執行部から厳重注意処分を受けたにもかかわらず、3日後には再び同趣旨の発言をし、2度目の厳重注意処分を受けた。
 党内にはあきれる声もあるが、大西氏を含む議員4氏の処分が厳し過ぎるという不満もくすぶる。
 安倍政権や自民党は、安保関連法案に悪影響が出る事態を招いたことを反省しているだけであって、民主主義の根幹をなす言論の自由、報道の自由を脅かす問題だという本質を理解していないのではないか。一連の経緯は、そんな思いを抱かせる。
 いま国会では、国の行方を左右する安保関連法案が審議されている。自衛隊の海外での活動を拡大することの是非の判断を、こういう問題発言をする政治家たちに任せていいのか疑わしい。
 沖縄への侮辱的発言についても、首相や党幹部らは「党の基地負担軽減への努力を無にするかのごとき発言」があったことへの反省に力点を置く。政治家として自身が沖縄の歴史や現状をどう認識しているかはあまり伝わってこない。
 首相は「言論の自由、報道の自由は、民主主義の根幹をなす。これは一貫した安倍政権、自民党の姿勢であり、その姿勢が疑われるような発言があったことは誠に遺憾だ。今後とも、こうした疑いをもたれることのないよう、しっかりと襟を正していきたい」と述べた。
 この言葉を忘れないでほしい。
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北海道新聞 2015/07/05 08:55
社説:「報道圧力」問題 処分は幕引きにならぬ


 安倍晋三首相は「言論の自由」の意味を本当に理解しているのか。そんな疑問が拭いきれない。
 衆院平和安全法制特別委員会で3日、先の自民党若手議員の勉強会で出た、報道機関を威圧する発言について質疑が行われた。
 首相は答弁で「最終的には私に責任がある」と認め、「沖縄の皆さまの気持ちを傷つけるとすれば申し訳ない」と陳謝した。
 首相は当初、「私的な勉強会。自由闊達(かったつ)な議論がある」と述べ、若手議員の発言について人ごとのような姿勢を見せていた。
 答弁では、自民党が既に関係議員を処分したことを強調した。問題の幕引きを急いでいると受け止められても仕方ないだろう。
 若手議員の発言の背景には、安全保障関連法案に対し国民の理解が得られないことへのいらだちがある。しかし法案の説明不足を報道のせいにするのは責任転嫁だ。
 国の政策に影響を与えうる立場にある与党議員が、報道への圧力を公言する風潮は、表現の自由とは同列に論じられない。首相は、政権の体質が問われていることを認識すべきだ。
 勉強会では講師の作家、百田尚樹氏が沖縄の地元紙2紙を「つぶさないといけない」と発言。大西英男衆院議員が安保法案に批判的な報道機関を「懲らしめる」と述べ、報道への威圧が相次いだ。
 自民党は関係議員を厳重注意などの処分とした。しかし大西氏はその後も同趣旨の発言を繰り返し再度の厳重注意を受けた。問題の重さを深刻に受け止めるべきだ。
 首相は、先の公明党の山口那津男代表との会談で「わが党の議員がご迷惑をおかけして申し訳ない」と述べていた。沖縄県民への陳謝は後回しになった形だ。
 琉球新報の潮平芳和編集局長は先の記者会見で「謝罪の時期と場所が間違っている。問題発覚直後に国会や国民の前ですべきだ」と述べていた。当然の指摘だろう。
 自民党は4月、NHKとテレビ朝日の幹部を呼び、番組内容について事情聴取した。昨年の衆院選の際はテレビ各局に文書を送り、出演者選定や発言回数にまで踏み込んで「公正の確保」を求めた。
 一連の干渉には、折に触れてメディアを批判してきた首相自身の姿勢も影響しているだろう。そこに問題の根深さがある。
 首相は答弁で、報道の自由が「まさに民主主義の根幹をなす」と述べた。それならば自らの言葉に責任を持ち、報道統制に傾きがちな政権内の風潮を戒めるべきだ。
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福島民友新聞 (2015年7月4日付)
社説:報道圧力問題/言論の自由、抑圧は許されぬ


 事の重大さを認識したのか。政権与党のトップ自らが、襟を正す姿勢を示したのは当然といえる。
 安倍晋三首相に近い自民党の若手国会議員から報道機関に圧力をかけようという発言があった問題が波紋を広げ、党総裁である安倍首相は3日、衆院特別委員会で「最終的には私に責任がある」と述べ陳謝した。
 問題になっているのは先月25日に開かれた自民党の保守系若手・中堅議員らによる勉強会での出席議員らの発言だ。
 安全保障関連法案に批判的な報道機関を念頭に「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番」などといった声が上がった。
 権力を持つ政権与党の国会議員が、自分たちの意に沿わない報道機関を「懲らしめる」という発想を持つこと自体が、民主主義の根幹を自ら揺るがすことだということを分かっていない発言だ。
 国会で「1強」の勢力を持つ自民党のおごりの表れであり、国会議員としての見識も疑われる。
 言論・報道の自由が保障され、多様な意見や論調が交わされることが民主主義の原則だ。報道機関を抑圧するかのような独善的な言動は見過ごせない。
 勉強会では、講師に招かれた作家の百田尚樹氏からも「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」との発言が出された。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり政府に厳しい論調を突きつける地方紙の琉球新報と沖縄タイムスを指したものだ。
 県民の声を代弁するのが、地方紙の大事な使命だ。民間人とはいえ人気作家の発言にしては思慮を欠けていると言わざるを得ない。
 勉強会の発言が報道されて以降、本紙など新聞、通信、放送各社が加盟する日本新聞協会をはじめとする主要な言論機関や沖縄2紙が一斉に抗議の声明を出した。
 日本新聞協会の編集委員会は「表現の自由、報道の自由を弾圧するかのような動きに断固反対する」と強く抗議した。県内のマスコミOBでつくる福島ペンクラブ五月会からも「極めて遺憾」との批判が上がった。
 それだけ看過できない問題で、安倍政権や自民党の姿勢に疑念を抱かせる発言だったということを肝に銘じなければならない。
 この問題を受け、野党は安倍政権の姿勢を追及する構えを緩めていない。一方の政府は、今国会の会期を延長し、安全保障関連法案の成立を目指している。忘れてならないのは、与野党とも徹底的に議論を重ねることだ。
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山陽新聞 (2015年07月06日 07時46分 更新)
社説:「報道圧力」発言 透ける「1強」のおごり


 「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ。文化人、民間人が経団連に働き掛けてほしい」などと自民党議員が発言した問題が尾を引いている。安倍晋三首相は先週末、初めて公式に陳謝し、党トップとしての責任を認めた。
 問題が発覚した当初、首相は「党の私的な勉強会だ。(議員を)処罰することがいいのか」と述べていた。世論の批判や野党の追及を受けて首相も遅まきながら陳謝し、事態の収拾に動いた格好だ。問題に対する認識が甘過ぎたと言うほかない。
 発言は自民党の若手議員の勉強会で出た。今国会で審議中の安全保障関連法案に対して批判的な報道を続けるマスコミに向けられた。別の議員は「沖縄の特殊なメディア構造を作ってしまったのは戦後保守の堕落」などと指摘し、講師に招いた作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と応じて問題になった。
 安全保障法制は極めて重いテーマであり、世論を二分している。政府に批判的な報道があるのは当然だろう。たとえ政府側から見て気にくわない論調だったとしても、報道を封じ込めることで批判を減らそうという発想は全くの筋違いである。
 驚くのは、冒頭の問題発言をした議員が、党から厳重注意の処分を受けた後も再び自説を繰り返したことだ。なぜ批判されたのかを考える気など毛頭ないとしか思えず、党組織として議員に対する統制が十分に利いていないことも露呈した。
 そもそも、自民党自体にこのところ、報道機関に対する傲慢(ごうまん)ともとれる向き合い方が目立っていた。昨年末の衆院選に際しては、在京各局に選挙報道の公平中立を求める文書を送った。4月には番組での「やらせ」が指摘されたNHKと、報道番組でコメンテーターが官邸批判をしたテレビ朝日の担当者を党本部に呼んで事情を聴いた。
 放送法は「報道は真実を曲げないですること」と同時に編集の自由をうたっている。個別の番組内容について政権与党が説明を求めるのは異例であり、本来は政権与党がなすべき役割でもなかろう。報道への過剰ともいえる介入には批判の声が出ていた。
 加えて今回の問題発言であり、国会の「自民1強」が生むおごりの表れといわれても仕方があるまい。国会議員は報道や言論の自由という民主主義の根幹をいま一度胸に刻んでほしい。
 安全保障関連法案は、戦後日本の安保政策を大きく変えるものだ。にもかかわらず、ここまでの与野党の議論が深まっているとはとても言い難い。その原因は政府答弁の分かりにくさにもある。自衛隊の海外派遣に歯止めはかかるのか、他国の戦争に巻き込まれないか。そうした国民の懸念に応える議論の方にこそ力を注いでもらいたい。
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宮崎日日新聞 新聞2015年7月4日
社説:報道圧力問題 首相は深刻さ認識すべきだ


 自民党議員の勉強会で噴出した報道への圧力や沖縄をめぐる発言について安倍晋三首相が3日、初めて公式に陳謝した。6月25日にあった勉強会後、1週間を過ぎてようやく自身の責任に触れ「党本部で行われた勉強会で、最終的には私に責任がある」と述べた。
 もっと迅速に真摯(しんし)に向き合うべきだった。国会での追及、さまざまな団体からの抗議など批判の声が日に日に高まる中、追い込まれる形での陳謝になったのは残念だ。安倍政権は国民の知る権利について正しい認識を持つべきだ。
テレビ番組にも注文
 安倍首相は「極めて不適切だった。国民に対し大変申し訳ない。沖縄県民の気持ちも傷つけたとすれば申し訳ない」「大変遺憾で非常識な発言だ。国民の信頼を大きく損ね看過できない」と述べた。
 国会特別委員会で民主党議員からの批判に答えたものだが、同党の議員は勉強会翌日の同26日にも安倍首相の見解と責任をただしている。即座に反応できなかったのは、問題の深刻さを認識できていなかったからだろう。
 ここに民主党・枝野幸男幹事長が言うところの、安倍首相の「鈍感さ」が見て取れる。勉強会での「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」といった自民党議員の発言は、自由な言論を封じようとする動きだ。
 これは国民の知る権利を脅かすものだ。国民が政治や行政について知り、民主的で健全な社会をつくる上で、言論の自由、表現の自由、報道の自由は不可欠。政権の意向と違う報道を封じることは、国民がさまざまな角度から考える機会を奪う。国民から「考える自由」を奪うことにつながるのだ。
 自民党はこれまでもテレビ報道に対し、圧力と取られかねない注文を繰り返してきた。民主主義の前提を崩すような体質になっていることに気付かねばならない。
沖縄の苦しみ理解を
 勉強会では講師の作家が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「米軍普天間飛行場は田んぼの中にあった。周りに行けば商売になるということで(人が)住みだした。騒音がうるさいのは分かるが、選んで住んだのは誰なのかと言いたくなる」などと話した。
 発言を引き出した自民党議員の姿勢や勉強会を覆った空気に、大きな問題はなかったか。
 沖縄2紙は共同で抗議声明を出し、両紙の編集局長は2日、会見に臨んだ。「沖縄は戦後70年、苦しみを背負ってきた。県民をばかにしている」(沖縄タイムス・武富和彦氏)という言葉がすべてを物語る。沖縄県民がどんな気持ちで勉強会のニュースを聞いたか。
 琉球新報・潮平芳和氏は安倍首相が公明党代表に陳謝したことを挙げ「謝罪の時期と場所が間違っている。問題発覚直後に国会や国民の前ですべきだ」と語った。やっと安倍首相は責任を認めたが、国民を傷つけ不安にさせる政権運営になっていないか省みてほしい。
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秋田魁新報(2015/07/02 付)
社説:「安倍1強」政治 異論排除の姿勢改めよ


 安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのは、昨年7月1日のことだった。集団的自衛権は、日本が直接攻撃されていなくても、同盟関係にある米軍などが攻撃を受けた場合に反撃できる権利である。
 1年たったいま、安倍政権と自民、公明両党は、その集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案を今国会で成立させようとしている。ただ安倍晋三首相が強調する「丁寧な説明」は持論の反復にすぎず、国民の理解は深まっていない。
 安倍政権は、安保法案を憲法違反だとする憲法学者の意見を顧みる気配はない。自民党の議員は安保法案に否定的な報道機関を懲らしめろなどと勉強会で発言した。首相はもちろん、政権政党としても、異論を排除する非民主的な姿勢は改めるべきである。
 首相は違憲の指摘があった後、「法案の正当性、合法性には完全に確信を持っている」と述べた。だがそれは、自説が正しいとの主張でしかない。党幹部も「国の安全を守るのは学者でなく私たち政治家」「学者の言う通りにしていたら、日本の平和と安全が保たれたか疑わしい」などと首相を擁護する。
 報道機関批判も首相の意向を推し量り、追従する党内の「空気」の中で生まれたのではないか。党は勉強会の代表や発言者計4人を早々と処分したが、発言を問題視したというより、国会審議に影響が及ぶことを懸念したのは明らかだ。
 識者の一人は安倍政権や自民党について「論理を軽視し、感情的に反応する傾向が政権トップ以下にまん延している」と分析する。安保法案への国民の賛否が分かれている現状を踏まえ、「議論を放棄し、気に入らないものはつぶせという乱暴な話になる」と危ぶむ。
 報道批判があった勉強会では、首相と親しい作家が講師を務めた。一方で同じ日、別の自民党若手議員グループが安保法案に批判的な講師を招いて勉強会を開く予定だったが、党幹部から自粛を求められて中止となった。ここにも、政権にとって都合の良くないことを排除する姿勢が見て取れる。
 自民党の中にも「あまりにも傲慢(ごうまん)。自分たちが法律だとでもいうような姿勢は民主主義ではない」と批判する議員はいる。だが首相周辺は聞く耳を持たないようだ。
 共同通信社の最新の世論調査では、安保法案に反対する人は58・7%に上る。安倍政権が民意を大切にしているというのなら、党内外からの疑問や批判に誠実に答えるべきではないか。
 安保法案は日本が戦後貫いてきた平和主義を大きく転換させる内容となっている。国会会期を9月27日まで大幅延長したとはいえ、いまの議論の進め方で国民の理解がどれだけ得られるだろうか。「安倍1強」の下、最後は数を頼みに採決を強行することはないのか。強く憂う。
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信濃毎日新聞 2015年07月02日(木)
社説:重ねての暴言 安倍首相の責任を問う


 批判もどこ吹く風、となると安倍晋三首相の責任を問わないわけにはいかなくなる。「マスコミを懲らしめる」との自民党議員の発言には「表現の自由」に理解が薄い首相の姿勢が投影されていると思えるからだ。
 発言したのは東京16区選出の大西英男衆院議員である。6月25日の党の勉強会で、安保法制論議を厳しく伝える報道に関し「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働きかけてほしい」と述べ、厳重注意処分になっていた。
 30日には再び「懲らしめようという気はある」「問題があったとは思えない」と述べた。「懲らしめ」発言がなぜ批判されるのか、分かっていないようだ。
 「(自民党が)言論弾圧をするなんていうのは絶対にあり得ない」との発言もある。
 政治家がマスコミを経営面から締め上げようとするのは弾圧そのものだ。粗雑な考えに驚く。
 憲法21条は国民に対し「表現の自由」を保障している。マスコミの「報道の自由」は、国民が持つ表現の自由に奉仕し、具現化するのを手伝うためにある。報道の自由への理解を欠く政治家は、国会議員として不適格だ。
 表現の自由についての首相の言動、そして、自民党がこれまで重ねてきた報道介入に目を向けざるを得ない。
 安倍首相は3月、テレビ番組に出演して報道内容を批判した自らの発言が問題化したとき、「私の考えをそこ(テレビ)で述べるのは言論の自由」と述べた。
 言論の自由は国民が政治に参加するためにある。首相が主張する筋合いのものではない。
 首相は2年前の秋には、党総裁選で自分を応援してくれた作家の百田尚樹氏をNHK経営委員に送り込んだ。公共放送であるNHKの私物化、と言われても仕方ないやり方だった。
 百田氏は6月25日の自民党勉強会では、沖縄の地元紙2紙が政府に批判的だとの意見が出たのを受けて「二つの新聞はつぶさないといけない」と述べている。
 自民党は4月には、NHKとテレビ朝日の報道を問題視し、両局幹部を党本部に呼んで番組内容について事情聴取した。一政党による放送への恣意(しい)的な介入だった。「放送の自律」をうたう放送法に照らしても問題が多い。
 今度の「懲らしめ」発言は、首相と自民党による言論介入と根っこのところでつながっている。中途半端な幕引きは許されない。
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愛媛新聞 2015年07月02日(木)
社説:自民党報道圧力続く 「本質」理解せぬ首相の責任重い


 「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」(自民党の大西英男衆院議員)「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」(作家の百田尚樹氏)―。自民党の勉強会で、安倍晋三首相に近い国会議員らから報道機関への圧力発言が出た問題は、収束どころかその後も放言が続き、より大きな政治問題に発展しつつある。
 言論の府の政治家が自ら、表現の自由とメディアを通じた国民の「知る権利」を軽んじ、政治への信頼を根底から揺るがしていることは、到底看過できない。目を覆う政治の劣化は、極めて危機的な状況である。
 しかも、幕引きを急ぐ処分にさえ党内で不満が噴出。首相の「側面支援」を掲げ、代弁のつもりで暴言を繰り返す当該議員には反省も口を慎む気もない。党内の不遜な空気と、隠そうともしない本音を鑑みれば、問題の根が政府と自民党の「体質」にあることは明らか。強い憤りをもってあらためて抗議するとともに、党総裁でもある首相の公式な謝罪を求めたい。
 自民党は問題発覚後、関係した議員4人を一斉処分した。しかし、渦中の大西氏は一昨日も再び「問題があったとは思えない」「(一部報道を)懲らしめないといけない」と強弁、考えを改める様子は全くない。党が選んだ講師である百田氏も、沖縄への事実無根の誹謗ひぼう中傷を謝罪するどころか「その時は冗談口調だったが、今はもう本気でつぶれたらいいと思う」と侮辱を続ける。他の出席議員からも真摯しんしな反省の弁はない。
 つまり「何が悪かったのか」が分かっていない。民主主義の基本的な認識や、憲法と国民への敬意が完全に欠落していることこそが最大の問題であろう。
 谷垣禎一自民党幹事長は「気の緩み」「発言は軽率。自民党の姿勢への誤解を招いた」と述べたが、誤解でも何でもない。権力の側が、気に入らない報道の規制や排除を声高に叫ぶこと自体、正しく「圧力」である。報道の自由は国民のためにあり権力が厳しく監視、批判されることは当然。その「本質」への理解と反省なき謝罪や処分は、形式的な批判逃れにすぎず、何のけじめにもなり得ない。
 こうした劣化とおごりを招いた首相の責任は、やはり重い。しかし国会では「発言した人物のみが責任を負う」と謝罪を拒んだ。与党の公明党には陳謝したが、国民には悪いと思わないのであれば、その感覚には違和感を抱く。謝罪はすべての国民に、とりわけ沖縄県民に対して誠実になされるべきだ。
 過去にも首相は、テレビ番組で政策を批判した一般人のコメントに声を荒らげ、別の番組ではイヤホンを引き抜いて質問を遮断し、持論を述べ続けた。そして今、安全保障法制で憲法学者に違憲と指摘されても黙殺して審議を進めようとしている。党ぐるみでメディア対策に躍起になる前に、いま一度異論に謙虚に耳を傾けてもらいたい。
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高知新聞 2015年07月01日07時53分
社説:【報道批判問題】首相は明確な認識を語れ


 いったい何を反省したのかと、あきれ、驚く。
 自民党若手議員の勉強会で報道機関に圧力をかけようとする発言をした大西英男衆院議員が、再び報道機関を「懲らしめる」と発言した。先の発言で党から厳重注意処分を受けた直後にもかかわらず、である。
 自民党や安倍政権の体質が問われている。安倍首相は態度を曖昧にせず、党責任者としての認識を明確に示さなければならない。
 先月25日の勉強会では、沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、講師を務めた作家の百田尚樹氏が「沖縄の2紙はつぶさないといけない」と発言。出席議員の間でも、報道機関に圧力をかけて言論を封じようとする議論が噴出した。
 大西氏はその際、「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなることが一番だ。文化人、民間人が経団連に働き掛けてほしい」などと述べた。露骨な言論封殺というほかない。
 世論の批判の高まりを受けて、自民党は勉強会代表の党青年局長を更迭の上、1年の役職停止処分とし、大西氏ら3人を厳重注意処分とした。大西氏は自身のホームページで陳謝し、処分を受け入れる考えも示した。
 ところが、である。
 大西氏はきのう再び、安全保障関連法案に絡み、徴兵制につながる恐れを指摘する報道に関し、「そう報道している一部マスコミがある。懲らしめないといけない」と発言。勉強会での発言も「問題があったとは思っていない」と述べた。
 もはや「これが本音だ」と開き直っているとしか思えない。国会議員としての資質を疑う。
 安保関連法案の審議への影響を抑えようと、議員の処分で安易な幕引きを図ろうとした党の姿勢も疑問だが、一番の問題は党総裁でもある安倍首相の曖昧な態度であろう。
 首相は国会で、党責任者の認識を問われ、「わびるかどうかは発言者のみが責任を負う」とかわした。「私的な勉強会だ」として議員の処分にも消極的だった。「まるで人ごとだ」という野党の批判もうなずける。
 ことは一部議員の問題で済まない。異論や批判についてどう考えるのかなど、言論の自由に関する認識について正面から、首相自らが国会で明確に語る必要がある。
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佐賀新聞 2015年07月01日 05時01分
論説:自民「報道圧力」問題


◆言論の府預かる資質ない
 安倍晋三首相に近い自民党若手国会議員の勉強会で、報道機関へ圧力をかけて言論封殺を探ろうとする発言が相次いだ。安全保障関連法案への理解が広がらない焦りやいらだちが、報道機関への八つ当たりという形で噴出した。言論の府を預かる国会議員として不見識極まりない発言で、稚拙というほかない。
 勉強会は、文化人や芸術家との意見交換を通じて「心を打つ『政策芸術』を立案し、実行する知恵と力を習得すること」が目的らしい。9月の総裁選で再選を目指す首相の「応援団」的な位置づけで、首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一党総裁特別補佐も初回会合には出席していた。
 非公式の勉強会とはいえ、あまりにお粗末な運営だった。講師として招いた作家の百田尚樹氏は、これまでもさまざまな舌禍を起こしてきた人物だ。政権が心血を注ぐ安保法制の国会審議に影響を及ぼす発言が出るかもしれないと想像力を働かせることはできなかったのか。
 各議員は報道機関が取材に来ているのを認識していたなら、非公開の場であっても発言が外に出ると自覚すべきだった。与党国会議員の勉強会が「居酒屋での愚痴」レベルの発言に終始したのは笑い話にもならず、その議員に一票を投じた有権者の方が恥ずかしくなる。
 何よりも会合での数々の暴言をたしなめる言動がなかったことにあきれる。「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなることが一番。文化人は経団連に働きかけて」と言論統制容認をうかがわせる発言をした当人はもちろん、同席議員も国会議員の資質はない。日本国憲法を一から勉強し直し、言論・表現の自由と民主主義の基本認識を深めることを求めたい。
 さらに「沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落。左翼勢力に完全に乗っ取られている」との発言は、見当違いも甚だしい。29日付の本紙に掲載された沖縄タイムス、琉球新報の寄稿を読んでほしい。「県民に判断能力がないと見下すに等しい暴論だ。そんなおごりがあったなら、沖縄の新聞はとっくに県民に葬り去られていた」(琉球新報)との反論は、県民の民意に寄り添う報道姿勢を貫いてきた自負にほかならない。
 加えて百田氏の発言は、沖縄県民への侮辱以外の何ものでもない。「米軍普天間飛行場は田んぼの中にあった。まわりに行けば商売になると人が住みだした」は全くの事実誤認である。2地元紙が訂正などを求める抗議声明を出したほか、沖縄選出の国会議員や宜野湾市議会も発言の撤回と謝罪を求める声明や決議を出した。百田氏は真摯(しんし)に対応すべきだろう。
 近年、自民党による「報道への圧力」と取られかねない動きが目につく。昨年11月の衆院解散前にテレビ局に公正報道を求める文書を出したほか、今年4月には番組出演者が「政権の圧力」に言及したテレビ朝日と、やらせ疑惑が浮上したNHKの幹部を呼び、事情を聴取した。
 圧倒的な勢力を背景に「1強」のおごりが組織内に充満していないか。党はもちろん、政府も内部を顧みて姿勢を正すべきだ。(梶原幸司)
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