2015-10-01(Thu)

道路公団民営化10年  遠のく無料化

国交省 高速道安全対策 「中日本」任せ 落下物事故ひん発なのに

------旧道路関係4公団の民営化から、10月1日で丸10年を迎える。
民営化前に約37兆円に及んだ有利子債務の返済は着実に進んでいるが、老朽化で大規模更新が必要になり、高速道路の無料化は大幅に遠のいた。
税金投入も含めた高速道路の建設は進む。小泉純一郎政権が民営化で描いた改革路線は揺らいでいる。(日経新聞)

------日本道路公団が2005年10月に民営化して以降、道路構造物の老朽化や落下事故が相次ぎました。それにもかかわらず、所管する国土交通省は中央自動車道の笹子トンネル事故までの約7年間、同トンネルを管理する中日本高速道路に対して落下物対策についてほとんど指導していなかったことが26日、本紙が入手した資料からわかりました。(しんぶん赤旗)






以下引用

しんぶん赤旗 2015年9月27日(日)
安全対策 「中日本」任せ 高速道 落下物事故ひん発なのに
 日本道路公団が2005年10月に民営化して以降、道路構造物の老朽化や落下事故が相次ぎました。それにもかかわらず、所管する国土交通省は中央自動車道の笹子トンネル事故までの約7年間、同トンネルを管理する中日本高速道路に対して落下物対策についてほとんど指導していなかったことが26日、本紙が入手した資料からわかりました。
 (矢野昌弘)
 本紙が情報公開請求で入手したのは、国交省中日本高速道路に出した安全や維持点検に関する文書です。
 民営化直後の06年から、笹子トンネル事故直前の12年11月末までの約7年間に、国交省が出した文書はわずか6件(表)。ほとんどが「テロ対策」のための点検についてです。
 落下物対策として注意を促したといえるのは、東日本大震災直後の11年4月だけ。それも「(震災による)変状が見られないか確認に努め」るようになどと一般的な注意喚起にとどまっています。
外注を進める
 一方の中日本高速は06年4月に5年間の経営計画「チャレンジV」を発表しました。そこでは「保全・サービス事業について、05年度までに実施した02年度比3割コスト削減水準を維持しつつ、更なる削減をめざします」と宣言。保全点検や維持修繕で外注を進めるとしました。
 こうした中で、中日本は、トンネル内の照明を年1~4回の頻度で、掃除しながら金具のゆるみなどを調べる「灯具清掃点検作業」を中止したことが関係者の証言で明らかになっています(本紙12年12月31日付)。
 中日本が維持点検費用の削減に熱中する中、管内で発生した落下物事故は、民営化から笹子事故までに計17件が発生しています。重さ120キロのコンクリート板や50キロのタイルなどが落下するなど、大惨事すれすれの事故が続発。
 他の高速道路会社でも落下物が多発していたにもかかわらず、国交省は指導していませんでした。
緊急点検指示
 相次ぐ落下事故に中日本は12年7月に各支社に緊急点検を指示しました。笹子トンネルは同年9月に詳細点検を予定しましたが、この緊急点検に対応するため、計画を縮小し、足場を使わない点検に切り替えました。そのため天井裏のアンカーボルトの異変を見逃しました。
 しかし、笹子事故後の13年と14年だけで計7件の注意喚起を高速道路会社に行っています。事故後の国交省の指示は、危険が予想される箇所を具体的に指摘しています。
 事故で犠牲となった青年5人の家族らが起こした損害賠償訴訟で、中日本側はずさんな点検だったことを認めず、「事故は予想できなかった」「ミスはない」などと責任逃れに終始。事故の責任追及や道路の安全でも、中日本任せにする国交省の姿勢が問われます。
看過した国交省の責任は重大
 日本共産党の穀田恵二衆院議員の話 笹子事故の前からインフラの老朽化が社会問題となっており、警鐘も鳴らされてきました。民営化すれば経営効率化ができるとして、維持・補修費用の3割減という中日本の方針を看過してきた国交省の責任は極めて重大です。私は衆院国土交通委員会で、高速道路3社(中日本、東日本、西日本)が民営化から5年間で補修が必要な箇所の総件数が3倍になったにもかかわらず、維持補修が横ばいという実態を明らかにしました。無謀な新規投資を抑制し、維持管理・更新に重点を置いた道路行政への転換が求められています。


朝日新聞 2015年10月1日05時40分
高速道路無料化、遠い出口 公団民営化10年
下山祐治
シルバーウィークの談合坂サービスエリアは、家族連れらでにぎわっていた=9月21日、山梨県上野原市
 道路関係の4公団が民営化してから、1日で10年。高速道路のサービスエリアは改善し、膨らんでいた借金は減った。だが、民営化のメリットはなかなか各分野に広がらず、改革当初に描いていた高速道路の「無料開放」は、実現の見通しが立っていない。
 シルバーウィークまっただ中の9月21日午前。山梨県上野原市の談合坂サービスエリア(SA)は、ブドウ狩りに向かう家族連れらでにぎわっていた。東京都内の会社員(45)は「出かける前にどのSAに寄るかを決めている。食事が楽しみだから」と話した。
 高速道路でひと休みするためのSAやパーキングエリア(PA)が進化している。民営化後、各社がサービス向上を競い合った結果、コンビニやカフェは当たり前になり、地元の野菜即売などのイベントも行われるようになった。子どもや犬が遊べる広場が整備されているSAもある。
 国土交通省によると、SAなどのテナントの売り上げは民営化直後の2006年度より2割近く増えた。民営化を推進した元東京都知事の猪瀬直樹氏は「競争原理が働き、見違えるようになった」と評価する。
 当初約40兆円あった借金は、今年3月末には28・8兆円まで減った。
 だが、民営化の成果は本業の道路事業では、はっきりしない。本来なら、料金設定を工夫しながら売り上げや利益を増やそうとするのが民間企業の経営なのだが、高速道路会社には利益部分はすべて借金返済に充てなければならないルールがある。料金収入が増えても、自由に使えるもうけは増えないので、さらなる工夫が生まれにくいのだ。
 実際、料金は国の言いなりだ。自民党などの麻生政権が打ち出した「上限1千円」や、民主党政権時代の「無料化実験」などは、国費の投入が前提で企業としてのアイデアではない。
 道路会社は発足当初、できるだけ早く上場することを目指した。国や自治体が株を握るより、自由な経営ができるとされたためだが、道路を保有するのは国の独立行政法人だ。ある高速道路会社の幹部は、「大家さんである国の言うとおりにするしかない。純然たる民間企業とはほど遠い」。東大大学院の家田仁教授は「道路資産や借金も道路会社に持たせて自主的な経営努力を促すようにした方が良い」と話す。
■老朽化など出費増も
 道路公団改革で借金返済が終われば、高速道路は無料開放される計画だ。だが、その雲行きはあやしくなっている。
 理由のひとつは、古いトンネルや橋を造り直したり、舗装を修繕したりする費用がかさむことだ。12年に中央道笹子トンネルの天井板崩落事故が起き、問題が表面化した。これを受けて国は昨年、無料開放の時期を2065年と、15年遅らせることを決めた。
 一方で、改革当時に掲げられた「ムダな道路は造らない」という理念も揺らいでいる。新名神として計画されていた京都府八幡市から大阪府高槻市までの約10キロの区間。当初、並行する路線があるため「造っても採算が合わない」として建設を凍結したが、12年に整備することが決まった。
 方針転換のきっかけは、11年の東日本大震災だ。国交省は、「災害時、代替道路にする必要がある」とゴーサインを出した。国と自治体の負担で新しい道路をつくる「新直轄」というしくみもできた。こうした新しい道路でも将来は老朽化対策が必要になり、負担はふくらむ恐れがある。
 これまでは順調に減ってきた借金が、今後も同じように減らせるのかは見通せなくなってきた。
 老朽化の費用をどうまかない、ムダな道路造りに歯止めをかけるしくみをどう再構築するか。10年前には想定していなかった新たな問題への対応が迫られているのに、国交省は危機感に乏しい。(下山祐治)
     ◇
〈民営化を推進した猪瀬直樹さんのコメント〉
 民営化以前、サービスエリアのトイレは汚く、食事もまずかった。民営化で競争原理が働き、みちがえるように改善した。
 民営化は、道路公団の不透明な経営の実態を明らかにする過程が大事だった。建設ではコスト感覚が無く、借金が無限に増え続ける状況だった。まずこれを止め、次に利益を上げていく、という発想だった。
 道路をどこが保有するかは本質的な議論ではない。「新直轄」は地方も建設費を負担するしくみで、ムダな道路建設には歯止めがかけられた。改革全体を評価すれば、80点ではないか。
〈東大大学院教授の家田仁さんのコメント〉
 高速の通行料金は本来、高速道路会社が自ら考えるものだ。だが、実際には政治や政策の範囲内でしか考えられず、創意工夫ができないしくみになっている。
 これは道路資産や借金は国が保有しているためで、本業の高速道路事業で得た収入は、借金返済に充てなければならないからだ。道路資産や借金も道路会社に持たせることで、自主的な経営努力を促すようにした方が良い。
 民営化から10年を迎え、新たな段階へと改善していくことも検討していくべき時期にきている。
     ◇
 〈道路公団民営化〉 日本道路公団など道路関係4公団が民営化され、2005年10月1日に高速道路会社6社が発足した。公団が抱えていた借金は、道路資産とともに独立行政法人の日本高速道路保有・債務返済機構に移管。道路会社は通行料収入を道路のリース料として支払い、機構の借金返済に充てる。いずれも非上場で、国や地方自治体が株主になっている。
■道路公団改革のあゆみ
2001年12月 小泉内閣、道路公団民営化を閣議決定
2002年12月 政府の民営化推進委員会、新たな路線建設に慎重な最終報告
2004年6月 道路公団民営化法が成立
2005年7月 日本道路公団発注工事めぐり官製談合事件。副総裁ら逮捕
2005年10月 「東日本高速」など高速道路6社が発足
2009年3月 高速料金「上限1千円」割引を開始(~11年6月)
2010年6月 民主党政権が「高速道路無料化」の社会実験(~11年6月)
2012年12月 中央道笹子トンネル(山梨県)で天井板崩落事故
2014年5月 高速道路の無料開放時期を15年延期し2065年に


日本経済新聞 電子版 2015/10/1 1:05
高速道、遠のく無料化 道路公団民営化10年
大規模更新計画の総費用は計4兆円に(川崎市の東名高速道路)
 旧道路関係4公団の民営化から、10月1日で丸10年を迎える。民営化前に約37兆円に及んだ有利子債務の返済は着実に進んでいるが、老朽化で大規模更新が必要になり、高速道路の無料化は大幅に遠のいた。税金投入も含めた高速道路の建設は進む。小泉純一郎政権が民営化で描いた改革路線は揺らいでいる。
 「成果を上げてきたが課題もある」。太田昭宏国土交通相は9月29日、高速道路会社などとの連絡会議で民営化10年をこう総括した。最大の課題は老朽化対策だ。
 2012年12月に中央自動車道の笹子トンネル(山梨県)で天井板が崩落して9人が死亡する事故が発生。高度成長期以降に作られたインフラが更新時期を迎えていることを浮き彫りにした。
 道路各社が策定した大規模更新計画の総費用は計4兆円規模。資金を確保するため政府は14年に道路法などを改正し、有料期間を50年から15年延ばし無料化は遠のいた。
 見直すとしていた高速道路の整備も着々と進んでいる。税金を投入する「新直轄方式」の導入で採算が見込めない区間の建設も進み、この10年で高速道路は約1300キロメートル開通した。政府・与党が整備計画の是非を検討する「抜本的見直し区間」143キロメートルのうち、一部は凍結を解除した。
 綻びはまだある。国交省は14年度に本州四国連絡高速道路会社の債務を本州3社と統合した。本州と四国を結ぶ3ルートは需要見通しが甘く、料金収入で返済するめどがたたなかったため。政府関係者からさえ「全国料金プール制の復活だ」と批判する声が上がった。
 サービスエリアの充実で事業が拡大するなど前向きな効果もある。しかし高速道路会社は道路料金を事実上、自由に決められないまま。宮川公男一橋大名誉教授は「民営化時の3つの目的は守られていない」と指摘する。
 一方、地方自治体は「災害への備えや地方創生のため(高速道路などの)早期整備を国などに提言していく」(全国高速道路建設協議会長の尾崎正直高知県知事)立場。民営化時の目的と整備拡大の要望との衝突は続く。

日本経済新聞 電子版 2015/10/1 8:30
道路公団民営化とは
 ▼道路公団民営化 政府は日本道路公団など道路関係4団体を2005年10月1日、東日本高速道路などに分割・民営化した。旧公団時代は、黒字路線の収益を新規路線の建設投資に回す「全国料金プール制」のもと、採算性の低い高速道路も整備され、有利子債務が膨らんだ。この流れを食い止めるため、小泉政権は旧公団の民営化を決めた。
 目的は(1)高速道路の有利子債務を50年までに返済し無料開放(2)真に必要な道路をより少ない国民負担で建設(3)民間ノウハウによる多様な料金設定やサービスの提供。高速道路の資産と債務を高速道路会社から切り離し、料金収入が債務返済に回る仕組みを整えた。整備計画は見直すとされた。同債務は29兆円程度まで減少するなど一定の成果は出ている。


毎日新聞 2015年09月30日 東京朝刊
検証・道路民営化10年:/上 無料化、さらに遠のく 借金返済、甘い見通し
道路公団民営化の仕組み
 岡山県早島町と香川県坂出市を結ぶ瀬戸中央自動車道(瀬戸大橋、児島・坂出ルート)。シルバーウイーク明けの24日午後、瀬戸内海の海峡部のほぼ中間地点にある「与島パーキングエリア(PA)」は閑散として、駐車場を埋める自動車は1割に満たなかった。仕事で月1回ほど立ち寄るという坂出市の男性会社員(50)は「お盆などは混むが、平日はすいている」と話す。2014年度の橋の通行量は1日平均2万869台で、1988年の開通初年度に想定した2万5000台の8割強にとどまる。PAの男性職員は「これまで通行料金を値下げしても客足はたいして増えなかった」とぼやく。
 「瀬戸内の人、モノ、カネの流れの活性化」を狙ったプロジェクトは開通当初からつまずいた。約8200億円に上る建設費を回収するため、当時の「本州四国連絡橋公団」(本四公団)が設定した料金は片道6300円。ドライバーからは「高額な料金に見合うメリットはない」と不満の声が上がり、初年度の通行量は想定の半分以下。その後の値下げ効果も薄かった。
 本州と四国を橋で結ぶ高速道路は、他に「神戸・鳴門ルート」と「尾道・今治ルート」があるが、高額の料金がネックとなって通行量、料金収入が伸び悩む構図は同じだ。3ルートを運営・管理する本四公団が05年10月に本州四国連絡高速道路(本四高速)に民営化された後も、こうした構図は解消されていない。
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     ◇
 民営化の狙いは、収益が期待できない無駄な道路は造らず、経営の創意工夫により、道路各社が50年までに借金をゼロにすること。だが「2兆2600億円に上る借金は本四高速には重すぎた」(国土交通省幹部)。瀬戸大橋では09年にはETC車を対象に料金を4100円から平日2870円、休日1000円に下げた効果で、通行量は一時的に増えたものの、値下げ分をカバーできず、かえって料金収入は減少。国と岡山県、香川県など周辺10自治体は毎年800億円を同社などに出資して支援してきたが、14年3月末、「財政難の中、負担が重過ぎる」(岡山県幹部)として出資を一斉に打ち切った。
 単独での借金返済計画は行き詰まり、国交省は14年、窮余の策として同社の借金を東日本高速、中日本高速、西日本高速と統合する案を打ち出した。本州3社の料金収入による事実上の救済策で、民営化時の計画の甘さが露呈した格好だ。国交省道路局幹部は「本四高速は、3社に頼らず利用客を増やす方策を考える必要がある」と強調するが、抜本策は見当たらない。
 見通しの甘さは料金収入だけではない。12年12月に中央自動車道笹子トンネル(山梨県大月市)で9人が死亡する天井板崩落事故が発生。原因は補修・点検不足とされ、急きょ、大規模修繕や更新のための費用が高速6社全体で約4兆円必要になった。中日本高速幹部は「民営化当時は、ここまで多額の費用が必要になるという知見がなかった」と認める。国交省は4兆円を料金収入で賄うため、借金の返済期間の延長を14年に決定。50年に借金返済を終え、無料開放するはずだったが、65年まで先延ばしになり、計画はあっけなく撤回された。
 高速道路の老朽化は今後も進み、大規模修繕・改修費はさらに膨らむ公算が大きい。高速6社は中長期的には7兆〜12兆円が必要と試算。その分、無料開放はさらに遠のき、利用者の負担を軽減するという民営化当初の理念は大きく揺らいでいる。道路行政に詳しい宮川公男・一橋大名誉教授は「民営化のスキームは既に破綻した。あるべき姿を再検討すべきときにきている」と話している。
     ◇
 高速道路を運営する日本道路公団など4公団が民営化されてから、今年10月で10年を迎える。借金返済や無駄な道路を造らないという理念はどこまで達成できたのか。道路民営化の課題を探った。【山口知、小倉祥徳】
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 ■ことば
 ◇道路公団民営化
 小泉政権による特殊法人改革の一環で、高速道路を建設・運営していた日本道路公団など4公団が2005年に分割・民営化された。採算度外視の道路建設を続けたため、借金が40兆円を超え、改革が急務だったためだ。その際、発足したのが、東日本、中日本、西日本、首都、阪神、本州四国連絡の6高速道路会社。独立行政法人の日本高速道路保有・債務返済機構が6社の道路資産を保有し、各社は機構から借りた道路の料金収入で借金を返している。


毎日新聞 2015年10月01日 東京朝刊
検証・道路民営化10年:/下 不採算路線、続々 「新直轄」抜け道に建設
 シルバーウイーク真っただ中の9月21日。東名高速道路、海老名サービスエリア(SA、神奈川県海老名市)は多くの客でごった返していた。旧日本道路公団から運営を引き継いだ中日本高速道路は、スターバックスコーヒー、成城石井などの人気店を誘致。地元名産のしらす丼などを目当てに立ち寄るドライバーも増えた。各地でトイレを改装するなど古くて暗いSAのイメージも一新され、同社のSA事業全体では、2006年度の売上高1347億円が13年度には約3割増の1747億円になった。
 拡大するSA事業は民営化の成功例とされるが、収益を詳細に見ると必ずしも順調とは言い切れない。06年度に91億円だったSA部門の営業利益は、13年度には55億円にまで減少した。12年4月に総額2兆6000億円の巨費を投じた新東名高速(第2東名)が開通したが、13年度の通行量は1日平均4万583台で当初想定に届かず、第2東名のSA新設の設備投資を補うだけの客足を確保できていないためだ。採算性に疑問の声も出ていた道路の新設が、好調なSA事業の足を引っ張る構図と言える。
 民営化後も全国で新規路線は延び続けている。「2区間は事業をやらなければならない」。太田昭宏国土交通相は14年7月、着工を見合わせていた北海道縦貫自動車道など63キロの建設を進める方針を示した。費用は国が4分の3、地元自治体が4分の1を負担する、全額税金の「新直轄方式」と呼ばれる手法で、民営化に伴い高速道路会社が手掛けなくなった不採算路線を通すために政府が編み出した。
 国交省が行う新直轄路線の選定では、まず初めに「料金収入で管理費が賄えず、有料道路に適さない区間」が挙がり、その中から地元の建設合意の時期に応じて優先順位が決まる。採算性よりも地元要望が優先され、民営化後に国内で開通した高速道路のうち全体の37%が新直轄によるものだ。「無駄な道路は造らない」とした民営化の理念は新直轄方式により骨抜きになった格好だ。
 東日本大震災被災地の三陸自動車道では、全額税金を投入する別の仕組み「一般国道自動車専用道路」で、開通の見通しが立っていなかった全区間で21年までの開通を目指すことになった。宮城県気仙沼市の担当者は「大都市病院への救急搬送時間の大幅短縮が見込まれる。『いのちの道路』として開通を待ち望んでいる」と期待する。その一方で財務省幹部は「『復興のために必要だ』と政治力で決まった」とこぼす。
 政府の道路公団民営化推進委員会委員を務めた猪瀬直樹氏は「民営化は40兆円に膨らんだ借金を着実に返済することが最大の狙い。実際、借金は減り、SAの利便性向上も民営化前には考えられなかったことだ。100点満点で80点は付けられる」と民営化の意義を強調する。
 だが、高速道路会社の借金は減ったとしても、税金を使った不採算道路が延び続ければ、国民全体の負担が減るわけではない。公共政策に詳しい山本哲三・早稲田大教授は「将来の交通量など費用対効果を厳密に分析したうえで、道路建設の必要性を判断すべきだ。採算無視では国民は納得しない」と話している。【山口知、小倉祥徳】
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 ◇税金による建設計画が進む主な高速道路
道路種別         道路名       区間           長さ   開通時期
新直轄道路        北海道横断自動車道 陸別町陸別−陸別町小利別 20キロ 未定
新直轄道路        北海道縦貫自動車道 名寄−士別市多寄町    12キロ 未定
新直轄道路        四国横断自動車道  阿南−小松島       10キロ 未定
一般国道自動車専用道路  三陸自動車道    登米東和−志津川     11キロ 15年度
一般国道自動車道専用道路 近畿自動車道紀勢線 南紀田辺−すさみ     38キロ 15年度

日本経済新聞 2015/9/29 19:45
高速道「新しい課題に不断の努力を」 国交相が各社に
 国土交通省は29日、10月1日に道路関係4公団が民営化して10年がたつのを前に、東日本など各地の高速道路会社などとの連絡会議を開いた。太田昭宏国交相は、2012年12月に発生した中央自動車道の笹子トンネル事故に触れながら「防災、減災、老朽化という新しい課題に対して不断の努力をおこなう必要がある」と述べ、各社に継続的な取り組みを求めた。
 同会議では民営化時に約37兆円あった高速道路の有利子債務が約29兆円に減少した成果や、老朽化に伴う大規模修繕の課題などが報告された。太田国交相は国の基幹インフラとしての高速道路を「いかに賢く使うか、国際競争力の強化や地方創生など経済成長に向けた国民からの要請にどう応えていくか」とも語り、利用促進に向けた施策も重視する姿勢を示した。


時事通信(2015/09/29-19:59)
老朽化対策強化を確認=高速道路各社と連絡会議-国交省
 国土交通省は29日、日本道路公団など道路関係4公団の民営化から10月1日で10年となるのを前に、東日本、中日本、西日本など高速道路各社や日本高速道路保有・債務返済機構と連絡会議を開いた。高速道路の安定的なサービス提供に向け双方は、老朽化対策を強化することなど今後の方針を確認した。
 会議に出席した太田昭宏国交相は、(1)防災・減災・老朽化対策に着実に取り組む(2)高速道路が民間投資を誘発する効果を最大限引き出す(3)道路工事発注で収賄事件が発生しないよう対策を強化する-ことなどを要請。道路各社側は「安全が最優先という経営理念を明確に位置付け、不断の取り組みを進めていきたい」と応じた。

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