2015-07-29(Wed)

小型機墜落事故 住民の不安を減らそう  各紙社説等 150728-29

住民の懸念現実になった 徹底究明で住民不安拭え 安全対策抜かりないか

<各紙社説・主張>
読売新聞)調布小型機墜落 整備点検に問題はなかったか(7/28)
毎日新聞)小型機墜落事故 安全に死角なかったか(7/28)
産経新聞)小型機墜落 徹底究明で住民不安拭え(7/28)
東京新聞)小型機墜落 住民の不安を減らそう(7/28)
北海道新聞)小型機墜落 あらゆる角度で究明を(7/28)
新潟日報)小型機墜落事故 住民の懸念現実になった(7/29)
京都新聞)小型機墜落  事故を根絶する捜査に(7/28)
神戸新聞)小型機墜落/再発防止に真剣に当たれ(7/29)
中国新聞)小型機墜落 安全対策抜かりないか(7/29)
南日本新聞)[小型機墜落] まず原因の徹底究明を(7/29)
琉球新報)小型機墜落 原因究明し再発防止図れ(7/28)




以下引用



読売新聞 2015年07月28日 01時23分
社説:調布小型機墜落 整備点検に問題はなかったか


 炎に包まれた住宅と裏返しになった機体が、事故の衝撃を物語る。小型機に何が起きたのか。
 東京・調布飛行場を離陸した直後の小型プロペラ機が、近くの住宅街に墜落した。民家が全焼し、巻き添えになった住民1人と、機長、同乗者の計3人が死亡した。
 警視庁は、業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。運輸安全委員会も調査官を派遣した。墜落原因の徹底解明を望みたい。
 「低空飛行で、おかしいと思った」「プロペラ音が止まったようだった」。目撃証言からは、墜落直前の小型機の異常な様子がうかがえる。多くの専門家が機体トラブルの可能性を指摘する。
 小型機にフライトレコーダーは搭載されていないため、目撃者や負傷した同乗者の証言が原因究明の重要な手がかりとなろう。
 機体の整備に問題はなかったのか。小型機は、不動産関連会社の所有で、航空機整備会社が管理していた。年1回の国の耐空検査に、5月に合格したばかりだった。
 今回の飛行では、整備会社から機長が経営するパイロット養成会社に時間貸しされていた。機長が事前に実施したテスト飛行では、異常がなかったとされる。
 機長は事故当日、飛行前点検も実施した。エンジンの点検内容などについて、整備記録のチェックが重要である。
 機長は、事業用操縦士資格のほか、パイロットの訓練や指導ができる「操縦教育証明」の国家資格も有していた。
 ただし、国内の飛行時間は600~700時間で、まだベテランとは言えないという。今回の飛行目的は、自らの技術を維持する「慣熟飛行」と届け出ていた。
 墜落前、小型機が本来のルートを外れ、左に旋回した理由も調べねばならない。「トラブルが起き、飛行場に戻ろうとしたところ、急激に出力が落ちたのではないか」という専門家の見方がある。
 東京都営の調布飛行場の発着数は、年1万6000回余りに上る。管制官はおらず、パイロットが自らの判断で離着陸している。
 伊豆諸島への定期便や自家用機の拠点として、利用される一方で、飛行場周辺の住民からは、事故への懸念の声が上がっていた。
 都は、事故原因がはっきりするまで、自家用機の発着を自粛してもらう方針だ。住民の不安を考えれば、適切な対応だろう。
 国土交通省は、小型機が発着する空港の安全対策や機体の整備体制などを総点検すべきだ。
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毎日新聞 2015年07月28日 02時31分
社説:小型機墜落事故 安全に死角なかったか


 地元住民が心配していたことが現実に起きてしまった。
 東京都調布市の調布飛行場を小型機が離陸して間もなく住宅街に墜落し、住民の女性ら3人が死亡する惨事になった。
 住宅地に近接した飛行場の利用や小型機の運航に安全の死角がなかったか、厳しく問われる事態だ。
 調布飛行場は都営空港で、伊豆諸島と結ぶ小型機の定期便や自家用機などが利用している。事故を起こした小型機は定員6人のプロペラ機で、死亡した機長ら5人が乗って伊豆大島に向かうため離陸して数十秒後に墜落した。
 機体のエンジンに異常があったのか、機長の操縦にミスがあったのかなど原因はまだはっきりしない。
 事故機は2004年にも札幌市の丘珠空港で着陸に失敗する事故を起こしている。この事故との関係も含め、国土交通省の運輸安全委員会には、あらゆる可能性を排除せず徹底して原因を究明してほしい。
 小型機の事故は頻発している。運輸安全委員会の資料によると、1974年以降、自家用機を中心とする小型機の事故は374件に上り、航空機事故全体の3割近くを占める。操縦が原因とみられるケースが目立つ。大型機に比べて事故への注目度は低かったが、小型機をめぐる国の安全対策に問題はなかったか、検証しなければならない。
 調布飛行場の場合、滑走路を南に向かって離陸した後、住宅街への騒音を軽減するため安全な高度へ早めに到達したうえ、左右どちらかに速やかに旋回することになっているという。こうした事情が影響したかどうかも究明する必要がある。
 調布飛行場では80年、離陸した小型機が中学校の校庭に墜落する事故があり、住民から安全を不安視する声が上がっていた。滑走路内での事故やトラブルも起きていた。
 飛行場を管理する東京都は97年、昼間の有視界飛行に限ったり、年間離着陸の回数に上限を設けたりして安全面に配慮する「覚書」を調布市など3自治体と結んだ。
 しかしその後、航空機に指示をする航空管制官が国の人件費削減でいなくなったうえ、悪天候で視界が悪くても計器による飛行が一部認められるようになったため、住民の不安は強まっていた。
 飛行場の利便性を重視するあまり、安全管理がおろそかになっていなかったか。今回の事故で住民の反発が高まる可能性がある。東京都には、住民や地元自治体と真剣に向き合う責任がある。
 全国には住宅街に近い空港が各地にある。いま一度、安全最優先に立ち返る時ではないか。
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産経新聞 2015.7.28 05:02
【主張】小型機墜落 徹底究明で住民不安拭え


 東京都調布市の住宅街に、調布飛行場を離陸直後の小型飛行機が墜落し、8人が死傷した。直撃を受けた民家は激しく炎上し、住民の女性も亡くなった。
 何ら落ち度のない住民の巻き添えは、最悪の事態である。事故原因の究明を急ぎ、再発防止策を徹底して空港周辺に居住する住民の不安を払拭しなければならない。
 事故機は離陸後1分足らずで左旋回し、墜落した。航空機事故の多くは離陸直後の3分間と着陸前の8分間に起きるとされ、「魔の11分間」と呼ばれている。
 事故原因は、大きく3つに分類される。一つはエンジン故障、整備不良など機体の不備であり、一つは操縦ミスだ。もう一つには悪天候があげられる。
 事故当日の天候に問題はなく、機体や操縦に問題はなかったかが焦点となる。警視庁が業務上過失致死傷事件として捜査しており、国土交通省も航空事故と認定し、運輸安全委員会は航空事故調査官3人を派遣した。
 事故機にフライトレコーダーなどは搭載されていなかったが、同乗した3人の生存者の回復を待って事情を聴くほか、機体やエンジンの残骸調査から事故原因を探ることになる。
 現場近くでは少年サッカーや野球の試合が行われており、関係者が撮影したビデオには、通常より低空を飛ぶ事故機の映像が残されていた。これらも原因究明の貴重な資料となるだろう。
 住宅地に隣接する調布飛行場では昭和55年にも離陸直後の小型機が市立調布中学校に墜落する事故があった。生徒や住民に被害はなかったが、機長ら搭乗者2人が死亡している。
 飛行場を運営する東京都は平成9年、年間離着陸回数に上限を設け、観光目的の遊覧飛行は禁じている。事故機の飛行目的は操縦士の技術維持を目的とする「慣熟飛行」だったが、この場合、操縦免許取得を目指す人だけが同乗を認められる。4人が同乗した経緯についても調べる必要がある。
 東京都は事故後閉鎖していた調布飛行場について、伊豆諸島などへの定期便に限って運航を再開した。自家用機の運航は、事故原因が判明し、再発防止策がとられるまで自粛を要請している。当然だろう。原因究明を抜きに、再発防止も信用回復もあり得ない。
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東京新聞 2015年7月28日
【社説】小型機墜落 住民の不安を減らそう


 小型プロペラ機が墜落し八人が死傷した事故は、なぜ起きたのか。調布飛行場(東京)を離陸直後の出来事だった。住民を巻き添えにした事故だけに、惨事への徹底した原因解明が求められる。
 伊豆大島に向けて、日帰りフライトの予定だった。調布市の飛行場から離陸したものの、わずかな時間で滑走路の南端から約八百メートル離れた住宅街に墜落してしまった。住民を含む三人が死亡し、五人がけがをした。
 分かっていることは、離陸直後から高度が上がらず、極めて低空を飛んでいたことだ。動きも不安定だった。墜落地点からみて、飛行機が左に旋回したことも明らかだ。左に傾いたまま徐々に降下した。「ガチャガチャという不快なエンジン音がした」との証言もある。エンジンに何か不調が起きたのだろうか。人為的な操縦ミスがあったのだろうか。
 国の運輸安全委員会は、航空事故調査官を派遣している。警視庁も捜査本部を設置した。なぜ墜落事故が起きたのか、原因解明が一刻も早く望まれる。もともと調布飛行場の運用そのものに住民の反対運動もあるためだ。
 住宅地に隣接する、この飛行場では一九八〇年に小型機が中学校の校庭に墜落する事故が起きていた。生徒が巻き添えになることはなかったが、「また住宅街に落ちるのでは」という不安感を強烈に住民に刻みつける事故となった。もちろん騒音の苦情も多い。
 空港法では拠点空港でも、地方管理空港でもない「その他の空港」の扱いである。人件費の削減のために二〇〇六年からは管制官もいなくなっていた。空港の管理が手薄になっていた一面があるのなら、運用を根底から見直す必要があろう。
 事故の原因究明と並行して、この空港が抱える危険性について徹底検証してほしい。反対運動にも耳を傾けねばならない。少なくとも、東京都と住民の間で安全対策などについて、話し合いを濃密に行わないと、この不安は簡単にはぬぐえない。
 〇一年には三重県桑名市でヘリコプターと小型機が衝突し、民家に墜落した事故があった。〇四年には甲府市で、一四年には愛知県豊田市で小型機が墜落する事故が起きている。同県にある「名古屋空港」は年間の着陸回数が二万回を超える。九四年に中華航空機が墜落した現場だ。
 空港に“死角”はないか再点検してほしい。
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北海道新聞 2015/07/28 08:50
社説:小型機墜落 あらゆる角度で究明を


 のんびりした日曜日の住宅街で信じがたい惨事が起きた。
 東京都調布市で小型飛行機が墜落、大破して炎上した。小型機の男性2人のほか、民家にいた女性1人が巻き込まれて死亡した。
 民家に突っ込んだ小型機は爆発音とともに火柱を上げて燃え上がり、住宅も9棟焼けた。
 突然、命を奪われた犠牲者の無念さや、被害にあった民家の人々の恐怖を思うとやりきれない。
 今回の事故は目撃者も多い。エンジンの異常音を聞いた住民に加え、飛行する小型機の様子をとらえた動画もある。助かった同乗者の証言も手がかりになるだろう。
 関係機関にはあらゆる角度から原因を究明し、再発防止策の徹底を図るよう求めたい。
 小型機は調布飛行場を離陸後、1分足らずで約500メートル離れた住宅街に墜落した。原因は明らかではないが、エンジントラブルで出力が上がらず、高度が十分でなかった可能性もあるという。
 定員6人の機材に5人が乗り、燃料も重かった上、気温が高く空気密度が低いため酸素が薄く、燃料の燃焼が不十分で出力が不足したのではないかという見方だ。
 操縦ミスも考えられる。徹底的に調べてほしい。
 調布飛行場は年間1万6千回の離着陸がある。国の管制官はおらず、国土交通省の外郭団体職員が天候や滑走路の情報を提供する。
 1980年には、今回の現場に近い調布中学校校庭に離陸直後の小型機が墜落し、搭乗者2人が死亡する事故が起きている。
 全国では大阪・伊丹空港や愛知県営名古屋空港、福岡空港など、市街地に近い空港は少なくない。
 道内に目を転じれば、札幌丘珠空港も滑走路から約500メートルの距離に住宅街が広がる。
 もちろん、管制官がおらず、滑走路の長さも乗り入れ機材の点検方法も異なる調布飛行場と同じに考えるわけにはいかない。
 だが、万一事故が起きれば大きな被害が出かねない。今回の墜落事故を機に、各空港にも安全確保へ向けた取り組みを望みたい。
 航空機の事故は74年以降、全国で1342件起きている。大型機に比べ、小型機や滑空機など個人的にレジャーで使う機材の事故が圧倒的に多いのが実態だ。
 今月20日にも根室管内別海町でセスナ機が墜落し、乗っていた4人が重軽傷を負った。
 機体の整備や点検の徹底はもちろん、操縦者には自覚と責任を持った運航が求められる。
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新潟日報  2015/07/29
社説:小型機墜落事故 住民の懸念現実になった


 のどかに過ごしているはずの休日を突然の惨事が襲った。
 東京都調布市の住宅街に、調布飛行場を離陸したばかりの小型プロペラ機が墜落し、巻き添えになった女性1人を含む3人が死亡、5人が負傷した。
 女性は母親と共に引っ越してきたばかりだった。痛ましいと言うほかない。
 調布飛行場をめぐっては、1980年に離陸直後の小型機が近隣中学校の校庭に墜落する事故が起きたほか、小型機が胴体着陸するケースも昨年あった。
 もしも事故に巻き込まれたら、という住民の不安が現実のものとなったといえる。
 警視庁は業務上過失致死傷事件として捜査本部を設置した。なぜ事故が起きたのか、原因究明に努めてもらいたい。
 小型機は5月1日付で機体性能が基準を満たしていることを示す「耐空証明」を更新、事故数日前に機体を管理する会社が行ったテスト飛行でも問題はなかった。
 ところが、離陸後、低空飛行のまま1分足らずで墜落した。目撃証言によると、左に傾き、ぐらぐらしながら飛んでいた。機体からは異常音がしていたという。
 行き先は伊豆大島で、パイロット免許を持つ人が技能を維持する「慣熟飛行」が目的だった。
 ただ、幾つかの疑問点が浮上している。一つは重量だ。
 調布飛行場では観光目的の遊覧飛行は禁止されている。パイロットを目指す人の同乗は許されるとはいえ、機長を含め男性5人が同乗していた。
 積載していた燃料は、伊豆大島までの片道分の5倍に当たる300キロ近くに達していた。
 機体の重さが約1200キロある今回の小型機の場合、理論上離陸可能な最大重量は約1950キロとなる。燃料の余裕をみたにしても乗員の重さを加えると限界に近かったことが考えられるのだ。
 事故機のような単発プロペラ機のエンジンは高温に弱く、35度前後から急激に出力が下がるといわれる。当時は気温34度で性能低下につながった可能性もある。
 滑走路の長さが800メートルしかなかったために十分な揚力を得られなかったとの見方も出ている。
 エンジンなどの機材トラブルとともに、こうした点がどう影響したか、機長がどこまで点検、把握していたか調べる必要があろう。
 小型機は飛行データや音声を記録する装置を備えていなかった。74年以降に発生した航空機事故1342件のうち小型機は3割近くで、大型機の2倍を超える。
 万一の際、原因解明に支障を来す恐れがある。装置の義務化を検討すべきではないか。
 羽田や福岡といった市街地に近い空港周辺では、今回の事故に不安を募らせる人もいるはずだ。新潟空港も同様といえる。
 東京都は事故原因が分かるまで、調布飛行場での自家用機の発着自粛を求めた。
 住民の安全確保に努めるのは当然だろう。同時に、今後の調べで浮かび上がる問題点を着実に反映させ安全対策に万全を期したい。
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[京都新聞 2015年07月28日掲載]
社説:小型機墜落  事故を根絶する捜査に


 東京都の調布飛行場を離陸した小型プロペラ機が1分足らずで滑走路近くの住宅街に墜落し、炎上した。操縦していたパイロットと同乗者、住宅にいた女性各1人の計3人が死亡し、小型機の同乗者3人と住宅の2人がけがをした。
 事故前後の模様は、たまたま市民が撮影した動画カメラやビデオがとらえていた。小型機とはいえ、大量のガソリン系燃料を積み込んでいる。機体周辺の火の勢いはすさまじく、住宅1棟を全焼したうえ、9棟の一部が焼けた。
 現場周辺には、サッカーJリーグの試合にも使われる味の素スタジアムなどのスポーツ施設や中学校があるほか、中央自動車道、私鉄線も走っている。2001年以降、国内での小型機墜落は12件が発生し、計30人余りが死亡しているが、操縦士や同乗者以外が事故に巻き込まれて犠牲になったケースはないという。
 目撃者の話では、離陸直後からプロペラ音が異常で、機体がふらつき、飛行高度が低いまま、住宅街に突っ込んだという。
 警視庁が業務上過失致死傷事件として捜査を始め、国土交通省の運輸安全委員会も航空事故調査官を派遣した。機体トラブルの有無など事故原因の究明が急がれる。痛ましい事故を未然に防ぐ捜査と調査にしてほしい。
 小型機のパイロットは自身の技能維持のための「慣熟飛行」を目的に伊豆大島まで飛行を計画していた。パイロットが許可なく操縦士訓練をしていた疑いもあり、同乗していた4人が乗り込んだ経緯や飛行目的などを調べている。
 同時に、墜落の恐れがある場合は出発した飛行場に戻るか、住宅街を避け広い場所に不時着させるなど、回避行動が取れなかったか理由を分析することも重要だ。
 調布飛行場は戦後、離島振興に役立てることを目的に東京都が国から管理と運営を引き継いだ。東京と伊豆諸島を結ぶ民間定期便の拠点にも使われ、周辺の騒音軽減や安全確保のため、発着回数を制限している。遊覧飛行は禁止し、自家用機を含む小型機の利用は年1万4千~6千回で推移している。
 市街地に近接した飛行場は各地にあることを忘れてはならない。大阪空港(兵庫県伊丹市など)は住宅街を縫うように航路があり、八尾空港(大阪府八尾市)も調布飛行場と同様に小型機が多く利用している。日航ジャンボ機墜落事故から30年目の夏に起きた今回の事故をしっかり検証し、安全確保への教訓としたい。
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神戸新聞 2015/07/29
社説:小型機墜落/再発防止に真剣に当たれ


 燃料を満載した飛行機が空港と目と鼻の先の住宅地に落ちる。地上での惨状は、思うだけで恐ろしい。
 東京都調布市の小型機墜落事故は最も心配されてきたことだ。日本には住宅地と接する空港が多くあり、機体や飛行の管理はどうか、あらためて点検する必要がある。
 事故が起きたのは、26日午前11時ごろ。その約1分前に調布飛行場を離陸した5人乗り小型機は、低空飛行のまま住宅街に突っ込んだ。機長と搭乗者、住人の女性の計3人が死亡し、5人が重軽傷を負った。
 天気、視界は良く、風もあまりなかった。にもかかわらず、高度を上げずに墜落したのは、なぜか。
 運輸安全委員会の調査や警察の捜査が進むにつれ、事故の輪郭が少しずつ見えてきた。
 小型機は伊豆大島まで飛行し、午後4時半に戻る予定だった。機長の技能維持のための「慣熟飛行」が目的だったとされるが、機長以外に4人搭乗していたのは解せない。
 大量の燃料を積んでいたことも不可解だ。万一を考え余裕を持たせるのは分かるが、往復分の2倍以上の燃料はいくらなんでも多すぎる。
 事故機は機体の重さが約1200キロあり、離陸可能な最大重量(最大離陸重量)は約1950キロとされる。差し引き750キロの人や物を積める計算だが、燃料と5人の体重、荷物を加えるとぎりぎりの重量だったのではないか。単発プロペラ機のエンジンは気温が上がると出力が下がるとの気になる指摘もある。
 いずれも原因に結びついた可能性は否定できず、究明が不可欠だ。
 飛行場がどのように利用され、小型機の飛行実態はどうだったか。不透明さや曖昧さがのぞく。
 同飛行場では「遊覧飛行」は禁止されているが、搭乗者数や積載燃料から遊覧目的が疑われている。しかし、提出書類からは確認できず、形だけだった疑いがある。
 小型機の運用面でも同じことが言える。事故機を整備、管理していた会社の社長は、機長の記載内容以外、把握していないと釈明する。
 航空法では最大離陸重量が2トン程度の小型機には飛行記録装置や音声記録装置の設置義務はなく、原因究明作業は難航が予想される。
 小型機の墜落事故は各地で起きている。再発防止と責任を曖昧にしない仕組み作りを急ぐべきだ。
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中国新聞 2015/7/29
社説:小型機墜落 安全対策抜かりないか


 あってはならないことが起きた。東京都調布市の住宅街に小型飛行機が墜落し、乗っていた2人と民家にいた女性1人が死亡した。都が運営する調布飛行場を飛び立って間もない惨事である。民間機の墜落で、戦後初めて住民が巻き添えになった衝撃はあまりにも大きい。
 国の運輸安全委員会の調査に加え、きのう警視庁が墜落機を管理する会社などの強制捜査に乗りだしたのは当然のことだ。
 事前の点検で問題はなかったというが、離陸後の異常な飛び方が目撃されている。燃料や人員も含めた重量が限界ぎりぎりだった点が関係しているのかもしれない。ただ機体が小さいためフライトレコーダーなどが設置されておらず、難しい調査とはなろう。関係機関は原因の究明に力を尽くしてほしい。
 むろん安全確保は全容の解明を待ってはいられない。太田昭宏国土交通相は業界団体に整備徹底などを指示したものの、事故の調査結果を待って小型機運航のきめ細かい安全対策を考える姿勢を示した。少々生ぬるくも映る。調布に限らない。運航ルールや機体整備などの手だてに抜かりはないか。すぐに官民挙げてあらゆる角度で検証し、対策を強化すべきだ。
 というのも、このところ小型機による事故が続き、空の安全を考える上で大きな懸案になっていたからだ。ことし6月には岡山市にある小型機専用の岡南飛行場でも小型ジェット機のオーバーラン事故が起きた。
 小型機は運送事業からレジャーまで幅広く活用される。気軽にチャーターでき、飛び方もさまざまだ。半面、機体点検や重量チェック、気象条件の確認などは機長一人に任されることも多く、その力量が安全を左右する。国も昨年から操縦者の定期的な技能検査を義務付けたが、現に重大事故が発生した。
 今回の事故では、さまざまな疑問が浮上している。死亡した機長は、操縦士の技術を保つための「慣熟飛行」と届け出ていた。しかし実質的には、地元との申し合わせで都側が禁じている遊覧飛行だったとの見方もある。もともと旅客便を運航する航空会社と比べ、小規模な会社が動かす小型機は運用に厳格さを欠くきらいはないか。そんなふうにも思いたくなる。
 もう一つ考えるべきは、日本の飛行場の一部が人口密集地に囲まれている重い事実である。
 調布では、もとより住民の不安が根強かった。1980年にも離陸直後の小型機が近くの中学校の校庭に墜落するなど事故が相次いだからだ。なのに人件費の削減で9年前からは航空管制官もいなくなっていた。
 一方で伊豆諸島の空の玄関口としての役割も強まり、おととし新しいターミナルビルを開設したばかり。就航率アップのため、視界が悪くても離着陸が可能になる計器飛行が反対住民の声を押し切って導入された経緯がある。定期便の事故ではないにせよ、地元からすれば「恐れていた事態」にほかなるまい。
 大阪空港、福岡空港など、市街地に接した空港はほかにもある。沖縄の米軍普天間飛行場の危険性も言うまでもない。
 確かに住宅開発とともに周辺の人口が後になって増えた側面はあろう。だからといって日常的に潜在するリスクを置き去りにすることは許されない。
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南日本新聞 ( 2015/7/29 付 )
社説:[小型機墜落] まず原因の徹底究明を


 「いつ起きてもおかしくない」。そんな周辺住民の心配が現実になってしまった。
 東京都調布市の調布飛行場を離陸した直後の小型プロペラ機が近くの住宅街に墜落、炎上し、搭乗者2人と住民の女性1人の計3人が亡くなった。
 安全なはずの自宅にいながら事故の巻き添えになった女性が、何とも痛ましい。
 伊豆大島までの飛行を予定していた小型機は、片道分の5倍にあたる大量の燃料を積んでいた。
 離陸してすぐに墜落したため、残燃料が多く、一気に激しく炎上したとみられる。
 事故原因はまだはっきりしていない。エンジントラブルはなかったのか、操縦ミスはなかったか。警視庁は業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。徹底的に究明し、再発防止に尽くしてほしい。
 目撃者らによると、機体は離陸後も高度が十分に上がらず、低空飛行のまま1分足らずで墜落したようだ。エンジン音が異常だった、ぐらぐらしながら飛んでいた、などの証言もある。
 国土交通省などによると、事故を起こした機体の理論上の離陸可能な最大重量は約1950キロだという。大量の燃料と搭乗者5人らを合わせ、総重量は限界ぎりぎりだった可能性が高い。
 当日は風が弱く、気温が高かった。事故機のような単発プロペラ機のエンジンは高温になると出力が下がるとされる。
 重量や天候の影響についての判断は適切だったのか、詳しく検証する必要があろう。
 調布飛行場は都が管理し、2010~14年の離着陸回数は定期便や自家用機など年間1万4000~1万6000回で推移している。
 都は調布など周辺3市と安全確保のための覚書を交わし、飛行制限を設けている。観光目的の遊覧飛行は禁止されている。
 事故機は技能維持のための「慣熟飛行」としていたが、遊覧飛行だったのでは、との指摘もある。調査で明らかにしてほしい。
 周辺には住宅が広がり、事故現場近くにはスタジアムや中学校などもある。過去にも、離陸直後の小型機が中学校の校庭に墜落するなどの事故が起きている。
 現場近くに住む住民は「うちが犠牲になっていてもおかしくなかった」と話す。
 小型機事故は全国で発生している。鹿児島県内でも昨年、指宿市の畑に小型飛行機が墜落し、操縦士の米国人男性がけがをした。
 国は、空港の安全対策と小型機の機体点検や運航の安全確保をあらためて徹底するべきだ。
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琉球新報 2015年7月28日 6:01
<社説> 小型機墜落 原因究明し再発防止図れ


 気温36度の酷暑が押し寄せていた休日の白昼、東京都調布市の閑静な住宅街に小型プロペラ機が墜落し、炎上した。
 墜落したのは、近くの調布飛行場から離陸した直後だった。満タンに近い燃料が一気に燃え、操縦士ら2人と巻き込まれて全焼した民家の住民1人が死亡し、計5人が重軽傷を負う惨事となった。
 警視庁の捜査本部によると、墜落直前に「ボコボコ」という異常音を発し、離陸から1分足らずで墜落していた。エンジンなど、機体に何らかの異常を来した可能性が濃厚だ。
 エンジンが2基以上ある大型機と違い、単発の小型機は異常が生じると、空港に戻るか、不時着するしかないという。機体の厳重な安全管理が欠かせない。
 フライトレコーダーなどを備えていないため、国土交通省や捜査本部は重傷を負った同乗者3人の証言、機体の残骸を基に原因を突き止めねばならない。徹底した調査を尽くしてもらいたい。
 小型機による事故は全国で後を絶たない。山中への墜落事例は多いが、住宅街に墜落した事故は珍しい。小型機の安全管理態勢全般に改めるべき問題点がないかについても検証を尽くすべきだ。
 小型機が飛び立った調布飛行場は東京都が管理する。墜落現場の住宅密集地は滑走路南端からわずか500メートルの距離しかない。近くにはサッカーのJリーグの試合が行われる味の素スタジアムや調布中学校がある。1980年には今回同様に離陸直後の小型機が調布中の校庭に墜落し、機長ら2人が死亡している。
 調布飛行場は東京都内の離島便や自家用機として小型機が飛行しており、調布市は自家用機の運航を減らすよう求めていた。禁止されていた遊覧飛行目的だったとの見方も浮上する中、けがをした3人をなぜ乗せていたのかは判然としない。
 今回の重大事故は市街地の空港の危険性を鮮明に示し、飛行制限の議論を呼び起こしている。事故を厳密な安全確保策と再発防止策の確立に結び付けてほしい。
 県内の普天間飛行場と嘉手納基地の両米軍飛行場も市街地の空港に当てはまろう。その離着陸回数は調布飛行場(年1万4千回~1万6千回)を大幅に上回る。事故を機に沖縄の米軍基地の過密さも再検証されるべきではないか。
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