2015-09-15(Tue)

戦争法案  (30)  民意無視の採決やめよ 150913-15

議会政治壊すつもりか 「違憲」法案は認められぬ 民意に沿い法案出し直せ 採決強行は認められない

<各紙社説・論説>
朝日新聞)安保法案―民意無視の採決やめよ(9/15)
毎日新聞)安保転換を問う 週内採決方針 議会政治壊すつもりか(9/15)
しんぶん赤旗)戦争法案採決緊迫 民意踏みにじる暴挙は許さぬ(9/15)
北海道新聞)新安保法制 週内の成立方針 「違憲」法案は認められぬ(9/15)

信濃毎日新聞)安保をただす 秘密法の下で 歯止めが空洞化する(9/15)
神戸新聞)安保審議大詰め/「国民の理解」は後回しか(9/15)
西日本新聞)安保法案 やはり成立は認められぬ(9/15)
南日本新聞)[新安保政策・参院審議大詰め] 採決強行は許されない(9/15)

河北新報)安保審議大詰め/民意に沿い法案出し直せ(9/14)
毎日新聞)安保転換を問う 集団的自衛権 政府の説明は破綻した(9/13)
新潟日報)安保法案 疑問と不安が募る一方だ(9/13)
信濃毎日新聞)安保をただす 参院審議 「決める時」という独善(9/13)
高知新聞)【安保法案】採決強行は認められない(9/13)




以下引用



朝日新聞 2015年9月15日(火)付
社説:安保法案―民意無視採決やめよ


 安倍政権は、新しい安全保障関連法案を週内に成立させようとしている。国会の会期末が、秋の大型連休をはさんで27日に迫っているからだ。
 ところが、衆参両院を通じ200時間もの審議で、集団的自衛権行使の違憲性をはじめ様々な問題の指摘に納得できる答弁はなされていない。国民の多くが不信と不満を抱いている。
 こうした民意をかえりみぬ採決は、してはならない。
 最新の朝日新聞社の世論調査では、法案に賛成29%に対し、反対は54%に達した。
 注目すべきは「今の国会で成立させる必要はない」が68%、「国会での議論は尽くされていない」が75%に上ったことだ。
 法案に賛成と答えた人の中でも、議論が尽くされていないと答えた人が57%もいる。法案の趣旨には賛成でも、政府の答弁ぶりには納得がいかないということだろう。
 参院の特別委員会は15日に中央公聴会、16日に横浜市で地方公聴会を開く。自民、公明の与党は、地方公聴会が終われば直ちに採決に踏み切る構えだ。
 中央公聴会には過去10年で最多の95人が、意見表明する公述人に応募した。野党によれば、全員が法案に反対だという。
 今回に限らないが、有識者や市民から意見を聞く公聴会は、重要法案の採決に向けた条件整備と位置づけられ、形骸化しているのが実情だ。
 だが、この法案は平和国家としての日本の針路を左右する重要法案だ。違憲の疑いも濃い。世論調査での不満や公述人への多数の応募を考えれば、公聴会は「いま現在の民意」を国会につなぐ回路として重要な意義を持つ。アリバイづくりですませるわけにはいかない。
 いまの国会は、戦後最も長い95日間延長された。首相は「徹底審議」をアピールしたが、与党には法案を受け取ってから60日以内に参院が議決しない時、衆院が再議決できる憲法9条の適用も念頭にあった。
 安倍首相はきのうの参院特別委で、世論の反対を認めたうえで「選挙で選ばれた議員で審議を深め、決めるときには決めていただきたい」と語った。
 与党幹部は先週、「参院で決着をつけるべきだ」として、衆院での再議決はしない方針を確認している。当然のことだ。一院の議決だけで成立させるなど言語道断である。
 首相が強調した徹底審議の結果が、世論の反対だ。27日の会期末までに参院で採決できなければ、いさぎよく廃案にするのが筋である。
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毎日新聞 2015年09月15日 02時30分
社説:安保転換を問う 週内採決方針
 ◇議会政治壊すつもりか


 こんな言葉を記したい。
 「ご支持いただけないからといって、安易に数の力で抑えこもうというようなことは、とるべき道ではない。常に自ら謙虚に反省し、額に汗しながら説得につとめ、合意を求めてまいりたい」
 自民党の大平正芳元首相が生前、語った言葉である。「和の政治」「国民と一体の政治」を唱え続けた大平氏は「(自民党を)支持していただけない方々も国民のみなさんであることに変わりはない」とも言っている。時代を超えて政治のリーダーが守るべき姿勢であり、これが議会制民主主義の基本でもあろう。
 ◇首相のやじと異論排除
 安全保障関連法案は参院に送付されて60日が経過し、衆院での再可決も可能な段階に入った。与党はこの「60日ルール」の適用もちらつかせながら、週内に成立させる方針でいる。もはや国民に理解されなくても仕方がないとばかりに成立を急ぐ安倍晋三首相は今、大平氏の言葉をどう受け止めるだろう。
 首相が言うように確かに最後は多数決で決するのが議会政治だ。だがこの法案は、むしろ審議の結果、成立させるべきでないことが明白になったというべきだ。第一に憲法違反との指摘に対し、政府は結局、納得のいく説明ができなかった。そしてなぜ集団的自衛権を行使する必要があるのか、法案の目的も審議するほど不明確になったからだ。
 ここに至る手法にも問題がある。
 法案の衆院審議が始まる直前の5月下旬、私たちは異論や慎重論に耳を傾けない首相の姿勢をまず改めよと書いた。残念ながら白か黒か、敵か味方かしかないような首相の「決めつけ議論」は変わらなかった。
 国会の審議では首相が野党に対し「早く質問しろよ」「まあいいじゃん。そういうことは」と乱暴なやじを飛ばして議論をさえぎった。
 側近の礒崎陽輔首相補佐官は地元での会合で「法的安定性は関係ない」と語った。憲法との整合性など二の次だということだ。多くの国民はこれが政権の本音と受け取ったろう。自民党の若手の勉強会では「法案に反対するマスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」との暴言も出た。異論を封殺しようとする傾向は一段と強まっている。
 この法案は昨夏、歴代内閣が長年保ってきた憲法解釈を覆し、限定的とはいえ集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたことに始まる。しかし、昨年末の衆院選で首相は「消費増税先送りの是非」を最大の争点に掲げ、安保法案は自民党の公約に羅列した約300項目の政策の後半に「切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備」などと記されたに過ぎない。
 今国会が始まった今年2月の施政方針演説でも首相は「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする」などと述べただけだ。一方で首相はまだ法案が国会に提出されていない4月末、米議会での演説で「夏までに必ず実現する」と宣言したのだ。
 国会軽視、選挙軽視、国民軽視の極みである。衆院選で勝てば、すべてが白紙委任されたと首相が考えているとしたらあまりにも独善的だ。
 ◇独走抑えるのが国会だ
 首相は祖父の岸信介氏が首相だった1960年の日米安保条約改定を例に挙げ、「あの時も戦争に巻き込まれると批判されたが、改定が間違っていなかったのは歴史が証明している」と繰り返す。自民党の高村正彦副総裁も「刹那(せつな)的な世論だけに頼っていたら自衛隊も日米安保改定も国連平和維持活動(PKO)協力法もできなかった」と言う。
 今回の法案に対し、党派や組織を超えて国会周辺を中心に反対デモが広がっている。法案の中身だけではない。多くの参加者は安倍政権の強引な手法に不安や危うさを感じるとともに、首相らの独走を抑えられない国会にも不満を感じているから行動を起こしているのではないだろうか。世論調査でも依然、反対意見が優勢だ。それを刹那的だと語ること自体が、おごりの表れだろう。
 安保政策や社会保障政策は本来、政権が交代するたびに激変していいものではない。だから与野党の幅広い合意が必要なのである。
 日本が初めて自衛隊の海外派遣を検討した90年の国連平和協力法案は憲法との整合性などを説明できず、自民党自ら廃案を決断した。同時に自民党はPKOに限定して自衛隊が参加する検討を始めることを公明党と旧民社党との間で合意し、後に3回にわたる国会審議を経てPKO法を成立させるきっかけを作った。
 今回も集団的自衛権の関連などを除けば、民主党も含め歩み寄りが可能な点はあったはずだ。だが、首相らはすべてに賛成するのか、しないのかの選択を迫るのみで幅広い合意を形成しようという姿勢はついぞ見られなかった。
 このままでは議会政治の根幹が崩れてしまう。成立を断念して出直すよう重ねて強く求める。
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しんぶん赤旗 2015年9月15日(火)
主張:戦争法案採決緊迫 民意踏みにじる暴挙は許さぬ


 戦争法案に反対し、廃案を求める声が国会の内でも外でもますます広がる中で、安倍晋三政権と自民、公明の与党は、今週中にも採決を強行する動きを強めています。15日の中央公聴会、16日の地方公聴会をうけ、その直後にも締めくくり総括質疑と採決を強行する狙いです。公聴会は、国民の声を聞き、審議を充実させるために開くものです。公聴会さえ開けば採決してもいいなどというのは、国会のルールを破壊し、国民の声を踏みにじるものにほかなりません。
採決強行に公聴会使うな
 国会法は公聴会について、「委員会は、一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる」(51条1項)と定めています。委員会が国民に意見を聞くのは審議に役立てるためであり、形だけ公聴会を開けば採決していいなどというものでは決してありません。中央公聴会に公述を希望した95人はすべて、戦争法案反対の立場といわれます。公聴会を開いたからといって採決に突っ走るのは、なによりこうした国民の声を愚ろうするものです。
 戦争法案への批判の声は、国会の内でも外でも高まっています。国会審議では、戦争法案がこれまでの憲法解釈を踏みにじって集団的自衛権の行使を認める点でも、自衛隊が「戦闘地域」にまで出かけてアメリカの戦争を支援する点でも、憲法に違反することが明らかになりました。安倍政権は国会審議で追い詰められ、なぜ集団的自衛権行使が必要か肝心の立法事実についてさえまともに説明できません。憲法98条が明確に定めるように、憲法違反の法案の成立は許されず、戦争法案は審議を踏まえ廃案にすべきです。
 国会審議では日本共産党が取り上げた自衛隊の統合幕僚監部の内部文書で、自衛隊中枢部が法案の提出される前からこの夏の成立をアメリカに約束し、南スーダンPKOでの「駆けつけ警護」など戦争法の具体化を進めていたことが明らかになりました。とんでもない暴走であり、この問題の徹底解明もなしに戦争法案の採決を強行することは絶対に許されません。
 日本共産党や民主党など野党の7党・会派は先週、戦争法案阻止に一致結束して対応することを確認しました。安倍政権と与党の自民、公明が採決の動きを隠さないのは、こうした野党の意向を無視する点でも重大です。国会での合意もないのに与党が狙う採決は、まさに強行採決そのものです。
 朝日新聞が12、13両日行った世論調査によれば、戦争法案「反対」は54%、今国会で成立させる必要が「ない」は68%にのぼっています(「朝日」デジタル版)。与党が狙う戦争法案の採決は、文字通り圧倒的多数の国民世論に背いたものなのは明らかです。
平和も民主主義も守って
 与党が公聴会直後の採決の動きを見せ、国会審議が緊迫する中、国会周辺には週明けも多くの国民が詰めかけています。「戦争はさせない、9条壊すな」「民主主義破壊を許さない」―労働者や青年・学生、若いママ・パパなど、国会を包囲する国民の声は、憲法の平和主義も、立憲主義や民主主義も破壊する安倍政権の暴走を決して許しません。戦争法案阻止へ国会内外の声を強める正念場です。
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北海道新聞 2015/09/15 08:50
社説:新安保法制 週内の成立方針 「違憲」法案は認められぬ


 やはりこの安全保障法制を認めるわけにはいかない。
 政府・与党は安保関連法案を今週中に参院特別委員会と本会議で採決し、成立させる方針だ。
 衆院で審議入りして以来、4カ月近く。この間に明らかになったのは法案の強い違憲性と必要性の薄弱さ、そして国民の命を逆に危険にさらしかねない矛盾である。
 安保政策を進める上で何より重要なのは、幅広い国民の合意と信頼だ。現状では、それが決定的に欠けている。
 計11本に上る法案の一つ一つについて、審議が尽くされたとはとても言えず、残された論点も山積している。
 政府・与党は数の力で成立させてはならない。
■立憲主義の土台崩す
 この法案の最大の問題点は、合憲性に対する疑義である。
 多くの憲法学者や元内閣法制局長官、そして「憲法の番人」である最高裁の元長官らがそろって「違憲」と指摘した。これに対し、安倍晋三首相はきのうの審議でも説得力ある反論ができなかった。
 政府が長年、違憲としてきた解釈を一内閣の判断で勝手に変えてしまえば、最高法規である憲法の法的安定性は損なわれる。それは憲法が権力を縛る立憲主義が土台から崩れることを意味する。
 政府・与党の一部からは「安保法制なのだから憲法論に拘泥すべきではない」との声も聞かれる。
 だが安保法制といえども憲法の枠内で整備するのが当然だ。今回の憲法解釈の変更は、行政の裁量権を明らかに逸脱している。
 政府が「限定容認」だから合憲だとしている点についても、歯止め策ははっきりせず、限定にならないことが浮き彫りになった。
 どんな場合に集団的自衛権を行使できるのかについて首相は「総合的判断」と繰り返すばかりだ。時の政権に白紙委任しろと言わんばかりの姿勢は乱暴すぎる。
■副作用の方が大きい
 そもそも集団的自衛権の本質は自衛ではなく、攻撃を受けた他国を守る「他衛」である。
 だが政府はあくまで自衛のために行使を容認するのだと主張し、日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国への攻撃で日本の存立が脅かされる「存立危機事態」という概念をひねくり出した。
 首相は行使の具体例として「中東ホルムズ海峡での機雷掃海」と「邦人輸送中の米艦防護」を挙げたが、審議を通じていずれも現実味に乏しいことがはっきりした。
 日本防衛のためなら個別的自衛権で対応できるのに、こじつけのような理屈で集団的自衛権行使に道を開こうとする首相の視線の先にあるのは、やはり米国だろう。
 財政難の米国の軍事力を日本が肩代わりし、中国などに対抗しようという狙いである。
 安倍政権発足後、防衛予算は毎年増え続け、来年度は当初予算で初めて5兆円を超える見通しだ。安保法案が成立すれば、さらなる増額も見込まれる。
 既に1千兆円の累積債務を抱え、少子高齢化が進む日本が、その負担に耐えられるのか。
 抑止力強化を口実に日米が中国と軍拡競争を続ければ、地域の緊張を高める「安全保障のジレンマ」に陥りかねない。日本の安全確保には逆効果である。
 米中双方に軍縮を促し、北朝鮮の核問題などに協調して対処するよう働きかけることこそ平和憲法をもつ日本の役割ではないのか。
■残された論点も山積
 集団的自衛権行使の違憲性が審議の中心となったことで、他国軍の後方支援拡大や国連平和維持活動(PKO)法改正など多くの重要な論点が置き去りにされた。
 政府はPKO法改正案が成立すれば、現在、南スーダンで行っているPKOの任務に、新たに駆け付け警護を加える方針だ。
 同任務は、武装勢力との衝突に発展するなどの危険性がある。十分な国会論議もないまま、自衛隊員を危険にさらしてもいいのか。
 平時から自衛隊が米軍艦船などを守れるようにする「武器使用権限の拡大」も重大な論点だ。
 米艦船が攻撃を受けた場合、自衛隊はミサイルで反撃までできるのに、実施には武力行使の3要件を満たす必要がなく、国会承認などの手続きもいらない。
 この問題は野党が「集団的自衛権行使の裏口入学」だとして最近、追及し始めたばかりである。
 1本だけでも1国会を通じた審議が必要なほど重い内容を持つ法案を、11本もまとめて提出したこと自体に無理がある。
 首相が新たな安保法制がどうしても必要だと考えるのなら、今国会での成立は諦め、これまでの審議で明らかになった問題点を踏まえて再検討すべきだ。
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信濃毎日新聞 2015年09月15日(火)
社説:安保をただす 秘密法の下で 歯止めが空洞化する


 「民主的統制を確保するため国会承認の規定を定めている」
 「自衛隊の派遣を命ずるときは政府のみならず国会の判断も仰ぎ民主主義国家として慎重の上にも慎重に判断する」
 安保法制審議で安倍晋三首相は繰り返し述べてきた。
 審議では国会承認をどんな形で得るがポイントの一つになった。国会の承認は政府が勝手な判断で自衛隊を動かさないようにするための歯止めの一つである。
 存立危機事態、重要影響事態で派遣するときは事前または事後、国際平和支援法により後方支援するときは必ず事前に、承認を得ることとされている。
 法律が成立し施行された場合、実際にはどうなるだろう。国会に十分な情報が提供され、出動、派遣の是非が正しく判断されると期待できるだろうか。
   <ブラックボックス>
 ここで問題になるのが昨年12月に施行された特定秘密保護法だ。「自衛隊の運用や研究」「武器、弾薬の種類や数量」は秘密指定されることになっている。
 国会に対しては秘密会とした場合に限り情報が提供される。秘密会は文字どおり、秘密の審議の場である。公開されない。
 説明を受けた議員は内容を漏らしてはならない。違反には罰則がある。「安全保障に著しい支障を与える恐れ」があると政府が判断すれば、秘密会での説明も拒むことができる。
 7月の衆院平和安全法制特別委員会でこんなやりとりがあった。公明党議員が質問した。
 判断材料が特定秘密に指定されて国会に示されないのではないかとの批判がある―。
 中谷元・防衛相が答えた。
 「存立危機事態の認定に当たり、前提となった事実に特定秘密が含まれる場合も考えられるが、そういうときは情報源や具体的数値は明示しない形で特定秘密にかからないようにして、事態認定の根拠を示す」
 重大な発言だ。集団的自衛権行使の根拠となる情報が秘密指定される場合があり得る。そして、指定されたときは情報をそのままの形では国会に示さない。防衛相はそう言っている。
 自衛隊を動かすかどうか、実際に判断するのは2年前に発足した国家安全保障会議(NSC)だ。首相、外相、防衛相、官房長官らでつくる司令塔である。
 NSCには議事録作成は義務付けられていない。これまでの決定内容はすべて特定秘密に指定されている。何が話し合われ何が決まったのか、国民が知るすべはない。ブラックボックスだ。
 安保法制に関わる情報が特定秘密に指定されたら、国会が法の運用をチェックするのは実際には難しいだろう。
   <イラク戦争の教訓>
 集団的自衛権を含む武力行使の新3要件、(1)日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)国民を守るため他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる―を満たすかどうかを判断するのも難しくなる。国会承認の歯止めは空洞化する。
 特定秘密は無期限に非公開とすることも可能である。政府の判断が正しかったかどうか、事後の検証も難しくなる。秘密に迫ろうとするジャーナリストは罪に問われる可能性がある。
 正確な情報が議会や国民に示されないまま政府が軍隊を動かすとどうなるか。2003年のイラク戦争が教訓になる。
 米国のブッシュ政権はイラクが大量破壊兵器を持っているとして攻撃に踏み切った。戦争が終わってイラク国内を調べても、大量破壊兵器はなかった。
 英国のブレア政権は「イラク軍は45分以内に生物・化学兵器を配備できる」とする文書を発表し、戦争に加わる理由とした。終わったあと、「45分情報」は人目を引くために報告書に挿入したうその情報だった疑惑が浮上、政府は撤回を余儀なくされた。
 イラク戦争は米英政府が国民に正しい情報を知らせないまま実行した間違った戦争だった。日本政府は米英の言うことをうのみにして戦争を支持した。そして、今のイラクの混迷がある。
   <国民主権の否定>
 秘密法、NSCに安保法制が加わり、3点セットで動きだせば、政府は都合の悪い情報を国民の目から隠し、密室で自衛隊派遣を決めることができる。〈由(よ)らしむべし、知らしむべからず〉という言葉を思い出す。
 「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」。憲法は国民主権をうたう。
 民主的統制の及ばない安保法制は国民主権を掘り崩し憲法に違反する。容認するわけにいかない。
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神戸新聞 2015/09/15
社説:安保審議大詰め/「国民の理解」は後回しか


 安全保障関連法案の参院審議入りを前にした7月下旬、安倍晋三首相はこう語った。「もっと説明しなければ」。衆院で強行採決した後、内閣支持率が下がった時のことだ。
 その言葉を忘れたかのように首相は今、法案成立に前のめりになっている。国民の約6割が今国会での成立に反対し、同じくらい多くの人たちが法案を「違憲」と考えているにもかかわらず、である。
 説明しても国民の理解は深まるどころか、反対の声は勢いを増す。集団的自衛権行使を火災消火に例えた説明も効果はなく、歯止めのない武力行使への懸念は募る一方だ。
 国会会期末が迫っているが野党は抵抗姿勢を強める。業を煮やしたのか、自民党の高村正彦副総裁は「十分に理解を得られていなくても決めないといけない」と述べた。
 首相も「成立した暁には間違いなく理解が広がっていく」と発言した。強引に決めてしまえば反対の声は収まる。そう考えているのなら民意無視というしかない。「丁寧に説明して理解を得る」という首相の姿勢は格好だけだったのか。
 国民の理解が広がらない理由の一つは、政府自身の説明が揺らぎ、混乱を重ねているためだ。
 「安保環境が厳しさを増す中で隙のない備えをつくる」。首相はそうした説明を繰り返し、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国艦船による沖縄県尖閣諸島の領海侵入を挙げる。
 だが日本の危機に対処するのに、他国が攻撃された際に武力を行使する集団的自衛権がなぜ必要か、納得のいく説明はされていない。
 最たるものがホルムズ海峡の機雷掃海活動だ。政府は海外で集団的自衛権を行使する例外的なケースとするが、中東地域に敷設された機雷が本当に「日本の存立を脅かす」事態につながるのか。野党の指摘は国民が抱く根本的な疑問である。
 ホルムズ海峡が封鎖されても迂回(うかい)するパイプラインがあることは首相自身が認めた。海峡に接するイランは米国などとの核協議で合意しており、海峡封鎖の意図を否定する。政府の説明は破綻したも同然だ。
 世論調査では、ここに至っても約8割が政府の説明は「不十分」と答えている。これ以上きちんと説明できないのであれば、法案自体を取り下げて一から出直す。それが国民に対する誠実な態度ではないか。
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=2015/09/15付 西日本新聞朝刊=
社説:安保法案 やはり成立は認められぬ


2015年09月15日 10時32分
 安倍晋三政権は戦後の安全保障政策を大きく転換する関連法案を今週中に参院の特別委員会と本会議で採決し、成立させる構えだ。
 法案は5月に閣議決定され、約4カ月にわたり国会で審議されてきた。国会内外のこれまでの論議を通じて、この法案には看過できない立法上の問題点があり、安全保障政策としても妥当性を欠くことが一段と明確になった。
 国の針路に関わる安全保障の分野で、これほど欠陥の多い法制をつくれば将来に禍根を残す。あらためて法案の成立に反対する。
 ▼「違憲」の疑義強まる
 最大の問題点は、法案の根幹部分である集団的自衛権の行使について、憲法違反の疑いが晴れないどころか、逆に極めて濃くなっていることだ。
 安倍内閣は昨年7月の閣議決定で、これまで憲法9条で禁じられているとされてきた集団的自衛権の行使を「限定的に行使できる」と解釈変更した。
 この解釈変更に沿って、法案には、日本と密接な関係にある国が攻撃されて「日本の存立が脅かされ国民の権利が根底から覆される明白な危険がある(存立危機事態)」場合には、日本が直接攻撃を受けていなくても、武力行使できる規定が盛り込まれている。
 この点に対し、大多数の憲法学者や内閣法制局長官経験者が「解釈変更で許される範囲を逸脱しており、違憲」と批判している。
 政府は国会審議で、砂川事件の最高裁判決や1972年の政府見解を持ち出して「合憲」と繰り返す。しかし、元最高裁長官の山口繁氏も「(政府の主張は)ナンセンスだ」と明言した。「合憲か違憲か」の論争は、違憲論が大勢を占めていると言えるだろう。
 憲法論争で劣勢と見るや、政府は参院審議で中国や北朝鮮の脅威を強調し、法案の必要性をアピールする戦術に出た。しかし、これも説得力のある反論にはなっていない。それほど集団的自衛権の行使が必要な情勢なら、まず憲法を改正し、堂々と法案を作ればいいからだ。憲法改正の手順を踏まずに違憲とされてきた行為を合法化しようとするのは、立憲政治に背く手法と言わざるを得ない。
 「違憲」と疑われる法律ができてしまえば、憲法を頂点とする法体系の安定を根底から揺るがす。その弊害は計り知れない。
 ▼「より危険」の懸念も
 安全保障政策の観点から検討しても、法案の妥当性には疑問が多い。そもそも、この法案で「日本がより安全になる」かどうかは明確でなく、逆に「より危険になる」懸念が拭えないからだ。
 日本が直面する安全保障上の具体的な危険は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国の海洋進出と、北朝鮮のミサイル開発だろう。しかしいずれも、日本が直接の攻撃対象であるなら、基本的に現行の個別的自衛権と日米安保条約の枠組みで対応できるはずである。
 政府の本音は、米国の関与をより確実とするために米国との軍事的一体化を進めておきたい-という戦略にあるのではないか。しかしそれは同時に、米国の一方的な利害に起因する戦争に日本が協力させられるというリスクを生む。
 米国との軍事的一体化がもたらすメリットとリスクの比較検討が十分なされていない。政府が「巻き込まれ論」を全面的に否定し、リスク論議を避けているからだ。
 米国の軍事的な協力要請の圧力に、日本政府が「ノー」と言い通せる-と考える国民は少数派ではなかろうか。明確な制度上の歯止めが必須なのに、それが担保されていない法案は危うすぎる。
 さらに法案は、国民の支持も得ていない。ほとんどの世論調査でほぼ一貫して、法案への「反対」が「賛成」を上回っている。
 法案に反対する集会やデモも全国規模で拡大する一方だ。むしろ法案の問題点への理解が進んだからこそ、反対が広がっていると安倍政権は受け止めるべきである。
 憲法違反の疑いが濃厚で、政策としての妥当性を欠き、国民の支持も得ていない。そんな法案を強引に成立させるべきではない。
 東アジア情勢は大きく変化している。日本と世界の平和と安全のためには、どんな安全保障政策が本当に必要なのか-。政府と与党は今回の安保関連法案をいったん廃案にして、国民的な合意が得られる案を再検討すべきである。
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南日本新聞 ( 2015/9/15 付 )
社説: [新安保政策・参院審議大詰め] 採決強行は許されない


 他国への攻撃に日本も反撃する、集団的自衛権行使を盛り込んだ安全保障関連法案の参院審議が大詰めだ。安倍政権は18日までに成立させる構えである。
 だが、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を認める法案を、多くの法律家らは「憲法違反」と指摘している。国会審議の段階で、これだけ違憲の声が上がる法案は異例だ。
 法案は戦後、「専守防衛」に徹してきた平和国家・日本の根幹を変えるものである。
 そんな法案の憲法上の疑念を払拭(ふっしょく)しないまま、「良識の府」を名乗る参院が採決を強行することは到底許されない。
 法案の一つ重要影響事態法案は自衛隊を地球の裏まで派遣できる内容だ。世界規模での米軍などの後方支援である。集団的自衛権の行使は専守防衛の放棄に等しい。
 しかし、安倍晋三首相は「(新たな法案でも)専守防衛が、わが国の防衛の基本指針であることに変わりない」と説明してきた。違憲との批判には、「合憲だと確信を持っている」と明言した。
 「根拠」でなく「思い」だけをいくら語っても国民の理解は得にくいのではないか。国会周辺や全国各地に日増しに広がる反対デモが、その証左だろう。
 そもそも法整備の必要性でも国会の議論は深まっていない。
 政府は米国との同盟強化で抑止力が高まり、日本の安全が保障されると強調する。野党は、日本危機の際は個別的自衛権で対応可能と反論、むしろ米国の戦争に巻き込まれると主張する。
 自衛隊活動の根拠の一つで、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」の定義も不透明だ。
 政府は武力行使の新3要件を設け、限定的な内容だとする。野党は定義の中の「明白な危険」が曖昧だとし、事態を「総合的に判断する」という政府の裁量に委ねれば、自衛隊活動も歯止めがなくなると批判している。
 「非戦闘地域」の枠を外した自衛隊の派遣先でのリスク、弾薬の提供や輸送の容認など武力行使と一体化しかねない問題も残る。
 与党は16日の地方公聴会の後、17日までに特別委で採決、18日までに本会議での成立を描く。
 安倍首相はきのうの特別委で、「法案に支持が広がっていないのは事実」と認めた。
 そう思うなら法案は撤回すべきだ。その上で改憲を目指すか、少なくとも違憲の疑いのない新たな法案を出し直すべきである。
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河北新報 2015年09月14日月曜日
社説:安保審議大詰め/民意に沿い法案出し直せ


 安全保障政策を根本から変える安保関連法案の参院審議が大詰めを迎えている。政府、与党は18日までに成立させる方針で、与野党の攻防は今週、最大のヤマ場となる。
 与党の運営は拙速だ。確かに、衆院同等の審議時間を費やしたものの、採決に付す環境は全く整っていない。
 政府の答弁は迷走。上書きされるたびに、法案の問題点が浮き彫りになり、審議を重ねれば重ねるほど、国民の疑念が深まるありさまだ。
 「十分理解を得られていなくても決めないといけない」
 集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に深く関わった自民党の高村正彦副総裁は、先日の青森市での講演で、このように語り、今国会中に成立させる決意を示した。
 冗談ではない。従来の「できない」を「できる」に変える、安保政策の大転換を、国民の意思に背く形で進めていいはずはない。衆院に続く強行採決など論外である。
 高村氏はこうも述べている。「理解が得られなければ次の選挙で政権を失う。それが民主的統制だ」。理屈には違いないが、傲慢(ごうまん)にも聞こえる。
 厳しさを増す周辺の安保環境に対応するため、日米同盟の強化で抑止力を高める必要がある。国際的な平和貢献も拡大しなければならない。
 脅威を殊更強調する安倍政権のこうした説明を、国民は半信半疑で受け止めている。
 米国の力が低下し、中国が台頭している現状や、積極的な国際貢献の必要性を認めるにしても、集団的自衛権行使に結び付けることへの違和感が拭えない。
 何より、日本の安全性を高める効果が未知数な一方、米国を助けて世界の警察官の一翼を担わされる、つまりは戦闘に巻き込まれるリスクが確実に増すと感じているのだ。
 週末を中心に全国で実施されている反対集会の多さ、膨れ上がる参集規模に、その証しが見て取れる。参加者は老若男女、多彩で学生や主婦らの姿も日増しの状況だ。
 憲法学者の大半に加え、内閣法制局や最高裁の長官経験者までが「違憲」と言明する。閣議決定による憲法解釈変更が憲法で国家権力を統制する立憲主義に反し、自衛と称し実態は他国を守る他衛の活動が専守防衛を限界とする憲法にも反するというのだ。
 環境の変化を凝視しつつ、対応は冷静でなければならない。政策転換の意義が見定め難い上、憲法との整合性に強い疑義を持たれ、法的安定性を軽んじ揺るがすようでは賛同が広がりようもない。
 集団的自衛権の行使を認めなければ、日本の安全が保てないのなら、憲法9条改正を発議し、国民の審判を仰げばいい。まっとうな手続きを踏めないほど、事態は切迫しているのだろうか。
 憲法の壁を意識し、自衛隊派遣の十分な裁量を確保したいが故もあってか、法案は曖昧だ。「限定」や「歯止め」は、いかほど機能しよう。
 ここは成立をいったん断念。安保政策を広い視野から問い直し、あるべき法整備に知恵を絞るべきである。無理筋へのこだわりは国民の政治不信を募らせ、自衛隊員の不安をかき立てるだけだ。
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毎日新聞 2015年09月13日 02時30分
社説:安保転換を問う 集団的自衛権 
 ◇政府の説明は破綻した


 安倍政権が、安全保障関連法案を今週中に成立させようとしている。
 多くの専門家が憲法違反と指摘し、国民の過半数が反対しているのに、なぜ成立を急ごうとするのか。
 安倍晋三首相は「国民の命と暮らしを守るため」というが、これまで衆参両院で約200時間、審議しても、集団的自衛権を行使しなければ国を守れないという説得力ある説明は、政府から聞かれなかった。
 審議が参院に移ってから、政府は北朝鮮の脅威に加え、中国の軍事的台頭への懸念を強調するようになった。国民の間に広がる漠然とした不安に訴えかけ、法案の必要性に理解を得ようという狙いだろう。
 ◇ホルムズも邦人輸送も
 確かに中国や北朝鮮の動向は心配だ。日本はこのまま手をこまねいていていいのか、という問いかけに共感する人もいるだろう。
 だが、こういうときだからこそ日本はいま何ができて、何ができないか。足りない点を補うために、どんな法制を整備すべきか、冷静に検討する必要がある。
 差し迫った課題である沖縄県・尖閣諸島を考えてみる。尖閣は日本の領土だ。この防衛は、日本を守るための個別的自衛権で対処する。米国も日米安保条約5条にもとづき共同で防衛にあたると期待されている。
 つまり個別的自衛権と日米安保で対処するわけで、他国が攻められたときに日本がそれを守るために反撃する集団的自衛権とは関係がない。
 政府が、集団的自衛権行使の代表例としたのは「中東・ホルムズ海峡での機雷掃海」と「邦人輸送中の米艦防護」だ。
 ホルムズ海峡の機雷掃海は、経済的な理由で集団的自衛権を行使することに批判が高まり、政府は最近では積極的に言及しなくなった。
 邦人輸送中の米艦防護は、地域は限定していないが、主に朝鮮半島有事(戦争)を想定している。首相がパネルを使って集団的自衛権行使の必要性を訴えたこだわりの事例だ。
 だが、中谷元防衛相は「邦人が乗っているかいないかは、(条件の)絶対的なものではない」と語った。
 朝鮮半島有事の米艦防護では、このほか、ミサイル防衛にあたる米イージス艦を守るケースも議論された。有事に米艦が艦隊を編成せずに単独で行動し、自衛隊に守ってもらう事態は現実には考えにくい。この点でも政府の答弁は揺れ動いた。
 40年以上維持されてきた憲法9条の解釈を強引に変更してまで、なぜ集団的自衛権を行使する必要があるのか。政府は、それに当てはまる事例をついに示せなかった。説明は破綻したと断じざるを得ない。
 政府が法案に込めた狙いは、米軍の戦いを自衛隊が世界規模で支援し、集団的自衛権の行使が可能な国になることで、日米同盟をより双務的にすることだろう。それによって米国をアジア太平洋に引きつけ、強化された日米同盟で中国の軍拡に対応することを目指している。
 安全保障環境の変化に対応するため、必要な法案の議論を一つずつ積み上げたというよりも、集団的自衛権の行使容認ありきだった。
 ◇あまりに大きいリスク
 だから、必ずしも現実の安保環境の変化と法案の内容が結びつかず、ちぐはぐになり、政府の説明がころころ変わったように見える。
 私たちは、安保環境の変化に対応するため、法制の見直しは必要だと考えている。例えば、現行の周辺事態法は、朝鮮半島有事を想定して米軍への後方支援を定めた法律だが、地理的な制約を維持し、弾薬の提供をしないなどの縛りをかけたまま、与野党で話し合って支援内容の拡充を検討することがあっていい。
 だが、集団的自衛権の行使が必要と政府が言うものは、基本的に個別的自衛権で対応できると考える。
 集団的自衛権の行使を認めた今回の法案は、「存立危機事態」など行使の新3要件があいまいで、政府が総合的に判断するという仕組みだ。
 どういう基準で武力行使に踏み切るのかという、自衛隊の運用で最も重要な問題が、国民の目に見えない。政府の裁量次第で拡大解釈が可能であり、海外での武力行使が際限なく広がる恐れがある。
 政府案が実行に移されれば、むしろ安全保障上のリスクとなる。さらには、政治上のリスクも招く可能性がある。
 集団的自衛権の行使を認めた憲法解釈変更は、過去の解釈と論理的な整合性がとれていない。法案は憲法違反だと指摘されても、政府は最後まで納得いく答えを示せなかった。
 法案を成立させれば、憲法を頂点とする法体系の安定性は失われるだろう。憲法も政府も国民から信頼されなくなる懸念がある。政治そのものが不安定になりかねない。
 政府は、法整備により日米同盟が強化され抑止力が高まると言う。そういうメリットがあるとしても、リスクのほうがはるかに大きい。そんな法案を成立させてはならない。
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新潟日報 2015/09/13 08:30
社説:安保法案 疑問と不安が募る一方だ


 政府・与党は安全保障関連法案について、参院平和安全法制特別委員会で採決し、18日までに成立を図る方針だ。
 14日以降は、参院の議決がなくても衆院の再可決で成立させることができる「60日ルール」が適用できる状態になる。
 参院軽視や強引さへの批判を懸念し、安倍政権は参院で可決・成立を図るとみられている。
 だが、民主党など野党は反発を強めており、採決するなら強行的な形になるだろう。いずれにせよ混乱は必至である。
 果たしてそうした混乱を押し切って成立させるのに必要な最低限の理解が、国民に醸成されたといえるのだろうか。
 とてもそんなふうには思えない。各界各層からの疑問や不安、反対の声は日を追うごとに強まったように感じられる。
 最初に言いたいのは、採決できるほど議論が深まったとは到底考えられず、審議の終結は時期尚早だということだ。
 政府・与党は十分な時間をかけて手続きを踏んだと反論するのかもしれない。
 しかし、現行の法律10本の改正案を一括した法案と、新法1本からなる安保法案である。それぞれが本来なら国会で徹底議論が必要な内容を持つ。
 むしろ審議時間は足りないほどなのだ。そもそも審議は時間数ではなくて中身のはずだ。
 最も重大なのは違憲性である。6月に衆院憲法調査会に出席した憲法学者3人がそろって違憲と指摘したことで、国民の関心が一気に高まった。
 昨年7月の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定は、従来の政府見解を一内閣の判断だけでひっくり返す事実上の「解釈改憲」とされるものだった。
 安保法案の根本にある閣議決定を含めて、違憲性に批判が集まったのは当然である。
 違憲性にばかり目が向いた結果、環境の変化に対応した安全保障論議ができなかったのは残念だという意見がある。
 安全保障論議の必要を否定するものではない。だが、それが深まらなかったのは違憲性論議のせいだというのは違う。
 解釈改憲というゆがんだ基礎の上に、きちんとした家を建てることはできない道理だ。
 政府・与党は集団的自衛権容認の根拠に砂川事件判決と1972年政府見解を掲げた。
 当初からその強引なこじつけと論理的矛盾は、繰り返し批判の対象になってきた。それにもかかわらず、政府は正面から説明する姿勢を示さなかった。
 元最高裁長官の山口繁氏ら多くの専門家が明確に「ノー」と言い切っている。政府の論理は破綻したといっていい。
 「集団的自衛権を保持しているが、使うことはできない」というのが従来の政府見解であり、国民の了解だった。
 あらためて安保法案に反対する。国民を守る立憲主義の枠を力ずくで跳び越えた法案が、国民を幸せにするとは思えない。
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信濃毎日新聞 2015年09月13日(日)
社説:安保をただす 参院審議 「決める時」という独善


 安全保障関連法案の審議が重大な局面を迎えている。自民、公明両党は週内に参院で採決に踏み切り、成立させる構えだ。
 集団的自衛権の行使を容認する必要性や正当性、海外での活動の拡大に伴う自衛隊員のリスクなど、法案への疑問は残されたままだ。
 専門家から「憲法違反」との批判が絶えず、国民の抗議行動も広がっている。
 安倍晋三首相は「決める時には決めていただきたい」とする。とても「決める時」と言える状況ではない。成立は断念すべきだ。
   <曖昧さは解消せず>
 他国への攻撃を阻止するために武力行使する集団的自衛権は、曖昧さが消えていない。
 首相が行使例に挙げてきた一つは、朝鮮半島有事などで退避する日本人を乗せた米艦を守るというものだ。これについて中谷元・防衛相は「邦人が乗っているかいないかは絶対的なものではない」と参院審議で述べた。
 日本は、自国への攻撃という客観的な事実を武力行使の要件としてきた。安倍政権は、他国への攻撃で日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合―と主観的な判断に変えた。防衛相の答弁は、政府の判断で伸縮自在なことをあらためて示す。
 中東での機雷掃海は、必要性に疑問符が付いている。イランの駐日大使が機雷敷設について「全く根拠がなく、非現実的だ」と指摘した。イランによる敷設の可能性に触れていた首相は「特定の国を想定しているわけではない」と軌道修正している。
   <「違憲」法案の無理>
 政府はそもそも、憲法に反するとの指摘に説得力のある反論ができていない。政府内で憲法解釈を担った内閣法制局長官OBや大多数の憲法学者が批判している。土台、無理のある法案だ。
 昨年の閣議決定は、集団的自衛権を行使できないとした1972年の政府見解を引きつつ、安保環境の変化を理由に結論をひっくり返した。「基本的な論理は変わらない」とするものの、元法制局長官の宮崎礼壹氏が言うように「黒を白と言いくるめる類い」だ。
 元最高裁長官の山口繁氏も法案を憲法違反と断じている。「72年見解が誤りだったと位置付けなければ論理的整合性は取れない」と批判する。政府は「現役を引退した私人の発言にコメントすることは差し控える」とし、耳を傾けようとしない。
 違憲とされるのは、集団的自衛権だけではない。他国軍への後方支援にも問題がある。
 法案は、発進準備中の戦闘機への給油を可能にする。この点について、法制局長官を務めた大森政輔氏が参考人質疑で新たな事実を明らかにした。周辺事態法の制定時に法制局が「憲法上、認められない」と主張し、外務省と対立していたというものだ。
 政府の憲法解釈上、自衛隊は武力行使だけでなく、他国と一緒に武力行使していると受け取られる活動も許されない。発進準備中の給油は、その典型例と法制局は判断していた。当時は、実施しない理由を「米軍のニーズがない」とすることで収めたという。
 法案が通れば、後方支援を「非戦闘地域」に限定する縛りもなくなる。戦闘が起きる可能性のある場所でも、現に行われていなければ自衛隊が活動できる。この点でも他国の武力行使と一体化し、違憲となる恐れが強まる。
 国民を守るために集団的自衛権や後方支援の拡大が必要だというのなら、改憲によって実現を目指すのが筋である。
 安倍政権は、これまで「できない」とされてきたことを内閣の判断で「できる」と変えた。これで徴兵制は「あり得ない」と断言しても説得力はない。
   <撤回し国民的論議を>
 首相補佐官の「法的安定性は関係ない」との発言、法案成立を前提にした防衛省の内部資料の発覚など、相次ぐ問題にも審議の時間を取られた。議論が熟したと言うには程遠い。
 政府、与党は参院で中国の海洋進出など安保環境の変化を強調している。首相はテレビ番組で北朝鮮の核・ミサイル開発を例示して法整備の必要性を主張した。脅威をあおりながら、特定の国を想定した法案ではないとする。ご都合主義ではないか。
 差し迫った危機があるのか、自国を守る上で現行法にどんな隙間があるか、集団的自衛権を認めなければ日米安保体制の抑止力は機能しないのか…。安全保障の在り方を国民が共に考えられる分かりやすい議論が必要だ。
 安保政策には国民の理解と協力が欠かせない。反対意見を無視して成立させ、幅広い支持なしに自衛隊を海外へ派遣することになれば、隊員のためにもならない。政府は法案を撤回し、国民的な論議を一からやり直すべきだ。
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高知新聞 2015年09月13日08時13分
社説:【安保法案】採決強行は認められない


 「十分に理解が得られていなくても決めないといけない」
 自民党の高村副総裁の言葉通りに、安倍政権と与党が近く参院で安全保障関連法案の採決に踏み切ろうとしている。
 集団的自衛権の行使を解禁する法案は立憲主義や平和主義の土台を揺るがし、多くの国民が反対している。民意を無視して強行採決した衆院と同じ光景が、参院でも繰り返されることを認めるわけにはいかない。
 安倍首相は参院での審議入りに際して、「国民の意見に真摯(しんし)に耳を傾けながら、丁寧な説明を心掛ける」と約束した。だが、国民が目にしたのは言葉と懸け離れた姿勢だ。
 まず法案には憲法との整合性という根本的な問題がある。歴代政権が認められないとしてきた集団的自衛権の行使を、安倍政権は憲法解釈の変更によって容認した。これに対し、多くの憲法学者や元内閣法制局長官らは「憲法違反」と指摘している。
 政府は砂川事件をめぐる1959年の最高裁判決や72年の政府見解を合憲の根拠に挙げる。「論拠とするのはおかしい」といった批判は参院の審議でも続いたが、同じ説明を繰り返すだけだった。
 違憲論には、「憲法の番人」である最高裁の元長官も加わった。政府の説明には「論理的な矛盾があり、ナンセンスだ」と厳しく批判している。政府の合憲論はさらに説得力を失ったといってよい。
 一内閣の判断で勝手に憲法解釈が変更されれば、「立憲主義や法治主義が揺らぐ」という元最高裁トップの懸念は、多くの国民も抱いていよう。国民の過半数が法案に反対し、デモや集会が全国に広がるのはその証しだ。
 根本的な危うさ
 法案の中身に対する疑問もさらに膨らんだといってよい。
 例えば、集団的自衛権の行使要件となる「存立危機事態」だ。どういうケースが認定する理由になるのかは重要な意味を持つ。だが、参院の審議でも安倍首相と中谷防衛相の説明が食い違ったり、二転三転したりし、曖昧さは全く解消されていない。
 戦闘中の米軍など他国軍を自衛隊が後方支援する「重要影響事態」も同様だ。他国との「武力行使の一体化」などが懸念されているが、具体的な事例を問われると、存立危機と同じように「総合的に判断する」とかわし続けている。
 首相や防衛相の説明が揺れるのは、法案そのものが曖昧に作られているからだ。自衛隊の武力行使や海外派遣をはじめ、多くが時の政権の判断に委ねられるといってもよい。法案が持つ根本的な危うさだ。
 法案の必要性について、首相は中国などの軍事的脅威を強調する。安保環境が変化しているのは確かだが、米軍との一体化による「抑止力の強化」が唯一の対応策なのか。軍拡競争に陥ったり、日本の安全を逆に損ねたりする恐れさえある。
 多くの国民の反対は、「平和国家」が崩れていくことへの危機感の表れに他ならない。法案が不可欠というのであれば、政府、与党は理解が得られるまで説得を続けるべきだ。
 その努力を放棄し、数の力によって反対の声を押しつぶすしかないような安保法案が、国民の真の利益につながるとは到底思えない。理解が得られないなら、廃案しかない。
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