2015-09-19(Sat)

戦争法案  (39)  参院本会議可決成立  150919 

国民を無視し歴史に残る汚点に この暴挙決して忘れまい 路上の意思に見る希望

<各紙社説>
愛媛新聞)衆参両院で採決強行へ 国民を無視し歴史に残る汚点に(9/19)
徳島新聞)安保関連法 この暴挙決して忘れまい(9/19)
高知新聞)【安保法案採決】省かれた民主主義の過程(9/19)
西日本新聞)安保法成立 最後の歯止めは主権者だ(9/19)
熊本日日新聞)安保法案 “力”頼みの抑止力に疑問(9/19)

宮崎日日新聞)民主主義の危機  政治に世論生かす仕組みを(9/19)
南日本新聞) [新安保政策・民意と政権] 針路を任せて大丈夫か(9/19)
琉球新報)安保法案攻防 成立強行は許されない(9/19)
沖縄タイムス)[安保法成立]路上の意思に見る希望(9/19)




以下引用



愛媛新聞 2015年09月19日(土)
衆参両院で採決強行へ 国民を無視し歴史に残る汚点に


 最初から国民の声を聴く気など全くなかったのだと断じざるを得ない。与党は、憲法違反の疑いが濃厚な安全保障関連法案を参院で強行採決する構えだ。衆院に続く強行は戦後70年間に日本が築き上げてきた平和主義を無に帰し、立憲主義と民主主義をないがしろにする暴挙だ。歴史に残るであろう大きな汚点になる。怒りを禁じ得ない。
 安倍晋三首相は終始「安保法制ありき」で突っ走った。一貫していたのは「いかに国民の目を欺くか」だった。
 まず昨年7月、集団的自衛権行使容認を閣議決定した。国会閉会の直後で、国会での議論を避けるためだったのは明らか。「国民に丁寧に説明する」姿勢は最後まで見られなかった。
 12月の衆院選では、あえて安保を争点化しなかった。自民、公明両党で3分の2以上の議席を確保した後で「公約にはっきり書いていた」と強弁したが、選挙で堂々と主張しなかったのは後ろめたさの証左だろう。
 今年4月の米議会での演説で「この夏に成立させる」と宣言したことも、自国の国会を無視していると批判を浴びた。視線の先にあったのは米国であり、日本の国民ではなかった。
 圧倒的多数の憲法学者が法案の違憲性を指摘、歴代の内閣法制局長官や元最高裁長官、元自民党幹部らも反対を訴えたが、「私人」を理由に無視した。共同通信社が実施した世論調査では「反対」意見が6割以上に。政府の説明不足を指摘する声も8割超に達したが、首相をはじめ閣僚の説明は、はぐらかしと時間稼ぎの意図が明白。意味のない答弁に、国民の不信感が募っていったのは当然だ。
 法案自体にも数々の不備や矛盾が指摘された。首相の説明も破綻したが、結局、一行も修正されなかった。一部野党と修正協議に応じる姿勢も「強行」のイメージを和らげる演出。追認するだけに終わった国会も、立法府の責任を全く果たしていない。全議員に猛省を促したい。
 看過できないのは防衛省内の動きだ。法成立を見越した内部文書を作成していたほか、最高機密とされる最新型の潜水艦音響監視システムの存在を、一部の歴代防衛相に説明していなかったことが明らかになった。
 今年6月には改正防衛省設置法が成立。背広組防衛官僚が制服組自衛官に優越する「文官統制」の原則が崩れ始めている。安保法案が成立し自衛隊の活動が広がれば、現場が「暴走」する可能性が高まりかねない。
 政府は、国会を95日間も延長し、自民党総裁選も「無投票」に持ち込んだ。無理を重ねた揚げ句、強行採決を避けられなかったのは、法案の違憲性の疑念が払拭(ふっしょく)できず、政府が意図的に説明を怠った報いでもある。
 民意を無視した安保法案は成立したとしても容認できない。歴代内閣の憲法解釈を一内閣で変えたのだから、別の内閣で元に戻すことも可能だ。諦めずに声を上げ続けていきたい。
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徳島新聞 2015年9月19日付


社説:安保関連法 この暴挙決して忘れまい
 安全保障関連法案で混乱した国会が幕を閉じる。
 反対を叫ぶ国民の声に背を向け、自民、公明の与党と次世代の党など野党3党が、参院本会議で法案の成立に持ち込んだ。
 集団的自衛権の行使容認は、安倍晋三首相の長年の悲願である。昨年7月の閣議決定に続いて法制化にこぎ着けたことは、感慨深いものがあるだろう。
 しかし、戦争放棄と交戦権否認を定めた憲法9条の下では、集団的自衛権は「許されない」というのが歴代内閣の憲法解釈である。
 これをねじ曲げ、限定的に「許される」としたのが安保法だ。理由は、日本を取り巻く安全保障環境の変化であり、中東・ホルムズ海峡で機雷掃海をする必要があることなどだ。
 ところが、行使の具体例は国会審議の中で、どれも説得力を失ってしまった。
 圧倒的多数の憲法学者をはじめ、元内閣法制局長官や元裁判官ら、多くの専門家も憲法違反だと批判している。
 そんな法案を、国会で多数を握っているからといって成立させていいはずがない。
 日本が掲げてきた平和主義を変容させ、立憲主義を破壊する立法に強く抗議する。
 ◎時の政府の意向次第
 問題は、必要性が乏しく、違憲の疑いが強いことだけではない。
 政府は、集団的自衛権で武力行使ができる条件として、三つの要件を定めた。
 「日本や密接な関係の他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」ことなどだ。
 直接攻撃されていないのに、国の存立が脅かされるとは、どんな事態なのか。明白な危険があると認定できるのは、どのような場合か。
 行使は極めて限定的だと首相は力説したが、ついに明確にならなかった。これでは、時の政権の意向次第でどうにでもなる。
 自衛隊の活動範囲も格段に広がる。従来は「非戦闘地域」に限るとしていたのを、「現に戦闘行為を行っている現場(戦場)」でなければ可能とした。戦場以外なら、憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」に当たらないとの判断だが、無理があろう。
 後方支援では、弾薬提供や発進準備中の戦闘機への給油を解禁する。中谷元・防衛相は「核兵器の運搬も法文上は排除していない」とした。後で「あり得ない」と訂正したが、これも政権の判断で変わる恐れがある。
 安倍首相は、丁寧な説明で国民の理解を得たいと繰り返したが、国会答弁を振り返る限り、そうした姿勢はうかがえなかった。
 理解を得られなかったことは、全国に広がった反対のデモや集会が証明している。
 ◎これで終わりでない
 「安倍1強」といわれる政治状況ゆえのおごりなのか。首相周辺からは、報道機関の言論を封じ込めようとする動きも起きた。許し難いことである。
 特別委員会での採決では、次世代など野党3党を取り込み、「強行」ではないとした。だが、小手先の演出にすぎないということは、多くの国民が見抜いていよう。
 議席数で大差があるとはいえ、野党の力不足も目立った。集団的自衛権に対する党内の意見が割れている民主党は、当初、迫力を欠いていた。維新の党も分裂含みの混乱を演じた。
 それでも、法律の撤廃を求める野党や国民の動きは、これからも決してやむことはないだろう。
 首相は国会閉会後、来年夏の参院選をにらんで、政権運営の重心を経済政策にシフトさせる構えだ。
 これまでの国政選挙でも、首相は経済再生を中心に訴え、安保政策の大転換にはほとんど触れなかった。そうしたやり方が、果たして次も通じるだろうか。
 世論を顧みない振る舞いに手痛いしっぺ返しがあることは、与野党とも経験しているはずだ。
 安倍首相は、そのことを肝に銘じてもらいたい。
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高知新聞 2015年09月19日08時03分
社説:【安保法案採決】省かれた民主主義の過程


 日本の針路を左右する安全保障関連法案。その採決をめぐる与野党の攻防は、憲政の歴史の中でも激しいものだった。
 参院の平和安全法制特別委員会では、与党が野党の一瞬の隙を突いて採決を強行した。鴻池委員長を与野党の議員が取り囲み、何が行われているかも分からない混乱ぶりだった。
 これが言論の府、しかも良識の府かと、参院審議のありように失望、落胆した国民は多かったに違いない。
 採決強行は演説に長い時間をかけるなど、審議引き延ばしを図る野党への対抗策だった。こうした議事妨害は少数派が多数派から譲歩を引き出すための戦略ではあるが、本来は正々堂々と議論するのが憲政の王道である。
 ところが今回、与党は採決前の総括質疑さえ「省略」した。討論の場そのものを奪うのは、どう考えても行きすぎだ。私たちが「日本の民主主義における歴史的汚点」と批判するゆえんである。
 法案の審議は衆参両院で計200時間を大きく超えた。戦後の安保法制の審議では最長である。これをもって与党は「十分に審議し、論点も出尽くした」と採決を正当化する。
 しかし安保法案は、地球規模での自衛隊の海外派遣と対米支援を可能とする。憲法9条の下で専守防衛に徹した「国のかたち」の大転換を、審議時間を目安に決めること自体、違和感を禁じ得ない。
 集団的自衛権の行使容認、他国軍の後方支援に自衛隊を随時派遣できるようにする恒久法など、安保法案は11本の法案を2本にまとめている。巨大法案だけに国連平和維持活動(PKO)における自衛隊の駆け付け警護など、議論が不十分な分野も少なくない。
 まだまだ論点は出尽くしていないし、論点に対する政府の回答も国民に理解されてはいない。
 国民の間に亀裂
 1960年に日米安保条約が改定された時、当時の本紙論説委員長は書いている。
 「国民生活に直接ひびく法案が、『多数』を占めるというただ一つの事実によって、多数党が審議もそこそこに、しかも単独可決を強行することが許されるなら、まわりくどく、しかも多額の国費を要する国政審議の場は、およそ無用の長物でしかないということにもなる」
 半世紀以上を隔てて同じ懸念を記さざるを得ない。
 むろん議会制民主主義である以上、最後は多数決によることに異存はない。ただしそれが許されるのは、与野党の論議が生煮えで国民も内容を未消化である状況を解消してからだ。
 その重要なプロセスを省いて、時間が来たからと言って機械的に決するだけなら、単なる多数決主義であって民主主義とは呼べない。
 国会内「多数党」の意見と「世論」との隔たりが大きければ大きいほど、世論の理解を得るプロセスに十分な時間を割く必要がある。
 それとは逆に、「国民の理解が得られなくても成立させる」という与党の姿勢がもたらすものは何か。国民と政府との、国民の中の賛成派と反対派との深刻な亀裂であり分断であろう。
 そんな社会をつくりだすことは、国家の安全保障にとってもプラスになるとは思えない。民意に背を向け安保法制の成立に固執する安倍政権。その代償はあまりに大きい。
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=2015/09/19付 西日本新聞朝刊=
社説:安保法成立 最後の歯止めは主権者だ


 戦後70年の日本の歩みは重大な岐路を迎えたといえるだろう。
 安全保障関連法が成立した。多くの憲法学者が憲法9条に違反すると指摘する法律である。
 その内容も、これまで日本が営々と築いてきた平和主義を空洞化させる危険をはらむ。
 国会の外では採決に反対する市民の声が響いていた。「9条壊すな」「政権の暴走止めろ」-。
 安倍晋三政権が多くの国民の懸念や疑問を無視して、法秩序を揺るがし、日本の将来のリスクを高める法律を強引に成立させたことに対し、強い怒りを覚える。
 ▼憲法9条が空洞化
 この法律のどこが危険なのか。あらためて指摘したい。最も重大な点は、これまで憲法9条で「使えない」と解釈されてきた集団的自衛権の行使を認めることだ。
 個別的自衛権だけが認められているという従来の憲法解釈では、日本は自国が攻撃されたときのみ反撃できた。「専守防衛」の原則である。武力行使の要件はシンプルで、拡大解釈の余地はない。
 しかし、これに集団的自衛権が加わると、武力行使できる要件が曖昧になる。新たな法律では「わが国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態)」には、集団的自衛権として武力行使できるようになる。
 これは限定のようで限定になっていない。具体的にどんな状態が存立危機事態にあたるか、政府に判断が委ねられているからだ。
 国会審議でも安倍首相ら政府側は「政府が全ての情報を総合し、客観的、合理的に判断する」と繰り返すだけだ。これでは事実上、法的な歯止めはないに等しい。
 時の政府が「総合的に判断した結果、存立危機事態にあたる」と言えば、自衛隊は世界のどこででも武力行使ができることになる。やはり、日本を「戦争
に近づける」法律だと言わざるをえない。
 ▼「自存自衛」で戦争に
 この法律は日本の安全保障政策を大転換させる。そんな節目だからこそ、歴史を振り返りたい。
 「帝国は今や自存自衛の為(ため)決然起(た)って一切の障害を破砕するの外(ほか)なきなり」
 1941年12月8日に出された太平洋戦争の開戦を布告する詔書の一部である(「米国及英国ニ対スル宣戦ノ件」。原文はカタカナ。一部を常用漢字に修正)。
 かつて日本の指導者は「自存(自力で存在する)」と「自衛」を理由に、日本から数千キロ離れたハワイや、マレー半島で米軍と英軍を攻撃し、無謀極まる戦争に突っ込んでいった。この時点で日本本来の領土は、どこからも本格的な攻撃を受けていなかった。
 「自衛」や「自存」の範囲は権力者の都合でここまで広がった。肝に銘じたい。「存立」も「自存」とほぼ同じ意味で使われている。
 安倍首相は集団的自衛権の適用例として、ホルムズ海峡の機雷掃海を挙げた。機雷を除去しないと日本に石油が入らず、国民の生命が脅かされるから、武力行使を認める-という論理だ。
 「自衛」「存立」の拡大解釈がすでに始まっていないだろうか。
 ▼「納得してない」声を
 法案の審議が進むにつれ、市民の反対運動は拡大する一方だった。組織とは無縁の市民がインターネットの呼び掛けに応じて集会に足を運び、それぞれの言葉で法案反対を訴えた。ほとんどの世論調査でも、最後まで法案成立への「反対」が「賛成」を上回った。
 民意を無視された国民は、安保法制成立の現実にどう向き合えばいいのだろうか。
 しつこく声を上げよう。「私は納得していない」と。
 その声が政府に法律の恣意(しい)的な運用をためらわせ、自衛隊の際限なき活動拡大への一定の抑止になるはずだ。安倍政権が連休前の法案成立にこだわったのも、反対デモの拡大を懸念したからである。政権は民意を恐れている。
 日本が平和主義の道を踏み外さないように、政権を監視し続けよう。政権の示す道に納得がいかないなら、時には街頭で声を上げ、時には投票で意思表示しよう。
 日本を戦争に向かわせない最後の「歯止め」は、主権者たる国民なのだから。
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熊本日日新聞 2015年09月19日
社説:安保法案 “力”頼みの抑止力に疑問


 自衛隊の活動はどこまで広がるのか。どう国を守り、国際社会に貢献しようというのか。その議論が深まらないままの安全保障関連法案である。
 中でも安全保障の大きな分岐点となるのが集団的自衛権の行使容認だ。日本が攻撃されていなくても、密接な関係にある他国が攻撃されたら自衛隊も武力行使できるようになる。端的に言えば、米国の戦いに参加することだ。
 任務が拡大すれば、自衛隊員のリスクが高まることが予想され、事によっては“戦争状態”を招いてしまう恐れもある。
 これに対して政府は、国民が納得できる明確な答えを用意できなかった。そんなずさんな法案を“数の力”によって強引に成立させることは、将来に禍根を残すことになろう。
 法案は、集団的自衛権を限定的とするため、(1)日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使、の新3要件を歯止めとしている。
 旧3要件では、日本が攻撃されたときだけ自衛隊は個別的自衛権で反撃するが、海外での武力行使は一切しない、との明白な線引きがあった。
 新3要件の文言はいずれも曖昧だ。安倍晋三首相は「総合的に判断する」とする。自衛隊をいつでも、世界中どこでも派遣できるようになるのでは、と国民の不安が高まるのも当然だろう。
 これまでの海外派遣も危険と隣り合わせだった。陸上自衛隊が2004年からイラクで実施した人道復興支援活動では、「非戦闘地域」とされた南部サマワの宿営地に迫撃砲などの攻撃が相次いだ。活動地域が拡大すれば、危険性が高まることの証拠だろう。
 従来は控えてきた武器も使用でき、他国軍の後方支援では弾薬の提供や、戦闘作戦で発進準備中の航空機への給油・整備も可能になる。国際的には「武力行使との一体化」でしかない。
 安倍首相は衆院の質疑で「日本の主体的判断の下、自衛隊の役割を果たす」と繰り返したが、米国の要請を拒否できる担保は示せなかった。
 日本はこれまで、軍事以外の分野で国際貢献を果たしてきた。自衛隊が「軍隊ではない」ことが海外での評価につながっていることを忘れてはならない。これまで培ってきた“ブランド”を捨ててまで、自衛隊の任務を拡大する必然性が見えてこない。
 安倍首相は「今回の法制で日米同盟が完全に機能し、紛争を未然に防ぐ力は高まる」と強調する。しかし現在の国際社会は複雑に利害が絡み合い、軍事力に頼った抑止力だけで紛争を防げない時代になっている。
 今回の安保法案は、平和国家日本の転機となる危険性をはらんでいる。紛争に力で介入するのではなく、危機回避へ外交・安保政策を尽くすことが「積極的平和主義」ではないのか。
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宮崎日日新聞 2015年9月19日
社説:民主主義の危機  ◆政治に世論生かす仕組みを◆


 安全保障関連法は平和国家としての日本の在り方を根本から変容させるものだ。大きな分岐点であるのに、安倍晋三首相は国民の疑問を解消する的確な説明をせず、反対や慎重意見も無視し、法制の必要性を「理解」するよう国民に押し付けた。
 国会外に抗議の声があふれる。「政権の暴走だ」「民主主義はどこへ」。なぜ国民がここまで悲痛な叫びを上げているのか。国会議員は国民の意見を政治に反映できる仕組みを構築すべきだ。
数の力が審議を左右
 ここに安保法案を閣議決定し、翌日に国会提出を控えた安倍首相の記者会見の記事がある。この時点から既に憲法との整合性、「存立危機事態」の定義のあいまいさなどは指摘されていたが、安倍首相は「国会審議を通じて法制が必要だということを理解してもらうべく努力したい」と述べている。
 この言葉通り安倍首相は衆院、参院を通じ、問題点を追及されても正面から答えずに自らの見解を繰り返し「法制の必要性」だけ訴え続けた。違憲の疑いという法案の根幹にかかわる問題でさえもだ。
 では5月からの議論には何の意味があったのだろう。国会審議とは何なのだろう。議会制民主主義とは何なのだろう。今、国会周辺で声を上げる若者グループではなくとも問いが頭を巡る。
 反対が強まっていく焦りの中で自民党から飛び出したのが報道圧力発言、若者の抗議行動への威圧だった。安保法案や安倍政権に対する自由な考え、自由な表現さえつぶそうとする狭量さ。国会内で「数の力」を持つことから来るおごり、だろうか。しかし国会外を見なければならない。どんな怒りが自分たちを取り巻いているのか。
高まる政治的な関心
 若者グループの奥田愛基さんは中央公聴会で語った。「国民投票もせず、解釈で改憲するような、違憲で法的安定性もない、国会答弁もきちんとできないような法案をつくることなど私たちは聞かされていない」。さらに議員に対し、一人の人間として孤独に思考し行動してほしいと訴えた。
 出産間近で「安保関連法案に反対するママの会宮崎」を立ち上げた女性は言った。「命は下から見上げるか、上から見下ろすかで違ってくる。命を大事にしない法案、国民を大事にしない政治を子どもたちに押し付けてはいけない」。
 声を上げ始めた国民は法案反対だけでなく国民主権、立憲主義、民主主義の危機を訴える。
 首相が「国民の命と平和な暮らしを守るもの」と断言した安保法案によって、一人一人の心の自由や安心できる日常を守ってきたものが何だったのか、影絵のようにくっきり見えてきたのは皮肉なことだ。
 だが悲観する必要はない。民の力で政治を変えることはできる。選挙で意思を示すこともできる。関心を持ち続けよう。民主主義の真価が試されるのはこれからだ。
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南日本新聞 ( 2015/9/19 付 )
社説: [新安保政策・民意と政権] 針路を任せて大丈夫か


 この政権に日本の針路を任せて大丈夫か。そんな思いの国民は少なくないだろう。
 集団的自衛権行使を可能とする安全保障関連法案が成立目前だ。深刻なのは法的不備だけでない。民意と安倍政権との間に深いミゾが刻まれたことである。
 「一人一人が思考し、声を上げるのは間違っていない。それこそが民主主義だ」
 「憲法を無視することは国民を無視するのと同義だ」
 いつもは国会の外で法案反対を訴えた大学生グループのメンバーが、参院特別委員会の中央公聴会で述べた言葉だ。
 「民主主義って何だ」「立憲主義って何だ」-。
 ラップ調のコールを国会内で聞いたのだろうか。「戦争に行きたくないという極端な利己的考え」と批判したのは、金銭トラブルもあって自民党を離党した武藤貴也衆院議員である。
 ちょうど安倍晋三首相が参院特別委の審議で、海外派兵についても「総合的に判断する」と述べ、将来の拡大に含みを持たせたころだった。
 反対意見を「利己的」と切り捨てる。これこそ「無責任なレッテル貼り」の典型だろう。
 武藤氏は自らのブログで次のような考えを披露する。戦後憲法がもたらした「基本的人権の尊重」によって、滅私奉公など「日本人的価値観」が破壊された、と。
 若者を戦争へ駆り立てた時代がよみがえってくるようだ。国会議員の資質を疑う。
 憲法軽視の点では、礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性は関係ない」との発言も見逃せない。
 「わが国を守る」ため、憲法で許される必要最小限度の自衛の範囲を伸び縮みさせる。本末転倒の考えが発言からうかがえた。
 「解釈改憲」を批判され、首相は「従来の解釈に固執するのは政治家としての責任放棄だ」と反論した。「関係ない」発言に通じるものがある。
 礒崎氏は安全保障担当の首相補佐官で、自民党憲法改正推進本部事務局長も務める。礒崎氏の発言は、改憲を悲願とする首相の本心ではなかったか。
 共同通信社の直近の世論調査によると、法案を「憲法違反だと思う」との回答は過半数を占めた。民意の大勢は明らかだ。
 政府の裁量で自衛隊の海外活動を際限なく広げる。民意に背を向けた政権だ。そのうち暴走しないかと心配になる。
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琉球新報 2015年9月19日 6:02
<社説>安保法案攻防 成立強行は許されない


 抗議の人が議事堂を取り巻く光景を見ても、国会内の紛糾を見ても、今が採決にふさわしいときとはどうしても思えない。
 安全保障法制をめぐる国会での与野党の攻防が大詰めを迎えている。野党は衆院で内閣不信任案、参院で特別委委員長の問責決議案を連発し、審議の引き延ばしを図っているが、与党はあくまで強行採決の構えだ。
 しかし、肝心な国民の意見は賛同には程遠い。世論調査は、実施するたびにむしろ成立反対が増えている。国会前抗議の波や全国各地のデモは引きも切らない。政府答弁も二転三転し、定まらないありさまだった。審議を尽くしたとは到底言えない。そもそも憲法学者の大多数も元内閣法制局長官も元最高裁判事も、そろって違憲性を指摘する法案だ。このまま成立を強行するのは許されない。
 直前総選挙での勝利を根拠に、数の力で押し切ることを自民党は正当化している。だがその際の自民党の政策集では26ページ中、安全保障法制はわずか数行にすぎない。参院の公聴会で学生団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さんが述べたように、「国民投票もせず、解釈で改憲するような、違憲で法的安定性もない、国会答弁もきちんとできないような法案をつくるなど、私たちは聞かされていない」のである。
 与党は、次世代の党や日本を元気にする会、新党改革の野党3党が賛成に回ったことで「強行採決ではない」とも強弁する。
 だがその合意は法案の修正ではない。「自衛隊を派遣する際に国会の関与を強める」ため、付帯決議と閣議決定を行うとするものだ。付帯決議に拘束力はない。国会の関与を強めるなら、法案に書き込むのが筋だ。閣議決定と言うが、そもそも歴代政権が踏襲した見解を事もなげに覆し、解釈改憲をしたのが今の内閣である。閣議決定にどんな歯止めがあるのか。
 慎重審議を求める声を無視するならもはや民主主義国ではない。内閣の恣意(しい)で解釈改憲できるのなら立憲主義でもない。他国で軍事力を使えるようにするのだから平和国家でもない。
 もはや思想家の内田樹氏が評するように、スハルト大統領当時のインドネシア、マルコス大統領時のフィリピンに並んで、日本も「晴れて開発独裁国家の殿堂入り」である。成立を許してみすみすそんな国にしてはならない。
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沖縄タイムス 2015年9月19日 05:30
社説:[安保法成立]路上の意思に見る希望


 国民の半数以上が反対する中、衆参両院で強行採決を繰り返した安全保障関連法が成立した。
 民意無視、国会軽視、立憲主義を軽んじる愚行というほかない。
 政府は聞こえないふりを決め込んでいるようだが、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を認める法案に対し、国会の外では「憲法守れ」「戦争するな」の声が鳴り響いている。
 安保法制をめぐる混乱の中ではっきりと見えたのは、「安倍1強」に染まる政権の危うさと、芽生え始めた新たな民主主義だ。
 「3連休を挟めば忘れるだなんて国民をバカにしないでください。むしろそこからまた始まっていく。もう止まらない」
 法案に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さんは、15日に開かれた参院特別委員会の中央公聴会で語った。国民の声に耳を傾けようとしない政権への痛烈な批判であり、声を上げることを止めないという決意である。
 特定の政党を支持せず、LINE(ライン)などでつながる若者たちの抗議活動は、国会前から地方へと広がり、沖縄では「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」が結成された。
 立憲主義に基づいた政治を求め、「憲法守らぬ総理は要らない」などと呼び掛けてきたシールズの最近のコールは「賛成議員を落選させよう」だ。
 諦めることも、落胆することもない。民意を示す方法はまだある。
    ■    ■
 戦後日本が平和国家として歩んできた道を踏み外すのではと危機感を抱いているのは、子どもを持つ母親たちも同様だ。
 女性たちは「誰の子どもも殺させない」を合言葉に、「安保関連法案に反対するママの会」を立ち上げ、子連れで活動を繰り広げている。
 母親たちの主張に共通するのは「戦争への不安」である。いくら政権が徴兵制はあり得ないと否定しても、憲法解釈を勝手に変える強引なやり方を前に、不安は払拭(ふっしょく)できない。
 17日、県庁前であった「安保関連法案に反対するママの会@沖縄」の集会で「私は諦めない。子どもの未来を守るために声を上げ続ける」と話す女性がいた。
 権力に対する沈黙を破って声を上げ始めた母親たちの言葉から逆に浮かび上がるのは政治の暴走だ。
    ■    ■
 安保法制をめぐっては、普段は政治的な活動から距離を置く芸能人が、テレビ番組やツイッターでメッセージを発信する動きも目立っている。議論の広がりは「政治家だけに任せられない」という空気の広がりでもある。
 法が成立したから終わりではない。
 立憲主義をないがしろにし、国民への説明責任を果たそうとしない政府に反対の意思を示し続けることで、世論と乖離(かいり)した政策の再考を迫っていく必要がある。
 一人一人の声が政権に対抗する力となる。
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