2015-07-17(Fri)

戦争法案 (20)衆院通過 「違憲」法案の撤回を求める

世論を無視した強行だ 無理を通す数の力の傲り 健全な民主主義には遠い

<各紙社説・論説・主張>
福井新聞)安保法案衆院通過 おごる巨大与党、民意無視(7/17)
京都新聞)安保の衆院通過  「違憲」法案の撤回を求める(7/17)
神戸新聞)安保衆院通過/「再考の府」で徹底審議を(7/17)
山陽新聞)安保法案衆院通過 健全な民主主義には遠い(7/17)
中国新聞)安保法案参院へ 徹底審議し禍根残すな(7/17)

愛媛新聞)安保法案強行採決 「理解進まぬ」中の暴挙許せない(7/17)
徳島新聞)安保法案衆院通過 世論を無視した強行だ (7/17)
高知新聞)【安保法案 衆院通過】 批判の声を上げ続けよう(7/17)
西日本新聞)安保衆院通過 参院でこそ審議を尽くせ(7/17)
熊本日日新聞)安保法案、衆院を通過 無理を通す数の力の傲り(7/17)

宮崎日日新聞)安保法案衆院通過 政治不信高める強硬姿勢だ(7/17)
南日本新聞) [安保法案衆院通過] 改憲を正面から国民に問うのが筋だ(7/17)
琉球新報)安保法案衆院可決 国民の危機感 無視するな(7/17)




以下引用



福井新聞 (2015年7月17日午前7時30分)
論説:安保法案衆院通過 おごる巨大与党、民意無視


 安倍政権は前日の衆院特別委に続き、衆院本会議でも採決を強行。集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法案は自民、公明両党などの賛成多数で可決、通過した。
 専守防衛を掲げた戦後日本の安保政策が大転換する。憲法9条の解釈変更が「違憲」との批判は今や憲法学者のみならず、国民からも渦巻く。自衛隊活動が地球規模で拡大することが果たして「平和国家」「国際平和」に寄与するのか。重大な岐路にある。
 安倍晋三首相は衆院通過後、「日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。国民の命を守り、戦争を未然に防ぐために絶対に必要な法案だ」と強調した。
 安保環境の厳しさとは、直接的には北朝鮮の核・ミサイルと中国の海洋進出による軍事的脅威が念頭にあるのだろう。法案は、防衛力強化を図り「抑止力」を高めるものと説明する。
 そうであるなら、なぜ世論調査で国民の大半が首相の説明に納得せず、過半が法案に反対するのか。与党支持者の約半数が法制化に疑問を抱いている。
 核兵器開発に関する中東の「イラン核問題」で、欧米など6カ国とイランが外交解決にこぎつけた。安倍政権はこうした対話による外交努力を怠り、なぜ安保関連の法整備を急ぐのか。首相が4月の米議会演説で夏までの成立を国際公約したことを優先させたとすれば、国会軽視も甚だしい。
 法案の核心は日米同盟を世界規模に拡大し、共同行動・支援を可能にする点にあると指摘される。国民に危機感をあおりながら自衛隊を世界で戦える「普通の国」の軍隊にしようとする思惑さえ透けて見える。
 審議時間が116時間に達しても、首相自身が「国民の理解が進んでいない」と言わざるを得ないのは、単に説明不足ではない。法案そのものに欠陥がある上、安保法制が限定的な枠組みを超え、拡大運用されていくという国民の懸念を払拭(ふっしょく)できないからであろう。
 歴代政権は現憲法が「自衛の措置」を禁じていないが、必要最小限にとどまるべきで、集団的自衛権行使はできないと解釈してきた。それを一方的な解釈変更で行使容認に導いた。一内閣による恣意(しい)的変更は最高法規の憲法を不安定にさせ、憲法は権力を縛るという「立憲主義」に反する。政府、与党は納得できる論理的説明をできないでいる。
 舞台は参院に移るが、参院が議決しなくても衆院の3分の2以上の賛成で再可決・成立させる「60日ルール」が巨大与党の念頭にあるとすれば、おごりそのもの。参院の存在意義の否定につながる。歴史の審判に堪えうる責務を果たさないなら、安倍政権の「倒閣論」が顕在化してくるだろう。
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[京都新聞 2015年07月17日掲載]
社説:安保の衆院通過  「違憲」法案撤回を求める


 戦後70年の節目に、日本は再び大きな曲がり角を回ろうとしているのではないか。
 衆院はきのう、安全保障関連法案を与党の強行採決で通過させた。審議は参院に移るが、安倍晋三首相と与党は、9月中旬以降に適用できる衆院再可決(60日ルール)も視野に入れる。政府内には既に、法案が成立したかのような気分さえ漂っているようだ。
 多くの国民が抱く疑問や不安を、問答無用で切り捨てたに等しい。民主主義と憲法を蔑ろにする行政府の横暴であり、それを数の力で追認した衆院は、立法府の自殺行為だと言わざるを得ない。
 このままでは将来に消せない禍根を残す。あらためて法案の撤回を求めたい。
本質語らず浮かぶ欠陥
 日本の国柄を変えるような11本もの法案を、わずか1カ月半の審議で押し切った。この間、政府の答弁は右顧左眄(さべん)し、迷走を続けた。何より憲法9条が禁じる海外での武力行使に道を開き、自衛隊員が他国で殺し殺される事態を招きかねない法案の本質を、一切語らなかった。
 時間だけを空費し、「100時間を超えた審議」を形式的に整えたにすぎない。増えていったのは法案の問題点ばかりである。
 集団的自衛権が本当に必要な状況なのか。それを使えるようにすることが「抑止力」になるどころか、他国との対立・緊張関係を高めるだけではないのか。「限定容認」とは形ばかりで、米国の戦争に巻き込まれ、米軍と一体化して自衛隊が南シナ海などに回されないか。戦場に「後方」などなく、相手国には武力行使と区別がつかないのではないか。
 安倍首相はまともに答えず、最後は「総合的に判断する」「例外もある」と繰り返した。時の政権に丸投げしてくれ、と言っているのと同じである。
国民不在の安倍政治
 百歩譲って、首相の言葉通りに在任中は「他国の戦争に巻き込まれることはない」としても、安倍政権が交代すれば、残るのは空疎な口約束でしかない。法律上は「政権お任せ」となる。あまりにも危険な欠陥法と言うほかない。
 政権交代により、2度目となる安倍政権が誕生して2年7カ月。経済政策・アベノミクスで円安と株高を演出し、国民の目線を集めた。その陰で、「戦後レジームからの脱却」「積極的平和主義」の名のもとに国の統制を増し、従来の日米同盟の枠組みを超える軍事強化の道を地ならししてきた。
 象徴が政権発足1年で手がけた特定秘密保護法の制定である。実質的な歯止めはなく、政権や官僚の都合だけで国民の情報を「秘密」にし、人権を脅かしかねない仕組みを1カ月ばかりの国会審議で強行採決した。今回の安保法制が成立すれば、さらに軍事秘密のベールが広がるのではないか。
 昨年の通常国会が終わった直後の7月には、歴代政権が積み重ねてきた憲法解釈を閣議決定だけで百八十度変えた。今につながる集団的自衛権の行使容認だ。
 抵抗してきた内閣法制局は長官人事に介入して抑え込み、自らに考えの近い有識者を集めた懇談会からの提言を根拠にした。まさに力づくである。
 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設でも、県民への説明を尽くさずに推し進めた。その揚げ句、県知事選で反対派が当選するなどして支持率が陰ると、首相は突如として衆院解散を打った。
 野党にも大きな反対のない「消費税の再増税延期」を争点に掲げ、「大義なき総選挙」に国民が戸惑う中、戦後最低の投票率の下で大勝を遂げる。選挙演説で首相が安保法制に触れることはなく、自民党の公約集には「集団的自衛権」の文字さえ見当たらなかった。
 通底するのは、民意を軽視しているとしか思えぬ首相の姿勢だろう。「平和」や「幸福」といった美辞麗句を強く言い切ったり、経済問題へと目線をそらしたりしながら、とにかく、国民に情報や考える時間を与えない。異論にはどこ吹く風。自説に固執し、都合のいい意見だけを取り入れる。
問われる立法府の良識
 この独善的とも言える態度をいさめるべき声が、与党内からほとんど聞かれないのはどうしたことか。参院審議では自民党議員に、党員の前に国民の代表であり、国権の最高機関の一員であるという自覚を強く促したい。
 「平和」を党是としてきた公明党の沈黙ぶりも不可解だ。与党協議で「歯止めをかけた」としてきた文言を無視するかのように、首相は「ホルムズ海峡の機雷掃海は可能」などと断言している。これを容認するなら、協議は「芝居」だったのかと言われよう。野党が法案阻止に手を尽くして結束するのはもちろん、公明党にもいま一度、政府答弁を検証し、自民党を立ち止まらせる役割を望む。
 1年後に参院選を控える。国民は各党、議員の振るまいを注視せねばなるまい。無謀な戦争であまたの人の死を重ねた反省の上に、新たな憲法を制定し、平和国家を築いてきた日本の70年である。先人の労苦を、こんな形で無に帰すことがあってはならない。
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神戸新聞 2015/07/17
社説:安保衆院通過/「再考の府」で徹底審議を


 安全保障関連法案が衆院本会議で可決された。一昨日の特別委員会採決に続く強行可決である。
 法案については、安倍晋三首相も「国民に十分な理解を得られていない」と認めている。なのに与党の自民、公明両党は審議を続けようとせず、数の力で野党の反対を退けた。
 「言論の府」といわれる国会の役割を放棄したと批判されても仕方がない。与党の責任は極めて重い。
 議論の舞台は参院に移るが、このような国民不在の国会運営を繰り返してはならない。
 衆院で積み残された論点や未消化で終わった懸案事項を徹底的に審議するのが、「再考の府」と呼ばれる参院の役割である。
 与党の強引な対応には、日増しに批判が強まっている。国会周辺では、きのうも法案に反対する人たちが抗議行動を続けた。
 異議を唱える動きは全国に広がり、兵庫でも「なぜ急ぐのか」「ごり押しがすぎる」といった疑問や怒りの声が上がる。日本の将来に危機感を抱く若者の姿が目立っている。
 実質11本の法改正案などから成る法案は複雑で、自民党関係者も「分からない」とこぼしたとされる。
 だが、国民の懸念が広がる理由は分かりにくさだけではない。憲法の制約上、許されないとされた集団的自衛権行使を、憲法解釈の変更だけで可能にする。憲法学者が「違憲」と指摘するやり方に、多くの人が不安を感じている。
 個別的自衛権についても同様だ。歴代内閣は「日本が直接武力攻撃されて初めて発動できる」との見解を維持してきたが、今回の政府答弁では「必ずしも直接の武力攻撃に限定されない」と変わった。
 政府は「専守防衛」を口にしながら、武力行使の制約を緩和する憲法解釈の変更や拡大を行っている。質疑でそうした疑問が次々に浮上したが、きちんとした説明のないまま衆院審議は打ち切られた。
 法案は、日本の安保政策を大転換する重大な意味を持つ。参院では期限を区切らず、国民が理解できるまで議論を尽くさねばならない。
 与党は、参院で採決に至らない場合に衆院で再可決できる「60日ルール」を念頭に置いているようだが、何より熟議が求められている。今国会だけで決着をつけるというもくろみは捨て去るべきだ。
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山陽新聞(2015年07月17日 08時00分 更新)
社説:安保法案衆院通過 健全な民主主義には遠い


 集団的自衛権の限定的行使を可能にすることなどを柱とする安全保障関連法案がきのう、衆院本会議で可決された。与野党の論戦がかみ合わぬまま、戦後の安全保障政策を大転換させる重要法案を通したことは極めて残念である。
 国会の会期は9月27日までで、与党の念頭には参院で60日以内に議決されなくても衆院の3分の2以上の賛成で成立させられる「60日ルール」があるとみられる。衆院通過を急ぎ、法案成立を確実にしたい思惑だろうが、健全な民主主義の在り方とは言えず大いに疑問だ。
 5月末から約1カ月半にわたった審議では、具体的事例に即した議論の乏しさが目についた。政府答弁も総じて不安定さや曖昧さが目立った。自衛隊の海外での武力行使を認める要件などに正面から答えようとせず政府見解を繰り返したり、答弁のたびに内容が微修正されたりする場面があった。政府自体が法案の解釈や運用をしっかり整理できていなかったとすればお粗末と言うほかない。
 関連法案は計11の法律からなる。わが国が「存立危機事態」にあると認めた場合に集団的自衛権の行使を認める武力攻撃事態法、他国軍への後方支援を認める重要影響事態法のほか、国連平和維持活動(PKO)での自衛隊の活動拡大など多岐にわたり、極めて複雑な内容となっている。
 専門用語も多く、ただでさえ分かりにくいのに、論点を整理すべき論戦は上滑りで閉じられてしまった。国民の理解を得るのは到底無理だ。
 今後、議論の場は参院に移る。与野党は国会の役割を自覚し、仕切り直してもらいたい。与党の強硬姿勢が目立つが、成立ありきで再び議論をおろそかにすることがあってはならない。野党もそれぞれの論点に対し、対案などを含めきちんとした論戦を挑んでいくべきだろう。
 懸念されるのは、与野党対立が過熱して、肝心の議論が停滞することである。
 政府は法案提出の背景として、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出など日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを挙げている。そうした問題にどう対応するかを野党も示していかねばならない。
 今回、民主党と維新の党は離島防衛を念頭に置いた領域警備法案を共同提出した。維新の党が独自に出した対案は、朝鮮半島有事で自衛隊が米艦を防護する内容を含んでいる。その根拠は政府案では集団的自衛権で、維新案では個別的自衛権となっている。重要な論点だが、議論はほとんどなされていない。
 自衛隊の武力行使を認める要件の曖昧さや、際限のない活動への歯止めの実効性など疑問点は依然として残っている。与野党対立の図式にとらわれて話し合いにふたをすることなく、日本の安全保障はどうあるべきかという本質的な問題と真摯(しんし)に向き合うことが国会に求められている。
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中国新聞 2015/7/17
社説:安保法案参院へ 徹底審議し禍根残すな


 まさしく粛々と、安全保障関連法案が衆院本会議でも可決された。数の力を頼みとする安倍政権は国民の不安や疑問をまるで意に介さない。
 安倍晋三首相や与党議員には国会を取り囲んで抗議する人の輪がどう映ったか。憲法学者らの「違憲」批判を含め、都合の悪いことにはこのままふたをする腹づもりなのだろうか。
 参院に審議の舞台は移る。衆院通過で成立が確実になったとの見方もあるが、私たちはそうは考えない。まだ手続きの半分が終わったにすぎない。
 参院は「良識の府」とも「再考の府」とも呼ばれる。この安保審議はまさしく、参院の存在意義や二院制の真価が問われる。
 安保法案は国際平和支援法案と、自衛隊法改正など10の一括法案からなる。政府与党は「116時間かけた」として衆院特別委員会の審議を打ち切った。
 一つ一つが平和国家の根幹に関わるというのに、1法案当たりにすると、10時間程度というのは明らかに短い。
 「法律を10本も束ねたのは、いかがなものか」との声が、衆院特別委の浜田靖一委員長から出た意味は重い。採決を強行した張本人が「答弁と質疑がかみ合わないところもあったのは事実だ」とまで言った。
 首相は衆院通過を受け「良識の府ならではの深い議論を進めたい」と述べた。ならば法案審議の在り方を白紙から見直すべきだ。この際、一括審議ではなく一つずつ分離したらどうか。
 衆院では維新の党の「対案」審議が数時間で打ち切られ、あっさり否決に至った。参院ではこうした手法は許されまい。野党提出の法案を審議する場合にも、政府案と同様に丁寧な扱いが求められるはずだ。
 政府与党が今週、衆院可決を急いだのは、参院で結論が出ずとも衆院での再可決で成立する「60日ルール」が使えなくなると踏んだからだ。しかし参院をはなから無視する姿勢があるとすれば論外だ。首相が認めるように国民の理解が進んでいないばかりか法案への疑問は日増しに膨らんでいよう。
 集団的自衛権の行使要件とする「存立危機事態」をめぐっても定義や対象は曖昧なままだ。「総合的に判断する」として明言を避ける政府にこのまま白紙委任しろというのだろうか。
 自衛隊の活動範囲が飛躍的に拡大するのに、隊員のリスク増を認めようともしないことも、やはり問題である。
 参院では最大の疑問点である法案の違憲性はもちろん、法案をめぐる衆院答弁のおかしさをあらためて検証すべきだ。その結果、廃案として法案を一から出し直すか、少なくとも今国会の成立を断念するしかないという結論に行き着くはずだ。
 民主主義をないがしろにする政権は、ここにきて逆風に慌てているように見える。
 強引というイメージが定着するのを恐れているのだろう。政府は工費が膨らんで無駄遣いとの批判が強い新国立競技場の計画を見直す方針を示した。それ自体は当然のことだろうが、国民を懐柔するための政治パフォーマンスにも映る。
 与党も野党も国会議員は永田町では世論に疎くなる。選挙区に帰ってきた際に声をぶつけたい。このまま将来に禍根を残すわけにはいかない。
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愛媛新聞 2015年07月17日(金)
社説:安保法案強行採決 「理解進まぬ」中の暴挙許せない


 自民、公明両党が、安全保障関連法案を衆院特別委員会に続き本会議でも強行採決した。特別委で安倍晋三首相自身が「国民の理解は進んでいない」と認めたにもかかわらずだ。前代未聞の暴挙と言っていい。
 今後も首相は、国民の理解の有無に関係なく、自らの政策を推し進めていくと宣言したに等しい。「知らしむべからず、依よらしむべし」の態度は国民主権への冒(ぼうとく)であり、到底容認できない。
 6月下旬に国会会期を大幅に延長した際、首相は「十分な審議時間を確保した。丁寧な説明を続ける」と明言した。ところが現実は「丁寧」どころか説明自体を避け、強引な憲法解釈を繰り返すばかり。昨日の衆院可決後にも「良識の府(参院)ならではの深い議論を進めたい。丁寧な説明に力を入れていきたい」と話したが、もはやその言を信用することはできまい。
 沖縄や埼玉で開かれた公聴会での反対意見にも、「憲法の番人」と安倍内閣が認めているはずの最高裁の元判事や、元内閣法制局長官らの疑問にも耳を傾けようとしなかった。
 国会の外ではこの間、集団的自衛権の行使を認めた安保法案を「違憲」とする有識者が増え続け、法案に反対するデモや集会が繰り広げられてきた。SEALDs(シールズ、自由と民主主義のための学生緊急行動)をはじめ、若者の間にも反対運動が急速に広まった。彼らは将来の戦争につながりかねない法案の危険性を敏感に感じ取っているのだ。
 そうした国民の声が反映されない国会は異常と言う以外にない。自公両党の衆院議員で法案に反対姿勢を示していたのは、昨日の本会議を病欠した村上誠一郎氏(愛媛2区)だけ。党議拘束で異論を封じ込めようとする姿勢自体に問題がある。
 問題が多すぎる安保法案はしかし、衆院を通過した。与党幹部の中には、参院が議決しない場合に衆院で再可決できる「60日ルール」を念頭に「ヤマ場を越えた」と思っている人も多いはずだ。
 今月になって維新の党が提出した対案が、ほとんど審議されることなく採決が強行されたことを考えても、与党が法案をこのままごり押ししてくるのは、ほぼ確実とみられる。
 それでも野党はあらゆる手段を講じて法案の問題点を追及するべきだ。国民に広がる安倍内閣や与党への不信感は大きな力になろう。今こそ存在意義を示さなければならない。
 特に維新の党は今回、自分たちを利用しようとした自民党の真意が十分分かったはずだ。安倍首相の暴走に利するようでは何にもならない。
 日本の民主主義と立憲主義は今、大きな危機にある。権力を縛るはずの憲法の解釈が、その時々の政権の都合で変えられるような事態を認めるわけにはいかない。あらためて安保法案に反対する。
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徳島新聞 2015年7月17日付
社説:安保法案衆院通過 世論を無視した強行だ


 衆院の特別委員会に続き、またしても国会で強行採決が行われた。
 自民、公明の与党が衆院本会議で、集団的自衛権の行使に道を開く安全保障関連法案を採決し、可決した。
 法案には多くの国民が危惧を抱いている。そうした中で衆院を通過させたことは、憲政史上に汚点を残したと言っても過言ではなかろう。世論を無視した強行採決を厳しく非難する。
 安倍晋三首相は再三、「国民の理解が進むよう努力を重ねる」と述べているが、採決する前に十分な理解を得るべきだ。
 与党が数の力にものを言わせ、反対を押し切って採決に踏み切ったことはこれまでにもあった。しかし、今回は国の将来を大きく左右する安全保障に関わる法案である。
 戦後、日本が長年にわたって掲げ、人道支援や経済協力など地道な活動で世界に認められてきた「平和主義」は、私たちの宝といえる。
 集団的自衛権の行使を認め、地球規模で自衛隊が活動できるようにする法案は、その理念を一変させるものだ。法案が目指す理念が、安倍首相の言う「積極的平和主義」であるならば、到底賛成できない。
 国会の動きに怒りと不安を募らせた人たちが、全国各地で抗議活動を続けている。プラカードに書かれているのは「戦争させない」「憲法9条を壊すな」といった切実なメッセージだ。
 安倍首相は、イラクやアフガニスタンで米国が行ったような戦争に日本が参加することはないと強調している。
 だが、自衛隊の活動範囲や行動内容を拡大、拡充させるのに、戦争に巻き込まれ、戦死者が出る恐れが本当にないと言い切れるのか。
 そんな疑問が、政府の説明を聞けば聞くほど強まっているというのが実情だろう。各種世論調査の結果が、それを表している。
 共同通信社が先月下旬に行った全国世論調査では、安保法案が「憲法に違反していると思う」との回答は56・7%、法案に「反対」は58・7%、今国会での成立に「反対」63・1%と、どれも半数を上回った。
 さらに、法案成立後に自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが「高くなる」は73・1%、安倍政権が法案について「十分に説明しているとは思わない」に至っては84・0%に上った。
 複雑で分かりにくい法案にもかかわらず、国民の反対の意思は明確といえる。だが、与党は採決の機が熟したと判断した。あまりに拙速に過ぎよう。
 与党は「60日ルール」の適用も視野に入れているとされる。法案を参院に送付した後、60日を過ぎても参院で採決に至らない場合、否決とみなして衆院で再び採決し、3分の2以上の賛成で可決できる憲法の規定だ。
 9月の会期末までに確実に成立させるため、衆院通過を急いだわけだ。異例のルールを念頭に置かなければならないほど、逆風が強いということである。
 法案の審議は参院に移る。「良識の府」といわれる参院は、衆院での審議を踏まえた中身のある議論で、矛盾や問題点について掘り下げなければならない。
 与党の一員である公明党には、いま一度、支持者の声に耳を傾けるよう求めたい。先の世論調査では、公明支持層の47・2%が法案に「反対」と答え、60・9%が今国会での成立に「反対」している。
 参院での審議では、「平和の党」の存在意義を見せてもらいたい。
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高知新聞 2015年07月17日07時58分
社説:【安保法案 衆院通過】 批判の声を上げ続けよう 


 日本の立憲政治に重大な汚点を残す暴挙というほかない。
 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案が自民、公明両党などの賛成で衆院を通過した。法案は違憲の疑いがあり、国民の理解も得られていない。数を頼んだ採決強行を強く非難する。
 戦後の日本は、憲法9条の下で「平和国家」の道を歩んできた。歴代政権は海外での武力行使につながる集団的自衛権の行使は「憲法上、認められない」としてきたが、安倍政権は憲法解釈の変更でその壁を取り払った。
 安保法案は集団的自衛権の行使を解禁するとともに、自衛隊による他国軍への後方支援を地球規模に広げる。「専守防衛」の国是を根本から変質させる安保政策の大転換となる。
 安倍首相は法整備の必要性について「安保環境の変化」などとする。だが、衆院の審議では、その必要性をはじめ、集団的自衛権の行使要件などで多くの曖昧さが残った。審議を重ねるに従って、疑問が膨らんだといってよい。
 最大の問題は、いうまでもなく憲法学者や元内閣法制局長官らが相次いで指摘した「憲法違反」の疑いだ。憲法が権力を縛るという立憲主義からの批判に対し、合憲とする安倍首相らの反論は説得力に欠ける。
 国民の視線は日を追って厳しさを増している。各種世論調査からは、法案の違憲性を疑い、政府の説明の不十分さに納得せず、今国会での成立に反対する、多くの国民の思いが見て取れる。
 安倍首相は「国民に十分な理解を得られていない」と認めたが、衆院特別委での強行採決の直前だった。主権者をこれほどまでに軽く扱う姿勢を容認するわけにはいかない。
 法案審議の場は参院に移る。
 衆院の審議で曖昧さが残った点を詰めるのはもちろんのこと、ほとんど議論されていない論点も少なからずある。懸念や疑問が拭い去れるまで、議論を尽くす必要がある。
 各議員には戦後、参院が生まれた経緯を振り返ってもらいたい。日本国憲法の制定に際し、連合国軍総司令部(GHQ)が求めたのは一院制だったが、日本側は二院制を主張した。
 「慎重な審議が可能」といった理由からだ。「良識の府」を期待された誕生の原点に立ち返り、衆院に対するチェック機能をしっかりと働かせてほしい。
 国民も安保法案の行方を厳しく監視し、声を上げ続けていく必要がある。この国が本来の立憲政治に立ち戻るために、最後の「砦(とりで)」となるのはやはり主権者だ。
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=2015/07/17付 西日本新聞朝刊=
社説:安保衆院通過 参院でこそ審議を尽くせ


 安全保障関連法案がきのう、衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成によって可決され、参院に送付された。
 政府と与党は、衆院通過により今国会での法案成立が確実になったとみている。今夏までの法制整備を対米公約としていた安倍晋三首相は、ほっとしているだろう。
 安倍政権が法案成立を確実視するのは、「60日ルール」と呼ばれる規定があるからだ。法案が参院送付後60日を過ぎても議決されない場合、衆院で3分の2以上の賛成で再可決すれば法案を成立させることができる。今回、会期末まで60日以上を残して衆院を通過させたため、ルール適用が可能だ。
 参院も与党で過半数を占めており「60日ルール」が必須というわけではないが、野党の抵抗も警戒して安全策を採ったとみられる。
 しかし、安倍政権が法案の衆院通過を急いだ理由は、それだけではあるまい。
 衆院で安保法案の論戦を重ねるにつれて、政府の説明に疑問や矛盾が深まっ
ている。法案に対する国民の反対も広がる一方だ。
 反対の世論がこれ以上強まる前に衆院を通し、参院審議をこなしていけば、国民の反発も徐々に収まるはずだ-。政権はこんなシナリオを描いているのではないか。
 そうだとすれば、身勝手にすぎる。参院での審議を、むしろ法案への国民の理解を深める契機にすべきである。そして理解が深まった結果、法案に賛成する国民が増えるのか、それとも反対の声が一層強まるのか。場合によっては、政権も無視できないほどの流れができるかもしれない。
 ▼論点はまだ山積
 安保法案について参院で論議すべき点は、山積している。
 衆院でも最大の焦点となった合憲性をめぐる議論は、まだ決着していない。
 多くの憲法学者が「違憲」と指摘している集団的自衛権の行使について、政府側は1972年の政府見解や最高裁の砂川事件判決を根拠に「合憲」とする説明を繰り返している。しかし、憲法学者や内閣法制局長官OBなどの専門家を納得させるには程遠い。
 集団的自衛権の行使要件となる「存立危機事態」の具体的な状況も、いまだに不明確である。「政府が全ての情報を総合し、客観的、合理的に判断する」などと答弁しているが、これでは「政府に白紙委任を」と言っているに等しい。具体化や例示によって、行使基準を明確化することが必要だ。
 さらに気掛かりなのは、自衛隊の後方支援や国連平和維持活動(PKO)での任務拡大について、現場に即した議論がほとんどなされていないことだ。隊員の安全や法的地位に関わるだけに、議論不足では済まないテーマである。
 議論が「生煮え」どころか、まだ鍋にも入っていない課題も多い。十分に煮詰め、問題点を抽出して、国民に説明してほしい。
 ▼存在意義かけて
 これからの安保法制の議論では、参院の存在意義そのものも問われることになりそうだ。
 そもそも政府が、参院の可否にかかわらず法案を成立させる「60日ルール」を想定すること自体、参院軽視である。政府は内心では、参院での論議が波風の立たない「消化試合」になるのを望んでいるのではないか。
 参院は各議員が所属党派の主張にとらわれず、各自の専門性と見識を生かし
て論議する「良識の府」と位置付けられてきた。しかし近年、衆院同様に政党色が強まり、「衆院のカーボンコピー」と揶揄(やゆ)されるようになった。「参院不要論」さえ出ている。
 安全保障法案は、日本が世界の戦争と平和にどのように関与するか、その基準となるものだ。わが国の国家像、つまり「国のかたち」に関わる。参院での論議にふさわしいテーマともいえよう。
 自民党のOB議員たちが法案と安倍首相の政権運営に懸念を示す一方で、現職議員の法案批判がほとんどないのが気になる。「安倍首相1強」の党内体制下で口をつぐんでいるのなら情けない。参院では時には政権と距離を置き、個人としての信念や見識を堂々と打ち出す自由と気概があっていい。
 論戦はこれからが本番だ。参院は「良識の府」とともに「再考の府」とも呼ばれる。まさに良識でじっくり再考してもらいたい。
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熊本日日新聞 2015年07月17日
社説:安保法案、衆院を通過 無理を通す数の力の傲り


 「反対」の民意に向き合わず、「憲法違反」との疑念は置き去りにしたまま、国の針路にかかわる重要法案が成立に突き進もうとしている。「民主主義の危機」ともいえる状況ではないか。
 集団的自衛権行使の解禁を柱とする安全保障関連法案が自民、公明両党などの賛成で衆院を通過した。安倍晋三首相自らが「国民に十分な理解が得られていない」と認める中、与党は採決強行に踏み切った。多くの憲法学者が突きつけた「違憲」との指摘に対して、安倍首相は最後までまともに答える姿勢を見せなかった。
 政府、与党の前のめりの背景には、参院で採決に至らなくても衆院で再可決できる「60日ルール」がある。その適用には会期末まで十分な日数を確保する必要があった。来夏の参院選勝利に向け、不人気政策は早めに片付けておこうとの思惑もあるのではないか。
 だが、日程ありきの党利党略で進めていい問題ではない。事は戦後の安全保障政策の歴史的大転換を迫る法案審議である。「自民党1強体制」の下で押し切るとしたら、それこそ「数の傲[おご]り」のそしりを免れまい。とかく「衆院のカーボンコピー」と揶揄[やゆ]される参院は、今こそ存在意義を示す時だ。審議を尽くし、あらためて問題点を洗い出してもらいたい。それでも国民の理解が進まないなら、廃案も検討されるべきだろう。
 集団的自衛権とは、平たく言えば他国の戦争に“助っ人”として参戦することを指す。国際法上は認められるが、歴代内閣は憲法9条が許容する「必要最小限度の範囲を超える」として、行使を禁じてきた。安倍政権は昨年7月1日の閣議決定で憲法解釈を変更、一部の行使を容認した。
 その閣議決定を具体化したのが今回の法案だが、成立すれば自衛隊は「専守防衛」の枠から大きく踏み出す。憲法9条に基づく「平和主義」は事実上、有名無実化する。戦後日本の根幹の揺らぎは、「国のかたち」を変えることにもつながっていく。要は、海外で武力行使できる「普通の国」に姿を変えるということだろう。
 しかし、無理に外見を変えても心が付いていかなければ混乱を来すだけだ。「反対」の声の高まりは、政権の方針に違和感を覚える人が増えていることを示す。「変わりたくない」「変わる必要はない」との意思表示だ。
 安倍首相は「限定的」な集団的自衛権の行使だから問題ない、との立場を貫き通している。「国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」(存立危機事態)という武力行使の要件を設け、▽朝鮮半島有事での米艦防護▽中東・ホルムズ海峡の機雷掃海-といった事例しか今は念頭にない、などと強調した。
 だが「存立の危機」「明白な危険」は考え方によってどうにでも扱える曖昧な言葉だ。時の政権が「危機であり危険だ」と言えば事足りるような危うさがある。安倍首相は先に挙げた2例以外、「手の内は詳細に言えない」として具体例を示さなかった。政権の裁量次第という側面はそんなところにも垣間見えるのではないか。
 自衛隊がホルムズ海峡まで出向くのも可能となるなら、集団的自衛権の範囲は「地球の裏側」まで広がることにもなる。「限定的」との説明とは大きなギャップがあるように思えてならない。武力行使の要件が有効な歯止めになっていないとの懸念は拭えない。
 このほかの論点についても審議が進むほどに疑問は膨らむばかりだったが、そこへ思わぬところから重大な疑義が呈された。衆院憲法審査会に出席した3人の憲法学者がそろって「憲法違反」と断じた場面だ。安倍政権による憲法解釈変更を、そもそも「違憲」とする厳しい問題提起だった。
 政府は1959年の砂川事件最高裁大法廷判決を根拠に「合憲」の見解を出して反論したが、判決は「集団的自衛権とは関係ない」との認識が憲法学者の間では支配的だ。首相は「憲法違反ではないと確信している」と語ったが、説得力を欠いた。多くの国民が感じていた漠とした不安は「違憲」という言葉を得て、一気に膨らんでいったのではないか。
 安倍首相の視線の先には憲法改正がある。今、集団的自衛権に突き進むのは、先に実態を進め、後で実態に合わせて憲法を改正する算段かもしれない。日本の安全保障環境が厳しさを増している点は理解できる。そうした状況に対する強い信念があるなら、“裏口”ではなく“表玄関”から堂々と憲法改正に挑めばいい。それが真のリーダーのあるべき姿だろう。
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宮崎日日新聞 2015年7月17日
社説:安保法案衆院通過 ◆政治不信高める強硬姿勢だ


 安倍晋三首相が「国民に十分な理解を得られていない」と認めた安全保障関連法案が衆院本会議で可決された。自民、公明は数の力で押し切った。
 民意を無視した強引な進め方は国民の無力感を生み、政治参加への気持ちを後退させる危険性をはらんでいる。文化人や学者たちは立憲主義や民主主義が危機的状況にあると警鐘を鳴らす。今、安倍政権に必要なのは一方的な説明でなく、国民との対話だろう。
国民の理解置き去り
 「これが民主主義か」「なぜ急ぐのか」「説明不足」-。
 列島各地で批判の声が上がっている。安保政策が大きく転換する法案の審議が進むごとに国会周辺は抗議する人々であふれ、大学生らのグループも「みんなで声を上げよう」と盛んに呼び掛けた。
 学者のグループ、作家ら文化人のグループは賛同者を増やしながら法案は憲法違反だと訴え、報道各紙も世論調査結果を突き付けて、国民の理解を置き去りにした安倍政権の姿勢を批判してきた。
 だが安倍政権は踏みとどまることをせず、むしろそれらの声を振り払うかのようにスピードを上げた。声が上がっても聞く耳を持たず、理解が追いついていないと分かっていても採決に至る。このような状況で、国民は政治に参加している実感を持てるだろうか。
 ただでさえ法案は憲法違反の疑いが持たれている。これを多数決で成立させようとすること自体、理解に苦しむ。乱暴なやり方に、政治への不信感を高まらせる国民は多いだろう。
 折しも選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公選法が公布されたばかり。民意に寄り添おうとしない政治の在り方を見せられ、若者たちは何を思うだろうか。
説明より対話が重要
 衆院を通過し安倍首相は「今日から議論が新たなスタート。党を挙げて丁寧な説明をしたい」と語ったが、それは衆院での採決前にすべきことだった。順序が逆だ。
 可決に至るまでの手順も正しかったと言えるだろうか。憲法改正の手続きを踏むべき集団的自衛権行使について、解釈変更を閣議で決定。法案の国会提出前には米議会で夏までの成立を約束した。また「60日ルール」適用も念頭に置いた日程作成は、国民的議論の成熟を待とうとしない態度の表れだ。
 民主主義に逆行するような姿勢に文化人の発言が相次いでいる。アニメ映画監督・宮崎駿さんは法案に対し「私は正反対の方向がいい。違う方法を考えないと。そのために私たちは平和憲法を作った」と語り、首相について「憲法解釈を変えた男として歴史に残りたいのだろうが愚劣なこと」と厳しい。
 作家・瀬戸内寂聴さんは最近の日本の雰囲気が戦前に似ていると話し「すぐそこに軍隊の靴の音が聞こえてくる危険な感じがする」と危惧する。国民が何を恐れているか聞くことが、丁寧な説明より先にすべきことではないか。
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南日本新聞 ( 2015/7/17 付 )
社説: [安保法案衆院通過] 改憲を正面から国民に問うのが筋だ


 安全保障関連法案が衆院を通過した。衆院特別委員会に続いて、与党の自民、公明両党による連日の採決強行である。
 著名な憲法学者や元内閣法制局長官らが違憲性を指摘し、根幹が揺らいでいる法案だ。
 審議を尽くし「違憲法案」の疑念を晴らすのが、立法府の責務ではないか。
 それを何事もなかったように多数決で押し通す。
 国会内外の批判に耳をふさぎ、政府案を通すだけなら国権の最高機関の名に値しない。
 安保法案そのものも、「平和憲法」の看板を下ろさなくてはいけないような内容だ。
 戦後70年の節目に、平和国家の歩みを止めることにならないか。国民の不安は、そこにもある。
 本来であれば、改憲を正面から国民に問うのが筋だ。
 国民の審判を受けないまま、国家権力が国のかたちを変える。民主主義を否定するやり方は、歴史の審判に到底堪えられない。
■合憲の根拠を語れ
 法案は「専守防衛」を放棄し、集団的自衛権行使を可能とした。
 憲法9条の解釈を180度転換させた昨年7月の閣議決定が、法案の土台である。
 安倍晋三首相は「専守防衛がわが国の防衛の基本方針であることに、いささかの変更もない」と断言した。
 必要とあれば自衛隊を地球の裏側まで派遣し、日米同盟を強化しようというのに、なぜ「いささかの変更もない」と言い切れるのだろう。
 集団的自衛権といっても、日本の国や国民を守る「自衛」目的の活動しか認めないからだ。首相はそう説明する。つまり自衛のための集団的自衛権行使だ。
 9条の下、自国の守りに徹するのが歴代政権の専守防衛だった。戦後一貫して日本が内外に宣言してきた国是である。
 「他衛権」とも呼ぶべき集団的自衛権を専守防衛に入れるのは拡大解釈であり、強弁も度を過ぎよう。
 元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏は、集団的自衛権の本質は他国防衛と指摘し、その行使を禁じた1972年見解を容認の根拠とした政府を「黒を白と言いくるめる類い」と国会で批判している。
 首相は2年前、自らの考えに近い外務省出身者を内閣法制局長官に起用した。
 政府の憲法解釈に関して、「最高責任者は私だ」とも述べた。
 異例の人事といい、政治権力にたがをはめる立憲主義への無理解は明らかだ。
 時の首相の一存で違憲だったものが合憲となったり、次の首相でまた違憲に戻ったり。
 憲法解釈が伸び縮みするゴムのようなら、憲法は信用を失う。
 衆院特別委での審議は分かりにくく、首相も「国民に十分な理解を得られていない」と認めるほかなかった。
 堂々めぐりの不誠実な答弁に加え、事態が乱立する法案そのものも複雑、難解ではある。
 ただ、分かりにくいのは勝手に定義を変えて、「黒を白と言いくるめる」政府の姿勢にこそある。議論がかみ合わないのは当然で、時間をかけて丁寧に説明すれば理解できるものではない。
 首相は違憲法案との批判に「政治家は常に、必要な自衛の措置とは何か、どこまで認められるのかを考え抜く責任がある」と反論した。
 批判をそらさず、「合憲だと絶対的な確信を持っている」と明言した、その根拠をきちんと語るべきだ。
■国会軽視が目に余る
 第2次安倍政権で「積極的平和主義」を掲げてから、平和国家の屋台骨を揺さぶる動きが続く。
 気になるのは、国民も国会も眼中にないかのような首相の振る舞いだ。
 安保法案にしろ審議入りする前に、その内容を先取りした日米防衛協力指針(ガイドライン)を米国と再改定した。米議会で今夏の法案成立まで公約した。
 自民1強国会である。首相は国会審議を結果の見えた消化試合としか考えていないのではないか。国会軽視が目に余る。
 会期末の9月27日まで2カ月以上残しての衆院通過だ。たとえ参院が議決しなくても、衆院で再可決して成立させる「60日ルール」の保険がある。
 だからといって、参院の審議がおろそかになってはならない。
 三権分立の形骸化は権力の乱用につながるし、何より国民が理解していないからだ。
 衆院特別委の審議で明らかになった疑問は多い。存立危機事態の曖昧さや歯止めの不明確さなど、参院でたださなければならない。
 衆院特別委での審議は約116時間だった。戦後の安保法制に関する審議時間では2番目の長さである。
 10本の改正案をひとくくりにした法案もある。審議時間はいくらあっても足りないだろう。国民の負託に応える論戦を期待する。
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琉球新報 2015年7月17日 6:01
<社説>安保法案衆院可決 国民の危機感無視するな


 議場における数の力で民主主義を破壊する蛮行だ。国の将来を憂い、危機感を募らせる国民を無視することは断じて許されない。
 安全保障関連法案が衆院本会議で可決された。野党5党は採決に加わらなかった。前日の平和安全法制特別委員会での強行採決に続く異常事態だ。法案が国民の支持を得ていないことの証左である。
 最近の各報道機関の世論調査を見ると、法案に「反対」する声が多数を占めている。安倍内閣の支持率は「支持しない」が「支持する」を上回るか、拮抗(きっこう)するようになった。支持率の低落傾向が顕著になっている。
 国民の意思は明確だ。安全保障関連法案の成立を拒否しているのであり、それを強行する安倍内閣にノーを突き付けているのだ。
 安倍晋三首相自身も特別委員会の中で「国民の理解が十分に得られていない」と述べ、国民の反対の多さを認めた。その自覚があるならば、当然採決を見送るべきであった。安倍首相は「理解が進むよう努力を重ねていきたい」とも述べたが、順序が逆だ。法案が可決成立してからでは遅いのである。
 国民は安保関連法案の本質を見抜き、平和憲法をなし崩しにする安倍政権に異議を申し立てているのである。国民世論と真正面から向き合うことなく、法案成立を強行する行為は民主主義にもとる。国会周辺のデモに代表される国民の声を軽んじてはならない。
 与党は「審議は尽くした」と説明するが、到底納得できない。確かに特別委員会は審議に116時間を費やしたが、国民の疑問に答えるような議論の深まりはない。
 集団的自衛権行使をめぐる憲法論争は決着していない。行使要件となる「存立危機」の定義も不明確だ。自衛隊員のリスクについても安倍内閣と野党の主張はかみ合わなかった。採決に踏み切るような環境にはなかったのだ。
 舞台は参議院に移る。憲法問題などを論点に徹底審議すべきだ。国民を置き去りにし、強行採決をするような行為を繰り返してはならない。「60日ルール」による逃げ切りなど、もっての外だ。
 戦後70年の間に築かれた「国のかたち」を強引に葬ろうとする安倍内閣と現国会に、私たちは国の将来の全てを委ねてはいない。国民が拒否する安保関連法案は廃案にすべきだ。さもなくば衆議院を解散し、国民の信を問うべきだ。
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