2015-09-11(Fri)

辺野古協議決裂 工事再開は認められぬ 150908-12

「移設」強行は許されぬ 対話はポーズだったのか 尊厳懸け粛々と取り消せ

<各紙社説>
朝日新聞)辺野古協議―工事再開に反対する(9/8)
毎日新聞)辺野古集中協議 政府に誠意がなかった(9/11)
日本経済新聞)物足りなかった沖縄との対話 (9/8)
東京新聞)辺野古協議決裂 「移設」強行は許されぬ(9/8)

北海道新聞)辺野古協議決裂 工事再開は認められぬ(9/11)
河北新報)辺野古協議決裂/工事再開は対立深めるだけ(9/10)
信濃毎日新聞)辺野古協議 移設作業を強行するな(9/12)
京都新聞)辺野古移設協議決裂  工事再開を強行するな(9/9)

神戸新聞)辺野古協議決裂/話し合い継続で接点探れ(9/9)
西日本新聞)辺野古協議終了 対話はポーズだったのか(9/10)
琉球新報)辺野古協議決裂 尊厳懸け粛々と取り消せ(9/8)
沖縄タイムス)[辺野古協議決裂]取り消しも 県民投票も(9/8)




以下引用



朝日新聞 2015年9月8日(火)付
社説:辺野古協議工事再開に反対する


 政府と沖縄県が1カ月にわたって続けてきた米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる集中協議は、物別れに終わった。
 これを受け、政府は近く、中断していたボーリング調査を再開する方針だ。
 しかし、政府が一方的に工事を再開すれば、政府と県の間にようやく開いた「対話の窓」が再び閉ざされ、政府と県の亀裂はいっそう深まりかねない。
 政府に求める。
 工事再開は断念し、より幅広い観点から改めて県と協議を続けるべきだ。
 日米両政府による普天間返還合意から19年。条件付きとはいえ名護市が受け入れを容認したり、辺野古沖の海上案とした閣議決定が取り消されたり、複雑な経過をたどってきた問題だ。
 わずか5回の協議で解決案が見つかるほど単純な話ではないことは、そもそも双方とも分かっていたはずだ。
 それなのに、目立ったのは、政府のあまりにかたくなな姿勢である。最初から「普天間か辺野古か」の二者択一の議論から踏み出そうとはしなかった。
 県は辺野古移設に反対の立場から具体的な疑問をぶつけた。なぜ狭い沖縄に米軍基地が集中するのか、在沖海兵隊の「抑止力」は本当に必要なのか、長く米軍統治下に置かれた沖縄の歴史をどう見るか――。
 こうした問いに答えを出すためには、政府と県だけの議論では足りないことは明らかだ。
 中国と安定的な関係を築くために、どんな外交戦略が必要なのか。そのなかに米軍や自衛隊をどう位置づけるか、米国をも巻き込んだ議論が欠かせない。
 本土の米軍基地も含めたすべてを見渡したうえで、沖縄の基地負担を分かち合えないか、全国的な議論も必要だ。
 話し合うべきことは、まだたくさんあるのだ。
 そこに踏み込もうとせず、政府がこのまま工事を再開するなら、沖縄の声を聞く姿勢をアピールすることで、安保法案審議による内閣支持率の低下を食い止めようという意図があった、と指摘されても仕方ない。
 政府が工事を再開すれば、翁長雄志知事は対抗して埋め立て承認の取り消しに向けた作業を始めるとみられる。
 双方が対抗策を繰り出す対立の果てに、司法の場でぶつかり合う。そんな不毛な道しか見いだせず、地元の反感のなかで辺野古に新基地が造られたとしても、日米安全保障の基盤は強まることはない。かえって弱まることになる。
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毎日新聞 2015年09月11日 02時30分
社説:辺野古集中協議 政府に誠意がなかった


 予想された展開とはいえ、政府に問題解決への真剣な姿勢が見られなかったのは残念だ。
 政府と沖縄県が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐって行った1カ月間の集中協議は、決裂した。政府は中断していた移設工事を来週にも再開する。翁長雄志(おなが・たけし)知事は埋め立て承認の取り消しを近く表明する見通しで、両者の対立が再び先鋭化するのは必至だ。
 5回の協議を通じて、県側が強く問いかけたのは、沖縄の戦後史に対する政府の認識だった。
 普天間は終戦直後、住民が収容所に入れられている間に米軍に強制接収されてできた基地なのに、危険な基地を返還させるのに、なぜまた辺野古という沖縄の土地を差し出さなければならないのか、と県側は重ねて訴えた。
 政府側は、これには直接答えなかった。そして、日米の普天間返還合意以来の政府の基地負担軽減の取り組みを繰り返した。
 普天間問題の「原点」として、県は1945年以降の米軍による土地の強制接収を強調し、政府は96年の普天間返還合意を語った。51年の開きは平行線のまま、埋まることはなかった。溝の大きさに、翁長氏は「お互い別々に70年間、生きてきたんですね。どうにもすれ違いですね」と菅義偉官房長官に告げたという。
 菅氏は記者会見で、知事の主張に対して「賛同できない。戦後は日本全国、悲惨な中で皆が大変苦労して豊かで平和で自由な国を築き上げた」と語った。戦後は沖縄だけが苦労したわけではなく、歴史的経緯は移設反対の理由にならないと言っているように聞こえる。
 寂しい反応だ。政府と一地方自治体がここまで冷たい関係に陥るのは、異常なことだ。
 政府にとって今回の協議は、やはり、安全保障関連法案の審議と重なることで「二正面作戦」となるのを避けたり、政権の強硬姿勢を和らげて内閣支持率の低落を防いだりするのが狙いだったように見える。
 議論を深めて理解を求めようとか、沖縄の思いに応えようという姿勢とはほど遠かった。一時的に政治休戦し、沖縄の声を聞いたという実績を作っただけではないか。
 政府と県は、基地負担軽減策や振興策を話し合う新たな協議会を設けることでは合意した。翁長県政が始まって最初の数カ月間のように、話し合いもしない状態よりはましだ。それでも、政府が沖縄に誠意を示していることを見せる形式的な場に終わるという懸念はぬぐえない。
 政府は、工事を再開してはならない。工事中断を継続し、今度こそ解決を目指して県と話し合うべきだ。
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日本経済新聞 2015/9/8付
社説:物足りなかった沖縄との対話


 沖縄県にある米軍普天間基地の移設問題に関する政府と県の集中協議が平行線をたどった。予想された結果とはいえ、5回の会合とも短時間で、胸襟を開いて話し合えたのかどうか疑問が残る。物足りなさを感じさせる協議だった。
 協議の不調を受け、菅義偉官房長官は、政府が近く移設先の名護市辺野古沿岸で本体工事に着工する方針を明らかにした。市街地の中心部にある普天間基地を現状のままで放置すべきではないのは言うまでもない。
 とはいえ、政府と県民との溝が深まれば、沖縄にあるすべての基地で円滑な運用に支障を来しかねない。政府は「これで手順を尽くした」ではなく、工事と同時進行で、県や名護市とさまざまなパイプを通じて対話を続けてほしい。
 首相官邸で開いた最後の会合には安倍晋三首相が自ら出席した。ただ、時間は30分間しかなく、政府と県がこれまでの言い分を繰り返したにとどまった。もう少しざっくばらんに話せる状況設定があってもよかったのではないか。
 会合後、沖縄県の翁長雄志知事は移設について「あらゆる手段を使って全力で阻止する」と述べ、前知事が承認した辺野古沿岸の埋め立て許可を今月中にも取り消す意向を表明した。政府と県が法廷闘争に入り、最高裁で白黒をつける形になる可能性が高い。
 翁長知事は取り消し表明と前後して国連人権理事会に出席し、琉球民族への差別があるなどの演説をするようだ。こうしたやり方は本土と沖縄の感情的な対立をあおるだけで、よい結果につながるとは思えない。国内問題は国内で解決する道を探るべきだ。
 県民の不満は沖縄の基地負担が本土に比べて過重でないかという点にある。中国の海洋進出などを考えれば、沖縄に米軍基地は必要だが、一部は本土に移しても抑止力は維持できるのではないか。
 沖縄の基地の円滑な運用ができなくなれば、日本国民全体が困ることになる。本土の側は沖縄の痛みにもう少し敏感であるべきだ。
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東京新聞 2015年9月8日
【社説】辺野古協議決裂 「移設」強行は許されぬ


 安倍政権は当初から「県内移設」方針を変えるつもりはなかったのだろう。沖縄県側の主張を聞き置くだけなら、着工に向けたアリバイづくりにすぎない。県民への裏切りは断じて許されない。
 「辺野古に基地は造らせない」という翁長雄志県知事の決意を、安倍晋三首相や菅義偉官房長官ら政権幹部は端(はな)から受け止めるつもりはなかったようだ。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への「県内移設」をめぐる政府と沖縄県との五回目の集中協議がきのう行われたが、双方の主張は平行線に終わり、決裂した。
 政府は、辺野古移設の本体工事に向けて行っていた海底掘削調査を八月十日から一カ月間中断していたが、協議決裂を受けて、一連の作業を近く再開するという。
 沖縄県には米軍基地や訓練場など在日米軍専用施設・区域の約74%が集中する。多くは戦後の米軍統治時代に「銃剣とブルドーザー」で強制的に接収されたものだ。
 住宅地に囲まれて危険な普天間飛行場返還のためとはいえ、同じ県内で基地を「たらい回し」にする県内移設では、米軍基地負担の抜本的軽減にはつながらない。
 しかし、県側が辺野古移設の不当性、不平等性をいくら訴えても政府側は「移設先は、辺野古以外は残念ながらない」(首相)という姿勢を変えようとしなかった。「沖縄の声に謙虚に耳を傾ける」としていた政府の姿勢は、偽りだったと断じざるを得ない。
 五回にわたる集中協議の期間は国民の反対が強まっている安全保障法制関連法案の参院審議や、賛否の割れる鹿児島県・川内原発の再稼働とも時期が重なる。
 安倍政権が米軍基地問題でも強硬姿勢を続ければ、内閣支持率のさらなる低下を招く可能性があった。県側との「一時休戦」で、こうした事態を避けようとしたのなら、沖縄県民に対して、あまりにも不誠実ではないか。
 翁長氏は「あらゆる手段で阻止する」と、仲井真弘多前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消す可能性を示唆した。このまま法廷闘争に突入すれば、国と県との対立は激化するばかりだ。
 日米安全保障条約体制が日本の平和と安全に重要なら、その負担は日本全国でできる限り等しく分かち合うべきである。「辺野古が唯一の解決策」と言い張り、沖縄に基地を押し付けるだけでは「政治の堕落」との誹(そし)りは免れまい。
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北海道新聞 2015/09/11 08:50
社説:辺野古協議決裂 工事再開は認められぬ


 政府は、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる沖縄県との協議決裂を受け、先月から中断していた移設工事の再開を決めた。
 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は工事阻止のため、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消す意向を固めた。
 両者の溝は、協議以前より深まったようにも見える。このままでは対立の泥沼化は確実だ。
 その責任は、基地の必要性について説明を求めた県側の問いかけに対し、真摯(しんし)に答えようとしなかった政府の側にある。
 協議に何ら進展がないのに工事を再開するのであれば、中断した意味がない。
 政府は工事を取りやめ、県側との全面衝突を回避するべきだ。
 翁長知事と政府側の集中協議は5回にわたって行われてきた。
 県側は、なぜ米軍基地が沖縄に集中するのか、在沖海兵隊は本当に必要なのかなど、根本的な疑問への回答を求めた。
 しかし政府側は「辺野古が唯一の解決策」と繰り返し、最後に出席した安倍晋三首相も「あくまでも(1996年の)日米合意が原点だ」と述べるにとどまった。
 翁長氏は「全力を挙げて阻止する」と態度を硬化させている。
 この問題では昨年以降、名護市長選や県知事選、衆院選で、辺野古移設に反対する候補が圧勝している。県と県民の意思は明確だ。
 県側が納得できる移設の根拠を示せない以上、政府が計画を進めることは認められない。
 9月までの工事中断期間をめぐっては当初から、安全保障法案の審議に基地問題が影響するのを避けるためと指摘されてきた。
 協議の進展のないまま再開するならば、指摘が当たっていたことを政府自ら認めることになる。
 政府としては5回の協議で「地元の声を聞いた」と主張したいところだろうが、単なるアリバイづくりと言われても仕方あるまい。
 このまま工事が再開され、県が埋め立て承認を取り消せば、政府がその無効を求めて法廷闘争にもつれ込む可能性が高い。
 対立が長期化し、問題を抱える普天間基地の返還がさらに遠のく事態は避けなければならない。
 政府は米側に現状への理解を求め、現行計画に代わる国外、県外への移設の道を探るべきだ。
 政府と県は、基地負担の軽減や振興策について話し合う協議機関の新設では大筋合意している。
 議論を現実的な対策のみにとどめず、沖縄の基地問題を抜本的に見直す機会にしてほしい。
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河北新報 2015年09月10日木曜日
社説:辺野古協議決裂/工事再開は対立深めるだけ


 一切の歩み寄りもなく、既定路線として工事の再開に踏み切るならば、「休戦」は政府の単なる政治的パフォーマンスと受け止められよう。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古沿岸部への移設をめぐる政府と県の5回に及ぶ集中協議は決裂し、解決の道筋を描けないまま、きのう関連作業中断の「期限」を迎えた。
 県による辺野古での潜水調査開始が台風の影響で遅れたため、期間を若干延長し、新たに協議機関を設け対話継続でも大筋一致したものの、調査が終わり次第、政府は速やかに工事を再開する意向だ。
 「世界一危険」な普天間飛行場の閉鎖には、辺野古に移設する以外に方法はないとする政府。新たな基地負担は容認できないと断固拒否を貫く沖縄県。主張は平行線で、双方の溝は埋まらなかった。
 協議機関による対話の進展は不透明だが、工事再開を急いで、知事を埋め立てノーの手続きに向かわせ、物理的抵抗の激化まで呼び、解決不能に陥らせてはならない。
 沖縄県は先の大戦で本土防衛の盾とされ、県民の4人に1人が死亡した。長く米国の統治下に置かれ、その間、土地の強制収用が繰り返され米軍施設は拡大。本州で嫌われた基地の移転も相次いで、国土の0.6%の県土に74%が集中する異常な状況にある。
 捨て石にされ続けた沖縄。翁長雄志知事は「魂の飢餓感」と県民の心情を説明する。
 政府がそうした思いを受け止めず、「辺野古移設ありき」の構えで臨んでは、今後の対話も空転を続けよう。
 1カ月の集中協議期間は、お盆休みや台風シーズンという、移設作業の進展に最も影響を与えない時期を選ぶ形で設定された。参院で安全保障関連法案の審議がヤマ場を迎える時期にも重なり、安倍政権の強権イメージを薄めたい思惑もあったとされる。
 法案採決をにらみつつ、期限切れ後、程なく工事を再開すれば、中断は政府の「偽装工作」との疑念を呼び、県は不信を募らせるに違いない。
 基地所在の自治体を回って負担軽減と地域振興策を提示し、一枚岩の反対世論の切り崩しを画策しても、県民感情を逆なでするだけだろう。
 譲歩を完全に排除し対話を続けても解決の糸口を見いだし難い。米軍全般の駐留継続にも影響を及ぼしかねず、日米同盟の基盤が揺らぐようでは、その強化に向けた安保法案自体、何のためとなる。
 沖縄県の苦難の歴史を踏まえれば、基地の移転先が県内では、県民ならずとも合点がいくまい。安保政策は国の存続に関わるだけに、私たちも遠い地方が直面する課題と見て見ぬふりは許されない。
 普天間の米軍海兵隊の維持が、対外的な抑止力の強化を保証するのか。沖縄に隊を集中しなければ、機能を発揮できないのか。県外、国外の選択肢を排除する明白な根拠はどこに求められるのか。
 根本から問題を解き直し、時間をかけて着地点を探るべきである。関連工事の再開は、知事の辺野古埋め立て承認取り消し、訴訟に発展、対立の泥沼化を招いて、望ましい出口を閉ざすだけだ。(2015・9・10)
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信濃毎日新聞 2015年09月12日(土)
社説:辺野古協議 移設作業を強行するな


 溝の深さが鮮明になっただけに映った。何のために開いたのか、疑問が募る。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題をめぐる政府と沖縄県の集中協議である。
 移設に向けた工事を中断し、1カ月の間に断続的に行った両者の話し合いは結局、物別れに終わった。焦点となるはずだった辺野古移設の是非をめぐる論議は、深まることはなかった。
 政府はきょうにも作業を再開する。沖縄県側は県内移設反対を求める民意に沿って工事阻止の取り組みを強める構えだ。
 問題は安倍晋三政権にもともと丁寧な論議をする気があったとは思えないことだ。移設作業を強行すべきではない。
 そもそも、政府が先月上旬、沖縄と集中的に話し合うために工事を中断すると発表したのが始まりである。衆院で安全保障関連法案の採決を強行した後で内閣支持率が急落していた。
 強硬姿勢を一時的に封印し、沖縄との対話ムードを演出することで、政権へのダメージを回避したい。そんな思惑が一番の理由だったのではないか。
 協議は5回行われ、最後は安倍首相も加わった。市街地の中にある普天間飛行場の危険性除去を理由に辺野古移設を「唯一の解決策」とする政府側と、なぜ決め付けるのかなどと訴える県側の主張が平行線をたどった。
 翁長雄志知事は、米軍に強制的に土地を接収されて基地が造られた戦後の経緯や、米軍の抑止力の意味などをただした。政府は正面から答えなかったようだ。
 移設工事を再開するのかと尋ねた知事に対し、菅義偉官房長官は「そうさせてもらう」と答え、協議は終わった。
 工事再開に対し、知事は近く辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しを表明するもようだ。移設の賛否を問う県民投票の実施も検討している。法廷闘争も含め、対立が激化する可能性がある。
 集中協議の初日、沖縄県うるま市沖で米軍のヘリコプターが墜落した。基地の危険性があらためて浮き彫りになり、県民の不信感を募らせている。
 政府と県は今回、基地負担軽減や振興策を話し合う新たな枠組みを設けることにした。対話姿勢に転じたのは政府である。今回の協議のような形式的なものでなく、沖縄の声に真摯(しんし)に向き合い、解決策を探る責任がある。移設強行で溝を深めるのでなく、話し合いを優先するべきだ。
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[京都新聞 2015年09月09日掲載]
社説:辺野古移設協議決裂  工事再開を強行するな


 政府に沖縄と歩み寄る覚悟はあったのか。結果をみれば、問題解決の道を探るつもりなどなく、国民に沖縄との対話姿勢を見せることが目的だったとしか思えない。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題をめぐり、関連工事を1カ月中断して進めていた国と県の集中協議が決裂した。国は近く工事を再開し、翁長雄志知事は埋め立て承認の取り消しを表明する意向だ。
 協議では、戦後の混乱期に強制収用で造られた米軍基地の経緯からひもとく県と、1996年の普天間返還合意を出発点とする国の隔たりは埋まらなかった。最終会合に初めて出席した安倍晋三首相は、埋め立て承認に「瑕疵(かし)がある」とする翁長氏の主張に聞く耳を持たず、「一刻も早く普天間の危険性除去を進める必要がある」と繰り返し、辺野古を唯一の移転先とする根拠を示さなかった。
 政府は基地負担軽減や沖縄振興への努力を伝えたが、肝心の移設問題は何の進展もなく、かえって「工事再開」と「絶対阻止」を訴える双方の対立が鮮明になった。県民の落胆も大きかろう。
 たとえ承認を取り消されても、政府は法廷闘争に持ち込めば有利と考えているようだ。翁長氏が検討する辺野古移設の賛否を問う県民投票で、反対が多数を占めても移設方針に影響しないとする。
 「日本は法治国家だから」と理由を説明するが、同時に民主主義国家でもあるはずだ。民意を無視して移設を進めることは許されない。工事再開を強行せず、真摯(しんし)に沖縄と向き合うべきだ。
 そもそも1カ月の間に5回、それも短時間の会談で集中協議と言えるのか。当初から、安全保障関連法案などをめぐって下落傾向にあった内閣支持率を押しとどめる狙いと指摘されていたが、形式的な協議を工事再開のアリバイづくりにしてはならない。
 安倍首相は自衛隊と米軍の関係を強化する安保法案の成立に躍起だが、米軍基地問題は法案と密接に関連する。辺野古移設はもとより、米軍基地の74%が集中する沖縄の現状や、県民を長年苦しめてきた日米地位協定など、視野を広げて議論すべきテーマは多い。
 米国は政府の辺野古移設推進を支持するが、米軍幹部からは民意をこれ以上逆なですれば、反発が米軍基地全体に広がりかねないと懸念する声も出ている。問題の解決のためには、政府は県にとどまらず、米国を交えた協議に踏み出すべきではないか。
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神戸新聞 2015/09/09
社説:辺野古協議決裂/話し合い継続で接点探れ


 1カ月の「休戦」でも、事態は一歩も前進しなかった。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐる政府と県の集中協議が決裂した。5回にわたる話し合いは平行線をたどった。
 協議決裂を受け、政府は中断していた、名護市辺野古沖でのボーリング調査など基地新設に向けた関連工事を近く再開する方針という。
 これに対し、翁長(おなが)雄志知事は「あらゆる手段を使って全力を挙げて阻止する」と態度を硬化させる。県の有識者委員会が「手続きに瑕疵(かし)があった」と結論づけた、辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しに踏み切る構えを見せる。
 そうなれば争いが法廷に持ち込まれるのは確実だ。政府と県の間に、決定的な亀裂が入るのは避けられないだろう。
 集中協議は、こうした対立の先鋭化を回避するために始めたのではなかったか。こじれにこじれた問題について、わずか1カ月の協議で解決の道筋を付けようとすることにそもそも無理がある。
 双方は対話継続では一致しているという。この1カ月を無駄にしないためにも、期限を設けずに協議を続けるべきだ。
 菅義偉官房長官は最終会合後、記者団に「隔たりが埋まらなかった。県側の理解を得るには至らなかった」と述べた。しかし、一貫して「辺野古移設が唯一の解決策」との主張を崩さなかった政府が、県側との接点を見いだそうと本気で考えていたのかどうか、疑問が残る。
 なぜ唯一の解決策なのか。海兵隊の沖縄駐留は抑止力につながっているのか。沖縄県側が投げ掛けた問いには答えておらず、翁長知事の訴える沖縄の「魂の飢餓感」にも向き合っているとは思えない。これでは、協議は安全保障法案審議への影響や内閣支持率の下落回避を狙った政治戦略と言わざるを得ない。
 翁長知事は辺野古移設の賛否を問う県民投票の実施も視野に入れる。反対派が多数とされる「沖縄の民意」をあらためて、政府に突き付けるのが狙いだ。
 ただ、昨年の知事選や名護市長選などで、辺野古移設反対の民意は既にはっきりと示されている。
 解決に向けた協議の継続には、政府が、かたくなな姿勢を改める必要があるのではないか。
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=2015/09/10付 西日本新聞朝刊=
社説:辺野古協議終了 対話はポーズだったのか


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐる政府と沖縄県の集中協議期間が、きのう終了した。
 1カ月間の集中協議では、名護市辺野古地区への移設を推進しようとする政府と、県内移設に強く反対する沖縄県との溝が埋まらず、話し合いは決裂した。
 協議の難航が予想されていたとはいえ、まったく成果が上がらなかったのは残念である。
 もともと政府が沖縄県に集中協議を持ち掛けたのは、安全保障関連法案に絡んで安倍晋三政権の支持率が低下傾向にあったため、同じく政権の難題である普天間問題では沖縄県と「一時休戦」することで、支持率のさらなる低下を防ぐのが狙いだったとされる。
 集中協議の会合は5回開かれたものの、政府側は「辺野古移設が唯一の解決策」との立場を繰り返すだけで、新たな打開策を提案しなかった。安倍首相は最後の会合にだけ出席したが、翁長雄志(おながたけし)知事との会談はわずか30分だった。
 そもそも政府には、過重な基地負担にあえぐ沖縄県の声に耳を傾ける心構えがあったのだろうか。対話姿勢は政局を有利に運ぶためのポーズだったのではないか‐そんな疑念すら浮かぶ。
 協議期間の終了を受け、政府は近く、中断していた移設関連工事を再開する。一方、翁長知事は月内にも辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しを表明する構えだ。政府と沖縄県が埋め立てをめぐって法廷闘争に入れば、対立のさらなる激化は避けられない。
 政府と沖縄県は、集中協議終了後も対話のチャンネルを残すため、両者による新たな協議会を設置することで大筋合意した。この枠組みを生かして対話を継続し、沖縄の基地負担を抜本的に軽減するため何ができるか。今度こそ幅広い視野で論議を深めてほしい。
 このまま政府が辺野古に基地建設を強行しても、沖縄県民の反発は増すばかりで、日米同盟はかえって不安定になる。政府は、国民の理解こそが安全保障の基盤であることを再認識すべきである。
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琉球新報 2015年9月8日 6:02
<社説>辺野古協議決裂 尊厳懸け粛々と取り消せ


 相手の話に耳を傾けて、違いや溝を埋めるために話し合い、一致点を見いだすよう努める。それが協議の意味のはずである。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を伴う新基地建設をめぐる県と安倍政権の集中協議は、完全な平行線をたどり、安倍晋三首相が出席した5回目で決裂した。
 協議全体を通して、安倍政権側は「辺野古が唯一の解決策」と呪文のように繰り返すばかりだった。木で鼻をくくったような言い分を翁長雄志知事が受け入れるか否かと迫るだけの構図は協議の名に値しない。国策の押し付け、恫喝(どうかつ)に等しい。決裂の責任は安倍政権にある。
 安倍首相や菅義偉官房長官が「知事に理解を求める」という言葉をいくら繰り出しても、実態は沖縄を屈従させるしかないという差別をまとった強権的姿勢と思考停止があぶり出されただけだった。
 米軍による土地強奪の陰影が濃い沖縄戦後史、「抑止力」など新基地の必要性をめぐる虚構、新基地拒否の強固な民意など、翁長知事は意を尽くして沖縄の立場を説いた。だが、沖縄の尊厳を懸けた知事の主張に対し、安倍政権は徹頭徹尾、聞き置くだけにとどめた。
 仲井真弘多前知事による埋め立て承認にしがみつくばかりで、その後の名護市長選、名護市議選、天王山の県知事選、衆院選で新基地拒否の候補者が圧勝したことについては一度も言及はなかった。
 翁長知事に理解を得る努力をした形跡を残すアリバイにし、国民を抱き込むことはやめた方がいい。安保関連法案審議からうかがえる、国民を見下した政権の品格を一層おとしめるだけである。
 菅官房長官は埋め立て作業の再開を知事に通告した。1カ月間の集中協議の行方に気をもんでいた県民は逆に視界が開け、すっきりしたのではないか。沖縄にとって駄目なものは駄目なのだと。
 翁長知事は「全力を挙げて阻止する」と即座に対抗した。さらに「お互い別々に今日まで生きてきたんですね。70年間」と述べ、沖縄を同胞扱いしない政権を痛烈に批判した。県民の心情を代弁していよう。
 知事は粛々と埋め立て承認の取り消しに踏み出せばいい。国連での演説、県民投票など、新基地建設を止めるあらゆる手段を国内外で緻密に駆使してほしい。民主主義的正当性を深く認識し、誇りを懸けて抗(あらが)う県民が支えるだろう。
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沖縄タイムス 2015年9月8日 05:30
社説[辺野古協議決裂]取り消しも 県民投票も


 いったい何のための集中協議だったのか。一国の総理が最終協議の場に参加したのはどのような理由からか。
 名護市辺野古での新基地建設作業を1カ月中断し、互いの主張をぶつけ合ってきた政府と県の集中協議は7日、論点がかみ合わないまま決裂した。
 この間、政府に米軍普天間飛行場の辺野古移設を見直す気配はまったくなく、翁長雄志知事が「魂の飢餓感」と例えた県民の心情も理解されることがなかった。最終協議で菅義偉官房長官が口にしたのは「工事再開」である。
 政府から提案のあった集中協議に、かすかな期待がなかったわけではない。しかし終わってみれば、安保法案、原発再稼働、戦後70年談話などの重要課題を一つずつ処理していく時間稼ぎのために辺野古を利用したとしか思えない内容である。いくら協議を重ねた形をとっても、沖縄の民意を軽んじている。
 最終協議に出席した安倍晋三首相だが、その前日に放送された民放の番組で「辺野古以外はない」と発言している。県民をもてあそぶような態度だ。
 問題解決に向け協議するとしながら、話し合いの土壌は、初めからなかったことになる。
 5回の協議で示されなかったのは「なぜ辺野古なのか」「県外はどうなったのか」という県民の切実な疑問への説明である。
 集中協議で分かったことは「国が決めたんだから言うことを聞け」とばかりの相変わらずの強硬な姿勢だ。
    ■    ■
 沖縄側が求めていたのは、普天間の県外移設による危険性除去と、新基地建設断念による基地負担の軽減である。
 協議終了後、菅氏は「普天間の危険除去の認識は一緒だが、方法論の隔たりが埋まらなかった」と述べた。
 政府が繰り返す危険性除去は新基地建設のための方便でしかない。危険性除去を最優先させるなら、ここまで長期にわたって問題を引きずることはなかったはずだ。
 あたかもそれ以外の選択肢がないように「辺野古が唯一」との言い方も一種の世論誘導で、説得力がない。
 総理をはじめ何人もの閣僚が顔をそろえ、何回も集中的に話し合ったのに、何の解決策も見いだせない。問われなければならないのは、政府の問題解決能力ではないか。
 日米同盟が重要と考えるのなら、強力な政治的意思で選択肢を用意することは、困難であっても可能である。
    ■    ■
 国は辺野古海域で県が実施する潜水調査が終わり次第、移設作業を再開するという。
 翁長知事も前知事の埋め立て承認を取り消す手続きを進める意向だが、主導権を確保するためにも決定を急ぐべきだ。
 知事が承認を取り消せば、政府はすかさず取り消し処分の無効を申し立てるはずだ。法廷に持ち込まれるのは避けられない。
 沖縄側の主張の正当性を内外にどれだけアピールできるかが、これからの勝負となる。県民投票についても真剣に検討すべき時期である。
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