2015-10-09(Fri)

安倍改造内閣発足 「1億総活躍」疑問


GDP600兆円 ピーターパン症候群か  世論に逆らい暴走続ける

<各紙社説・主張>
朝日新聞)内閣改造 ただちに国会論戦を(10/8)
読売新聞)安倍改造内閣 経済最優先を結果で明示せよ(10/8)
毎日新聞)改造内閣発足 「1億総活躍」への疑問(10/8)
日本経済新聞)改造内閣は正攻法で経済に当たれ (10/8)

産経新聞)内閣改造 結果を出す時期迎えた 「1億総活躍」の具体化を急げ(10/8)
東京新聞)内閣改造 目先を変えるだけでは(10/8)
しんぶん赤旗)安倍政権改造人事 世論に逆らい暴走続けるのか(10/8)
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東京新聞)GDP600兆円 ピーターパン症候群か(10/9)




以下引用



朝日新聞 2015年10月8日05時00分
(社説)内閣改造 ただちに国会論戦を


 自民党総裁選での再選を受け、首相がきのう、第3次安倍改造内閣と新たな自民党執行部を発足させた。
 菅官房長官や麻生副総理・財務相ら内閣の骨格とされる閣僚は留任。党執行部も谷垣幹事長ら主な役員を続投させた。内閣支持率が低下傾向にある中、来夏の参院選までは経験豊富な顔ぶれで無難に乗り切りたいという意図 が感じられる。
 その中で目を引くのは、行政改革担当相・国家公安委員長などへの河野太郎氏の起用だ。
 河野氏は福島第一原発の事故の後、野党議員とともに「原発ゼロの会」を立ち上げた。自民党の憲法改正草案についても「理想的な案であると考えていない議員が少なからず自民党内にもいる」と公言する。党内では異端の存在だ。
 首相は原発再稼働を進め、憲法改正についても党の草案をもとに議論を深めたい考えだ。その内閣で、河野氏はどんな言動をしていくのだろうか。
 首相はきのう「GDP600兆円、希望出生率1・8、介護離職ゼロの目標に向け新しい3本の矢を力強く放つ態勢を整えることができた」と語った。
 先行きが不透明になっている経済の再生に、政権を挙げて取り組むことに異論はない。
 ただ、GDP600兆円などの数値目標は現実に達成可能なのか、経済界からも懐疑的な声が出ている。担当相まで設けた「一億総活躍社会の実現」というキャッチフレーズにも、どれだけの国民の共感が伴っているだろうか。
 批判を浴びた安全保障から、経済再生へと国民の目先を変えようとしているのではないか。そう思われるとすれば、首相にとって本意ではあるまい。
 ここは、すぐにでも国会を開き、与野党の論戦を再開することを政府・与党に求めたい。
 テーマには事欠かない。
 「新3本の矢」の実現性はどれほどか。環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意によって、国民生活にどんなメリットとデメリットが出てくるのか。新たな安保法制は成立したが、「議論が尽くされていない」と考える多くの国民の思いにこたえる論戦を継続すべきだ。
 河野氏をはじめ新閣僚の所信もぜひ聞きたいところだ。
 それなのに、政府・与党内で早くも、秋の臨時国会の開催を見送る案が浮上しているのはどうしたことか。
 首相の外遊日程が立て込んでいることなどが理由という。だが、両立の工夫ができないはずはない。
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読売新聞 2015年10月08日 03時02分
社説:安倍改造内閣 経済最優先を結果で明示せよ


 ◆参院選見据えた「守り」の布陣か◆
 来年夏の参院選を見据えて、安定した政権運営を重視した、手堅い布陣だと言えよう。
 第3次安倍改造内閣が発足した。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、岸田文雄外相、甘利明経済再生相など9閣僚が留任した。
 自民党の谷垣禎一幹事長、二階俊博総務会長、稲田朋美政調会長、高村正彦副総裁らの再任と合わせて、政権の骨格は維持された。
 安倍政権は2012年12月の発足以来、首相官邸が政策決定を主導する「政高党低」の構図が続いてきた。経済、安全保障など各分野で実績を上げており、政権全体のチームワークも悪くない。
 ◆「1億総活躍」の説明を
 閣僚が同じポストを長く務めることは、政策を熟知し、見識を高める。官僚を使いこなし、業界と渡り合う点ではプラスだろう。
 安倍首相は記者会見で、新内閣について「未来へ挑戦する内閣だ」と強調した。「これからも経済を最優先し、政策を一層強化する」とも語った。
 9月の日銀短期経済観測調査では、大企業・製造業の業況判断指数が3四半期ぶりに悪化した。景気回復の歩みはやや足踏みしている。
 首相は、経済再生に関し、国内総生産(GDP)600兆円という野心的で高い目標を掲げる。実現には、成長戦略を補強する具体策を明示し、着実に実行することで成果を上げねばなるまい。
 新たな3本の矢の第1に位置づけられた「強い経済」は、少子高齢社会への対応、財政健全化、地方活性化などの困難な課題に取り組むための重要な基礎となる。
 財界や労働団体と協調し、「経済の好循環」を実現して、「アベノミクス」の恩恵を地方や中小企業に広げることが大切だ。
 看板政策「1億総活躍社会」の担当相には加藤勝信官房副長官が起用された。首相を支えた実務能力の高さが買われたのだろう。
 子育て支援などによる女性の社会参加、介護離職者の削減、高齢者や障害者の能力活用など、様々な府省にまたがるうえ、短期的には成果が見えにくいテーマだ。
 スローガン倒れに陥らぬよう、何を目指すか、分かりやすく説明すべきだ。新設する国民会議で民間の知恵を借り、具体的な目標と対策を示すことも重要である。
 ◆活用したいTPP合意
 医療制度改革などによる社会保障費の抑制は避けて通れない。塩崎恭久厚生労働相は加藤氏と緊密に連携し、取り組んでほしい。
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を踏まえ、アジアの成長を取り込みたい。研究開発への投資や海外展開に積極的に取り組む企業を、政府が規制緩和などで後押しする必要がある。
 農業の大規模化、販路拡大による競争力強化も喫緊の課題だ。
 甘利TPP相や、林幹雄経済産業相、森山裕農相、石破茂地方創生相が担う役割は重い。
 林氏は、安全性の確認された原発の再稼働も進めるべきだ。
 馳浩文部科学相、島尻安伊子沖縄・北方相は担当分野に詳しい。公明党の石井啓一国土交通相とともに、順当な人事である。
 馳氏と遠藤利明五輪相には、迷走した東京五輪の準備の体制立て直しが求められよう。
 異端ぶりが気になるのは、河野太郎国家公安委員長だ。歯に衣着せぬ発言が持ち味とはいえ、持論の「脱原発」や新国立競技場の不要論などで閣内不一致を起こすことは避けねばならない。
 先月成立した安全保障関連法は日米同盟を強化し、抑止力を高める画期的な法的基盤だ。関連法に基づき、自衛隊の国際協力活動をどう展開するかが問われる。
 中谷元防衛相は、来年春の法施行に向け、部隊行動基準(ROE)作成や米軍との共同訓練などに指導力を発揮してもらいたい。
 ◆戦略的な外交が重要だ
 強固な日米同盟が安倍外交の基軸なのは変わらないが、中国、韓国との関係も大切である。今月末にも開かれる日中韓首脳会談を、歴史認識などで停滞する対中韓外交を打開する好機としたい。
 首相と岸田外相は2年10か月近く、様々な各国要人と信頼関係を築いてきた。長期政権も視野に入れている。外交では、指導者の経験と人脈、そして安定した国内基盤が重要な武器となる。
 国連安全保障理事会の改革や、ロシアとの北方領土交渉、北朝鮮の日本人拉致問題などに戦略的に取り組むことが肝要である。
 「ポスト安倍」をうかがう岸田、石破両氏はそろって内閣に残った。閣外に出るより、政治力を保てるという判断は妥当だろう。
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毎日新聞 2015年10月08日 02時32分
社説:改造内閣発足 「1億総活躍」への疑問


 第3次安倍改造内閣が発足した。10閣僚が交代したものの、主要閣僚や自民党首脳部は軒並み留任した。
 政権の骨格を維持しつつ経済重視への局面転換を図った布陣だが、安全保障関連法の成立強行を過去の問題と片付けるわけにはいかない。これまでの政権運営のひずみを総点検すべきだ。
 改造後の記者会見で、安倍晋三首相は「輝かしい未来への新しい挑戦」を掲げ、「経済最優先で、政策を一層強化する」と強調した。
 経済政策を重視することに異存はない。だが、来夏に参院選を控え、首相のことさらの対応には、さきの国会で強まったタカ派イメージの修正が主眼との印象をぬぐえない。
 これまでも首相は参院選、衆院選で経済政策を争点に掲げながら、選挙後の国会では特定秘密保護法や安全保障関連法の決着を急ぐパターンを繰り返してきた。
 さきの国会で、安倍政権は安保関連法を国民理解を置き去りにしたまま成立させた。本来、首相は率先してその空白を埋めるよう努めるべきだ。与党には環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意への対応などを理由に、秋の臨時国会の見送り論が浮上している。国会を早期に召集し、きちんと必要な説明に応じねばならない。
 改造人事の目玉として新設した「1億総活躍」担当相が機能するかどうかも疑問がある。首相は腹心の加藤勝信官房副長官を起用し、官庁の縦割り排除を掲げ、成長重視のシンボルとしたい考えのようだ。
 だが、「1億総活躍社会」のスローガンの下、加藤氏が実際にどんな政策の領域を対象とし、何に取り組むかははっきりしていない。
 強い経済、子育て支援、社会保障の「新三本の矢」を首相は打ち出した。名目国内総生産(GDP)600兆円を達成するとの目標の実現性を疑問視する声は強い。
 日銀の金融緩和と積極財政でも成長目標は達成できておらず、もともとの「三本の矢」の戦略が揺らいでいる。限界を来したアベノミクスの点検抜きで、あいまいなスローガンを先走らせてはなるまい。
 自民党総裁に再選された首相は、長期政権を視野に参院選乗り切りを目指す。悲願とする憲法改正については国民的議論への期待を改めて強調した。自らの政権で改憲を図るのであれば、テーマ設定を含め、構想を国民に説明していくべきだろう。
 米軍普天間飛行場の移設問題をめぐる国と沖縄県の対立など、安倍政権がこれまでの路線を見直し、取り組むべき課題は多いはずだ。さまざまな問題を覆い隠すための経済重視であってはならない。
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日本経済新聞 2015/10/8付
社説:改造内閣は正攻法で経済に当たれ


 奇をてらわず、手堅い布陣を選んだ。今回の内閣改造・与党役員人事の印象だ。安保法制の制定が影響して内閣支持率は下落傾向にある。世論受けするサプライズ人事に走りたくなる局面だが、安倍晋三首相は政権の骨格を維持する道を選んだ。今後の政権運営も正攻法で取り組んでもらいたい。
 「女性活躍」を掲げつつ、女性閣僚はひとり減った。数だけみると、そんな言い方もできる。詳しく見ると、幅広く目配りした人選であることが読み取れる。
成長戦略なお不十分
 9月の自民党総裁選では全派閥が安倍首相の再選を支持した。今回の閣僚の割り振りは、各派の所属議員数をほぼ反映する。恵まれすぎとされてきた岸田派が減り、最大派閥の細田派が増えた。
 安倍首相は派閥からの推薦は受け付けなかったが、領袖らと事前に会う機会をもうけるなど彼らの顔が立つ配慮はした。ムラ社会的な自民党に戻った感はあるが、安保で国論を二分したあとだけに、こうした安定感も重要である。
 特に閣外に出て非安倍勢力の受け皿を目指すとの臆測のあった石破茂地方創生相の留任は政局混迷の芽を摘む効果がある。
 入閣待望組の声に応え、入れ替えた10閣僚のうち9人は新人を起用した。力量不足が心配になるが、文部科学相、農相、行政改革相らはその分野に長年携わってきた人材を選んだ。即戦力としての活躍を期待したい。
 改造内閣の最重要課題が経済にあることは言をまたない。安倍首相の経済政策「アベノミクス」の息切れを指摘する声もある。そこで首相は人事に先立ち、新しい3本の矢を打ち出した。
 名目国内総生産(GDP)を600兆円に増やす「強い経済」、出生率を1.8まで高める「子育て支援」、介護離職をゼロにすることなど「安心につながる社会保障」の3つだ。
 これまでの3本の矢である金融政策、財政政策、成長戦略は、新3本の矢のうち「強い経済」を掲げる1番目の矢に「集約されている」(麻生太郎副総理・財務相)という。
 当初の3本の矢のうち、日銀による異次元の金融緩和という矢は放たれている。過度の円高は是正され、株価も上向いた。企業収益は過去最高水準で推移し、賃金も緩やかに持ち直しつつある。しかし、成長戦略はまだ不十分だ。「強い経済」という矢の一部に役割を落として、取り組みが弱まるようなことはあってはならない。
 経済のパイを大きくする発想は正しいが、大事なのはいかにそれを実現するかだ。求められるのは、日銀の金融緩和で時間を買っている間に、日本経済の実力である潜在成長率を高める政策を果断に実行することである。
 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意というチャンスをいかし、規制改革や法人税改革などで日本経済全体の生産性を向上させる努力を加速すべきだ。
 新3本の矢のうち、2番目の子育て支援や3番目の社会保障は、財政健全化という目的と整合性のとれた内容でなければならない。
 日本の財政は先進国で最悪の状態であり、高齢化の進展で膨らみ続けている医療、年金、介護などにかかる歳出を抑える改革とセットで進める必要がある。
何をする一億総活躍相
 たとえば、医療費の自己負担や所得税などでは、高齢者は現役世代に比べ優遇されている。所得や資産にゆとりのある高齢者を対象に、年金などの給付を減らすような制度改革は避けられない。
 それに伴って不要となった財源を使い、大胆な子育て支援を展開するといった歳出構造の抜本的な組み替えに踏み込むべきではないか。それならば、新3本の矢にも多少の意味はある。
 少子高齢化と経済のグローバル化が進むなか、成長力強化と財政健全化の両立という日本経済の最大の課題を忘れてはならない。
 改造内閣では一億総活躍相という新ポストができた。どんな役割を担うのかイメージがわかない。
 政権奪回後の安倍政権は「地方創生」など次々とキャッチフレーズを打ち出してきた。言葉遊びとみられては元も子もない。「一億総活躍社会」の具体像を早めに示すべきだ。
 先の国会のさなか、自民党の若手の会合でマスコミ批判が出た。自民党は中心人物を役職停止1年に処した。だが、国会が閉幕すると3カ月に短縮した。のどもとすぎればということなのか。自民党に向けられている視線は決して優しくないことを自覚すべきだ。
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産経新聞 2015.10.8 05:03
【主張】内閣改造 結果を出す時期迎えた 「1億総活躍」の具体化を急げ


 第3次安倍晋三改造内閣が発足した。内外にわたる諸懸案の解決は待ったなしだ。新たな陣容で取り組みを加速してほしい。
 首相が唱えている「強い経済」などの「新しい三本の矢」、1億総活躍社会の構築といったテーマは、抽象的な印象が否めない。
 政策の具体化と強力な推進でこれらを経済成長に結びつけ、日本を立て直すことが、さらに3年の自民党総裁任期を得た首相の責務である。
 小泉内閣などを抜いて戦後歴代3位の長期政権を視野に入れているが、問われるのは諸政策の成果をいかに挙げるかだ。
 ≪TPPを成長のテコに≫
 首相は記者会見で、1億総活躍社会の構築を柱とした「未来へ挑戦する内閣だ」と改造の狙いを語った。だが、その道筋の説明は十分とはいえない。
 人口減少対策は地方創生担当相がすでに取り組んでいる。全自治体が総合戦略を策定し、今後、実行段階に入る。女性や高齢者の労働参画を担当する厚生労働相とのすみ分けはどうするのか。
 多岐にわたる課題について、首相や加藤勝信1億総活躍担当相が指導力を発揮し、内閣としての一体的な取り組みを進めることが不可欠だ。現状はイメージ先行にすぎない。
 まずは短期、中長期別にテーマを峻別(しゅんべつ)し、政策の優先順位を鮮明にすることが大切だ。年内に具体的な工程表を作成するのは当然である。有識者らで作るという国民会議の議論も、スピード感をもって進めてもらいたい。
 省庁間の権限争いの場となる危惧(きぐ)もある。関係閣僚会議などを積極的に活用して調整に当たるべきだ。省益優先の動きなどを抑えられなければ実は上がらない。
 大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、いかに経済成長につなげるかも大きな課題だ。それなしには、国内総生産(GDP)600兆円の目標達成なども期待できまい。
 首相は、コメなどの重要農産品について「関税撤廃の例外を数多く確保した」と語った。自民党公約を守ったと強調したいのだろう。だが、「例外」とは本来、高水準の自由化を目指すTPPの趣旨と相いれない。「守り」を誇っても競争力の強化や成長にはつながらない。
 政府は全閣僚が参加するTPP総合対策本部を設置し、米価維持のため備蓄米買い上げを増やすなどの国内対策を講じるという。
 必要なのは、TPPを機に農業強化を図ることだ。一定の激変緩和措置が必要としても、農業の低い生産性を温存したままでは、農業を成長産業にするといった政府方針の実現は見通せない。
 消費者の視点も重要だ。安価な輸入品の恩恵を十分に受けられないようでは、TPPを通じた消費の喚起もおぼつかない。
 ≪「拉致」の後退許されぬ≫
 外交・安全保障では、集団的自衛権の限定行使を可能とすることなどで、日米同盟を深化させ、その抑止力を高める安保法制が整備された。
 中国は東・南シナ海で覇権主義的な海洋進出を繰り返し、北朝鮮の核・ミサイル問題はいまだ解決していない。
 日本の平和と安全を確保するための取り組みは、これからが本番といえる。国の守りに切れ目のない態勢の構築が急務である。
 今月末には日中韓首脳会談が予定され、中韓両国との首脳会談が個別に行われる可能性もある。冷え込んでいる関係を改善させることは北東アジアの安定に欠かせない。一方、歴史の事実を歪曲(わいきょく)し、日本を攻撃する両国の姿勢には毅然(きぜん)と対処しなければならない。
 指摘しておきたいのは、拉致問題の担当相を加藤氏に兼務させたことだ。
 改造内閣の目玉閣僚の仕事は、おのずと新たなテーマへの取り組みになろう。拉致をめぐる日朝政府間交渉は北朝鮮の不誠実な対応が原因で進展がみられない。
 拉致担当相として積極的な取り組みが求められるのに、この兼務が適切とは思えない。拉致問題に最大限努力する考えを示している首相は再考すべきだ。
 首相は自ら取り組む課題の一つに憲法改正を挙げた。来夏の参院選で公約に掲げるなど明確な姿勢を示した上で、国民的議論を活発化させ、改正の必要性を説く先頭に立ってほしい。
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東京新聞 2015年10月8日
【社説】内閣改造 目先を変えるだけでは


 安倍晋三首相が内閣を改造した。来夏の参院選に向けて、安全保障法制成立を最優先したこれまでの態勢からの転換を印象づけようとしたのだろう。目先を変えるだけでは国民の支持は得られまい。
 第三次安倍改造内閣の発足である。九月の自民党総裁選で、無投票で再選されたことを受けた新体制の船出だ。来年夏には参院選が控えており、このまま選挙戦に臨む可能性が高い顔触れでもある。
 首相は内閣改造の狙いを「一億総活躍という輝かしい未来を切り開くため新しい挑戦を始める」と説明した。
 しかし、集団的自衛権の行使容認という、憲法を改正すべき重要な政策転換を、閣議決定で行った政権だ。関連法が成立し、閣僚の顔触れが変わったからといって、不問に付すわけにはいかない。
 臨時国会を速やかに召集し、首相は所信を明らかにして野党との論戦に臨むべきだ。臨時国会見送り論もあるというが、論外だ。
 党内各派閥からまんべんなく起用する挙党態勢の中、「目玉ポスト」として新設されたのが、首相側近の加藤勝信前官房副長官を充てた一億総活躍担当相である。
 少子高齢化に歯止めをかけて、誰もが能力を発揮できる社会を目指す首相の意向を反映したものだが、何をするのか具体性を欠き、担当分野もほかの閣僚と重なる。
 参院選を意識して、言葉が躍るだけでは意味がないどころか、安保問題から国民の目をそらす意図があるのなら、有害ですらある。
 河野太郎氏を行政改革担当相に起用したことにも注目したい。
 党行革推進本部長としての手腕を買われての起用だが、政府のエネルギー基本計画を批判するなど政権の原発推進政策とは相いれない面もある。閣内への取り込みで批判封じを図ったのだろうか。
 首相官邸の意向には逆らいづらい首相「一強」の状況であるからこそ、河野氏には信念を曲げず、正しいと思ったことを直言する気概を見せてほしい。
 米軍普天間飛行場の返還問題を抱える沖縄・北方担当相には、沖縄県選挙区選出の島尻安伊子参院議員が就いた。名護市辺野古への「県内移設」には翁長雄志県知事をはじめ多くの県民が反対する。
 せっかくの機会だ。この際、県民の声を、積極的に政策に反映する役割を果たしたらどうか。民意を無視して、沖縄に米軍基地を押し付ける側に回るのなら、初入閣の意義も損なわれてしまう。
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しんぶん赤旗 2015年10月8日(木)
主張:安倍政権改造人事 世論に逆らい暴走続けるのか


 昨年末の総選挙で第3次政権をスタートさせた安倍晋三政権が約10カ月ぶりに内閣改造と自民党役員人事を行い、第3次安倍改造内閣を発足させました。9月末に安倍氏が自民党総裁選で無競争再選されたのもうけ、主要閣僚や党役員を留任させ、安倍政権が進めてきた戦争法、消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)参加、原発再稼働や沖縄新基地建設などの悪政推進の姿勢を露骨に示したものです。「アベノミクス」の「第2ステージ」と称して持ち出した「1億総活躍社会」のため担当相を新設したのも、国民犠牲の政治を目先を変えて進めるためです。
戦争法など継続の布陣
 憲法の平和主義も民主主義も立憲主義そのものも踏みにじる暴挙として国民各層の怒りが文字通り沸騰した戦争法だけでなく、消費税増税もTPP参加や原発再稼働も、世論を踏みにじって強行する安倍政権に国民の怒りが高まっています。まさに暴走に次ぐ暴走であり、各分野で悪政に反対する「一点共闘」が広がり、とくに戦争法に対してはその廃止のため、安倍政権を倒し「国民連合政府」をつくろうという日本共産党・志位和夫委員長の提唱に、共感と歓迎が寄せられているのもその表れです。
 そうしたなか安倍政権が行った内閣改造と自民党役員人事には、国民の声に配慮したそぶりは全くみられません。
 前国会で強行した戦争法については、自民党で公明党との折衝にあたり法案をまとめた高村正彦副総裁や、法案の担当大臣だった中谷元・防衛相、岸田文雄外相らを留任させ、引き続き法律の施行や具体化にあたらせる布陣です。戦争法廃止の声に真っ向から逆らう態度があらわです。
 消費税増税路線を推進してきた麻生太郎財務相を引き続き副総理兼務で留任させたほか、TPP交渉で「大筋合意」したばかりの甘利明経財担当相も留任させました。TPPの国会審議で焦点となる農業問題を担当する農水相には自民党でTPPを担当した森山裕氏を起用し、反対を抑え込む狙いです。
 社会保障・労働法制の改悪を推進してきた塩崎恭久厚労相の留任や米軍新基地建設を沖縄県に押し付けてきた菅義偉官房長官の「基地負担軽減担当」としての留任など、安倍政権には国民の圧倒的多数が反対する政治を改める姿勢はありません。
 「1億総活躍社会」担当相を新設し、これまで官房副長官の加藤勝信氏を起用したのも、国民から反対の強い悪政を強行するための目くらましでしかありません。だいたい「1億総活躍社会」のためという「国内総生産(GDP)600兆円実現」や「希望出生率1・8」、「介護離職ゼロ」など「新3本の矢」の目標には何の裏付けもありません。悪政を覆い隠し、国民の暮らしも経済も破壊したアベノミクスを加速するだけの「第2ステージ」なら願い下げです。
悪政の「結果」許さず
 安倍首相は改造人事の決定にあたり「仕事重視、結果第一の体制」、「新しい体制でしっかり結果を出していく」と主張しました。しかし、国民の意思を踏みにじり、暴走に暴走を重ねる「結果第一」など国民は求めていません。
 悪政の「結果」を許さず、立憲主義も民主主義も平和主義も破壊した安倍政権を一日も早く打ち倒すことこそ、国民多数の願いです。
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東京新聞 2015年10月9日
【社説】GDP600兆円 ピーターパン症候群か


 第三次安倍改造内閣が掲げた「新たな三本の矢」は、実現可能性に疑問がわくものばかりだ。中でも「GDP(名目)六百兆円」は目標というよりも夢物語に近い。それで何を目指そうというのか。
 財界首脳ですら「あり得ない数字だ」と指摘したほどである。非現実的な数字でも打ち上げれば何とかなるとでも思っているのだろうか。まるで六月に金融界で話題となった「ピーターパン発言」を想起させるのである。
 黒田東彦日銀総裁が国際会議で「ピーターパン物語に『飛べるかどうか疑った瞬間に飛べなくなってしまう』という言葉がある」と発言し、物価も上がると信じることが大事だと解釈された件だ。六百兆円も信じろということか。
 身体は大人なのに子どもじみた言動をする人を「ピーターパン症候群」と呼ぶ学説が一時期流行したが、根拠の乏しい夢物語のような数字で国民の歓心を買おうという稚拙な言動なら、まさに「ピーターパン症候群」であろう。
 首相は唐突に「アベノミクスは第二ステージに入った」とも宣言した。しかし、ちょっと待ってほしい。次の段階に進むというなら第一ステージは所期の目標を達成したのか。八月の消費者物価指数はとうとうマイナスに落ち込んだ。設備投資の先行指標である機械受注は三カ月連続で前月割れだ。
 さまざまな指標が経済の停滞を示している。第一ステージの総括もなしに、いきなり次のステージだというのは、アベノミクスの失敗から目をそらさせるつもりか。もっと言えば、選挙から遠い時期に特定秘密保護法や安保法を強硬に成立させ、支持率が下がると新たな経済政策を持ち出して目先を変える。こんな国民をばかにした話はない。
 なぜ物価上昇目標は達成できないのか。なぜ二〇一四年度のマイナス成長に続き、本年度四~六月期、さらに七~九月期もマイナス成長が濃厚なのか。アベノミクスの破綻は確定的なのに、それを認めずに新たな三本の矢といわれて誰が信じられるだろうか。
 望外の名目成長率3%が続いていけば二〇年度に六百兆円に近い数字にはなる。しかし、現実はゼロかマイナス成長だ。
 GDPのために武器(防衛装備品)や原発を世界に売りまくり、生産性向上だといっては残業代ゼロや正社員を減らして非正規労働を増やす。国民の共感や信頼を得ずして着実な経済成長など望むべくもないのである。
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