2015-07-07(Tue)

戦争法案 (12)「違憲」立法 強行するな! 150704-06

立憲主義軽視看過できず 法案取り下げ再論議を 政府は反対多数受け止めよ

<各紙社説・論説>
毎日新聞)視点・安保転換を問う…環境の変化(7/6)
東奥日報)立憲主義軽視 看過できず/安倍首相の憲法観(7/6)
琉球新報)安保法制首長調査 政府は反対多数受け止めよ(7/6)
毎日新聞)視点 安保転換を問う…自民党の変質(7/5)
新潟日報)安保法案論議 戻るべき「初心」はどこか(7/5)
神戸新聞)安保法案/必要性への疑問が膨らむ(7/5)
沖縄タイムス)[「中旬採決」案浮上]違憲が大勢では無理だ(7/5)
南日本新聞) [閣議決定1年] 法案取り下げ再論議を(7/4)




以下引用



毎日新聞 2015年07月06日 02時30分
社説:視点・安保転換を問う…環境の変化


 ◇もっと丁寧な議論を=論説委員・布施広
 安倍晋三首相がよく言う「安全保障環境の変化」が気になる。そもそも分かりにくい言葉だし、安保法制の根幹にも関わるので、「変化」の内実をもっと丁寧に論議した方がいい。
 論議がないわけではない。安倍首相は時に北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出などを挙げる。およそ聞きごたえのある質疑にならないのは、中国への遠慮や日本の手の内を明かしたくない気持ちが先立つためか。だが、突っ込んだ議論もせずに法案採決を図るようでは国民置き去りというものだ。
 では「変化」とは何か。今月公表された米国の「国家軍事戦略」が参考になろう。この報告書はロシアや北朝鮮、中国などの問題行動を、国名を挙げて詳述している。興味深いのは米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長が、自分の40年に及ぶ軍務経験の中で「今日の世界の安保環境が最も予測しがたい」と言っている点だ。
 なぜ「予測しがたい」か。米国の力が相対的に低下し米主導の国際秩序に挑戦する動きが出てきたこと、組織と国が結託した新型の「ハイブリッド紛争」の危険性が高まったことが一因のようだ。後者には武装した中国漁民が尖閣諸島を乗っ取る可能性も含まれよう。大国間の軍事衝突の恐れも「低いけれど高まっている」という。
 思うに2001年の米同時多発テロで安全をめぐる常識が揺らぎ、従来の価値観が色あせる「パラダイムシフト」が世界的に進行したのだろう。無謀なイラク戦争(03年)が米国の信用も体力も失わせ、「イスラム国」(IS)のような過激派組織を生み出し、同時進行的な二つの大規模紛争に米軍が勝利する「二正面作戦」も維持できなくなった。かくてオバマ大統領が米国は世界の警察官ではないと明言し、この言葉がまた世界の風向きを微妙に変えている。
 だが、これは米国を主語とした分析であり、それが日本にどう関係するのか考えるのも政治家の務めだ。国会論戦が物足りないのは、与野党とも日本を主語として世界を語る視点と知見に欠けるからではないか。中国などの長期戦略を見据えて安保環境を多角的に論じてほしい。主要な論点を日本周辺の安全保障に絞り込むのは当然である。
 湾岸戦争(1991年)などを取材したので日本外交に「湾岸のトラウマ」があるのは承知しているが、「ホルムズ海峡の機雷掃海」の意義を説かれても話がややこしくなるだけだ。分かりにくい法案とコンセプトを整理し、国民の得心がいくまで国会論議を続けてほしい。
東奥日報 2015年7月6日(月)
社説:立憲主義軽視 看過できず/安倍首相の憲法観
 安倍政権が昨年7月1日、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしてから1年余りがたった。政府は今年5月、安全保障関連法案を国会に提出、衆院平和安全法制特別委員会で審議が行われてきた。
 しかし、国会審議を重ねても法案に対する国民の理解は深まっていない。それどころか衆院憲法審査会で憲法学者3人全員が法案を「違憲」と指摘したことをきっかけに、集団的自衛権の行使容認の合憲性があらためて主要な争点となっている。
 国会での議論はかみ合っておらず、その背景には国際情勢の変化に応じて憲法解釈を変えてもいいとする安倍晋三首相の考えがある。
 首相は6月18日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使に関する考えを問われ、「国際情勢に目をつぶり、従来の解釈に固執するのは政治家としての責任放棄だ」と主張した。逆に読めば、状況の変化によって憲法解釈を変えるのが政治家の責任だということになる。
 だが、この理屈を肯定すると、状況変化を理由にすれば時々の内閣が解釈を自由に変更できることになりかねず、最高法規としての憲法の規範性が揺らぐことになる。憲法で国家権力を縛るという立憲主義が民主主義国家で採用されているのはそのためだ。
 このような首相の主張は特異な憲法観に支えられているようだ。2013年4月の参院予算委員会で安倍首相は次のように答弁している。
 「憲法というのは、権力者の手を縛る、為政者に対して制限を加えるという側面もあるが、実際は自由民主主義、基本的な人権が定着している今日、王制時代とは違うから、国の理想やかたちを示すものでもある」
 さらにその年末に出版した作家の百田尚樹氏との共著では立憲主義について「ある意味、古色蒼然とした考え方」と指摘している。また、解釈変更について首相は昨年6月の記者会見で「行政権は、内閣に属する」と規定している憲法65条を論拠に「行政権を執行するために憲法を適正に解釈していくことは当然のことだ」と強調している。
 一連の発言から浮かび上がるのは、そもそも立っている考え方の土俵が違っているのではないか、という懸念だ。憲法や立憲主義に関する安倍首相の認識の特異性を見過ごすわけにはいかない。
ページのトップへ戻る



東奥日報 2015年7月6日(月)
社説:立憲主義軽視 看過できず/安倍首相の憲法観


 安倍政権が昨年7月1日、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしてから1年余りがたった。政府は今年5月、安全保障関連法案を国会に提出、衆院平和安全法制特別委員会で審議が行われてきた。
 しかし、国会審議を重ねても法案に対する国民の理解は深まっていない。それどころか衆院憲法審査会で憲法学者3人全員が法案を「違憲」と指摘したことをきっかけに、集団的自衛権の行使容認の合憲性があらためて主要な争点となっている。
 国会での議論はかみ合っておらず、その背景には国際情勢の変化に応じて憲法解釈を変えてもいいとする安倍晋三首相の考えがある。
 首相は6月18日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使に関する考えを問われ、「国際情勢に目をつぶり、従来の解釈に固執するのは政治家としての責任放棄だ」と主張した。逆に読めば、状況の変化によって憲法解釈を変えるのが政治家の責任だということになる。
 だが、この理屈を肯定すると、状況変化を理由にすれば時々の内閣が解釈を自由に変更できることになりかねず、最高法規としての憲法の規範性が揺らぐことになる。憲法で国家権力を縛るという立憲主義が民主主義国家で採用されているのはそのためだ。
 このような首相の主張は特異な憲法観に支えられているようだ。2013年4月の参院予算委員会で安倍首相は次のように答弁している。
 「憲法というのは、権力者の手を縛る、為政者に対して制限を加えるという側面もあるが、実際は自由民主主義、基本的な人権が定着している今日、王制時代とは違うから、国の理想やかたちを示すものでもある」
 さらにその年末に出版した作家の百田尚樹氏との共著では立憲主義について「ある意味、古色蒼然とした考え方」と指摘している。また、解釈変更について首相は昨年6月の記者会見で「行政権は、内閣に属する」と規定している憲法65条を論拠に「行政権を執行するために憲法を適正に解釈していくことは当然のことだ」と強調している。
 一連の発言から浮かび上がるのは、そもそも立っている考え方の土俵が違っているのではないか、という懸念だ。憲法や立憲主義に関する安倍首相の認識の特異性を見過ごすわけにはいかない。
ページのトップへ戻る



琉球新報 2015年7月6日 6:01
<社説>安保法制首長調査 政府は反対多数受け止めよ


 安倍政権が安全保障関連法案の成立を今国会で目指していることについて、琉球新報社が県内41市町村の首長を対象に実施した緊急アンケートで、回答した33市町村長の約7割に当たる23人が反対した。慎重姿勢を求める声や国民不在の審議だと批判する声も上がっている。法案に「賛成」と回答した首長は一人もいない。政府はこうした反対の声を真摯(しんし)に受け止める必要がある。法案成立を拙速に進めるべきではない。
 共同通信社が6月に実施した全国電話世論調査では安保法案の今国会成立に「反対」が63・1%に上っている。さらに琉球新報社と沖縄テレビ放送が5月末に実施した県内世論調査では73・2%が「反対」と回答した。全国より約10ポイント上回っている。首長の割合は県内世論を反映している。
 県内で法案に反対する意見が全国より多いのは、県内世論調査で70歳以上の反対が81・1%に上ることをみても、沖縄戦の体験が影響していると考えるのが妥当だ。
 首長も法案成立によって沖縄が戦争に巻き込まれる可能性について、57・6%の19人が「高くなる」と回答し「変わらない」は12・1%の4人で「低くなる」は一人もいない。首長からは「米軍・自衛隊の基地が多く存在することから、その影響が危惧される」「わが国の戦後処理は終わっていない」などの意見が上がっている。沖縄が再び戦場になることを危惧しているのだ。
 同法案と憲法との関連についても回答者の6割に当たる20人の首長が「憲法に違反している」と回答し「違反していない」はゼロだった。衆院憲法審査会の質疑に招かれた憲法学の専門家3人全員が「憲法違反」と表明した。廃案を求める声明に賛同する学者の人数は6月末で6700人を超え、同時期に衆参両院に提出された廃案を求める署名は約165万8900筆に上る。
 さらに87・9%に当たる29人の首長が国民への説明が十分でないと答えている。保守的な立場を取る首長でさえ、説明が不十分だと思っている。しかし自民党の高村正彦副総裁は「いつまでも延ばせばいいという話ではない」と述べ、国民の理解が得られなくても採決に踏み切る考えを示している。言語道断だ。国民不在のまま法案を強行採決することなど許されるはずがない。
ページのトップへ戻る



毎日新聞 2015年07月05日 02時30分
社説:視点 安保転換を問う…自民党の変質


 ◇大平氏の「楕円」はどこへ=論説委員・人羅格
 安倍晋三首相の政治スタイルと対照的な保守政治家として、故大平正芳元首相が引き合いに出されることがある。大平氏はハト派派閥といわれる宏池会(現岸田派)を率い、首相在職中の1980年に急逝した自民党のリーダーだ。
 没後35年の命日にあたる先月12日、岸田派名誉会長の古賀誠元幹事長と同派国会議員7人が東京・多磨霊園に墓参した。議員引退後も安保法制をめぐり首相への批判を強める古賀氏は墓前で「良質な保守(勢力)が日本の政治に必要だ」と訴え、ハト派勢力の再建を訴えた。
 吉田茂、池田勇人らの系譜を継ぐ自民党のいわゆるハト派勢力は党是である改憲よりも実際には「軽武装・経済重視」路線だった。故宮沢喜一元首相の「海外での武力不行使」という憲法観はこれを体現していた。
 一方、外交では大平氏の掲げた均衡重視の政策がその路線を象徴した。大平氏は日米同盟を重視するだけでなく経済、食糧、文化など非軍事の要素も活用して平和を維持する「総合安全保障」を掲げた。太平洋の国と地域がゆるやかに連帯する「環太平洋連帯構想」は現在のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の原形となった。
 日米同盟一辺倒でないこれらの構想には「楕円(だえん)の哲学」という独自の理念が反映していた。大平氏は物事は中心がひとつの「円」よりも「楕円」のようにふたつの中心が均衡、緊張する状態が好ましいと考えていた。それはバランスと合意重視の政治手法にもつながっていた。
 翻って今「海外での武力不行使」原則は大きく揺らいでいる。日米同盟強化に強く傾斜する首相の路線は国際情勢の変化を差し引いても、大平氏の均衡重視とは異質だろう。
 「安倍1強」構図がそれを支える。谷垣禎一幹事長、岸田文雄外相ら大平氏の流れをくむ主要メンバーは今や安保法制の担い手だ。首相支持派の若手議員の勉強会で出た「報道圧力」発言の収拾に谷垣氏が追われるのは皮肉だ。「ハトとタカ」の二つの中心が均衡したかつての力学は大きく変容している。
 異論の存在を認めないような風潮もこれに重なる。ハト派復活を図る若手議員の勉強会は党側の意向でいったんは開催中止に追い込まれたという。
 大平氏は党内抗争の激化で衆院解散に追い込まれるなど、実際の政権運営が成功したわけではない。かつての自民党政治を美化するつもりもない。だが、大平流の「楕円的なもの」の衰退が、政治から大切なゆとりを奪っているのではないか。
ページのトップへ戻る



新潟日報 2015/07/05 08:30
【社説】:安保法案論議 戻るべき「初心」はどこか


 安全保障関連法案にまつわる議論が国会の内外で混迷している。混乱の責任の多くを負うべきなのは政府・与党である。
 衆院特別委員会での与野党の論議は法案の複雑さや分かりにくさを乗り越えられずかみ合うことがない。政府答弁はこれまでの説明を繰り返している。
 特別委員会とは別の憲法審査会で3人の憲法学者がそろって法案は「違憲」と言明したことで、国民の不安感は高まった。
 自民党などは、政治家は研究者の見解とは別に責任を果たすと言い、耳を貸そうとはしない。これは強弁ではないか。
 自民党若手議員の勉強会で作家が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と述べ、出席議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」という声が出た。
 元NHK経営委員で多数の著書がある半ば「公人」が、政権党の本部で言論封殺と取れる発言をし、議員がその背中を押した。異様な風景である。
 「1強体制」の緩みであり、おごりが表れたと指摘しないわけにはいかない。
 自民党は関係議員を処分したが、作家も議員も似たような発言を重ねている。
 報道への圧力や沖縄をめぐる発言について、安倍晋三首相は3日の特別委で「最終的には私に責任がある」と述べ、国民と沖縄県民に対して陳謝した。
 自民党内部から苦言が上がり始めており、これを受け止めてのことかもしれない。混乱に幕を引き、法案審議を軌道に乗せたいとの思いもあろう。
 だが、政府と自民党を覆う、数の力にものを言わせて異論を抑え込むかのような空気が一掃されなければ、こうした混乱は繰り返されるのではないか。
 公明党の漆原良夫中央幹事会会長は「もう一度初心に戻るべきだ」と指摘した。
 どこを初心とするかの考え方はさまざまあろう。ただ、安保法案をどう考えるかの原点という意味であれば、やはり昨年7月1日の閣議決定である。
 法案の前提となった集団的自衛権の行使容認だ。世論はここが起点だと、とうに気付いている。
 憲法学者の違憲言明にあれほどの注目が集まったのは、与党推薦の学者がいたから、というだけではないのだ。
 廃案や徹底審議を求める意見書、請願を、可決・採択した県内の議会もあった。根底にあるのは、越えてはならない一線を越えかねないとの思いだろう。
 与党は法案の16日の衆院通過を目指している。参院の議決がなくても、60日ルールの適用で会期末の9月27日までに成立させる思惑もありそうだ。
 時期尚早だ。議論は尽くされず、法案の無理や矛盾は残る。国民の了解にも程遠い。
 これほどの重要法案である。強行採決や参院審議の軽視は許されない。適正審議ができないなら、廃案や法案の出し直しに踏み切るほかはない。
ページのトップへ戻る



神戸新聞 2015/07/05
社説:安保法案/必要性への疑問が膨らむ


 「何もできなくていいのか」
 昨年来、安倍晋三首相のこの言葉を何度耳にしたことだろう。
 例えば、昨年5月の国会で首相はこう答弁した。集団的自衛権行使を容認した閣議決定の前である。
 「わが国の船舶が危険に遭う可能性が高い中、機雷掃海ができなくていいのか」。日本に原油を運ぶタンカーの8割が中東ホルムズ海峡を通る。その海上交通路に機雷が敷設された事態を想定しての発言だ。
 日本に対する武力攻撃がなければ行使できない個別的自衛権では、はるか中東で機雷を除去することは不可能だ。集団的自衛権の行使を可能にしなければならないというのが、首相が強調してきた論法である。
 ところがその土台がぐらついてきた。内閣法制局長官が「個別的自衛権で機雷を処理することはあり得る」と国会で答弁したためだ。
 そうであれば、集団的自衛権行使を盛り込んだ安保関連法案にどんな意味があるのか。与党は今月中旬の衆院可決を目指す構えだが、根本的な疑問に応えないようでは国会軽視、国民不在というしかない。
 機雷敷設はれっきとした武力行使である。日本近海なら個別的自衛権での対処は可能となる。だが、ホルムズ海峡の事態をわが国に対する武力行使とみなすには無理がある。
 そこで政府は、原油が止まり、電力不足などで国民生活に死活的な影響が生じれば「存立危機事態」に該当する、との見解を持ち出した。政府が掲げる「武力行使の新3要件」の一つで集団的自衛権行使の前提となる。それを根拠にして自衛隊派遣を正当化するのが狙いだ。
 しかし、法制局長官は答弁で異なる見解を示した。機雷で船舶を攻撃する行為を日本に対する武力行使とみなせば、個別的自衛権で対応できるというのである。
 ここに来て長官の別の答弁が波紋を広げる。首相は邦人輸送中の米艦船が攻撃を受けた場合、日本が守れなくていいのか、と語ってきた。だが、長官は「単に米輸送艦が攻撃を受けることで武力行使の新3要件に当たるというものではない」と述べた。集団的自衛権行使の必要性に疑問を抱かせる内容だ。
 政府の答弁は迷走している。国民にきちんと説明できないようではとても議論が深まったとはいえない。採決を急ぐ段階ではない。
ページのトップへ戻る



沖縄タイムス 2015年7月5日 05:30
社説[「中旬採決」案浮上]違憲が大勢では無理だ


 国民の半分以上が反対する安全保障関連法案を早ければ15日の衆院特別委員会で採決する案が与党内に浮上している。16日の衆院本会議で可決し、通過させるスケジュールだ。
 審議をすればするほど疑問が噴出し、国民からの支持も得られていない法案を、何が何でも通そうとする姿勢は、民主主義で最も大切なプロセスをないがしろにしている。数の力におごった暴走というほかない。
 衆院特別委は法案採決の前提となる中央公聴会を13日に開くことを、自民、公明、維新の党の賛成多数で決めた。
 与党が採決の目安としていた審議時間の「80時間」を超えたことで「環境が整った」と判断したようだ。反対の声が日ごとに強くなる中、審議を続けることのマイナスを懸念したようにも見える。
 4月に安倍晋三首相は米議会で演説し、安保法案を「この夏までに必ず実現する」と公約した。米国との約束を履行するため結論を急いでいるのだとすれば、国会無視も甚だしい。
 衆院憲法審査会で参考人の憲法学者全員が、集団的自衛権行使を可能とする安保法案を「違憲」と主張するなど、疑問が急速に広がっている。憲法を軽んずる政治の動きに不安を募らせているのだ。
 政府自民党は、相変わらず砂川事件の最高裁判決を集団的自衛権行使容認の論拠とするが、都合のいい拡大解釈を国民は見透かしている。
    ■    ■
 政府の安保法案には問題があるとの立場から、維新の党が対案をまとめ、自民、民主、公明の3党に提示した。
 政府が集団的自衛権行使の要件とする「存立危機事態」に代わり、個別的自衛権の拡大で対応する「武力攻撃危機事態」を設けるものである。維新の柿沢未途幹事長は「憲法との適合性を確保して国民の不安を払拭(ふっしょく)する内容だ」と説明している。
 独自案をつくった意義は認めるにしても、採決を前にしたこの時期になぜとの疑念が頭をもたげる。維新案を同時に採決すれば、与党単独の「強行採決」が避けられるという自民党内の思惑がのぞくからだ。
 違憲性が指摘され、国民の不安がぬぐえない政府案との隔たりは大きく、採決に加わるべきではない。「与党のサポーター」が維新の立ち位置ではないはずだ。
    ■    ■
 3日、国際通りで安保法案に反対する弁護士らのデモ行進があった。沖縄弁護士会による30年ぶりのデモは、立憲主義がないがしろにされている現状に法律家として強い危機感を感じてのことだ。
 衆院特別委は13日の中央公聴会に先駆け、6日に那覇市で参考人質疑を開く。採決日程が浮上した上での参考人質疑は「国民の声を聞いた」というアリバイづくりに終わる懸念がある。
 専門家も一般国民も過半数が反対し、審議を重ねれば重ねるほど疑問が広がるこの法案は、とても採決できる内容ではない。
ページのトップへ戻る



南日本新聞 ( 2015/7/4 付 )
社説: [閣議決定1年] 法案取り下げ再論議を


 憲法の解釈変更によって、集団的自衛権の行使を認めた安倍内閣の閣議決定から1年が過ぎた。
 政府は5月、安全保障関連法案を提出し、衆院の特別委員会で審議してきた。
 しかし、審議するほど国民の疑念は膨らむ一方である。
 それどころか、衆院憲法審査会で3人の憲法学者がそろって、集団的自衛権の行使を可能とする法案を「憲法違反」と断じた。
 内閣法制局の元長官も特別委で「憲法9条に違反しており、法案の該当部分は速やかに撤回すべきだ」と批判した。
 憲法の専門家や、内閣で憲法解釈を担ってきた責任者の指摘は重い。審議は自衛隊活動をめぐる各論から、法案が合憲か違憲かの「そもそも論」に戻った。
 違憲の疑いが拭えない法案の審議を続けて、どれほどの意味があるのか。いったん、取り下げるか継続審議にして、次の国会で出直すべきである。
 政府・与党は会期を9月27日まで大幅延長した。日程ありきはあまりに乱暴だ。
 これまでの政府見解との整合性や解釈変更の妥当性、安保政策のあり方と法制化の必要性など、根本から議論を仕切り直すよう求めたい。
 維新の党はきのう、安保関連法案の対案を自民、民主、公明の3党に示した。
 政府が集団的自衛権行使を認める「事態」に、個別的自衛権の拡大で対処するのが柱である。
 だが、集団的自衛権行使を容認する政府案との隔たりは大きい。
 特別委の審議は今週で、与党が採決の目安とする80時間になる見通しだ。このため、与党は15日の特別委採決、16日の衆院本会議での可決、通過をにらむ。
 安倍晋三首相が今国会での成立にこだわるのは、4月の米議会演説で夏までの法整備を「公約」したからだ。
 国民の懸念より、対米「公約」を優先する考え方には同意できない。
 そればかりか、安倍首相に近い自民党の若手議員の勉強会では、広告料の出稿差し止めで、報道機関に圧力をかけようとする発言が飛び出した。
 安保法案への世論の支持が広がらない焦りからだろう。異論は許さないとして排除する「安倍政権の体質」も透ける。
 国民の異論や不安を置き去りにしたまま、法案成立だけを急ぐ姿勢はとうてい許されない。
ページのトップへ戻る

///////////////////////////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 戦争法案 「違憲」立法

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン