2015-11-05(Thu)

郵政3社上場 地域拠点生かす経営を

公益性を堅持すべきだ 優しいサービス忘れず 自立へ手腕が問われる

<各紙社説・社長>
毎日新聞)郵政3社上場 郵便事業の将来図示せ(11/06)
産経新聞)郵政3社上場 完全民営化の将来像示せ(11/05)
東京新聞)郵政株上場 優しいサービス忘れず(11/05)
北海道新聞)郵政3社上場 地域拠点生かす経営を(11/05)

京都新聞)郵政3社上場  自立へ手腕が問われる(11/05)
神戸新聞)郵政上場/収益力向上へ将来像示せ(11/05)
中国新聞)郵政3社上場 公益性を堅持すべきだ(11/04)
西日本新聞)郵政3社上場 かじ取りの難しさ増した(11/06)




以下引用



毎日新聞 2015年11月06日 02時30分
社説:郵政3社上場 郵便事業の将来図示せ


 日本郵政とその子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が東京証券取引所に上場した。株価は売り出し価格を大幅に上回り、市場は異例の盛り上がりを見せている。
 しかし、熱狂に浮かれていてはいけない。民営化が完了するには、まだ多くの難問が残っている。
 3社合わせた時価総額がすでに約18.5兆円と巨大銘柄の誕生となったが、今回、市場に売却されたのはそれぞれの株式の約11%である。残りは国保有のままだ。
 段階的に売却が進み、国の関与が低下していくことになってはいるが、最終地点も、そこまでの具体的な道筋も決まっていない。
 そのことが、子会社である金融2社の活動を制限したり、反対にライバル企業との競争をゆがめたりするのではないか。気がかりである。
 例えば、ゆうちょ銀行だ。貯金の総残高が三菱東京UFJ銀行の預金総額を上回る巨大金融機関だが、運用手段は限られ、約半分を超低利回りの国債購入に充てている。
 一般の銀行のような企業向け融資や住宅ローン事業に活路を求めようにも、日本郵政による出資比率が50%以上の間は、政府の認可がないと新規事業に参入できない。
 出資比率が50%未満まで下がるのは3〜5年先とみられている。少なくともその間、ゆうちょ銀行の中途半端な状態が続きそうなのだ。
 では、株の売却を急げばいいかというと、そう簡単でもない。ゆうちょ銀とかんぽ生命の金融2社は郵政グループ全体の利益を支えている。一方、もう一つの子会社である日本郵便は、本業の郵便・物流事業が赤字(2015年3月期決算)に陥るなど、厳しい経営環境にある。金融2社が完全民営化に向かう中、日本郵便の収益力をどのように高めていくかを考えねばならない。
 その日本郵便だが、週6日、原則1日1回、全国どこでも同一料金で郵便を配達することを法律で義務付けられている。過疎化が進む中、利用者の利便性と日本郵便の収益性をどのようにバランスさせるのか、将来像を描くための議論を進めなければならない。
 自民党は来年の参院選を視野に、ゆうちょ銀の預け入れ限度額を引き上げ、郵便局がゆうちょ銀から受け取る手数料を手っ取り早く増やそうと政府に働きかけている。暗黙の政府保証付きとみなされるゆうちょ銀へ資金が移動しかねず民間金融機関は猛反対している。集票を意識した人気取り策で競争をゆがめるようなことがあってはいけない。
 政治的な困難を越えて始めた郵政民営化である。成功を見届ける責任が政治にはある。
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産経新聞 2015.11.5 05:02
【主張】郵政3社上場 完全民営化の将来像示せ


 小泉純一郎政権下で始まった郵政民営化が大きな節目を迎えた。
 日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の郵政グループ3社が同時に上場を果たした。
 政府の関与が段階的に薄まり、3社の経営は市場を通じて厳しい目にさらされる。収益基盤を確立し、企業価値を高める経営に尽力せねばならない。
 だが、郵政民営化が道半ばだということを忘れてはなるまい。国の後ろ盾による官業体質を排し、民間との公正な競争を促すのが本筋だ。金融2社の完全民営化への道筋など、具体的な将来像を早急に示すことが肝要である。
 3社の初値は、いずれも売り出し価格を上回る人気をみせた。個人株主が中心であり、「貯蓄から投資へ」という市場活性化の流れを確実にする契機としたい。株の売却収入が復興財源に充てられることも踏まえ、安定的に株価を高める取り組みを徹底すべきだ。
 郵政民営化法は、全国の郵便局で一律のサービスを提供するよう義務づけている。公共性を保ちつつ、確実に収益を高めることは容易ではない。
 課題ははっきりしている。日本郵政が全株式を保有する日本郵便の郵便・物流事業は、電子メール普及などの逆風を受け赤字体質だ。オーストラリアの物流大手買収を生かし、国際物流事業の強化などを急ぐ必要があろう。
 グループの利益の多くを稼ぐゆうちょ銀とかんぽ生命の体質強化も重要だ。国債に依存した資金運用の多様化は急務である。民間金融機関との連携で収益を高める戦略も深化させたい。
 懸念は、当面、日本郵政が保有する金融2社の株式売却が5割程度にとどまることだ。政府の間接的な保有が残るままでは「民業圧迫」の恐れが解消できず、融資などの新規事業に無条件で参入することは適切ではない。
 最終的な郵政グループの組織形態が見通せない現状では、市場が3社の中長期的な経営を見極めるのも難しいのではないか。
 政治との関わりにも不安が残る。自民党からはゆうちょ銀の預入限度額引き上げなどの提言もあった。現状では国の信用を背景にした肥大化につながりかねず、民営化の趣旨に逆行する動きだ。
 政治に翻弄され続けた宿痾(しゅくあ)を断ち切れるかが、民営化の成否を握るのは言うまでもない。
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東京新聞 2015年11月5日
【社説】郵政株上場 優しいサービス忘れず


 郵政民営化の方針を決めた小泉改革から十年。日本郵政三社が上場した。百四十年の官営の歴史を持つ郵政は国民の大切な財産。成長を焦らず、あまねく支持される企業の道を歩むべきだろう。
 一般の株主に責任を負うこととなる上場で民営化の大海に漕(こ)ぎ出す郵政グループへ、期待を述べる前にこれまでの道のりを振り返ってみる。
 全国津々浦々、すべての市町村にある郵便局は戦後、国民の安全確実な貯蓄先として資金を集めた。これが第二の予算「財政投融資」の資金源として国内のインフラ整備、公共事業に投じられ高度成長の原動力となった。
 輸出中心の成長が伸びきり、市場の閉鎖性が米欧から批判を浴びる貿易摩擦の時期を経ると、国内では既得権が固定化。経済はバブル崩壊を機に低迷期に入る。
 そこに登場したのが小泉政権で、公共事業を要とした自民党田中派主導の経済政策を、競争や市場重視の政策に転換して行き詰まり打開を目指す。その象徴が田中派の支持基盤でもあった郵政の民営化だった。
 ただ、その後の十年で局面はさらに変わる。経済は成熟から人口減少、少子高齢化、格差拡大へと転じた。皮肉にも小泉改革が弱者を切り捨て、経済格差を拡大したと批判されている局面での上場となった。
 それでは郵政はどんな企業を目指すのか。収益力強化を急げという声があるが、当面、大きな成長は望めないとの見方が多い。郵便事業は慢性赤字で、金融部門の利益で穴埋めしているが、その運用は国債中心で、政府が株主の間は大きな制約がある。
 全国津々浦々であまねくサービスを提供していく義務を負っている郵政グループはむしろ、経済の新たな局面を見極めながら時間をかけてじっくりと仕事に取り組むべきではないか。無理な利益重視で、過疎地や弱者も含めた多くの国民の信頼を失うようなことになれば、再度の国有化論が出てこないとも限らない。
 そんな郵政の船出にはチャンドラーの探偵小説の台詞(せりふ)「タフでなければ生きてゆけない」「優しくなくては生きている資格がない」がぴったりかもしれない。何よりも弱者に優しい企業であってほしい。郵政に出資を決めた株主も、短期の売却益ではなく、株主としてじっくりと郵政を支えることが長期にわたる安定した配当収入につながるはずだ。
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北海道新聞 2015/11/05 08:55
社説:郵政3社上場 地域拠点生かす経営を


 日本郵政、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社の株式がきのう上場した。
 140年余り続いた官営事業を民営化する総仕上げとなる。
 日本郵政株は、上場後も国が3分の1超を保有し関与を続ける。郵便物の扱い減少で赤字体質が続く傘下の日本郵便は上場しない。
 改正郵政民営化法は、郵便事業に加え、銀行、保険の窓口業務を対象に全国一律の「ユニバーサルサービス」を郵便局で一体的に行う義務を課している。
 郵政各社は公益的な役割が大きい。地方の拠点を減らす効率化やリスクを追うよりも、組織網を生かす安定した経営を求めたい。
 3社の初値はいずれも売り出し価格を上回る人気だった。株式の売り出し合計は約1兆4千億円となる。
 2次以降の売り出し分を含め売却益のうち4兆円は東日本大震災の復興財源に充てられる。復興を後押しするためにも、3社の安定した業績が期待される。
 上場に伴い利益確保が求められるが、各社には経営課題がある。
 ゆうちょ銀行は177兆円の貯金を主に国債で運用しており、資金の多様な活用が必要だ。半分以上の株式を売却後は届け出だけで新規事業を行うことができ、住宅ローンなどを検討している。
 銀行業界は民業圧迫だと反対するが、大手行が過疎地に支店を展開しているわけではない。ゆうちょ銀行は、地域ファンドをはじめ地方の資金需要に応じるべきだ。
 気になるのは、日本郵政の経営だ。金融2社の全株式が売却されれば、子会社は赤字の日本郵便だけとなる。
 国際物流事業の確立を目指す日本郵政は、5月にオーストラリアの物流大手、トール・ホールディングスを6千億円強で買収した。
 国内人口の減少を踏まえたのだろう。ただ、海外事業は経営リスクになる恐れもある。慎重を期して将来ビジョンを描くべきだ。
 郵便局は過疎地を含め全国2万4千(道内1500)にのぼり、郵便、貯金、簡易保険の身近な窓口だ。ただ、郵便業務は8割の郵便局で赤字と現状は厳しい。
 上場で経営効率化が求められるとしても、郵便局の廃止や統合で住民生活が不便になるような事態は避けてもらいたい。
 お年寄りの安否確認など、地域住民が郵便局に期待する役割は多い。地域に張り巡らしたネットワークを収益源にできないか、知恵を絞ってほしい。
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[京都新聞 2015年11月05日掲載]
社説:郵政3社上場  自立へ手腕が問われる


 日本郵政とその子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のグループ3社がきのう、東京証券取引所に株式を上場した。
 2005年の小泉政権による郵政改革から10年を経て、総資産が約300兆円に上る巨大企業グループが政府の傘下を離れ、実質的な民営化に向けて正念場を迎えた。
 注目された初値は3社とも売り出し価格を上回り、滑り出しは順調だった。初値に基づく3社株の時価総額は計16兆6千億円強と、1987年のNTT(約25兆円)に次ぐ大型上場となった。ただ完全民営化の道筋は不明確で、将来の成長戦略も見通せない。東日本大震災の復興財源約4兆円を捻出する狙いもあるが、果たして熱気が続くのか疑問符が付く。
 何より利益の大半を金融2社で稼ぐ収益構造のもろさが否めない。将来、株式売却が進むと、日本郵政には日本郵便だけが残り、電子メールの普及などで赤字が深刻化している郵便・宅配事業を維持できなくなる恐れがある。
 とはいえ、全国の郵便局ネットワークこそが最大の強みであり、郵便局が担ってきた公益性をおろそかにしてはならない。
 全国くまなく展開する強みを生かしてコンビニなどとの提携や通信販売の物流を担うといった事業も視野に入れたい。一等地に保有する郵便局の土地を活用した不動産事業は有望かもしれない。知恵を絞って地域社会の実情やニーズに合ったサービスに乗り出して収益を確保する将来ビジョンを明確に打ち出さねばなるまい。
 収益を支える金融2社さえ新規業務の制約に加え、低金利や人口減少という逆風に直面し、行く手は険しい。分厚い顧客基盤や優良な資産という「底力」を発揮するには、商品開発や販売のノウハウを磨き、新規事業を開拓できる人材の確保が欠かせない。
 郵政改革によって民営化されたものの、日本郵政グループは政府が実質的に全株式を持ち、公的企業の色合いが強かった。将来ビジョンが見えにくい背景には、政治の強い関与がある。2度の政権交代に伴って経営路線が激変し、一貫したビジョンを欠いてきた。
 今回の上場で郵政3社いずれも発行済み株式の11%が売り出された。一般株主が登場し、普通の企業に近づくことになれば企業買収や提携といった事業展開の自由度は増す。公益性の維持を重視しつつも、行き過ぎた政治の介入をはね返して収益性を向上させる経営の自立へ手腕が試される。
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神戸新聞 2015/11/05
社説:郵政上場/収益力向上へ将来像示せ


 日本郵政グループの3社がきのう東京証券取引所に上場した。注目された株価は3社とも売り出し価格を上回り、順調な滑り出しとなった。
 140年余りの「官業体質」から脱し、企業として業績や経営戦略が厳しく評価される。人口が減少し競争が激化する中、収益力をどう向上させるか。投資家や国民の期待に応える成長戦略を示さねばならない。
 終値に基づく3社株の時価総額は計17兆円を超え、1987年のNTT(初値で25兆円)に次ぐ大型上場となった。
 中国経済の減速などで停滞気味だった市場には久しぶりの好材料で、個人投資家を中心に人気を集めた。日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社の終値は売り出し価格を15~56%も上回った。
 政府は今回、保有する3社の株式の11%を売却した。今後も数回に分けて売り出し、最終的に日本郵政への出資比率を3分の1超へ下げる。売却益から東日本大震災の復興財源として4兆円を確保する計画だ。
 政府が狙う株式市場の活性化や復興支援のためには、市場の高い評価を得る必要がある。だが、投資家の支持を維持するのは容易ではない。
 日本郵政グループはゆうちょ銀とかんぽ生命が稼ぎ頭で、グループを支える構造だ。ゆうちょ銀は3月末の貯金残高が177兆円と、国内最大規模を誇るが、低利の国債中心の資金運用で収益力は見劣りがする。
 国の株式保有が続く限り「民業圧迫」を避けるため、ゆうちょ銀は住宅ローンや企業への貸し出しなどが自由にできない。かんぽ生命も人口減少などで契約件数が減少傾向にあるが、やはり新規事業への進出が制限されている。
 さらに難しいのは、赤字体質の郵便事業の立て直しだ。全国2万4千の郵便局は全国一律サービスが義務付けられている。郵便事業は電子メールなどに押されて厳しい。買収した豪州の物流大手や郵便局ネットワークを生かし、物流事業などでの新たな収益策が不可欠だ。
 郵政民営化は小泉政権時代に推進された。郵貯などの巨額資金が国の非効率な事業に使われないようにするとの理由からだ。その後、政権交代で上場方針が見直されるなど政治に翻弄(ほんろう)された。国は、郵便局網を社会的インフラとして維持しつつ、経営の自立を尊重すべきだ。
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中国新聞 2015/11/4
社説:郵政3社上場 公益性を堅持すべきだ


 日本郵政と金融子会社ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が、きょう東京証券取引所に同時上場する。株式の時価総額は3社合計で13兆567億円に上るとみられる。最大にして最後の政府保有株放出と言っていい。
 郵政の株式は国民全体の財産であり広く国民が所有できるよう努める―という2012年の国会決議がある。改正郵政民営化法の成立に伴うものだ。特定の投資家に持ち株が集中して決議の趣旨が大きく損なわれることのないよう、上場後も国民は注視しなければなるまい。
 日本郵政の株式は政府が、金融2社の株式は日本郵政が、それぞれ100%保有してきた。上場を機に政府は日本郵政への出資比率を3分の1超まで引き下げる。日本郵政は金融2社への出資比率が50%程度になるまで株式の売却を進めるという。
 日本郵政が金融2社の全株式を売って完全民営化へと一気に歩を進めないのはなぜなのか、疑問視する向きもあろう。
 日本郵政を通じて政府が関与する以上、2社は純粋の民間企業とはいえず、暗黙の政府保証があると受け止められる。このため「民業圧迫」の懸念から種々の制約を課され、思い切った新規事業に踏み出せない。そうした問題点は確かにある。
 それでも、私たちは金融2社に対する、一定の政府関与をかねて主張してきた。それが改正郵政民営化法で義務付けられた郵政事業のユニバーサルサービス(全国一律業務)を担保すると考えるからだ。
 全国どこでも公平に、郵便や貯金、生命保険などのサービスが受けられるというのが、ユニバーサルサービスである。それは津々浦々の郵便局のネットワークに支えられていよう。
 ところが日本郵政の子会社で郵便事業を担う非上場の日本郵便は赤字に苦しんでいる。金融2社からの窓口委託手数料が大きな収入源であり、それなしには立ちゆかない。ユニバーサルサービスには2600億円を超すコストが掛かるという。
 もし2社が完全に民営化された場合、グループの中にとどまるのかどうか。その行方が日本郵便の経営を大きく左右するに違いない。日本郵便と金融2社の結び付きは地域のために今後とも維持したいところだ。
 日本郵便も収益性を高めるよう企業努力する必要がある。
 ことしオーストラリアの物流企業の最大手トール・ホールディングスを買収し、国際市場への進出に意欲を見せた。コンビニとの提携や大型集配拠点の新設などにも力を入れ、物流部門を強化せねばなるまい。
 ユニバーサルサービスは日本社会の人口減や超高齢化と無縁ではない。不採算などを理由にした地方銀行やJAなどの窓口閉鎖で、郵便局以外に金融機関がない自治体は岡山県西粟倉村など全国24に上るという。
 そうした土地では郵便局が「最後のとりで」になる。民間金融機関をフォローする役割が求められることもあろう。
 日本郵政グループは公益性を求められると同時に、広く投資家の期待に応えるという未知の領域に入っていくことになる。もはや避けられない時の流れだ。それでも、政府関与の余地を残してグループを維持すべく、今後の株式売却については慎重に見極めてもらいたい。
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=2015/11/06付 西日本新聞朝刊=
社説:郵政3社上場 かじ取りの難しさ増した


 日本郵政グループ3社の株式が東京証券取引所に上場され、売り出し価格を超える株価を付けて、好調な滑り出しを見せている。
 親会社の日本郵政と子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険とも高値となったのは良いが、上場によって経営のかじ取りはどうなるか。一段と難しくならないか。
 そう考える理由は今年4月に発表された郵政グループの中期経営計画にある。そこで、ゆうちょ銀行の目標が下方修正されたのだ。
 昨年2月の中期経営計画では177兆円の貯金残高に3年間で6兆円上積みするとの目標を掲げた。これが新計画では3兆円に圧縮された。地域金融機関との協調、共存に配慮した結果でもある。
 利益一辺倒、競争だけとはいかない。それには株主は不満だろう。株主の期待は株価上昇であり、高配当である。当然、経営陣には利益の追求を最優先に求める。
 現実はグループにはさまざまな制約がある。今回のゆうちょ銀とかんぽ生命の株式売り出しは民営化に向けた第一歩にすぎない。
 両社は最終的に完全民営化されるが、時期は明示されていない。当面の目標は親会社の日本郵政の保有比率を50%程度に引き下げて経営の自由度を上げることだ。
 日本郵政と100%子会社として残る日本郵便は、全国で公平に利用できる郵便局ネットワークを維持し、郵便と金融窓口業務を提供する責任がある。全国2万4千の郵便局には収益力に差がある。
 だが、全国一律サービスが義務付けられており、赤字だからと簡単に閉鎖はできない。その中で収益力をどう高めるか。営業力を強化するとともに、集中的に設備投資を行うことで業務の効率化や生産性の向上を図るという。
 民間企業として利潤を追求する一方、過疎地などの郵便局も維持していく。株主の期待に応えながら、地域のニーズにも対応する。郵政グループには「民」と「公」の二つの役割がある。二つのバランスを取りながら同時に満たす組織に改革していくことになる。それはなかなか難題ではないか。
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