2015-08-03(Mon)

東電元幹部強制起訴 (2) フクシマ原発事故は“人災”

法廷で真相に迫りたい 被害者に寄り添う議決だ 国民の強い怒りの表れだ 市民感覚で見れば当然だ 

<各紙社説>
信濃毎日新聞)東電強制起訴 原因解明につながれば(08/01)
神戸新聞)東電強制起訴/被害者に寄り添う議決だ(08/01)
中国新聞)東電元会長ら強制起訴へ 法廷で真相に迫りたい(08/01)
愛媛新聞)東電元幹部強制起訴へ 原発事故の責任と原因の追及を(08/02)
徳島新聞)東電強制起訴議決 国民の強い怒りの表れだ (08/01)

高知新聞)【強制起訴へ】東電旧経営陣は責任語れ(08/01)
西日本新聞)東電強制起訴 悲劇を繰り返さぬために(08/01)
熊本日日新聞)「東電」強制起訴へ 市民感覚で見れば当然だ(08/01)
南日本新聞)[原発事故起訴] 市民感覚が反映された(08/02)



以下引用



信濃毎日新聞 2015年08月01日(土)
社説:東電強制起訴 原因解明につながれば


 市民らによる2度の判断は重い。
 東京電力の元会長ら旧経営陣3人が、福島第1原発事故を招いたとして、業務上過失致死傷罪で強制起訴されることになった。
 有権者ら11人でつくる検察審査会が「大津波が来る危険性を予見しながら、万が一に備えた対策を怠った」と結論付け、再び「起訴相当」と議決した。
 発生から4年以上たっても、福島県内で約11万人が避難を余儀なくされている未曾有の事故だ。審査会は前回の議決から全員が入れ替わっている。審査会の判断は、多くの市民の思いを反映しているといえる。
 東京地検は「巨大津波の予測や事故の対策はできなかった」として2013年9月に不起訴。審査会が昨年7月に起訴相当と議決したのを受けて再捜査し、今年1月に3人を再び不起訴処分にした。
 地検と審査会の判断は正反対だ。元会長らが刑事責任を負うべきか、公開の法廷で明確にすることが必要だ。事故の教訓をあらためて示すことにもつながる。起訴される3人は、事故に至った経過を真摯(しんし)に話してほしい。
 裁判では、大地震の津波による原発事故を、予測することができたかどうかが争点になる。
 審査会の議決は、「津波の高さが15・7メートルになるとの試算結果を(3人が)09年6月までに受けていた」ことを重視。事故を予見できたのに、回避措置をとらなかったと問題視した。
 これに対し、東京地検は「データの信頼性が低く、漠然とした危機感のみでは業務上過失致死傷罪は成立しない」と判断している。
 法廷では、検察官役となる弁護士が「予見可能性」を立証していくことになる。膨大な資料や証言が法廷に示されるだろう。
 東電の中で何が起きて、誰がどう判断したのか。避けることができない事故だったのか。国民が疑問に感じてきたことを明らかにしてほしい。
 原発事故は甚大な被害をもたらす。審査会は今回の議決で「原発に関わる責任ある地位の者は、万が一の事故に備える高度な注意義務がある」と結論付けた。
 福井地裁も昨年5月、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた際、原発の安全性は「具体的危険性が万が一でもあるかが判断の対象とされるべきだ」と判断している。
 原発に対する安全責任が、ほかの事故責任と同等でいいのかも、議論を深める必要がある。
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神戸新聞 2015/08/01
社説:東電強制起訴/被害者に寄り添う議決だ


 未曽有の原発事故を引き起こした東京電力の旧経営陣が、法廷で刑事責任を問われることになった。
 福島第1原発事故をめぐり、周辺住民らから業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、東京地検が2度不起訴処分にした勝俣恒久元東電会長ら3人について、東京第5検察審査会が起訴すべきと議決した。
 起訴すべきとされたのは、ほかに武藤栄元副社長、武黒一郎元フェロー。東京地裁が指定する検察官役の弁護士が3人を強制起訴する。
 事故では多くの住民が被ばくしたほか、病院の入院患者が避難を余儀なくされて衰弱死した。
 10万人を超える住民が今も古里に戻ることができず、心身に疲労を抱えながら不自由な生活に耐える。
 あれほどの事故を起こし、被害と苦痛を与えた旧経営陣の責任を不問にはできない。そうした国民の思いに応えた検審の議決といえる。
 三陸沖の地震で大きな津波が押し寄せる危険性は、震災前から政府の専門機関が指摘していた。その予測に基づき、東電は2008年に最高波高15・7メートルの数値を出した。旧経営陣はそれより低い土木学会の予測を採用し、安全対策の根拠とした。そのため津波で全ての電源が水に漬かり、核燃料の溶融という「レベル7」の過酷事故を招いた。
 第5検審は、社内での旧経営陣の言動をつぶさに分析・検討し、「大津波が来る危険性を予見しながら対策を怠っていた」と結論づけた。
 勝俣氏の責任は重大だ。柏崎刈羽原発が停止した07年7月の新潟県中越沖地震を社長として経験した。社内の地震対策会議を開催し、福島原発では津波で全電源喪失の恐れがあることを知り得たと指摘する。
 武藤氏と武黒氏は東電の原子力・立地本部長などを歴任した原発のエキスパートであり、津波予測を安全対策に反映させる技術的判断を下せる立場にあった。大津波が来ればどうなるか、分かっていたはずだ。
 科学的な根拠があっても不確実な面があれば「想定外」とし、知らぬ存ぜぬで通す。そんな電力会社が原発を経営再建の柱にし、事故の反省も不十分なまま再稼働に意欲を示すのでは理解されない。
 検審の議決と対照的なのは検察の姿勢だ。「被害者とともに泣く」検察はどこへいった。法のにらみが利かない社会にしてはならない。
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中国新聞 2015/8/1
社説:東電元会長ら強制起訴へ 法廷で真相に迫りたい


 日本を揺るがし、無数の人を苦しめる重大事故を起こしながら、なぜ誰も罪に問われないのか。福島の被災者の憤りを率直に反映した決定ともいえる。
 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑で告訴・告発されながら東京地検が「不起訴」としていた同社の勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人について、市民から選ばれた東京第5検察審査会が「起訴すべきだ」と再び議決した。
 2度にわたり検察の判断を覆したことで、強制起訴の手続きによって法廷で刑事責任が問われることになる。市民感覚を生かす―。司法制度改革の一つとして2009年から導入された検察審査会の権限強化の本領にほかなるまい。
 「やっとここまで来た」と、告発した団体がしみじみ言うのも分かる。むろん強制起訴イコール有罪ではないことは、陸山会事件や尼崎脱線事故をめぐるJR西日本歴代社長の裁判から明らかであり、制度の限界も指摘されている。企業に刑事罰を科す仕組みのない日本で、トップ個人の刑事責任を問うことの難しさも確かにある。
 しかし、この原発事故に限っていえば公開された法廷の場で事故に至るプロセスが審理されること自体に、かつてなく大きな意味があるはずだ。
 「原発事故の死者ゼロ」と言い繕う向きもあるが、避難途中で衰弱死した入院患者もいれば将来に絶望して命を絶った人たちもいる。その無念に応えるためにも、刑事裁判で真相に迫ることを望みたい。
 あの日の大津波による全電源喪失を未然に防ぐ手だては本当になかったのか。検察官役となる弁護士は事故当時の状況や安全対策を徹底検証する必要がある。今回の議決の指摘が、そのまま公判の争点となろう。
 何より08年の段階で、東電が第1原発の敷地南側で最大15・7メートルの津波襲来を試算していた点をどう見るかである。元会長らを不起訴とした東京地検は、その点には重きを置かなかった。東日本大震災による津波は東電の言い分通りに「想定外」としたからだ。
 しかし検察審査会の判断は違う。「津波の可能性を目をつぶって無視していたのに等しい」と厳しく指弾した。そして小型発電機を高台に置くなど、事故を予見して電源喪失を防ぐ措置を取らなかった責任は経営陣にあるとして3氏の過失を認定した。原発に関わる責任ある地位の人間ならば、万が一の事故に備える「高度な注意義務」があるとの理由である。
 加えて安全対策よりも経済合理性を優先させた東電を批判したのも目を引く。まさしく再稼働ありきで突き進む日本の原発政策に向けての重い問い掛けでもあるのではないか。
 元会長らの裁判は大きな注目を集めよう。おのずと東電側の姿勢が問われてくる。
 被災者に誠意を持って対応すると言いつつ、肝心な賠償については膨らみ続ける負担を抑えようと政府とともに打ち切りに向けて動きだしている。そうした状況の中で、3氏の裁判に正面から向き合わなければ被災者との溝は深まるばかりだろう。
 退任した経営者個人の問題ではない。会社として関係資料の提供や社員の出廷などに積極的に協力すべきである。
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愛媛新聞 2015年08月02日(日)
社説:東電元幹部強制起訴へ 原発事故の責任と原因の追及を


 甚大な被害を生んだ原発事故の責任は、誰一人問われないのか―。そんな市民感情を素直に反映した結論といえる。東京電力の元幹部の刑事責任が、法廷で争われることになった。
 福島第1原発事故をめぐり、刑事告訴・告発され、不起訴となった東電の元会長ら3人について、検察審査会が再び「起訴すべきだ」と議決した。今後、業務上過失致死傷罪で強制起訴される。東電と検察は、市民感覚を生かした検審制度によって2度にわたって刑事責任を求める議決が下された意味を、重く受け止めなければなるまい。
 事故から4年余り。古里に帰れない福島の避難者は11万人に上る。事故原因について、国会の事故調査委員会が「東電や規制当局が対策を意図的に先送りした。事故は人災だ」と報告書で指摘した。だが、責任の所在も根本原因も曖昧なままだ。審査会が求めたのは、事故原因の徹底解明と責任の明確化にほかならない。
 議決では、東電が震災前の2008年、最大15.7メートルの津波の可能性があると試算していたことを重視し、対策を取れば事故を回避できた過失を認めた。「津波が万が一にも発生する場合があることを考慮し、備えなければならない」と、高度な注意義務を負うと結論付けた。事故が起きれば深刻な事態となる原発に「想定外」の言い訳は許されないとの判断は当然だ。
 刑事責任を問うには「予見できたか」と「回避できたか」の立証が焦点になる。不起訴とした検察は、試算の基となるデータの信頼性が低く「予見できたとは言えない」と判断した。だが、議決では検察の主張を「何の説得力も感じられない」と断じた。試算の報告を受ける立場にあって、対策を講じなかった3人の責任を追及するのは、市民の常識的な見方といえよう。
 事故後、関係者の証言は一部しか公開されていない。法廷では、裁判所が命じれば、関係者が証言し、調査資料の公開も期待できる。「事故は防げなかったのか」との疑問を抱く被災者に対し、3人が自らの声で正直に語ることは最低限の責務である。安全を軽視した幹部の姿勢をあらゆる角度から検証し、真相究明につなげてもらいたい。
 ただ大勢の人が判断にかかわった大事故で、個人の刑事責任を問うのは現行制度下では難しい。歴代社長が強制起訴された尼崎JR脱線事故では一審、二審とも無罪になった。審査会は法よりも感情を優先しているとの指摘もある。しかし誰も責任を負わないのでは、遺族や被害者は納得できまい。市民感覚を重視するなら、現行の検審制度の改革が必要だ。組織に刑事罰を科す「組織罰」の検討も急務だろう。
 電力会社や政府は原発再稼働に突き進もうとしている。事故原因の究明なくして再発防止策の確立はあり得ない。けじめをつけることさえしないまま、再稼働を許すわけにはいかない。
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徳島新聞 2015年8月1日付
社説:東電強制起訴議決 国民の強い怒りの表れだ



 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、東京地検が2度にわたり不起訴処分にした東電の旧経営陣について、検察審査会が「起訴すべきだ」と議決した。
 「大津波が来る危険性を予見しながら対策を怠っていた」と判断したためだ。
 今後、検察官役の弁護士により強制起訴される。世界を震撼させた未曽有の原発事故の刑事責任が、初めて法廷で裁かれることになった。
 事故では多くの住民が古里や平穏な暮らしを奪われ、今も約11万人もの人たちが避難生活を強いられている。衰弱やストレスなどによる関連死は2千人近くに上り、自殺者も後を絶たない。しかも、事故はいまだに収束の見通しが立っていない。
 プロが不起訴とした判断を一般市民の審査員が覆したのは、多大の被害を出しながら、誰も責任を問われない理不尽さに対する国民の強い怒りを表したものといえよう。
 東電はもちろん、原発再稼働を進めている政府や他の電力会社は、その意味を重く受け止めてもらいたい。
 強制起訴されるのは、東電の勝俣恒久元会長ら3人だ。検審の審査では、事故の原因となった巨大津波の襲来を、事前に予測できたかどうかが焦点となった。
 東電は2008年に、福島県沖で大地震が発生した場合、津波の高さが敷地南側で最大15・7メートルになると試算している。
 だが、東京地検は今年1月、「敷地東側では試算を超える津波が襲来しており、防波堤を建設しても浸水は阻止できなかった」とし、2度目の不起訴処分を決めた。
 これに対して検審は「原発事業者は高度な注意義務を負う」とし、適切な措置を取れば事故を回避できたと判断した。いったん起きれば取り返しのつかない事態となる原発の安全対策に、「想定外」は決して許されないということである。
 国会が設置した事故調査委員会は3年前に「事故は自然災害ではなく、明らかに人災だった」とする報告書をまとめている。
 その中には「歴代の規制当局と東電経営陣が、意図的な先送り、不作為、自己の組織に都合の良い判断を行うことで、対策が取られず事故が発生した」との指摘もあった。住民の安全よりも利益を追求した姿勢を、厳しく指弾したものだ。
 強制起訴はこれまでに8件あるが、有罪確定は2件だけと、検察が起訴した事件より無罪の割合が格段に高く、制度を見直すべきだとする意見もある。
 しかし、市民の感覚を司法に反映させる意義は小さくないだろう。
 今回、裁かれるのは原発の「安全神話」である。巨大津波は予測できなかったのか。事故は本当に避けられなかったのか。法廷で真相が明らかにされるよう望みたい。
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高知新聞 2015年08月01日08時13分
社説:【強制起訴へ】東電旧経営陣は責任語れ


 世界を震撼(しんかん)させた「人災」の刑事責任はどうなるのか。被災者のみならず、国民の感覚として当然の思いといえるだろう。
 福島第1原発事故をめぐり業務上過失致死傷容疑で告訴・告発された当時の東京電力経営陣について、東京第5検察審査会が再び、「起訴すべきだ」と議決した。
 勝俣恒久元会長のほか、武藤栄元副社長、武黒一郎元フェローの3人。今後、東京地裁が指定する検察官役の弁護士が強制起訴し、法廷で刑事責任が争われる。原因企業のトップらが未曽有の事故をどう語るのか。公判の行方が注目される。
 事故では多数の住民が被ばくし、近隣病院の入院患者が避難を余儀なくされ衰弱死している。被災者らによる複数の団体が2012年、安全対策を怠った刑事責任があるとして、政府首脳や東電経営陣らを告訴・告発した。
 東京地検は津波を予測し、事故を防ぐ対策は不可能だったと一括して不起訴としていた。この「想定外」を認めた判断に、一般市民による検察審査会が異を唱えた格好だ。
 昨年7月の議決では、東電が08年に政府の地震調査研究推進本部の長期評価に基づき、福島県沖で大地震が発生すれば最大15・7メートルの津波が襲来すると試算していたと指摘した。
 その上で、勝俣元会長らの安全管理意識の甘さを厳しく批判。「重要な点を知らなかった」とする言い分を一蹴して「起訴相当」とした。今回も引き続き、「大津波が来る危険性を予見しながら、対策を怠っていた」と判断している。
 公判でも、津波の危険性を具体的に認識していたかどうかが争点になるのは間違いあるまい。事故による被害はあまりに甚大である。慎重に審理を積み重ね、真相究明を進めたい。
 刑事責任の行方以外にも大きな注目点がある。裁判という公開の場で、東電の旧経営陣が何を語るかだ。東電役員はいまだ、政府事故調の調書公表に同意せず、当事者の説明責任を果たしているとは到底いえない。
 福島の事故は、国際原子力機関(IAEA)などの検証でも指摘されたように、電力業界と規制当局にはびこる「安全神話」の中で発生した。当時の経営陣には事故に関してはむろん、安全神話を蔓延(まんえん)させた責任もある。自らの口で明らかにすべきことは多い。
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=2015/08/01付 西日本新聞朝刊=
社説:東電強制起訴 悲劇を繰り返さぬために


 未曽有の被害をもたらした東京電力福島第1原発の事故は本当に防げなかったのか。誰にも罪はないのか-。素朴な市民感覚が刑事裁判の扉を開かせたといえる。
 東電の旧経営陣3人が原発事故をめぐり業務上過失致死傷の罪を問われることになった。原発の周辺住民らの告訴・告発を検察は2度にわたり不起訴としたが、市民から選ばれた検察審査会の議決によって強制起訴が決まった。
 起訴権を独占する検察の裁量を市民の目でチェックする。そんな検察審査会が制度的に機能した結果と評価することもできよう。
 原発事故の影響でいまだに多くの人々が避難生活を余儀なくされ、古里に帰るめども立たない。これだけの事態を引き起こしながら東電関係者は誰ひとり刑事責任を問われていない。違和感を抱いている国民も少なくあるまい。
 一方、被告席に座ることになる3人にしてみれば想定外の展開かもしれない。従来の判例や捜査の常道からみて、東日本大震災のような災害に伴う事故で刑事訴追されるのは確かに異例だからだ。
 個人の刑事責任を問うなら厳格な立証が必要なのは言うまでもない。実際、検察審査会により強制起訴された事件の有罪率は低い。
 だが、原発でいったん大事故が起これば被害は甚大であり、電力会社の経営陣は一般的な事故の過失責任とは比較にならない高度な注意義務を負うべきだ-。そんな思いが今回の検察審査会の議決を貫いている。うなずく国民も多いのではないだろうか。
 有罪か無罪かという結論の前に、捜査で集まった証拠をつまびらかにして、事故の原因や予見可能性について公開の法廷で検証する意味は大きい。特に事故原因については政府や国会の調査委員会が報告書をまとめたが、結局、その真相は明らかになっていない。
 福島の事故後止まっていた原発の再稼働に向けた動きが本格化している。法廷で刑事責任の有無とともに、事故原因の究明が進めば、悲劇を二度と繰り返さない教訓を導くことにもなるだろう。
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熊本日日新聞 2015年08月01日
社説:「東電」強制起訴へ 市民感覚で見れば当然だ


 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、東京地検が2度不起訴処分にした勝俣恒久元東電会長(75)、武藤栄元副社長(65)、武黒一郎元フェロー(69)の旧経営陣3人について、東京第5検察審査会(検審)は起訴すべきだと2度目の議決をした。
 今後、東京地裁が指定する検察官役の弁護士が業務上過失致死傷罪で強制起訴する。未曽有の大事故をめぐり、東電経営陣の刑事責任が公開の法廷で初めて問われることになる。
 議決は、勝俣元会長らについて「遅くとも2009年6月までに津波の高さが約15・7メートルになるとの試算結果の報告を受けていたが、必要な措置を怠り、津波による浸水で重大な事故を発生させた」と指摘した。いったん事故が起きると原発は取り返しのつかない事態を招く。「想定外」を言い訳にすることはできない。勝俣元会長らは市民の決断を受け、今後始まる裁判に真摯[しんし]に向き合うべきだ。
 強制起訴制度は、司法制度改革の一環として09年5月、裁判員制度とともに導入された。検察官が不起訴とした容疑者を検審が「起訴相当」と議決し、検察が再捜査しても起訴しない場合、検審が再び「起訴すべきだ」と議決すれば強制的に起訴される。
 東京地検は13年9月、「東日本大震災による巨大津波を具体的に予測できたとはいえない」として勝俣元会長らを不起訴にしたが、福島県の被災者らが審査を申し立て、第5検審は昨年7月、勝俣元会長ら3人を起訴相当と判断した。しかし、地検は今年1月、「被害が甚大な原発の特性を踏まえても注意義務が無制限なわけではない」と指摘。津波襲来を試算していた点についても「防潮堤を建設しても浸水は阻止できなかった」として再び不起訴とし、検審が2度目の審査を進めていた。
 強制起訴となった事件の大半は、検察が証拠不足と判断したものだけに、指定弁護士は難しい立証を迫られる。
 それでも今回の議決は、市民感覚で見れば当然の判断だろう。欧米には組織に欠陥があった場合、企業を罪に問える制度がある国もある。日本も今後、導入を検討するべきだろう。
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南日本新聞 ( 2015/8/2 付 )
社説: [原発事故起訴] 市民感覚が反映された


 東京電力福島第1原発事故をめぐり、元東電トップらの刑事責任が公開の法廷で問われることになった。
 市民から選ばれた検察審査会(検審)が、勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人を起訴すべきだとする2度目の議決をした。
 これにより3人は業務上過失致死傷罪で強制起訴される。
 原発の過酷事故は取り返しがつかない。議決には、安全対策に「想定外」の言い訳は許されないとする市民感覚が反映されたと言えよう。
 元会長らは、今後始まる裁判に真摯に向き合ってほしい。
 議決は、原発事業の責任者は万が一の事態を想定する「高度な注意義務を負っていた」と指摘する。
 その上で、巨大津波の恐れを示す試算結果の報告から危険性は予測できたとし、適切な対策を講じていれば事故は十分に回避できたと結論付けた。
 東電の経営体質には「安全対策より経済合理性を優先させた」と言及した。
 業務上過失致死傷事件の立証には、予見可能性や結果回避義務違反の高いハードルがある。
 捜査のプロの検察官は、嫌疑不十分で不起訴という結論を出している。
 昨年7月の1回目の検審議決を受けた再捜査でも、現実の津波と試算を踏まえ、これほどの規模は予測不可能と判断した。
 そもそも試算のデータの信頼性が低かったとし、漠然とした危機感のみでは責任は問えないとする法解釈に従って不起訴を維持している。
 しかし、前回の議決から審査員全員が入れ替わった検審の判断は変わらなかった。2度にわたって起訴すべきだとした市民の結論は重い。
 福島原発事故から4年以上たった今でも11万人以上が県内外に避難し、事態収拾の道筋は見えない。責任の所在も明確にされないままだ。
 それなのに安倍政権の原発回帰の姿勢は鮮明だ。川内原発を皮切りに原発再稼働に突き進もうとしている。
 福島の事故原因をうやむやにしたままでいいはずがない。こうした観点からも、東電に厳しい視線を向けた検審の判断には意義があるのではないか。
 強制起訴に伴う裁判では、膨大な資料や証言から東電元トップらの予見可能性が検証される。
 法廷が事故原因の未解明な部分に光を当て、貴重な再検証の場になることを期待したい。
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