2015-10-06(Tue)

TPP大筋合意 「国益損なう」 

国民無視の譲歩重ねる 日本農業のあすが見えぬ  合意優先した農業の譲歩

<各紙社説>
朝日新聞)TPP合意 域内の繁栄と安定の礎に(10/6)
読売新聞)TPP大筋合意 巨大貿易圏で成長底上げ図れ(10/6)
日本経済新聞)TPPテコに世界経済の活性化を (10/6)
産経新聞)TPP大筋合意 「自由」基盤の秩序築いた(10/6) 
東京新聞)TPP合意 争いと格差の克服を(10/6)

北海道新聞)TPP大筋合意 日本農業のあすが見えぬ(10/6)
河北新報)TPP大筋合意/内容を精査し国民的議論を(10/6)
信濃毎日新聞)TPP交渉 合意優先した農業の譲歩(10/6)

【談話】
民主党)TPP交渉大筋合意について (10/5)
日本共産党)TPPからの撤退、調印中止求める (10/5)
社民党)TPP交渉の「大筋合意」を弾劾する(10/5)

<報道>
しんぶん赤旗)TPP「大筋合意」発表 政府、国民無視の譲歩重ねる(10/6)
時事通信社)民・共「国益損なう」=TPP合意、維新は評価(10/6)




以下引用



朝日新聞 2015年10月6日(火)付
社説:TPP合意 域内の繁栄と安定の礎に


 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が閣僚会合で合意に達した。
 5年を超える協議を経て、国内総生産(GDP)で世界の約4割を占めるアジア太平洋の12カ国が新たな枠組みへ踏み出す。これを域内の繁栄と安定の礎としなければならない。
 ヒトやモノ、カネが活発に国境を越える現状に対し、貿易・投資ルールを改めていく世界貿易機関(WTO)の活動は停滞したままだ。焦点は二国間や地域内の自由貿易協定(FTA)に移り、規模が大きい「メガFTA」が注目されている。
 ■欠かせない情報公開
 その先頭を走るのがTPPである。世界の成長を引っ張るアジア太平洋での新たな基準が、他の交渉を刺激しそうだ。
 今回の合意の中身を見ると、交渉が難航した乳製品や自動車分野を含めて、「モノ」にかける関税の引き下げ・撤廃が進み、国際分業の実態に合わせた原産地規則が設定された。環境や労働者の保護と自由化の調和などWTOでは手つかずの分野を含めて、新たなルールを打ち出したことも大きな特徴だ。
 一方で、新薬のデータ保護期間のようにゆるやかな合意にとどまったり、先送りされたりした項目も目につく。12カ国は各国議会での承認を目指して詰めの協議を急いでほしい。
 その際、欠かせないのが情報公開と国民への説明である。
 TPPについて各国政府は「手の内を見せると交渉が不利になる」として、途中の状況は説明しない秘密主義をとってきた。閣僚会合で合意した以上、日々の生活にどんな影響があるのか、根強い不安や疑念と向き合わねばならない。
 日本に関していえば、例えば著作権保護の強化がある。著作者の権利保護を通じて創作活動を促す効果が期待できる半面、作品に気軽に触れられなくなる恐れもある。保護と利用のバランスをどうとるのか、丁寧に説明してほしい。
 ■WTOを立て直せ
 TPPの舞台であるアジア太平洋では、米国と中国という2大国が覇権を争う。TPPを巡っても、米国の推進派が「中国に主導権を握らせない」と強調し、中国もTPPへの警戒心を隠してこなかった。
 東アジアでも、日本と中国、韓国が経済的な結びつきを強める一方で、日中、日韓の政治・外交的関係はぎくしゃくした状況が続く。
 しかし、自由化の効果を高めるには、世界第2の経済大国である中国、さらには韓国を巻き込むことが欠かせない。それが地域の政治的安定にもつながるはずだ。東アジア包括的経済連携協定(RCEP)や日中韓FTAなど、中韓両国が加わっているメガFTA交渉を加速させる必要がある。
 さらに、WTOの立て直しを忘れてはならない。
 約160の国と地域が参加するWTOは、地域ごとの主導権争いから距離を置き、世界に開かれた多角的交渉の場だ。ドーハ・ラウンドが頓挫して以来、機能不全に陥っていたが、変化の兆しが出てきた。デジタル製品の関税の撤廃を目指す情報技術協定(ITA)を巡り、約50の国と地域が対象品目の追加で合意したことに注目したい。
 日米欧に加え、この分野の主役に台頭した中韓両国を含む主要国が一致できた意義は小さくない。この機運を生かせるか、日本の役割と責任は大きい。
 ■ばらまく余力はない
 国内に目を転じれば、TPP合意に伴う市場開放で影響を受けるさまざまな業界への対策が課題になる。焦点は農畜産分野だ。牛肉や豚肉は、一定の期間をかけて、関税を大幅に下げることになった。今後、補助金の増額などを求める声が高まるのは必至だ。
 確かに、激変緩和策は必要だろう。そのためにも、まずは輸入の現状や自由化の影響を分析し、必要な対策と予算額を見極めなければならない。
 コメの市場開放に踏み切った1990年代のウルグアイ・ラウンド合意を受けて、総額6兆円の対策費を投じた。その多くは農業関連の土木事業で、競争力の強化に必ずしもつながらなかった。同じ過ちを繰り返す余裕は、借金が1千兆円を超す日本の財政にはない。
 コメや乳製品で、日本が一定量の輸入を約束したことも気がかりである。米国や豪州、ニュージーランドなどの農業大国と交渉を重ね、関税の撤廃を避けるために提案した策だが、あくまで関税交渉が基本であることを忘れてはならない。
 コメについては既に同様の仕組みがあり、年間で100億円を超える損失が生じている。その場しのぎの政策を重ねるばかりでは、国民負担をいたずらに膨らませかねない。
 納得のいく説明ができるかどうか。通商の自由化とそれに伴う対策でも、この原則をおろそかにすることは許されない。
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読売新聞 2015年10月06日 03時02分
社説:TPP大筋合意 巨大貿易圏で成長底上げ図れ


 ◆日本農業の強化は待ったなしだ
 アジア太平洋地域に、世界経済を牽引する新たな貿易・投資の枠組みが誕生する。
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が閣僚会合で大筋合意した。
 世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な自由貿易圏の創設で、人やモノ、資金の流れが活性化され、経済成長を底上げする効果が期待できる。
 5年半に及んだ交渉は最後まで難航したが、先進国から新興国まで、様々な事情を抱える参加12か国が多くの利害対立を乗り越えたことを歓迎したい。
 ◆危機感共有で漂流回避
 交渉は予定を4日延長して、ようやく妥結した。新薬開発のデータ保護期間を巡る協議などが、最後までもつれたためである。
 保護期間は、米国が12年、オーストラリアなどが5年を唱えたが、実質8年とする日本の提案が採用されたという。
 仲介役として、日本が一定の役割を果たしたのは意義がある。
 TPP域内で生産された部品を何割使えば、自動車の関税引き下げなどの優遇を受けられるかという「原産地規則」に関する意見の相違も解消した。
 日本が4割、メキシコなどは6割超を主張したが、5割前後で妥協が成立したとされる。
 ニュージーランドが、日米などに乳製品の輸入拡大を迫っていた問題でも折り合いがついた。
 激しく対立してきた各国が、大局的見地から歩み寄ったことは評価できる。
 数々の懸案で各国が譲歩に転じたのは、今回も物別れに終われば、交渉が漂流しかねない、という危機感を共有できたからだろう。
 米国では今後、来年秋の大統領選をにらんで民主、共和両党の対決姿勢が強まり、合意への機運が薄れる恐れが指摘されていた。
 議長のフロマン米通商代表は記者会見で、「野心的な高いレベルの合意だ」と成果を強調した。
 TPPは31分野にわたり、関税撤廃や規制改革などを約束している。発効すれば、多くの農産品や工業製品の関税が下げられ、公平で透明性の高い包括的な貿易・投資ルールが整備される。
 経済活動の自由度が高まり、生産拡大や雇用創出など、様々な恩恵を享受できよう。
 各国は今後、速やかに合意案の議会承認を得て、協定発効へ着実につなげることが大切だ。
 TPP参加で得られる利益と甘受すべき痛みを、国民に丁寧に説明することが求められる。
 安倍政権は、TPPを成長戦略の柱と位置づけている。TPPは、人口減で国内市場の縮小が見込まれる日本が、アジアの成長を取り込むのに不可欠な枠組みだ。
 ◆中国を牽制する役割も
 TPPのルールを各国が順守することで、規制が突然変更されるといったリスクが低下し、企業は安心して域内国に進出できる。
 道路や鉄道などのインフラ(社会資本)輸出を促進する追い風にもなろう。牛・豚肉など多くの輸入関税が下がれば、日本の消費者が受けるメリットも大きい。
 安倍首相は、大筋合意について「価値観を共有する国による自由で公正な経済圏を作っていく国家百年の計だ」と語った。
 TPPを主導する日米が結束し、同盟関係を深化させる効果も見逃せない。覇権主義的動きを強める中国への牽制となろう。
 世界最大の経済協定であるTPPの原則は「国際標準」となる。公正、透明なルールに従うよう中国に改革を迫り、世界2位の経済力を世界の繁栄に生かしたい。
 TPPの副作用への対応も欠かせない。特に、関税の引き下げで、外国産品との厳しい競争に直面する国内農業への打撃を心配する向きは多い。農業の体質強化は待ったなしだろう。
 ◆予算のバラマキを排せ
 TPPを単にマイナス材料とみなさず、むしろ未来の農業を形成する好機と捉えてはどうか。
 IT(情報技術)導入や農地の大規模化で生産性を上げたり、戦略的な輸出で農業の稼ぐ力を高めたりする事業に注力すべきだ。
 コメ市場が部分開放された1993年のウルグアイ・ラウンド合意では、8年間で計6兆円規模の対策費が投じられた。土地改良など公共事業が中心で、競争力を高める効果は乏しかったとされる。同じ轍を踏んではなるまい。
 来年夏の参院選を意識し、自民党内からは、TPP対策を名目に農業予算の大幅増を求める声が出ている。バラマキを排し、農業再生に資する事業に予算を重点配分できるかどうかが問われよう。
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日本経済新聞 2015/10/6付 
社説:TPPテコに世界経済の活性化を


 歴史的な成果だ。日米を含む12カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が、大筋合意に達した。
 12カ国の経済規模は世界の4割弱を占める。世界最大の自由貿易圏をつくる道筋ができた。日本をはじめ各国はこれにあわせて国内の構造改革を進め、経済の活性化につなげるべきだ。
 約5年半に及んだ交渉は、先月30日から開いた閣僚会合で実質的に妥結した。交渉が年単位で漂流するおそれもあっただけに、各国が歩み寄った意義は大きい。
貿易・投資の新ルール
 最後まで難航したのは、医薬品のデータ保護期間の扱いだ。製薬企業を抱える米国が12年を主張したのに対し、オーストラリアは5年を求めていた。結論として8年で折り合った。
 ニュージーランドが求めていた乳製品の市場開放については、日米などが受け入れた。
 自動車の関税撤廃ルールでは、一定の割合の部品をTPP域内でつくれば関税撤廃の条件を満たすという「原産地規則」で、日本とメキシコなどが合意した。
 通商協定は、各国が互譲の精神で目先の痛みを受け入れ、長い目でより大きな自由貿易の果実を得るようにするのが鉄則だ。今回の決着は全体として均衡のとれた内容といえるのではないか。
 TPPの意義は、高い水準の貿易・投資のルールにある。物品の関税撤廃・削減だけでなく、投資、サービス、知的財産権など範囲は多岐にわたる。環境、労働、国有企業といった分野も含む21世紀型の協定といえる。
 域内のヒト、カネ、モノ、サービスが自由に行き来しやすくなることで、域内の国内総生産(GDP)を0.9%分、日本のGDPを2%分押し上げる効果があるとの試算もある。
 日本企業の利点は大きい。例えば日本からエンジンをマレーシアに輸出し、そこで組み立てた最終製品を米国に輸出する。そんな柔軟な供給網を構築しやすくなる。
 サービス業でも日本のコンビニエンスストアがマレーシアやベトナムに進出しやすくなる。日本企業は攻めの経営でさらなるグローバル戦略に打って出るときだ。
 農産品の分野では、日本は米国産とオーストラリア産のコメの輸入枠を設けるほか、牛肉や豚肉の関税率を大幅に引き下げる。
 日本の消費者にとっては、関税の削減・撤廃により外国産の農産品を今より安く手に入れやすくなる。一方で米国も和牛などにかかる関税を将来撤廃するため、日本からの輸出増加も期待できる。
 今後の焦点は国内の農業対策に移る。TPP締結で国内の農林水産物の生産額は3兆円程度減少する、と日本政府は試算している。市場開放の影響を緩和するための一定の対策は必要だ。
 しかし、1994年にまとめた関税及び貿易に関する一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンド対策では事業費ベースで6兆円超を投じたものの、大半は農業土木に費やされ、農業の体質強化につながらなかったとの指摘は多い。
 安易なバラマキは慎み、コメの生産調整(減反)廃止や、農協改革との相乗効果で農業の生産性を高める対策にお金を重点配分すべきだ。
 歴史上、TPPは93年に妥結したウルグアイ・ラウンド以来の大きな通商協定となる。
自由貿易圏を広げよ
 欧州連合(EU)は米国との間で環大西洋貿易投資協定(TTIP)を交渉している一方で、日本とは経済連携協定(EPA)交渉を始めている。日本はTPP合意をテコに、EUとの交渉妥結を急ぐべきだ。
 さらにアジア太平洋経済協力会議(APEC)参加の21カ国・地域が自由貿易圏をつくる構想がある。TPPはその一里塚だ。
 TPP、日中インドを含む16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日中韓自由貿易協定(FTA)のすべての交渉に参加しているのは日本だけだ。この地域の自由貿易圏づくりを主導してほしい。
 中国をはじめとする新興国経済が減速し、世界経済の下振れリスクが強まっている。そんな時こそ保護主義に対抗し、自由貿易を通じて世界経済を下支えしようとする努力がきわめて重要になる。
 大事なのはTPPを経済の変革につなげることだ。企業は競争を通じ収益力を磨き、個人も海外のサービスや人材と触れあい研さんを積む。そんな努力を重ねれば、アジア太平洋地域が世界経済のけん引役であり続けるだろう。
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産経新聞 2015.10.6 05:03
【主張】TPP大筋合意 「自由」基盤の秩序築いた

 
国内改革促し成長の礎とせよ 
 難航を極めた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。
 高水準の自由化と、域内の共通基盤となるルールを確立するTPPは、21世紀の国際標準となり得る野心的な協定だ。
 人口減少時代の内需縮小や国際競争力の低下に直面する日本にとって、アジア太平洋地域の経済活力を取り込むことは極めて重要である。世界の4割を占める巨大なTPP経済圏を成長への礎にしなければならない。
 同時に、TPPは高い関税で保護してきた農畜産業などに構造転換を迫ろう。強い農業の実現など国内改革に万全を期すべきだ。
 《対中戦略の意義大きい》
 幾度も空中分解が懸念されながら、どこも脱落せず12カ国が枠組みを守った点を評価したい。TPPには単なる通商協定にとどまらぬ戦略的な意義があるからだ。
 日本や米国、オーストラリアなど自由主義国の経済基盤で環太平洋地域の発展を目指すのがTPPである。それは中国抜きで築く経済秩序と言い換えてもよい。
 中国は経済、軍事両面で影響力を高めている。アジアインフラ投資銀行など自国の提案に基づく勢力拡大も急だ。
 だが、その覇権主義的な動きには問題が多い。共産党独裁体制下で恣意(しい)的な経済運営が目立ち、法の支配も不十分だ。それで透明性の高い自由市場を築けるのか。TPPはこれを牽制(けんせい)するものだ。
 無論、参加各国にとって対中経済関係の重要性は合意後も変わるまい。それでも、中国経済の減速など流動的要因が多い中、新たな経済圏を構築することはリスク分散の観点でも意味がある。
 交渉は、乳製品の市場開放や新薬開発のデータ保護期間、自動車部品の原産地規則などをめぐり最終局面までもつれた。
 迷走した日米間の関税協議も含めて、ここまで交渉が長引いたのは、高水準の自由化という理想に反し、多くの国が国内産業保護に傾斜したためともいえる。
 国益をかけた交渉ではやむを得ない面もあったが、いつまでも個別分野の勝ち負けにとらわれて本質を見失うわけにはいかない。
 TPPは、市場アクセスの改善だけでなく、知的財産や環境、競争政策などのルールを定め、規制の調和を図る包括的な協定だ。共通の土俵の上で人・モノ・カネの行き来が活発になれば、域内経済全体の底上げにつながる。
 いまだ安定成長が見通せない日本経済が強さを取り戻す上でもTPPは欠かせない。
 関税撤廃などを通じた輸出拡大はもちろん、日本企業による域内でのビジネスが広がれば、中長期的な国内市場の縮小を打開するための活路となるだろう。
 《強い農業の実現を急げ》
 TPPは暮らしにも幅広くかかわる。安価で質の高い輸入品の流入は消費者に恩恵をもたらす。著作権など新たなルールが及ぼす影響も見極めねばならない。
 安倍晋三政権が力点を置かねばならないのは、社会への明確な情報発信だ。
 TPPをテコに進めなければならないのは生産性の低い産業の構造改革を促すことである。言うまでもなく、その象徴が農業だ。
 政府はコメや麦、牛・豚肉などの重要農産品を例外扱いとすることを主眼に交渉を進めた。バター不足が深刻な中で乳製品輸入の大幅な拡大に歯止めをかけようとしたのも、消費者ではなく、生産者への配慮である。
 日本の農業は、高齢化や小規模経営によるコスト高などの課題が山積している。TPPに伴う輸入拡大に備えるため、今後は国内対策に焦点が移ろう。
 ただ、それは農業の生産性を改善し、競争力を強化するものでなければならない。これを通じて経営体力を高め、所得向上を実現することこそが本筋である。
 懸念するのは、来夏の参院選をにらんで、政府与党が対症療法的なばらまきに向かうことだ。不満を糊塗(こと)する見せ金にこだわるようでは、農協法改正などで動き始めた改革機運にも水を差し、強い農業の実現も遠のくだろう。
 TPPの合意は、ゴールではなく、日本の経済、社会の仕組みを根本から改革するための出発点である。これを土台に発展への道筋を描き、着実に改革を実行に移していく。それこそが、政権の果たすべき責務である。
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東京新聞 2015年10月6日
【社説】TPP合意 争いと格差の克服を


 環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意した。協定の恩恵を大国の間で強まる地域対立、各国で深刻化する経済格差の拡大という国際社会が直面する課題の解決につなげなければならない。
 二〇一〇年に交渉が始まってから五年。TPPは二つの顔を持っている。一つは参加国を十二カ国に限った「域内協定」ではあるものの、自由貿易を推進する前向きの顔だ。
 今回の合意でアジア太平洋地域に世界の国内総生産(GDP)の約四割を占める経済圏が生まれ、域内の大半の関税が撤廃される。人口減で国内市場が伸びない日本の場合、米国で八割以上の部品の関税が撤廃される自動車、ベトナムなどで規制が緩和される小売りや金融などの業界だけでなく、牛肉、豚肉やワインなどの関税引き下げは消費者に歓迎されるはずだ。
 TPP交渉には当初から国内に不安が広がり、反対の声が根強く続いた。農業や保険、医療など暮らしや命に直接関わる幅広い分野が自由化交渉の対象になり、利益至上主義の大波にさらされる危機を感じたからだ。
 自由な経済活動を放任すれば弱者は追い込まれ、経済格差は拡大して対立が深まる。TPPがそれを広げることがあってはならない。合意を受けた国会審議では、影響を受ける分野で弱者に対する目配りと対策が求められる。
 TPPのもう一つの顔は経済のブロック化、保護主義への傾斜という危険な顔だ。
 「地政学的」と言われる対立の広がりで、国際社会の様相は目に見えて悪化している。
 経済成長する東アジアで覇権争いを繰り広げる米国と中国は、先日の首脳会談で共同声明すら出すことができなかった。
 英国の経済紙は、TPPは台頭する中国に対抗して、米国がアジア太平洋で影響力を確保するのが狙いと指摘。米中の争いが強まれば相手を排除する経済のブロック化、保護主義に傾斜しかねない危険性があることを浮き彫りにした。
 戦後の国際貿易は内外無差別を大原則に発展してきた。要の世界貿易機関(WTO)が行き詰まり、補完する役割を担って登場したのが地域ごとの自由貿易協定(FTA)だ。そのひとつであるTPPは、対立ではなく中国を取り込む幅広い自由化で保護主義の芽を摘み、争いの芽をも摘む大きな目標へ進まなければいけない。
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北海道新聞 2015/10/06 08:50
社説:TPP大筋合意 日本農業のあすが見えぬ


 これで国益を守ったと言えるのか。米国に追従し、農業分野で譲歩を重ねた秘密交渉だった。
 12カ国による環太平洋連携協定(TPP)交渉は米国・アトランタでの閣僚会合で大筋合意した。
 世界経済の4割を占める地域で貿易や投資の自由化が進む巨大経済圏が築かれる。
 しかし、交渉過程で犠牲になったのは、日本の農業だ。コメの輸入枠設置、牛肉、豚肉の関税大幅引き下げなどで、食料基地の北海道は長期にわたり、大きな影響を受けるだろう。
 国会決議は、重要5農産物(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)などを「聖域」とし、段階的な関税撤廃も認めないと記している。今回の合意は決議に反する疑いが強い。
 政府は早急に詳細な合意内容と影響の試算を公表し、十分な対策を打ち出さねばならない。
■北海道に大きな影響
 北海道は重要5農産物すべての主産地だ。なかでも酪農は二重の打撃を受ける。
 関税引き下げで輸入牛肉が増えれば、乳用種の肉用牛が値下がりする。バターなどの輸入枠設置で輸入が増えれば、生産増加に懸命な酪農家の意欲を奪いかねない。
 現在も年間約200戸が減り続ける酪農業の将来が一層の厳しさを増すのは確実だ。
 コメの輸入枠拡大は、人口減などで主食用米の需要が減り続けているのに流通量を増やす矛盾がある。米価下落が懸念され、生産調整に応じた農家の不満は大きい。
 小麦をつくる畑作農家や養豚業者の経営にも関税引き下げは逆風となる。重要5農産物以外でも、農林水産の多くの品目で関税撤廃や引き下げが行われる。
 広範な影響は、地域の衰退につながりかねない。政府は、不安や疑問に正面から向き合うべきだ。
■秘密交渉タテに譲歩
 交渉終盤で目立ったのは、各国が自国の主張を強める姿だ。交渉はもつれにもつれた。
 たとえば、バイオ医薬品のデータ保護期間だ。米国とオーストラリアが期間の長短で最終局面まで譲らず、米国の業界や議員が交渉団に圧力をかける場面もあった。
 情報開示でも、米国とオーストラリアは国会議員に作成中の協定文書を閲覧できる機会を与えたのに対し、日本政府は開示しなかった。深刻な影響が見込まれる農業団体への具体的な説明も避け続けた。
 「秘密交渉をタテに農業関連の譲歩案を次々に提示した」。生産者らがそう批判したのは当然だ。
 政府は2年前、TPPが掲げる関税の原則撤廃に聖域があることを対米交渉で確認し、参加した経緯がある。
 大筋合意をめぐって「関税撤廃は回避した」「輸入急増を抑えるセーフガードもあり、影響は限定的だ」との受け止めもあるが、見通しが甘いと言わざるを得ない。
 政府は、予算措置など対策を施し、農業関係者の理解を得ようとするだろう。
 だが、関税措置が恒久的なのに対し予算は年度ごとだ。財政状況が厳しいからと言って、その場しのぎの対策は認められない。
 日本の食料自給率は4割弱と先進国で最低水準だ。複雑さを増す国際情勢の中で、食料を安定供給する食糧安全保障の考え方は重要性を増している。農業の立て直しを急ぐべきだ。
■生活を変える危うさ
 TPPで米国は経済、軍事力で台頭する中国を念頭に、貿易・投資のルールづくりを米主導で進めたいとの政治的思惑があった。
 その米国に追従し、早期妥結の旗振り役を担ったのが日本だ。
 TPPは、海外展開するグローバル企業に恩恵をもたらす側面が強いことが指摘されてきた。
 バイオ医薬品の開発データの保護期間は長いほど、米国などの新薬開発企業に利益をもたらす。
 海外進出した企業が投資先で不利益を被った場合、賠償を求めて相手国政府を訴えることができるISDS条項は、国内法や規制を揺るがす恐れがある。政府には丁寧な説明とその対策を求めたい。
 関税引き下げは、日本の消費者にとって輸入価格が下がるなどのメリットをもたらす。
 米国への自動車・部品関税の撤廃は輸出増加の追い風になる。
 ただ完成車の関税撤廃までに長い年数がかかる。しかも、日本企業の生産拠点の多くは海外にあるため、過大な期待はできない。
 TPPは貿易だけではなく、食の安全に関する規制など生活に身近なものも含め、広範囲にわたる。恩恵や不利益がどこにあるのか、国民は知らされていない。
 国民生活や産業にもたらす影響、国会決議との整合性について、協定批准の是非を判断する国会が論議を尽くすことが重要だ。
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河北新報 2015年10月06日火曜日
社説:TPP大筋合意/内容を精査し国民的議論を


 異例の日程延長を重ねた閣僚会合で、日米を含む参加12カ国は環太平洋連携協定(TPP)交渉に大筋合意した。
 協定が発効すれば、経済規模で世界の約4割を占める巨大経済圏が誕生する。域内では大半の関税が撤廃され、投資や知的財産を含む広範な分野でルールが統一され、かつてないほど自由にヒト、モノ、カネが行き来するという。
 日本の貿易も企業活動も活発化しよう。だが、その代償として農産物は切り売りするように貿易の門戸が次々と開かれる。農業・農村、ひいては地域に及ぶ影響は計り知れない。容認しがたく、残念と言うほかない。
 もっとも、問題なのはその利益も不利益も「不確か」であることだ。それは参加国に守秘義務を課し密室で行われた、この交渉の特異さにある。
 断片的な報道はあっても、情報はほぼ伏せられてきた。
 広い分野を網羅する協定の影響は農業ばかりか、生活全般に及びかねない。政府は合意内容を速やかに開示し、どんな分野にどんな影響があるのか詳しく説明すべきだ。
 われわれ国民はその一つ一つを精査し、受け入れられるのかどうか、受け入れるとしたら、どんな国内対策が必要か、協定発効に不可欠な国会承認の前に、徹底的に議論しなければならない。
 国民不在の密室交渉と共にこの協定に付きまとう特異性は、大筋合意に至る最終局面でも表れた。新薬のデータ保護期間をめぐる攻防である。
 その期間を長くし、新薬開発に投じられる巨額投資を確実に回収したい米国の大手製薬会社の利益と、期間を短縮し後発薬の早期普及に健康と命を託す域内国民の利益とが衝突した局面ともいえる。
 ビジネスに安全、安心、命をも左右されかねない。そんな危険をはらむのがTPPではないのか。
 「食品基準が緩和されれば、食の安全・安心が脅かされかねない」「医療の規制改革を迫られ国民皆保険制度が崩れる恐れはないのか」-。交渉参加に当たり、国民各層が抱いたそうした懸念が、完全に払拭(ふっしょく)されたわけではない。
 合意内容をつぶさに点検、検証する必要がある。
 国会決議が「聖域」とした重要5農産物について関税の撤廃は回避された。だが、主食用米は米国などから無関税で輸入できる特別枠が設けられ、牛・豚肉の関税は大幅に引き下げられるという。
 農家はいま、コメ過剰を回避するため飼料米生産に必死に取り組む。輸入増となれば、その努力は水泡に帰し、特に条件不利な中山間地、復興途上にある大震災被災地で農家の意欲をそぐ恐れがある。
 そのことは、食料を生産し、自然と調和した生活を営む農村の、棚田を含む国土の荒廃につながりかねない。
 輸入農産物が増え、安い食料品を手に入れられるのは確かにメリットだ。だが、われわれは、TPPによって得られるものと、失われるものを見極めなければならない。
 国民にとって何が重要なのか。国会決議と合意内容との整合性を含め、この協定発効に伴う変化を思い描きながら議論を深める必要がある。
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信濃毎日新聞 2015年10月06日(火)
社説:TPP交渉 合意優先した農業の譲歩


 合意を優先して日本政府が繰り返した譲歩は、熟慮を欠いた対応と言わざるを得ない。
 米国で閣僚会合が開かれていた環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意した。経済規模で世界の4割を占める巨大貿易圏が誕生する。原則全ての品目で関税を撤廃して貿易を自由化し、広範な分野でルールを統一する。
 一方で国内の農業は深刻な打撃を受けることが想定される。日本政府は影響を最小限に食い止めるため、最大限の努力を続けたのか疑問が残る。
   <最後まで粘った各国>
 自動車部品の輸出では、米国が日本にかけている2・5%の関税の大半が撤廃される。これまでの経済協定にはなかった労働者や環境の保護、国有企業の優遇撤廃なども盛り込まれた。
 不当労働を強いて競争力を高める行為や、生態系を犠牲にして貿易を拡大することを防ぐ協定もあり、違反国は制裁される。インターネットを使った自由な取引を阻む規制もなくす。合意は日本経済の追い風になるだろう。
 交渉は困難を極めた。各国には乳製品や知的財産、自動車などの分野で主張に隔たりがあった。知的財産分野では、新薬のデータ保護期間をめぐり、12年間を主張する米国と、5年間を譲らないオーストラリアが最後までぎりぎりの交渉を続けた。
 米国は、国内の製薬会社が巨費を投じて開発した薬の権利を守りたい。オーストラリアは安価なジェネリック医薬品(後発薬)を少しでも早く発売して社会保障費の増大を抑えたい。
 利害の対立は、閣僚会合を延長するという異例の対応にもつながった。最終的に両国が保護期間を実質8年にすることで妥協。ニュージーランドも乳製品の輸出枠の拡大を最後まで求めた。
 各国に比べ、日本は当初から農業分野での譲歩が目立った。
 コメでは米国とオーストラリアに無関税の輸入枠を設定する。輸入枠は発効直後から段階的に拡大される方向だ。
 牛肉の関税は複数年をかけて現在の38・5%を大幅に引き下げる。豚肉は高い価格帯の部位にかけられている4・3%の関税を段階的に撤廃し、安い部位の関税も現在の1キロ482円から最終的に10分の1近くになる。国内の畜産農家に与える影響は大きい。
 政府は輸入量が大幅に増えた場合に備え、関税率を戻す緊急輸入制限(セーフガード)を導入する方向で交渉していた。これも最終的には譲歩し、一定期間制度が発動されなければ撤廃することになった。輸入量が際限なく増える可能性がある。
   <参院選控えた思惑>
 日本はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物を重要5項目と位置付け、関税撤廃の例外扱いを求めてきた。衆参両院の農林水産委員会は5項目を関税撤廃の例外とするよう求める決議を採択している。
 形式上、関税は維持されるとはいえ、今回の結果では決議を実質的に守ったとはいえないだろう。
 政府は国内農業に出る影響を詳細に分析せず、合意に前のめりだった疑念がある。
 甘利明TPP担当相は今回の閣僚会合の前から「今回を最終会合にする」と繰り返していた。背景には来夏の参院選への影響を最小限にしたいという安倍政権の政治的な思惑がある。
 国会での承認手続きが遅れ来春以降になれば、農水族議員の反発が強まり、参院選での地方票の獲得にも影響する。安全保障関連法で低下した支持率を、アベノミクスの「成長戦略の中核」に位置付けるTPPの合意で回復させる狙いもあった。
 交渉は徹底した秘密主義で進められ、政府は大筋合意まで交渉内容を明らかにしなかった。
 TPPの国会承認案は、来年1月以降に衆院提出する日程が検討されている。国会は国内農業がTPPに対応できるのか慎重に見極める必要がある。譲歩を重ねた政府の対応が適切だったのかも検証していくべきだ。
 農政が大きな転換を迎えるのは間違いない。安倍政権は生産者の規模拡大や企業型経営の導入などを進めていく。ただ、米国やオーストラリアに比べ、「強い農業」の推進には限界がある。
   <地方の衰退を招く>
 県内に多い中山間地など条件が不利な農業の切り捨てにもつながりかねない。これらの地域では、採算性が悪くても個性豊かな農業が根付き、地域住民の生活と密接に絡み合っている。農業の衰退は地方の衰退を招く。多種多様な農業の維持は不可欠だ。
 コメ市場を開放した関税貿易一般協定(ガット)のウルグアイ・ラウンドの際には農業関連対策で約6兆円が使われたものの、農業強化につながったとはいえない。
 政府は国民の食料を生産する農業の価値と向き合い、均衡ある発展を実現させるための国内対策を一から検討していくべきだ。

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民主党 2015年10月06日 08:54
【談話】TPP交渉大筋合意について
2015年10月5日
民主党政策調査会長細野豪志


 本日、米国ジョージア州アトランタにおいて行われた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP協定)交渉に関する閣僚級会合において、交渉参加各国が、大筋で合意した。
 わが国が、貿易立国として現在の豊かさを次世代に引き継ぎ、活力ある社会を発展させていくためには、アジア太平洋地域内において高いレベルの経済連携を推進するとともに、アジア太平洋地域外の主要な貿易パートナーとの間の経済連携も推進し、世界の貿易投資の促進に主導的な役割を果たす必要がある。
 しかし、現段階で判明している限りにおいては、今回のTPP協定交渉における大筋合意の内容は国益に即しているとは評価できない。例えば、交渉参加以来、国内では主食用米から飼料用米への転作を誘導しておきながら、米国からの輸入米について特別枠を設ける、牛肉や豚肉の輸入時の関税を大幅に引き下げるなどの合意内容は、農林水産業へ極めて大きな打撃となる。与野党問わず遵守を強く求めてきた衆参農林水産委員会決議に反することは明白であり、強く抗議する。
 他方、攻め込むべき自動車分野においては、合意を急ぐあまり、国会決議を守るために最後の瞬間まで粘り強く交渉を行う姿勢が見られず、日本ばかりが一方的に譲歩を続けた結果、十分な成果が得られていない。また、新薬のデータ保護期間、著作権侵害の非親告罪化や「戦時加算」問題など、交渉を通じて、多岐に亘る分野で、新たな焦点も浮き彫りになってきており、この合意によって国内にどのような影響が生じるのか、十分な検証が今後なされなければならない。
 民主党は今後、合意内容をつぶさにチェックするとともに、予算委員会の早期開催を求め、厳しく国会での議論に臨んでいく。
 また、この間、交渉状況が全く明らかにされず、関係業界や国民各層から不安や疑念の声が数多く聞こえてきていることから、合意内容及び交渉過程の情報開示を速やかに行うべきである。あわせて、民主党の提出している「TPP等通商交渉情報提供促進法案」の早期成立を強く求める。
以上
民主党広報委員会
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しんぶん赤旗 2015年10月6日(火)
TPPからの撤退、調印中止求める
日本共産党幹部会委員長 志位 和夫


 日本共産党の志位和夫委員長は5日、談話「TPPからの撤退、調印中止を求める 閣僚会合での『大筋合意』について」を発表しました。
 一、本日、米アトランタで開かれていたTPP閣僚会合は「大筋合意」に達したと発表した。
 安倍政権は、「早期妥結」を最優先にしてアメリカへの譲歩を繰り返した。コメでは、アメリカやオーストラリアに「特別枠」を設定して輸入を大幅に増やす、酪農製品の輸入拡大のための「輸入枠」を設定する、牛肉・豚肉の関税を大幅に引き下げ・廃止するなどとされている。どれをとっても、重要品目の「聖域は守る」とした公約を、安倍政権が公然と投げ捨てたことになる。その一方で、自動車の関税は、日本は無税であるのに、アメリカは今回の合意でも関税撤廃の時期を「TPPの関税交渉の中で最も遅くする」とした。
 こうして「大筋合意」の内容は、TPPは、地域経済・雇用、農業、医療・保険、食品安全、知的財産権など国民の生活・営業に密接にかかわる分野で、日本の国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すものであり、断じて容認できない。
 一、くわえて異常なのは、広範囲に重大な影響を国民経済にもたらす条約であるにもかかわらず、日本政府の諸提案も、交渉相手国からの要求も、いっさい明らかにしないまま、国民の目から隠れて徹底した秘密交渉で「大筋合意」に至ったことである。自民党が自ら賛成した国会決議(2013年)でも「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること」と明記しており、安倍政権の交渉姿勢は、国会決議さえ踏みにじる国民無視の暴走と言わなければならない。
 一、安倍政権は「大筋合意」をしたが、TPP交渉が決着したわけではない。これから協定文書の作成とその調印、さらに各国の批准、国会承認という段階がある。日本共産党は、政府に、TPP協定書作成作業から撤退し、調印を中止することを強く求める。
 国民の食と安全を脅かし、日本経済とくらしに深刻な影響を及ぼす「大筋合意」の内容とアメリカに大幅譲歩を繰り返した交渉の実態が明らかになれば、国民のより大きな反対世論がわき起こらざるを得ない。
 いま、TPPに反対するたたかいとともに、戦争法の強行、原発再稼働、沖縄での米軍新基地建設の押しつけ、消費税増税など、安倍政権の暴走政治に対して、「アベ政治ノー」の国民的な運動が大きく広がり、安倍政権を追いつめている。日本共産党は、多くの国民のみなさんとともに、TPPを阻止するために全力をつくす。
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社民党 2015年10月5日
TPP交渉の「大筋合意」を弾劾する(談話)
社会民主党幹事長
又市 征治


1.アトランタで開かれていたTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加12か国による閣僚会合は、5日朝(日本時間5日夜)、交渉が「大筋合意」に至ったとする声明を発表した。しかし、日本をめぐる協議では、「聖域」とされた「農産物重要5項目」のうち、牛肉・豚肉の関税を大幅に削減するとともに、コメは米豪両国に対し無関税の輸入特別枠を新設し、乳製品も大規模な低関税輸入枠を設定するなど、譲歩に譲歩を重ねた「合意ありき」の安易かつ拙速な妥協となった。国内農家への打撃は大きく、農業と農村の崩壊を進め、食料の安全・安定供給を脅かしかねない、今回の日本政府の前のめりの所行は、断じて容認できない。今回の関税大幅引き下げや特別枠の新設は、重要5項目について関税堅持を求めた衆参農林水産委員会の決議に反することが明白である。安倍首相は「関税撤廃の例外を確保できた」と強弁したが全くの茶番である。そのうえ、安倍政権の掲げる農業所得増や食料自給率向上、飼料用米の推進などの政策とも、全く整合性・一貫性が取れていない。社民党は、「TPP断固反対」との公約を弊履のように翻し、日本農業や農業を主たる産業にする地方の関連産業に壊滅的打撃を与え、国民の命と暮らしを脅かす今回の暴挙に対し、満腔の怒りをもって抗議する。安倍政権に対し、「合意」を直ちに破棄し、TPP交渉から即刻脱退するよう、強く要求する。
2.TPP参加による悪影響は、農林水産物に限らず、地域産業、雇用、食品安全、安価な医薬品など、国民生活の隅々にまで及ぶ。中でも、多国籍企業が進出先の政府を国際仲裁機関に訴える権利を保障する「ISDS(投資家・国家訴訟)条項」は、外国企業を主権国家よりも優位に置いて日本の司法権を骨抜きにするのみならず、日本独自の様々な規制や社会システムが提訴対象となる危険性があり看過できない。
3.TPP交渉は徹底した秘密主義で行われ、交渉内容や過程の文書が今に至るも一切明らかにされていない。国会審議など最低限の民主的手続きも踏まないままの「大筋合意」は、国民への十分な情報提供と幅広い国民的議論を求めた国会決議違反である。社民党は、衆参両院にTPP特別員会を設置し、情報提供と交渉内容の説明の審議を行うよう求めてきた。また、民主党はじめ他の野党と共同で、「TPP情報提供促進法案」を衆議院に提出している。あわせて、社民党の福島みずほ副党首や照屋寛徳国対委員長をはじめ国会議員や有識者、市民ら約1600人が原告となり、秘密交渉を問題視し、TPP交渉の差し止めと違憲確認などを求める訴訟を起こしている。政府与党は、こうした動きを一顧だにせず、国民に秘密のまま交渉を妥結し、結論のみを押しつけようとしているが、真摯に情報の提供と説明責任を果たすべきである。社民党は、交渉内容の開示、国民への説明を強く求めるとともに、TPPの問題点やTPP参加による国民生活・国民経済等への影響と対策をただすべく、臨時国会で厳しく追及する。
4.たとえTPPが「大筋合意」されても米議会の承認は容易ではない。過去の貿易協定においても米国は、合意成立後、「サーティフィケーション(承認手続き)」の過程で相手国の国内法や社会制度、商習慣などが協定に相応しくないと判断すれば、協定承認を盾に米国の要求に沿うよう変更を求めてきた経緯がある。TPPでも日本が同様の理不尽な要求を受ける懸念は拭いきれない。社民党は、大企業とアメリカの利益のためのTPP参加に反対し農林水産業と地域社会を守る取り組みを国会の内外で一層強化するとともに、TPP協定案の国会承認阻止に向け、全力を挙げて闘い抜く決意である。
以上

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しんぶん赤旗 2015年10月6日(火)
TPP「大筋合意」発表 政府、国民無視の譲歩重ねる


 米アトランタで環太平洋連携協定(TPP)の交渉を行っていた日米など12カ国は4日(日本時間5日夜)、日程をさらに1日延長して開いた閣僚会合で、交渉の「大筋合意」を確認しました。
 現地から伝えられるところによると、多国籍大製薬企業の利益を擁護する米国と、安価な後発医薬品(ジェネリック)の普及をはかるオーストラリアや途上国が対立していたバイオ医薬品のデータ保護期間について、米国とオーストラリアが妥協案で一致しました。米国が要求を従来の12年から引き下げ、実質8年で折り合ったとみられます。その後、5年を主張してきたチリやペルーとの協議が続きました。
 乳製品輸出大国のニュージーランドが特に日本、米国、カナダに対して求めている乳製品の大幅な市場開放では、ニュージーランドと米国の2国間協議が続きました。
 日米2国間の協議では、日本がさらに譲歩を重ねました。日本は、米国産のコメを対象に年7万トンの無関税輸入枠を新設するとともに、ミニマムアクセス(最低輸入機会)の年77万トンの枠内で米国産のコメの輸入を現状の36万トン程度より実質的に年5万トン増やします。また、オーストラリア産のコメにも年8400トンの無関税輸入枠を設けます。
 米国とともに新しい経済圏をつくることが安全保障に寄与するとする安倍晋三政権は、日米同盟を土台に、多国籍企業本位の米国ルールを共通のルールとして押し付けるTPP推進の先駆けを務めました。そのために、国会決議がTPPの対象から除外するよう求めた農産物重要5品目の扱いを含め、農業生産、地域経済、国民生活を害する亡国の譲歩を重ねました。
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[時事通信社]2015年10月6日00:01
民・共「国益損なう」=TPP合意、維新は評価


 環太平洋連携協定(TPP)交渉の大筋合意を受け、民主党は5日、合意内容について「国益に即しているとは評価できない」と批判する細野豪志政調会長名の談話を発表した。政府から交渉結果を聴取するため、衆参両院予算委員会で閉会中審査を行うことも要求した。
 談話は、牛肉・豚肉の関税引き下げなどについて、国内産業に大きな打撃を与えるとして「国会決議に反することは明白であり、強く抗議する」と表明。自動車分野に関しては「合意を急ぐあまり、日本ばかり一方的に譲歩を続けた」と酷評した。
 共産党の志位和夫委員長も「早期妥結を最優先に米国への譲歩を繰り返した。『聖域は守る』との公約を公然と投げ捨てた」と批判する談話を発表。協定文書作成作業からの撤退と署名中止を政府に突き付けた。
 一方、維新の党は松野頼久代表が交渉妥結を「率直に評価する」と歓迎するコメントを発表、民主党などとの立場の違いを鮮明にした。ただ、政府の情報開示はこれまで不十分だったとも指摘しており、国会での追及では民主党と歩調を合わせるとみられる。 

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