2015-09-26(Sat)

安保国会閉幕 最高機関の名を汚した

政治の「存立危機」浮き彫り 民意と離れた政治の危うさ

<各紙社説>
読売新聞)通常国会閉幕 与野党は不毛な対立を断て(9/28) 
毎日新聞)通常国会閉会 極論の応酬に終止符を(9/28)
河北新報)「安保国会」閉幕/政治の「存立危機」浮き彫り(9/28)
東京新聞)「安保国会」が閉幕 最高機関の名を汚した(9/26)
神戸新聞)安保国会閉幕/民意と離れた政治の危うさ(9/26)
中国新聞)通常国会閉幕 野党立て直しは急務だ(9/26)
西日本新聞)安保成立その後 国民として覚えておこう(9/25)




以下引用



読売新聞 2015年09月28日 03時11分
社説:通常国会閉幕 与野党は不毛な対立を断て 


 日本の平和確保に極めて重要な安全保障関連法が成立した国会として、歴史に刻まれよう。
 8か月に及んだ通常国会が閉幕した。
 安倍首相は記者会見で、安保関連法について「戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものとする」と語った。「ロシア、中国、韓国との関係改善に力を入れる」とも強調した。
 与党の自民、公明両党の結束は終始、揺るがなかった。自民党総裁選における安倍首相の無投票再選は、所属議員が安保関連法成立を最優先したためだろう。
 民主党は「違憲法案」と断じ、野党共闘を目指した。だが、元気、次世代、改革の3党は、与党との連携を選択した。維新の党も、松野代表らと大阪系議員が分裂状態にあり、共闘は限定的だった。
 残念なのは、世論が大きく割れたことだ。今後、賛成、反対両派の融和をいかに図るのか。重い課題を残したと言えよう。
 地域農協の経営の自由度を高める改正農協法が成立したのは、安倍政権の重要な成果である。
 農業の競争力強化に向けた一歩となる。農協と農家が受け身の姿勢から脱し、販路開拓などの創意工夫に取り組むことが大切だ。
 農協が営農指導に本腰を入れる環境を作るため、農家以外の「准組合員」のサービス利用制限という、積み残しの課題についても、政府は検討を急ぐべきだろう。
 過去に2度廃案となった改正労働者派遣法の成立も意義深い。政府は、派遣労働者の雇用安定と処遇改善に努めねばならない。
 ただ、政府が新規に提出した75法案のうち、成立したのは66本にとどまった。過去最長の95日間の延長をしたのに、9割に満たない成立率は物足りない。
 働いた時間ではなく、成果に応じて賃金を決める労働基準法改正案や、取り調べを可視化する刑事司法改革関連法案などの処理は、先送りされた。
 憲法審査会の審議も事実上、中断した。民主党などが対決姿勢を強める中、与党としては、安保法案への影響を最小限に抑える必要があると判断したためだ。
 安保法案優先の判断は理解できるが、他の重要法案の審議を同時並行で進める方策をもっと真剣に探るべきだったのではないか。
 野党は、対案を示し、政府に建設的な論戦を挑む。政府・与党は、謙虚な姿勢で審議の充実に努める――。与野党双方が、それぞれの本来の役割を自覚し、誠実に取り組むことが求められよう。
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毎日新聞 2015年09月28日 02時31分
社説:通常国会閉会 極論の応酬に終止符を


 戦後最長の245日間におよんだ通常国会がきのうで閉会した。
 昨年暮れの衆院総選挙を経ての国会だった。アベノミクスの継続を訴えて政権を維持した安倍晋三首相だが、「改革断行国会」と名付けた割には経済再生の影は薄かった。
 むしろ安倍首相が最も執着したのは、自衛隊の活動領域を飛躍的に広げる安全保障関連法の成立である。日本の安保政策は、集団的自衛権の行使容認を軸に一線を踏み越えた。
 安保一色になったこの国会で際立ったのは、安倍政権と野党の主張との極端な開きだ。
 抑止力の強化を最優先させようとする政権側と、法体系の安定にこだわる野党側の議論はどこまでもかみ合わず、最後は数に勝る与党によって強引な決着が図られた。原発政策や教育政策でも、非妥協的で全面対決型の議論が繰り広げられた。
 こうした国会は理想の姿からほど遠い。国会は国家意思を決める場であるとともに、主権者たる国民に政策の理解と共有を促す場としても機能しなければならないからだ。
 議論を不毛なものにしている原因は、与野党双方にある。
 一義的には安倍首相のイデオロギーや政策スタンスが、過去の自民党政権と比べて大幅に右へ寄り過ぎていることを指摘せざるを得ない。
 本来、保守主義は復古主義とは異なる。穏健な保守主義であれば、現実的なリベラリズムと重なり合う部分が多いはずだ。なのに、自分たちの価値観に固執し過ぎるため、野党との妥協の余地がなくなる。
 野党第1党の民主党も、安倍政権との対抗上、立ち位置をより左に取る傾向が見受けられた。このため、反対の論陣は張れても、政権に修正を迫るまでには至らなかった。
 与野党とも競合する相手との違いを強調しようとするあまり、主張が両極端に分かれてしまうのは、小選挙区制の弊害でもある。
 加えて、小選挙区制は得票の差よりも議席数の差を大きくする特質があるため、「てこの原理」で特定の主義主張が国会で実態以上に優勢になる傾向がある。
 このままでは国会がますます多数党による一方的な「表決場」と化し、民意との開きが埋まらなくなってしまうのではないか。
 政治の「中庸」とは、単に足して二で割るのではなく、極論を排して公正を保とうとする考え方だ。出発点が異なるのだから、各党が自己に謙虚でなければ、与野党にまたがる合意など生まれようがない。
 国会が健全性を取り戻すには、まず自民党が中庸の精神で臨むべきだろう。長い目で見れば、それが国政を安定させる近道になる。
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河北新報 2015年09月28日月曜日
社説:「安保国会」閉幕/政治の「存立危機」浮き彫り


 戦後最長の「安保国会」がきのう、政治の劣化ぶりを見せつけて閉会した。
 衆参両院で繰り返された採決の強行、それに伴う混乱とこの上ない後味の悪さ。そうした政治の醜態こそ、日本の「存立危機事態」ではないのか。深い失望とともにある残像に、そんな思いを深めている国民も少なくあるまい。
 言わずもがな、安全保障関連法の成立に向けた一連の政治対応である。
 安倍政権は憲法上できないとされていた集団的自衛権の行使容認を強く志向。当初、憲法改正のハードルを下げ、正面突破を画策したが、国民の反発を受け断念、解釈の変更という奇策に打って出た。
 ただ、解釈変更の理論的根拠は揺れ、法案は緻密な組み立てに程遠い内容。制定の必要性をめぐる答弁や「限定行使」「歯止め」などで次々とほころびを露呈した。
 安保法は日米の軍事一体化を進めて日本の安全に資するとともに、国際社会の秩序維持への貢献拡大が名目。その実、自衛隊が海外に派遣される機会は確実に増え、武力行使が現実味を帯びる。
 政府は利点を強調する一方、自衛隊員の身の安全を含め、派遣リスクという不都合な面を語ろうとしなかった。
 政権の対応は、あまりにずさんだった。立法の論理は事実上破綻し、審議は丁寧さを欠いた。安倍晋三首相が4月に米議会で夏までの成立を確約する演説を行うなど、国会軽視的な進め方も目立った。
 「憲法違反」「立憲主義の逸脱」「民主主義の否定」…。憲法学者らの批判にも触発され、政府の危うい対応に国民の不安が増幅。立法に対する世論の支持は広がるどころか、反対・慎重に傾いた。
 そうした中、熟議とは無縁の採決の強行は憂うべき政治の現実を映し出した。
 「違憲」の疑念を拭えぬ中での成立ありき。政策の大転換にもかかわらず、議論を深めて合意形成を図る謙虚さは乏しく、異論に向き合おうとしなかった。街頭で必要性を訴えるなど理解を促す手だてを尽くすこともなかった。
 経済さえうまく回っていれば、大ごとにはなるまい。政権基盤は盤石で多少の無理は数の力で押し切れる。そんなおごりが政権にのぞいた。
 野党の対応もお粗末だった。民意を後ろ盾に最終盤、徹底抗戦で臨んでも後の祭り。対応に限界があるとはいえ、およそ建設的ではなく、混乱の責任の一端は免れない。
 国会内での数的劣勢に弱気し法的安定性をめぐる敵失や法の不備に対する追及が甘く、世論の行方を読み損ねて対応が後手に回った。国会の内と外との連携を深めていれば、新たな提案が導かれ、影響力を持ち得たのではないか。
 与野党ともに民意の在りか、その強さを見定めかね、思考は終始、国会内の事情に縛られた。そこにこそ、政治の「存立危機」の源がある。
 政治の混乱の傷は深い。強まった与野党の相互不信も尾を引こう。直接的な政治参加が国会の動向に影響を与え得るという、当然のことを学んだ主権者との意思疎通の追求が、存立危機打開への確かな糸口となる。
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東京新聞 2015年9月26日
【社説】「安保国会」が閉幕 最高機関の名を汚した


 新しい安全保障法制が成立した「安保国会」が事実上閉幕した。立憲主義を蔑(ないがし)ろにし、「国権の最高機関」の名を汚(けが)した国会だった。猛省を促したい。
 本来の役割を果たせたのだろうか、何とも後味の悪さを残した国会だった。一月二十六日に召集された通常国会はきのう、衆参両院で閉会中審査の手続きなど会期末処理を行い、二十七日の会期末を前に事実上閉幕した。 
 安倍晋三首相は記者会見で「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。不戦の誓いを、より確かなものにしていく強固な基盤をつくることができた」と述べた。
◆成立急ぎ強引な運営
 この国会を振り返ってみる。
 首相は当初、この国会を「改革断行国会」と位置付けていたが、二〇一五年度予算成立後の四月以降、様相はがらりと変わる。
 集団的自衛権を行使して外国同士の戦争に参加できるように、安保法制関連法案の成立を最優先する「安保国会」である。
 通常国会の会期は百五十日間と定められているが、安倍政権は、これを過去最長の九十五日間延長してでも、成立を急いだ。
 政権側はその理由に、中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発など、東アジアにおける国際情勢の変化を挙げてはいる。
 しかし、歴代内閣が憲法違反としてきた「集団的自衛権の行使」を可能にすることは、そもそも首相自身の悲願だ。
 安保法制に対する世論の風当たりは厳しく、成立が来年夏の参院選近くにずれ込めば、この問題が争点化し、与党にとって厳しい戦いになる。今後、景気が低迷すれば政権の体力が落ち、安保法制どころでなくなるかもしれない。
 こうした時間的な制約も、成立間際の強引ともいえる与党の国会運営につながったのだろう。
◆政府の覇道なぜ許す
 しかし、いくら議会の多数派が内閣を構成する議院内閣制とはいえ、政府が提出した法案を唯々諾々と通すだけなら、単なる「採決装置」に堕す。
 とても、日本国憲法に定められた「国権の最高機関」「唯一の立法機関」の名には値しない。
 新しい安保法制の最大の問題点は、集団的自衛権の行使を憲法違反としてきた歴代内閣の憲法解釈を、安倍内閣が一内閣の判断で変えてしまったことにある。
 歴代内閣が踏襲してきたこの憲法解釈は、国会での長年の議論を通じて定着してきた。ましてや、集団的自衛権を行使せず、「専守防衛」に徹する平和主義は、戦後日本の「国のかたち」でもある。
 一内閣の恣意(しい)的な解釈を許すのなら、憲法は法的安定性を失い、国民が憲法を通じて権力を律する「立憲主義」は根底から覆る。
 集団的自衛権の行使を可能にするのなら、その賛否は別にして、憲法改正手続きを経て、国民に賛否を委ねるのが筋ではないか。
 王道でなく覇道を歩み、立憲主義を蔑ろにするようなことを、国会がなぜ許してしまったのか。
 議論の質も、とても高いものとは言えなかった。例えば、集団的自衛権の行使例である。
 政府は中東・ホルムズ海峡での機雷除去と、避難する邦人を輸送する米艦の防護を挙げていたが、成立間際になって、機雷除去の必要性が現実に発生することは想定せず、米艦防護も邦人乗船は絶対的条件でないと答弁を変えた。
 立法の必要性を示す立法事実が根底から崩れたのだから、本来廃案とすべきだが、なぜそのまま成立させたのか。そもそも実質十一本の法案を二つの法案に束ねて提出した政府の強引さをなぜ許したのか。国権の最高機関としての矜持(きょうじ)はどこに行ってしまったのか。
 新しい安保法制が成立した後に行われた共同通信社の全国世論調査によると安保法制「反対」は53・0%。「憲法違反」は50・2%と、ともに半数を超えた。報道各社の世論調査も同様の傾向だ。
 こうした国民の思いにも国会、特に与党議員は応えようとしなかった。国会周辺や全国各地で行われた安保法制反対のデモに対して「国民の声の一つ」(首相)と言いながら、耳を十分に傾けたと、胸を張って言えるのだろうか。
◆全国民の代表として
 憲法は国会議員を「全国民を代表する」と定める。支持者はもちろん、そうでない有権者も含めた国民全体の代表であるべきだ。
 安保法制が日本の平和と安全に死活的に重要だと信じるのなら、反対者にも説明を尽くし、説得を試みるべきではなかったか。反対意見を切り捨てるだけなら、とても全国民の代表とは言えない。
 各議員は全国民の代表という憲法上の立場を強く自覚しなければならない。さもなければ国民は、国会に対して「憲法違反」の警告を突き付けるであろう。
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神戸新聞 2015/09/26
社説:安保国会閉幕/民意と離れた政治の危うさ


 通常国会がきのうで事実上閉幕した。成立した安全保障関連法は戦後の「平和国家」の歩みを大きく転換する。多くの国民の懸念に背を向けた国会として歴史に残るだろう。
 安保法への反対の声は今も力を失っていない。異論に耳を貸さない政府と与党、受け皿になりきれない野党、その結果、多様な民意をきちんと反映できない国会、政治全般に対する不信感は強い。
 国民一人一人が自分で考え、行動しなければ政治は変わらない。これまで政治から距離を置いていた若者や女性たちが声を上げ始めたのは、変化の兆しといえる。
 主権者意識の目覚めを受け止めて民主主義のたゆまぬ実践に生かすことができるか。問われるのは政治の姿勢であり、覚悟だ。
       ◇
 戦後最長の会期延長で9カ月の長丁場となった。鮮明になったのは立法府の機能不全である。
 安保法をめぐっては、衆院審議中から憲法学者らが「違憲」と指摘した。衆院通過後は国会周辺を連日反対デモが取り巻き、世論調査では最後まで反対意見が多数を占めた。
 安倍晋三首相や閣僚の国会答弁は二転三転し、新たな安保法制が必要な根拠となる立法事実も曖昧になった。衆参合わせて210時間を超える審議時間を費やしても疑問点は解消されなかった。会期中に国民の理解が得られない法案は廃案とするか、継続審議とするのが筋だ。
 だが、与党の強行採決でそのまま成立した。国民を代表するはずの国会が民意とかけ離れている深刻な現状が浮き彫りになった。
【言論の府の機能不全】
 選挙の多数で、すべての法案や政策が決まるなら国会審議の意味はない。議論を通じて多様な意見を調整し、合意を形成する。それが国権の最高機関である国会の役割だ。だが、あらわになったのは「言論の府」とは程遠い国会の姿だった。
 安保法案の参院特別委員会の採決は、つかみ合いと怒号の中で「可決」が宣告された。指示されるまま賛成の起立を繰り返した与党議員にも、どの法案が採決されているのか判然としなかったのではないか。
 与党は、特別委に続き本会議でも野党の長時間演説を防ごうと討論時間を制限する動議を連発した。言論の府が言論を封じる。事の重大さを自覚しているのだろうか。
 今国会を通じて目に付いたのは安倍首相の国会軽視の姿勢である。
 疑問点を丁寧に説明するどころか、野党議員に「早く質問しろよ」とやじを飛ばし、閣僚答弁の間違いを指摘されると「まあいいじゃない」と言い放った。答弁で「安保法案への支持は広がっていない」と認める一方、成立すれば「理解は広がっていく」と述べた。国会論戦は形だけ、与党の多数で結果は見えている、決まってしまえば国民は従う、と言わんばかりである。
 安保法が運用段階に入れば、自衛隊の活動範囲は格段に広がり、リスクも増す。さまざまな緊急事態に則して政府は武力行使すべきかどうかの重大な判断を担う。いまだに明確な判断基準を示せない現政権には危うさを感じざるを得ない。
 国会を軽視し、主権者の声をおろそかにする政治であれば、民意の力で変えていくしかない。次の審判の機会は、来年夏の参院選だ。
 安倍首相はきのうの会見で、安保法をめぐる混乱などなかったかのように、「経済」「子育て」「社会保障」を今後の重点施策に掲げた。いずれも重要なテーマだが、首相が安保法制を優先したために後回しになってきた。参院選に向けた支持率回復の狙いは明らかだ。
 選挙では有権者に受けのいい政策を語り、選挙後はそうして得た数の力で異論をはねのけ、持論を押し通す。民意を都合よく利用する安倍政権の「常とう手段」が今度も通用するとは限らない。
【安保法で審判を仰げ】
 過去の選挙で安倍首相は安保法制の中身を国民に問うてこなかった。自民党の谷垣禎一幹事長は「安保は争点にならない」と予防線を張るが、本当に必要な法制ならば、今度こそその是非を争点に掲げて国民の審判を仰ぐべきだ。
 次の参院選は、選挙権年齢の引き下げが適用され、18歳以上の未成年約240万人が1票を行使する。国会周辺を取り巻くデモの火付け役となった若者団体「SEALDs(シールズ)」は、安保法賛成議員の「落選運動」に照準を定める。議員一人一人が国会での行動や有権者との向き合い方を省みるべきだ。
 野党は反対運動の盛り上がりに乗じて抵抗戦術に徹したものの力及ばなかった。政権批判の受け皿として無力なままでは、有権者を振り向かせることはできない。野党結集や選挙協力など、具体的な形を示し、多様な声に応えねばならない。
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中国新聞 2015/9/26
社説:通常国会閉幕 野党立て直しは急務だ


 通常国会が事実上閉幕した。会期が戦後最長の95日間も延長された末に、平和国家を変質させる安全保障関連法を強引に成立させたことは政治史に刻まれるに違いない。
 安倍晋三首相はきのうの記者会見では農協法改正などを念頭に「戦後以来の大改革」と自負を見せた。いまだ反対の声が絶えない安保法についても「意義については国民的な理解は広がっていく」と述べた。民意とのずれは意に介さないようだ。
 総じていえるのは会期の長さの割に審議の中身が薄かったことだ。政府提出法案の成立率は88%にとどまった。常任委員会の開催も6月の延長後は低調で、安保法以外は二の次という姿勢がうかがえた。契約ルールなどを見直す民法改正案など安保法採決に影響が出ないよう先送りされた重要法案もある。
 数の力を背景にした「安倍1強政治」のおごりが明らかに強まっている。何より安保法の審議に現れた。民主政治で大事にすべき異論をはなから聞こうとしない。多くの憲法学者が「違憲」と指摘したが、ことごとく無視したのは見過ごせない。
 審議は200時間を超えたが議論が深まったといえまい。首相や閣僚らの答弁は迷走した。法案の肝の集団的自衛権を行使できる事例さえ定まらず、歯止めも明確に示せなかった。審議が進むほど国会前や全国各地で反対デモが増えたのは、こうした審議に不信が広がり、不安が増したからにほかなるまい。
 首相自身が国民の理解を得られていないと答弁しながら審議を打ち切り採決を強行したのはやはりおかしい。
 国会の役割を果たせたのか。首をひねりたくもある局面はほかにも多くあった。
 過去最大の規模に水膨れした本年度予算の審議もそうだ。経済成長を当てにした歳出増を厳しくチェックしたとは到底いえまい。さらに安保法の陰に隠れるように成立させた改正労働者派遣法も同じことがいえる。過去に2度も廃案になり、派遣労働者が使い捨てにされかねない内容なのに審議が生煮えのまま通してしまった。
 「多弱」の野党にも責任があるのは言うまでもない。
 政策の対立軸を示せなかったのは明らかだろう。安保法でいえば現実の脅威にこの法案が本当に妥当なのかはっきりさせることができなかったし、十分な対案を示せなかった。
 特に民主党である。党内で意見が分かれる安全保障はもとより、安倍政権の経済政策や「地方創生」のスローガンに対抗できるものをなかなか打ち出せないのが現実ではないか。
 来夏の参院選を控え、ここにきて与党の暴走を許した反省から野党再編や選挙協力を模索する動きが出ている。きのう民主党は、維新の党と政策の擦り合わせも含めて話し合う協議会の発足で合意した。安保法の廃止に向けた他党への呼び掛けを始めた共産党とも意見交換を続けるという。
 重要なのは国民から「野合」批判を受けないような政策本位の態勢を築けるかどうかだ。
 首相は再び経済優先の方針を掲げた。野党の側も安保だけでなく社会保障、人口減対策などの懸案と向き合い、参院選までに有権者の選択の受け皿をつくるよう力を注いでほしい。
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=2015/09/25付 西日本新聞朝刊=
社説:安保成立その後 国民として覚えておこう


 安全保障関連法が国会の混乱の中で成立してから、まもなく1週間となる。
 安倍晋三首相は24日の記者会見で「アベノミクスは第2ステージに移る」と述べ、経済政策を最優先に取り組む姿勢を示した。安保で揺らいだ政局を転換させ、長期政権を目指す戦略とみられる。
 経済政策が大事なことは間違いない。しかし、安保法制論議はまだ終わっていないし、終わらせるべきでもない。安倍政権の「これからは経済」の掛け声に、簡単に同調するわけにはいかない。
 共同通信社が19、20日に実施した世論調査によると、成立した安保関連法について「憲法違反だと思う」との回答が50・2%に上り、「思わない」(31・8%)を大きく上回った。政府はこれから、国民の多くが「違憲」だと考える法律に基づいて、自衛隊の活動内容を拡大していくことになる。
 これは到底、正常な状況とは言えない。安保法制は決して「終わった話」ではなく、むしろ「これから始まる問題」なのである。
 世論調査では、安倍内閣の支持率は38・9%となり、前回調査より4・3ポイント下落した。しかし政権は「想定の範囲内」として新たな政策テーマを打ち出すことで来年夏の参院選に向け支持率の回復を図る構えだ。国民の「忘れっぽさ」に期待しているのだろうか。
 しかし、主権者として忘れずにいたいことがある。国会論議の過程では、安保法制の問題点に加えて、安倍政権の「数のおごり」が浮き彫りになった。専門家の指摘にも世論の反対にも耳を貸さず、審議を生煮えで打ち切った。「平和の党」を自任する公明党が法制を不安に思う世論に背を向けたことも記憶にとどめる必要がある。
 安倍政権は昨年末の衆院選を「アベノミクス解散」と名付け、経済政策を最大の争点に掲げておきながら、与党で3分の2を上回る議席数を確保すると、選挙戦ではほとんど触れなかった安保関連法の制定に突き進んだ。
 こんな目くらましのような手法に再び乗せられてはならない。
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