2015-09-28(Mon)

「新3本の矢」 「成長頼み」でいいのか リニア「夢の超特急」か?

安倍首相会見 「『新3本の矢』アベノミクス第2ステージへ」 現実軽んじる大風呂敷 言葉が踊るむなしさ

「ニッポン一億総活躍プラン」
◇第一の矢、『希望を生み出す強い経済』。
南アルプスを貫く、全長25キロメートルに及ぶ、巨大トンネル。
先月、リニア中央新幹線が、本格着工となりました。
東京と大阪を一時間で結ぶ「夢の超特急」であり、日本の最先端技術の結晶であります。

<各紙社説・主張>
朝日新聞)「新3本の矢」 言葉が踊るむなしさ(9/26)
読売新聞)安倍総裁続投 「経済最優先」に軸足を戻せ(9/25)
産経新聞)「GDP600兆円」 目標裏付ける具体策示せ(9/26)
しんぶん赤旗)「新3本の矢」 絵空事で国民はごまかせない(9/27)
北海道新聞)新アベノミクス 唐突で実現性に乏しい(9/25)
信濃毎日新聞)新三本の矢 実現への道筋が見えない(9/28)
信濃毎日新聞)安倍首相会見 現実軽んじる大風呂敷(9/26)
京都新聞)首相の会見  中身伴わぬ軸足シフト(9/26)
中国新聞)安倍首相会見 「成長頼み」でいいのか(9/25)




以下引用

自民党
「『新3本の矢』アベノミクス第2ステージへ」 安倍総裁記者会見
平成27年9月24日
https://www.jimin.jp/news/activities/130577.html

安倍晋三総裁記者会見(両院議員総会後)
平成27年9月24日(木)18:00~18:30
於:党本部901号室
https://www.jimin.jp/news/press/president/130574.html

官邸
平成27年9月25日安倍内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0925kaiken.html

*************************************



朝日新聞 2015年9月26日05時00分
(社説)「新3本の矢」 言葉が踊るむなしさ


 法成立後も国民の批判が根強い安全保障論議から心機一転、来年の参院選も意識しつつ、関心が高い子育てや介護など生活に密着した課題を前面に、ということだろうか。
 自民党総裁に再選された安倍首相が、強い経済、子育て支援、社会保障をキーワードとする「新3本の矢」政策を発表した。大胆な金融緩和、機動的な財政運営、成長戦略を柱としてきたアベノミクスが「第2ステージに入った」とし、誰もが家庭や職場、地域で輝ける「1億総活躍社会」を目指すという。
 14年度に490兆円余だった名目国内総生産(GDP)を600兆円に。足元で1・42の出生率は、欲しい子どもの数に基づく「希望出生率」として1・8に。介護離職ゼロ、待機児童ゼロ。様々な目標が並ぶ。
 しかし、言葉だけが踊る観は否めない。
 GDP目標にしても、政府は既に名目で年3%の経済成長を掲げてきた。実現すれば、目安の20年度にはほぼ600兆円になり、今回の目標は従来目標の言い換えにすぎない。しかも、国内経済が成熟し、中国など海外の変調の影響をもろにかぶる構造が強まる中で、3%成長は至難の業だ。実際、安倍政権は発足後の約3年間に1度も達成していない。
 「50年後も人口1億人を維持するという国家としての意思を明確にする」との宣言も、そのためには30年ごろに出生率を2・07まで引き上げることが必要になる。専門家の間では実現は難しいとの見方が大半だ。
 大切なのは、威勢のよい発言ではなく、地に足のついた目標と、対策の着実な実行である。そのためにも、アベノミクス「第1ステージ」の総括が欠かせないはずだ。
 日本銀行による異次元緩和や政府の補正予算編成の功罪を検証し、予想されるリスクを分析する。これまでの成果として政権は雇用や賃金の指標が好転していることを強調するが、国民に実感が乏しいのはなぜか。アベノミクスの成否を左右すると位置づけてきた成長戦略の方向性は間違っていないか。
 個別の政策についても同様だ。介護では、政府は財政難から特別養護老人ホームなど施設の建設に一定の歯止めをかけ、在宅介護を中心にすえている。介護職員の不足が深刻さを増すなかで、年10万人とされる介護離職者をどうやってゼロにしていくのか。
 国民が聞きたいのは言葉ではない。実現可能な具体策と、財源などその裏付けである。
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読売新聞 2015年09月25日 03時24分
社説:安倍総裁続投 「経済最優先」に軸足を戻せ


 政策の軸足を安全保障から経済再生に移す。そうした安倍首相の基本方針は妥当である。
 首相が、自民党総裁再選の正式決定を受けて、記者会見した。今後の政権運営について、「デフレ脱却はもう目の前だ」と語り、経済政策を最優先する考えを示した。
 昨年度は490兆円だった名目国内総生産(GDP)を600兆円に増やす目標も掲げた。
 GDP600兆円という目標の達成は、簡単ではあるまい。4~6月期の実質GDPが前期比マイナスとなるなど、景気回復は足踏みしている。大企業の決算は好調だが、中小企業の業績改善や地方活性化はまだ限定的である。
 経済政策「アベノミクス」の3本の矢のうち、金融緩和と財政出動は、円高是正、株高などの成果を上げた。反面、成長戦略は目に見える結果を出していない。
 安倍政権は昨春以降、平和安全法制の整備に力点を置いてきた。安全保障関連法の成立は、経済最優先という第2次政権発足時の原点に立ち返る好機と言える。
 アベノミクスの第2段階では、医療、農業、労働分野の岩盤規制の改革やインフラ輸出の拡大など、成長戦略の強化に重点的に取り組む必要がある。
 首相は、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」を新たな3本の矢と位置づけた。
 最初の3本の矢とはかなり性格が異なるが、社会保障を重視する姿勢は理解できる。
 首相は、社会保障政策に関し、「介護離職ゼロ」という新たな目標を打ち出した。特別養護老人ホームを大幅に増やすことなどで、「要介護3」以上の特養ホーム入所待機者約15万人を、2020年までにゼロにするという。
 親の介護目的の離職者は、40、50歳代を中心に年10万人に上るとされる。働き盛りの労働力の確保は成長戦略にも役立とう。
 特養ホーム増設は巨額の財源を要する。社会保障費の抑制につながる在宅介護の拡充とバランスを取りつつ、進めたい。必要な介護人材を確保するため、低賃金・重労働も是正せねばなるまい。
 介護休業・休暇を取りやすくすることも重要だ。介護休業の取得率は3・2%に過ぎない。要介護者1人につき原則1回しか取れないことが高いハードルである。
 政府は、複数回の取得を可能にする法改正を検討している。企業の理解と協力を得ながら、利用しやすい仕組みに改革すべきだ。
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産経新聞 2015.9.26 05:02
【主張】「GDP600兆円」 目標裏付ける具体策示せ


 安倍晋三首相が今後の政権運営について、国内総生産(GDP)を600兆円に引き上げるなど、経済最優先で取り組む方針を表明した。
 強い経済、子育て支援、社会保障を「新しい三本の矢」と位置づけ、少子高齢化時代に誰もが活躍できる社会を目指すのだという。
 景気に勢いはなく、経済再生は果たせていない。安全保障関連法が成立した今、再び経済に軸足を置くのは当然だが、聞こえのいいキャッチフレーズとは裏腹に、成長への明確な道筋はみえない。
 首相が早急に示すべきは、企業収益を投資や消費につなげ、経済の好循環を確実にするための具体的な手立てである。
 首相は24、25両日の会見で「デフレでない状態まで来た」と語り、アベノミクスが第2ステージに移ると強調した。これを額面通りには受け取れない。
 8月の消費者物価指数は2年4カ月ぶりに下落した。原油安が背景だが、日銀が目指す2%の物価上昇率とはほど遠い。為替や海外経済などに翻弄される経済の脆弱(ぜいじゃく)性も解消されておらず、4~6月期はマイナス成長に陥った。
 政権は、企業も家計も経済再生に確信を持てない現状を厳しく認識すべきである。その上で現実的な政策を示すことが肝要だ。
 昨年度に約490兆円だったGDPを600兆円とする目標を掲げた。内閣府試算では、名目3%以上の成長が続けば平成33年度のGDPは600兆円を超える。
 ただ、かねて政権に問われてきたのは、本当に3%以上の高い成長が続くのかという点だ。この懸念を払拭する政策こそが大切なのは言うまでもない。
 成長の果実を得るには、既得権益に切り込む一段の規制改革や税制見直しなどで、新たな投資や需要拡大につなげる必要がある。生産性革命などについても、大きな方向性だけでなく、より踏み込んだ具体策を示すべきだ。
 子育て支援や社会保障を重点政策として明確化したことは、経済活力を維持するための基盤を確立する上でも意義がある。政策の優先度を見極め、財源論を含めて検討してもらいたい。
 首相発言を受け、与党では来夏の参院選を見据えてバラ色の政策に期待する声が強まろう。だが、現実を糊塗(こと)するような政策を連ねても国民の理解は深まるまい。
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しんぶん赤旗 2015年9月27日(日)
主張:「新3本の矢」 絵空事で国民はごまかせない


 自民党総裁に再選された安倍晋三首相が、今後3年間の経済政策の目標として「新3本の矢」を持ち出しています。「アベノミクスの第2ステージ」を「ニッポン1億総活躍プラン」と銘打ち、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」をめざすというものです。「国内総生産(GDP)600兆円」などの目標を掲げますが、実現のための政策も裏付けもありません。いわば夢のような絵空事で戦争法の強行や消費税の増税に対する国民の批判をごまかそうとしてもそれは不可能です。
アベノミクス破綻の証明
 安倍首相が「新3本の矢」なる政策を持ち出してきたのは突然でした。総裁に再選された自民党両院議員総会の後の記者会見です。首相はいわば独演会のようにまくし立てたあと、翌日の国会閉幕にあたっての記者会見でも「新3本の矢」の説明を繰り返しました。10月初めの内閣改造で担当大臣もおくという前のめりです。
 首相は「新3本の矢」を政権復帰以来取り組んできた経済政策「アベノミクス」の「第2ステージ」だといいます。しかし、大胆な金融政策と機動的な財政出動、規制緩和などの成長戦略を「3本の矢」としてきた政策とどうつながるのかもまったく説明はありません。もっとも重視していた「成長戦略」は言葉もなくなりました。
 首相は「アベノミクス」の成果を自賛しますが、異常な円安と物価上昇、大企業減税と消費税増税、雇用や農業の規制緩和などで日本経済と国民の暮らしはズタズタにされてきました。大企業の利益は記録的な増加を見せても労働者の所得や雇用は改善せず、消費の拡大も鈍いままで、「アベノミクス」で経済を再生させるという計画は完全に行き詰まっています。破綻した「アベノミクス」の装いをいくら変えても、国民に明るい未来を約束することはできません。
 端的なのは首相が「600兆円」をめざすというGDPです。現在のGDPは約500兆円ですが、総裁任期中の3年間に600兆円に近づけようとすれば5%を超す高い成長が必要になります。現実には昨年の消費税増税のあとGDPはマイナス成長を続け、今年4~6月期にもマイナスに転落しました。個人消費の落ち込みが大きく、その背景には賃金や雇用の改善の遅れがあります。大企業優先政治を続ける限り、「アベノミクス」を加速すればするほど、経済とくらしは破綻してしまいます。
 「新3本の矢」で持ち出している出生率「1・8」の回復や「介護離職ゼロ」などの目標も実現の保証のない“絵に描いた餅”です。非正規雇用を増やし、産みたくても産めない社会にしておいて何が出生率上昇か。絵空事でだますのは国民愚ろうのきわみです。
安倍政権打倒が急務
 戦争法の強行で国会の中でも外でも批判の声に圧倒される中、戦争法強行への批判を「レッテル貼りで根拠のない不安をあおる」などと切り捨てる安倍首相には国民の声に耳を傾ける姿勢はありません。安倍首相が経済政策で批判をそらそうとすること自体、主権者である国民をバカにしています。
 安倍政権には政権担当の資格がありません。国民に背を向ける安倍政権を打倒し、戦争法廃止の国民連合政府の樹立が急務です。
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北海道新聞 2015/09/25 08:55
社説:新アベノミクス 唐突で実現性に乏しい


 政治のリーダーが大きな方向性を示すのは大事だが、その実現への具体的な道筋を明確にしないと国民の胸には届かない。
 安倍晋三首相はきのう、自民党総裁選での無投票再選を受けて、党本部で記者会見した。
 首相は「1億総活躍社会」をうたい「アベノミクスの第2ステージを始める」と宣言した。
 国内総生産(GDP)600兆円の目標を掲げ、強い経済、子育て支援、社会保障改革を新たな「3本の矢」と位置づけた。
 経済立て直しや子育て支援、社会保障の充実はもちろん大事だ。
 ただ列挙された目標は、現時点では財源など実現の裏付けに乏しく、唐突感は否めない。
 従来のアベノミクスの効果は地方には及んでいない。その検証を置き去りにして、政権浮揚を図る姿勢は安易ではないか。
 景気は回復軌道に乗ったとは言い難く、直近の4~6月期はマイナス成長に沈んでいる。首相のGDP目標はいかにも過大だ。
 一方で消費税率の10%への引き上げは予定通り実施すると表明。増税による消費への影響については言及しなかった。
 子育て支援では「出生率1・8」、社会保障では「介護離職ゼロ」の目標を示したが実現の道筋は見えず、言葉ばかりが踊った。
 生活が不安定な非正規労働者が増え続け、結婚をためらう若者が多いとの指摘もある。この問題にまず対処すべきだろう。
 首相は国政の焦点である新安保法制について、会見では触れなかった。これに先立つ自民党の両院議員総会では「国民の命を守るために必要不可欠なものだ」との主張を繰り返した。
 違憲の疑いの強い新安保法制には、成立後の世論調査でも国民の過半数が反対している。
 来年の参院選を見据え、目新しい政策を乱発して、新安保法制をめぐる議論を覆い隠す意図があるなら言語道断だ。
 安倍内閣の支持率はかつて、アベノミクスによる景気浮揚への期待から6割を超えたが、安保法案の審議で違憲の疑いが明確になると、下降傾向に転じた。
 首相が今回、アベノミクスを再び前面に押し出したのは、安保法制批判をかわすとともに、失地回復を狙ったものだろう。
 新たな安保法制は成立したが、運用などが厳しく問われている。首相は新たな看板を掲げる前に、まず安保法制についての国民の疑問に答えねばならない。
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信濃毎日新聞 2015年09月28日(月)
社説:新三本の矢 実現への道筋が見えない


 具体策を欠いた将来のビジョンだけでは、経済再生に結び付かないだろう。
 安倍晋三首相がアベノミクスの第2ステージとして明らかにした「新しい三本の矢」である。「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」を挙げ、国内総生産(GDP)600兆円の実現を目標とした。いずれも言葉だけが躍り、実現への道筋が見えない。
 今年4~6月期の名目GDPは年率換算で約499兆円だ。政府が7月に公表した中長期財政試算は、名目3%の成長なら2020年度に名目GDPが約600兆円に達するとしている。
 この試算は現実的ではない。日本が名目3%の成長を達成したのは1991年度が最後だ。これまで世界経済をけん引してきた中国経済が息切れする中、ハードルは極めて高い。首相は25日の記者会見でも、実現に向けた具体策に言及しなかった。
 「社会保障」では、家族の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」をゼロに、「子育て支援」では、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率を1・8に回復させるとした。
 介護離職は現在年間10万人、14年の出生率は1・42だ。これらは長年積み残されてきた課題で、目標を実現するにはこれまでにない新たな政策が必要になる。
 それなのに首相が挙げた支援策は既に政府として取り組んでいたり、財政難から十分な成果を挙げていなかったりする政策が多い。達成は簡単ではない。
 そもそもアベノミクスは、具体的な経済政策だったはずだ。最初の「三本の矢」は「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「投資を喚起する成長戦略」だった。
 効果を発揮したのは、円安と株高をもたらした金融緩和だけだ。企業の業績は大幅に改善した。それでも賃金は期待されたほど上昇せず、円安に伴う輸入品の価格上昇で、消費は停滞したままだ。
 成長戦略も、外国人観光客の増加以外は大きな効果を上げておらず、地方経済への波及は小さいとされる。今年4~6月のGDPの実質成長率は、3四半期ぶりにマイナス成長に陥った。
 次のステージに移るなら、これまでの政策を総括して、方向性が間違っていないか検証することが不可欠だ。その上で具体的で効果的な戦略を打ち出すことが求められる。それは国民受けする数字を総花的に並べたビジョンではないはずだ。
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信濃毎日新聞 2015年09月26日(土)
社説:安倍首相会見 現実軽んじる大風呂敷


 安全保障関連法の強引な成立から国民の目をそらしたい。そんな思惑が感じられた。
 自民党総裁再選と、通常国会が事実上閉幕したことを受け、安倍晋三首相が一昨日、昨日と2日続けて行った会見である。
 再選会見では経済や社会保障を重視した「新たな国造り」を進めるとし、「1億総活躍プラン」をつくる考えを強調した。
 昨日の会見では来月の内閣改造で計画実現に向けた担当閣僚を置くことも表明している。
 首相は第2次政権発足時から経済最優先の政権運営を行うと訴えてきた。実際に力を注いだのは安保政策の転換だ。都合よく憲法解釈を変えて歴代政府が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする法制を整備した。
 来年は参院選がある。国民の批判は今も強い。支持率下落など打撃は大きかったはずだ。
 そこで大風呂敷を広げることにしたのではないか。危機感の裏返しともいえる。
 経済政策では「新しい三本の矢」、社会保障や福祉関連では「介護離職ゼロ」「少子化に終止符」…。会見では新しい言葉や政策が次々に出てきた。
 けれど、具体的な裏付けは語らず、説得力を欠いた。「1億総活躍」が典型だ。昨日の会見でも道筋について質問が出たが、「強い決意で取り組んでいく」などと曖昧な説明にとどまった。
 日本では生活保護の受給者が増え続けている。年金だけで暮らせない高齢者が目立ってきた。雇用も安定したとはいえない。
 格差問題は深刻化する一方なのに、安倍政権は広く目配りをしているのか。解決に向けて本気で取り組む姿勢が見えない。「1億総活躍」という言葉が現実離れしていると違和感を覚えた人も多かったのではないか。
 安保法制をめぐる論議では、憲法は国民の権利を守るためにあるとの認識が広がった。一方、首相は今回も憲法改定への意欲を語っている。国家重視の国造りに強いこだわりがある。
 ともすれば、「1億総活躍」の掛け声が個人の権利や自由を軽んじ、時代錯誤的な目標や政策になる心配がある。
 2日連続の会見で暮らし重視の姿勢を印象付ける狙いがあることが鮮明になった。政権浮揚が目的なら、真に受けるわけにはいかない。ばら色の将来ばかりを語るだけでなく、厳しい現実を見据え、地に足が着いた経済、社会保障政策の実行を求める。
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[京都新聞 2015年09月26日掲載]
社説:首相の会見  中身伴わぬ軸足シフト


 安倍晋三首相は、今後の政権運営で経済再生と社会保障の充実に全力を挙げる方針を打ち出した。強い反対世論を押し切って安全保障関連法を成立させたことから、来夏の参院選を見据えて生活重視に軸足を移し、離れた国民の支持を呼び戻す狙いなのだろう。
 「国内総生産(GDP)600兆円」「1億総活躍社会」といった威勢のいいスローガンを並べたが、内容には目新しさも具体性も乏しい。実現への道筋も見えず、これで国民の批判をかわすつもりなら、甘すぎるのではないか。
 安倍首相は、自民党総裁の再選と国会の事実上閉幕を受けた会見で「アベノミクスは第2ステージへ移る」と経済優先を強調。2020年に向けた新「三本の矢」として「強い経済」「子育て支援」「社会保障」を挙げた。
 掲げたGDP目標は、14年度の実績から約2割増しとなる。内閣府がはじいた名目3%の成長率が前提だが、バブル後に達したことのない高さだ。昨春の消費税増税後、戻らぬ個人消費から今年4~6月期はマイナス成長に陥り、中国をはじめ世界的な景気減速が強まる中、現実味を欠いたアドバルーンと言わざるを得ない。
 1960年の日米安保条約改定への反対世論を経済成長への関心へ向かわせた「所得倍増計画」に倣ったのだろうが、経済復興期とは環境が大きく異なる。
 アベノミクスは大企業の収益を膨らませた一方、恩恵は家計や地方に一向に届かない。新たな表紙で覆ったところで行き詰まりを隠せるものではない。そもそもGDPの規模を豊かさ実現の目標にする発想自体に違和感を覚える人も多いのではないか。
 経済とともに子育て支援、社会保障の充実も挙げた。こちらも「出生率1・8」「介護離職ゼロ」と高い目標を掲げたが、具体策は保育所や介護施設の入所待ち解消、人材育成など代わり映えなく、財源の裏付けも未知数だ。
 安倍首相は10月上旬の内閣改造で担当閣僚を置き、これら少子高齢化対策による「1億総活躍社会」実現をアピールする方針だが、地方創生や女性の活躍と同様に既存政策の寄せ集めにならないか。
 参院選で安倍首相は、引き続き憲法改正を公約に掲げる考えだ。経済政策で国民の関心を集めて政権を維持し、実現に向けた地ならしをしたいのだろう。だが打ち上げ花火のような経済目標も中身を伴わなければ国民の失望と不信を増す。
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中国新聞 2015/9/25
社説:安倍首相会見 「成長頼み」でいいのか


 「1億総活躍社会」という言葉が本当にふに落ちた国民がどれほどいるだろう。自民党総裁に再選された安倍晋三首相がきのう党本部で記者会見し、東京五輪がある2020年に向けた新たな目標を掲げた。
 アベノミクスは「第2ステージ」に移行し、50年後も人口1億人を保つために、女性も高齢者も国民全員に活躍してもらいたいという。そのために新たな「三本の矢」を打ち出した。
 「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」である。経済最優先の姿勢も強調した。安全保障関連法に対する国民の反発をかわしたい思惑があるのかもしれない。
 ただ話を聞く限り、実現性には不安を抱く。何より昨年度の名目で490兆円だった国内総生産(GDP)を600兆円に膨らませるとしたことだ。
 バブル期並みの名目3%成長が続かないと達成できない数字であり、どこまで真剣に考えた目標なのか。環太平洋連携協定(TPP)を念頭に置いたのか経済圏を世界に広げると言うが、ここまでの成長を可能にするとは思えない。
 雇用を増やし、賃金を上げて消費を拡大する第1の矢が成功しなければ、その果実を大胆に投資して成り立つ第2、第3の矢も当然、おぼつかない。そのことをあいまいにしたままではむしろ国民の不安を高めるばかりではなかろうか。
 というのも現実には「第1ステージ」のアベノミクスが行き詰まりつつあるからだ。
 異次元の金融緩和がもたらした円安や財政出動による公共需要拡大で日本の景気が一定に好転したものの、政権が重視する株価は中国経済の成長鈍化もあってじりじり下がっている。日銀にしても2年間で2%の物価上昇を諦め、目標の先送りを決めた。さらに米格付け会社も今月、日本国債の格付けを1段階引き下げたばかりである。
 規制緩和などを柱とするこれまでの成長戦略にしても実効性を欠いたままだ。「第2ステージ」と胸を張る前に、これまでの経済政策を謙虚に検証するのが先ではないのか。
 来年夏の参院選を意識したのか、社会保障分野の充実をことさら強調したことにも違和感が拭えない。
 例えば「介護離職ゼロ」を目指すことだ。それ自体に異論はない。ただ、そのために特別養護老人ホームなどの介護施設を増やすというが、本当にできるのだろうか。
 介護保険財政は既に火の車だ。10年後には1カ月の介護保険料の全国平均が8千円を超える見通しで、中国地方では1万円を超えるところも出てくる。在宅介護の3倍近くの費用がかかる施設での介護を増やすとなると保険料はもっと高くなる。誰がどうやって負担するか。
 首相が会見で合計特殊出生率を昨年の1・42から1・8に引き上げるとした点も、ハードルが高い。実現への道を示さずに国民に受けのいい施策を並べてもどれほどの意味があろう。
 総じていえるのは従来のように「成長頼み」の域を出ていないことだ。現実を直視しなければ人口減社会を歩く道は切り開けない。首相は目指す国づくりの具体的な中身を、もっと明確に語る必要がある。
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